(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20220905BHJP
E03D 5/10 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
E03D11/02 A
E03D5/10
(21)【出願番号】P 2018122918
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】黒木 悠
(72)【発明者】
【氏名】堂前 拓己
(72)【発明者】
【氏名】芦田 朋久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祥
(72)【発明者】
【氏名】福谷 孝二
(72)【発明者】
【氏名】清家 玲生
(72)【発明者】
【氏名】浅井 崇臣
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079426(JP,A)
【文献】特開2009-041355(JP,A)
【文献】特開2017-048516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢と、
前記便鉢に泡を含んだ洗浄水を供給して前記便鉢の洗浄をする洗浄装置と、
前記便鉢内の溜水面
を覆う泡上のトイレットペーパーに向けて液体を噴射する噴射装置と、
前記洗浄装置及び前記噴射装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄装置による洗浄の開始前又は洗浄の開始時に、前記噴射装置による液体の噴射を開始させる便器装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記洗浄装置による洗浄中において前記噴射装置による液体の噴射を所定時間継続させる請求項1に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便鉢に泡を供給する便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便鉢に泡を供給する便器装置が知られている。便鉢への泡の供給は、男性の立小便時における液体の飛散の抑制や、便鉢の洗浄を主目的とする。しかしながら、便鉢に供給される泡は、直ちに消えるものではなく、洗浄水の供給方法によっては排水管内で抵抗となって詰まりを発生させる場合がある。そこで、便鉢内の泡に対してリム吐水口から酸性水を吐出し、便鉢の内面に付着した泡を排水前に消泡させる便器装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トイレットペーパーが泡の上に載ってしまうと流れ難くなるところ、特許文献1の便器装置では、泡を消泡することについては記載があるものの、このような泡の上に載ったトイレットペーパーの排出については一切考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、便鉢に泡を供給した場合であっても、溜水面を覆う泡上のトイレットペーパーを容易に流すことが可能な便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 上記目的を達成するため本発明は、便鉢(例えば、後述する便鉢6)と、前記便鉢に泡を含んだ洗浄水を供給して前記便鉢の洗浄をする洗浄装置(例えば、後述する洗浄装置3)と、前記便鉢内の溜水面(例えば、後述する溜水面WL1)に向けて液体を噴射する噴射装置(例えば、後述する噴射装置4)と、前記洗浄装置及び前記噴射装置を制御する制御部(例えば、後述する制御部5)と、を備え、前記制御部は、前記洗浄装置による洗浄の開始前又は洗浄の開始時に、前記噴射装置による液体の噴射を開始させる便器装置(例えば、後述する便器装置1)を提供する。
【0007】
(2) (1)の便器装置において、前記制御部は、前記洗浄装置による洗浄中において前記噴射装置による液体の噴射を所定時間継続させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、便鉢に泡を供給した場合であっても、溜水面を覆う泡上のトイレットペーパーを容易に流すことが可能な便器装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る便器装置の平面図である。
【
図2】
図1の矢印A-A方向に視た本発明の一実施形態に係る便器装置の縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る便器装置の標準モードでの動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る便器装置の溜水面上に泡が存在している場合での動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1及び
図2を用いて、本実施形態に係る便器装置1について説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係る便器装置1の平面図である。
図2は、
図1の矢印A-A方向に視た本実施形態に係る便器装置1の縦断面図である。
【0012】
便器装置1は、便器本体2と、洗浄装置3と、噴射装置4と、制御部5と、を備える。
【0013】
便器本体2は、汚物を受ける便鉢6と、この便鉢6の底部から、上昇流路13A及び下降流路13Bから構成され且つ排水管(図示省略)と連結管14を介して連結される便器排水路13に設けられた排水トラップ7と、便鉢6に対して開閉する便座(図示省略)及び便蓋(図示省略)と、を備える。便鉢6の上部には、洗浄水を吐き出すリム吐出口8が形成されていると共に、その周縁に沿って洗浄水の旋回流を生成するリム流水路9が形成されている。便鉢6の底部には、洗浄水を吐き出すジェット吐出口10が形成されている。排水トラップ7は、便鉢6の底部から排水管(図示省略)までの便器排水路13を水封することで、便鉢6の底部に溜まる洗浄水の溜水面WL1の高さを定める。
【0014】
洗浄装置3は、ユーザによって洗浄スイッチ(図示省略)が操作されることで、後述の制御部5により制御されて動作し、便鉢6を洗浄する。具体的に、洗浄装置3は、リム吐出口8を介して便鉢6に洗浄水を供給するリム洗浄水供給装置として機能すると共に、ジェット吐出口10を介して便鉢6に洗浄水を供給するジェット洗浄水供給装置として機能する。(以下、リム吐水、ジェット吐水ともいう)。標準モードで動作する洗浄装置3は、泡を含まない洗浄水を供給し、泡モードで動作する洗浄装置3は、便鉢6内の溜水面上に泡を存在させる。
【0015】
ここで、泡モードの例としては、例えば以下のようなものが例示される。
第1に、便鉢6に吐水された泡が溜水に流入する場合が挙げられる。具体的には、泡を含む水を吐水して、便鉢6内を旋回等させながら便鉢6内を洗浄する場合や、泡を含む水を吐水して溜水に泡を溜める場合(この場合には必ずしも便鉢6内を旋回等させる必要はない)が挙げられる。なお、泡を含む水としては、洗浄水に泡を混入する場合と、洗浄水とは別経路で泡を吐水する場合がある。
【0016】
第2に、溜水中で泡を発生させる場合が挙げられる。例えば、ジェット吐出口10等を介して溜水中に薬剤等を直接供給し、溜水内で泡を発生させる場合が挙げられる。この場合でも、便鉢6内に泡が存在している状態を形成可能である。
【0017】
なお、上述の第1の場合には、洗浄装置3は、洗浄水中に薬剤と空気とを供給して混合することにより泡を生成するエゼクタ(図示省略)を備える。これに対して上述の第2の場合には、洗浄装置3はエゼクタを備える必要は無い。薬剤としては、泡を生成できるものであればよく、例えば香料、抗菌剤、除菌剤、防カビ剤等を含む液体やイオン水等が用いられる。
【0018】
噴射装置4は、液体を、便鉢6内の溜水面WL1に向けて噴射する噴射ノズル(図示省略)を備える。液体としては、例えば、給水される水が用いられる他、各種薬剤等でもよい。噴射ノズルは、例えば液体を霧状に散布(噴霧)する。好ましくは、この噴射装置4は、便鉢6内の汚物による汚染を抑制するために、便鉢6の内壁面に向けて広く水を霧状に散布するものである。即ち、本実施形態の便器装置1は、このような噴射装置4による水の散布(噴霧)を、溜水面WL1上に限定し、溜水面WL1を覆う泡上のトイレットペーパーの排出に利用したものである。
【0019】
より詳しくは、噴射装置4は、溜水の上方から液体を噴射して、溜水面WL1の全体を濡らすように構成される。そのため、泡上に載ったトイレットペーパー全体が濡れることで、排出され易くなっている。この点、使用前にプレ洗浄として、便鉢の壁面に向けて水等の液体を噴射して濡らし、該壁面を伝って溜水へ流下させる技術が知られているが、本実施形態では、直接、溜水面WL1の全体に対して液体を噴射することで、トイレットペーパーを濡らして排出することが可能となっている。以下では、噴射装置4について、この好ましい態様で説明する。
【0020】
噴射装置4は、ユーザによって後述の洗浄スイッチが操作されることで、後述の制御部5により制御されて動作する。具体的には、洗浄装置3による泡モードでの便鉢6の洗浄の開始前に、便鉢6内の溜水面WL1に向けて霧状にした水(ミスト)の散布を開始する。あるいは、噴射装置4は、洗浄装置3による泡モードでの便鉢6の洗浄の開始時に、便鉢6内の溜水面WL1に向けて霧状にした水(ミスト)の散布を開始する。
【0021】
また、噴射装置4は、洗浄装置3による洗浄中において、水の散布を所定時間、継続して行うことが好ましい。これにより、溜水面WL1を覆う泡上のトイレットペーパーの排出がより促進される。継続時間は予め設定され、洗浄装置3による洗浄終了時まで継続してもよい。
【0022】
制御部5は、洗浄装置3及び噴射装置4を制御する。具体的に、制御部5は、洗浄装置3による泡モードでの便鉢6の洗浄の開始前又は開始時に、噴射装置4によって、便鉢6内の溜水面WL1に向けて霧状にした水の散布を開始させる。
【0023】
なお、便器装置1は、制御部5による各種制御を実行させるための操作部としてのリモートコントローラ(図示省略)を備える。リモートコントローラは、便器装置1が設置されたトイレルームの壁面等に取り付けられる。本実施形態のリモートコントローラは、局部を洗浄するための局部洗浄スイッチ、便器を洗浄するための洗浄スイッチ(大洗浄スイッチ、小洗浄スイッチ)の他、泡モードスイッチ等を備えている。
【0024】
ここで、泡モードのトリガーとしては、例えば以下のようなものが例示される。
泡を含む水を吐水して便鉢6内を洗浄する場合の泡モードのトリガーとしては、ユーザが入室する、ユーザが泡モードスイッチを押す、便座/便蓋が開く、ユーザが着座する、ユーザが脱座する、便座/便蓋が閉まる、ユーザが退室する、といったものが挙げられる。
【0025】
また、泡を含む水を吐水して溜水に泡を溜める場合の泡モードのトリガーとしては、ユーザが入室する、ユーザが泡モードスイッチを押す、便座/便蓋が開く、ユーザが着座する、といったものが挙げられる。
【0026】
さらには、溜水中で泡を発生させる場合の泡モードのトリガーとしては、ユーザが入室する、ユーザが泡モードスイッチを押す、便座/便蓋が開く、ユーザが着座する、といったものが挙げられる。
【0027】
次に、
図3及び
図4を用いて、制御部5による便器装置1の動作について詳しく説明する。ここで、
図3は、本実施形態に係る便器装置1の標準モードでの動作の流れを説明するフローチャートである。
図4は、本実施形態に係る便器装置1の溜水面上に泡が存在している場合(具体的には、上述の泡モードの動作実行後)での動作の流れを説明するフローチャートである。
【0028】
図3に示すように、制御部5は、泡を含まない洗浄水で洗浄を行う標準モードで制御処理を行う場合、標準モード前リム洗浄工程と、標準モードジェット洗浄工程と、標準モード後リム洗浄工程と、を実行させる。
【0029】
先ず、ステップS100では、標準モード前リム洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、リム吐出口8を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。その後、ステップS110に進む。
【0030】
次いで、ステップS110では、標準モードジェット洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、ジェット吐出口10を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。その後、ステップS110に進む。
【0031】
次いで、ステップS120では、標準モード後リム洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、リム吐出口8を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。以上により、本処理を終了する。
【0032】
なお、この標準モードでは、通常、標準モードジェット洗浄工程と標準モード後リム洗浄工程の処理時間は同一に設定され、標準モード前リム洗浄工程の処理時間はそれらの半分に設定される。
【0033】
また
図4に示すように、制御部5は、溜水面上に泡が存在している場合、泡用前ジェット洗浄工程と、泡用前リム洗浄工程と、泡用後ジェット洗浄工程と、泡用後リム洗浄工程と、を実行させる。ただし、泡用後リム洗浄工程の実行は必須ではない。
【0034】
先ず、ステップS200では、泡用前ジェット洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、ジェット吐出口10を介して便器排水路13又は排水トラップ7に向けて洗浄水を供給する。なお、本ステップでは、便鉢6の底部から排水管までの便器排水路13を破封させることが好ましい。具体的には、
図2中に示される封水ラインSWLよりも下方に、溜水面上の泡の上面が配置されるようになるまで、ジェット吐出口10を介して洗浄水を供給することが好ましい。これにより、便鉢6内の泡や該泡上の汚物及びトイレットペーパー等の排出が促進される。その後、ステップS210に進む。
【0035】
次いで、ステップS210では、泡用前リム洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、上述の泡用前ジェット洗浄工程が開始した後に、リム吐出口8を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。本ステップでは、標準モード前リム洗浄工程と比較して処理時間が長い。この泡用前リム洗浄工程は、泡用前ジェット洗浄工程が終了する前に行われることが好ましい。
【0036】
これにより、ジェット吐水の最中にリム吐水することで、便鉢6の壁面に張り付いた泡を上から落としつつ、ジェット吐水で便器排水路13へ泡を排出することができ、便鉢6の壁面の泡を効率的に流すことができる。ジェット吐水だけが先に行われると便鉢6の壁面に泡が付着して残存し、また、通常リム吐水を先に流すと溜水面が上昇して泡が浮遊するところ、その後ジェット吐水を流したとしても泡が便鉢6内に残存する。これに対して本実施形態では、まずはジェット吐水をすることにより、泡を便器排水路13へ排出させ、溜水を下げた状態でリム吐水をすることにより、便鉢6の壁面の泡を確実に流すことができるようになっている。その後、ステップS220に進む。
【0037】
次いで、ステップS220では、泡用後ジェット洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、泡用前ジェット洗浄工程が終了した後で且つ泡用前リム洗浄工程が開始した後に、ジェット吐出口10を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。これにより、便鉢6内に残存していた泡が確実に排出される。その後、ステップS230に進む。
【0038】
次いで、ステップS230では、泡用後リム洗浄工程を実行する。具体的に本ステップでは、泡用前リム洗浄工程が終了した後で且つ泡用後ジェット洗浄工程が開始した後に、リム吐出口8を介して、便鉢6に洗浄水を供給する。以上により、本処理を終了する。
【0039】
なお、
図4の本動作処理における各工程の処理時間は、例えば、泡用前ジェット洗浄工程が1.5~2.0秒、泡用前リム洗浄工程が4.0秒、泡用後ジェット洗浄工程が2.2秒、泡用後リム洗浄工程が4.0秒に設定されるのが好ましい。また、泡用前リム洗浄工程の処理時間は、上述の標準モード前リム洗浄工程と比較して、処理時間が長く設定され、例えば2倍に設定される。これにより、便鉢6内が十分に洗浄されると共に、泡用前ジェット洗浄工程によって破封した便器排水路13が速やかに覆水されて封水が確保されるようになっている。
【0040】
次に、排便後にトイレットペーパーが使用されたときにおける便器装置1の泡モードでの動作について説明する。
【0041】
ユーザによって洗浄スイッチが操作されると、制御部5は、噴射装置4を制御して、便鉢6内の溜水面WL1に向けて霧状にした水(ミスト)の散布を開始させる。散布されたミストは、便鉢6内の溜水面WL1を覆う泡上のトイレットペーパー上に降り注がれることで、トイレットペーパーは濡れた状態となる。
【0042】
次いで、制御部5は、洗浄装置3を制御して、泡を含んだ洗浄水をリム吐出口8及びジェット吐出口10から便鉢6に供給させることで、便鉢6の洗浄を行わせる。このとき、トイレットペーパーは濡れた状態で排出がされ易い状態であるため、汚物等と共に確実に排出される。便鉢6の洗浄が終了することで、便鉢6内の溜水面WL1が泡で覆われる。
【0043】
具体的に、制御部5は、洗浄装置3を制御して、ジェット吐出口10を介して便鉢6に洗浄水を供給する泡用前ジェット洗浄工程を実行する。これにより、便鉢6内の溜水面WL1が乱れる結果、泡やトイレットペーパーの排出が促進される。便鉢6の底部から排水管までの便器排水路13の水封を維持するように泡用前ジェット洗浄工程を実行する場合、排水管からの臭気戻りは発生しない。便鉢6の底部から排水管までの便器排水路13を破封させるように泡用前ジェット洗浄工程を実行する場合、溜水面WL1を覆う泡は便鉢6から確実に排出される。
【0044】
泡用前ジェット洗浄工程が開始された後、制御部5は、洗浄装置3を制御して、リム吐出口8を介して便鉢6に洗浄水を供給する泡用前リム洗浄工程を実行する。泡用前リム洗浄工程が実行されることで便鉢6内の溜水面WL1が元の高さに上昇するため、次の泡用後ジェット洗浄工程の実行が可能になる。泡用前ジェット洗浄工程が終了する前に、泡用前リム洗浄工程を実行させる場合、溜水面WL1を覆う泡を便鉢6から確実に排出することになる。また、この場合、便鉢6の底部から排水管までの便器排水路13が破封していても、リム洗浄水によって排水管からの臭気戻りは発生しない。
【0045】
泡用前リム洗浄工程が開始した後、制御部5は、洗浄装置3を制御して、ジェット吐出口10を介して便鉢6に洗浄水を供給する泡用後ジェット洗浄工程を実行させる。泡用後ジェット洗浄工程が実行されることで便鉢6内の排泄物やトイレットペーパーが便鉢6から確実に排出される。また、泡用後ジェット洗浄工程が実行されることで便鉢6内の溜水面WL1が降下する。
【0046】
泡用後ジェット洗浄工程が開始した後、制御部5は、洗浄装置3を制御して、リム吐出口8を介して便鉢6に洗浄水を供給する泡用後リム洗浄工程を実行させる。泡用後リム洗浄工程が実行されることで便鉢6内の溜水面WL1が泡で被覆される。なお、泡モードで動作した場合、標準モードで動作した場合と比較して、溜水面WL1が低くなるようにして洗浄水が供給される。これにより、次回洗浄時において溜水面WL1が低いことで泡やトイレットペーパーの排出が促進される。
【0047】
以上詳述した本実施形態に係る便器装置1によれば、以下の効果が奏される。
即ち、本実施形態に係る便器装置1は、便鉢6と、便鉢6に泡を含んだ洗浄水を供給して便鉢6の洗浄をする洗浄装置3と、便鉢6内の溜水面WL1に向けて液体を噴射する噴射装置4と、洗浄装置3及び噴射装置4を制御して、洗浄装置3による洗浄の開始前又は洗浄の開始時に、噴射装置4による液体の噴射を開始させる構成とした。
これにより、便鉢6に泡を供給した場合であっても、便鉢6内の溜水面WL1を覆う泡上のトイレットペーパーを水に馴染ませることができ、ひいては、トイレットペーパーを容易に流すことが可能になる。
【0048】
以上、本発明の便器装置1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0049】
上記実施形態では、ユーザによって洗浄スイッチが操作されることにより、便鉢6内の溜水面WL1に向けて液体を噴射する構成としたが、これに限定されない。例えば、ユーザが脱座後に液体を噴射するように構成してもよく、あるいはユーザが退室後に液体を噴射するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 便器装置
2 便器本体
3 洗浄装置
4 噴射装置
5 制御部
6 便鉢
7 排水トラップ
8 リム吐出口
9 リム流水路
10 ジェット吐出口
13 便器排水路
WL1 溜水面
SWL 封水ライン