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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】基礎パッキン
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20220905BHJP
   E04B 1/72 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
E04B1/64 A
E04B1/72
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018146799
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020020235
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中西 博之
(72)【発明者】
【氏名】市川 真哉
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172181(JP,A)
【文献】特開2004-316173(JP,A)
【文献】特開2013-087491(JP,A)
【文献】特開2007-100307(JP,A)
【文献】特開2013-096221(JP,A)
【文献】特開2017-106260(JP,A)
【文献】特開2002-138588(JP,A)
【文献】特開2016-166500(JP,A)
【文献】実開昭60-055610(JP,U)
【文献】特開2013-029019(JP,A)
【文献】特開2015-017471(JP,A)
【文献】特開2007-120082(JP,A)
【文献】特開2004-124705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周基礎と土台との間に配置される基礎パッキンであって、
一方向に沿って長尺に形成されるとともに、アンカーボルトを挿入可能な複数の孔が前記一方向に並設され、前記土台が載置されるパッキン本体と、
前記パッキン本体の前記一方向と直交する幅方向の両側面のうちの一方の側面からその全長にわたって前記幅方向に突出して形成される蟻返し部とを備えており、
前記蟻返し部は、その下面が前記パッキン本体の下面と面一であるとともに、前記パッキン本体よりも厚みが薄く、且つ前記基礎の上面を覆いつつ当該上面の前記幅方向の端縁よりも突出しており、
前記蟻返し部の前記下面には、前記幅方向において、前記パッキン本体寄りに配置され、且つ、前記一方向に沿って延在する長尺のシール部材が設けられており、
前記シール部材は、その下面が前記蟻返し部の前記下面よりも下方に突出して配置されていることを特徴とする基礎パッキン。
【請求項2】
前記蟻返し部の前記下面には、前記シール部材を配置するための取付溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎パッキン。
【請求項3】
前記シール部材の少なくとも下部は、軟質性又は弾性を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎パッキン。
【請求項4】
前記シール部材の少なくとも下部が、ゲル状体であることを特徴とする請求項3に記載の基礎パッキン。
【請求項5】
前記パッキン本体には、前記一方向の両端面のうちの一端面から前記一方向に突出する連結用第1凸部と、前記両端面のうちの他端面に設けられ、前記連結用第1凸部と嵌合可能な連結用第1凹部とが形成されており、
前記蟻返し部には、前記一方向の両端部のうちの一端部に設けられ前記パッキン本体の前記一端面よりも前記一方向に突出する連結用第2凸部と、当該両端部のうちの他端部に設けられ前記連結用第2凸部と嵌合可能な連結用第2凹部とが形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の基礎パッキン。
【請求項6】
前記蟻返し部上には、前記パッキン本体の前記一方の側面を全長に亘って覆うことが可能な断熱材を収容することが可能な断熱材収容部が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の基礎パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎と土台との間に連続的に配置される基礎パッキンに関し、特にシロアリの侵入を抑制するための蟻返し部付きの基礎パッキンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅などの建物の省エネの観点から、建物の外周の立ち上がり基礎の外側及び内側の少なくともいずれかに板状の断熱材を施工する基礎断熱工法に加え、建物の柱の外側や柱間に外壁断熱材を施工して建物全体を包んで断熱する外張り断熱工法が採用されてきている。このような工法において、基礎と土台との間に配置される基礎パッキンとして、気密タイプの基礎パッキンや、側面に断熱材を取り付けた基礎パッキンを用いることで建物の断熱性を向上させる技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、基礎断熱工法では、床下の換気を遮断するためにシロアリのリスクが高くなる。シロアリの侵入を防ぐための技術として、外周基礎の上面及び基礎断熱材の上面を覆うとともに先端が基礎断熱材の上面の外側端部よりも外側に突出するようにして、板状の蟻返し部材を外周基礎及び基礎断熱材上に接着する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-29019号公報
【文献】特開2017-172181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蟻返し部材は、基礎パッキンとは別部材であり、しかも接着剤を用いて基礎パッキンの側方に配置されて用いられる。このため、部品点数が多くなって施工が煩わしく、コスト高になるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、シロアリの侵入を抑制するとともに、施工性が向上しコストダウンを図ることが可能な基礎パッキンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基礎パッキンは、建物の外周基礎と土台との間に配置される基礎パッキンであって、一方向に沿って長尺に形成されるとともに、アンカーボルトを挿入可能な複数の孔が前記一方向に並設され、前記土台が載置されるパッキン本体と、前記パッキン本体の前記一方向と直交する幅方向の両側面のうちの一方の側面からその全長にわたって前記幅方向に突出して形成される蟻返し部とを備えている。そして、前記蟻返し部は、その下面が前記パッキン本体の下面と面一であるとともに、前記パッキン本体よりも厚みが薄く、且つ前記基礎の上面を覆いつつ当該上面の前記幅方向の端縁よりも突出しており、前記蟻返し部の前記下面には、前記幅方向において、前記パッキン本体寄りに配置され、且つ、前記一方向に沿って延在する長尺のシール部材が設けられており、前記シール部材は、その下面が前記蟻返し部の前記下面よりも下方に突出して配置されている。
【0008】
これによると、基礎パッキンを設けるだけで蟻返し部を配置することが可能となる。このため、基礎パッキンと蟻返し部材とが別部材のものよりも施工性が向上し、コストダウンが図れる。また、基礎パッキンを基礎の上面上に配置したときに、蟻返し部の下面と基礎の上面との間に隙間があってもシール部材によって当該隙間が埋められる。このため、シロアリの侵入を効果的に防ぐことが可能となる。
【0009】
本発明において、前記蟻返し部の前記下面には、前記シール部材を配置するための取付溝が形成されていることが好ましい。これにより、シール部材を蟻返し部に取り付けやすくなる。
【0010】
また、本発明において、前記シール部材の少なくとも下部は、軟質性又は弾性を有していることが好ましい。これにより、基礎の上面の不陸を吸収することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記シール部材の少なくとも下部が、ゲル状体であることが好ましい。これにより、基礎の上面の不陸を効果的に吸収することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記パッキン本体には、前記一方向の両端面のうちの一端面から前記一方向に突出する連結用第1凸部と、前記両端面のうちの他端面に設けられ、前記連結用第1凸部と嵌合可能な連結用第1凹部とが形成されており、前記蟻返し部には、前記一方向の両端部のうちの一端部に設けられ前記パッキン本体の前記一端面よりも前記一方向に突出する連結用第2凸部と、当該両端部のうちの他端部に設けられ前記連結用第2凸部と嵌合可能な連結用第2凹部とが形成されていることが好ましい。これにより、一方向に沿って隣接する基礎パッキン同士を連結したときに、パッキン本体のみならず、蟻返し部同士も連結することが可能となる。このため、一方向に隣接する蟻返し部間の隙間を小さくすることが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記蟻返し部上には、前記パッキン本体の前記一方の側面を全長に亘って覆うことが可能な断熱材を収容することが可能な断熱材収容部が設けられていることが好ましい。これにより、断熱材収容部に断熱材を収容することで、パッキン本体の一方の側面を覆って断熱することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基礎パッキンによると、基礎パッキンを設けるだけで蟻返し部を配置することが可能となる。このため、基礎パッキンと蟻返し部とが別部材のものよりも施工性が向上し、コストダウンが図れる。また、基礎パッキンを基礎の上面上に配置したときに、蟻返し部の下面と基礎の上面との間に隙間があってもシール部材によって当該隙間が埋められる。このため、シロアリの侵入を効果的に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る基礎パッキンを採用したときの建物の概略斜視図である。
図2図1に示すII-II線に沿った部分断面図である。
図3図1に示す基礎パッキンを上方から見たときの斜視図である。
図4図1に示す基礎パッキンを下方から見たときの斜視図である。
図5図3に示す基礎パッキンからパッキン断熱材及び弾性材を取り外したときの基礎パッキンの拡大斜視図である。
図6図5に示す基礎パッキンの平面図である。
図7図1に示す基礎パッキンを長手方向から見たときの図である。
図8】2つの基礎パッキンを長手方向に並べて連結する前の状況を示す状況図である。
図9図8に示す2つの基礎パッキンを長手方向に連結した状況を示す状況図である。
図10】(a)はパッキン断熱材を上方から見たときの斜視図であり、(b)はパッキン断熱材を下方から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る基礎パッキンを基礎外張断熱構造に採用したときの建物101の断熱構造100の一例について、図1図10を参照しつつ以下に説明する。
【0017】
本実施形態における建物101は、図1に示すように、図中二点鎖線で示す上部構造物102、上部構造物102を支持する下部構造物としての基礎103、複数の基礎パッキン1及び複数の土台120などを有する。基礎103は、地面から上方に立ち上がって形成された、外周基礎104と、内側基礎105とを有する。外周基礎104は、基礎103の外周に形成された環状の基礎である。内側基礎105は、外周基礎104の内側に形成された基礎である。
【0018】
本実施形態における建物101の断熱構造100は、図2に示すように、外周基礎104近傍における断熱構造であり、外周基礎104と、外周基礎104上に設置された基礎パッキン1と、基礎パッキン1上に設置された木製の土台120と、基礎断熱材106と、パッキン断熱材7と、断熱受け部材108と、水切り部材118と、外壁断熱材111と、竪胴縁112と、外壁材113とで構成されている。基礎パッキン1は、図3に示すように、長手方向Aに沿って長尺なパッキン本体2と、蟻返し部3と、断熱材収容部6とを有している。基礎パッキン1は、外周基礎104の延在方向に沿って複数並べて配置され、隣接する基礎パッキン1同士が互いに密着して連結されている。外周基礎104上には、基礎パッキン1のパッキン本体2が配置される。なお、基礎パッキンとしてパッキン本体2と同様なものから構成されるものが、内側基礎105上に複数設置され、隣接する基礎パッキン同士も互いに連結されている。土台120は、基礎パッキン1(パッキン本体2)を介して基礎103上全体に設置されている。これら土台120及び基礎パッキン1は、基礎103に植設されたアンカーボルト、角座金及びナット(ともに図示せず)によって基礎103上に固定されている。図2に示す長手方向A、長手方向Aと直交する水平な幅方向B、長手方向A及び幅方向Bと直交する上下方向Cを基準として、以下に説明する。また、他の図面(図3図10)においても、説明の便宜上、図2に示す方向を基準として示す。
【0019】
外壁断熱材111は、図2に示すように、土台120の屋外側(幅方向Bの一端側)の側面120aに配置されている。また、外壁断熱材111は、その下端が断熱受け材108の上面108aに密着するように配置されている。断熱受け材108は、土台120の側面120aの下部に固定されており、その上面108aで外壁断熱材111の下端を受ける。これにより、外壁断熱材111と断熱受け材108との間に隙間がほとんど生じず、断熱性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
竪胴縁112は、外壁断熱材111の屋外側の側面111aとの間に透湿防水シート(不図示)を挟んだ状態で間柱(不図示)に釘などで固定されている。外壁材113は、竪胴縁112の屋外側の側面112aに釘などにより固定されている。
【0021】
基礎断熱材106は、図2に示すように、矩形状断面を有しており、外周基礎104の屋外側の側面104aの全体を覆うように配置されている。また、基礎断熱材106は、発泡樹脂系の断熱材であり、例えば、板状のポリスチレンフォームやウレタンフォームなど公知のものを採用することができる。
【0022】
水切り部材118は、雨水などの浸入を防ぐための、公知のものである。水切り部材118は、垂直な取付板部118aと、取付板部118aの下端から屋外側に延在する雨水案内板部118bと、雨水案内板部118bの先端から下方に延在する前垂れ板部118cとで構成されている。水切り部材118も長手方向Aに沿って長尺に形成されている。水切り部材118は、断熱受け部材108の側面108cに取付板部118aを介して取り付けられており、パッキン断熱材7を覆っている。これにより、パッキン断熱材7が雨などによって濡れにくくなる。
【0023】
基礎パッキン1は、合成樹脂から構成されているが、特に限定するものではなく、例えば、金属などから構成されていてもよい。基礎パッキン1のパッキン本体2には、図3図6に示すように、2つの連結用第1凸部12と、2つの連結用第1凹部13とが形成されている。また、パッキン本体2には、図3及び図4に示すように、4つの弾性材14が設けられている。なお、図5及び図6においては、パッキン本体2などの構造を分かりやすくするために、4つの弾性材14を取り外した状態の基礎パッキン1を示している。パッキン本体2は、図3に示すように、長手方向Aに沿って延在する一対の基体21,22と、一対の基体21,22を幅方向Bに接続する5つの接続部23とを有している。
【0024】
各基体21,22は、略四角柱形状を有している。一対の基体21,22は、図3及び図6に示すように、互いに平行に配置されており、5つの接続部23によって、内側面21c,22c同士が互いに離隔しつつ幅方向Bに沿って対向するように配置されている。図6及び図7に示すように、一対の基体21,22の幅方向Bの内側端部であって上面21d,22dには、長手方向Aに延在する溝21h,22hが形成され、下面21e,22eには、長手方向Aに延在する溝21i,22iが形成されている。溝21h,22hは、上面21d,22dの長手方向Aの全長に亘って形成されている。溝21i,22iは、下面21e,22eの長手方向Aの全長に亘って形成されている。これら溝21h,21i,22h,22iの底部のそれぞれに弾性材14が接着剤によって貼り付けられている。
【0025】
5つの接続部23は、図3に示すように、長手方向Aに沿って互いに離隔して配置されており、隣接する2つの接続部23間にアンカーボルトを挿入するための孔24が構成されている。5つの接続部23のうち、長手方向Aの両端に配置された2つの接続部23には、基礎パッキン1を外周基礎104に仮固定するための釘を打つための釘孔25が形成されている。
【0026】
連結用第1凸部12は、図6に示すように、パッキン本体2の長手方向Aの両端面2a,2bにそれぞれ形成されている。より詳細には、連結用第1凸部12は、基体21の図6中右端面21aと、基体22の図6中左端面22bとに形成されている。これら2つの連結用第1凸部12は、パッキン本体2の長手方向A及び幅方向Bの中心点に対して点対称に配置されている。また、これら2つの連結用第1凸部12は、右端面21aから突出した3つの第1凸部31及び左端面22bから突出した3つの第1凸部31から構成されている。連結用第1凸部12を構成する3つの第1凸部31は、互いに離隔して幅方向Bに等間隔で配列されている。各第1凸部31は、図7に示すように、パッキン本体2の上面2cよりも若干下方の位置からパッキン本体2の下端まで延在している。
【0027】
連結用第1凹部13も、図6に示すように、パッキン本体2の両端面2a,2bにそれぞれ形成されている。より詳細には、連結用第1凹部13は、基体22の図6中右端面22aと、基体21の図6中左端端面21bとに形成されている。これら2つの連結用第1凹部13は、パッキン本体2の長手方向A及び幅方向Bの中心点に対して点対称に配置されている。これら2つの連結用第1凹部13は、右端面22aに形成され、3つの第1凸部31のそれぞれと嵌合可能な3つの第1凹部32、及び、左端面21bに形成され、3つの第1凸部31のそれぞれと嵌合可能な3つの第1凹部32から構成されている。連結用第1凹部13を構成する3つの第1凹部32は、幅方向Bに互いに離隔して配列され、同じ種類の別の基礎パッキン1の連結用第1凸部12の3つの第1凸部31と嵌合可能なように配置されている。各第1凹部32は、図5及び図7に示すように、パッキン本体2の上面2cよりも若干下方の位置に配置され、且つ下方に向かって開口している。なお、連結用第1凹部13を構成する3つの第1凹部32のうち、幅方向Bの最も内側に配置された第1凹部32は、下方のみならず上方に向かって開口している。
【0028】
4つの弾性材14は、図7に示すように、4つの溝21h,21i,22h,22iに配置されている。各弾性材14は、その全部が溝21h,21i,22h,22iに埋没するのではなく、一部が溝21h,21i,22h,22iに埋まっているが、残部は溝21h,21i,22h,22iから露出している。従って、パッキン本体2と、外周基礎104又は土台120とによって、弾性材14が経年的に圧縮されても溝21h,21i,22h,22iによってその圧縮は緩和され、弾性力が保持される。また、4つの弾性材14が溝21h,21i,22h,22iに配置されていることで、位置ズレも抑制することができる。
【0029】
各弾性材14は、図3及び図4に示すように、長手方向Aに沿って延在しており、長手方向Aの両端がパッキン本体2の両端面2a,2bよりも長手方向A外側に配置されている。また、各弾性材14の長辺方向Aの一端が、図3に示すように、連結用第1凸部12を構成する3つの第1凸部31のうちの幅方向Bの最も内側に配置された第1凸部31と上下方向Cに対向して配置されている。
【0030】
弾性材14の構成材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料やゴム材料等を挙げることができる。なお、弾性材14をパッキン本体2の上面2c及び下面2dに設ける場合、接着剤を用いずに弾性材14を溝21h,21i,22h,22iに嵌合してもよい。また、弾性材14として、例えば、ゴムテープ、ウレタンテープ、発泡樹脂テープ等を用いることとしてもよい。
【0031】
基礎パッキン1の蟻返し部3は、図2に示すように、パッキン本体2の幅方向Bの一方の側面21f(パッキン本体2の屋外側の側面)から幅方向Bに沿って屋外側に突出して形成されている。また、蟻返し部3は、図3図5に示すように、長手方向Aに沿って長尺な矩形平面形状を有する平板からなり、パッキン本体2の側面21fの長手方向Aの全長にわたって形成されている。蟻返し部3は、図2に示すように、外周基礎104の上面及び基礎断熱材106の上面を覆うことが可能に側面21fから突出している。より詳細には、蟻返し部3は、外周基礎104の上面の屋外側端縁よりも屋外側に突出している。また、蟻返し部3は、図4及び図7に示すように、その下面3cがパッキン本体2の下面2dと面一に配置されている。図6に示すように、蟻返し部3の長手方向Aの一端部(図6中左端部)には、パッキン本体2の一端面2bよりも長手方向Aに沿って外側(図6中左側)に突出する連結用第2凸部4が形成されている。連結用第2凸部4は、蟻返し部3の長手方向Aの一端面3aから図6中左方に突出している。また、連結用第2凸部4は、図4に示すように、その下面4aが蟻返し部3の下面3cと面一の凸板状部として構成されている。
【0032】
また、図6に示すように、蟻返し部3の長手方向Aの他端部(図6中右端部)には、連結用第2凸部4と嵌合可能な連結用第2凹部5が形成されている。連結用第2凹部5は、図5に示すように、長手方向Aに沿って図中右方及び下方に開放されている。つまり、連結用第2凹部5は、連結用第2凸部4を嵌合した状態において、連結用第2凸部4の上面、幅方向Bの両側面及び先端面を取り囲むように構成されている。
【0033】
蟻返し部3の上面3bには、図5に示すように、蟻返し部3の幅方向Bの中途部から上方に突出し且つ長手方向Aに沿って延在する縦壁部6aが形成されている。縦壁部6aは、蟻返し部3の幅方向Bの中央よりもやや屋外側(パッキン本体2から離れる側)に立設され、パッキン本体2の側面21fと幅方向Bに対向可能に配置されている。断熱材収容部6は、図3及び図5に示すように、パッキン本体2の側面21fをその全長に亘って覆うことが可能なパッキン断熱材7を収容することが可能に設けられており、縦壁部6aと、蟻返し部3の上面3bであって縦壁部6aと側面21fとの間の上面部分3b1と、側面21fとで画定されて構成されている。また、断熱材収容部6は、図5に示すように、上方及び長手方向Aに開放された凹部として構成されている。上面部分3b1には、図5及び図6に示すように、長手方向Aに沿って所定間隔で配置された複数の補強リブ6bが形成されている。補強リブ6bは、幅方向Bに沿って延在し縦壁部6aと側面21fとを繋いでいる。また、補強リブ6bの幅方向Bの両端部の上端は、図5に示すように、縦壁部6a及び側面21fの上端よりも下方に配置されている。また、補強リブ6bは、上下方向Cにおいて、幅方向Bの中央部が両端部よりも低く形成されている。
【0034】
また、図5に示すように、蟻返し部3の長手方向Aの他端部(断熱材収容部6の一端部)には、連結用第3凸部3dが形成されている。連結用第3凸部3dは、図5及び図6に示すように、垂直に立設された2つの板状の凸部3d1,3d2から構成されている。凸部3d1は、縦壁部6aの右端部に繋がって形成され、長手方向Aに沿ってパッキン本体2の端面2aよりも右方に突出して形成されている。凸部3d2は、側面21fに繋がって形成され、長手方向Aに沿ってパッキン本体2の端面2aよりも右方に突出して形成されている。これら2つの凸部3d1,d32は、長手方向Aに沿って隣接する2つの基礎パッキン1同士を連結したときに、一方の基礎パッキン1のものが他方の基礎パッキン1の側面21fと縦壁部6aとの間に嵌め込まれる。つまり、断熱材収容部6の図6中左端部(他端部)は、連結用第3凹部3eとして機能する。
【0035】
パッキン断熱材7は、図10に示すように、長手方向Aに沿って長尺に形成された平板形状を有しており、断熱材収容部6に収容可能に構成されている。パッキン断熱材7は、発泡樹脂系の断熱材であり、例えば、板状のポリエチレンフォームやポリスチレンフォームやウレタンフォームなど公知のものを採用することができる。パッキン断熱材7は、上面部分3b1に下面7cが接着剤や両面テープなどで接着されて固定される。また、パッキン断熱材7の下面7cには、長手方向Aに沿って所定間隔で配置された複数の溝7c1が形成されている。これら溝7c1は、幅方向Bに沿って延在している。また、溝7c1は、補強リブ6bがちょうど嵌合可能な形状に形成されている。つまり、溝7c1は、幅方向Bの両端が中央部よりも深く形成されている。このように、溝7c1の幅方向Bの中央部が両端よりも浅くなっていることで、パッキン断熱材7が溝7c1部分で折れ曲がるのを抑制することが可能となる。このため、パッキン断熱材7が取り扱いやすくなる。なお、溝7c1の幅方向Bの両端部の深さは、パッキン断熱材7の厚み(上下方向Cの厚み)よりも小さくなっている。これにより、パッキン断熱材7の幅方向Bの側面は、溝7c1により長手方向Aに分断されない。つまり、パッキン断熱材7が断熱材収容部6に収容された状態において、側面21fにおいて断熱ラインが断たれなくなる。
【0036】
パッキン断熱材7の長手方向Aの一方の端部(図10中左端部)には、長手方向Aに沿って左方に突出する連結用第4凸部7aが形成されている。また、パッキン断熱材7の長手方向Aの他方の端部(図10中右端部)には、連結用第4凸部7aを嵌合可能な連結用第4凹部7bが形成されている。図8に示すように、長手方向Aに沿って隣接する2つの基礎パッキン1同士を、図9に示すように、長手方向Aに連結したときに、一方(図中左方)のパッキン断熱材7の連結用第4凹部7bに、他方(図中右方)のパッキン断熱材7の連結用第4凸部7aが嵌合し、パッキン断熱材7同士も連結される。
【0037】
蟻返し部3の下面3cには、図4及び図7に示すように、幅方向Bにおいて、パッキン本体2寄りに配置され、且つ、長手方向Aに沿って延在する取付溝3c1が形成されている。取付溝3c1は、図2に示すように、基礎パッキン1が外周基礎104上に配置されたときに、外周基礎104の上面と上下方向Cに対向可能な位置に配置されている。そして、取付溝3c1には、長手方向Aに沿って長尺な帯状のシール部材8が配置されている。つまり、蟻返し部3の下面3cには、パッキン本体2寄りにおいて、長手方向Aに沿って延在するシール部材8が設けられている。
【0038】
シール部材8は、図7に示すように、例えば、合成樹脂から構成された長手方向Aに長尺な平板状の基部8aと、基部8aの下面8a1に形成されたシール部8bとで構成されている。シール部材8は、シール部8bの下面8b1が蟻返し部3の下面3cよりも下方に突出して配置されるように、基部8aの上面8a2が取付溝3c1の底面に接着剤や両面テープなどで接着して固定されている。本実施形態におけるシール部8bは、熱可塑性樹脂を一つの主成分とし常温でゲル状の材料から構成されたゲル状体である。ここでいう、ゲル状とは、ゲルのような状態を意味する。また、ゲルとは、「コロイド粒子又は高分子溶質が相互作用のために独立した運動性を失って集合した構造をもち、固化した状態」などをいう。なお、シール部8bは、軟質性及び弾性のいずれかを有しておれば、特にゲル状でなくてもよい。つまり、シール部8bは、ゴムや発泡状樹脂などから構成されていてもよい。また、シール部材8は、基部8aを有さず、シール部8bだけから構成されていてもよい。
【0039】
また、幅方向Bにおいて、取付溝3c1の幅が、シール部材8の幅よりも若干大きく形成されている。これにより、シール部材8と取付溝3c1との幅方向Bの隙間が、基礎パッキン1を外周基礎104上に配置したときのシール部材8のシール部8bの逃げ込み代となる。このため、蟻返し部3やパッキン本体2が外周基礎104の上面から浮き上がって配置されるのを抑制することが可能となる。
【0040】
続いて、複数の基礎パッキン1を長手方向Aに連結したときの状態について、図8及び図9を参照しつつ以下に説明する。なお、図8及び図9においては、パッキン本体2同士の連結時の構造などを分かりやすくするために、4つの弾性材14を取り外した状態で基礎パッキン1を描いている。
【0041】
基礎パッキン1は、通常、外周基礎104上に配置され、土台120と外周基礎104とに挟まれて固定される。つまり、外周基礎104と土台120との間に複数の基礎パッキン1を配置する場合、図8に示すように、パッキン本体2の長手方向Aの端部同士を突き合わせるようにして、複数の基礎パッキン1を外周基礎104上に長手方向Aに沿って並べる。この後、図9に示すように、一方の基礎パッキン1(図8中右側の基礎パッキン1)を他方の基礎パッキン1(図8中左側の基礎パッキン1)に近づけて、両基礎パッキン1同士を連結する。つまり、一方の基礎パッキン1の連結用第1凸部12(3つの第1凸部31)を、他方の基礎パッキン1の連結用第1凹部13(3つの第1凹部32)に嵌合させ、他方の基礎パッキン1の連結用第1凸部12(3つの第1凸部31)を、一方の基礎パッキン1の連結用第1凹部13(3つの第1凹部32)に嵌合させる。これにより、図9に示すように、パッキン本体2同士が連結される。
【0042】
このとき、一方の基礎パッキン1の蟻返し部3に形成された連結用第2凸部4を、他方の基礎パッキン1の蟻返し部3に形成された連結用第2凹部5に嵌合させる。これにより、図9に示すように、蟻返し部3同士が連結される。このように蟻返し部3同士が連結されることで、パッキン本体2の長手方向Aの端面同士が若干離れても、蟻返し部3間に隙間が生じにくくなる。また、このとき、一方の基礎パッキン1の連結用第3凹部3eに、他方の基礎パッキン1の連結用第3凸部3dを嵌め込む。これにより、図9に示すように、断熱材収容部6同士も連結される。また、このとき、一方の基礎パッキン1の断熱材収容部6に収容されたパッキン断熱材7の連結用第4凸部7aを、他方の基礎パッキン1の断熱材収容部6に収容されたパッキン断熱材7の連結用第4凹部7bに嵌合させる。これにより、図9に示すように、パッキン断熱材7同士も連結される。これにより、長手方向Aにおいて、断熱ラインが繋がる。こうして、一方の基礎パッキン1と他方の基礎パッキン1とが長手方向Aに沿って連結される。
【0043】
このように複数の基礎パッキン11を長手方向Aに連結すると、各基礎パッキン1の弾性材14は、長手方向Aの端部同士が接触し、長手方向Aに圧縮される。また、各弾性材14は、基礎パッキン1と外周基礎104とによって、及び、基礎パッキン1と土台120とによって、上下方向Cにも圧縮される。これにより、外周基礎104及び土台120と、基礎パッキン1との間の隙間、及び、連結された基礎パッキン1間の隙間が弾性材14によって埋められる。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態の基礎パッキン1によると、基礎パッキン1を設けるだけでパッキン本体2のみならず、蟻返し部3を配置することが可能となる。このため、基礎パッキンと蟻返し部とが別部材のものよりも施工性が向上し、コストダウンが図れる。また、蟻返し部3の下面3cには、その下面8b1が蟻返し部3の下面3cよりも下方に突出して配置されたシール部材8が設けられている。これにより、基礎パッキン1を外周基礎104の上面上に配置したときに、蟻返し部3の下面3cと外周基礎104の上面との間に隙間があってもシール部材8によって当該隙間が埋められる。このため、シロアリの侵入を効果的に防ぐことが可能となる。
【0045】
また、蟻返し部3の下面3cには、シール部材8を配置するための取付溝3c1が形成されている。これにより、シール部材8を蟻返し部3に取り付けやすくなる。
【0046】
また、シール部材8のシール部(下部)8bが、ゲル状体であり、軟質性又は弾性を有している。これにより、外周基礎104の上面の不陸を効果的に吸収することが可能となる。
【0047】
また、基礎パッキン1の蟻返し部3に連結用第2凸部4と連結用第2凹部5とが設けられているため、長手方向Aに沿って隣接する基礎パッキン1同士を連結したときに、パッキン本体2のみならず、蟻返し部3同士も連結することが可能となる。このため、隣接する基礎パッキン1同士が長手方向Aに若干離れても、長手方向Aに隣接する蟻返し部3間の隙間を小さくすることが可能となる。この結果、シロアリの侵入を効果的に抑制することができる。
【0048】
また、蟻返し部3上には、断熱材収容部6が設けられている。これにより、断熱材収容部6にパッキン断熱材7を収容することで、基礎パッキン1(パッキン本体2)の一方の側面21fを覆って断熱することが可能となる。
【0049】
また、連結用第2凸部4が凸板状部として構成され、連結用第2凹部5が連結用第2凸部4の上面、幅方向Bの両側面及び先端面を取り囲むように構成されている。これにより、基礎パッキン1同士を長手方向Aに沿って連結する際に、蟻返し部3同士の連結が容易になる。
【0050】
また、断熱材収容部6が、縦壁部6aと、上面部分3b1と、側面21fとで画定されて構成されている。このため、断熱材収容部6が簡易な構成となる。
【0051】
また、上面部分3b1に、縦壁部6aと側面21fとを繋ぐ複数の補強リブ6bが形成されているため、断熱材収容部6の剛性が高くなる。補強リブ6bの幅方向Bの両端部の上端が、縦壁部6a及び側面21fの上端よりも下方に配置されている。これにより、断熱収容部6に配置されるパッキン断熱材7の幅方向Bの側面が長手方向Aに分断されない。このため、パッキン断熱材7の強度低下を抑制することが可能となる。
【0052】
また、補強リブ6bが、上下方向Cにおいて、幅方向Bの中央部が両端部よりも低く形成されている。これにより、断熱収容部6に配置されるパッキン断熱材7の強度が低下するのを抑制することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態における基礎パッキン1は、基礎外張断熱構造に採用されているが、基礎内張断熱構造に採用されてもよい。つまり、図2に示す外周基礎104の屋内側の側面104bに基礎断熱材106と同様な基礎断熱材206が設けられた外周基礎104上に基礎パッキン1を採用してもよい。この場合、外周基礎104の側面104aには基礎断熱材106が設けられていないので、基礎パッキン1の蟻返し部3が屋内側に配置されるように、基礎パッキン1が図2に示す向きとは逆に向きに配置される。また、基礎パッキンの蟻返し部3がパッキン本体2の長手方向Aの両側面うちの屋内側の側面だけから突出して形成されていてもよい。このように、基礎パッキン1が基礎内張断熱構造に採用されても、上述と同様に、基礎パッキンと蟻返し部とが別部材のものよりも施工性が向上し、コストダウンが図れる。加えて、蟻返し部3の下面3cには、シール部材8が設けられている。これにより、基礎パッキン1を外周基礎104の上面上に配置したときに、蟻返し部3の下面3cと外周基礎104の上面との間に隙間があってもシール部材8によって当該隙間が埋められる。このため、シロアリの侵入を効果的に防ぐことが可能となる。
【0054】
また、上述の実施形態における蟻返し部3の下面3cには、取付溝3c1が形成されていなくてもよい。この場合、シール部材8が下面3cに直接固定されておればよい。
【0055】
また、上述の実施形態における連結用第1凸部12及び連結用第1凹部13が、パッキン本体2の長手方向Aの両端面2a,2bにそれぞれ形成されているが、連結用第1凸部12が一方の端面に形成され、連結用第1凹部13が他方の端面に形成されておればよい。また、第1凸部12が1つの凸部から構成されていてもよい。この場合、第1凹部13が第1凸部12に対応する1つの凹部から構成されていてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態における蟻返し部3の一方の端部の幅方向Bの全長に亘って連結用第2凸部4が形成されていてもよい。また、連結用第2凸部4は、その下面4aが蟻返し部3の下面3cよりも上方に配置されるように、形成されていてもよい。この場合、連結用第2凹部5は、連結用第2凸部4と嵌合したときに、当該凸部4の上面、下面、幅方向Bの両側面及び先端面を取り囲むように形成されていてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態における基礎パッキン1の蟻返し部3上に、断熱材収容部6が設けられていなくてもよい。また、断熱材収容部6は、上方に向かって開放されておらず、長手方向Aの少なくともいずれか一方の端部のみが長手方向Aに向かって開放されて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 基礎パッキン
2 パッキン本体
2a 端面(他端面)
2b 端面(一端面)
2d 下面
3 蟻返し部
3c 下面
3c1 取付溝
4 連結用第2凸部
5 連結用第2凹部
6 断熱材収容部
7 パッキン断熱材(断熱材)
8 シール部材
8b シール部(下部)
8b1 下面
12 連結用第1凸部
13 連結用第1凹部
21f 側面
101 建物
104 外周基礎
120 土台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10