(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】液面検出装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
G01F 23/32 20060101AFI20220905BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20220905BHJP
F02M 37/10 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
G01F23/32 Z
F02M37/00 301R
F02M37/10 H
(21)【出願番号】P 2018194222
(22)【出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 健弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耕史
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡志
(72)【発明者】
【氏名】武村 盛博
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202232(JP,A)
【文献】特開2014-109255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0180328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/30-23/76
F02M37/04-37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に配置される被取付部材と、
前記燃料タンク内の燃料の液面位置を検出する液面検出装置と、
を備えており、
前記液面検出装置が有する取付部材を前記被取付部材に一方向にスライドさせることにより取り付ける液面検出装置の取付構造であって、
前記被取付部材には、前記取付部材の
上下方向に延在する少なくとも2本のレール部が並列的に設けられており、
前記取付部材には、前記少なくとも2本の前記レール部に
対して上方から下方へスライドさせることにより取付可能な
左右一対の取付部が設けられており、
前記
各取付部は、前記レール部にスライド可能に嵌合する嵌合部と、前記レール部の嵌合側の端部に当接して前記嵌合部の移動を規制する規制部と、前記レール部の嵌合側とは反対側の端部に弾性的に係合して該レール部を抜け止めする抜け止め部と、を有しており、
前記嵌合部は、中空筒状に形成されており、
前記規制部は、前記嵌合部の上面開口部を閉鎖するように形成されており、
前記抜け止め部は、前記嵌合部の下端部に略U字形板状に形成されており、
前記抜け止め部は、前記嵌合部から下方へ延在しかつ板厚方向に弾性変形可能に形成された左右一対の側片部と、該一対の側片部の下端部を相互に連結する抜け止め片部と、を有しており、
前記抜け止め片部は、前記嵌合部を前記レール部に嵌合する際に、前記一対の側片部の弾性変形を利用して該レール部の側面に当接しつつ摺動し、該レール部の下端面を通過すると前記一対の側片部の弾性復元により該レール部の下端面に係合する、液面検出装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の液面検出装置の取付構造であって、
前記レール部は断面C字状の外周面を有する略円柱状に形成されており、
前記嵌合部は断面C字状の内周面を有する略円筒状に形成されている、液面検出装置の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液面検出装置の取付構造であって、
前記被取付部材は
前記燃料タンク内に配置されるサブタンクである、液面検出装置の取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の液面検出装置の取付構造であって、
前記サブタンクには、前記レール部が前記取付部材の取付位置を選択可能に配置されている、液面検出装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、液面検出装置の取付構造に関する。詳しくは、燃料タンク内の燃料の液面位置を検出する液面検出装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された液面検出装置の取付構造がある(
図17参照)。
図17に示すように、液面検出装置の取付構造は、燃料タンク内に配置されるサブタンク1010に、液面検出装置の本体部1050を一方向(上方から下方)にスライドさせることにより取り付けられる。本体部1050の両側に、スライド方向に延在する嵌合部1060が設けられている。本体部1050のスライド方向の先端部に、被掛止爪1071を有する被掛止部1070が形成されている。サブタンク1010には、本体部1050の嵌合部1060と嵌合する被嵌合溝1111を有する被嵌合部1110が形成されている。また、サブタンク1010には、被掛止部1070の被掛止爪1071と弾性的に掛止する掛止部1120と、掛止部1120を片持ち梁状に支持する支持部1122と、が形成されている。
【0003】
サブタンク1010に本体部1050を取り付けるときには、両嵌合部1060を両被嵌合部1110の被嵌合溝1111に沿って上方から下方へ一方向にスライドさせ、被掛止部1070の先端を支持部1122に当接させる。また、掛止部1120が被掛止部1070の被掛止爪1071に弾性的に掛止することによって、本体部1050の取り付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例(特許文献1参照)では、本体部1050の嵌合部1060とサブタンク1010の被嵌合部1110とにより、一対のスライド案内手段が構成されている。また、本体部1050の被掛止部1070とサブタンク1010の掛止部1120及び支持部1122とにより、スライド位置決め手段が構成されている。つまり、スライド案内手段とスライド位置決め手段とが離れた所に配置されているため、構造が複雑化する。
【0006】
本明細書が開示する技術の課題は、液面検出装置の取付構造を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する技術は次の手段をとる。
【0008】
第1の手段は、燃料タンク内に配置される被取付部材と、前記燃料タンク内の燃料の液面位置を検出する液面検出装置と、を備えており、前記液面検出装置が有する取付部材を前記被取付部材に一方向にスライドさせることにより取り付ける液面検出装置の取付構造であって、前記被取付部材には、前記取付部材のスライド方向に延在する少なくとも2本のレール部が並列的に設けられており、前記取付部材には、前記少なくとも2本の前記レール部に取付可能な複数の取付部が設けられており、前記取付部は、前記レール部にスライド可能に嵌合する嵌合部と、前記レール部の嵌合側の端部に当接して前記嵌合部の移動を規制する規制部と、前記レール部の嵌合側とは反対側の端部に弾性的に係合して該レール部を抜け止めする抜け止め部と、を有する、液面検出装置の取付構造である。
【0009】
第1の手段によると、被取付部材の少なくとも2本のレール部に取り付けられる取付部材の少なくとも2本の取付部が嵌合部と規制部と抜け止め部とを有する。したがって、レール部と取付部とによる1組の取付手段毎に、レール部と嵌合部とによるスライド案内手段と、レール部と規制部及び抜け止め部とによるスライド位置決め手段と、を備える。このため、従来例に比べて、液面検出装置の取付構造を簡素化することができる。また、取付手段を少なくとも2組備えることにより取付部材の取付安定性を向上することができる。
【0010】
第2の手段は、前記レール部は断面C字状の外周面を有する略円柱状に形成されており、前記嵌合部は断面C字状の内周面を有する略円筒状に形成されている、液面検出装置の取付構造である。
【0011】
第2の手段によると、レール部に嵌合部を嵌合する際、レール部と嵌合部とが周方向に多少ずれていても、レール部に嵌合部を容易に嵌合させることができる。これにより、取付部材の取付作業性を向上することができる。
【0012】
第3の手段は、第1又は2の液面検出装置の取付構造であって、前記被取付部材は燃料タンク内に配置されるサブタンクである、液面検出装置の取付構造である。
【0013】
第3の手段によると、液面検出装置の取付部材をサブタンクに取り付けることができる。
【0014】
第4の手段は、第3の手段の液面検出装置の取付構造であって、前記サブタンクには、前記レール部が前記取付部材の取付位置を選択可能に配置されている、液面検出装置の取付構造である。
【0015】
第4の手段によると、サブタンクに対する液面検出装置の取付部材の取付位置を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示の技術は、上記手段をとることにより、液面検出装置の取付構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態にかかる燃料供給装置を示す斜視図である。
【
図6】蓋部材とポンプユニットとを分解して示す斜視図である。
【
図8】センダゲージの取付構造を示す正面図である。
【
図9】サブタンク本体とゲージボデーとを分解して示す斜視図である。
【
図10】レール部と取付部との係合前の状態を示す側断面図である。
【
図17】従来例にかかる液面検出装置の取付構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、センダゲージを備える燃料供給装置を例示する。燃料供給装置は、自動車等の車両に搭載されるものであり、燃料タンク内の液体燃料を内燃機関(エンジン)に送給するものである。
図1は燃料供給装置を示す斜視図、
図2は同じく側面図、
図3は同じく背面図、
図4は同じく底面図、
図5は
図3のV-V線矢視断面図、
図6は蓋部材とポンプユニットとを分解して示す斜視図である。燃料供給装置に係る方位を図に矢印で示すとおりに定める。上下方向は、車両の燃料タンクに搭載された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。また、前後左右方向は特定するものではない。
【0019】
(燃料タンク)
図2に示すように、燃料タンク10は、上壁部11及び底壁部12を有する中空容器状に形成されている。燃料タンク10は、樹脂製であり、タンク内圧の変化によって変形、主に上下方向に膨張及び収縮する。上壁部11には、円形孔状の上面開口部13が形成されている。燃料タンク10内には、例えば、液体燃料としてのガソリンが貯留されている。
【0020】
(燃料供給装置)
図1に示すように、燃料供給装置20は、蓋部材22とポンプユニット24とを備えている(
図6参照)。
【0021】
(蓋部材22)
蓋部材22は、円形板状の蓋板部26を主体として形成されている。蓋部材22は例えばポリアセタール樹脂(POM)からなる樹脂製である。
図2に示すように、蓋板部26の下面には、短円筒状の嵌合筒部27が同心状に形成されている。蓋板部26の外周部には、嵌合筒部27よりも径方向外方へ張り出す円環板状のフランジ部28が形成されている。
【0022】
図1に示すように、蓋板部26には、燃料吐出ポート30及び電気コネクタ部32が設けられている。燃料吐出ポート30は、蓋板部26を上下方向に貫通している。燃料吐出ポート30は、燃料タンク10内外の燃料配管の接続に用いられる。また、電気コネクタ部32は、燃料タンク10内外の電気配線の接続に用いられる。
【0023】
図3に示すように、蓋板部26の下面の後側部には、スタンドオフ部34が形成されている。スタンドオフ部34は、筒柱部35と左右の両湾曲壁部36とを有する(
図6参照)。筒柱部35は、上下方向に延在する筒状に形成されている。両湾曲壁部36は、筒柱部35の両側部に左右対称状に形成されている。両湾曲壁部36は、後面視において嵌合筒部27から下方に向かって収束する略三角形状に形成されている。
【0024】
(ポンプユニット24)
図7はポンプユニットを示す断面図である。
図7に示すように、ポンプユニット24は、サブタンク38、燃料ポンプ40、及び、プレッシャレギュレータ42を備えている。ポンプユニット24は、センダゲージ44を備えている(
図6参照)。
【0025】
サブタンク38は、サブタンク本体46、ロアカバー48及び燃料フィルタ50を備えている。サブタンク38は連結支柱52を備えている(
図6参照)。サブタンク本体46は、タンク形成部54とポンプケース部55と配管部56とレギュレータ取付管部57とを有する。サブタンク本体46は、例えばポリアセタール樹脂(POM)からなる樹脂製である。
【0026】
タンク形成部54は、下面を開口する有天円筒状に形成されている。
図5に示すように、タンク形成部54の後端部の上面には、上面を水平面とする支柱取付部59が形成されている。
【0027】
図7に示すように、ポンプケース部55は、タンク形成部54の上面部の中央部に一体成形により形成されている。ポンプケース部55は、下面を開口する有天円筒状に形成されている。ポンプケース部55の上下方向の中間部がタンク形成部54の上面部に接続されている。
【0028】
配管部56は、ポンプケース部55の上面部に一体成形により形成されている。配管部56は、ポンプケース部55の上面部から略左方へ延びる直管状に形成されている。配管部56は、一端部にポンプケース部55に連通する入口部56aを有し、他端部に出口部56bを有する。出口部56bは、ホース等の配管部材62を介して燃料吐出ポート30に接続されている(
図1参照)。
【0029】
レギュレータ取付管部57は、タンク形成部54の上面部に一体成形により形成されている。レギュレータ取付管部57は、上下方向に延在する管状に形成されている。レギュレータ取付管部57の上下方向の中間部がタンク形成部54の上面部に接続されている。レギュレータ取付管部57は、ポンプケース部55の左側に並列的に配置されている。レギュレータ取付管部57の上部は、タンク形成部54の上面部から上方へ向かって通路断面積が徐々に小さくなっている。レギュレータ取付管部57の上端部は、配管部56の軸方向の中央部に連通されている。
【0030】
ロアカバー48は、円形浅皿状に形成されている。ロアカバー48の底板部66は、多数の開口を有する格子板状に形成されている(
図4参照)。ロアカバー48は、タンク形成部54にサブタンク本体46の下面開口部を覆うようにスナップフィットにより取り付けられている。ロアカバー48は樹脂製である。
【0031】
燃料フィルタ50は、フィルタ部材68と接続部材72とを有する。フィルタ部材68は、樹脂製の不織布からなる濾材により中空袋状に形成されてなる。フィルタ部材68の外形は、略円盤状に形成されている。フィルタ部材68内には、フィルタ部材68の内部容積を確保する内骨部材が配置されている。接続部材72は、フィルタ部材68の上面部に配置されている。接続部材72は、内骨部材と結合されており、フィルタ部材68内外を連通している。接続部材72及び内骨部材は樹脂製である。
【0032】
フィルタ部材68は、タンク形成部54に対するロアカバー48の取り付けに先立って、タンク形成部54の下面を閉鎖するように略水平状に配置されている。接続部材72は、ポンプケース部55の下端部にスナップフィットにより取り付けられている。タンク形成部54と燃料フィルタ50の上面部との間には、燃料を貯留する燃料貯留空間74が形成されている。タンク形成部54に対するロアカバー48の取り付けによって、フィルタ部材68の周縁部がタンク形成部54とロアカバー48との間にシール状態で挟持されている。
【0033】
燃料ポンプ40は、略円柱状の電動式燃料ポンプからなる。燃料ポンプ40は、ポンプケース部55に対する接続部材72の取り付けに先立って、ポンプケース部55内に下方から挿入されている。これにともない、燃料ポンプ40の吐出口40aが配管部56の入口部56aに接続されている。ポンプケース部55に対する接続部材72の取り付けによって、燃料ポンプ40がポンプケース部55内に保持されている。これにともない、燃料ポンプ40の吸入口に接続部材72を介してフィルタ部材68の内部空間が連通されている。フィルタ部材68は、燃料ポンプ40に吸入される燃料を濾過する。
【0034】
燃料ポンプ40は、フィルタ部材68を通過した燃料を吸入口から吸入しかつ加圧した後、吐出口40aから配管部56内に吐出する。
【0035】
プレッシャレギュレータ42は、レギュレータ取付管部57の下端部内に設けられている。プレッシャレギュレータ42は、配管部56内の圧力すなわち燃料ポンプ40からエンジンに供給される燃料の圧力を所定の圧力に調整し、余剰燃料を余剰燃料排出口42aから噴出する。プレッシャレギュレータ42は、通常、燃料貯留空間74に貯留される燃料中に液没される。レギュレータ取付管部57の下端部には、プレッシャレギュレータ42を抜け止めする樹脂製の抜け止め部材43がスナップフィットにより取り付けられている。プレッシャレギュレータ42の余剰燃料排出口42aから噴出された加圧燃料は、抜け止め部材43に設けられた開口孔43aを通じて燃料貯留空間74へ噴出される。プレッシャレギュレータ42は、サブタンク38内の燃料貯留空間74の底部に配置されている。抜け止め部材43は、燃料フィルタ50のフィルタ部材68の上方近くに配置されている。
【0036】
図6に示すように、センダゲージ44は、ゲージボデー76とアーム78とフロート80とを有する。ゲージボデー76は、サブタンク本体46のタンク形成部54の外側面に取り付けられている。ゲージボデー76には回路基板等が設けられている。ゲージボデー76の表面側にはアームホルダ77が水平軸回りに回動可能に設けられている。アーム78の基端部は、アームホルダ77に取り付けられている。フロート80は、アーム78の先端部に取り付けられている。センダゲージ44は、燃料タンク10内の燃料の残量すなわち液面位置を検出する液面検出装置である。ゲージボデー76及びフロート80は樹脂製である。アーム78は金属製である。センダゲージ44の取付構造については後で説明する。
【0037】
図5に示すように、連結支柱52は中空筒状に形成されている。連結支柱52の下端部には台座部83が形成されている。連結支柱52は、サブタンク本体46の支柱取付部59上に台座部83が支持された状態で垂直状に立設されている(
図3参照)。連結支柱52は、例えばガラス繊維が混合されたナイロン樹脂(PA66)からなる樹脂製である。
【0038】
連結支柱52は、蓋部材22のスタンドオフ部34の筒柱部35内に軸方向すなわち上下方向にスライド可能に挿入されている。連結支柱52と筒柱部35とは、スナップフィットにより相互に軸方向に所定の範囲内で移動可能に連結されている。これにより、蓋部材22とポンプユニット24のサブタンク本体46とが上下方向に所定の範囲内で移動可能に連結されている。
【0039】
連結支柱52内には、金属製のコイルスプリング85が挿入されている。コイルスプリング85は、蓋部材22とサブタンク本体46とを相反方向すなわち離間方向へ付勢している。連結支柱52はスプリングガイドを兼ねている。
【0040】
図1に示すように、配管部56の出口部56b(
図7参照)は、ホース等の配管部材62を介して燃料吐出ポート30に接続されている。燃料ポンプ40の電気コネクタ40c(
図6参照)は、電気配線75を介して蓋部材22の電気コネクタ部32に電気的に接続されている(
図5参照)。ゲージボデー76の電気コネクタは、電気コネクタ部32に電気配線82を介して電気的に接続されている(
図1参照)。
【0041】
(燃料供給装置20の設置)
燃料供給装置20は、燃料タンク10への設置に際して蓋部材22にポンプユニット24が懸吊された伸長状態とされる。すなわち、蓋部材22とポンプユニット24とが最離間状態に配置される。続いて、燃料供給装置20の伸長状態のまま、ポンプユニット24を燃料タンク10内に上面開口部13から挿入させて燃料タンク10の底壁部12上に載置する。このとき、サブタンク本体46の下端面が底壁部12の上面に当接される。
【0042】
続いて、蓋部材22がコイルスプリング85の付勢力に抗して押し下げられ、蓋部材22のフランジ部28が燃料タンク10の上壁部11に固定金具、ボルト等の固定手段を介して固定される。上記のようにして、燃料供給装置20の設置が完了する(
図2及び
図3参照)。蓋部材22は、燃料タンク10の上面開口部13を閉鎖する。
【0043】
燃料供給装置20の設置状態(
図2及び
図3参照)において、ポンプユニット24は、コイルスプリング85の付勢力によって燃料タンク10の底壁部12に押し付けられた状態に保持される。また、蓋部材22の燃料吐出ポート30には、エンジンにつながる燃料供給配管が接続される。また、電気コネクタ部32には、それぞれ外部コネクタが接続される。
【0044】
(燃料供給装置20の作動)
外部からの駆動電力により燃料ポンプ40が駆動される。すると、燃料タンク10内の燃料、及び/又は、サブタンク38の燃料貯留空間74内の燃料が、燃料フィルタ50を介して燃料ポンプ40に吸入されて加圧される。燃料ポンプ40からサブタンク本体46の配管部56内に吐出された加圧燃料は、プレッシャレギュレータ42により調圧される。調圧された加圧燃料は、配管部材62を経て蓋部材22の燃料吐出ポート30からエンジンへ供給される。
【0045】
燃料タンク10は、気温の変化や燃料量の変化等によるタンク内圧の変化によって変形すなわち膨張及び収縮する。これにともない、燃料タンク10の上壁部11と底壁部12との間の間隔が変化(増減)する。この場合、蓋部材22とポンプユニット24とが相対的に上下方向に移動することにより燃料タンク10の高さの変化に追従する。
【0046】
燃料タンク10が過剰に収縮しようとするときは、蓋部材22のスタンドオフ部34がポンプユニット24の連結支柱52の台座部83と当接することにより突っ張り棒として作用する。これによって、蓋部材22とサブタンク本体46との間の間隔が最小間隔に規制される。すなわち、燃料供給装置20が最低高さ状態に規制される。
【0047】
(センダゲージ44の取付構造)
図1に示すように、センダゲージ44のゲージボデー76は、サブタンク38のサブタンク本体46のタンク形成部54に対して上方から下方へ一方向にスライドさせることによって取り付けられている。
図8はセンダゲージの取付構造を示す正面図、
図9はサブタンク本体とゲージボデーとを分解して示す斜視図である。
図8において、ゲージボデー76の取付状態が実線76で示され、その取付直前の状態が二点鎖線76で示されている。
【0048】
センダゲージ44は本明細書でいう「液面検出装置」に相当する。サブタンク38は本明細書でいう「被取付部材」に相当する。ゲージボデー76は本明細書でいう「取付部材」に相当する。また、センダゲージ44の取付構造の説明に関しては、タンク形成部54に面する側がゲージボデー76の後側に相当する。また、タンク形成部54とは反対側がゲージボデー76の前側に相当し、その前側にアームホルダ77が取り付けられている(
図1参照)。
【0049】
図9に示すように、サブタンク本体46のタンク形成部54は、略円筒状の側壁部106を有する。側壁部106の上端部の外周面には、ゲージボデー76のスライド方向すなわち上下方向に延在するレール部136が一体成形により形成されている。レール部136は、サブタンク本体46の側壁部106の支柱取付部59を除いた残りの外周面に対して周方向に等間隔(例えば45°間隔)で並列的に複数本(例えば6~7本)形成されている。
図10はレール部と取付部との係合前の状態を示す側断面図、
図11はレール部を示す正面図、
図12はレール部を示す平面図である。
【0050】
図10に示すように、レール部136は、サブタンク本体46の側壁部106に連結部137を介して連結されている(
図12参照)。連結部137は、側壁部106の上下方向に延在するリブ状に形成されている。レール部136は、断面C字状の外周面136aを有する円柱状に形成されている(
図12参照)。レール部136の上端部には、先細り状をなすテーパ面136bが形成されている(
図11参照)。テーパ面136bの上端部は丸められている。レール部136の下端面136cは、レール部136の軸線に直交する平面で形成されている。レール部136と連結部137とを総称して被取付部という。レール部136の上端部は嵌合側の端部に相当する。また、レール部136の下端部は嵌合側とは反対側の端部に相当する。
【0051】
図8に示すように、センダゲージ44のゲージボデー76はブロック板状に形成されている(
図9参照)。ゲージボデー76の板厚方向は、前後方向(
図8において紙面表裏方向)に向けられている。ゲージボデー76の左右両側部には、サブタンク本体46の隣り合う一対のレール部136にそれぞれ取付可能な一対の取付部140が左右対称状に形成されている。以下、右側の取付部140を主に説明し、左側の取付部140については同一部位に同一符号付すことによりその説明を省略する。
図13は取付部を示す正面図、
図14は
図13のXIV-XIV線矢視断面図、
図15は
図13のXV-XV線矢視断面図、
図16は
図13のXVI-XVI線矢視断面図である。
【0052】
図13に示すように、取付部140は、嵌合部142と規制部144と抜け止め部146とを有する。
図14~
図16に示すように、嵌合部142は、ゲージボデー76に上下方向に延在する中空円筒状に形成されている。嵌合部142の後側部には、上下方向に延在するスリット状のスリット溝143が形成されている。スリット溝143は、サブタンク本体46の側壁部106の連結部137を受け入れ可能に形成されている。
【0053】
嵌合部142は、断面C字状の内周面142aを有する。内周面142aは、レール部136の外周面136aの外径と同一又は略同一の内径を有する。嵌合部142は、レール部136の外周面136aに対して軸線方向にスライド可能にかつ嵌合可能に形成されている。嵌合部142は、レール部136に対して所定の摺動抵抗をもって嵌合可能に形成されているとよい。嵌合部142の前側部には、前方に開口する縦長孔状の窓孔142bが形成されている(
図15及び
図16参照)。
【0054】
図10に示すように、規制部144は、嵌合部142の上面開口部を閉鎖するように形成されている。規制部144は、レール部136に嵌合部142を嵌合した際にレール部136の上端部に当接又は近接する(
図10中、二点鎖線144参照)。規制部144は、レール部136の上端部に当接することにより、それ以上のレール部136の移動を規制する。
【0055】
図13に示すように、抜け止め部146は、嵌合部142の下端部に略U字形板状に形成されている。抜け止め部146は、レール部136に嵌合部142を嵌合した際に板厚方向がサブタンク本体46の側壁部106の半径方向に向くように形成されている(
図16参照)。抜け止め部146は、嵌合部142から下方へ延在する左右一対の側片部146aと、両側片部146aの下端部を相互に連結する抜け止め片部146bと、を有する。
【0056】
両側片部146aは、板厚方向に弾性変形すなわち撓み変形可能に形成されている(
図10中、二点鎖線146a参照)。抜け止め片部146bは、下面視において嵌合部142の中空部を横切るように形成されている(
図16中、二点鎖線146b参照)。抜け止め片部146bと規制部144との間の間隔は、レール部136の長さと同一又は僅かに
長く設定されている。抜け止め片部146bは、レール部136の下端面136cの下側に係合することより、レール部136を抜け止めする(
図10及び
図11中、二点鎖線146b参照)。
【0057】
(センダゲージ44の取り付け)
サブタンク38に対するゲージボデー76の取付位置に応じて、サブタンク本体46の複数本のレール部136から隣り合う2本のレール部136を選択する。次に、サブタンク本体46の隣り合う2本のレール部136の上方近くに、ゲージボデー76の両取付部140を対応させる(
図8中、二点鎖線76参照)。
【0058】
次に、抜け止め部146の抜け止め片部146bをレール部136に当接させて両側片部146aを撓ませつつ、嵌合部142をレール部136に沿って一方向すなわち下方へ移動させる。これにより、嵌合部142をレール部136にスライドさせて嵌合させる。このとき、スリット溝143内に連結部137が相対的に挿入される。これにより、規制部144がレール部136の
上端部に当接すると同時又はほとんど同時に、両側片部146aが弾性復元し、抜け止め片部146bがレール部136の下面に係合する。すなわち、抜け止め部146がレール部136の下端面に弾性的に係合することにより、取付部140がレール部136に抜け止めされる。このようにして、ゲージボデー76がサブタンク本体46に取り付けられる(
図8参照)。
【0059】
(本実施形態の利点)
前記したセンダゲージ44の取付構造によれば、サブタンク38の2本のレール部136に取り付けられるゲージボデー76の両取付部140が嵌合部142と規制部144と抜け止め部146とを有する。したがって、レール部136と取付部140とによる1組の取付手段毎に、レール部136と嵌合部142とによるスライド案内手段と、レール部136と規制部144及び抜け止め部146とによるスライド位置決め手段と、を備える。このため、従来例に比べて、センダゲージ44の取付構造を簡素化することができる。また、取付手段を少なくとも2組備えることによりゲージボデー76の取付安定性を向上することができる。
【0060】
また、レール部136は断面C字状の外周面136aを有する略円柱状に形成されており、嵌合部142は断面C字状の内周面142aを有する略円筒状に形成されている。したがって、レール部136に嵌合部142を嵌合する際、レール部136と嵌合部142とが周方向に多少ずれていても、レール部136に嵌合部142を容易に嵌合させることができる。これにより、ゲージボデー76の取付作業性を向上することができる。
【0061】
また、レール部136がサブタンク本体46の側壁部106の外周面に対して周方向に等間隔で並列的に複数本(例えば6~7本)配置されている。これにより、サブタンク38にレール部136がゲージボデー76の取付位置を選択可能に配置されている。すなわち、ゲージボデー76の取付位置に応じて、複数本のレール部136うちの隣り合う2本を選択することができる。したがって、サブタンク38に対するセンダゲージ44のゲージボデー76の取付位置を容易に変更することができる。本実施形態の場合、レール部136は少なくとも3本以上あればよい。
【0062】
また、本実施形態の場合、支柱取付部59に隣接するレール部136を除いた残りのレール部136に対してゲージボデー76の左右どちらの取付部140でも取付可能である。このため、ゲージボデー76の取付位置を多数化することができる。
【0063】
[他の実施形態]
以上、本明細書に開示の技術を特定の実施形態について説明したが、その他各種の形態で実施可能である。例えば、レール部136と取付部140とによる取付手段は1組でもよいし、3組以上でもよい。また、実施形態では、ゲージボデー76の左右どちらの取付部140でも取付可能なレール部136としたが、各取付部140専用のレール部としてもよい。また、レール部136及び嵌合部142の形状は、相互に嵌合可能な形状であれば適宜変更してもよい。また、被取付部材は、サブタンク38以外の部材に変更してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 燃料タンク
38 サブタンク(被取付部材)
44 センダゲージ(液面検出装置)
76 ゲージボデー(取付部材)
136 レール部
136a 外周面
140 取付部
142 嵌合部
142a 内周面
144 規制部
146 抜け止め部