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  • 特許-EGRクーラの冷却水入口構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】EGRクーラの冷却水入口構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/22 20060101AFI20220905BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20220905BHJP
   F02M 26/29 20160101ALI20220905BHJP
【FI】
F28F9/22
F28F9/26
F02M26/29
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018214922
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020085259
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】山本 悦生
(72)【発明者】
【氏名】所 徹明
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-148320(JP,A)
【文献】特開2008-128611(JP,A)
【文献】特開2015-025604(JP,A)
【文献】特開2013-053620(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116370(WO,A1)
【文献】特開2001-132556(JP,A)
【文献】実開昭56-112307(JP,U)
【文献】特開平01-322080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00 - 9/26
F28D 1/00 - 13/00
F02M 26/29
F16L 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器コア(1)と、そのコア(1)の外周を被嵌するケーシング(2)と、ケーシング(2)の外周に設けた冷却水の入口タンク(3)と、を具備し、各部品間が一体にろう付されるEGRクーラの冷却水入口構造において、
ケーシング(2)が、断面コ字状のケーシング本体(2a)と、そのコ字状の開口縁部の外周に被嵌される蓋体(2b)とからなり、蓋体(2b)は両縁が断面L字状に折曲げられた縁部(2c)を有し、
そのケーシング本体(2a)の端部側面に、方形の枠状部(4)が開口され、
前記入口タンク(3)は、その端部外周が前記枠状部(4)に整合する箱状に形成されると共に、その対向する一対の平面の上縁と下縁とに、それぞれ断面L字状の鍔部(5)が一体に突設形成され、
入口タンク(3)の上の鍔部(5)が、前記枠状部(4)の開口の上縁(4a)の内側に挿入されると共に、その上縁(4a)内を上方に持上げられ、下の鍔部(5)が枠状部(4)の下縁(4b)に挿入されることにより、窓を窓枠に挿入するようにして、前記入口タンク(3)の上下が枠状部(4)内に装着され、
次いで、前記蓋体(2b)がケーシング本体(2a)に被嵌されると共に、蓋体(2b)の縁部(2c)で、入口タンク(3)の上面を保持することにより、ケーシング本体(2a)と入口タンク(3)との間を位置決めしたことを特徴とするEGRクーラの冷却水入口構造。
【請求項2】
前記入口タンク(3)の開口の両側に、その内面側へ横断面L字状の段付部(3b)が形成され、その段付部(3b)がケーシング本体(2a)の前記枠状部(4)の側縁(4c)に当接するように構成された請求項1に記載のEGRクーラの冷却水入口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRクーラのコア外周に被嵌されたケーシングにおいて、冷却水が流入する入口タンクの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のEGRクーラは、その端部の開口に冷却水の入口タンクが接続されている。
この入口タンクは鋳物で製作されており、開口端にフランジを一体に設け、そのフランジをケーシングの側面に当接して複数箇所、点溶接することにより仮止め固定し、高温の炉内で各部品間を一体にろう付固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-128611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような鋳物製の入口タンクは熱容量が大きいため、ケーシングに点溶接する際、溶接がし辛く、量産性に欠ける欠点があった。
そこで、本発明は従来の点溶接を不要とする入口タンクの位置決め構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、熱交換器コア1と、そのコア1の外周を被嵌するケーシング2と、ケーシング2の外周に設けた冷却水の入口タンク3と、を具備し、各部品間が一体にろう付されるEGRクーラの冷却水入口構造において、
ケーシング2が、断面コ字状のケーシング本体2aと、そのコ字状の開口縁部の外周に被嵌される蓋体2bとからなり、蓋体2bは両縁が断面L字状に折曲げられた縁部2cを有し、
そのケーシング本体2aの端部側面に、方形の枠状部4が開口され、
前記入口タンク3は、その端部外周が前記枠状部4に整合する箱状に形成されると共に、その対向する一対の平面の上縁と下縁とに、それぞれ断面L字状の鍔部5が一体に突設形成され、
入口タンク3の上の鍔部5が、前記枠状部4の開口の上縁4aの内側に挿入されると共に、その上縁4a内を上方に持上げられ、下の鍔部5が枠状部4の下縁4bに挿入されることにより、例えば、窓を窓枠に挿入するようにして、前記入口タンク3の上下が枠状部4内に装着され、
次いで、前記蓋体2bがケーシング本体2aに被嵌されると共に、蓋体2bの前記縁部2cで、入口タンク3の上面を保持することにより、ケーシング本体2aと入口タンク3との間を位置決めしたことを特徴とするEGRクーラの冷却水入口構造である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、前記入口タンク3の開口の両側に、その内面側へ横断面L字状の段付部3bが形成され、その段付部3bがケーシング本体2aの前記枠状部4の側縁4cに当接するように構成された請求項1に記載のEGRクーラの冷却水入口構造ある。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、入口タンク3の上の鍔部5が、枠状部4の上縁4aの内側に挿入されると共に、その上縁4a内を上方に持上げられ、下の鍔部5が枠状部4の下縁4bに挿入されることにより、例えば、窓が窓枠に挿入されるようにして、前記入口タンク3の上下が枠状部4内に装着され、
次いで、蓋体2bがケーシング本体2aに被嵌されると共に、蓋体2bの縁部2cで、入口タンク3の上面を保持して、ケーシング本体2aと入口タンク3との間を位置決めしたものである。
その位置決めにより、各部品のろう付の際に、点溶接等の入口タンク3の仮止めを不要とし、ケーシング2と入口タンク3との間を正確にろう付して、量産性を向上できる。それと共に、鋳物の仮止めの際に生じる寸法変化をなくすことができる。
【0008】
上記構成において、請求項2に記載のように、入口タンク3の開口の両側に、その内面側へ横断面L字状の段付部3bが形成され、その段付部3bがケーシング本体2aの枠状部4の側縁4cに当接するように構成されたものである。
それにより、ケーシングとタンクの接合を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のEGRクーラの冷却水入口構造の要部分解図。
図2】同構造の入口タンク3の取付け順序を示す説明図。
図3】同構造の入口タンク3の取付け後の要部斜視図。
図4】同構造に熱交換器コア1を収納した要部縦断面図。
図5】同構造の全体を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
なお、図1において、矢印で示すX方向を上下の方向とし、それに直交する方向をYとする。
図1図5は本発明のEGRクーラの冷却水入口構造であって、図1はその分解斜視図、図2はその構造の入口タンク3の取付けを順に示す説明図、図3は同冷却水入口構造の斜視図、図4は同構造に熱交換器コア1を収納した状態を示す要部縦断面図であり図5のIV部拡大図、図5は同構造の全体を示す縦断面図である。
【0011】
このEGRクーラは、図1に示す如く、ケーシング2と入口タンク3とを有し、ケーシング2は横断面コ字状に形成されたケーシング本体2aと、その開口を閉塞する蓋体2bとからなる。その蓋体2bは両縁に断面L字状に縁部2cが形成されている。
そしてこのケーシング2内に、図4図5に示す熱交換器コア1が収納される。
熱交換器コア1は、この例では、並列された多数の偏平チューブ9の両端が一対のヘッダープレート8の偏平孔に挿通されたものである。偏平チューブ9の外面には、多数のディンプル11が定間隔に離間している。
【0012】
(本発明の特徴)
ここにおいて本発明の特徴とするところは、入口タンク3とケーシング2との取付け構造にある。
入口タンク3は、この例では図1及び図5に示す如く形成され、一例として鋳造品を用いることができる。
この例では、ケーシング本体2aの側壁の端部に方形の枠状部4が開口し、その枠状部4の両側に側縁4cが形成されている。
【0013】
入口タンク3は、その端面はケーシング本体2aの枠状部4に整合する。さらに、図1において入口タンク3の開口の上下両端には、鍔部5が突設されている。また、入口タンク3の開口の両側の端部外周は段付に形成され、その端縁は薄肉である。さらには、入口タンク3の一側には開口3aが形成され、そこにパイプ6が取付けられる。
【0014】
このようにしてなる入口タンク3は、図2に示す手順で、ケーシング本体2aの枠状部4に装着される。
即ち、入口タンク3の上側に位置する鍔部5が、枠状部4の上縁4aに図2(2)の如く、挿入される。次いで、その鍔部5の下を上縁4aに突き当て、図2(3)の如く、下側の鍔部5を枠状部4内に挿入する。
次いで、図2(4)の如く、下側の鍔部5を下方に引き下ろし、入口タンク3の底面とケーシング本体2aの下縁4bとを突き当てる。このとき、入口タンク3の上側の鍔部5は、枠状部4の上縁4aに保持されている。そのためには、上縁4aと入口タンク3の上面との間に隙間7が存在する程度、上側の鍔部5の長さを長くしておく。
【0015】
図2において、入口タンク3の装着は、例えば、窓を窓枠に差し込む要領で取付けられ且つ、その上下両端が枠状部4の縁に保持されるようになる。このとき、入口タンク3の開口の外周の段付部3bが、図4に示す如く、ケーシング本体2aの側縁4cに当接する。
次いで、図3及び図2(5)に示す如く、ケーシング2の蓋体2bがケーシング本体2aの開口端に被着される。すると、蓋体2bの縁部2cが入口タンク3の上面に当接し、入口タンク3が蓋体2bにより位置決めされる。
【0016】
これに先立ち、ケーシング2の内部には、図4図5に示す熱交換器コア1が収納される。そしてこの状態で、全体が高温の炉内に収納され、各部品が一体的にろう付固定される。
また、各部品の互いに接合される少なくとも一方側には、予めろう材が被覆又は塗布されている。そして入口タンク3の上下両端はケーシング本体2aの枠状部4に接合されると共に、入口タンク3の開口側の両側は、枠状部4の側縁4cに接合される。
【0017】
このようにしてなるEGRクーラは、図5に示す如く、その両端にダクト10が接続される。そして、入口タンク3のパイプ6から図4に示す如く、冷却水12が流入し、それが枠状部4より、熱交換器コア1の各偏平チューブ9の外側に分配される。
また、図5において左側のダクト10から高温の排気ガスが各熱交換器コア1の偏平チューブ9内に導かれ、外周を流通する冷却水12との間に熱交換が行われるものである。その冷却水12は、図5の右側にあるパイプ6から外部に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、EGRクーラの冷却水入口構造として利用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 熱交換器コア
2 ケーシング
2a ケーシング本体
2b 蓋体
2c 縁部
3 入口タンク
3a 開口
3b 段付部
4 枠状部
4a 上縁
4b 下縁
4c 側縁
【0020】
5 鍔部
6 パイプ
7 隙間
8 ヘッダープレート
9 偏平チューブ
10 ダクト
11 ディンプル
12 冷却水
図1
図2
図3
図4
図5