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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】方向切換弁装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20220905BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 27/04 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 15/06 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 17/04 20060101ALI20220905BHJP
   F15B 11/16 20060101ALN20220905BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F15B11/08 B
F16K27/02
F16K27/04
F16K27/00 D
F16K11/07 J
F16K15/06
F16K17/04 Z
F15B11/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018158687
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020034023
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
(72)【発明者】
【氏名】正谷 龍馬
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-208982(JP,A)
【文献】特開平06-050302(JP,A)
【文献】実開昭63-052898(JP,U)
【文献】実開昭56-157404(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0204883(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107420367(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
F16K 27/00-27/12
F16K 15/00-15/20
F16K 17/00-17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール孔、前記スプール孔に開口するとともにアクチュエータに接続されるアクチュエータ通路、前記スプール孔に開口するとともにタンクに接続されるタンク通路、及び前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続する排出用通路を備える弁本体ブロックと、
スプールと、
前記アクチュエータ通路に設定された所定の開閉位置で前記アクチュエータ通路を開閉するロック弁であって、前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向で前記開閉位置に対し上流側に位置する通路部分の内部圧力に応じて開閉し、閉鎖状態において、前記アクチュエータから前記スプール孔に向かう方向の流れの遮断状態を維持するロック弁と、
前記排出用通路を前記アクチュエータ通路の内部圧力に応じて開閉するリリーフ弁と、を備え、
前記ロック弁は、前記スプールの径方向において、前記スプールと前記リリーフ弁との間に設けられ、
前記排出用通路は、前記リリーフ弁から前記スプール孔に向けて延在する部分を含み、
前記排出用通路における前記リリーフ弁から前記スプール孔に向けて延在する部分の一部は、前記ロック弁において前記アクチュエータ通路に対し露出していない部分の外周に形成される環状の通路部分によって形成されており、
前記ロック弁は、前記スプールの軸方向と平行になるように配置され、その内部空間を2分割する円環状弁座を有する円筒状ケーシングと、前記円筒状ケーシングの内部空間のうちの前記円環状弁座に対して前記開閉位置側の空間に設けられ、前記円筒状ケーシングに対しスライド自在な開閉ポペットと、を備え、
前記開閉ポペットは、前記開閉位置側に底部を向けた有底筒状で、前記アクチュエータ通路に露出し、前記底部を前記開閉位置に接触させることで前記アクチュエータ通路を閉鎖し、
前記開閉ポペットは、前記円環状弁座が閉鎖されることで前記ロック弁を閉鎖状態に維持し、前記円環状弁座が開放されることで前記開閉位置から離間して前記ロック弁が開放し、
前記円筒状ケーシングは、前記アクチュエータ通路に対し露出していない部分であり、前記円筒状ケーシングの外周面が、前記環状の通路部分を画定している、方向切換弁装置。
【請求項2】
前記リリーフ弁は、前記アクチュエータ通路における前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向において前記ロック弁よりも下流側に位置する通路内部の圧力に応じて開閉するようになっている、請求項に記載の方向切換弁装置。
【請求項3】
前記弁本体ブロックは、前記スプール孔に開口するとともにポンプに接続される供給通路を備え、
前記スプールは、前記スプールの位置に応じて、前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを接続させ且つ前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを遮断させるか、又は、前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを遮断させ且つ前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを遮断させるか、又は、前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続させ且つ前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを遮断させる、請求項1又は2に記載の方向切換弁装置。
【請求項4】
方向切換弁装置であって、
スプール孔、前記スプール孔に開口するとともにアクチュエータに接続されるアクチュエータ通路、前記スプール孔に開口するとともにタンクに接続されるタンク通路、及び前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続する排出用通路を備える弁本体ブロックと、
スプールと、
前記アクチュエータ通路に設定された所定の開閉位置で前記アクチュエータ通路を開閉するロック弁と、
リリーフ弁と、を有し、
前記ロック弁は、前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向で前記開閉位置に対し上流側に位置する通路部分の内部圧力に応じて前記アクチュエータ通路を閉鎖して前記アクチュエータから前記スプール孔に向かう方向の流れを遮断し、前記リリーフ弁は、前記アクチュエータ通路の内部圧力に応じて前記排出用通路を開放し、
前記ロック弁は、前記スプールの径方向において、前記スプールと前記リリーフ弁との間に設けられ、
前記排出用通路は、前記リリーフ弁から前記スプール孔に向けて延在する部分を含み、
前記排出用通路における前記リリーフ弁から前記スプール孔に向けて延在する部分の一部は、前記ロック弁において前記アクチュエータ通路に対し露出していない部分の外周に形成される環状の通路部分によって形成されており、
前記ロック弁は、前記スプールの軸方向と平行になるように配置され、その内部空間を2分割する円環状弁座を有する円筒状ケーシングと、前記円筒状ケーシングの内部空間のうちの前記円環状弁座に対して前記開閉位置側の空間に設けられ、前記円筒状ケーシングに対しスライド自在な開閉ポペットと、を備え、
前記開閉ポペットは、前記開閉位置側に底部を向けた有底筒状で、前記アクチュエータ通路に露出し、前記底部を前記開閉位置に接触させることで前記アクチュエータ通路を閉鎖し、
前記開閉ポペットは、前記円環状弁座が閉鎖されることで前記ロック弁を閉鎖状態に維持し、前記円環状弁座が開放されることで前記開閉位置から離間して前記ロック弁が開放し、
前記円筒状ケーシングは、前記アクチュエータ通路に対し露出していない部分であり、前記円筒状ケーシングの外周面が、前記環状の通路部分を画定している、方向切換弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック弁及びリリーフ弁を備えるスプール式の方向切換弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械は通常、アームやブーム等の作動部分を方向切換弁装置によって制御しており、このような建設機械において用いられる方向切換弁装置は一般に、スプール孔を有する弁本体と、スプール孔にスライド自在に設けられるスプールとを有し、弁本体においてスプールを移動させることで作動油の供給及び遮断が切り換わる。
【0003】
上述のような方向切換弁装置で建設機械のアームやブームの動作を制御する場合、方向切換弁装置とアーム又はブームとの間に油圧シリンダを設け、方向切換弁装置からの作動油に応じて伸縮する油圧シリンダによってアームやブームが駆動される。ここで、アームやブームを静止状態に保持する状況が生じた場合には、方向切換弁装置は、作動油の供給源であるポンプとの接続を遮断するとともに油圧シリンダから戻る作動油の排出先となるタンクとの接続を遮断する状態に切り換えられる。
【0004】
しかしながら、重量の大きいアーム用又はブーム用の方向切換弁装置では、ポンプ及びタンクからの遮断のみでは、アームやブームの自重の影響により作動油がスプールとスプール孔の内周面との間を通ってタンクに漏れ出し、その結果、アームやブームを静止状態に保持することが困難となる状況が生じる。そのため、アーム用又はブーム用の方向切換弁装置においては通常、作動油の漏れを防止するためのロック弁が設けられている。
【0005】
また、アーム用又はブーム用の方向切換弁装置においては通常、ロック弁に加えてリリーフ弁が設けられる。リリーフ弁は、例えば油圧シリンダ内の作動油が異常に高圧となった際に作動油を排出する弁であり、このような排出により作動油の圧力を低下させるものである。
【0006】
以上のようなロック弁及びリリーフ弁を備える方向切換弁装置に関連する技術は従来から種々提案されており、例えば特許文献1には、一つの方向切換弁装置においてロック弁とリリーフ弁とが並べて設けられる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公平7-47604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
建設機械では一般に、複数の作動部分に対応する複数の方向切換弁装置を重ねた状態でユニット化し、当該ユニットをその内部に組み込む。特許文献1には、方向切換弁装置に設けられるリリーフ弁が開いた際の作動油排出用の通路についての詳しい構造は開示されていないが、この方向切換弁装置は、他の方向切換弁装置と重ねて配置されることを前提とした上で、上記作動油排出用の通路を隣接する他の方向切換弁装置に形成された通路及びタンク通路に接続し、これらの通路を介してタンクに接続される構造を有するものと考えられる。
【0009】
しかしながら、上記構造では、隣り合う方向切換弁装置の間の通路接続部分にシール機構が必要となるため、構造が複雑化する。また、リリーフ弁が設けられる方向切換弁装置と、この方向切換弁に形成される上記作動油排出用の通路に接続される通路が形成される他の方向切換弁装置とが必ず隣り合うように配列され且つ互いに締結される必要があるため、複数の方向切換弁装置の配列自由度が制約される。
【0010】
具体的には他の方向切換弁装置は、上記作動油排出用の通路に接続される通路を形成するためのスペースを容易に確保できるものが好適であり、例えばリリーフ弁を必要としない旋回部用の方向切換弁装置であってもよい。この場合には、複数の方向切換弁装置でなるユニットにおいて必ずアーム用又はブーム用の方向切換弁装置と旋回部用の方向切換弁装置とが隣り合う必要があるため、ユニット内での方向切換弁装置の配列自由度が制約されてしまう。
【0011】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、リリーフ弁が開閉する排出用通路を複雑化することなくタンクに接続することができるとともに、他の方向切換弁装置と共に用いられる場合の配列自由度を向上させることができる方向切換弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる方向切換弁装置は、スプール孔、前記スプール孔に開口するとともにアクチュエータに接続されるアクチュエータ通路、前記スプール孔に開口するとともにタンクに接続されるタンク通路、及び前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続する排出用通路を備える弁本体ブロックと、スプールと、前記アクチュエータ通路に設定された所定の開閉位置で前記アクチュエータ通路を開閉するロック弁であって、前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向で前記開閉位置に対し上流側に位置する通路部分の内部圧力に応じて開閉し、閉鎖状態において、前記アクチュエータから前記スプール孔に向かう方向の流れの遮断状態を維持するロック弁と、前記排出用通路を前記アクチュエータ通路の内部圧力に応じて開閉するリリーフ弁と、を備える、方向切換弁装置。である。
【0013】
前記ロック弁は、前記スプールの径方向において、前記スプールと前記リリーフ弁との間に設けられ、前記排出用通路の一部は、前記ロック弁の外周に形成される環状の通路部分によって形成されており、前記ロック弁の外周面は、前記環状の通路部分を画定してもよい。
【0014】
前記リリーフ弁は、前記アクチュエータ通路における前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向において前記ロック弁よりも下流側に位置する通路内部の圧力に応じて開閉してもよい。
【0015】
前記弁本体ブロックは、前記スプール孔に開口するとともにポンプに接続される供給通路をさらに備え、前記スプールは、その位置に応じて、前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを接続させ且つ前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを遮断させるか、又は、前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを遮断させ且つ前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを遮断させるか、又は、前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続させ且つ前記供給通路と前記アクチュエータ通路とを遮断させてもよい。
【0016】
また、本発明にかかる方向切換弁装置は、スプール孔、前記スプール孔に開口するとともにアクチュエータに接続されるアクチュエータ通路、前記スプール孔に開口するとともにタンクに接続されるタンク通路、及び前記アクチュエータ通路と前記タンク通路とを接続する排出用通路を備える弁本体ブロックと、スプールと、前記アクチュエータ通路に設定された所定の開閉位置で前記アクチュエータ通路を開閉するロック弁と、リリーフ弁と、を有し、前記ロック弁は、前記スプール孔から前記アクチュエータに向かう方向で前記開閉位置に対し上流側に位置する通路部分の内部圧力に応じて前記アクチュエータ通路を閉鎖して前記アクチュエータから前記スプール孔に向かう方向の流れを遮断し、前記リリーフ弁は、前記アクチュエータ通路の内部圧力に応じて前記排出用通路を開放する、方向切換弁装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる方向切換弁装置によれば、リリーフ弁が開閉する排出用通路を複雑化することなくタンクに接続することができるとともに、他の方向切換弁装置と共に用いられる場合の配列自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態にかかる方向切換弁装置の断面図である。
図2図1に示す方向切換弁装置に設けられるロック弁の拡大断面図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態にかかる方向切換弁装置1について図を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態にかかる方向切換弁装置1の断面図である。図1においては説明の便宜上、方向切換弁装置1の一部の断面のみが示されている。方向切換弁装置1は、ポンプPからアクチュエータAに供給する作動油及びアクチュエータAからタンクTに排出される作動油の流れを制御する弁である。
【0020】
本実施の形態では、方向切換弁装置1がポンプPからの作動油を建設機械のアーム又はブームを動作させるためのアクチュエータA(具体的には、油圧シリンダ)に供給するものとして構成されている。ただし、このような構成は一例であり、方向切換弁装置1と接続されるアクチュエータA及びアクチュエータAによって駆動される対象物は特に限られるものではない。
【0021】
方向切換弁装置1は、スプール孔11が形成された弁本体ブロック10と、スプール孔11にスライド自在に設けられるスプール20と、ロック弁30と、リリーフ弁40と、パイロット室形成カバー50とを備えている。
【0022】
弁本体ブロック10は例えば扁平の直方体形状のブロック体であり、スプール孔11は弁本体ブロック10の内部に形成されている。スプール孔11は円形断面を有する孔であり、その軸方向に沿って弁本体ブロック10の平面部分から外部に開口している。スプール20は円柱状を有し、スプール孔11と同軸状にスプール孔11内に設けられ、その軸方向に沿ってスプール孔11内にスライド自在となっている。
【0023】
スプール20の軸方向へのスライド駆動方式は特に限定されず、その駆動方式としては、例えば機械式、油圧パイロット式或いは電磁式の駆動構造が採用され得るが、本実施の形態では油圧パイロット式が採用されている。
【0024】
以下の説明においては、図1においてスプール孔11が開口する方向をスプール孔11又はスプール20の軸方向の一方側と呼び、その反対側を軸方向の他方側と呼ぶ場合がある。また、スプール孔11又はスプール20の軸方向と平行な方向も軸方向と呼ぶ場合がある。
【0025】
スプール20は、軸方向へ相互に離間して配置される複数のランド部20Lと、ランド部20L間に設けられる複数の切欠部20Nとを有している。図1においては、各ランド部20Lの外径はスプール孔11の内径とほぼ一致する。一方、各切欠部20Nの外径はスプール孔11の内径よりも小さい。
【0026】
ランド部20Lがスプール孔11に開口する後述の2つの通路の各開口部分に跨がり各開口部分の全体を塞ぐように配置された場合、これら2つの通路間の作動油の流れは遮断される。これに対し、切欠部20Nは、上述の各開口部分に跨がるように配置された場合に、これらの2つの通路同士を接続する通路を形成し、作動油の流れを許容する。なお、スプール20は通路同士の接続及び遮断(すなわち接続の有無)を切り換えることができるだけでなく、その位置に応じて通路間の流路開度(すなわち弁開度)を調整することもできる。
【0027】
弁本体ブロック10は、スプール孔11に加えて、上流側供給通路12、下流側供給通路13、アクチュエータ通路14、タンク通路15、及びアクチュエータ通路14とタンク通路15とを接続する排出用通路100を備える。これらの通路には作動油が流される。
【0028】
上流側供給通路12及び下流側供給通路13は、ポンプPからの作動油をアクチュエータAに供給するための通路である。上流側供給通路12はポンプPに接続され、ポンプPから供給された作動油をチェックバルブ61を介して下流側供給通路13に流入させるようになっている。詳しくは、ポンプPからの作動油がチェックバルブ61を開放した際に、上流側供給通路12と下流側供給通路13とが接続し、上流側供給通路12から下流側供給通路13に作動油が流入する。
【0029】
上流側供給通路12はスプール孔11に対して径方向の外側の位置でスプール孔11と直接的に交わることなく延在する孔であり、その出口を形成する径方向の外側の端部にチェックバルブ61の弁座を形成するとともに、この弁座を介して下流側供給通路13に接続している。下流側供給通路13は、上流側供給通路12との接続位置からスプール孔11の軸方向の一方側に進むにつれて前記スプール孔11に近づくように延在している。
【0030】
下流側供給通路13は、上流側供給通路12に流入した作動油をチェックバルブ61、スプール孔11及びアクチュエータ通路14を介してアクチュエータAに供給するための通路であり、スプール孔11に開口する。下流側供給通路13がスプール孔11への開口部分をスプール20のランド部20Lによって塞がれた場合(図1の状態)、スプール孔11及びアクチュエータ通路14と下流側供給通路13との間の接続が遮断されたり、弁開度が制限されたりする。なお、本発明でいう供給通路は、本実施の形態では上流側供給通路12及び下流側供給通路13に対応する部分のことである。
【0031】
アクチュエータ通路14は、スプール孔11に開口するとともにアクチュエータAに接続される通路であり、下流側供給通路13に対してスプール孔11の軸方向の一方側の位置で下流側供給通路13に近接している。アクチュエータ通路14のスプール孔11への開口部分は、下流側供給通路13のスプール孔11への開口部分に対してスプール孔11の軸方向の一方側に位置している。アクチュエータ通路14はスプール20の径方向に沿ってスプール孔11に開口するとともに、スプール20の径方向に沿って弁本体ブロック10の外部に開口している。
【0032】
本実施の形態におけるアクチュエータ通路14は、スプール孔11への開口部分から径方向に延在する第1部分14Aと、第1部分14Aのスプール孔11側とは反対の端部側からスプール孔11の軸方向の一方側に延在する第2部分14Bと、第2部分14Bの第1部分14A側とは反対の端部側から径方向に延在し弁本体ブロック10から開口する第3部分14Cとを有している。詳細は後述するが、このうちの第2部分14Bにロック弁30のロック弁座14Sが形成されている。
【0033】
タンク通路15は、スプール孔11に開口するとともにタンクTに接続される通路であって、アクチュエータAから排出された作動油をタンクTに戻すための通路である。このタンク通路15は、スプール20の位置に応じてアクチュエータ通路14に接続されるか又はアクチュエータ通路14と遮断されるようになっている。
【0034】
本実施の形態におけるタンク通路15は、そのスプール孔11への開口部分をアクチュエータ通路14のスプール孔11への開口部分に対して軸方向の一方側に位置させる一方で、このスプール孔11への開口部分からスプール孔11の軸方向の他方側に延在している。これにより、タンク通路15がアクチュエータ通路14に接続された際には、アクチュエータ通路14からの作動油がタンク通路15のスプール孔11への開口部分を介してスプール孔11の軸方向の他方側に流れ、その後、排出さることになる。
【0035】
方向切換弁装置1は上述の構成を有することにより、スプール孔11におけるスプール20の位置に応じて、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とが接続する第1の状態と、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とが遮断される第2の状態と、アクチュエータ通路14とタンク通路15とが接続する第3の状態とに移行可能となっている。より詳しく説明すると、第1の状態では、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とが接続し且つアクチュエータ通路14とタンク通路15とが遮断されている。第2の状態では、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とが遮断され且つアクチュエータ通路14とタンク通路15とが遮断されている。第3の状態では、アクチュエータ通路14とタンク通路15とが接続し且つ供給通路12,13とアクチュエータ通路14とが遮断されている。
【0036】
ここで、本実施の形態では上述したようにスプール20の駆動方式として油圧パイロット式の駆動構造が採用されるが、当該構造は、弁本体ブロック10におけるスプール孔11の軸方向の一方側の開口から外部に臨むスプール20の端部及び弁本体ブロック10に対してスプール孔11の軸方向の一方側に設けられるパイロット室形成カバー50等により構成される。
【0037】
パイロット室形成カバー50は、スプール用パイロット室51を有し、このスプール用パイロット室51を弁本体ブロック10におけるスプール孔11の軸方向の一方側の開口に接続させるようにして弁本体ブロック10に固定されている。パイロット室形成カバー50には、スプール孔11側とは反対の側においてスプール用パイロット室51に開口する第1入力ポート52が形成される。これにより、第1入力ポート52に作動油が流入することでスプール孔11の軸方向の一方側の開口から外部に臨むスプール20の端部にパイロット圧を作用させることが可能となる。一方で、図示省略するが、パイロット圧が作用するスプール20の端部とは反対の側の端部はスプリングによって、スプール用パイロット室51側に付勢されている。これにより、本実施の形態における油圧パイロット式の駆動構造では、スプール用パイロット室51からのパイロット圧を適宜調節することでスプール20の位置を調整することができる。
【0038】
次にロック弁30について説明する。ロック弁30はスプール20(或いはスプール孔11)の径方向においてスプール20ないしスプール孔11の外側に設けられ、特に径方向においてスプール20ないしスプール孔11と重なる位置に設けられている。本実施の形態におけるロック弁30は、アクチュエータ通路14に設定された上述のロック弁座14S(本発明でいう所定の開閉位置に対応する。)でアクチュエータ通路14を開閉する弁であって、スプール孔11からアクチュエータAに向かう方向でロック弁座14Sに対し上流側に位置する通路部分の内部圧力に応じて開閉するようになっている。また、ロック弁30は閉鎖状態において、アクチュエータAからスプール孔11に向かう方向の流れの遮断状態を維持するように構成されている。
【0039】
図2に拡大されて示されるように、弁本体ブロック10は、スプール孔11の軸方向(厳密には、スプール孔11の軸方向と平行な方向)でロック弁座14Sと対向する位置にロック弁30用の本体側取付穴14Hを有し、この本体側取付穴14Hは、軸方向(厳密には、スプール孔11の軸方向と平行な方向)の一方側に向けて弁本体ブロック10から外部に貫通している。また、パイロット室形成カバー50には、本体側取付穴14Hと接続するカバー側取付穴53が形成されている。本実施の形態におけるロック弁30は、これら本体側取付穴14H及びカバー側取付穴53に対して跨がった状態で挿入されることにより、弁本体ブロック10に取り付けられている。また、パイロット室形成カバー50には、本体側取付穴14H側とは反対の側においてカバー側取付穴53に開口する第2入力ポート54が形成されている(図1参照)。第2入力ポート54は、ロック弁30に対してパイロット圧を付与するための作動油を受け入れ可能となっている。
【0040】
図2に示されるように、ロック弁30は本体側取付穴14Hとカバー側取付穴53とに挿入され、その軸方向がスプール20の軸方向と平行になるように配置される円筒状ケーシング31と、円筒状ケーシング31におけるロック弁座14S側で円筒状ケーシング31に対しスライド自在に設けられた開閉ポペット32と、開閉ポペット32の内部空間32Sにおいてスライド自在に設けられたパイロット用ポペット33と、内部空間32Sに配置され且つ開閉ポペット32及びパイロット用ポペット33の間に介在するポペット側スプリング34と、円筒状ケーシング31におけるパイロット室形成カバー50側で円筒状ケーシング31に対しスライド自在に設けられたパイロット用ピストン35と、パイロット用ピストン35をパイロット室形成カバー50側に押し戻すための付勢力を付与するピストン側スプリング36と、を有している。
【0041】
円筒状ケーシング31はその内部空間を2分割する円環状弁座31Aを有し、円筒状ケーシング31の内部空間のうちの円環状弁座31Aに対してロック弁座14S側の空間に開閉ポペット32が設けられている。また、円筒状ケーシング31の内部空間のうちの円環状弁座31Aに対してパイロット室形成カバー50側の空間にパイロット用ピストン35が設けられている。
【0042】
開閉ポペット32はロック弁座14S側に底部を向けた有底筒状であり、ロック弁座14Sに向けて先細りとなる底部を有する。開閉ポペット32は本体側取付穴14Hを介してアクチュエータ通路14内に露出し、その先細りの底部をロック弁座14Sに接触させることでアクチュエータ通路14を閉鎖する一方、ロック弁座14Sから離間することでアクチュエータ通路14を開放するようになっている。開閉ポペット32の底部には、その中心軸上に形成され内部空間32Sに開口する有底ガイド穴32Aが設けられ、パイロット用ポペット33は有底ガイド穴32Aに保持され且つ円環状弁座31Aに向けて突出している。
【0043】
パイロット用ポペット33は円環状弁座31Aに向けて先細りとなる弁体部を有し、弁体部を円環状弁座31Aの開口部に挿入することで、当該開口部を閉鎖する。ポペット側スプリング34はパイロット用ポペット33の弁体部よりも有底ガイド穴32A側に位置する軸部分の周囲に配置され、弁本体ブロック側からの抜けが防止された状態になっている。ポペット側スプリング34は、開閉ポペット32がロック弁座14Sから離間した際に、パイロット用ポペット33を円環状弁座31A側に復帰させるための弾性力をパイロット用ポペット33に対して付与するように構成されている。
【0044】
また、開閉ポペット32の底部には開閉ポペット32の径方向に延在し、有底ガイド穴32Aに開口するとともにアクチュエータ通路14に開口する絞り穴32Bが形成されている。絞り穴32Bは、スプール孔11からアクチュエータAに向かう方向で開閉ポペット32よりも下流側に位置するアクチュエータ通路14の通路内部に開口している。開閉ポペット32がロック弁座14Sを開放する場合及び閉鎖する場合の両方の状態において、絞り穴32Bは作動油を有底ガイド穴32A側に引き込み、内部空間32Sを介して円筒状ケーシング31の内部に作動油を送るようになっている。
【0045】
一方、パイロット用ピストン35は、円環状弁座31Aとの間にピストン側スプリング36を配置した状態で円筒状ケーシング31の内部空間に設けられている。パイロット用ピストン35は、第2入力ポート54に流入した作動油によるパイロット圧をピストン側スプリング36側とは反対の側の端部にて受けることで円環状弁座31Aに近づくようになっている。ここで、パイロット用ピストン35の円環状弁座31Aの端部には凸部35Aが形成されており、パイロット用ピストン35は、パイロット圧を受けた際に凸部35Aによってパイロット用ポペット33を押し、これにより円環状弁座31Aの開口部を開放する。
【0046】
このようなロック弁30においては、パイロット用ポペット33が円環状弁座31Aの開口部を閉鎖した際、円筒状ケーシング31の内部空間のロック弁座14S側において作動油が閉じ込められることで、開閉ポペット32がロック弁座14Sから離間しようとする際に、円筒状ケーシング31の内部空間の作動油が開閉ポペット32の離間を阻止し、ロック弁30の閉鎖状態が維持される。これにより、アクチュエータAからスプール孔11に向かう方向の流れの遮断状態を維持することが可能となる。本実施の形態では、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とを遮断する状態(つまり、アクチュエータAに作動油を供給しない状態)においては、パイロット用ピストン35に対してパイロット圧を付与するための作動油を第2入力ポート54に供給しないことで、ロック弁30が閉鎖状態を維持するようになっている。
【0047】
一方で、パイロット用ピストン35がパイロット用ポペット33を押して円環状弁座31Aの開口部を開放した際には、絞り穴32Bに流入する作動油が、有底ガイド穴32A、内部空間32S、円筒状ケーシング31の内部のロック弁座14S側及び円環状弁座31Aを介して円筒状ケーシング31の内部のパイロット室形成カバー50側に流入する。この作動油は、円筒状ケーシング31に形成された径方向に貫通するロック弁側ドレン通路31D及び弁本体ブロック10に形成された弁本体ブロック側ドレン通路10Dを介して外部に排出される。本実施の形態では、弁本体ブロック側ドレン通路10Dの一部がスプール孔11の外周に形成され且つスプール孔11に開口しており、ロック弁30からの作動油はスプール20を迂回して排出されることになる。
【0048】
上述のように円環状弁座31Aの開口部を開放した際には、円筒状ケーシング31のロック弁座14S側の内部空間の作動油が流出する状態となるため、開閉ポペット32がロック弁座14Sから離間しようとする際に受ける抗力が減少する。これにより、開閉ポペット32は、スプール孔11からアクチュエータAに向かう方向でロック弁座14Sに対し上流側に位置するアクチュエータ通路14の通路部分の内部圧力が所定圧以上になった際に開放するようになる。本実施の形態は、パイロット用ピストン35に対してパイロット圧を付与するための作動油を、少なくとも供給通路12,13とアクチュエータ通路14とを接続する際(つまり、アクチュエータAに作動油を供給する際)に第2入力ポート54に供給するようになっている。
【0049】
リリーフ弁40について説明すると、本実施の形態におけるリリーフ弁40は、図1に示されるようにスプール20(或いはスプール孔11)の径方向においてロック弁30の外側に設けられ、特に径方向においてロック弁30と重なる位置に設けられている。リリーフ弁40はアクチュエータ通路14の内部圧力に応じて開閉する弁であり、詳しくは、アクチュエータ通路14におけるスプール孔11からアクチュエータAに向かう方向においてロック弁30よりも下流側に位置する通路内部の圧力に応じて開閉する。
【0050】
リリーフ弁40は弁本体ブロック10に設けられ、弁本体ブロック10に設けられた排出用通路100をアクチュエータ通路14の内部圧力に応じて開閉する。本実施の形態では、排出用通路100が上流部分10Gと下流部分10Eとを含み、リリーフ弁40は上流部分10Gと下流部分10Eとの間に形成される開閉位置としてのリリーフ弁座40Sを開閉するようになっている。リリーフ弁40は、円筒状のケーシング41と、ケーシング41の内部にスライド自在に設けられた弁体42とを有し、ケーシング41内に配置されたスプリングによって弁体42をリリーフ弁座40Sに常時付勢することによりリリーフ弁座40Sを閉鎖している。円筒状のケーシング41及び弁体42の軸方向は、スプール20乃至スプール孔11の軸方向と平行になっている。
【0051】
上流部分10Gは、アクチュエータ通路14におけるロック弁30よりも下流側に位置する通路内部からスプール軸方向の一方側に延在した後、径方向外側に延在し、その後、さらに軸方向の一方側に延在している。下流部分10Eは、上流部分10Gの軸方向の一方側の端部と接続し、弁本体ブロック10の内部でスプール孔11に向けて延在し且つタンク通路15と接続している。詳しくは、下流部分10Eはタンク通路15のスプール孔11への開口部分にスプール孔11の径方向の外側から接続する。これにより、下流部分10Eは弁本体ブロック10の内部でリリーフ弁40とタンク通路15とを接続し、リリーフ弁40が開放した際にアクチュエータ通路14をリリーフ弁40を介してタンク通路15に接続することが可能となっている。
【0052】
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。本実施の形態では、下流部分10Eの一部がロック弁30の外周に形成される環状の通路部分40Rにより形成され、ロック弁30の外周面が環状の通路部分40Rを画定している。より詳しくは、環状の通路部分40Rは、ロック弁30においてアクチュエータ通路14に対し露出せずに弁本体ブロック10に内蔵されたロック弁30の円筒状ケーシング31のうちの弁本体ブロック10側に位置する部分の外周に形成されており、円筒状ケーシング31の外周面が環状の通路部分40Rの内周面を画定している。また、図2に示されるように通路部分40Rを画定する円筒状ケーシング31の外周面は周囲の部分に対して径方向内側にへこんでいる。これにより、本実施の形態では、通路部分40Rの容積を弁本体ブロック10のサイズを抑えながら大きく確保することが可能となっている。
【0053】
次に、本実施の形態にかかる方向切換弁装置1の一部の動作について説明する。
【0054】
本実施の形態にかかる方向切換弁装置1では、供給通路12,13とアクチュエータ通路14とを遮断することにより、アクチュエータAに作動油が供給されない状態となる。この状態は、スプール20のランド部20Lによって下流側供給通路13のスプール孔11への開口部分を塞ぐことで形成される(図1参照)。
【0055】
この際、ロック弁30においてはパイロット用ピストン35に対してパイロット圧を付与するための作動油が第2入力ポート54に供給されないことで、パイロット用ポペット33が円環状弁座31Aの開口部を閉鎖した状態が維持され、円筒状ケーシング31の内部空間のロック弁座14S側において作動油が閉じ込められる状態が形成される。これにより、開閉ポペット32がロック弁座14Sから離間しようとする際に、上記閉じ込められた作動油が開閉ポペット32の離間を阻止することでロック弁30の閉鎖状態が維持される。以上により、アクチュエータAからスプール孔11に向かう方向の流れの遮断状態が維持され、アクチュエータA側からスプール孔11側に作動油が逆流しようとしも、作動油はスプール孔11への流入を防止されるため、アクチュエータAが不所望に動いてしまうことが抑制される。
【0056】
一方で、上述のようにロック弁30が閉鎖状態に維持されている状態において、例えば異常に起因して作動油の圧力が過剰に大きくなった場合には、作動油がリリーフ弁40の弁体42をケーシング41側に向けて押し込んで、弁体42をリリーフ弁座40Sから離間させる。これにより、リリーフ弁40が開放して作動油をタンク通路15に排出する。リリーフ弁40が開放した際には、アクチュエータ通路14からの作動油が弁本体ブロック10の内部において排出用通路100を介してタンク通路15に至り、その後、タンクTに排出される。これにより、本実施の形態では、異常高圧に起因するアクチュエータ通路14、アクチュエータA及びこれらを接続する配管等の損傷を回避することができる。
【0057】
以上に説明した本実施の形態にかかる方向切換弁装置1では、リリーフ弁40が開放した際に作動油を排出するためのリリーフ弁40の排出用通路100が弁本体ブロック10においてタンク通路15に接続される。これにより、他の方向切換弁装置と協働してリリーフ弁の排出経路を構成する必要のあった従来の構造に比較して、排出用通路100の構造が簡素化される。さらには方向切換弁装置1を他の方向切換弁装置と共に用いる場合において、他の方向切換弁装置によって生じる方向切換弁装置1に対する配列の制約も緩和される。したがって、リリーフ弁40が開閉する排出用通路100を複雑化することなくタンクTに接続することができるとともに、他の方向切換弁装置と共に用いられる場合の方向切換弁装置1の配列自由度を向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態におけるロック弁30は、スプール20の径方向においてスプール20とリリーフ弁40との間に設けられ、排出用通路100の一部は、ロック弁30の外周に形成される環状の通路部分40Rによって形成されており、ロック弁30の外周面は、環状の通路部分40Rを画定している。これにより、特に、排出用通路100をタンク通路15のスプール孔11への開口部分にスプール孔11の径方向の外側から接続する場合において、排出用通路100の長さを効果的に抑制することができることで、排出用通路100の形成に起因する方向切換弁装置1の大型化を抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施の形態においては、各種の変更が行われてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…方向切換弁装置
10…弁本体ブロック
11…スプール孔
12…上流側供給通路
13…下流側供給通路
14…アクチュエータ通路
14S…ロック弁座
15…タンク通路
20…スプール
30…ロック弁
31…円筒状ケーシング
31A…円環状弁座
31D…ロック弁側ドレン通路
32…開閉ポペット
32A…有底ガイド穴
32B…絞り穴
33…パイロット用ポペット
34…ポペット側スプリング
35…パイロット用ピストン
35A…凸部
36…ピストン側スプリング
40…リリーフ弁
40S…リリーフ弁座
40R…環状の通路部分
41…ケーシング
42…弁体
100…排出用通路
P…ポンプ
A…アクチュエータ
T…タンク
図1
図2
図3