(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】フィールド補正光学素子を含んだ発光モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/275 20180101AFI20220905BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20220905BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20220905BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20220905BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20220905BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220905BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220905BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220905BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/153
F21S41/143
F21S41/24
F21S41/20
F21V8/00 310
F21W102:10
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018123180
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】マリーヌ、クルシエ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、イェルク
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026741(JP,A)
【文献】特開2015-146008(JP,A)
【文献】特開2002-316339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/153
F21S 41/143
F21S 41/24
F21S 41/20
F21V 8/00
F21W 102/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプティブ照明装置として構成された自動車両の発光モジュール(1)であって、
- 当該発光モジュールの光軸と直交する共通発光面(P)から光線を放出するように構成された一次光源(12)と、
- レンズ(L1)を形成する前方部分(18)と、複数のライトガイド(11)を包含する後方部分(17)とを含み、各ライトガイド(11)が、一次光源(12)によって放出された光線が入って行く入光面(13)と、これらの光線が前記レンズ(L1)を形成する前記前方部分(18)の方向に出て行く出光面(14)とを含んでいる、一次光学素子(10)と、
-
アダプティブ光ビーム
全体を形成するために
前記ライトガイド(11)の出光面
(14)の像を投射することのできる投射用光学部品(30)と、
前記一次光学素子(10)と前記投射用光学部品(30)との間の当該発光モジュールの光軸
上に配置されたフィールド補正光学素子(20)と、
を備え、
前記フィールド補正光学素子(20)は、前記一次光学素子(10)からの光線が入って行く入光面(21)と、これらの光線が投射用光学部品(30)へと出て行く出光面(22)とを備え、
前記フィールド補正光学素子(20)の前記入光面(21)の少なくとも一部分がこの入光面による前記光線の一部の反射を減少させることのできる反射防止膜(AR1)で覆われている、発光モジュール。
【請求項2】
前記フィールド補正光学素子(20)の前記入光面(21)は凹形であることを特徴とする、請求項1に記載の
発光モジュール。
【請求項3】
前記フィールド補正光学素子(20)の前記入光面と、その入光面の反射防止膜との間で形成される屈折面が、少なくとも97%の透過率を有するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の
発光モジュール。
【請求項4】
前記フィールド補正光学素子(20)の前記出光面(22)の少なくとも一部分が反射防止膜(AR2)で覆われていることを特徴とする、請求項1または2に記載の
発光モジュール。
【請求項5】
前記フィールド補正光学素子(20)の前記出光面(22)は凸形であることを特徴とする、請求項3に記載の
発光モジュール。
【請求項6】
前記反射防止膜(AR1,AR2)は、低屈折率材料、好ましくはフッ化マグネシウムMgF2の単層膜であることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の
発光モジュール。
【請求項7】
前記低屈折率材料の単層は、λを反射防止の中心波長、nを当該材料の屈折率としたとき、
(e)=λ/4・n
である厚さ(e)を有していることを特徴とする、請求項6に記載の
発光モジュール。
【請求項8】
前記反射防止膜(AR1,AR2)は、膜層を形成する屈折率n2の第2要素によって取り囲まれた屈折率n1の第1要素から成る複数のハイブリッド粒子が内部に分散されたハイブリッド単層膜であることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の
発光モジュール。
【請求項9】
前記フィールド補正光学素子(20)の面(21,22)の反射防止膜(AR1,AR2)で覆われた部分が、光軸(A)に垂直な第1方向へ高さ(H)に渡って伸びており、その高さ(H)が、ライトガイド(11)の入光面(13)と、この光学素子(20)の前記面(21,22)との間の距離(D)、前記ライトガイド(11)の長さ(l)、および、前記ライトガイド(11)における、その出光面(14)での前記第1方向の高さ(H)により、
(H1,H2)=(D1,D2)*H/d
の数式に従って決まることを特徴とする、
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用の発光モジュールの分野に関し、より特定的にはマトリクス照明機能を生じさせるためのセグメント化された光ビームを作り出すことのできる発光モジュールに関する。その発明は、更に特定的には、マトリクス・ビームの放出のために、一次光源のマトリクスによって放出された光線と交差するよう発光モジュール内に統合されるフィールド補正光学レンズに関するものである。
【0002】
本発明の技術的分野は、アダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB:配光可変ヘッドランプ)などのマトリクス照明機能をもたらすことのできる少なくとも1つの第1発光モジュールを含んだ自動車両用の合図ないし照明装置の分野である。
【背景技術】
【0003】
ADBアダプティブ照明機能は、照明装置において、特定の発光モジュールと、車両前方の道路現場の方を向いた適切な検出ユニットとによって実施される。かくして、ヘッドランプによりハイビーム・モードで放出された光線によって眩惑されるのを免れない道路使用者を自動的に検出して、検出された使用者の両側における前方遠くの道路を照明し続けながら当該使用者の位置する場所には暗い区域を生じさせるように、この照明ビームの輪郭を修正することが可能である。ADB機能の優位性は、使用者の快適性、ロービーム照明モードに対してより良好な視認性、眩輝の危険性の大幅な減少、より安全な運転など、多岐にわたる。
【0004】
このマトリクス照明機能をもたらすことを可能とする発光モジュールは、既に知られている。それらのモジュールは、重なり合う複数の基本ビームで構成された「マトリックス・ビーム」や「ピクセル・ビーム」と呼ばれる光ビームを、縦方向に前方へ放出することができる。全体的な光ビームは、基本光源のマトリクスの像を前方へ投射する。基本光源のそれぞれを選択的に点灯したり消灯したりすることによって、車両前方の道路の一定区域を特定的に照らしつつ他の区域を暗くしたままにしておく全体的な光ビームを作り出すことが可能である。
【0005】
より特定的には、そのようなモジュールは概して、一般的には発光ダイオード(LED)によって形成される一次光源のマトリクスと、複数のライトガイド(導光体)を包含する一次光学素子と、投射用光学部品とを含んでいる。それらのライトガイドは、発光ダイオードによって放出された光線同士を、ピクセル(即ち、概して矩形ないし正方形)の形状を有した、より狭いペンシル光ビームへと成形するように企図されている。ライトガイドの出光面同士が二次光源のマトリクスを形成し、そのマトリクスが投射用光学部品によって映し出されるのである。
【0006】
さらに、投射用光学部品が二次基本光源上に正確に焦点を合わせされるのを可能とするために、一方の、ライトガイドの出光面同士の配列によって形成される発光面と、他方の投射用光学部品との間に、フィールド補正光学素子が介在させられ得る。かくして、投射用光学部品によって全ての光源が明瞭に映し出され、それにより他の各車両の周囲を最適に照らし、かくして他の運転者らを眩惑するのを回避することが可能となる。知られているように、そのようなフィールド補正光学素子は、平形や凸形や凹形の入光面と、凸形の出光面とを含むレンズによって形成される。
【0007】
アダプティブ・ビームを作り出すように構成されたモジュールにおいては、発光ダイオード同士が互いに独立して選択的に点灯され得る、ということを理解されたい。反対方向に走行する車両の使用者が眩惑されるのを防止するためには、暗黒ストリップを含んだ光ビームを投射するのが通常である。これを成すためには、一次発光光源のマトリクスにおける発光ダイオードの横方向の列において、ビームの残部を形成するように点灯されたままの発光ダイオードの直ぐ隣にある1つないし複数の発光ダイオードを消灯することが必要である。
【0008】
上述したように、照明モジュールは、暗黒ストリップと、その側面に位置するビームの照明部分との間に完全に明瞭なコントラストが得られることを可能とはしない。それは特に、フィールド補正光学素子を形成するレンズの入光面(この面を通じて、各光源によって放出された光線がレンズ内へと入る)が凹形だからである。具体的には、この形状構成において、点灯された発光ダイオードの放出した光線は、一次光学素子の対応するライトガイドの出光面で屈折させられた後で、レンズの凹形入光面から部分的に反射されて、一次光学素子の方向へ向きを変えられるが、それは横方向のずれを伴うものである。その横方向のずれは、外側への移動時に光線が通過していたライトガイドに隣り合うライトガイドの出光面の方へと、この光線を向けるものである。それにより、この隣り合う出光面が、暗い区域を形成するように消灯された発光ダイオードに対応している場合には問題を生じさせる。具体的には、一次光学素子の方向へ向きを変えられた光線の一部が、理論上は(できる限り最も暗い区域を達成するために)光線が放出されないはずの区域から、フィールド補正光学素子を形成するレンズの方へと転向されてしまうのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光源から生じた入射光線の透過率を増大させることで寄生光線を減少させ、かくして自動車両の照明モジュールの性能を向上させる目的で、一方の面の少なくとも一部分上に反射防止膜を含んだフィールド補正光学素子を提供することによって、この問題を解決することを狙いとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一主題は、より特定的には、アダプティブ照明装置内に複数の光源によって放出された光線と交差する向きで配置されるように構成され、光線が入って行く入光面と、これらの光線が出て行く出光面とを備えたフィールド補正光学素子である。本発明の第1態様によれば、入光面の少なくとも一部分が、この入光面による光線の一部の反射を減少させることのできる反射防止膜で覆われている。
【0011】
これらの光線の寄生反射を減少させることによって、光源の方への光線の転向を回避することが可能となり、かくしてアダプティブ照明機能を生じさせるのに必要な(光線の放出における)精確性を保つことが可能となる。この寄生光線の反射の減少は、特に光学素子を通る光線の透過率を測ることによって測定され得る。
【0012】
単独で、ないしは組み合わせて実施され得る本発明の種々の特徴によれば、以下のことへの備えがなされ得る:
- 光線の入光面が凹形であり(この場合、出光ないし入光面の凹面と、その後の凸面とは、補正光学素子それ自体に関して、即ち、その中心に関して定義され、換言すれば、補正光学素子の入光面は、当該補正光学素子の内側へ向かって湾曲した輪郭を有しているという点において凹形であり、かくして入光面の中心部分(即ち、補正光学素子の光軸上に中心のある部分)は、この入光面の縁部よりも、この補正光学素子の内側の方にある、ということを理解されたい)、
- 入光面と、その入光面の反射防止膜との間で形成される屈折面が、垂直入射に対して、少なくとも97%の透過率を有するように構成されている。
【0013】
本発明の第2態様によれば、出光面の少なくとも一部分が、この出光面による光線の一部の反射を減少させることのできる反射防止膜で覆われている。
【0014】
光線のための出光面は、凸形であってよい(上記に従えば、補正光学素子の出光面は、当該補正光学素子の外側へ向かって湾曲した輪郭を有しているという点において凸形であり、かくして出光面の中心部分(即ち、補正光学素子の光軸上に中心のある部分)は、この出光面の縁部よりも、この補正光学素子の外側の方にある、ということを理解されたい)。
【0015】
第1実施形態においては、本発明によるフィールド補正光学素子の入光面の少なくとも一部分における反射防止膜が、単独で、ないしは組み合わせて実施され得る以下の諸特徴のうち、少なくともいずれか1つを含んでいるのが有利である:
- 反射防止膜は、低屈折率材料、好ましくはフッ化マグネシウムMgF2の単層膜であり、
- 当該低屈折率材料の単層は、λを反射防止の中心波長、nを当該材料の屈折率としたとき、λ/4・nの厚さを有しており、
- 当該低屈折率材料(好ましくは、フッ化マグネシウムMgF2)の単層が、550nmの波長における屈折率n=1.36に対して101nmの厚さを有している。
【0016】
第2実施形態においては、本発明によるフィールド補正光学素子の入光面の少なくとも一部分における反射防止膜が、単独で、ないしは組み合わせて実施され得る以下の諸特徴のうち、少なくともいずれか1つを含んでいるのが有利である:
- 反射防止膜は、異なる性質および屈折率の少なくとも2つの要素をそれぞれ含む複数のハイブリッド粒子が内部に分散されたハイブリッド単層膜であり、好ましくは各ハイブリッド粒子が、膜層を形成する屈折率n2の第2要素によって取り囲まれた屈折率n1の第1要素から成っており、
- ハイブリッド粒子の第1および第2要素は、ポリマーおよび/または無機質および/または有機質であってよく、第1要素は、単独ないしは混合して用いられる少なくとも1つの無機アルコキシド、好ましくは、或いは4つまでの加水分解性基を有したアルコキシシランで作られているのが好ましい。
【0017】
第3実施形態においては、本発明によるフィールド補正光学素子の入光面の少なくとも一部分における反射防止膜が、単独で、ないしは組み合わせて実施され得る以下の諸特徴のうち、少なくともいずれか1つを含んでいるのが有利である:
- 反射防止膜が、異なる屈折率の少なくとも2つの層の多層膜であり、
- 多層膜が、高屈折率材料の少なくとも1つの層と、低屈折率材料の少なくとも1つの層との交互配置で構成されており(層の厚さは、選択的な波長についての屈折率次第である)、
- 低屈折率材料が、550nmの波長に対して1.6よりも低い屈折率を有した材料より選択され、
- 低屈折率材料が、単独で、ないしは混合して用いられる、SiO2、MgF2、LiF、CaF2、NaF、ZrF4、AlF3、Na5Al3F14、およびNa3AlF6より選択され、
- 高屈折率材料が、550nmの波長に対して1.7よりも高い屈折率を有した材料より選択され、
- 高屈折率材料が、単独で、ないしは混合して用いられる、ZrO2、TiO2、Ta2O5、Na2O5、SnO2、ZnO、ZnS、HfO2、Pr2O3、PrTiO3、La2O3、Dy2O5、In2O3、Nb2O5、Yb2O3、Si3N4、およびAlNより選択される。
【0018】
本発明のもう一つの主題は、本発明による(即ち、複数の光源によって放出された光線のための凹形入光面と凸形出光面とを備え、アダプティブ発光装置内に配置されるように構成された)フィールド補正光学素子を製造するためのプロセスである。当該プロセスは、フィールド補正光学素子の少なくとも1つの面の少なくとも一部分に対して反射防止膜を付着させる少なくとも1つの段階を含んでいる。かくして、当該面(これは、ポリカーボネート系やガラス系の透明基板を形成する)には、特定波長についての光線の透過率を増大させるために反射防止特性が与えられる。
【0019】
単独で、ないしは組み合わせて実施され得る本発明の種々の特徴によれば、以下のことへの備えがなされ得る:
- 付着させる段階は、真空プロセス、好ましくは物理蒸着法を用いて、少なくとも1つの反射防止膜層を成膜することにあり、
- 付着させる段階が、上述したように単層を形成する反射防止膜を成膜することにあって、その単層が、低屈折率材料で作られ、1ミクロンより薄い厚さを有し、好ましくは550nmで1.36の屈折率を有した101nmの厚さのMgF2の単層であり、
- 付着させる段階が、多層反射防止膜を形成するように、異なる屈折率の少なくとも2つの層の交互配置を連続的に成膜することにある。
【0020】
単独で、ないしは組み合わせて実施され得る本発明の他の特徴によれば、以下のことへの備えがなされ得る:
- 付着させる段階は、ゾルゲル法と、大気圧および室温にて実施される湿式成膜技術、ことによると浸漬塗布、または回転塗布、または吹付塗布、或いは層流塗布とを用いて、少なくとも1つの反射防止膜層を成膜することにあり、
- 上述したようにハイブリッド単層を形成するようにゾルゲル溶液内へ浸漬した後で得られる単層内に、異なる性質および屈折率の少なくとも2つの要素をそれぞれ含んだハイブリッド粒子が分散されており、
- 付着させる段階が、基板をゾルゲル溶液内に浸してから乾燥ないし熱処理を行う段階を含んだ浸漬塗布成膜技術を用いて反射防止膜単層を成膜することにあり、
- 各ハイブリッド粒子が、膜層を形成する屈折率n2の第2要素によって取り囲まれた屈折率n1の第1要素から成っており、
- 第1および第2要素が、或いはポリマーおよび/または無機質および/または有機質であり、
- ハイブリッド単層が、屈折率および反射防止の中心位置に応じて10ナノメートルから10ミクロンの間に含まれる膜厚を有し(ハイブリッド単層は特に、材料に応じて、1.32から1.36の範囲の屈折率に対して、101ナノメートルの厚さと、550nmの反射防止中心位置とを有し得る)、
- ゾルゲル法が、単独で、ないしは混合して用いられる少なくとも1つの無機アルコキシドを加水分解する第1段階と、それに続く縮合の第2段階とに基づいており(当該アルコキシドは、或いは4つまでの加水分解性基を有するアルコキシシランであることが好ましく、テトラアルコキシシラン、例えばテトラメトキシシラン(TMOS)やテトラエトキシシラン(TEOS)、またはチタンアルコキシド、例えばチタンイソプロポキシド、または寧ろ亜鉛アルコキシド、例えば亜鉛イソプロポキシドあることが、より好ましい)、
- 少なくとも1つの無機アルコキシドが、付加的な硬化作用を得るようにUVや熱処理効果のもとで架橋結合可能な少なくとも1つのモノマー(好ましくは、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、またはビニルエーテル基を担持した化合物)と混合されたアルコキシシランであり、
- 得られる混合物が、或いは界面活性剤(好ましくは、ポリオキシエチレン含有界面活性剤)を更に含んでいる。
【0021】
本発明のもう一つの主題は、上記で提示したようなフィールド補正光学素子を含んだ、自動車両の発光モジュールである。
【0022】
そのような発光モジュールは、以下のものを更に含んでいてもよい:
- 共通基板から光線を放出するように構成された一次光源(当該基板は或いは、例えば平坦であって、当該発光モジュールの光軸と直交している)、
- レンズを形成する前方部分と、複数のライトガイドを包含する後方部分とを含み、各ライトガイドが、一次光源によって放出された光線が入って行く入光面と、これらの光線が前記レンズを形成する前方部分の方向に出て行く出光面とを含んでいる、一次光学素子(これらの出光面は、或いは特にレンズを形成する前方部分の中央部と一致している)、および、
- 全体的なアダプティブ光ビームを形成するためにライトガイドの出光面の像を投射することのできる投射用光学部品(一次光学素子と投射用光学部品との間の当該発光モジュールの光軸上にフィールド補正光学素子が配置されると共に、このフィールド補正光学素子の少なくとも部分的に反射防止膜で覆われた入光面が、一次光学素子の方を向いている)。
【0023】
単独で、ないしは組み合わせて実施され得る本発明の発光モジュールにおける種々の特徴によれば、以下のことへの備えがなされ得る:
- 各一次光源が、主として光軸(A)の縦方向と直交する平面内にあって、プリント回路基板の前面によって支持される複数の発光ダイオードの少なくとも1つの横列を有したマトリクスに配列され、
- 各発光ダイオードが独立して制御され(その場合、暗黒ストリップによって輪郭の修正された最終的な光ビームを得るために、一次基本光源のマトリクスが、一連の点灯発光ダイオードと隣り合う、一連の消灯発光ダイオードを含んでいるように構成されてよい)、
- フィールド補正光学素子の面の反射防止膜で覆われた部分が、当該光学素子の光軸に垂直な第1方向へ、ある高さに渡って伸びており、その高さが、ライトガイドの入光面と、この光学素子の面との間の距離、前記ライトガイドの長さ、および、ライトガイドにおける、その出光面での第1方向の高さにより、
(H1,H2)=(D1,D2)*H/d
の数式に従って決まる。
【0024】
本発明のもう一つの主題は、「ADB」アダプティブ照明機能を生じさせることのできる照明装置を装備した自動車両において、上述したようなフィールド補正光学素子を含むことを特徴とするものである。
【0025】
本発明におけるその他の特徴や利点は、非限定的な例示として以下に与えられる本発明の諸実施形態の詳細な説明を読み取ることで、また添付図面を参照して、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】自動車両の合図ないし照明装置において「ADB」アダプティブ・ハイビーム機能をもたらすことのできる発光モジュールにおける、投射用光学部品の縦方向光軸(A)を包含した断面内での断面図であって、発光モジュールが本発明によるフィールド補正光学レンズL2を含んでいる図。
【
図2】本発明によるフィールド補正光学レンズL2の縦方向光軸(A)の縦向き(L)に沿った垂直方向横断面での詳細図であって、当該レンズが、複数のライトガイドを含むピクセル化された光学系内に配置されるように構成されている図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
初めに、各図は、本発明をその実施に関して詳細に描いてはいるが、もちろん適切な場合には本発明をより良好に定義するのに役立ち得る、ということに留意されたい。同様に、全ての図において、同じ要素同士は同じ符号で参照されている、ということを想起されたい。各図に描かれた本発明の諸実施形態は、非限定的な例として与えられているのである、ということもまた理解されたい。
【0028】
また、以下の説明において、用語「前」は、縦方向に前方へ(即ち、本発明による発光モジュールからの出力として)放出される最終的な光ビームの方向を指している、ということも想起されたい。
【0029】
本発明は、「ADB」アダプティブ照明機能を生じさせることのできる照明装置を装備した自動車両に用途を有している。この照明装置は特に、
図1を参照して説明することとなるような発光モジュールを含んでいるが、そのモジュールにおいては、フィールド補正光学素子が少なくとも部分的に反射防止膜で覆われている点で注目すべきものである。
【0030】
図1は、本発明によるフィールド補正光学素子20を装備した発光モジュール1(より特定的には、フィールド補正光学素子がレンズL2によって形成されている場合)を示している。
【0031】
発光モジュール1は、縦方向の光軸(A)を有し、アダプティブ最終光ビームを縦方向に前方へ放出するように構成されている。それは、自動車両の合図ないし照明装置において、「ADB」アダプティブ・ハイビーム機能と呼ばれるものをもたらすためである。
【0032】
光軸の縦方向「L」に沿って、当該モジュールは後ろから前へと、一次光源のマトリクス16、次に一次光学素子10、次にフィールド補正光学素子20、そして投射用光学部品30を含んでいる。そのマトリクス16の各一次光源は、ここでは発光ダイオードによって形成されており、それぞれの発光ダイオードが、光軸と直交する共通発光面から一次基本ビームを放出することができる。また一次光学素子10は、放出された光線の分布を修正するために、発光ダイオード12のマトリクス16に続いて配置されている。フィールド補正光学素子は、一次光学素子から投射用光学部品30へと出力される光線の経路を補正するように企図されている。それは、アダプティブ最終光ビーム全体の無限遠への明瞭な投射を達成するためである。
【0033】
縦方向「L」と直行する平面内にあるマトリクス16には、ここでは17個の発光ダイオード12の横方向の列が2列、備え付けられている。それらの列は、プリント回路基板15の前面によって支持され、
図2に見得るように上下に並んで配置されている。各発光ダイオード12は、制御電子機器やプリント回路基板15を通じて個別に制御され得る。アダプティブ・ビーム(即ち、内部に暗い区域を含んだ全体的な光ビーム)を作り出すために、発光ダイオード12の横方向の各列は、少なくとも1組の連続した点灯ダイオードと、少なくとも1つの消灯ダイオード、ないしは少なくとも1組の連続した消灯ダイオードとを形成するように制御され得る。
【0034】
一次光学素子10はこの場合、複数のライトガイド11から形成されて一次光源のマトリクス16の方を向いた後方第1部分17と、レンズL1を形成するよう、二次光源によって放出された光ビームを成形するための前方第2部分18とを含んでいる。
【0035】
一次光学素子の後方第1部分17においては、各発光ダイオード12に面して1つのライトガイド11が配置され、その結果(図示の実施形態では)2列のライトガイドが上下に並んで配列されている。但し、本発明の筋道から逸脱することなく、異なる数の列、例えば単一列のダイオードおよびライトガイドや、3列を備えた系があり得るであろう、ということを理解されたい。各ライトガイド11は、入光面13から縦方向主軸線に沿って伸びている。その入光面13は、対応する発光ダイオード12に面して配置されている。それは、各ダイオード12によって放出された光線の大部分が、関連したライトガイド11内へと進入して、前端面、即ち光線のための出光面14へと通過するようにである。各ライトガイド11は、入光面13を通じて進入した光線を、連続的な内部反射を介して、出光面14へと案内するように設計されている。
【0036】
出光面14を通じて出て行く光は、前方第2部分18内へと現れる。その第2部分18は、光線をフィールド補正光学素子20を介して投射用光学部品30の方へ向ける目的でそれらの光線を成形するためのレンズL1を形成している。前方第2部分18によって形成されたレンズL1は、ここでは各ライトガイド11の直接的な延長部分に置かれている。各ライトガイド11と前方第2部分18とは、単一品の一次光学素子を形成するために、一体的に形成されて同じ材料で出来ている。その結果、ライトガイドの出光面14によって付与された光線の形状が、二次光源を生成する。図示例においては、ライトガイドの出光面14同士で、各列17個の二次光源の2列のマトリクスを形成する。
【0037】
フィールド補正光学素子20は、ここでは入光面21と出光面22とを備えたレンズの形状を有している。その入光面21を通じて、各ダイオードによって放出された光線が進入するが、その面は、一次光学素子10に面して配置され、凹形になっている。また、その出光面22を通じて、これらの補正された光線が出て行くが、その面は、投射用光学部品30に面して配置され、凸形になっている。
【0038】
本発明によれば、レンズL2の面21,22(即ち、凹形入光面と凸形出光面)の少なくとも一方の一部分が、それぞれ反射防止膜AR1,AR2で覆われている。それらの反射防止膜AR1,AR2は、一次光学素子10のレンズL1から到来する、点灯した各発光ダイオード12によって最初に放出された入射光線の透過率を増大させることのできるものである。
【0039】
ここで、フィールド補正光学素子と、このフィールド補正光学素子(特に、各光源によって放出された光線がこれを通じて当該フィールド補正光学素子内へと入るところの、その入光面)を少なくとも部分的に覆うように設けられた反射防止膜とを、より詳細に説明することとする。
【0040】
図2は、一次光学素子10の一部を断面で描いており、2つの発光ダイオード(模式的に示す)に面するよう上下に並べて配置された2つのライトガイドと、本発明によるフィールド補正光学素子20を形成するレンズL2の一部分とが見られることを可能としている。
【0041】
図示例においては、これを通じて光線が進入するところの入光面21上に第1反射防止膜層AR1が部分的に成膜され、これを通じて入射光線が出て行くところの出光面22上に第2反射防止膜層AR2が部分的に成膜されている。これらの膜層の厚さは、ここでは図で分かることを可能とするために誇張されている、ということを理解されたい。
【0042】
上記で明示されてきたであろうように、これらの膜層はそれぞれ、少なくとも1つの入射光線の透過率を増大させる効果を有している。かくして、光線の入光面21によって一次光学素子の方向へ横方向のずれを伴って(ある二次光源から発せられた光線が、隣り合う二次光源に充てられた区域内へと折り返し通過するように)反射されることを免れない光線の量が、従って、消灯された光源同士によって形成される暗い区域の明瞭性を低下させることを免れない光線の量が減少するのである。
【0043】
フィールド補正光学素子を形成するレンズL2における少なくとも1つの面21,22上の反射防止膜区域AR1,AR2の画定は、一次光学素子10の、より特定的には、関連した発光ダイオード12の縦方向の真向かいに近接して定置された入光面13と、二次光源を形成する出光面14とを含んだ少なくとも1つのライトガイド11の構成次第である。特に、このレンズL2の面21,22における反射防止膜AR1,AR2によって覆われる部分の最小面積(S)は、ライトガイド11の入光面13とレンズL2の当該の面21,22との間の距離(D)、当該ライトガイド11の長さ(d)(即ち、その入光面13と出光面14との間の縦方向寸法)、および出光面14の(画定が望まれる最小膜面積の寸法での)垂直方向ないし横方向寸法によって左右される。
【0044】
例として
図2では、反射防止膜区域AR1,AR2の高さH1および高さH2(即ち、光軸に垂直な第1方向の寸法であって、ここでは
図2に示す座標系によって定義される垂直方向の寸法)を画定するのに考慮されるべき各寸法が示されている。上述したように、ライトガイドの入光面と被覆すべき面との間の距離(D)、およびライトガイドの長さ(d)が、数式:
H1=D1*H/d
H2=D2*H/d
を用いて、それらの高さを計算するのに用いられる。ここでHは、当該のライトガイド11の出光面14の高さ(即ち、垂直方向寸法と密接に関係した寸法)である。
【0045】
フィールド補正光学素子を形成するレンズL2の一方および/または他方の面を、少なくともこの高さH1,H2に渡って覆うように反射防止膜を設置することが必要である。かくして、最小限の量の反射防止膜を用いて、最終製品を得るためのコストを制限することが可能となるであろう。もちろん、対応する面を完全に覆う場合には被覆範囲を作り出すのに用いるプロセスがより容易となるのであれば、被覆範囲をその厳密な最小限にまでは限定しようとしないことが有利である。
【0046】
本発明によれば、フィールド補正光学素子20の少なくとも1つの面、より特定的には少なくとも一次光学素子10に直に面した凹形入光面21が、反射防止膜を含んでいる。或いは、この凹形入光面21の少なくとも一部分を単一の反射防止区域AR1が覆うことへの備えがなされるであろう。
【0047】
本発明の好適な一実施形態によれば、反射防止膜(AR1およびAR2)が、フィールド補正光学レンズL2の凹形入光面21の少なくとも一部分と、凸形出光面22の少なくとも一部分とをそれぞれ覆っている。
【0048】
この少なくとも1つの反射防止膜層の存在によって、フィールド補正光学素子を形成するレンズL2の屈折面を通る光線の、97%から99%の間に含まれる透過率を得ることが可能となる。この垂直入射にて計測された透過率の(ポリカーボネート製の屈折面について同等のやり方で計測された95%の標準透過率に対しての)増大によって、一次光学素子に向かって転向される光線の量、従って投射された全体的な光ビームにおける暗い区域と明るい区域との間のコントラストの明瞭性を低下させ得る光線の量を、徹底的に減少させることが可能となる。
【0049】
ここで、フィールド補正光学素子を形成するレンズL2の一方および/または他方の面上で用いられる反射防止膜の型式を、より詳細に説明することとする。反射防止膜に用いられる材料は、光源によって用いられる波長の範囲内で透明でなければならない、ということに留意されたい。
【0050】
レンズL2の各面の反射防止膜は、多層膜や単層膜であってよい。
【0051】
単層反射防止膜ARの場合、用いられる低屈折率材料は特に、550nmの波長を中心とする屈折率n=1.36に対して101nmの最小厚さ(e)のフッ化マグネシウム単層MgF2から成っていてよい。既知の屈折率についてフィルタの中心位置を変更することが望まれるとしても、成膜される層の厚さを変えることで足りる。反対に、膜の厚さを変更することによって、反射防止の中心位置をずらすことが可能となり得る(厚さを増すことは、中心位置を赤色の方へずらすことに繋がり、この厚さを減らすことは、この中心位置を青色の方へとずらすのである)。
【0052】
例として、異なる性質および屈折率の少なくとも2つの要素をそれぞれ含む複数のハイブリッド粒子が内部に分散されたハイブリッド単層を設けることも可能である。この場合、各ハイブリッド粒子は、膜層を形成する屈折率n2の第2要素によって取り囲まれた屈折率n1の第1要素から成っており、第1および第2要素は或いはポリマーおよび/または無機質および/または有機質である。第1要素は、少なくとも1つの無機アルコキシドで作られているのが好ましい。
【0053】
多層反射防止膜の場合には、異なる屈折率の少なくとも2つの層から成っていて、屈折率に応じた層の厚さになっている膜が、或いは好ましいであろう。多層膜は、高屈折率材料の少なくとも1つの層と、低屈折率材料の少なくとも1つの層との交互配置で構成されているのが好ましい。
【0054】
低屈折率材料の中では、550nmの波長で1.6より低い屈折率を有した材料、例えば、単独ないしは混合して用いられるSiO2、MgF2、LiF、CaF2、NaF、ZrF4、AlF3、Na5Al3F14、およびNa3AlF6などが好ましいであろう。高屈折率材料の中では、550nmの波長で1.7より高い屈折率を有した材料、例えば、単独ないしは混合して用いられるZrO2、TiO2、Ta2O5、Na2O5、SnO2、ZnO、ZnS、HfO2、Pr2O3、PrTiO3、La2O3、Dy2O5、In2O3、Nb2O5、Yb2O3、Si3N4、およびAlNなどが好ましいであろう。
【0055】
反射防止膜の性質(単層、多層)および組成(可視領域で透明な材料の選択)は特に、フィールド補正光学レンズL2の少なくとも1つの面21,22によって形成される基板上で表面処理を行うべく採用される成膜技術によって左右される。
【0056】
ここで、本発明によるフィールド補正光学素子を形成するレンズL2を製造するためのプロセス(これは、反射防止膜ARを付着させる少なくとも1つの段階を含んでいる)を説明することとする。
【0057】
このプロセスの第1実施形態において、当該付着させる段階は、真空プロセス、好ましくは物理蒸着法(PVD)を用いて、少なくとも1つの反射防止膜ARを成膜することにある。それは、反射防止膜材料が基板の方向へ蒸発して、その基板の表面上で凝縮して所望の層を形成するよう、当該材料を加熱することに本質のある蒸発法に基づいている。
【0058】
PVD作業工程で得られる単層反射防止膜ARの場合、内部の圧力が10-4mbarの真空室内で低屈折率材料、好ましくはフッ化マグネシウムMgF2(屈折率1.36)が成膜される。真空室内での熱蒸発というのは、モリブデン坩堝内に置かれた材料が、タングステン・フィラメントを用いて、その蒸発温度まで加熱されることである。そして材料が、基板(ここではレンズL2の入光面および/または出光面)上に単層で成膜される。層の厚さは、水晶振動子バランス法によって連続的に計測される。それは、所望の波長を中心とした単層反射防止膜を得るのに必要な厚さに達したときに成膜を停止させるようにである。例として、反射防止膜は550nmを中心としたMgF2の単層であってよい。最小の反射は四分の一波長にて達成され、550nmにおける1.36の屈折率で必要な厚さの値は101nmである。
【0059】
十分な厚さの層が得られるのであれば、多層反射防止膜の場合に同じ型式のプロセスを用いてもよく、使用される種々の材料が連続して蒸発させられる。
【0060】
このプロセスの第2実施形態において、当該付着させる段階は、いわゆるゾルゲル法と、大気圧にて室温で実施される湿式成膜技術とを用いて、少なくとも1つの反射防止膜層ARを成膜することにある。その技術は、浸漬塗布成膜技術、回転塗布成膜技術、吹付塗布成膜技術、或いは層流塗布技術であってよい。
【0061】
浸漬塗布成膜技術が或いは特に好ましいであろうが、この技術は、フィールド補正光学素子を形成するレンズをゾルゲル溶液内に浸してから、この基板を一定速度で取り出すことにある。この技術は、基板を形成するレンズL2の各面21,22上に膜層を同時に成膜するという利点を有している。この浸漬塗布成膜技術によってハイブリッド反射防止膜単層を得ることが可能となるが、その厚さは反射防止に望まれる中心位置に応じて変化し得る。特に、得られるハイブリッド単層が1.32から1.36の間に含まれる屈折率を有している場合、その厚さは、550nmの中心位置について、101から110nmの間に含まれ得る。より一般的には或いは、例として10ナノメートルから10ミクロンの間に含まれる膜厚への備えがなされるであろう。
【0062】
本発明の好適な一実施形態においては、浸漬塗布成膜段階が、20から25℃の室温において、22℃で30から60%の相対湿度の下で実行される。これらの条件下では、推奨される取出しの速度が1.6mm/sである。反射防止膜で覆われた基板は、ゲル化の後で、乾燥用熱処理を受けるためにオーブン内に(好ましくは、90℃で2時間)置かれるのが有利である。
【0063】
フィールド補正光学素子を形成するレンズL2の少なくとも1つの面に対する反射防止膜ARの付着は、所与の波長450nmおよび/または550nmについて、透過されない光の量を少なくとも半分だけ減少させる効果を有している。
【0064】
以上の記述は、本発明が如何にして、自らについて設定されていた諸目的を達成することを可能とし、特に、アダプティブ・ビームを形成するように構成された発光モジュールにおける、反射防止膜で覆われたフィールド補正光学レンズを提供することを可能とするかを、明確に説明している。そのレンズは特に、光源に面して配置される面の凹形が、点灯光源に対応する区域によって放出された光線の、消灯光源に対応する区域の方への転向に伴う問題を生じさせるレンズなのである。
【0065】
或いは上述したように、諸変形例が可能であって、本発明は、非限定的な例としてこの文書で具体的に与えられた諸実施形態に限定されるものではなく、特に如何なる等価な手段や、これらの手段同士の技術的に採用可能な如何なる組合せをも包含するものである。