(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ロッカーパネル搬送装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20220905BHJP
B65G 17/20 20060101ALI20220905BHJP
B62D 65/18 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B23P19/00 302R
B65G17/20 C
B62D65/18 A
(21)【出願番号】P 2018200751
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】日比生 一憲
(72)【発明者】
【氏名】繁友 和久
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-097046(JP,A)
【文献】特開2013-245078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00
B65G 17/20
B62D 65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立ラインにおける組付け現場にロッカーパネルを搬送するための搬送レールと
搬送レールに沿って移動自在の搬送フレームと、
搬送フレームの下端側の片寄り位置に枢支連結した昇降フレームと、
昇降フレームに下端で枢支連結したロッカーパネル支持フレームと、
ロッカーパネル支持フレームに縦方向に軸架した回転自在のベベルギア軸と、
ベベルギア軸の中途に設けたベベルギア機構と、
ベベルギア軸にステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構と、
ベベルギア機構を構成するべく昇降フレームに固設した固定ベベルギアとベベルギア軸に連設し固定ベベルギアに噛合した作動ベベルギアとより構成し、
しかも、ロッカーパネル支持フレームの下端枢支部を中心とした傾動作動により固定ベベルギアの傾斜ギア周面に沿って作動ベベルギアを回転させて作動ベベルギアの回転作動を介してベベルギア軸を回転させステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構をロッカーパネルの搬送縦姿勢から組付のための略90度の捩じり姿勢に変換可能に構成したことを特徴とするロッカーパネル搬送装置。
【請求項2】
ベベルギア軸を回転自在に軸架したロッカーパネル支持フレームは昇降フレームの下部を中心として上半部の自重により傾倒自在とし、自重による傾倒作動によりベベルギア機構を中心としてロッカーパネル吸着機構を搬送姿勢から略90度の捩じりによる横向きの組付け姿勢に変換するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のロッカーパネル搬送装置。
【請求項3】
昇降フレームとロッカーパネル支持フレームとは係合ロック機構を介して上半部を一体に連結可能に構成すると共に、ロッカーパネル支持フレームの降下スライド作動により係合ロック機構を解除しロッカーパネル支持フレームを下端の枢支部を中心として昇降フレーム上半部から離反しながらベベルギア機構によりベベルギア軸を回転作動させてステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構を横向きの組み付け姿勢に捩じり作動すべく構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロッカーパネル搬送装置。
【請求項4】
ロッカーパネル吸着機構は、ベベルギア軸にステーを介して連設すると共に、ロッカーパネルの側壁板に脱着自在とした吸盤機構より構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロッカーパネル搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てラインにおいて、簡単な構造によりロッカーパネルを捩じりながら組み付け姿勢に変換できるロッカーパネル搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の組立ラインにおいて完成車が所定の剛性を備えるために一体物の長尺部品が使用されている。この長尺部品は、取り扱う工場の敷地面積が広ければ部品を下部から支持して容易に搬送することができるが、敷地面積の狭い工場ではワークの長尺方向を縦向きとして搬送する必要があり、また、ワークの搬送後には再び組付けるための姿勢に長尺物の向きを変換する必要があった。
【0003】
このワークの縦向き状態での搬送を可能とするために、特許文献1では、ワークの両側面から搬送装置のクランプ部の間隔を狭めてワークを把持することで長尺のワークを吊持搬送できる技術について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では長尺のワークを吊持して搬送することはできるものの、ワークの両側面からアクチュエータを利用して一対のクランプ機構の把持部の間隔を狭めることでワークを保持しているため、形状が把持し易い形態でなければ使用しにくく、また、ワークの搬送後に別の装置でワークを降下し組立姿勢に変換するか、搬送後に人手によってワークを組立姿勢に変換する必要があり作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、本発明ではかかる問題を解消するために長尺のワークを吊持状態で搬送すると共に、所定の搬送位置まで搬送されたワークが自動的に組み付け形態に変換される搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の1つは、組立ラインにおける組付け現場にロッカーパネルを搬送するための搬送レールと、搬送レールに沿って移動自在の搬送フレームと、搬送フレームの下端側の片寄り位置に枢支連結した昇降フレームと、昇降フレームに下端で枢支連結したロッカーパネル支持フレームと、ロッカーパネル支持フレームに縦方向に軸架した回転自在のベベルギア軸と、ベベルギア軸の中途に設けたベベルギア機構と、ベベルギア軸にステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構と、ベベルギア機構を構成するべく昇降フレームに固設した固定ベベルギアとベベルギア軸に連設し固定ベベルギアに噛合した作動ベベルギアとより構成し、しかも、ロッカーパネル支持フレームの下端枢支部を中心とした傾動作動により固定ベベルギアの傾斜ギア周面に沿って作動ベベルギアを回転させて作動ベベルギアの回転作動を介してベベルギア軸を回転させステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構をロッカーパネルの搬送縦姿勢から組付のための略90度の捩じり姿勢に変換可能に構成したことを特徴とするロッカーパネル搬送装置を提供せんとするものである。
【0008】
また、本発明の選択的な態様の1つにおいて、ベベルギア軸を回転自在に軸架したロッカーパネル支持フレームは昇降フレームの下部を中心として上半部の自重により傾倒自在とし、自重による傾倒作動によりベベルギア機構を中心としてロッカーパネル吸着機構を搬送姿勢から略90度の捩じりによる横向きの組付け姿勢に変換するように構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の選択的な態様の1つにおいて、昇降フレームとロッカーパネル支持フレームとは係合ロック機構を介して上半部を一体に連結可能に構成すると共に、ロッカーパネル支持フレームの降下スライド作動により係合ロック機構を解除しロッカーパネル支持フレームを下端の枢支部を中心として昇降フレーム上半部から離反しながらベベルギア機構によりベベルギア軸を回転作動させてステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構を横向きの組み付け姿勢に捩じり作動すべく構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の選択的な態様の1つにおいて、ロッカーパネル吸着機構は、ベベルギア軸にステーを介して連設すると共に、ロッカーパネルの側壁板に脱着自在とした吸盤機構より構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るロッカーパネル搬送装置によれば、組立ラインにおける組付け現場にロッカーパネルを搬送するための搬送レールと搬送レールに沿って移動自在の搬送フレームと、搬送フレームの下端側の片寄り位置に枢支連結した昇降フレームと、昇降フレームの下端で枢支連結したロッカーパネル支持フレームと、ロッカーパネル支持フレームに縦方向に軸架した回転自在のベベルギア軸と、ベベルギア軸の中途に設けたベベルギア機構と、ベベルギア軸にステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構と、ベベルギア機構を構成するべく昇降フレームに固設した固定ベベルギアとベベルギア軸に連設し固定ベベルギアに噛合した作動ベベルギアとより構成し、しかも、ロッカーパネル支持フレームの下端枢支部を中心とした傾動作動により固定ベベルギアの傾斜ギア周面に沿って作動ベベルギアを回転させて作動ベベルギアの回転作動を介してベベルギア軸を回転させステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構をロッカーパネルの搬送縦姿勢から組付のための略90度の捩じり姿勢に変換可能に構成し、また、ベベルギア軸を回転自在に軸架したロッカーパネル支持フレームは昇降フレームの下部を中心として上半部の自重により傾倒自在とし、自重による傾倒作動によりベベルギア機構を中心としてロッカーパネル吸着機構を搬送姿勢から略90度の捩じりによる横向きの組付け姿勢に変換するように構成し、また、昇降フレームとロッカーパネル支持フレームとは係合ロック機構を介して上半部を一体に連結可能に構成すると共に、ロッカーパネル支持フレームの降下スライド作動により係合ロック機構を解除しロッカーパネル支持フレームを下端の枢支部を中心として昇降フレーム上半部から離反しながらベベルギア機構を中心としてベベルギア軸を回転作動させてステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構を横向きの組み付け姿勢に捩じり作動すべく構成し、また、ロッカーパネル吸着機構は、ベベルギア軸にステーを介して連設すると共に、ロッカーパネルの側壁板に脱着自在とした吸盤機構より構成したことにより次のような効果を奏する。
【0012】
すなわち、搬送レールに沿って組立ラインにおける組付け現場に搬送フレームと共にロッカーパネル支持フレームを搬送し、組付け現場に搬送された搬送フレームに取り付け支持されたロッカーパネルを一端側の片寄り位置に設けた枢支部分において自重により回動することができる。
すなわち、昇降フレームとロッカーパネル支持フレームとは係合ロック機構を介して一体に係合されているので、ロッカーパネル支持フレームのスライド降下作動に応じて係合ロック機構が解除されることになり、その結果ロッカーパネル支持フレームは下端側の片寄り位置に設けた枢支部を中心として昇降フレームから自重により上半部を離反しならがベベルギア機構を介して横向きに変位しつつ捩じり作動してロッカーパネルを組み付け姿勢とすることができる。
かかる捩じり作動は本発明の腰部となるものであり、その作動を具体的に説明する。
【0013】
まずロッカーパネル支持フレームは昇降フレームと下方の一端側の片寄り位置に設けた枢支部で連結されているため、係合ロック機構を解除するとロッカーパネルの自重によりこの枢支部を中心にしてロッカー支持フレーム全体が回動する。
この際にロッカーパネル支持フレームは枢支部近傍に配設したベベルギア機構によって回動することになるためロッカーパネル支持フレームの姿勢は捩じり方向に変換される。具体的には、断面コ字状のロッカーパネルが縦方向でその開口部が前方を向いている姿勢から前述の捩じり作動によってロッカーパネル全体が横方向に傾動しながら開口部が横向きの姿勢に変換される。
【0014】
従って、当初ロッカーパネル支持フレームが縦向きで昇降フレームと共に一体に搬送されていたものが各フレーム間の連結解除がなされることによりロッカーパネル支持フレームは縦方向の一端側、すなわち、下端の片寄り位置の枢支部を中心として支持するロッカーパネルの自重とベベルギア機構によって捩じり回転して姿勢を倒伏状態に変換する。
【0015】
このように、ベベルギア機構を構成する固定ベベルギアのギア周面に沿って作動ベベルギアを回転させることにより、作動ベベルギアにおけるベベルギア軸の回転を促し、同時にベベルギア軸にステーを介して連結した吸盤機構により吸着保持したロッカーパネルを長側面が上下方向となる縦方向の姿勢から長側面が水平となる略90度の捩じり姿勢に変換する。
その後、ロッカーパネル装着機構の解除、すなわち、ロッカーパネルの側壁板に脱着自在とした吸盤機構の吸盤解除によってロッカーパネルを所定の組み付け箇所に定置して車体への組み付け作業を行うことができるものである。
【0016】
このように本発明によれば、ロッカーパネルを取り付けたロッカーパネル支持フレームの自重とベベルギア機構の特性を生かしてベベルギア軸に連設したステーを介してロッカーパネルの吸着機構を組み付け姿勢に変換できるため余計なアクチュエータを使用することなく簡単な機構にもかかわらずロッカーパネルの組み付け位置への姿勢変換を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置を含む搬送装置全体を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置を示す左側面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置を示す右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置の
図4のベベルギア機構の作動状態を示す破線Aの部分拡大図でロッカーパネルの搬送姿勢を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置の
図4のベベルギア機構の作動状態を示す破線Aの部分拡大図でロッカーパネルを組付け姿勢に変換する途中を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置の
図4のベベルギア機構の作動状態を示す破線Aの部分拡大図でロッカーパネルを組付け姿勢に変換した状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるロッカーパネル搬送装置の係合ロック機構を示す
図2の破線Bの部分拡大図であり、(a)はロック状態を示す図であり、(b)はロック解除を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるロッカーパネルを搬送姿勢から組付け姿勢に変換する過程を示す図であり、(a)はロッカーパネルの搬送姿勢を示す図であり、(b)はロッカーパネルの落下捩じり姿勢を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるロッカーパネルを搬送姿勢から組付け姿勢に変換する過程を示す図であり、(a)はロッカーパネルを組付け姿勢に変換した状態を示す図であり、(b)はロッカーパネルを組付け姿勢で載置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、組立ラインにおける組付け現場にロッカーパネルを搬送するための搬送レールと、搬送レールに沿って移動自在の搬送フレームと、搬送フレームの下端側の片寄り位置に枢支連結した昇降フレームと、昇降フレームに下端で枢支連結したロッカーパネル支持フレームと、ロッカーパネル支持フレームに縦方向に軸架した回転自在のベベルギア軸と、ベベルギア軸の中途に設けたベベルギア機構と、ベベルギア軸にステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構と、ベベルギア機構を構成するべく昇降フレームに固設した固定ベベルギアとベベルギア軸に連設した作動ベベルギアとより構成し、しかも、ロッカーパネル支持フレームの下端枢支部を中心とした傾動作動により固定ベベルギアの傾斜ギア周面に沿って作動ベベルギアを回転させて作動ベベルギアの回転作動を介してベベルギア軸を回転させステーを介して連結したロッカーパネル吸着機構をロッカーパネルの搬送縦姿勢から組付のための略90度の捩じり姿勢に変換可能に構成したことを特徴とし、また、ベベルギア軸を回転自在に軸架したロッカーパネル支持フレームは昇降フレームの下部を中心として上半部の自重により傾倒自在とし、自重による傾倒作動によりベベルギア機構を中心としてロッカーパネル吸着機構を搬送姿勢から略90度の捩じりによる横向きの組み付け姿勢に変換するように構成し、また、昇降フレームとロッカーパネル支持フレームとは係合ロック機構を介して上半部を一体に連結可能に構成すると共に、ロッカーパネル支持フレームの降下スライド作動により係合ロック機構を解除しロッカーパネル支持フレームを下端の枢支部を中心として昇降フレーム上半部から離反しながらベベルギア機構を中心としてベベルギア軸を回転作動させてロッカーパネル吸着機構を横向きの組み付け姿勢に捩じり作動すべく構成し、また、ロッカーパネル吸着機構は、ベベルギア軸にステーを介して連設すると共に、ロッカーパネルの側壁板に脱着自在とした吸盤機構より構成したことにある。
【0019】
この発明の実施例を図面に従い詳細に説明する。
図1~
図10は、本発明のロッカーパネル搬送装置に関する実施例を示す説明図である。
図中Rは、本発明のロッカーパネル搬送装置100で搬送されるロッカーパネルRを示す。
【0020】
ロッカーパネルRは断面略コ字状の長手フレームであり、自動車ドアの乗降口におけるフロアーを支持するためにシャシー構造に連設固定されており、組み付けライン上での搬送時には縦方向の立て掛け姿勢で搬送され、組み付け現場では横向き姿勢に変換されて横臥姿勢となる。
本発明のロッカーパネル搬送装置100は、かかるロッカーパネルRの姿勢を縦向きの搬送姿勢から組付け状態の横臥姿勢へと変換する一連の動作を所定のロック機構を解除するだけで自動的に姿勢変換するための装置に関わる。
【0021】
図1は、組立ラインにおける組付け現場にロッカーパネルRを搬送するための搬送レールTを含むロッカーパネル搬送装置100の全体像を示す。
搬送レールTにはロッカーパネルRを装着して搬送するための搬送フレーム10を移動自在に装着している。
搬送フレーム10には進行方向にスプリングバランサー13を介して昇降フレーム20を連設し、さらに該昇降フレーム20を介して別体のロッカーパネル支持フレーム30が連設されており、このロッカーパネル支持フレーム30に軸架したベベルギア軸40は後述するロッカーパネル吸着機構50の吸盤機構51を連動連設し、吸盤機構51を介してロッカーパネルRを回動自在に装着している。
【0022】
図2から
図4に示すように、ロッカーパネル支持フレーム30にはベベルギア軸40を縦方向に軸架し、ベベルギア軸40には作動ベベルギア62が連設され、昇降フレーム20には支持ブラケット20aを介して固定ベベルギア61を連設しており、作動ベベルギア62と固定ベベルギア61との噛合構造によりベベルギア機構60を構成している。
図中31はベベルギア軸40にロッカーパネル支持フレーム30の回転動作を伝達するための支持ブラケット31を示す。
【0023】
昇降フレーム20を介して搬送フレーム10とロッカーパネル支持フレーム30との連結構造は次の通りである。
すなわち、搬送フレーム10は昇降自在の昇降フレーム20を連設しており、所定のアクチュエータで昇降フレーム20を昇降作動することで、昇降フレーム20に連結したロッカーパネル支持フレーム30を昇降作動する。
【0024】
昇降フレーム20は、
図2に示すように、下端に配設した枢支部21を介してロッカーパネル支持フレーム30と一体に構成されている。2つの対向する枢支部21間には、回転軸21aを架設しており、この回転軸21aを介してロッカーパネル支持フレーム30を回転自在に連結支持している。そのため、ロッカーパネル支持フレーム30は枢支部21の回転軸21aを中心にして昇降フレーム20と一体連結、或いは上半部を昇降フレーム20から離反自在に構成されている。
【0025】
このように、ロッカーパネルRを組み付け現場に搬送するまでは搬送フレーム10と、昇降フレーム20とロッカーパネル支持フレーム30とは一体に合体した状態である。
【0026】
ロッカーパネルRの組み付け現場においてロッカーパネルRを搬送姿勢から組み付け姿勢に変換する際には、搬送フレーム10の上部に配設した降下規制機構12と昇降フレーム20の上端部に形成した規制部29との係合を解除することで昇降フレーム20を降下する。また、ロッカーパネル支持フレーム30は昇降フレーム20の下端の枢支部21を中心として回動自在に連結されており、
図7及び
図10(a)に示すように、ロッカーパネルRの組み付け姿勢への変換時にはロッカーパネル支持フレーム30の下端は昇降フレーム20の下端と軸支連結されて、枢支部21を中心にロッカーパネル支持フレーム30の上半部を傾動して、最終的に水平姿勢となる。
【0027】
すなわち、ロッカーパネル支持フレーム30と昇降フレーム20とは上部において係合ロック機構22を介して連結されているが、昇降フレーム20の降下と同時に係合ロック機構22が解除されて下端の枢支部21を中心にロッカーパネル支持フレーム30の上半部が昇降フレーム20から離反し、さらに、ベベルギア機構60を介することで水平捩じり姿勢となる。
【0028】
係合ロック機構22は、
図8(a),(b)に示すように、ロッカーパネル支持フレーム30の上端部近傍でロッカーパネル搬送装置100の進行方向とは逆方向に突設しており、ロック軸25で軸支された板体26と、板体26の両側面のうちロッカーパネル搬送装置100の内側に突設したロックローラー27と、外側に突設した解除ローラー28と、で構成している。このように構成することで、ロッカーパネル支持フレーム30は降下する際に、搬送フレーム10の側面からロッカーパネル搬送装置100の進行方向側に突設した解除バー23と解除ローラー28が接触して、板体26がロック軸25を中心として解除ローラー28側の端部を上方に回動し、ロックローラー27と昇降フレーム20との連結状態を解除してロッカーパネル支持フレーム30が傾倒できる。
【0029】
また、ロッカーパネル支持フレーム30の長手方向略中央近傍には、
図2に示すように、ロッカーパネル搬送装置100の外方に向けてガイドローラー24を突設している。
このガイドローラー24は、ロッカーパネル支持フレーム30が傾倒する際に搬送フレーム10の下端部に一定の傾斜角度をつけて設置した傾倒ガイド11に接触しながら降下する。
このような構成とすることで、ロッカーパネル支持フレーム30が傾倒する際の傾倒速度を該傾倒ガイド11の傾斜角度と搬送フレーム10の上部に設けたスプリングバランサー13によって調整できる。さらに、ロッカーパネル支持フレーム30が傾倒する際の荷重を傾倒ガイド11とガイドローラー24との接触部及びスプリングバランサー13に分散することでベベルギア機構60への荷重を軽減してベベルギア機構60の破損を防止し、長期間の使用を可能とする。
【0030】
このようにロッカーパネル支持フレーム30が昇降フレーム20と共に降下しながら昇降フレーム20とのロック解除がなされるとロッカーパネル支持フレーム30は昇降フレーム20の下端の枢支部21を中心に自重により回動を始める。この際に、
図5から
図10(a)、(b)に示すように、作動ベベルギア62は固定ベベルギア61の円錐状に構成されたギア周面を転がり、捩じり作動することで回転する。
しかも、作動ベベルギア62が固定ベベルギア61の傾斜したギア周面に沿って回転すると作動ベベルギア62のベベルギア軸40も回転し、この回転作動はステー41を介してロッカーパネル吸着機構50の捩じり作動を生起する。従って、ベベルギア軸40にステー41を介して吸盤機構51により吸着連結したロッカーパネルRも搬送姿勢から組付け姿勢の略90度の捩じり姿勢に変換される。
【0031】
すなわち、ロッカーパネル支持フレーム30に回転自在に軸架したベベルギア軸40はロッカーパネル支持フレーム30の傾動作動に伴い作動ベベルギア62を介して回転作動してステー41を介して連設したロッカーパネル吸着機構50を捩じり作動する。
【0032】
このように自重によるロッカーパネル支持フレーム30の傾倒作動により作動ベベルギア62が固定ベベルギア61の周面を転動してベベルギア軸40を回転させる。ベベルギア軸40の回転作動によってステー41を介してロッカーパネル吸着機構50も回転し、ロッカーパネル支持フレーム30の傾倒作動と相俟って搬送姿勢から組付け姿勢へと略90度の捩じりにより変換される。
【0033】
また、ベベルギア軸40にステー41を介してロッカーパネル吸着機構50が連設されており、ステー41の先端側方にはベベルギア軸40を垂設し、このベベルギア軸40にロッカーパネル吸着機構50の基部を遊嵌している。従って、当初
図9(a)に示すように、ロッカーパネルRはロッカーパネル吸着機構50を介して縦方向のベベルギア軸40に支持されて搬送されている状態においてロッカーパネルRのコの字状の開口部は前方を向いているが、
図9(b)の捩じり姿勢を経由して、
図10(a)に示すように、ロッカーパネル支持フレーム30が傾動してベベルギア機構60を介して捩じり方向に姿勢変換される時、特に倒伏状態に姿勢を変換する時には横方向に変位したベベルギア軸40に基端を遊嵌されたロッカーパネル吸着機構50はベベルギア軸40にぶら下がり状態でベベルギア軸40に遊嵌しながらロッカーパネルRの自重で反転してロッカーパネルRを倒伏させながらコ字状の開口部を外向き姿勢に変換して最終的には
図10(b)に示すようなロッカーパネルRを組み付けの姿勢とする。
【0034】
吸盤機構51はエアによりロッカーパネルRの側壁板に吸着、離反自在となるように構成されている。
【0035】
ロッカーパネルRは吸盤機構51により縦方向のベベルギア軸40を介してロッカーパネル支持フレーム30に縦方向に取付けられているが最終的には、ベベルギア軸40にステー41を介して連動連設されているため、ベベルギア軸40の回転作動によりステー41を介して捩じり作動を生起する。その後、吸盤機構51の吸着解除により吸盤機構51から離反し、現場での組付け作業が行われる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0037】
R ロッカーパネル
T 搬送レール
100 ロッカーパネル搬送装置
10 搬送フレーム
11 傾倒ガイド
12 降下規制機構
13 スプリングバランサー
20 昇降フレーム
20a支持ブラケット
21 枢支部
21a回転軸
22 係合ロック機構
23 解除バー
24 ガイドローラー
25 ロック軸
26 板体
27 ロックローラー
28 解除ローラー
29 規制部
30 ロッカーパネル支持フレーム
31 支持ブラケット
40 ベベルギア軸
41 ステー
50 ロッカーパネル吸着機構
51 吸盤機構
60 ベベルギア機構
61 固定ベベルギア
62 作動ベベルギア