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特許7134767表示器、表示器の制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】表示器、表示器の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04842 20220101AFI20220905BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20220905BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/0488
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018139779
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020017084
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大金 勝一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229224(JP,A)
【文献】特開2010-271982(JP,A)
【文献】特開2009-026155(JP,A)
【文献】特開2015-069487(JP,A)
【文献】特開2019-028720(JP,A)
【文献】特開2003-132361(JP,A)
【文献】特開2010-198433(JP,A)
【文献】特開2016-177326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G01D 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能な複数のオブジェクトを表示領域に表示する表示部と、
前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする制御部と、を備え、
前記制御部は、一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替え
前記制御部は、
前記選択可能な複数のオブジェクトの優先順位を管理する第1のリストを作成するとともに、前記選択操作が行われるたびに、前記選択操作により指定された操作点の周辺の選択候補オブジェクトを抽出した第2のリストを作成し、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致する場合、前記第2のリストの先頭から2番目のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて前記第2のリストの末尾のオブジェクトの直後に位置するように、前記第1のリストを更新し、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致しない場合、前記第2のリストの先頭のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて先頭から2番目に位置するように、前記第1のリストを更新し、
前記複数の選択候補オブジェクトの中で更新後の前記第1のリストに保持される優先順位が最も高いオブジェクトを前記選択状態とすることを特徴とする表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の表示器において、
前記制御部は、前記複数のオブジェクトを複数のグループにグループ化し、前記複数の選択候補オブジェクトのうち、同一のグループに属するオブジェクトの中で、前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替えることを特徴とする表示器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示器において、
前記制御部は、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報を前記表示部に表示することを特徴とする表示器。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の表示器において、
前記制御部は、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報をバルーン表示形式で表示することを特徴とする表示器。
【請求項5】
請求項またはに記載の表示器において、
前記制御部は、前記選択候補オブジェクトが1つしか存在せず、該選択候補オブジェクトを選択状態とした場合、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報を前記表示部に表示しないことを特徴とする表示器。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の表示器において、
前記制御部は、前記複数の選択候補オブジェクトのうち、前記選択状態としたオブジェクト以外の選択候補オブジェクトそれぞれに関する情報を前記表示部に表示することを特徴とする表示器。
【請求項7】
表示部を備えた表示器により実行される制御方法であって、
選択可能な複数のオブジェクトを前記表示部の表示領域に表示する表示ステップと、
前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする選択ステップと、を含み、
前記選択ステップでは、一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替え、
前記選択可能な複数のオブジェクトの優先順位を管理する第1のリストを作成するとともに、前記選択操作が行われるたびに、前記選択操作により指定された操作点の周辺の選択候補オブジェクトを抽出した第2のリストを作成し、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致する場合、前記第2のリストの先頭から2番目のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて前記第2のリストの末尾のオブジェクトの直後に位置するように、前記第1のリストを更新し、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致しない場合、前記第2のリストの先頭のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて先頭から2番目に位置するように、前記第1のリストを更新し、
前記複数の選択候補オブジェクトの中で更新後の前記第1のリストに保持される優先順位が最も高いオブジェクトを前記選択状態とすることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
表示部を備えた表示器内のコンピュータに、
選択可能な複数のオブジェクトを前記表示部の表示領域に表示する処理と、
前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする処理と、
一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替える処理と、を実行させ、
前記選択可能な複数のオブジェクトの優先順位を管理する第1のリストを作成させるとともに、前記選択操作が行われるたびに、前記選択操作により指定された操作点の周辺の選択候補オブジェクトを抽出した第2のリストを作成させ、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致する場合、前記第2のリストの先頭から2番目のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて前記第2のリストの末尾のオブジェクトの直後に位置するように、前記第1のリストを更新させ、
前記第1のリストの先頭のオブジェクトと前記第2のリストの先頭のオブジェクトとが一致しない場合、前記第2のリストの先頭のオブジェクトが前記第1のリストの先頭に位置し、前記第1のリストの先頭のオブジェクトが、前記第1のリストにおいて先頭から2番目に位置するように、前記第1のリストを更新させ、
前記複数の選択候補オブジェクトの中で更新後の前記第1のリストに保持される優先順位が最も高いオブジェクトを前記選択状態とさせることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示器、表示器の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧波形を測定する波形測定器などの測定器には、測定結果などを表示するために、表示部を備える表示器が搭載されることがある。例えば、特許文献1には、複数のオブジェクトを表示部に表示し、表示部に表示されたオブジェクトをユーザが選択可能な測定器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4968587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような表示部に表示されたオブジェクトをユーザが選択可能な表示器においては、所望のオブジェクトの選択を簡易化することが有益である。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、所望のオブジェクトの選択を簡易化することができる表示器、表示器の制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る表示器は、選択可能な複数のオブジェクトを表示領域に表示する表示部と、前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする制御部と、を備え、前記制御部は、一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記選択操作ごとに、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを切り替える。
このような構成を有する表示器によれば、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、所望のオブジェクト以外のオブジェクトを移動させることなく、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返すだけで、簡易に所望のオブジェクトを選択することができる。
【0007】
一実施形態において、前記制御部は、前記選択可能な複数のオブジェクトの優先順位を管理する第1のリストと、前記選択操作により指定された操作点の周辺の選択候補オブジェクトを抽出した第2のリストとを作成し、前記作成した第2のリストに基づき、前記第1のリストを更新し、前記複数の選択候補オブジェクトの中で更新後の前記第1のリストに保持される優先順位が最も高いオブジェクトを前記選択状態とする。
このような構成により、選択操作ごとに、第1のリストを更新し、選択状態とするオブジェクトを切り替えることができる。
【0008】
一実施形態において、前記制御部は、前記複数のオブジェクトを複数のグループにグループ化し、前記複数の選択候補オブジェクトのうち、同一のグループに属するオブジェクトの中で、前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替える。
このような構成により、同じグループに属するオブジェクトの中で、選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替えることができる。
【0009】
一実施形態において、前記制御部は、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報を前記表示部に表示する。
このような構成により、選択状態のオブジェクトをユーザが容易に把握することができる。
【0010】
一実施形態において、 前記制御部は、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報をバルーン表示形式で表示する。
このような構成により、選択状態のオブジェクトを容易に把握することができる。
【0011】
一実施形態において、前記制御部は、前記選択候補オブジェクトが1つしか存在せず、該選択候補オブジェクトを選択状態とした場合、前記選択状態としたオブジェクトに関する情報を前記表示部に表示しない。
このような構成により、選択操作により指定された操作点の周辺に1つしかオブジェクトが存在せず、そのオブジェクトが選択されたことが容易に把握することができる場合に、選択状態としたオブジェクトに関する情報を表示することによる操作性および視認性の低下を防ぐことができる。
【0012】
一実施形態において、前記制御部は、前記複数の選択候補オブジェクトのうち、前記選択状態としたオブジェクト以外の選択候補オブジェクトそれぞれに関する情報を前記表示部に表示する。
このような構成により、所望のオブジェクトが選択操作の繰り返しにより選択状態となるオブジェクトの対象になっているか否かをユーザが把握することができる。
【0013】
幾つかの実施形態に係る表示器により実行される制御方法は、表示部を備えた表示器の制御方法であって、選択可能な複数のオブジェクトを前記表示部の表示領域に表示する表示ステップと、前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする選択ステップと、を含み、前記選択ステップでは、一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替える。
このような構成を有する制御方法によれば、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、所望のオブジェクト以外のオブジェクトを移動させることなく、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返すだけで、簡易に所望のオブジェクトを選択することができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、表示部を備えた表示器内のコンピュータに、選択可能な複数のオブジェクトを前記表示部の表示領域に表示する処理と、前記表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された前記表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする処理と、一の操作点または該操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、該操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、前記複数の選択候補オブジェクトの中で前記選択状態とするオブジェクトを、前記選択操作ごとに切り替える処理と、を実行させる。
このような構成を有するプログラムによれば、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、所望のオブジェクト以外のオブジェクトを移動させることなく、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返すだけで、簡易に所望のオブジェクトを選択することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る表示器、表示器の制御方法およびプログラムによれば、所望のオブジェクトの選択を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る表示器を含む測定器の概略構成を示す図である。
図2図1に示す表示部の表示例を示す図である。
図3A図1に示す表示部に表示されたオブジェクトの選択による操作について説明するための図である。
図3B図1に示す表示部に表示されたオブジェクトの選択による操作について説明するための図である。
図4図1に示す表示器の制御方法を説明するための図である。
図5図1に示す制御部が保持するマスターリストおよびヒットリストの遷移について説明するための図である。
図6図1に示す表示器の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図7図1に示す表示部における選択状態のオブジェクトの表示例を示す図である。
図8図1に示す制御部による複数のオブジェクトのグループ化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態に係る表示器10を含む測定器1の概略構成を示す図である。本実施形態に係る表示器10は、波形測定器などの測定器1に搭載され、種々のオブジェクトなどを表示するとともに、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作に応じて、表示されたオブジェクトを選択状態とするものである。表示器10は、測定器1以外の電子機器に搭載されてもよい。以下では、測定器1は、波形測定器であるとして説明する。
【0019】
図1に示す測定器1は、表示部11と、入力部12と、データアクイジションシステム13と、制御部14とを備える。表示部11、入力部12および制御部14は、表示器10を構成する。
【0020】
表示部11は、後述するデータアクイジションシステム13および制御部14から出力された表示データに基づき、選択可能な複数のオブジェクトを含む画像を表示領域に表示する。オブジェクトとは、表示部11に表示される画像を構成する各種の要素である。
【0021】
入力部12は、ユーザによる操作入力を受け付ける。入力部12は、例えば、マウス、キーボードなどである。また、入力部12は、表示部11の表示面上にタッチセンサのタッチ面を配置したタッチパネルとして構成されてもよい。入力部12は、例えば、表示部11の表示領域に表示されたオブジェクトを選択するための選択操作を受け付ける。選択操作は、所望のオブジェクトに対応する表示領域上の操作点を指定する操作である。入力部12がマウスである場合には、選択操作は、例えば、表示部11に表示されたカーソルを表示領域の上の任意の地点まで移動させ、その地点でクリックする操作である。また、入力部12がタッチパネルである場合には、遠隔操作は、例えば、タッチパネル上の任意の地点を指またはスタイラスペンなどの入力手段でタッチする操作である。入力部12は、操作入力に応じた信号を制御部14に出力する。例えば、入力部12は、選択操作により指定された操作点の位置の座標情報を制御部14に出力する。
【0022】
データアクイジションシステム13は、測定器1で測定された波形が入力端子CH1,CH2を介して入力される。データアクイジションシステム13は、入力された波形をA/D変換した後、入力波形を示す表示データを作成し、表示部11に出力する。なお、図1においては、データアクイジションシステム13が2チャンネル分の波形の測定結果を取得する例を示しているが、データアクイジションシステム13は、1チャンネルあるいは3チャンネル以上の波形の測定結果を取得してもよい。
【0023】
制御部14は、例えば、マイクロコンピュータにより構成され、表示器10全体の動作を制御する。制御部14は、表示部11の表示領域上に表示する種々のオブジェクトの表示データを作成し、表示部11に出力する。例えば、制御部14は、カーソル、および、表示部11に表示された波形を拡大するためのズームボックスなどの種々のオブジェクトの表示データを作成し、表示部11に出力する。
【0024】
また、制御部14は、入力部12を介した操作入力による各種パラメータの変更などに応じて、データアクイジションシステム13が表示部11に表示する波形の取り込み位置、レンジなどを変更する。
【0025】
また、制御部14は、表示部11の表示領域に表示されている選択可能な複数のオブジェクトのうち、ユーザによる選択操作により指定された表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする。すなわち、制御部14は、選択操作により指定された表示領域上の操作点の位置情報が入力部12から出力されると、その操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする。ここで、制御部14は、一の操作点またはその操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、その操作点の周辺に複数のオブジェクト(以下、「選択候補オブジェクト」と称する)が存在する場合、複数の選択候補オブジェクトの中で選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替える。制御部14は、マスターリストおよびヒットリストを保持しており、これらのリストを用いて、選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替える。制御部14によるオブジェクトの選択の詳細については後述する。
【0026】
図2は、表示部11の表示例を示す図である。
【0027】
図2に示す表示例においては、表示部11の表示領域が、メインウィンドウ20と、ズームウインドウ21と、メニューウィンドウ22とに分けられている。メインウィンドウ20は、入力端子CH1,CH2を介して入力された波形などを示す領域である。ズームウインドウ21は、メインウィンドウ20に表示された波形の一部を拡大して表示する領域である。メニューウィンドウ22は、種々の設定を行うためのメニューおよびダイアログボックスなどが表示される領域である。
【0028】
メインウィンドウ20には、CH1波形201、CH2波形202、ズームボックス203、パラメータ204、第1カーソル205、第2カーソル206、トリガレベル207、トリガポジション208、CH1ポジション209およびCH2ポジション210などのオブジェクトが含まれる。また、ズームウインドウ21には、CH1波形201、CH2波形202、第1カーソル205、第2カーソル206、トリガレベル207、CH1ポジション209およびCH2ポジション210などのオブジェクトが含まれる。
【0029】
CH1波形201は、入力端子CH1を介して入力された波形を示すオブジェクトである。CH2波形202は、入力端子CH2を介して入力された波形を示すオブジェクトである。
【0030】
ズームボックス203は、ズームウインドウ21に波形を拡大して表示する時間領域を指定するためのオブジェクトである。パラメータ204は、ある時刻およびその時刻での入力端子CH1,CH2を介して入力された波形の値(電圧値)を示すオブジェクトである。
【0031】
第1カーソル205は、入力端子CH1を介して入力された波形の値を取得する時刻を指定するためのオブジェクトである。第2カーソル206は、入力端子CH2を介して入力された波形の値を取得する時刻を指定するためのオブジェクトである。
【0032】
トリガレベル207は、波形の取り込みのトリガとなる波形の立ち上がりあるいは立ち下がりの判定の基準となる値を指定するためのオブジェクトである。トリガポジション208は、波形の取り込みのトリガがかかった時点の表示領域上での表示位置を指定するためのオブジェクトである。
【0033】
CH1ポジション209は、入力端子CH1を介して入力された波形のグランドレベルを指定するためのオブジェクトである。CH2ポジション210は、入力端子CH2を介して入力された波形のグランドレベルを指定するためのオブジェクトである。
【0034】
ユーザは、上述した各種のオブジェクトを選択し、移動させるなどすることで、そのオブジェクトに対応する設定値を変更するなどの各種操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、選択操作により表示領域上の操作点を指定して、操作点に対応するオブジェクトを選択することで、各種操作を行うことができる。図2を参照して説明したように、表示部11の表示領域には多数のオブジェクトが表示されており、複数のオブジェクトが密集している部分も存在する。このような部分では、ユーザが選択操作により所望のオブジェクトに対応する操作点を指定したつもりでも、所望のオブジェクトの周辺の別のオブジェクトが選択されてしまうことがある。また、複数のオブジェクトが密集している部分では、どのオブジェクトが選択されているか分かりにくいことがある。このように、複数の選択可能なオブジェクトが表示部11の表示領域に表示されている場合に、ユーザが所望のオブジェクトを簡易に選択することができない場合がある。
【0035】
ユーザが所望するオブジェクトとは異なるオブジェクトが選択される例について、図3A,3Bを参照して説明する。図3A,3Bにおいては、入力部12がタッチパネルであるとする。この場合、オブジェクトが表示された領域へのタッチ操作により、そのオブジェクトが選択される。また、図3A,3Bにおいては、表示部11の表示領域のうち、メインウィンドウ20だけを切り出して示している。
【0036】
例えば、図3Aに示すように、ユーザは、ズームボックス203を選択し、位置Aから位置Bに移動させようとしたとする。ここで、ズームボックス203と第1カーソル205とは密接して表示されているため、ユーザがズームボックス203を選択するために、ズームボックス203に対するタッチ操作を行ったつもりでも、実際には、図3Bに示すように、第1カーソル205が選択され、移動してしまうといった、ユーザの意図とは異なる操作が行われてしまうことがある。そのため、例えば、所望のオブジェクトの周辺のオブジェクトを他の位置に一旦移動させ、その後、所望のオブジェクトを選択して所望の操作を行い、その後、移動させたオブジェクトを元の位置に戻すといった煩雑な操作を行う必要があった。
【0037】
そこで、本実施形態に係る表示器10においては、制御部14は、一の操作点またはその操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、その操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、複数の選択候補オブジェクトの中で選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替える。こうすることで、ユーザは、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返すだけで、所望のオブジェクトを選択状態とすることができるので、容易に所望のオブジェクトを選択することができる。
【0038】
以下では、本実施形態における制御部14によるオブジェクトの選択について、より詳細に説明する。なお、以下では、図4に示す表示領域上の地点Xおよび地点Yを指定する選択操作が行われる例について説明する。地点Xの周辺には、CH1波形201、CH2波形202、ズームボックス203および第1カーソル205が表示されているとする。また、地点Yの周辺には、ズームボックス203および第2カーソル206が表示されているとする。したがって、これらの地点が選択操作により指定されても、ユーザが所望するオブジェクトが選択されるとは限らない。
【0039】
上述したように、制御部14は、マスターリストと、ヒットリストとを保持する。マスターリストおよびヒットリストについて、図5を参照して説明する。
【0040】
第1のリストとしてのマスターリストは、選択可能な全てのオブジェクトの優先順位を管理するリストである。なお、図5においては、簡略化のため、地点Xおよび地点Yの周辺に表示されているオブジェクト(CH1波形201、CH2波形202、ズームボックス203、第1カーソル205および第2カーソル206)だけを記載している。マスターリストの上位のオブジェクト程、優先度が高く、すなわち、選択されやすい。制御部14は、システムの起動時にマスターリストを作成し、システムが終了するまでマスターリストを保持する。制御部14は、選択操作が行われるたびに、マスターリストを更新する。
【0041】
第2のリストとしてのヒットリストは、選択操作により指定された操作点の周辺の選択候補オブジェクトのリストである。選択候補オブジェクトは、例えば、操作点から所定の範囲内に含まれるオブジェクトである。制御部14は、選択操作が行われるたびにヒットリストを作成する。制御部14は、マスターリストで管理されているオブジェクトの優先順位に従い、ヒットリストにおける選択候補オブジェクトの並び順を決定する。制御部14は、ヒットリストに基づきマスターリストを更新した後、ヒットリストを削除する。
【0042】
次に、本実施形態に係る表示器10の制御方法について、制御部14の動作を中心に、図6に示すフローチャートを参照して説明する。また、マスターリストおよびヒットリストの選択操作に応じた遷移について、図5を参照して説明する。なお、以下では、表示領域上の地点Xを指定する選択操作が2回行われ、その後、地点Yを指定する選択操作が2回行われる場合を例として説明する。
【0043】
初期状態では、制御部14は、複数のオブジェクトが所定の順に並んだマスターリストを保持している。ここでは、マスターリストにおいて、複数のオブジェクトが、「第1カーソル」、「第2カーソル」、「ズームボックス」、「CH1波形」、「CH2波形」の順に並んでいるとする(図5の「初期状態」を参照)。
【0044】
制御部14は、選択操作が行われると、選択操作により指定された操作点の周辺のオブジェクト(選択候補オブジェクト)を検索し、操作点の周辺の選択候補オブジェクトを抽出したヒットリストを作成する(ステップS11)。制御部14は、例えば、操作点から所定の範囲内にあるオブジェクトを選択候補オブジェクトとして抽出する。地点Xを指定するタッチ操作が行われると、制御部14は、地点Xの周辺のCH1波形201、CH2波形202、ズームボックス203および第1カーソル205を含むヒットリストを作成する。すなわち、制御部14は、アイテム数が4のヒットリストを作成する。ヒットリストにおけるオブジェクトの並び順は、マスターリストの優先順位が高い順である。初期状態のマスターリストでは、複数のオブジェクトが「第1カーソル」、「第2カーソル」、「ズームボックス」、「CH1波形」、「CH2波形」の順に並んでいる。そのため、ヒットリストにおけるオブジェクトの並び順は、「第1カーソル」、「ズームボックス」、「CH1波形」、「CH2波形」の順となる(図5の「1回目:X」を参照)。
【0045】
次に、制御部14は、ヒットリストが空か否か、すなわち、ヒットリストのアイテム数が0か否かを判定する(ステップS12)。
【0046】
ヒットリストが空であると判定した場合には(ステップS12:Yes)、制御部14は、処理を終了する。
【0047】
ヒットリストが空でないと判定した場合には(ステップS12:No)、制御部14は、ヒットリストのアイテム数が1であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0048】
ヒットリストのアイテム数が1であると判定した場合には(ステップS13:Yes)、制御部14は、後述するステップS17の処理に進む。
【0049】
ヒットリストのアイテム数が1でないと判定した場合には(ステップS13:No)、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致するか否かを判定する(ステップS14)。マスターリストの先頭アイテムは「第1カーソル」であり(図5の「初期状態」を参照)、ヒットリストの先頭アイテムは「第1のカーソル」である(図5の「1回目:X」を参照)。したがって、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致すると判定する。
【0050】
ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致すると判定した場合には(ステップS14:Yes)、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムをヒットリストの2番目のアイテムと一致させる。また、制御部14は、旧先頭アイテム(マスターリストにおける直前の先頭アイテム)を、マスターリストにおいて、ヒットリストの末尾のアイテムの直後に移動させる。例えば、図5の「1回目:X」において、ヒットリストの2番目のアイテムは「ズームボックス」である。したがって、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムを「ズームボックス」とする。また、制御部14は、マスターリストの旧先頭アイテムである「第1カーソル」を、ヒットリストの末尾のアイテム「CH2波形」の直後に移動させる。その結果、1回目の選択操作により、マスターリストは、「ズームボックス」、「第2カーソル」、「CH1波形」、「CH2波形」、「第1カーソル」の並び順に更新される(図5の「1回目結果」を参照)。
【0051】
マスターリストの更新後、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムを選択状態とする(ステップS16)。上述したように、マスターリストの先頭アイテムは「ズームボックス」であるため、制御部14は、ズームボックス203を選択状態とする。
【0052】
再び地点Xを指定する選択操作(2回目の選択操作)が行われると、制御部14は、再びヒットリストを作成する。ヒットリストにおけるオブジェクトの並び順は、マスターリストで管理されている優先順位に従い、「ズームボックス」、「CH1波形」、「CH2波形」、「第1カーソル」の順になる(図5の「2回目:X」を参照)。
【0053】
ヒットリストのアイテム数が1以上であるため、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致するか否かを判定する(ステップS14)。マスターリストの先頭アイテムは「ズームボックス」であり(図5の「1回目結果」を参照)、ヒットリストの先頭アイテムは「ズームボックス」である(図5の「2回目:X」を参照)。したがって、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致すると判定する。
【0054】
ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致すると判定した場合(ステップS14:Yes)、制御部14は、ステップS15の処理に進みマスターリストを更新する。具体的には、制御部15は、マスターリストの先頭アイテムをヒットリストの2番目のアイテムである「CH1波形」と一致させ、旧先頭アイテムである「ズームボックス」を、ヒットリストの末尾のアイテム「第1カーソル」の直後に移動させる。その結果、2回目の選択操作により、マスターリストは、「CH1波形」、「第2カーソル」、「CH2波形」、「第1カーソル」、「ズームボックス」の並び順に更新される(図5の「2回目結果」を参照)。
【0055】
マスターリストの更新後、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムであるCH1波形201を選択状態とする。
【0056】
地点Xを指定する2回目の選択操作が行われた後、地点Yを指定する選択操作(3回目の選択操作)が行われると、制御部14は、再びヒットリストを作成する。上述したように、地点Yの周辺には、ズームボックス203および第2カーソル206が表示されている。したがって、制御部14は、「ズームボックス」および「第2カーソル」を含むヒットリストを作成する。ヒットリストにおけるオブジェクトの並び順は、マスターリストで管理されている優先順位に従い、「第2カーソル」、「ズームボックス」の順になる(図5の「3回目:Y」を参照)。
【0057】
ヒットリストのアイテム数が1以上であるため、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致するか否かを判定する(ステップS14)。マスターリストの先頭アイテムは「CH1波形」であり(図5の「2回目結果」を参照)、ヒットリストの先頭アイテムは「第2カーソル」である(図5の「3回目:Y」を参照)。したがって、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致しないと判定する。
【0058】
ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致しないと判定した場合には(ステップS14:No)、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムをヒットリストの先頭アイテムと一致させる。また、制御部14は、先頭アイテムが変更された場合、旧先頭アイテムを2番目に位置させる(ステップS17)。ヒットリストの先頭アイテムは「第2カーソル」である。したがって、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムを、「CH1波形」から「第2のカーソル」に変更する。また、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムが変更されたため、マスターリストの旧先頭アイテムである「CH1波形」を、マスターリストの2番目に移動させる。その結果、3回目の選択操作により、マスターリストは、「第2カーソル」、「CH1波形」、「CH2波形」、「第1カーソル」「ズームボックス」、の並び順に更新される(図5の「3回目結果」を参照)。
【0059】
マスターリストの更新後、制御部14は、マスターリストの先頭アイテムである第2カーソル206を選択状態とする。
【0060】
再び地点Yを指定する選択操作(4回目の選択操作)が行われると、制御部14は、再びヒットリストを作成する。ヒットリストにおけるオブジェクトの並び順は、マスターリストで管理されている優先順位に従い、「第2カーソル」、「ズームボックス」の順になる(図5の「4回目:Y」を参照)。
【0061】
ヒットリストのアイテム数が1以上であるため、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致するか否かを判定する(ステップS14)。マスターリストの先頭アイテムは「第2カーソル」であり(図5の「3回目結果」を参照)、ヒットリストの先頭アイテムは「第2カーソル」である(図5の「4回目:Y」を参照)。したがって、制御部14は、ヒットリストの先頭アイテムとマスターリストの先頭アイテムとが一致すると判定する。以下、上述したステップS15およびS16の処理が行われ、ズームボックス203が選択状態となる。
【0062】
このように、一の操作点(地点X,Y)を指定する選択操作を繰り返すことで、その操作点の周辺に表示されている複数の選択候補オブジェクトの中で選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替えることができる。したがって、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、所望のオブジェクト以外のオブジェクトを移動させることなく、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返することで、所望のオブジェクトを選択状態とすることができる。
【0063】
なお、ヒットリストに抽出されるオブジェクトが変化しない範囲であれば、一の操作点から離れた位置への選択操作が行われても同様に、一の操作点の周辺の選択候補オブジェクトの中で選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替えることができる。すなわち、一の操作点、あるいは、ヒットリストに抽出されるオブジェクトが変化しない範囲での一の操作点の近傍への選択操作であれば、選択操作により指定する操作点は全く同一でなくても、その操作点の周辺の選択候補オブジェクトの中から、選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替えることができる。
【0064】
上述したように、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合、選択状態のオブジェクトが分かりにくいことがある。この場合、図形エディタのように、選択したオブジェクトの輪郭を太くしたり、色を変えたりすることで、選択したオブジェクトを強調するという対策が考えられる。しかしながら、表示器10が測定器1に搭載される場合、このようなオブジェクトの強調を行うと、測定器1の本来の目的である波形観測が阻害されるおそれがある。そのため、図形エディタで使用されるようなオブジェクトを強調する方法は、測定器1への適用を考慮すると、採用することは難しい。波形観測を阻害しない程度にオブジェクトを強調する方法も考えられるが、この方法では、強調されたオブジェクトが目立たず、選択されたオブジェクトが分かりにくいままとなるおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態においては、制御部14は、選択状態としたオブジェクトに関する情報を表示部11に表示してもよい。例えば、制御部14は、図7に示すように、選択状態としたオブジェクト(図7では、第1カーソル205)の名前を、選択状態としたオブジェクトあるいはその近傍にバルーン表示してもよい。こうすることで、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、どのオブジェクトが選択状態であるかをユーザが容易に把握することができる。
【0066】
制御部14は、選択候補オブジェクトが1つしか存在せず、その選択候補オブジェクトを選択状態とした場合には、上述したバルーン表示を行わなくてもよい。選択候補オブジェクトが1つしかない、すなわち、選択操作により指定された操作点の周辺に1つしかオブジェクトが存在しない場合、そのオブジェクトが選択されたことは容易に把握することができる。このような場合にもバルーン表示を行うと、操作性、視認性を損なうことがある。そこで、選択候補オブジェクトが1つしか存在せず、その選択候補オブジェクトを選択状態とした場合には、上述したバルーン表示を行わないことで、操作性、視認性の低下を防ぐことができる。
【0067】
また、制御部14は、複数の選択候補オブジェクトのうち、選択状態としたオブジェクト以外の選択候補オブジェクトそれぞれに関する情報を、例えば、バルーン表示により表示部11に表示してもよい。こうすることで、所望のオブジェクトが、選択操作の繰り返しにより選択状態となるオブジェクトの対象になっているか否かをユーザが把握することができる。また、制御部14は、選択状態としたオブジェクト以外の選択候補オブジェクトそれぞれに関する情報を、各オブジェクトのマスターリストにおける優先順位に従い、異なる態様で表示部11に表示してもよい。こうすることで、ユーザは、選択操作を何回行えば、所望のオブジェクトを選択状態とすることができるかを予測することができる。
【0068】
また、制御部14は、複数のオブジェクトを複数のグループにグループ化し、選択候補オブジェクトのうち、同一のレイヤにグループ化されたオブジェクトの中で、選択状態とするオブジェクトを、選択操作ごとに切り替えてもよい。こうすることで、同じグループに属するオブジェクトの中で、選択状態とするオブジェクトを選択操作ごとに切り替えることができる。
【0069】
例えば、制御部14は、図8に示すように、「Menuグループ」、「アイコングループ」、「カーソルグループ」、「波形グループ」、「その他」という5つのグループを設定し、各オブジェクトをいずれかのグループにグループ分けしてよい。図8の例では、各種設定などを行うための要素(Menuコンポーネント)が「Menuグループ」に含まれる。また、「トリガポジション」、「トリガレベル」、「CH1ポジション」および「CH2ポジション」が「アイコングループ」に属する。また、「第1カーソル」、「第2カーソル」および「ズームボックス」が「カーソルグループ」に属する。また、「CH1波形」および「CH2波形202」が「波形グループ」に属する。また、パラメータ204が「その他」に属する。
【0070】
制御部14は、上述した各グループに優先順位を設定してもよい。この場合、制御部14は、マスターリストを階層化し、各グループを登録する。そして、制御部14は、各グループに属するオブジェクトを子アイテムとしてマスターリストに登録する。制御部14は、例えば、マスターリストの上位に位置するグループほど、優先順位を高くする。そして、制御部14は、例えば、操作点の周辺に異なるグループに属する複数の操作候補オブジェクトが存在する場合、優先順位の高いグループに属する操作候補オブジェクトだけを対象として、選択状態とするオブジェクトを切り替える。例えば、図4に示す地点Xを指定する選択操作が行われた場合、制御部14は、CH1波形201およびCH2波形202が属する「波形グループ」よりも上位のグループに含まれるズームボックス203および第1カーソル205が地点Xの周辺に存在するため、CH1波形201およびCH2波形202についてはヒットリストに加えない。こうすることで、優先順位の高いオブジェクトを優先的に、選択状態とすることができる。
【0071】
このように本実施形態においては、表示器10は、選択可能な複数のオブジェクトを表示領域に表示する表示部11と、表示領域に表示されている複数のオブジェクトのうち、ユーザによるオブジェクトを選択するための選択操作により指定された表示領域上の操作点に対応するオブジェクトを選択状態とする制御部14とを備える。制御部14は、一の操作点またはその操作点の近傍を指定する複数回の選択操作が行われ、その操作点の周辺に複数の選択候補オブジェクトが存在する場合、複数の選択候補オブジェクトの中で選択状態とするオブジェクトを、選択操作ごとに切り替える。
【0072】
こうすることで、複数のオブジェクトが隣接したり、重なっていたりする場合にも、所望のオブジェクト以外のオブジェクトを移動させることなく、所望のオブジェクトあるいはその周辺を指定する選択操作を繰り返することで、所望のオブジェクトを選択状態とすることができる。そのため、所望のオブジェクトの選択の簡易化を図ることができる。
【0073】
以上、表示器10について説明したが、表示器10として機能させるために、コンピュータを好適に用いることが可能である。そのようなコンピュータは、表示器10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0074】
また、プログラムは、コンピュータが読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、フラッシュメモリ(SDカードなど)、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0075】
本開示は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した開示の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 測定器
10 表示器
11 表示部
12 入力部
13 データアクイジションシステム
14 制御部
20 メインウィンドウ
21 ズームウィンドウ
22 メニューウィンドウ
201~210 オブジェクト
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8