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特許7134837飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体
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  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図1
  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図2
  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図3
  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図4
  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図5
  • 特許-飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64D 17/72 20060101AFI20220905BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20220905BHJP
   B64D 25/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B64D17/72
B64D17/80
B64D25/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018204550
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020069881
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 博
(72)【発明者】
【氏名】笹本 幸一
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/190319(WO,A1)
【文献】特許第4160257(JP,B2)
【文献】特許第3114257(JP,B2)
【文献】米国特許第6958101(US,B2)
【文献】特開2018-154249(JP,A)
【文献】特開2017-218106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 17/72,17/80,25/00,
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体本体に取付可能な飛行体用安全装置であって、
空中に射出されることによって展開可能な被展開体と、
前記被展開体を空中に向けて射出するための射出装置と、
一端が前記被展開体に連結されているとともに、他端が前記飛行体本体または前記飛行体用安全装置に連結されている連結部材と、
を備え、
前記射出装置は、
開口部が一端部側に設けられた格納部と、
前記格納部内に設けられ、前記被展開体が載置される発射台を前記格納部の開口部側に有しているとともに、前記格納部の内壁に沿って移動可能な移動部材と、
前記格納部の内壁と前記移動部材の少なくとも一部とに囲まれた空間に、接触によって化学反応する一の物質と別の物質とが接触可能に設けられ前記移動部材を前記格納部の開口部側に向けて移動可能な駆動部と、
を有し
前記一の物質と前記別の物質とは、酸性物質と塩基性物質とであり、
前記酸性物質と前記塩基性物質とはそれぞれ固体であって、
前記駆動部は、
初期状態で所定の容器内に密封されている溶媒と、
前記駆動部の起動時に、前記容器内から前記溶媒を流出させ、前記酸性物質と前記塩基性物質とを溶解して接触させる流出機構と、
を有していることを特徴とする飛行体用安全装置。
【請求項2】
請求項に記載の飛行体用安全装置を備えた飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体用安全装置、および、飛行体用安全装置を備えた飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自律制御技術および飛行制御技術の発展に伴って、飛行体の産業上における利用が加速しつつある。この飛行体の一例として、ドローンが挙げられる。ドローンは、例えば複数の回転翼を同時にバランスよく回転させることによって飛行し、上昇および下降は回転翼の回転数の増減によって行い、前進および後進は回転翼の回転数の増減を介して機体を傾けることによって成し得るものである。
【0003】
一方で、上記のような飛行体の落下事故のリスクが危険視されており、飛行体の普及の妨げとなっている。こうした落下事故のリスクを低減するために、安全装置としてパラシュートまたはパラグライダー等の被展開体の射出装置およびエアバッグ装置などが製品化されつつある。例えば、特許文献1には、バネの反発力を利用して、筒内でピストン部を動作させ、このピストン部の動作によって揚力発生部材(被展開体の布部)を開口部から外部へ射出し、開傘させる無人航空機(飛行体)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-43467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の飛行体における飛行体用安全装置では、駆動源にばねを用いており、射出時にはばねの反動で飛行体および飛行体用安全装置自体が大きく揺れてしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、動作時の揺れを従来よりも低減することができる飛行体用安全装置と、この飛行体用安全装置を備えた飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の飛行体用安全装置は、飛行体本体に取付可能な飛行体用安全装置であって、空中に射出されることによって展開可能な被展開体と、前記被展開体を空中に向けて射出するための射出装置と、一端が前記被展開体に連結されているとともに、他端が前記飛行体本体または前記飛行体用安全装置に連結されている連結部材と、を備え、前記射出装置は、開口部が一端部側に設けられた格納部と、前記格納部内に設けられ、前記被展開体が載置される発射台を前記格納部の開口部側に有しているとともに、前記格納部の内壁に沿って移動可能な移動部材と、前記格納部の内壁と前記移動部材の少なくとも一部とに囲まれた空間に、接触によって化学反応する一の物質と別の物質とが接触可能に設けられ前記移動部材を前記格納部の開口部側に向けて移動可能な駆動部と、を有し、前記一の物質と前記別の物質とは、酸性物質と塩基性物質とであり、前記酸性物質と前記塩基性物質とはそれぞれ固体であって、前記駆動部は、初期状態で所定の容器内に密封されている溶媒と、前記駆動部の起動時に、前記容器内から前記溶媒を流出させ、前記酸性物質と前記塩基性物質とを溶解して接触させる流出機構と、を有していることを特徴とする。
【0008】
ここで、被展開体は、展開した状態において揚力または浮力が発生することで飛行体を減速させることができるものであれば如何なる形態のものでもよく、前記被展開体としては、例えば丸型パラシュート、多角形型パラシュート、パラフォイル、ロガロ型パラグライダー、ロガロ型パラシュート、トライアングル型パラグライダー、トライアングル型パラシュート等が挙げられる。前記揚力発生部材とは、展開状態において揚力または浮力が発生するものであり、前記被展開体の一つであるパラグライダー、トライアングル型パラシュート、ロガロ型パラシュートの布部(キャノピー)などが具体例として挙げられる。なお、上述のパラグライダーの中には、ラムエアを利用して翼形状を保つために、パラグライダーは、エアインテークのあるものが主流であるが、無いもの(シングルサーフェスなど)も存在する。安定した飛行を行うためには、エアインテーク付のパラグライダーがより好ましい。さらに、プロペラ等の推進装置をつけて、強制的に推進力を得て飛行できるパラグライダーでもよい。
【0012】
) 本発明の飛行体は、上記(1の飛行体用安全装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飛行体用安全装置によれば、動作時の揺れをバネ式の飛行体用安全装置よりも低減することができるだけでなく、軽量化することも可能である。また、本発明の飛行体用安全装置を備えた飛行体によれば、産業用の大型飛行体に適用しても、十分に本発明の飛行体用安全装置が奏する効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における射出装置を示す断面図であって、作動前の状態の図である。
図2図1におけるパラグライダーの射出装置の作動途中の状態を示す図である。
図3図1におけるパラグライダーの射出装置が搭載された飛行体を示す正面図である。
図4図1の飛行体におけるパラグライダーの射出装置の制御構成を含むブロック図である。
図5】本発明の第2実施形態における射出装置を示す断面図であって、作動前の状態の図である。
図6図5におけるパラグライダーの射出装置の作動途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図1図4に基づいて、飛行体用安全装置の一例であるパラグライダー(被展開体の一例)の射出装置について説明する。
【0016】
作動前のパラグライダーの射出装置80は、図1に示したように、アクチュエータ88と、パラグライダー1と、とを備えている。アクチュエータ88は、たとえば電力で駆動する駆動部84と、凹部(凹状部材)82および当該凹部82と一体的に形成されたピストンヘッド83(発射台)を有するピストン81(移動部材)と、ピストン81を収容し当該ピストン81の推進方向を規制する有底筒状のハウジング86(格納部)とを備えている。
【0017】
ピストン81およびハウジング86は、断熱部材を用いたもの、または、表面に断熱部材が被覆されているものであることが好ましい。また、図1の状態において、凹部82の先端部とハウジング86の底面部との接触面はシールされており、後述の相転移物質84cが液体であっても凹部82内から漏れ出さないようになっている。
【0018】
また、パラグライダーの射出装置80は、図2に示したように、飛行体30における飛行体本体31の上部に設けられている。なお、飛行体30は、パラグライダーの射出装置80の他に、飛行体本体31に結合され、当該飛行体本体31を推進させる1つ以上の推進機構(例えばプロペラ等)32と、飛行体本体31の下部に設けられた複数の脚部33と、を備えている。
【0019】
パラグライダー1は、図1に示したように、空気をはらむことにより全体で翼型を成すキャノピー1aと、展開時にキャノピー1aから下方に向かって延びて、ハウジング86または後述の飛行体30に連結される複数の吊下索(図示せず)とを備えている。なお、通常時(展開前)のパラグライダーの射出装置80のパラグライダー1と吊下索(図示せず)とは、円筒状のハウジング86内において折り畳まれて収納されており、緊急時において飛行体30の制御部6(図3参照)から異常信号を受信したアクチュエータ88の駆動部84などの起動によりハウジング86内から外部に射出された後、展開され、使用されるものである。
【0020】
駆動部84は、ハウジング86外に設けられ、オン/オフスイッチ(図示せず)を有した電源部84aと、装置作動前の凹部82の内部(図1参照)に設けられ、熱源である電源部84aと電気的に接続されている電熱線(加熱部)84bと、初期状態の凹部82(図1参照)内に充填された相転移物質84cとを備えている。電源部84aは、信号を受信できるように後述する制御部6と接続可能な部位であり、制御部6と接続されている場合において制御部6からの命令信号によりオン/オフスイッチを作動させてオンにして、電熱線(加熱部)84bに電力を供給するものである。電熱線(加熱部)84bは、ニクロム線、鉄クロム線、白金-イリジウム線、などが挙げられるが、通電によって、相転移物質84cを相転移(気化など)させることができるほど高温になるものであれば、どのようなものであってもよい。なお、駆動部84を駆動させるには、電源部84aの電力の代わりに、バッテリ7の電力を用いてもよい。
【0021】
相転移物質84cは、図1および図4では水の場合を例示しているが、水の代わりに、有機溶媒、などの液体、ドライアイス、ヨウ素などの固体などを用いてもよい。なお、相転移物質84cは、相転移することによって、体積が急激に増加するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0022】
このような構成において、ピストン81の推進によりパラグライダー1を直接押し出して展開させることができる。なお、ハウジング86の開口端部は初期状態で蓋87により閉じられており、パラグライダー1の押し出しにより上記開口端部から外れるようになっている。
【0023】
また、図3に示したように、この飛行体30は、障害物検知部5、制御部6、バッテリ7、制御部6から送信された情報を記憶する記憶部8、コントローラ40からの操作信号を受信し、飛行体30の情報をコントローラ40に送信する送受信部9などを備えている。
【0024】
障害物検知部5は、飛行体30の高度を検出し、検出した高度情報である高度検出信号を制御部6に出力するようになっている。また、障害物検知部5は、飛行体本体31または障害物検知部5から所定距離内に存在する障害物を検知した場合、障害物検知信号を制御部6に出力するとともに、飛行体本体31と障害物との距離を検出し、検出した距離情報である距離検出信号を制御部6に出力するようになっている。また、障害物検知部5は、飛行体30の異常を検出し、検出した情報に基づいて、異常信号を制御部6に出力するようになっている。なお、障害物検知部5としては、必要に応じて、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、GPS(全地球測位システム)、レーザーセンサ、超音波センサ、赤外線センサ、ミリ波レーダー、サブミリ波レーダー、速度センサ、および風向検知センサのうち少なくとも1つ以上を含むものであることが好ましい。
【0025】
制御部6は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータであって、必要に応じて作動信号を送信して射出装置80を制御するものであり、例えば、射出装置80の駆動部84を作動させる信号を出力するようになっている。また、制御部6は、障害物検知部5からリアルタイムで障害物検知信号、距離検出信号、高度検出信号(飛行体30の高度の情報を含む)を受信し、これらの受信した各信号に応じて射出装置80を作動させるか否かの判断を行うようになっている。たとえば、制御部6は、障害物検知信号を受信した場合、または、受信した距離検出信号に含まれる距離の情報が所定の距離以下であった場合において、射出装置80に制御信号を送信し、射出装置80を作動させて飛行体30を障害物から回避する制御などを行う。
【0026】
コントローラ40は、操作者によって飛行体30を操作するためのものであり、操作者の入力に基づいて操作信号を送受信部9に送信するものである。これにより、通常時の飛行体30の操作だけでなく、緊急時において射出装置80を操作することもできる。また、コントローラ40は、送受信部9から飛行体30の飛行状態(異常状態を含む)などの各種情報を受信することができる。
【0027】
続いて、パラグライダーの射出装置80の動作について説明する。
【0028】
まず、飛行中に飛行体30が緊急事態に陥った場合、障害物検知部5が異常状態を検知し、異常信号を制御部6に送信する。異常信号を受信した制御部6は、パラグライダーの射出装置80の駆動部84に動作信号を送信する。この動作信号を受信した駆動部84は、電源部84aを作動させ(電源をオンにさせ)、電熱線84bに電力を供給する。その後、電熱線84bは発熱し、相転移物質84cを相転移(たとえば気化)させる。これにより、図4に示した状態を経て、パラグライダー1をハウジング86の外部へと射出する。
【0029】
本実施形態の射出装置80によれば、動作時の揺れをバネ式の射出装置よりも低減することができるだけでなく、軽量化することも可能である。また、射出装置80を備えた飛行体30によれば、産業用の大型飛行体に適用しても、十分に上記効果を達成することができる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る射出装置について説明する。なお、本実施形態において、上述の第1実施形態と下2桁が同じ符号の部位は、特に説明する場合を除き、第1実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。また、特に説明していない部位は、第1実施形態と同様であるので、説明および図示を省略することがある。また、第2実施形態においては、原則として、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0031】
図5に示したように、本実施形態の射出装置180においては、駆動部84の代わりに駆動部184が用いられている点で、第1実施形態と異なっている。
【0032】
駆動部184は、凹部182の開口部側においてハウジング186の底部と接触した状態で貯留されている第1物質184aと、上記実施形態の制御部6と同様の制御部(図示せず)からの命令信号の受信により熱を発するように動作する加熱部(図示せず)を含む熱源184bと、熱源184bの加熱部の発熱によって融解する密封板184cと、凹部182の底部と密封板184cとに囲まれた空間に密封された第2物質184dと、を備えている。
【0033】
第1物質184aと第2物質184dとは、いずれか1つが酸性物質であり、もう一方は塩基性物質である。したがって、第1物質184aと第2物質184dとが接触した場合には、化学反応によって、ガス(たとえば二酸化炭素、アンモニアなど)が発生する。この発生したガスによってピストン181がハウジング186の開口部へ移動し、図6に示した状態を経て、パラグライダー101はハウジング186から射出される。
【0034】
化学反応を起こす酸性物質および塩基性物質の組み合わせの例としては、酸性物質が塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機酸塩、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、オレイン酸を含む有機酸であり、塩基性物質が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどの無機塩、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキルアミン誘導体、芳香族アミン、ピリジン、ピリジン誘導体、イミダゾール、イミダゾール誘導体、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、DBU誘導体、ピリミジン、ピリミジン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、グアニジン、グアニジン誘導体などの有機塩基、が挙げられる。
【0035】
本実施形態の射出装置180によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、射出装置180を備えた飛行体によれば、産業用の大型飛行体に適用しても、十分に上記効果を達成することができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0037】
たとえば、第2実施形態における第1物質184aと第2物質184dとが固体であって、凹部182内において近傍に設置されている場合、溶媒(水または有機溶媒など。第1物質184aおよび第2物質184dの種類によって、適宜変更する。)を容器に入れておいて、当該容器を破裂または容器の向きを変える流出機構により、当該溶媒を第1物質184aと第2物質184dとに浴びせることによっていずれも溶解し、接触させることとしてもよい。これによっても、第1物質184aと第2物質184dとが反応し、ガスを発生させることができる。
【0038】
また、第2実施形態においては、熱源184bと、熱源184bの加熱部の発熱によって融解する密封板184cを用いたが、これらの代わりに、密閉板184cが扉方式で開くことによって、第2物質184bが落下し、第1物質184aと接触するような機構であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態の射出装置は、一端をパラグライダーなどの被展開体に連結し、他端をリールに取り付けたブレークコードをサーボモータによって巻き取る操作、または、リールからブレークコードを繰り出す操作を適宜行うことができるブレークコード引張装置を備えていてもよい。この場合、制御部の指示によって、ブレークコードを巻き取るまたは繰り出すことにより、ブレークコードの引っ張り具合を自動調整可能である。すなわち、このような構成をも備えた飛行体は、容易に、障害物と衝突しそうな場合には障害物を自動回避することができ、仮に障害物に衝突したとしても衝突前に下降速度を十分に減速させることができるので、衝突の衝撃を自動緩和させることができる。特に、ブレークコード引張装置によって、着陸直前時において、下降速度を十分に減速させることができるので、軟着陸することが可能となり、着陸場所との衝突の衝撃を自動緩和できる。
【符号の説明】
【0040】
1、101 パラグライダー
1a、101a キャノピー
7 バッテリ
8 記憶部
9 送受信部
30 飛行体
31 飛行体本体
33 脚部
40 コントローラ
80、180 パラグライダーの射出装置
81、181 ピストン
82、182 凹部
83、183 ピストンヘッド
84、184 駆動部
86、186 ハウジング
87、187 蓋
88、188 アクチュエータ
S 空間

図1
図2
図3
図4
図5
図6