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特許7134789電気設備の充電状態表示システム、およびそのプログラム、作業指揮装置、作業用端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】電気設備の充電状態表示システム、およびそのプログラム、作業指揮装置、作業用端末
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220905BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20220905BHJP
【FI】
H02J13/00 301K
G06Q10/00 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018159323
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020036414
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】丸山 智史
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109905(JP,A)
【文献】特開2017-010261(JP,A)
【文献】特開平11-150891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 - 23/02
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
H02J 3/00 - 5/00
H02J 13/00
H03J 9/00 - 9/06
H04Q 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業指揮装置と、当該作業指揮装置と通信接続可能な作業用端末とを備えた電気設備の充電状態表示システムであって、
前記作業指揮装置は、
複数の識別子にそれぞれ対応付けられた複数部分の電気設備を含む電気設備の配電系統図を現在の充電部と停電部とを識別可能な状態で記憶する配電系統図記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記配電系統図記憶手段により記憶された複数部分の電気設備を含む配電系統図の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の配電系統図を抽出し、当該抽出した配電系統図を前記作業用端末へ送信する配電系統図送信手段と
前記複数の識別子に対応付けて当該識別子に対応する部分の電気設備の配電系統が充電部であるか停電部であるかを示す充電状態を記憶する充電状態記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記充電状態記憶手段により記憶された複数の識別子に対応する複数部分の電気設備の充電状態の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の充電状態を読み出し、当該読み出した充電状態を前記作業用端末へ送信する充電状態送信手段とを備え、
前記作業用端末は、
ユーザ操作に応じて作業対象の電気設備の識別子を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段により入力された電気設備の識別子を前記作業指揮装置へ送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の配電系統図送信手段により送信された配電系統図を受信し、当該受信した配電系統図を表示部に表示させる配電系統図表示手段と
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の充電状態送信手段により送信された充電状態を受信し、当該受信した充電状態が充電部を示す場合は作業不可のメッセージを前記表示部に表示させ、停電部を示す場合は作業可のメッセージを前記表示部に表示させる作業可/不可メッセージ表示手段とを備えた、
電気設備の充電状態表示システム。
【請求項2】
前記作業指揮装置は、さらに、
前記電気設備の配電系統を複数の作業ステップ毎に予め決められた充電状態に設定するための手順書を記憶する手順書記憶手段と、
現在の作業ステップを記憶する作業ステップ記憶手段と、
前記手順書記憶手段により記憶された手順書に基づいて、前記電気設備の配電系統を、前記作業ステップ記憶手段により記憶された現在の作業ステップに応じた充電状態に設定する配電設定手段と、
前記配電設定手段により前記電気設備の配電系統を現在の作業ステップに応じた充電状態に設定した後に、前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記作業ステップ記憶手段により記憶された現在の作業ステップのデータと、準備完了を示す作業進捗情報とを、当該作業用端末へ送信する作業進捗情報送信手段と、
前記作業用端末から作業終了信号が受信された場合に、前記作業ステップ記憶手段により記憶された現在の作業ステップを更新する作業ステップ更新手段とを備え、
前記作業用端末は、さらに、
前記作業指揮装置の作業進捗情報送信手段により送信された現在の作業ステップのデータと準備完了を示す作業進捗情報とを受信し、当該現在の作業ステップと作業可を示すメッセージとを前記表示部に表示させる準備完了表示手段と、
前記準備完了表示手段により作業可を示すメッセージが表示された後に、ユーザ操作に応じて作業終了信号を前記作業指揮装置へ送信する作業終了送信手段とを備えた、
請求項に記載の電気設備の充電状態表示システム。
【請求項3】
作業指揮装置と、当該作業指揮装置と通信接続可能な作業用端末とを備えた電気設備の充電状態表示システムのプログラムであって、
前記作業指揮装置のコンピュータを、
複数の識別子にそれぞれ対応付けられた複数部分の電気設備を含む電気設備の配電系統図を現在の充電部と停電部とを識別可能な状態で記憶する配電系統図記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記配電系統図記憶手段により記憶された複数部分の電気設備を含む配電系統図の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の配電系統図を抽出し、当該抽出した配電系統図を前記作業用端末へ送信する配電系統図送信手段と
前記複数の識別子に対応付けて当該識別子に対応する部分の電気設備の配電系統が充電部であるか停電部であるかを示す充電状態を記憶する充電状態記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記充電状態記憶手段により記憶された複数の識別子に対応する複数部分の電気設備の充電状態の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の充電状態を読み出し、当該読み出した充電状態を前記作業用端末へ送信する充電状態送信手段として機能させるためのプログラムと、
前記作業用端末のコンピュータを、
ユーザ操作に応じて作業対象の電気設備の識別子を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段により入力された電気設備の識別子を前記作業指揮装置へ送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の配電系統図送信手段により送信された配電系統図を受信し、当該受信した配電系統図を表示部に表示させる配電系統図表示手段と
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の充電状態送信手段により送信された充電状態を受信し、当該受信した充電状態が充電部を示す場合は作業不可のメッセージを前記表示部に表示させ、停電部を示す場合は作業可のメッセージを前記表示部に表示させる作業可/不可メッセージ表示手段として機能させるためのプログラムとを備えた、
充電状態表示システムのプログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の電気設備の充電状態表示システムの作業指揮装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電気設備の充電状態表示システムの作業用端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気設備の充電状態表示システム、およびそのプログラム、作業指揮装置、作業用端末に関する。
【背景技術】
【0002】
電気設備の増設、更新、保守など、電気工事の作業を行なう際には、作業対象となる電気設備を停電状態にすることで、作業員の感電、感電による設備の停止あるいは設備の破損などを防止する必要がある。
【0003】
従来、電気工事に携わる作業員の感電を防止するための技術として、充電状態にある配電盤の扉を開くと警告を出力する装置、充電状態にある電気設備から所定の距離内に作業員が近付くと警告を出力するシステムなどが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-067704号公報
【文献】特開2011-250661号公報
【文献】特開2014-016801号公報
【文献】特開2017-122948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、インフラに関わる電気設備は、その運用の都合上、当該電気設備の動作を全面的に停止するのが難しいことがあり、充電部と停電部とを段階的に切り替えながらの作業が必要になる。
【0006】
作業員は、作業対象となる電気設備の段階的に切り替わる充電部と停電部とを記載した作業手順の書面(手順書)を確認しながら作業を進める。
【0007】
一方、電気設備を部分的に充電部と停電部とに切り替える操作は、当該電気設備の運用者が電気工事の現場から離れた管制室等で前記手順書に従い行なう。運用者は、充電部と停電部の切り替えの完了を、次の作業の準備完了として、電気工事の指揮者を経て作業員に連絡する。これにより、作業員は、作業対象の電気設備が手順書通りの充電部と停電部とに切り替えられたと認識し、所定の作業を開始する。
【0008】
しかしながら、作業員は、作業対象の電気設備が手順書通りの充電部と停電部とに正しく切り替えられているかを、目視では確認することができないため、前記運用者による切り替えの操作や、前記運用者から指揮者を経た作業員への準備完了の連絡過程等において、ヒューマンエラーが生じると、作業員が停電部であると認識したところが実際には充電部となっていて、その充電部に接触して感電する恐れがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、現場作業員により作業対象の電気設備の充電状態をリアルタイムに確認することが可能になる電気設備の充電状態表示システム、およびそのプログラム、作業指揮装置、作業用端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の電気設備の充電状態表示システムは、
作業指揮装置と、当該作業指揮装置と通信接続可能な作業用端末とを備えた電気設備の充電状態表示システムであって、
前記作業指揮装置は、
複数の識別子にそれぞれ対応付けられた複数部分の電気設備を含む電気設備の配電系統図を現在の充電部と停電部とを識別可能な状態で記憶する配電系統図記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記配電系統図記憶手段により記憶された複数部分の電気設備を含む配電系統図の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の配電系統図を抽出し、当該抽出した配電系統図を前記作業用端末へ送信する配電系統図送信手段と
前記複数の識別子に対応付けて当該識別子に対応する部分の電気設備の配電系統が充電部であるか停電部であるかを示す充電状態を記憶する充電状態記憶手段と、
前記作業用端末から電気設備の識別子が受信された場合に、前記充電状態記憶手段により記憶された複数の識別子に対応する複数部分の電気設備の充電状態の中から、当該受信された識別子に対応する部分の電気設備の充電状態を読み出し、当該読み出した充電状態を前記作業用端末へ送信する充電状態送信手段とを備え、
前記作業用端末は、
ユーザ操作に応じて作業対象の電気設備の識別子を入力する識別子入力手段と、
前記識別子入力手段により入力された電気設備の識別子を前記作業指揮装置へ送信する識別子送信手段と、
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の配電系統図送信手段により送信された配電系統図を受信し、当該受信した配電系統図を表示部に表示させる配電系統図表示手段と
前記識別子送信手段による識別子の送信に応答して、前記作業指揮装置の充電状態送信手段により送信された充電状態を受信し、当該受信した充電状態が充電部を示す場合は作業不可のメッセージを前記表示部に表示させ、停電部を示す場合は作業可のメッセージを前記表示部に表示させる作業可/不可メッセージ表示手段とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の充電状態表示システム1の全体構成を示す図。
図2】前記充電状態表示システム1の作業指揮装置10と作業用端末20の電子回路の構成を示すブロック図。
図3】前記作業指揮装置10に配電系統充電状態データ13bとして記憶される全配電系統を示す図。
図4】前記配電系統充電状態データ13bとして記憶される全配電系統図のうち作業対象となるC電気室CEの各配電盤301~307の配電系統を示す図。
図5】前記作業指揮装置10の作業管理処理および状態データ提供処理に従い生成される配電盤状態データ13dを示す図。
図6】前記作業指揮装置10の作業管理処理を示すフローチャート。
図7】前記作業指揮装置10において前記作業用端末20からの通信接続要求に応じて割込みにより実行される状態データ提供処理を示すフローチャート。
図8】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理を示すフローチャート。
図9A】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その1)を示す図。
図9B】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その2)を示す図。
図9C】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その3)を示す図。
図9D】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その4)を示す図。
図9E】前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その5)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の電気設備の充電状態表示システムについて、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施形態の充電状態表示システム1の全体構成を示す図である。
【0014】
本実施形態の充電状態表示システム1は、あらゆる種類の電気設備に適用可能であるが、ここでは、当該充電状態表示システム1を、配電盤30(301~30n)に適用した場合について説明する。
【0015】
充電状態表示システム1は、作業指揮装置10と、当該作業指揮装置10と通信ネットワークNを介して通信接続可能な作業用端末20(201~20n)とを備える。
【0016】
作業指揮装置10は、PC(personal computer)、クラウド上のサーバ装置、あるいは前記配電盤30を含む電源系統の管制装置等を使用して構成し、例えば、前記配電盤30の電気工事を行なう作業指揮者により使用される。
【0017】
作業用端末20は、スマートフォン等のタブレット端末を使用して構成し、例えば、前記配電盤30の電気工事を行なう現場の作業員により使用される。
【0018】
通信ネットワークNは、wi-fi(登録商標)、LAN(local area network)、インターネット等を利用して構成し、作業指揮装置10と通信ネットワークNとの間、作業用端末20と通信ネットワークNとの間は、何れも無線により通信可能な構成とするのが望ましい。
【0019】
作業指揮装置10は、少なくとも、以下(A)~(C)の機能を有する。
【0020】
(A)電気工事の対象となる全ての配電盤30(301~30n)を含む配電系統の現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な全配電系統図のデータ(配電系統充電状態データ13b:図2図4参照)を取得する機能(配電系統図記憶手段)。
【0021】
(B)作業用端末20(201~20n)と通信接続する機能。
【0022】
(C)作業用端末20から、前記配電盤30(301~30n)のうち何れかの配電盤30nの識別子No.nを受信することに応じて、当該識別子No.nに対応する配電盤30nの現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な配電系統図のデータを、前記配電系統充電状態データ13bから抽出し、当該抽出した配電盤30nの配電系統図のデータを、前記作業用端末20へ送信する機能(配電系統図送信手段)。
【0023】
作業用端末20は、少なくとも、以下(a)(b)(c)の機能を有する。
【0024】
(a)作業指揮装置10と通信接続する機能。
【0025】
(b)前記配電盤30(301~30n)のうち、作業対象とする何れかの配電盤30nの識別子No.nを入力し(識別子入力手段)、入力した識別子No.nを前記作業指揮装置10へ送信する機能(識別子送信手段)。
【0026】
(c)前記作業対象とする配電盤30nの識別子No.nを、前記作業指揮装置10へ送信することに応じて、当該作業指揮装置10から送信された当該識別子No.nに対応する配電盤30nの現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な配電系統図のデータを受信し、受信した配電盤30nの配電系統図のデータを個別配電系統画面Gnとして表示する機能(配電系統図表示手段)。
【0027】
図1に示す充電状態表示システム1において、作業指揮装置10は、配電盤30(301~30n)の全体の現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な全配電系統図のデータを展開した全配電系統画面Gを表示部11に表示した状態を示している。
【0028】
また、作業用端末20(201~10n)は、それぞれ、各配電盤301~30nの識別子No.1~No.nに対応して前記作業指揮装置10から受信された個別の配電盤301~30nの配電系統図のデータを展開した個別配電系統画面G1~Gnをタッチパネル付表示部21に表示した状態を示している。
【0029】
これにより、作業員は、作業用端末20nに表示された、作業対象となる配電盤30nの現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な個別配電系統画面Gnに基づいて、当該配電盤30nの現在の充電部Rと停電部Bとをリアルタイムに確認しながら、安全に作業を進めることができる。
【0030】
図2は、前記充電状態表示システム1の作業指揮装置10と作業用端末20の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0031】
(作業指揮装置10)
作業指揮装置10は、制御部であるCPU(central processing unit)12を備え、CPU12は、記憶部13に記憶された電源系統作業指揮プログラム13aを読み込んで実行し、回路各部の動作を制御する。
【0032】
電源系統作業指揮プログラム13aは、記憶部13に予め記憶されていてもよいし、CD-ROM等の外部記録媒体14から記録媒体読取部15により読み取って記憶部13に記憶させてもよいし、通信ネットワークN上のWebサーバ40(この場合はプログラムサーバ)から通信部16を介してダウンロードし記憶部13に記憶させてもよい。
【0033】
前記記憶部13には、配電系統充電状態データ13b、作業手順データベース13c、および配電盤状態データ13dも記憶される。
【0034】
配電系統充電状態データ13bは、電気工事の対象となる全ての配電盤30(301~30n)を含む配電系統の現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な全配電系統図のデータ(図3参照)を含み、本作業指揮装置10が、例えば、PCやサーバ装置を使用して構成される場合、前記全ての配電盤(301~30n)を含む配電系統を管制している管制装置(図示せず)から、その管制対象の全配電系統図のデータをリアルタイムに取り込んで記憶部13に記憶させる(配電系統図記憶手段)。
【0035】
作業手順データベース13cは、電気工事の対象(作業対象)となる配電盤30(301~30n)の作業ステップ(1~m)毎に段階的に切り替える当該配電盤30(301~30n)の充電部Rと停電部Bとを定めた配電設定のデータと、同作業ステップ(1~m)毎の作業内容のデータと、を含む手順書のデータベースである(手順書記憶手段)。
【0036】
配電盤状態データ13d(図5参照)は、作業対象となる配電盤30(301~30n)の設備名、配電盤301~30n毎の識別子No.1~No.n、配電盤301~30n毎の充電状態(充電/停電/全停電)、今回の作業手順(作業ステップ)、配電盤301~30n毎の作業進捗情報(対象外/準備中→準備完了→作業終了)のデータを含む。
【0037】
前記配電盤30(301~30n)の設備名、配電盤301~30n毎の識別子No.1~No.nは、作業対象となる配電盤30(301~30n)に応じてユーザにより指定された前記手順書のデータから取得される。
【0038】
前記配電盤301~30n毎の充電状態(充電/停電/全停電)は、前記配電系統充電状態データ13bとして記憶された全配電系統図のデータに基づき、前記識別子No.nに該当する配電盤30nの母線を含む全系統が充電部Rである場合“充電”となり、同該当する配電盤30nの母線を除く系統が停電部Bである場合“停電”となり、同該当する配電盤30nの母線を含む全系統が停電部Bである場合“全停電”となる(充電状態記憶手段)。
【0039】
前記今回の作業手順(作業ステップ)は、初期設定で“1”となり、前記配電盤301~30n毎の作業進捗情報が全て“作業終了”となった場合に次の作業ステップに更新される(作業ステップ記憶手段)(作業ステップ更新手段)。
【0040】
前記配電盤301~30n毎の作業進捗情報(対象外/準備中→準備完了→作業終了)は、前記ユーザにより指定された手順書のデータと前記今回の作業ステップとに基づき、(1)前記識別子No.nに該当する配電盤30nが今回の作業の対象外である場合“対象外”となり、(2)同該当する配電盤30nが今回の作業対象であって且つ今回の作業ステップに対応する配電設定への切り替えを開始する場合“準備中”となり、(3)各配電盤301~30nの今回の作業ステップに対応する配電設定への切り替えに応じて、当該各配電盤301~30nの充電状態が今回の作業ステップに対応する配電設定の充電状態と全て一致した場合“準備完了”となり(作業進捗情報送信手段)、(4)同該当する配電盤30nの識別子No.nを送信した作業用端末20nから「作業終了」の信号を受信した場合“作業終了”となる。
【0041】
CPU12には、バス(bus)を介して、前記表示部11、記憶部13、記録媒体読取部15、通信部16が接続される他に、キーボードやマウス等の入力部17が接続される。
【0042】
このように構成された作業指揮装置10は、前記CPU12が前記電源系統作業指揮プログラム13aに記述された命令に従い各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、後述の動作説明で述べるような、作業管理処理(図6)および状態データ提供処理(図7)を実現する。
【0043】
(作業用端末20)
作業用端末20は、制御部であるCPU22を備え、CPU22は、記憶部23に記憶された配電盤状態表示プログラム23aを読み込んで実行し、回路各部の動作を制御する。
【0044】
配電盤状態表示プログラム23aは、記憶部23に予め記憶されていてもよいし、メモリカード等の外部記録媒体24から記録媒体読取部25により読み取って記憶部23に記憶させてもよいし、通信ネットワークN上のWebサーバ40(この場合はプログラムサーバ)から通信部26を介してダウンロードし記憶部23に記憶させてもよい。
【0045】
前記記憶部23には、配電盤識別子データ23b、および個別配電盤状態データ(配電系統図含む)23cも記憶される。
【0046】
配電盤識別子データ23bは、ユーザ操作に応じて入力された作業対象となる配電盤30nの識別子No.nのデータである。
【0047】
個別配電盤状態データ(配電系統図含む)23cは、前記作業対象となる配電盤30nの識別子No.nを前記作業指揮装置10に送信したことに応じて、当該作業指揮装置10から受信された当該識別子No.nに対応する配電盤30nの現在の配電系統図のデータおよび配電盤状態データ13d(識別子・充電状態・作業ステップ・作業進捗情報)である。
【0048】
CPU22には、バス(bus)を介して、前記タッチパネル付表示部21、記憶部23、記録媒体読取部25、通信部26が接続される他に、音声入出力部27、撮像部28が接続される。
【0049】
このように構成された作業用端末20は、前記CPU22が前記配電盤状態表示プログラム23aに記述された命令に従い各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べるような、配電盤状態表示処理(図8)を実現する。
【0050】
次に、前記構成の充電状態表示システム1の動作について説明する。
【0051】
ここでは、作業指揮装置10の記憶部13に記憶される配電系統充電状態データ13bとして、例えば、図3および図4に示すように、現在の充電部Rと停電部Bとを色や線種で識別可能な状態で、今回の作業対象のC電気室CEの各配電盤301~307を含む全配電系統図のデータが記憶されると仮定する(配電系統図記憶手段)。
【0052】
図3は、前記作業指揮装置10に配電系統充電状態データ13bとして記憶される全配電系統を示す図である。
【0053】
図4は、前記配電系統充電状態データ13bとして記憶される全配電系統図のうち作業対象となるC電気室CEの各配電盤301~307の配電系統を示す図である。
【0054】
図5は、前記作業指揮装置10の作業管理処理および状態データ提供処理に従い生成される配電盤状態データ13dを示す図である。
【0055】
図6は、前記作業指揮装置10の作業管理処理を示すフローチャートである。
【0056】
前記作業指揮装置10において、ユーザ(作業指揮者)の操作に応じて、作業手順データベース13c(手順書記憶手段)に記憶されている複数の電気工事を対象とする各作業手順(手順書)のうち、今回の作業対象のC電気室CEの作業手順が指定されると(ステップS1)、CPU12は、指定された作業手順(手順書)に記述されている設備名“C電気室配電盤”と各配電盤301~307の識別子“No.1”~“No.7”とを読み出し、配電盤状態データ13dの設備名と識別子として書き込む(ステップS2)。
【0057】
また、CPU12は、前記配電系統充電状態データ13bとして記憶されている現在の充電部Rと停電部Bとを識別可能な全配電系統図のうち、前記配電盤状態データ13dとして書き込まれた各識別子“No.1”~“No.7”により示される各配電盤301~307の配電系統図に基づき、当該各配電盤301~307の充電状態(充電/停電/全停電)を判定し、前記配電盤状態データ13dの各識別子“No.1”~“No.7”に対応付けて書き込む(ステップS3)(充電状態記憶手段)。
【0058】
また、CPU12は、前記配電盤状態データ13dの作業手順(作業ステップ)を“1”に初期設定し(ステップS4)(作業ステップ記憶手段)、当該作業ステップ“1”に対応して前記指定の作業手順(手順書)で定められている配電設定のデータに基づき、前記各配電盤301~307の配電系統を当該配電設定に応じた充電状態にするように、例えば、当該各配電盤301~307を含む全配電系統の管制室に準備要求を通知する(ステップS5)(配電設定手段)。
【0059】
CPU12は、前記配電盤状態データ13dの各識別子“No.1”~“No.7”のうち、前記指定の作業手順(手順書)に従い今回の作業ステップ(ここでは“1”)にて作業の対象外とされている配電盤301,302,306,307の各識別子“No.1”“No.2”“No.6”“No.7”に対応付けて、作業進捗情報“対象外”を書き込み、また、それ以外の各識別子“No.3”~“No.5”に対応付けて、作業進捗情報“準備中”を書き込む(ステップS6)。
【0060】
この後、前記準備要求を通知した全配電系統の管制室から本作業指揮装置10に対し、準備完了が通知されると(ステップS7(Yes))、CPU12は、再び、前記配電盤状態データ13dの各識別子“No.1”~“No.7”により示される各配電盤301~307の充電状態(充電/停電/全停電)を判定し、当該各識別子“No.1”~“No.7”に対応付けて上書きして書き込む(ステップS8)(充電状態記憶手段)。
【0061】
CPU12は、前記ステップS8にて書き込んだ各配電盤301~307の充電状態が、現在の作業ステップ(ここでは“1”)に対応して定められている配電設定に応じた充電状態に一致するか否かを判定し(ステップS9)(配電設定手段)、一致したと判定されると(ステップS9(Yes))、前記配電盤状態データ13dにおいて“準備中”となっている各配電盤303~305の識別子“No.3”~“No.5”に対応する作業進捗情報を、“準備完了”に書き替える(ステップS10)(作業進捗情報送信手段)。
【0062】
この後、後述にて説明する状態データ提供処理(図7)に従った、各配電盤301~307の作業員が使用する作業用端末201~207(ここでは、前記配電盤状態データ13dの作業進捗情報“対象外”を除く識別子“No.3”~“No.5”の各配電盤303~305の作業用端末203~205)からの「作業終了」信号の受信に応じて、CPU12により、当該各配電盤303~305の識別子“No.3”~“No.5”に対応する前記配電盤状態データ13dの作業進捗情報が、前記“準備完了”から全て“作業終了”に書き替えられたと判定されると(ステップS11(Yes))、CPU12は、前記配電盤状態データ13dの作業手順(作業ステップ)が、前記指定の手順書に記述されている最終の作業ステップに到達したか否かを判定する(ステップS12)。
【0063】
ここで、前記配電盤状態データ13dの作業ステップが、前記最終の作業ステップに到達していないと判定されると(ステップS12(No))、CPU11は、前記ステップS4の処理に戻り、前記配電盤状態データ13dの作業ステップを更新し(作業ステップ記憶手段)(作業ステップ更新手段)、当該更新した作業ステップにて、前記ステップS5~S12の処理を同様に繰り返す。
【0064】
この後、前記配電盤状態データ13dの作業ステップが、前記最終の作業ステップに到達したと判定されると(ステップS12(Yes))、CPU11は、前記一連の作業管理処理を終了する(END)。
【0065】
図7は、前記作業指揮装置10において前記作業用端末20からの通信接続要求に応じて割込みにより実行される状態データ提供処理を示すフローチャートである。
【0066】
図8は、前記作業用端末20の配電盤状態表示処理を示すフローチャートである。
【0067】
図9A図9Eは、前記作業用端末20の配電盤状態表示処理に従った表示動作(その1~その5)を示す図である。
【0068】
前記作業用端末20において、ユーザ(作業員)の操作に応じて、CPU22は、前記作業指揮装置10に対する通信接続要求の信号を送信し、当該作業指揮装置10と通信接続する(ステップT1)。
【0069】
ユーザ(作業員)の操作に応じて、作業対象となる配電盤30nの、例えば、扉に表記されている識別子“No.n”が入力されると(ステップT2)(識別子入力手段)、CPU22は、入力された識別子“No.n”のデータを、前記通信接続した作業指揮装置10へ送信する(ステップT3)(識別子送信手段)。ここで、作業対象となる配電盤30nの識別子“No.n”は、タッチパネル付表示部21に表示させたソフトキーボードを操作して入力してもよいし、前記扉等に表記されている識別子“No.n”を撮像部28により撮影し文字認識させることで入力してもよい。
【0070】
前記作業指揮装置10において、CPU12は、前記作業用端末20からの通信接続要求に応じて、当該作業用端末20と通信接続する(ステップSa1)。
【0071】
また、作業指揮装置10において、CPU12は、前記作業用端末20から送信された前記ユーザ(作業員)が作業対象とする配電盤30nの識別子“No.n”を受信する(ステップSa2)。
【0072】
すると、CPU12は、前記作業用端末20から受信された識別子“No.n”に対応する配電盤30nの配電系統図のデータを、前記配電系統充電状態データ13bとして記憶されている現在の充電部Rと停電部Bとの識別が可能な全配電系統図のデータから抽出し、また、前記作業用端末20から受信された識別子“No.n”に対応する配電盤状態データ13d(識別子・充電状態・作業ステップ・作業進捗情報)を読み出し、当該抽出した配電盤30nの配電系統図のデータ、および当該読み出した同配電盤30nの配電盤状態データ13d(識別子・充電状態・作業ステップ・作業進捗情報)を、当該識別子“No.n”の送信元である作業用端末20に送信する(ステップSa3)(配電系統図送信手段)(充電状態送信手段)(作業進捗情報送信手段)。
【0073】
前記作業用端末20において、前記作業指揮装置10から送信された当該作業用端末20のユーザ(作業員)が作業対象とする配電盤30nの配電系統図のデータおよび同配電盤30nの配電盤状態データ13d(識別子・充電状態・作業ステップ・作業進捗情報)が受信されると(ステップT4)、CPU22は、例えば、図9Aに示すように、受信された配電盤302(図3図4参照)の配電盤状態データ13dに基づいて、当該配電盤302の識別子[No.2]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および同配電盤302の配電系統図のデータを展開した個別配電系統画面G2をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT5)(配電系統図表示手段)。
【0074】
図9Aは、前記作業用端末20において、配電盤302(図3図4参照)の識別子“No.2”を入力した場合に、前記作業指揮装置10から受信された当該配電盤302の識別子[No.2]、作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G2を表示させた状態を示している。
【0075】
ここで、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前記配電盤302の識別子[No.2]、作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G2の表示に基づいて、現在の作業ステップが“1”であること、および配電盤302の現在の配電系統はその母線Lmおよび子線Lcを含めて充電部Rとなっていることをリアルタイムに確認できる。
【0076】
そして、前記作業用端末20において、CPU22は、以下に説明するように、前記ステップT4にて作業指揮装置10から受信されたユーザ(作業員)が作業対象とする配電盤30nの配電盤状態データ13dに基づいて、当該配電盤状態データ13dの充電状態および作業進捗情報に応じた作業用メッセージM1~M5(図9A図9E参照)の表示処理等を行なう(ステップT6~T19)(作業可/不可メッセージ表示手段)。
【0077】
すなわち、前記作業指揮装置10から受信された、例えば、識別子“No.2”に対応する配電盤302の配電盤状態データ13dについて、CPU22により、作業進捗情報が“対象外”であるか、又は、充電状態が“充電”であると判定されると(ステップT6(Yes))、CPU22は、図9Aに示すように、前記ステップT5にて表示した当該配電盤302の識別子[No.2]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G2と共に、作業用メッセージ「作業不可」M1をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT7)(作業不可メッセージ表示手段)。
【0078】
これにより、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前述したように、現在の作業ステップが“1”であること、および現在の配電盤302の配電系統が充電部Rとなっていることをリアルタイムに確認できるだけでなく、当該作業ステップ“1”では同配電盤302に対する作業が不要であること、又は、同配電盤302の配電系統が充電部Rとなっていて危険であることで、同配電盤302が「作業不可」であることを明確に確認できるようになる。
【0079】
図9Bは、前記作業用端末20において、配電盤304(図3図4参照)の識別子“No.4”を入力した場合に、前記作業指揮装置10から受信された当該配電盤304の識別子[No.4]、作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4を表示させた状態を示している。
【0080】
ここで、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前記配電盤304の識別子[No.4]、作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4の表示に基づいて、現在の作業ステップが“1”であること、および現在の配電盤304の配電系統はその母線Lmおよび子線Lcを含めて充電部Rとなっていることをリアルタイムに確認できる。
【0081】
そして、前記作業指揮装置10から受信された、識別子“No.4”に対応する配電盤304の配電盤状態データ13dについて、CPU22により、作業進捗情報が“準備中”であると判定されると(ステップT8(Yes))、CPU22は、図9Bに示すように、前記ステップT5にて表示した当該配電盤304の識別子[No.4]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4と共に、作業用メッセージ「準備中」M2をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT9)。
【0082】
これにより、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前述したように、現在の作業ステップが“1”であること、および配電盤304の現在の配電系統が充電部Rとなっていることをリアルタイムに確認できるだけでなく、同配電盤304の配電系統が作業ステップ“1”に応じた配電設定への切り替え中であり、且つ同配電盤304の配電系統が充電部Rとなっていて危険であるために、同配電盤304は「準備中」であることを明確に確認できるようになる。
【0083】
この後、前記配電盤304を作業対象としているユーザ(作業員)の作業用端末20において、前記ステップT4にて作業指揮装置10(作業進捗情報送信手段)から再び受信された、前記識別子“No.4”に対応する配電盤304の配電盤状態データ13dについて、CPU22により、作業進捗情報が“準備完了”であって、且つ充電状態が”停電“であると判定されると(ステップT10(Yes)→T11(停電))、CPU22は、図9Cに示すように、前記ステップT5にて表示した当該配電盤304の識別子[No.4]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4と共に、作業用メッセージ「充電部に注意して作業可」M3をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT12)(作業可メッセージ表示手段)(準備完了表示手段)。またCPU22は、[作業終了]アイコンEiをタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT14)。
【0084】
これにより、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前述したように、現在の作業ステップが“1”であること、および現在の配電盤304の配電系統のうち母線Lmが充電部Rで子線Lcが停電部Bとなったことをリアルタイムに確認できるだけでなく、同配電盤304の配電系統に対する作業ステップ“1”に応じた配電設定への切り替えが完了し、同配電盤304の子線Lcが停電部Bとなったため、同配電盤304は「充電部に注意して作業可」であることを明確に確認できるようになる。
【0085】
また、前記同様に、配電盤304を作業対象としているユーザ(作業員)の作業用端末20において、前記ステップT4にて作業指揮装置10(作業進捗情報送信手段)から再び受信された、前記識別子“No.4”に対応する配電盤304の配電盤状態データ13dについて、CPU22により、作業進捗情報が“準備完了”であって、且つ充電状態が”全停電“であると判定されると(ステップT10(Yes)→T11(全停電))、CPU22は、図9Dに示すように、前記ステップT5にて表示した当該配電盤304の識別子[No.4]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4と共に、作業用メッセージ「作業可」M4をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT13)(作業可メッセージ表示手段)(準備完了表示手段)。またCPU22は、[作業終了]アイコンEiをタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT14)。
【0086】
これにより、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前記同様に、現在の作業ステップが“1”であること、および現在の配電盤304の配電系統が全て停電部Bとなったことをリアルタイムに確認できるだけでなく、同配電盤304の配電系統に対する作業ステップ“1”に応じた配電設定への切り替えが完了し、同配電盤304が完全に停電部Bとなったため、同配電盤304は安全に「作業可」であることを明確に確認できるようになる。
【0087】
前記図9Cまたは図9Dで示した作業用端末20において、前記配電盤304に対するユーザ(作業員)の作業が終了したことで、当該ユーザ(作業員)により[作業終了]アイコンEiが操作されると(ステップT15(Yes))、CPU22は、「作業終了」信号を前記作業指揮装置10へ送信する(ステップT16)(作業終了送信手段)。
【0088】
前記作業指揮装置10において、前記作業用端末20から送信された「作業終了」信号が受信されると(ステップSa4(Yes))、CPU12は、前記ステップSa2にて受信したユーザ指定の識別子“No.n”に対応する前記配電盤状態データ13d(図5参照)の作業進捗情報を、“準備完了”から“作業終了”に書き替える(ステップSa5)。
【0089】
そして、CPU12により、前記配電盤状態データ13d(図5参照)の現在の作業ステップが最終の作業ステップに到達したと判定され(ステップSa6(Yes))、且つ前記作業用端末20との通信接続が遮断されたと判定されるまで(ステップSa7(Yes))、前記ステップSa3からの処理に戻り、前記ユーザ指定の識別子“No.n”に対応する配電盤30nの次の作業ステップでの配電系統図のデータおよび前記作業管理処理(図6参照)にて生成される当該次の作業ステップでの配電盤状態データ13d(図5参照)の送信が実行される(ステップSa3~Sa7)。
【0090】
また、前記配電盤304を作業対象としているユーザ(作業員)の作業用端末20において、前記ステップT4にて作業指揮装置10から受信された、前記識別子“No.4”に対応する配電盤304の配電盤状態データ13dについて、CPU22により、作業進捗情報が“作業終了”であると判定されると(ステップT18(Yes)→T19)、CPU22は、図9Eに示すように、前記ステップT5にて表示した当該配電盤304の識別子[No.4]、現在の作業ステップ<<ステップ1>>、および個別配電系統画面G4と共に、作業用メッセージ「作業終了」M5をタッチパネル付表示部21に表示させる(ステップT19)。
【0091】
これにより、前記作業用端末20のユーザ(作業員)は、前述したように、現在の作業ステップが“1”であること、および現在の配電盤304の配電系統のうち母線Lmが充電部Rで子線Lcが停電部Bとなっていることをリアルタイムに確認できるだけでなく、同配電盤304の配電系統に対する作業ステップ“1”の作業が終了したことを明確に確認できるようになる。
【0092】
前記ステップT16にて「作業終了」信号を前記作業指揮装置10へ送信した後に、または、前記ステップT19にて作業用メッセージ「作業終了」M5を表示した後に、現在の作業ステップが最終の作業ステップに到達していないと判定されると(ステップT17(No))、CPU22は、前記ステップT4からの処理に戻り、前記作業指揮装置10から次の作業ステップに更新した状態での指定の識別子“No.n”に対応する配電盤30nの配電系統図のデータおよび同配電盤30nの配電盤状態データ13dを受信し、前記ステップT5~T19の処理を同様に繰り返す。
【0093】
この後、前記ステップT17において、現在の作業ステップが最終の作業ステップに到達したと判定されると(ステップT17(Yes))、CPU22は、前記一連の配電盤状態表示処理を終了する(END)。
【0094】
したがって、前記構成の充電状態表示システム1によれば、作業用端末20において、ユーザ(作業員)が作業対象とする電気設備(配電盤30n)の識別子No.nを入力し、作業指揮装置10へ送信させると、当該作業指揮装置10から、前記識別子No.nに対応する配電盤30nの現在の充電部Rと停電部Bとを識別可能な配電系統図のデータおよび同配電盤30nの充電状態(充電/停電/全停電)と現在の作業ステップと作業進捗情報(対象外/準備中→準備完了→作業終了)とを含む配電盤状態データ13dが受信される。
【0095】
そして、受信された前記配電盤30nの配電系統図を展開した個別配電系統画面Gnおよび現在の作業ステップが表示されると共に、受信された配電盤状態データ13dの充電状態と作業進捗情報とに応じて、前記ユーザ(作業員)に作業を指揮するための作業用メッセージM1「作業不可」、又は「準備中」M2、又は「充電部に注意して作業可」M3、又は「作業可」M4、又は「作業終了」M5が選択的に表示される。
【0096】
なお、前記作業用メッセージM1~M5を表示させる際には、当該各作業用メッセージM1~M5に応じた警告等の音声を音声入出力部27から出力させる構成としてもよい。
【0097】
これにより、前記ユーザ(作業員)は、作業対象の電気設備(配電盤30n)の充電状態をリアルタイムに確認することが可能になり、安全に作業を進めることができるだけでなく、現在の作業ステップと作業用メッセージM1~M5とを確認し、更に安全かつタイムロスなく確実に作業を進めることができようになる。
【0098】
前記各実施形態において記載した充電状態表示システム1による各処理の手法、すなわち、図6および図7のフローチャートに示す作業指揮装置10による作業管理処理および状態データ提供処理、図8のフローチャートに示す作業用端末20による配電盤状態表示処理等の各手法は、何れもコンピュータ(CPU)に実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体に格納して配布することができる。そして、通信機能を有する電子機器のコンピュータ(CPU)は、この外部記録媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した作業管理機能および状態データ提供機能と、配電盤状態表示機能とを実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0099】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記プログラムのデータを通信機能を有する電子機器に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した作業管理機能および状態データ提供機能と、配電盤状態表示機能とを実現することもできる。
【0100】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0101】
1…充電状態表示システム、10…作業指揮装置、12、22…CPU、
13a…電源系統作業指揮プログラム、13b…配電系統充電状態データ、
13c…作業手順データベース、13d…配電盤状態データ、20…作業用端末、
23a…配電盤状態表示プログラム、23b…配電盤識別子データ、
23c…個別配電盤状態データ、13、23…記憶部、16,26…通信部、
30…配電盤(電気設備)、G…全体配電系統画面、Gn…個別配電系統画面、
R…充電部、B…停電部、Lm…母線、Lc…子線、N…通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E