(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】溶血試薬
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20220905BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220905BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20220905BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20220905BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20220905BHJP
C12Q 1/6865 20180101ALN20220905BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALN20220905BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20220905BHJP
【FI】
G01N33/48 B
G01N33/50 P
G01N33/569 A
C12Q1/04 ZNA
C12N5/078
C12Q1/6865 Z
C12Q1/6813 Z
C12N15/10 114Z
(21)【出願番号】P 2018556348
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(86)【国際出願番号】 US2017029671
(87)【国際公開番号】W WO2017189746
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-22
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, クイ
(72)【発明者】
【氏名】シェリーセリー, ジジュモン
(72)【発明者】
【氏名】リネン, ジェフリー
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0157492(US,A1)
【文献】国際公開第2004/083425(WO,A1)
【文献】特開2015-061526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/04
C12N 5/078
C12Q 1/6865
C12Q 1/6813
C12N 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)TRISと、(ii
)4%(w/v)
~15%(w/v)の濃度のラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii
)20mM
~35mMの濃度の塩化マグネシウムと、からなる、溶血試薬であって、5.5よりも高いpHを有し、前記
溶血試薬が、EDTA、EDTA-Na
2、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬を含んでいない、溶血試薬。
【請求項2】
前記塩化マグネシウム
が30mMの濃度で存在する、請求項1に記載の
溶血試薬。
【請求項3】
前記LLS
が6%(w/v)の濃度で存在する、請求項1または2に記載の
溶血試薬。
【請求項4】
前記TRIS
が75mM
~150mMの濃度で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の
溶血試薬。
【請求項5】
前記TRIS
が100mMの濃度で存在する、請求項4に記載の
溶血試薬。
【請求項6】
前記塩化マグネシウム
が30mMの濃度で存在する、請求項4または5に記載の
溶血試薬。
【請求項7】
前記LLS
が6%(w/v)の濃度で存在する、請求項4~6のいずれか1項に記載の
溶血試薬。
【請求項8】
前記TRIS
が75mM
~150mMの濃度で存在する、請求項1に記載の
溶血試薬。
【請求項9】
前記TRIS
が100mMの濃度で存在する、請求項8に記載の
溶血試薬。
【請求項10】
前記塩化マグネシウム
が30mMの濃度で存在する、請求項8または9に記載の
溶血試薬。
【請求項11】
前記LLS
が6%(w/v)の濃度で存在する、請求項8~10のいずれか1項に記載の
溶血試薬。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の
溶血試薬と、血液細胞と、を含む、組成物。
【請求項13】
前記組成物が全血を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物中の前記
溶血試薬と前記全血の比
が1:1(v/v)
~4:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中の前記
溶血試薬と前記全血の比
が2:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の前記
溶血試薬と前記全血の比
が3:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物中の前記
溶血試薬と前記全血の比
が4:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、請求項13~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
血液細胞を溶解し、そこから分析種を放出させる方法であって、(a)血液細胞を含有する試料を、前記血液細胞を溶解させ、そこから分析のための分析種を放出させるのに有効な溶血試薬と接触させるステップであって、前記溶血試薬は、請求項1に定義される通りのものであるステップと、(b)前記試料中の血液細胞を溶解させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、そこから前記分析種が放出される条件を提供するステップと、(c)ステップ(b)において放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記分析種が病原体由来の分析種である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記分析種がRNA分析種である、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記血液細胞の少なくとも50%が前記
溶血試薬によって5分以内に溶解する、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記
溶血試薬が、請求項1~
11のいずれか1項に定義される通りである、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記分析種を固定する前記ステップは、前記放出された分析種を捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させることを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が前記捕捉プローブへ結合し、前記結合した捕捉プローブが、前記固定したプローブへ結合する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
増幅反応を用いて前記分析種を増幅し、結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出することで、前記固体支持体上に固定した分析種が分析される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記増幅反応が等温増幅反応である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記増幅反応が転写媒介性増幅である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記血液細胞から放出された前記分析種から前記
溶血試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記分析種が病原性生物である、請求項19~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記試料が全血を含み、前記接触させるステップの間に
溶血試薬と全血の比が1:1~4:1である、請求項19~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
血液細胞を含有する試料から分析種を分離する方法であって、(a)溶血試薬と血液細胞を含有する試料との混合物を、前記試料中の前記血液細胞の少なくとも一部の溶解に十分な条件下でインキュベートし、それにより分析種を放出させるステップ、(b)前記混合物を、前記分析種を固定するように構成された固体支持体と接触させるステップ、及び(c)前記固定した分析種を前記混合物から分離するステップを含み、前記溶血試薬が、請求項1において定義される通りのものである、方法。
【請求項37】
前記固体支持体が、付着した固定したプローブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記接触させるステップ(b)は、前記混合物を、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を含む、捕捉プローブと接触させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(b)の後でありかつステップ(c)の前にあるステップ(i)をさらに含み、前記ステップ(i)が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントと前記分析種との間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、請求項38に記載の方法、
【請求項40】
ステップ(i)の後でありかつステップ(c)の前であるステップ(ii)をさらに含み、前記ステップ(ii)が、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントと、前記固体支持体へ付着した前記固定したプローブとの間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記固体支持体が磁気ビーズ固体支持体である、請求項36~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記固体支持体がシリカ固体支持体である、請求項36~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記シリカ固体支持体がグラスウールである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記シリカ固体支持体がビーズである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記固体支持体がカラム内に含有される、請求項36~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記分析種が病原性生物である、請求項36~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記分析種がRNA分析種である、請求項36~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記RNA分析種がリボソームRNA分析種である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記試料が全血試料である、請求項36~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
請求項1~11のいずれか1項に定義される通りの溶血試薬を含むキット。
【請求項55】
細胞試料から放出された分析種を固定するための固体支持体をさらに含む、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
プライマー、少なくとも1つの検出プローブ、またはそれらの両方をさらに含む、請求項54または55に記載のキット。
【請求項57】
請求項1~11のいずれか1項に記載の溶血試薬を、血液細胞を含有する試料と混合することによって調製される反応混合物。
【請求項58】
前記反応混合物が、前記溶血試薬及び血液細胞を含有する前記試料と一緒に、前記血液細胞から放出された分析種を固定するための固体支持体を混合することをさらに含む、請求項57に記載の反応混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条第(e)項の下で、2016年4月27日出願の米国仮出願第62/328,358号に対する利益を主張し、その全体的な内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
血中RNAを検出するための市販のアッセイはあるが、このようなアッセイにおいて検出されたRNAは、血中のHIV粒子またはHCV粒子など、細胞外形態で通常存在する。血液細胞内からの、特に赤血球内からのRNA分子または他の標的分子の検出は、より労力を要する。溶解に使用される試薬は、溶解によって放出される多くの非標的分子、特にヌクレアーゼまたはプロテアーゼが標的分子を分解し得るので、後続の加工に干渉し得る。
全血中のRNAの本質的な不安定性及びRNアーゼの存在は、RNAの単離を困難な課題としている。高純度、未処置のRNAの使用によって、感度の高い臨床用診断アッセイが容易になる。既存のアプローチは、典型的には、いくつかの連続的なステップを包含する:細胞を破壊するステップ、タンパク質を変性させるステップ、RNアーゼからのRNAの安定化及び保護のためのさらなるステップ、次いでRNAの単離のためのステップ
テトラデシルトリメチルアンモニウムオキサレート(TDTMAO)は通常、血液の搬送、貯蔵及び加工に使用されている(米国特許第6,602,718号及び第6,617,170号)。この第四級アミンは、例えば、PAXgene(商標)Blood RNA System(BD Biosciences)の中に含まれおり、細胞に浸透して、細胞内標的RNAを安定させることによって作用する。次に、このRNAは、後で標準的な技術を用いて、全血成分から精製及び分析することができる。細胞を溶解し、グアニジニウム塩を用いてRNアーゼを阻害するための方法も既知である(Chomczynski et al.(1987)Anal.Biochem.162,156-159)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6,602,718号明細書
【文献】米国特許第6,617,170号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】Chomczynski et al.(1987)Anal.Biochem.162,156-159
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
緩衝液と、洗剤と、を含み、塩、抗凝固薬、またはこの両方をさらに含む、試薬が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、この試薬は、緩衝液と、塩と、洗剤と、を含む。いくつかの実施形態において、この試薬は、緩衝液と、塩と、抗凝固薬と、を含む。いくつかの実施形態において、塩、緩衝液、洗剤、及び抗凝固薬のうちの1つ以上を含む試薬が提供される。いくつかの実施形態において、塩と、洗剤と、抗凝固薬と、を含む、試薬が提供される。いくつかの実施形態において、緩衝液と、塩と、洗剤と、を含む、試薬が提供される。いくつかの実施形態において、緩衝液と、塩と、洗剤と、抗凝固薬と、を含む、試薬が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、この緩衝液は、重炭酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、この緩衝液は、TRIS(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)緩衝液である。いくつかの実施形態では、この緩衝液は、重炭酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態において、この緩衝液は、リン酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態において、この緩衝液は、約5mM~約30mM、約10mM~約20mM、約10mM~約15mM、または約15mM~約20mMの濃度で試薬中にある重炭酸ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態において、この緩衝液は、約75mM~約150mM、約75mM~約125mM、約100mM~約125mM、または約90mM~約110mMの濃度で試薬中にあるTRIS緩衝液である。いくつかの実施形態では、この緩衝液は、約5mM~約30mM、約10mM~約20mM、約10mM~約15mM、または約15mM~約20mMの濃度で試薬中にあるリン酸ナトリウム(Na3PO4)緩衝液である。いくつかの実施形態において、試薬中のリン酸ナトリウムの濃度は、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMである。いくつかの実施形態では、試薬中の一塩基性リン酸ナトリウムの濃度は、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMである。いくつかの実施形態において、試薬中の二塩基性リン酸ナトリウムの濃度は、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMである。範囲は、これらの中にある全部の数及び部分的な数をすべてを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、この抗凝固薬は、EDTA((エチレンジニトリロ)四酢酸)、EDTA-Na2(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物)、EGTA(エチレン-ビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸)、ヘパリンまたはクエン酸塩のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、この抗凝固薬は、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mMの濃度で試薬中にEDTAを含む。いくつかの実施形態では、この抗凝固薬は、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mMの濃度で試薬中にあるEDTAである。いくつかの実施形態では、この抗凝固薬は、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mMの濃度で試薬中にあるEDTA-Na2である。いくつかの実施形態では、この抗凝固薬は、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mMの濃度で試薬中にあるEGTAである。範囲は、これらの中にある全部の数または部分的な数をすべてを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、この塩は、次のイオンのうちの1つ以上を含む:ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、及び塩化物イオン。いくつかの実施形態において、この塩は、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、または塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、この塩は、塩化物イオンと、マグネシウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンのうちの1つと、を含み、試薬中の塩の濃度は、約10mM~約50mM、約15mM~約40mM、または約20mM~約35mMである。いくつかの実施形態では、この塩は、約100mM~約500mM、約200mM~約350mM、または約250mM~約300mMの濃度で試薬中にある塩化アンモニウムである。範囲は、これらの中にある全部の数または部分的な数をすべてを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、この洗剤は、ラウリル硫酸リチウム(LLS)、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP40)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びTriton-X100のうちの1つである。いくつかの実施形態において、この洗剤はアニオン洗剤である。いくつかの実施形態において、この洗剤はLLSまたはSDSである。いくつかの実施形態において、この洗剤は、約1.5%(v/vまたはw/v)よりも高い濃度で試薬中に存在する。いくつかの実施形態において、この洗剤は、約15.5%(v/vまたはw/v)よりも低い濃度で試薬中に存在する。いくつかの実施形態において、この洗剤は、約2%~約15%(v/vまたはw/v)の濃度で試薬中に存在する。いくつかの実施形態において、この洗剤は、約2%~約15%(v/vまたはw/v)の濃度で試薬中に存在する。いくつかの実施形態において、この洗剤はLLSであり、試薬中のLLSの濃度は約2%~約15%(w/v)、約4%~約10%(w/v)、または約5%~約8%(w/v)である。いくつかの実施形態において、この洗剤はLLSであり、約14mM~約50mMで試薬中に存在する。範囲は、これらの中にある全部の数または部分的な数をすべてを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、この試薬のpHは、pH5.5よりも高い。いくつかの実施形態において、この試薬のpHは、pH10.5よりも低い。いくつかの実施形態において、この試薬のpHは、約6.0~約10.0である。いくつかの実施形態において、この試薬のpHは、約6.5~約8.0、または約7.0~約8.0、または約7.2~約7.6、または約6.7~約7.5、または約6.7、または約7.3または約7.5である。範囲は、これらの中にある全部の数または部分的な数をすべてを含む。
【0011】
この試薬のいくつかの実施形態において、重炭酸ナトリウムの濃度は14mMであり、塩化アンモニウムの濃度は250mMであり、LLSの濃度は8%(w/v)であり、EDTAの濃度は約0.1mM~約10mMであり、pHは7.2~7.6である。この試薬のいくつかの実施形態において、緩衝液は、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びTRISからなる群から選択され、洗剤は、約5%~約10%(v/vまたはw/v)であり、pHは、約6.5~約8.0であり、塩は、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、及び塩化カリウムからなる群から選択される。この試薬のいくつかの実施形態において、緩衝液は、リン酸ナトリウム及びTRISからなる群から選択され、塩は、塩化マグネシウム及び塩化アンモニウムからなる群から選択される。この実施形態のいくつかの態様において、抗凝固薬の濃度は約0mM~約1mMである。この実施形態のいくつのさらなる態様において、洗剤は約6%~約10%(w/v)の濃度のLLSである。この実施形態のいくつかのさらなる態様において、緩衝液は約90mM~約110mMの濃度のTRISであり、試薬のpHは約7.2~約7.5である。この実施形態のいくつかのさらなる態様において、抗凝固薬は約0.1mM~約5mMの濃度であり、EGTA、EDTA、EDTA-Na2、またはこれらの組み合わせである。
【0012】
いくつかの実施形態において、この試薬を、血液細胞と、赤血球と、または赤血球に由来する産物と混合する。ある特定の実施形態において、この試薬を全血と混合する。いくつかの実施形態において、この試薬を、間にあって全部を数に入れた比及び部分的に数に入れた比をすべて含む約1:1(v/v)~約4:1(v/v)の比で全血と混合する。いくつかの実施形態において、この試薬を3:1(v/v)の比で全血と混合する。いくつかの実施形態において、全血は、ヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である。
【0013】
血液細胞由来の分析種を分析する方法であって、(a)血液細胞を緩衝液と、塩と、界面活性剤と、を含む試薬と接触させ、この試薬は、血液細胞を溶解して血液細胞から放出された分析種の分解を阻害するのに有効であること、及び(b)血液細胞から放出された分析種を分析することを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0014】
いくつかの方法において、標的は、病原体由来の標的である。いくつかの方法において、標的はRNAである。
【0015】
いくつかの方法において、標的を分析することは、核酸アッセイを含む。いくつかの方法において、標的を分析することは、放出された標的を捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させることを含み、この捕捉プローブは、標的と相補的な第1のセグメントと、固定したプローブと相補的な第2のセグメントとを有するものであって、標的は捕捉プローブへ結合し、結合した捕捉プローブは、固定したプローブへ結合する。いくつかの方法は、標的の転写媒介性増幅を実施することと、結果として生じる増幅産物を検出プローブで検出することと、をさらに含む。
【0016】
いくつかの方法は、血液細胞から放出された標的から試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される。
【0017】
配列の簡単な説明
配列番号1は、非T7プライマーの核酸配列を示す。
【0018】
配列番号2は、T7プライマーの核酸配列を示す。
【0019】
配列番号3は、アクリジニウムエステル(AE)プローブの核酸配列を示す。
【0020】
配列番号4は、標的捕捉オリゴヌクレオチド(TCO)プローブの核酸配列を示す。
【0021】
定義
病原体には、ヒト及び他の動物における疾患の原因となるウイルス、細菌、原虫、真菌、及び他の微生物が含まれる。
【0022】
分析種(本明細書では標的と呼ばれることもある)は、タンパク質または核酸などの単一のタイプの分子、または寄生生物由来の何らかのタンパク質もしくはRNA、または血液細胞由来の何らかのタンパク質もしくはRNAなどの分子のクラスであり得る。RNA分析種及びタンパク質分析種、または2つの異なるmRNA分析種、もしくは1つのmRNA分析種及び1つのrRNA分析種などの2つの異なるRNA分析種検体、などの複数の異なる分析種も分析することができる。分析種には、血液細胞の内在性成分及び、感染した血液細胞の病原性感染の結果として生じる血液成分が含まれており、この分析種は、典型的には感染病原体(すなわち「病原性」または「病原体由来」の分析種)によってコードされている。
【0023】
溶解試薬とは、赤血球またはペレット化した赤血球などの赤血球産物の溶解を含む、全血中の血液細胞の溶解を誘導するのに有効な、液状でしばしば提供される試薬である。
【0024】
洗剤は、疎水性分子を可溶化するのに有効な界面活性剤である。概して、洗剤は、親水性基または水中溶解度を亢進させる官能基に結合した疎水性部分、通常は長いアルキル鎖からなる水溶性界面活性剤である。洗剤には、アニオン洗剤、カチオン洗剤、両性イオン性洗剤、非イオン性洗剤、及び消泡剤が含まれる。
【0025】
抗凝固薬は、全血の凝固を阻害する。抗凝固薬には、ヘパリン及びカルシウムキレート剤が含まれる。ヘパリンは、アンチトロンビンIIIを活性化し、アンチトロンビンIIIは、トロンビン及び血液凝固に関与する他のプロテアーゼの活性を阻害する。EDTA、EGTA及びクエン酸塩のようなカルシウムキレート剤は、血液凝固に必要なカルシウムイオンを結合する。
【0026】
緩衝液とは、溶液のpHを維持するために使用される弱酸または弱塩基をいう。
【0027】
核酸とは、互いに結合してポリマーを形成する含窒素複素環式塩基または含窒素複素環式塩基類似体を有するヌクレオチドまたは類似体を含む、多量体化合物をいい、従来のRNA、DNA、RNA-DNA混合物、及びこれらの類似体を含む。
【0028】
含窒素複素環塩基は、核酸塩基ということができる。核酸塩基は、従来のDNA塩基またはRNA塩基(A、G、C、T、U)、塩基類似体(The Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36,Adams et al.,ed.,11,sup.th ed.,1992、van Aerschott et al.,1995,Nucl.Acids Res.23(21):4363-70)、ピリミジン誘導体またはプリン誘導体(Hill et al.,1998,Proc Natl.Acad.Sci.USA 95(8):4258-63、Lin and Brown,1992,Nucl.Acids Res.20(19):5149-52)、ピレン官能化LNAヌクレオシド類似体(Babu & Wengel,2001,Chem.Commun.(Camb.)20:2114-5、Hrdlicka et al.,2005,J.Am.Chem.Soc.127(38):13293-9)、及び水素結合なしで二本鎖DNAを形成する疎水性核酸塩基(Berger et al.,2000,Nucl.Acids Res.28(15):2911-4)であり得る。多くの誘導体化した及び修飾された核酸塩基または類似体は、市販されている(例えば、Glen Research,バージニア州スターリング地区)。
【0029】
糖に付着した核酸塩基単位は、核酸塩基単位またはモノマーということができる。核酸の糖部分は、例えば、2’メトキシ置換または2’ハロゲン化物置換を有するリボース、デオキシリボース、または類似の化合物であり得る。ヌクレオチド及びヌクレオシドは、核酸塩基単位の例である。
【0030】
核酸塩基単位は、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合もしくはメチルホスホナート結合、ペプチド-核酸結合(PNA)(Nielsen et al.,1994,Bioconj.Chem.5(1):3-7、PCT第WO95/32395号)、二環式フラノース単位を有するヌクレオチドモノマーが糖の立体配座を模倣するRNAに固定されているロックされた核酸(LNA)の立体配座(Vester et al.,2004,Biochemistry 43(42):13233-41、Hakansson & Wengel,2001,Bioorg.Med.Chem.Lett.11(7):935-8)を含む種々の結合もしくは立体配座、または核酸鎖におけるこのような結合の組み合わせを含む。核酸は、1つ以上の「無塩基性」残基を含み得、すなわち、その骨格は、1つ以上の位置に対して窒素塩基を含んでいない(米国特許第5,585,481号)。
【0031】
核酸は、従来のRNA糖またはDNA糖、塩基及び結合のみを含み得、または従来の成分及び置換(例えば、2’-O-メチル結合を有する従来のRNA塩基、または従来の塩基及び類似体の混合物)を両方含み得る。帯電した結合(例えば、ホスホロチオアート)または中性基(例えば、メチルホスホナート)を含有するオリゴマーを含む、PNA、2’-メトキシもしくは2’-フルオロで置換されたRNA、またはハイブリッド形成複合体の全体的な電荷、電荷密度、または立体結合に影響を及ぼす構造を含むことは、核酸によって形成される二本鎖の安定性に影響を及ぼし得る。
【0032】
オリゴマーは、全長及び他の特性において実質的に同じであるが、オリゴマーの少なくとも一部が、指定された長さについて異なる塩基の無作為な組み込み、例えばDNAオリゴマーにおける4つの標準的な塩基(A、T、G、及びC)全部の無作為な組み合わせまたはより大きなオリゴマーの規定された部分における数個の塩基(UまたはT及びG)の無作為な組み込みによって合成されるオリゴマーの集団をいう「ランダムポリマー」配列を含有し得る。得られたオリゴマーは、実際には、有限数のメンバーが無作為部分を構成する塩基の長さ及び数によって決まるオリゴマーの集団である(例えば、2つの異なる塩基を用いることによって合成される6-ntの無作為配列を含有するオリゴマーの集団中の26個のオリゴマー)。
【0033】
核酸の相補性とは、核酸の一方の鎖におけるヌクレオチド配列が、その核酸塩基基の向きにより、反対側の核酸塩基鎖における別の配列に水素結合することを意味する。相補的な塩基は、典型的には、DNAでは、AとT及びCとG、RNAではCとG、及びUとAである。相補性は、完全(すなわち、正確)または実質的で/十分であり得る。2つの核酸間の完全な相補性とは、2つの核酸が、ワトソン-クリック(Watson-Crick)対形成によって、二本鎖におけるあらゆる塩基が相補的な塩基へ結合した二本鎖を形成することができることを意味する。「実質的に」または「十分に」相補的なとは、一方の鎖の配列が反対側の鎖の配列と完全には及び/または完璧には相補的ではないが、十分な結合がこの2つの鎖の塩基間に生じて、ハイブリッド形成条件のセット(例えば、塩濃度及び温度)において安定したハイブリッド複合体を形成することを意味する。このような条件は、これらの配列及び標準的な算術計算を用いて、ハイブリッド形成した鎖のTmを予測することによって、または通例の方法を用いることによるTmの演繹的な決定によって予測することができる。Tmとは、2つの核酸鎖の間に形成されたハイブリッド形成複合体の集団が50%変性している温度をいう。Tmを下回る温度では、ハイブリッド形成複合体の形成が有利であるが、Tmを上回る温度では、ハイブリッド形成複合体における鎖の融解または分離が有利である。Tmは、例えば、Tm=81.5+0.41(%G+C)を用いることによって、1M NaCl水溶液中の既知のG+C含有量を有する核酸について概算することができるが、他の既知のTm計算は、核酸の構造的特徴を考慮に入れる。
【0034】
「分離する」または「単離する」または「精製する」とは、試料などの複雑な混合物から1つ以上の成分を取り出すことをいう。好ましくは、分離する、単離するまたは精製するステップは、核酸分析種を他の試料成分から少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%w/wを取り出す。分離する、単離するまたは精製するステップは、任意に、非分析種試料成分を取り出すために追加の洗浄するステップを含み得る。
【0035】
捕捉ハイブリッドの「放出」とは、捕捉プローブから核酸分析種を、及び/または固定したプローブから捕捉プローブを分離することなど、捕捉ハイブリッドの1つ以上の成分を互いから分離することをいう。核酸鎖の放出は、捕捉ハイブリッドの他の成分から分析種を分離し、この分析種を検出プローブへの結合に対して利用可能にする。捕捉ハイブリッドの他の成分は、例えば捕捉プローブ鎖を捕捉支持体上にある固定したプローブへ、分析種の検出に影響を及ぼすことなく結合したままであり得る。
【0036】
「標識」とは、例えば、検出可能なシグナルを生じる反応を触媒することによって、検出可能である、または検出可能な応答もしくはシグナルを直接的または間接的に生じる、分子部分をいう。標識には、発光部分(蛍光化合物、生物発光化合物または化学発光化合物)、放射性同位体、特異的結合対のメンバー(例えば、ビオチン及びアビジン)、酵素もしくは酵素基質、反応基または検出可能な色彩を生じる色素もしくは粒子などの発色団が含まれる。
【0037】
捕捉プローブには、配列の標的相補性領域を含む第1のセグメントと、固定したプローブへ捕捉プローブまたは捕捉プローブを含むハイブリッド形成複合体を付着させるための第2のセグメントと、が含まれる。第1のセグメントは、実施例において説明されているなど、ハイブリッド形成条件下で第1のセグメント及び標的核酸がハイブリッド形成して安定した二本鎖(すなわち、検出可能な融点を有する)を形成することができるように、特定の核酸分析種配列(または標的配列)と実質的に相補的であるよう構成されることができる。あるいは、ハイブリッド形成条件下で試料中の核酸配列へ非特異的に結合するように第1のセグメントを構成することができる(WO2008/016988を参照されたい)。第2のセグメントには、固定したプローブの配列に相補的な配列の領域が含まれる。好ましくは、キメラ捕捉プローブには、捕捉プローブの標的相補領域に共有結合し、既に説明されているように(Weisburg et al.に対する米国特許第6,110,678号)、固定したプローブの相補的ホモポリマー(例えば、ポリTまたはポリA)へ適切な条件下でハイブリッド形成する核酸ホモポリマー(例えば、それぞれポリAまたはポリT)が含まれる。捕捉プローブは、捕捉反応において未結合の標的捕捉プローブを不活性化するための閉鎖配列として作用する第3のセグメントをさらに含み得る。この第3のセグメントは、第2のセグメントの反対側の第1のセグメントに隣接することができ(例えば、捕捉配列:標的ハイブリッド形成配列:閉鎖配列)、または第1のセグメントの反対側の第2のセグメントに隣接することができる(例えば、閉鎖配列:捕捉配列:標的ハイブリッド形成配列)。WO2006/007567及びUS2009-0286249を参照されたい。
【0038】
固定したプローブには、支持体へ直接的にまたは間接的に結合した核酸が含まれる。核酸は、捕捉プローブ中の核酸と相補的であるが、捕捉プローブにおけるのと同じ長さ(核酸塩基単位数)であってもなくてもよい。固定したプローブ中の核酸は好ましくは、少なくとも6個の連続した核酸塩基単位を含有しており、例えば、包括的には10~45個または10~40個または10~30個または10~25個または15~25個のL型核酸塩基単位を含有することができる。核酸は、好ましくはホモポリマーであり、より好ましくはアデニンまたはチミンのホモポリマーである。固定したプローブの好ましい形態は、アデニン残基のホモポリマーを有する第2のセグメントを含む捕捉プローブとの併用のための14個のチミン残基のホモポリマーであるか、またはこれを含む。固定したプローブの核酸部分は、典型的には、一本鎖形態で提供されるか、またはそうでない場合、使用前もしくは使用中に一本鎖形態に変性する。
【0039】
種々の材料のいかなるものも、例えば、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリラート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレン、及び磁気誘引性材料、から作製されたマトリックスまたは粒子が、固定したプローブのための支持体として使用され得る。単分散磁性球体は、大きさが比較的均一であり、反応容器へ磁力を、好ましくは自動化システムにおいて適用することによって、溶液から容易に回収されるので、好ましい支持体である。固定したプローブは、例えば、種々の共有結合、キレート結合、もしくはイオン相互作用のいずれかを用いることによって、捕捉支持体へ直接的に結合し得るか、または支持体へ連結した1つ以上のリンカーを介して間接的に結合し得る。リンカーには、捕捉プローブにハイブリッド形成するのではなく、固定したプローブの核酸と当該プローブの支持体の間のスペーサーとして作用するように意図された1つ以上のヌクレオチドが含まれることができる。
【0040】
「検出プローブ」とは、標的配列へ特異的に結合し、その結合が標的配列の存在を示す検出可能なシグナルを直接的にまたは間接的に生じる核酸または他の分子である。検出プローブは、検出可能なシグナルを生じるために標識される必要はなく、例えば、プローブをその標的配列へ結合させることにより生じる電気的インパルスは、検出可能なシグナルであり得る。「標識したプローブ」とは、標識を含有するプローブ、または標識へ直接的にもしくは間接的に結合したプローブである(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.,Chapt.10、米国特許第6,361,945号,Becker et al.、米国特許第5,658,737号,Nelson et al.、米国特許第5,656,207号,Woodhead et al.、米国特許第5,547,842号,Hogan et al.、米国特許第5,283,174号,Arnold et al.、米国特許第4,581,333号,Kourilsky et al.、米国特許第5,731,148号,Becker et al.)。例えば、検出プローブには、非ヌクレオチドリンカー及びこのリンカーに付着した化学発光標識が含まれ得る(米国特許第5,185,439号、第5,585,481号及び第5,639,604号,Arnold et al.)。検出プローブの例としては、均質な反応物中で検出される付着した標識を有する長さ約5~50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド、例えば、結合したまたは結合していないプローブ上の標識の差次的加水分解を用いるものが含まれる。
【0041】
検出プローブは、アッセイのフォーマットに応じて標的配列と同じまたは反対のセンスのヌクレオチド配列を有することができる。検出プローブは、捕捉プローブと同じまたは異なるセグメントの標的配列へハイブリッド形成することができる。いくつかの検出プローブは、付着した化学発光マーカー、例えばアクリジニウムエステル(AE)化合物を有する(米国特許第5,185,439号、第5,639,604号、第5,585,481号及び第5,656,744号)。いくつかの検出プローブでは、アクリジニウムエステル標識は、非ヌクレオチドリンカーを用いることによってA及びT塩基対の領域付近のプローブの中央領域に付着し(米国特許第5,585,481号及び第5,656,744号,Arnold et al.)、このことは、AEの両側のヌクレオチド塩基のアミンを制限し、インターカレーションのための部位を提供する。あるいは、AE標識は、検出プローブの3’末端または5’末端へ付着し得、このAE標識が、標的核酸上の検出プローブ付近でハイブリッド形成して標的核酸によって寄与される近隣のアミンの作用を制限する、第2のオリゴマーとともに使用される。いくつかの検出プローブにおいて、関連する非標的ポリヌクレオチド配列とのミスマッチの部位のまたはその近くのAE標識は、関連する配列と、たった1個のヌクレオチドだけ異なり得る標的配列の間の識別を可能にし、その理由は、ミスマッチ部位の周りの二本鎖領域が十分に不安定化して、関連する非標的配列とハイブリッド形成したプローブ上のAEを易加水分解性にするからである。HIV-1及びHCVは、Gen-Probe製の市販のPROCLEIX(登録商標)ULTRIO HIV-1/HCV/HBVアッセイの改変形態を用いて検出され得る。この改変は、捕捉プローブ及び固定したプローブにおけるD-ポリA配列及びD-ポリT配列をそれぞれL-ポリA及びL-ポリTと置き換えることを包含する。
【0042】
「ハイブリッド形成条件」とは、1つの核酸鎖が第2の核酸鎖へ相補鎖相互作用及び水素結合によって結合して、ハイブリッド形成複合体を生じる累積的な環境をいう。このような条件には、核酸を含有する水溶液または有機溶液の化学成分及びその濃度(例えば、塩、キレート剤、ホルムアミド)、ならびに混合物の温度が含まれる。インキュベーション時間の長さまたは反応チャンバー寸法などの他の因子は、こうした環境に寄与し得る(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2.sup.nd ed.,pp.1.90-1.91,9.47-9.51,11.47-11.57(Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク州コールドスプリングハーバー地区,1989))。
【0043】
標的捕捉オリゴマーの1個のまたは複数の標的核酸への特異的結合は、標的捕捉オリゴマーの第1のセグメント中の単一の規定された配列と標的核酸(複数可)上の正確にまたは実質的に相補的なセグメントの間の結合で、安定した二本鎖を形成することを意味する。このような結合は、単一の規定された標的捕捉オリゴマー配列に対して正確にまたは実質的に相補的なセグメントを欠いている試料中の他の核酸への結合よりも検出可能に強い(シグナルまたは融解温度が高い)。標的捕捉オリゴマーの標的核酸への非特異的結合は、標的捕捉オリゴマーが、単一の規定された標的捕捉オリゴマー配列と正確なまたは実質的な相補性を有するセグメントを共有しない標的配列の集団へ結合することができることを意味する。このようなことは、例えば、捕捉プローブの第1のセグメントにおける無作為化した配列を用いることによって達成することができる。
【0044】
核酸間の結合を欠いていることは、実質的な相補性を欠く無作為に選択された核酸対だが、問題の核酸と同じ長さの無作為に選択されたこの核酸対の間で生じる非特異的結合と区別できない結合によって明らかにすることができる。
【0045】
捕捉ハイブリッドの「放出」とは、捕捉プローブから標的核酸を、及び/または固定したプローブから標的捕捉オリゴマーを分離することなど、捕捉ハイブリッドの1つ以上の成分を互いに分離することをいう。標的核酸鎖の放出は、捕捉ハイブリッドの他の成分から分析種を分離し、検出プローブへの結合に対して分析種を利用可能にする。捕捉ハイブリッドの他の成分は、例えば、分析種の検出に影響を及ぼすことなく、標的捕捉オリゴマー鎖を捕捉担体上の固定したプローブへ結合させたままであり得る。
【0046】
「感度」とは、そのようなものとして正しく識別された真の陽性の割合(例えば、感染したと正しく識別された感染患者の百分率)である。特異性は、正しく識別された真の陰性の割合(例えば、感染していないと正しく識別された非感染患者の百分率)を測定する。
【0047】
値の範囲への参照には、範囲内の整数及び範囲内の整数で定義された部分範囲も含まれる。いかなる数値または数値範囲に対する参照も、他の典型的な使用条件を重要とみなす、測定において固有であるようないかなる変化も、包含するものとして理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
I.一般
血液細胞を溶解し、それによってRNAまたは他の分析種を分析に適した形態で放出するための溶解試薬が、本明細書に提供される。好ましくは、溶解試薬は、赤血球を含む血液細胞を溶解し、それによりRNAまたは他の分析種を分析に適した形態で放出する。一態様において、溶解試薬は、血液細胞を含んでいる試料、血液細胞からなる試料、または本質的に血液細胞からなる試料を溶解し、それにより分析に適した形態のRNAまたは他の分析種を放出する。溶解試薬は、少なくとも緩衝液、塩及び洗剤を含む。試薬は、血液細胞を溶解し、放出された分析種を溶解物中の分解から保護するよう機能し、標的捕捉、増幅、検出及び/または配列決定などの分析種の分析のためのその後の工程と適合する。溶解試薬は、病原体または宿主からの分析種の分析に適している。分析種は、好ましくは、病原体または宿主由来の核酸分析種である。より好ましくは、分析種は、病原体または宿主由来のRNA分析種である。溶解試薬は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、ジカウイルスなどのフラビウイルス、ならびにバベシア及びプラスモジウム種などの寄生生物を含むがこれらに限定されない、血液細胞に感染する病原体由来の核酸の分析に特に適している。
【0049】
開示された溶解試薬は、病原体由来RNAを赤血球から調製及び分析するための種々の既知の溶解薬を用いて欠陥を識別することから一部生じるが、溶解試薬は、血液細胞から多数の成分を調製するために使用することができる。既知の溶解薬は、病原体由来のRNAを分析するための試薬及び方法と適合しないことが認められており、溶解した試料を捕捉試薬へ添加したときに、細胞凝集、沈殿物の出現、及び磁気ビーズの喪失を引き起こした。対照的に、本発明の溶解試薬は、こうした方法と適合しており、全血試料中の血液細胞の溶解、ならびに標的捕捉及び転写媒介性増幅後に放出された病原体由来RNAの高感度検出を可能にした。本発明の溶解試薬は、溶解後のヌクレアーゼ及びプロテアーゼによる病原体由来RNAの分解を阻害し、試料間の再現性を実証した。
【0050】
II.溶解試薬
本発明の溶解試薬は、少なくとも緩衝液、洗剤、ならびに塩及び抗凝固薬の一方または両方を含む。緩衝液は、約5mM~約150mMの濃度で溶解試薬中に存在する。重炭酸ナトリウムは、適切な緩衝液の一例である(NaHCO3)。重炭酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約5mM~約30mM、約10mM~約20mM、約10mM~約15mM、約15mM~約20mM、約12mM~約16mM、または約14mMの濃度で試薬中に存在することができる。TRIS緩衝液は、例えば、約75mM~約150mM、約75mM~約125mM、約100mM~約125mM、約90mM~約110mM、または約100mMの濃度で試薬中に存在することができる。リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約5mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。一塩基性リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。
【0051】
試薬のpHは、例えば、約6.0~約10.0、約6.5~約9.0、約7.0~約8.0、約7.2~約7.6、約7.5、約7.3、または約6.7であることができる。範囲は、これら中にある全部の数及び部分的な数をすべてを含む。
【0052】
洗剤は、溶解薬としても、溶血後の分析種分解の阻害剤としても作用することができる。洗剤は、核酸の分解を阻害するのに特に有用である。例示的な洗剤には、Triton X-100、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(NP-40)、ラウリル硫酸リチウム(LLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれる。LLSが好ましい。例として、溶解試薬中の洗剤の濃度範囲には、約2%~約15%(v/vまたはw/v)、約4%~約10%(v/vまたはw/v)、約5%~約8%(v/vまたはw/v)、約6%(v/vまたはw/v)、約8%(v/vまたはw/v)、または約10%(v/vまたはw/v)が含まれる。
【0053】
溶解試薬中に存在する場合、塩は、約10mM~約1,000mMの濃度である。試薬中の塩化アンモニウムについての例示的な濃度範囲には、約100mM~約1000mM、約100mM~約800mM、約100mM~約500mM、約150mM~約300mM、約200mM~約300mM、約240mM~約260mM、または約250mMが含まれる。試薬中の塩化マグネシウムについての例示的な濃度範囲には、約10mM~約300mM、約15mM~約200mM、約20mM~約100mM、約25mM~約50mM、約28mM~約40mM、約30mM~約35mM、約33mM、または約30mMが含まれる。試薬中の塩化カリウムの例示的な濃度範囲には、約10mM~約300mM、約15mM~約200mM、約20mM~約100mM、約25mM~約50mM、約28mM~約40mM、約30mM~約35mM、約33mM、または約30mMが含まれる。
【0054】
溶解試薬中に存在する場合、抗凝固薬は、試料(例えば、全血または赤血球)の凝固を阻害するのに十分な濃度にある。凝固を阻害することにより、抗凝固薬は、赤血球を単離する方法において試料を遠心分離する必要性を排除する。例示的な抗凝固剤には、EDTA EDTA-Na2、EGTA、ヘパリンまたはクエン酸塩が含まれる。溶解試薬中のEDTAの例示的濃度には、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約10mM、約2.5mMまたは約0.1mMが含まれる。溶解試薬中のEDTA-Na2の例示的濃度には、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約10mM、約2.5mM、または約0.1mMが含まれる。溶解試薬中のEGTAの例示的濃度には、約0.05mM~約15mM、約0.1mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約7.5mM、約3mMまたは約1mMが含まれる。
【0055】
好ましい溶解試薬には、粉末形態の、または水などの溶媒中の、先に記載の濃度のいずれかの重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、LLS、及びEDTAが含まれる。好ましくは、重炭酸ナトリウムは、12mM~16mMの濃度、またはより好ましくは14mMであり、塩化アンモニウムは、100mM~500mMの濃度、またはより好ましくは250mMであり、LLSは、4%~15%の濃度、より好ましくは8%(w/v)であり、EDTAは、0.01mM~10mMの濃度、またはより好ましくは0.1mMもしくは10mMの濃度であり、試薬のpHは、7.2~7.6、またはより好ましくは7.3である。任意に、溶解試薬は、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、LLS、EDTA及び水から本質的になる。
【0056】
好ましい溶解試薬には、粉末形態または水などの溶媒中の、先に記載の濃度のいずれかのリン酸ナトリウム、LLS、EDTA-Na2及びEGTAが含まれる。好ましくは、リン酸ナトリウム緩衝液は、約5mM~約30mMの濃度、またはより好ましくは30mMもしくは15mMであり、LLSは、4%~15%の濃度、またはより好ましくは10%(w/v)である。EDTA-Na2は、0.5mM~5mMの濃度、またはより好ましくは1mMであり、EGTAは、0.5mM~5mMの濃度、またはより好ましくは1mMであり、試薬のpHは6.0~8.0、またはより好ましくは6.7である。好ましくは、リン酸ナトリウム緩衝液は、一塩基性リン酸ナトリウム及び二塩基性リン酸ナトリウムの一方または両方を含む。好ましくは、リン酸ナトリウム緩衝液は、約5mM~約30mMの濃度、またはより好ましくは30mMもしくは15mMの一塩基性リン酸ナトリウムを含む。好ましくは、リン酸ナトリウム緩衝液は、約5mM~約30mMの濃度、またはより好ましくは30mMもしくは15mMの二塩基性リン酸ナトリウムを含む。好ましくは、リン酸ナトリウム緩衝液は、約5mM~約30mMの濃度、またはより好ましくは30mMもしくは15mMの一塩基性リン酸ナトリウムを含み、約5mM~約30mMの濃度、またはより好ましくは30mMもしくは15mMの二塩基性リン酸ナトリウムを含む。任意に、溶解試薬は、リン酸ナトリウム、洗剤、EDTA-Na2、EGTA、及び水から本質的になる。
【0057】
好ましい溶解試薬には、粉末形態または水などの溶媒中の、先に記載の濃度のいずれかのTRIS、塩化マグネシウム、及びLLSが含まれる。好ましくは、TRISは、75mM~150mMの濃度、またはより好ましくは100mMの濃度であり、塩化マグネシウムは、10mM~50mMの濃度、またはより好ましくは30mMであり、LLSは、4~15%、より好ましくは6%(w/v)であり、試薬のpHは、7.0~8.0、またはより好ましくは7.5である。任意に、溶解試薬は、TRIS、塩化マグネシウム、及びLLS、ならびに水から本質的になる。任意に、溶解試薬は、消泡剤を含有する。
【0058】
溶解試薬は、捕捉プローブ、固定したプローブ、固体支持体、検出プローブ、及び/または後述の分析種のいずれかを含む血液細胞から単離されることになっている分析種に関するアッセイを実施するためのプライマーも含むキットとして提供することができる。このようなキットには、溶解試薬を使用するための及び/または血液細胞から単離された分析種に関するアッセイを実施するための説明書が含まれることができる。血液細胞溶解反応混合物、標的捕捉反応混合物、核酸増幅反応混合物、核酸検出反応混合物、及びこれらの組み合わせを含む反応混合物を、キットから調製することができる。いくつかの反応混合物は、本明細書に開示される溶解試薬を含有する。
【0059】
III.溶解試薬の使用
全血は、全血献血者からまたは血液バンク施設から直接を含む、多数の源から入手することができる。赤血球は、全血またはペレット化赤血球などの赤血球を含む全血の何らかの画分など、何らかの利用可能な源から得ることができる。全血は、ヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0060】
溶解試薬は、細胞溶解を誘導し、細胞から所望の分析種(複数可)の分子の放出を生じるのに十分な時間、血液細胞と混合することができる。溶解試薬と混合した血液細胞を維持するための例示的な時間には、1~30分、2~15分、3~10分、4~6分、または5分が含まれる。好ましくは、時間は、30分、15分、10分または5分以下である。好ましくは、混合物は、溶解後に目に見える粒子がない。範囲は、これらの中にある全部の数及び部分的な数をすべてを含む。
【0061】
溶解試薬と血液細胞とのインキュベーションの温度は変化させることができる。温度は、好ましくは、溶解の程度及び速度を最大限にし、分析種(複数可)の分解を最小限にするかまたはその後の加工の阻害を防止するように選択される。例示的な温度範囲には、0~50℃、5~45℃、10~40℃、15~37℃、20~30℃、22~27℃または25℃が含まれる。雰囲気温度が適切である。血液細胞の溶解は、本明細書に説明される方法によって検出可能となる十分量の分析種分子を放出すべきである。好ましくは、溶解は、溶解される試料中の血液細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%の溶解を結果的に生じる。範囲は、これらの中の全部の数及び部分的な数のすべてを含む。
【0062】
全血が溶解試薬と組み合わされる比率は、細胞溶解の程度及び速度ならびに、溶解した細胞からの放出後の分解からの分析種分子の保護に影響を及ぼすことができる。全血が溶解試薬と混合される例示的な比率には、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10の比率が、または1:1と1:10の間の比率(v/v;全血:試薬)の範囲において含まれる。好ましい比率は、溶解試薬と約1:2~約1:4または1:2または1:3または1:4(v/v)の比率で混合された全血である。試料が、ペレット化赤血球など、全血から単離された赤血球を含むとき、赤血球は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10の例示的な比率で、または1:1~1:10(v/v;赤血球:試薬)の比率の範囲で、溶解試薬と混合することができる。範囲は、これらの中の全部の数及び部分的な数のすべてを含む。
【0063】
IV.分析種
本発明の試薬によって赤血球を含む血液細胞から放出された分析種は、病原体由来の分析種または宿主由来の分析種であり得る。本発明の溶解試薬によって赤血球からを含む血液細胞から放出された分析種には、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、粒子全体、タンパク質及び抗体が含まれることができる。分析種は、好ましくは、病原体由来のまたは宿主由来の核酸分析種である。より好ましくは、分析種は、病原体由来のまたは宿主由来のRNA分析種である。種々のタイプのRNA分析種を検出することができる。RNA分析種は、リボソームRNA(rRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、または異質核内RNA(hnRNA)であり得る。病原体由来の分析種についての好ましい分析種は、リボソームRNA、特に18S rRNA、5S rRNA、5.8S rRNA、または28S rRNAである。
【0064】
例示的な病原体には、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、ジカウイルスなどのフラビウイルス、及び寄生生物が含まれるが、これらに限定されない、血液細胞から検出することのできる病原体が含まれる。例示的な寄生生物には、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、またはトキソプラズマ属由来の寄生虫が含まれる。ヒトにおいて疾患を発症させるバベシア属の生物は、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、またはバベシア・ダンカニ(Babesia duncani)であり得る。プラスモジウム属の生物は、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、またはプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)であり得る。
【0065】
V.アッセイ
血液細胞の溶解から放出された分析種分子は、分析の対象となる。分析種分子は、分析前に溶解試薬から(遠心分離などによって)分離されていてもされていなくてもよい。分離ステップを省略することにより、アッセイを実施する上での効率的な作業の流れを容易にすることができる。アッセイのタイプは分析種に依存する。
【0066】
A.核酸
核酸分析種の分析はしばしば、捕捉、増幅及び検出のステップを包含する。あるいは、増幅及び検出の方法は、事前の標的捕捉なしで実施することができる。好ましくは、増幅、及び検出及び標的捕捉(実施する場合)は、溶解試薬から分析種分子を分離することなく行われる。したがって、プロセス全体を単一の容器内で実施することができる。
【0067】
1.標的捕捉アッセイ
例示的な標的捕捉アッセイは、1つ以上の捕捉プローブ、固定したプローブ、試料、ならびに標的核酸への標的捕捉オリゴマーのハイブリッド形成及び固定したプローブへの標的捕捉オリゴマーのハイブリッド形成を可能にするための適切な媒体を用いて、次のように実施することができる。アッセイを実施する前に、試料を加熱して(例えば、65℃~95℃)二本鎖形態のいかなる核酸も変性させることができる。構成要素は、何らかの順序で混合することができる。例えば、標的捕捉オリゴマーを試料に添加し、試料中の標的核酸とハイブリッド形成させた後、固定したプローブを添加することができる。しかしながら、自動アッセイについては、標的捕捉オリゴマー及び固定したプローブを同時にまたは実質的に同時に供給することによって、添加ステップ数を最小限にすることが好ましい。この場合、ハイブリッド形成の順序は、標的捕捉オリゴマーと標的核酸の間に二本鎖を形成することができるが、捕捉プローブの第1のステムセグメントと第2のステムセグメントの間に、及び標的捕捉オリゴマーと固定したプローブの間に形成されるであろう二本鎖の融解温度を超える条件下で第1のハイブリッド形成を実施することによって、次に、低いストリンジェンシー条件下で、好ましくは第1のステムセグメントと第2のステムセグメントの間、及び標的捕捉オリゴマーと固定したプローブの間に形成された二本鎖の融解温度よりも低い条件下で第2のハイブリッド形成を実施することによって制御することができる。ストリンジェンシーは、アッセイ混合物の温度を下げることによって低下させることができる。高温では、標的結合部位は標的核酸と二本鎖形成する。低温では、互いに標的核酸二本鎖へ結合していない捕捉プローブの第1及び第2のステムセグメント、ならびに標的核酸へ結合した捕捉プローブの第1のステムセグメントは、固定したプローブと二本鎖を形成する。例えば、より高いストリンジェンシーのハイブリッド形成は、60℃またはそれに近い温度で、より低いストリンジェンシーのハイブリッド形成は、室温または25℃へ冷却させておくことによって実施することができます。ストリンジェンシーは、塩濃度を下げること、またはカオトロピック溶媒の濃度を増やすまたは上昇させることによっても低下させることができる。いくつかの方法において、全ステップ(二本鎖標的を変性させるための高温での初期変性ステップという起こり得る例外を伴う)を等温で実施することができる。
【0068】
標的核酸:捕捉プローブの形成に続いて、固定したプローブのハイブリッド(捕捉ハイブリッド複合体)は、種々の既知の方法のいずれか、例えば磁気捕捉支持体の遠心分離、濾過、または磁性引力を用いて、捕捉支持体を物理的に分離することによって、他の試料成分から分離される。分離は、好ましくは、標的捕捉オリゴマーによって形成されたステムループ構造の融解温度を下回る温度で実施され、それにより空の標的捕捉オリゴマーは変性する機会がなく、したがって捕捉プローブへ結合する。いくつかの方法では、ハイブリッド形成条件のストリンジェンシーならびに識別されたマッチした及びマッチしていない標的核酸の結果としての能力を維持するために、ステムループ構造の融解温度(例えば、60℃)よりも低いが10℃以内の温度で分離を実施する。
【0069】
捕捉ハイブリッドの何らかの部分へ非特異的に接着する他の試料成分からの標的核酸の単離をさらに容易にするために、捕捉ハイブリッドを1回以上洗浄して他の試料成分を希釈及び除去し得る。洗浄は、捕捉ハイブリッドを、その個々の成分へと適切な水溶液(例えば、トリス及びEDTAを含有する溶液)中で解離させることによって達成され得る。例えば、米国特許第6,110,678号を参照されたい)及び適切な条件(例えば、成分のTmを上回る温度)に次いで、捕捉ハイブリッドの再形成を可能にする条件を再調整する。しかしながら、取り扱いを容易にし、ステップを最小限にするために、洗浄は、好ましくは、捕捉ハイブリッドを維持する条件を用いることによって、溶液中の捕捉支持体に付着した未処置の捕捉ハイブリッドをすすぐ。好ましくは、実施する場合、洗浄を伴う標的核酸の捕捉は、標的核酸の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは約95%を他の試料成分から単離する。単離された核酸は、核酸増幅などの多くの下流のプロセスに使用することができる。
【0070】
標的捕捉アッセイは、リアルタイムの、二相性の、標的捕捉及び増幅の方法の一部としても実施され得る。このような方法では、500μLの試料及び400μLの標的捕捉試薬(TCR)を反応チューブへ入れる。TCRは、磁性粒子、試料中に存在する生物を溶解する成分、捕捉オリゴ、T7開始プロモーター、及び内部較正物質を含有する。反応チューブ中の流体は、混合物が均一であることを確保するために、指定の時間及び速度で混合される。次に、反応チューブを43.7℃の遷移インキュベーターへ移して、反応チューブ中の流体を予熱する。次に、反応チューブを、64℃に設定されたアニールインキュベーターへ移す。64℃でのインキュベーション中に、溶解試薬によってこれまで破壊されなかったサンプル中に存在するいかなる生物も破壊して、分析種の放出を引き起こす。次に、反応チューブを遷移インキュベーターに移してクールダウンプロセスを開始させ、チラーランプ(17℃~19℃)でさらに冷却し、T7開始プロモーターの結合ならびに分析種及び内部較正物質を、捕捉オリゴを介して磁性粒子へ結合させる。反応チューブを磁気パーキングステーションに移動し、そこで反応チューブを磁石に供し、磁性粒子をチューブの両側へ引っ張った後、洗浄ステーションに入れる。洗浄ステーションにおいて、磁性粒子を洗浄することによって潜在的な干渉物質を反応物から除去する。
【0071】
2.増幅
核酸分析種は、等温増幅反応(例えば、転写媒介性増幅(TMA)、核酸配列をもとにした増幅(NASBA)、ループ仲介性等温増幅、ポリメラーゼスパイラル反応(PSR)(Liu,W.et al.Polymerase Spiral Reaction (PSR):A novel isothermal nucleic acid amplification method.Sci.Rep.5,12723;(2015))、リガーゼ連鎖反応、及び他の等温増幅方法)、または熱サイクル増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCT)、リアルタイムPCR(rt-PCT)、または他の熱サイクル増幅方法)、あるいは他の増幅方法などの方法を使用して増幅することができる。増幅されたRNA分析種産物の検出は、増幅中に(リアルタイム)または増幅後に(エンドポイント)実施することができる。
【0072】
i.転写媒介性増幅
TMAは。これまでに説明されてきた(例えば、米国特許第5,399,491号、第5,554,516号、第5,824,518号及び第7,833,716号、また、例えばF. Gonzales and S.McDonough. Applications of Transcription-Mediated Amplification to Quantification of Gene Sequences.Gene Amplification.1998 Ed.Francois Ferre,Birkhauser,Boston.PP.189-204)。TMAにおいて、増幅されることになっている配列を含有する標的核酸は、一本鎖核酸(例えば、ssRNAまたはssDNA)として提供される。二本鎖核酸(例えば、dsDNA)を一本鎖核酸へ変換する何らかの従来法を用いてもよい。プロモータープライマーは、その標的配列で分析種核酸へ特異的に結合し、逆転写酵素(RT)は、標的鎖を鋳型として用いてプロモータープライマーの3’末端を伸長してcDNAコピーを作り出し、RNA:cDNA二本鎖を結果的に生じる。RNアーゼ活性(例えば、RT酵素のRNアーゼH)は、RNA:cDNA二本鎖のRNAを消化し、第2のプライマーは、プロモーター-プライマー末端の下流にあるcDNAにおけるその標的配列へ特異的に結合する。次に、RTは、cDNAを鋳型として使用して、第2のプライマーの3’末端を伸長することによって、新たなDNA鎖を合成して、機能的プロモーター配列を含有するdsDNAを作り出す。機能的プロモーターに特異的なRNAポリメラーゼは、転写を開始して、初期標的鎖に相補的な約100~1000個のRNA転写産物(増幅コピーまたはアンプリコン)をつくる。第2のプライマーは、各アンプリコン中のその標的配列へ特異的に結合し、RTはアンプリコンRNA鋳型からcDNAを作り出し、RNA:cDNA二本鎖を生じる。RNアーゼは、RNA:cDNA二本鎖由来のアンプリコンRNAを消化し、プロモータープライマーの標的特異的配列は、新たに合成されたDNAにおけるその相補的配列へ結合し、RTは、プロモータープライマーの3’末端及びcDNAの3’末端を伸長し、機能的プロモーターを含有するdsDNAを作り出し、そのdsDNAに対してRNAポリメラーゼが結合し、標的鎖と相補的なさらなるアンプリコンを転写する。反応中にこれらのステップを反復して使用する自己触媒サイクルは、最初の標的配列の約10億倍の増幅を生じる。任意に、アンプリコンは、アンプリコンに含有される配列へ特異的に結合するプローブを用いることによって、増幅(リアルタイム検出)または反応の終点(エンドポイント検出)の間に検出してもよい。結合したプローブから生じるシグナルの検出は、試料中の標的核酸の存在を示す。
【0073】
TMAは、リアルタイムの、二相性の、標的捕獲及び増幅方法の一部としても実施され得る。このような方法において、捕捉された分析種分子を含有する反応チューブに増幅試薬(50μL/回)を添加し、増幅負荷ステーションの中で混合することによってTMAを実施することができる。増幅試薬は、核酸を構築するのに必要なオリゴ及び成分を含有する。反応チューブを43.7℃の遷移インキュベーターへ移動させて反応チューブ内の液体の温度を上昇させ、次に増幅負荷ステーションへ戻し、酵素(25μL/回)を添加する。反応チューブを、42.7℃に設定した増幅インキュベーターへ移し、インキュベーター内に5分間放置し、その間に第1回の増幅を開始する。反応チューブを増幅負荷ステーションへ戻し、プロモーター試薬(25μL/回)を添加する。さらなる回の分析種増幅のために、反応チューブを増幅インキュベーターへ戻す。プロモーター試薬は、オリゴ及びトーチを含有する。トーチは、分析種または内部較正物質と相補的であり、蛍光は、結合すると、リアルタイムでシグナルを生じる。標的及び内部較正物質についてのシグナルは好ましくは、異なる波長を有しており、区別することができる。
【0074】
ii.ポリメラーゼ連鎖反応
あるいは、PCR増幅(例えば、逆転写酵素またはリアルタイムPCR)は、増幅に使用することができる。PCRは、捕捉複合体からの標的核酸の事前放出を伴って、または伴わずに実施することができる。PCR反応は、捕捉ステップと同じ容器(例えば、微量遠心チューブ)の中で実施することができる。PCR反応は、解離のための約95℃(例えば、90~99℃)の高温と、アニーリングのための約60℃の低温、例えば40~75または50~70または55~64℃の間の熱サイクルを包含する。典型的には、完全な熱サイクルの数は、少なくとも10、20、30または40である。PCR増幅は、1つ以上のプライマー対を用いて実施される。PCR増幅に使用されるプライマー対は、配列決定されることが望ましい領域に隣接する標的核酸の反対鎖に相補的な2つのプライマーを含む。ウイルスゲノムの大部分(例えば、50、75または99%超)を配列決定するために、プライマーは、好ましくはウイルスゲノムの両端近くに位置する。関連分子(例えば、患者試料中に存在する同じウイルスの突然変異体)の増幅のために、プライマーは、好ましくは、集団の大部分のメンバーに存在すると思われる標的核酸の保存領域に相補的である。PCR増幅は、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(ed.H.A.Erlich,Freeman Press,ニューヨーク州ニューヨーク市,1992)、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(eds.Innis,et al.,Academic Press,カリフォルニア州サンディエゴ市,1990)、Mattila et al.,Nucleic Acids Res.19,4967(1991)、Eckert et al.,PCR Methods and Applications 1,17(1991)、PCR(eds.McPherson et al.,IRL Press,オックスフォード市)、及び米国特許第4,683,202号において説明されている。
【0075】
3.検出
核酸分析種の検出は、何らかの既知の方法を使用することによって、捕捉の前、及び(リアルタイム)増幅の間かまたは(エンドポイント)増幅後のいずれかで実施することができる。RNAの増幅産物はしばしば、RT-PCRから結果的に生じるDNA、またはTMAから結果的に生じるRNAコピーの形態である。増幅された核酸は、液相において、またはこの核酸をマトリックス中またはマトリックス上で濃縮し、それらと結合した標識(例えば、臭化エチジウムなどのインターカレート剤)を検出することによって検出され得る。いくつかの検出方法は、増幅産物中の配列と相補的なプローブを使用し、プローブ:産物複合体の存在を検出するか、またはプローブの複合体を用いて増幅産物から検出されたシグナルを増幅する(例えば、米国特許第5,424,413号、第5,451,503号、第5,849,481号)。他の検出方法は、標識したプローブが分子ビーコン、分子トーチまたはハイブリッド形成スイッチプローブなどにおける増幅産物へ結合する場合にのみシグナルの変化が結果的に生じるため、シグナル発生が標的配列の存在に関連するプローブを使用する(例えば、米国特許第5,118,801号、第5,210,015号、第5,312,728号、第5,538,848号、第5,541,308号、第5,656,207号、第5,658,737号、第5,925,517号、第6,150,097号、第6,361,945号、第6,534,274号、第6,835,542号、及び第6,849,412号、ならびに米国公開第2006/0194240A1号)。このようなプローブは、典型的には、プローブの一方の末端に付着した標識(例えば、フルオロフォア)、及びプローブの別の位置に付着した相互作用性化合物(例えば、クエンチャー)を用いて、増幅産物にハイブリッド形成しないことを示すある立体配座(「閉じた」)にプローブがある場合に標識からのシグナル発生を阻害するが、その立体配座を(「開いた」へ)変化させる増幅産物へプローブがハイブリッド形成すると、検出可能なシグナルが発生する。増幅産物と特異的に結合する直接的または間接的に標識されたプローブからのシグナルの検出は、増幅しておいた標的核酸の存在を示す。
【0076】
4.配列決定
増幅後、核酸分析種は、定性的または定量的検出を受けるのと同様に、またはその代わりに配列決定することができる。所望の場合、精製は、シリカカラム(例えば、Qiagen重力フローカラム)で実施することができる。標的核酸はカラムへ結合し、そこで標的核酸を洗浄した後に溶出することができる。あるいは、精製は、核酸プローブをもとにした精製システムを用いて実施することができる(例えば、米国特許第6,110,678号もしくは第8,034,554号、US2013/0209992もしくはUS2009/0286249、またはWO2012/037531もしくはWO2013/116774)。増幅された分析種DNAは、アダプターの付着によっていくつかの配列フォーマットに適合させることもできる。増幅されたDNAは、ヌクレオチド(通常はホモポリマー)のクレノー媒介性付加によって尾部付加した後、付加された尾部に相補的なオリゴヌクレオチドへのアニーリング、及びライゲーションを行うことができる。使用される配列決定プラットフォームに応じて、配列決定前に特別なアダプターを鋳型へライゲートする。例えば、SMRTベルアダプターを、Pacific BiosciencesのPacBio RS配列決定装置を用いた配列決定のための試料鋳型へライゲートする(例えば、Travers et al.Nucl.Acids Res.(2010)38(15):e159を参照されたい)。
【0077】
増幅された標的核酸は、種々の技術による配列分析に適している。標的核酸の捕捉は、いわゆる次世代及び第3世代の配列決定方法のいくつかの異なるフォーマットへカップリングさせることができる。このような方法は、何百万もの標的鋳型を並行して配列決定することができる。このような方法は、標的核酸がバリアントの異種混合物である場合に特に有用である。多くの利点の中で、バリアントを並行して配列決定することは、試料中の薬物耐性突然変異体の特性を提供し、たとえ試料内に比較的わずかな割合で存在する薬剤突然変異体でさえそうである。
【0078】
いくつかの次世代配列方法は、エマルションPCRによって増幅する。標的捕捉オリゴマーを介してビーズへ固定された標的核酸は、エマルションPCRに適した出発材料を提供する。ビーズをPCR試薬及びエマルションオイルと混合して、単一ビーズを含有する個々のマイクロリアクターを作り出す(Margulies et al.,Nature 437,376‐80(2005))。次に、エマルションを破壊し、増幅したDNAを有する個々のビーズを配列決定する。配列決定は、例えばRoche 454 GS FLX配列決定装置(454 Life Sciences,Branford,CT 06405)を用いて実施されるピロシーケンスであり得る。あるいは、配列決定は、例えば、ABI SOLiD Sequencing System(Life Technologies,カリフォルニア州カールスバッド市 92008)を用いて行われる連結/検出であり得る。別の変法では、標的捕捉オリゴマーを有するビーズから分析種核酸を溶出し、アレイ(例えば、HiScanSQ(Illumina,カリフォルニア州サンディエゴ市 92121))上の異なる位置に固定する。標的核酸をブリッジ増幅によって増幅し、標識したヌクレオチドの鋳型指向性組み込みによって、アレイフォーマット(Illumina)で配列決定する。別のアプローチでは、分析種核酸を標的捕捉オリゴマーから溶出し、ポリメラーゼによって組み込みヌクレオチドをリアルタイムで検出することによって分析する(単一分子リアルタイム配列決定またはSMRT配列決定)。ヌクレオチドは、組み込んだ際にシグナルを放出する標識したヌクレオチド(例えば、Pacific Biosciences,Eid et al.,Sciences 323 pp.133-138(2009))または未標識ヌクレオチドであり得、このシステムは、組み込みの際の化学変化を測定する(例えば、Ion Torrent Personal Genome Machine(Life Technologies))。
【0079】
捕捉された標的核酸は、何らかの技術によって配列決定することができるが、第3世代法、次世代法または大量併行法は、Sanger and Maxam Gilbertの配列決定を超えるかなりの利点を提示する。いくつかのグループは、超高処理量DNA配列決定手順を説明してきた(例えば、Cheeseman,米国特許第5,302,509号、Metzker et al.,Nucleic Acids Res.22:4259(1994)を参照されたい)。合成によってDNAを配列決定するための4つの天然ヌクレオチド(アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)の塩基を含む)及びいくつかの他の酵素を採用するピロシーケンスアプローチは、今や、変異検出に広く使用されている(Ronaghi,Science 281,363(1998)、Binladin et al.,PLoS ONE,issue 2,el97(2007年2月)、Rehman et al.,American Journal of Human Genetics,86,378(2010年3月)、Lind et al.,Next Generation Sequencing:The solution for high-resolution,unambiguous human leukocyte antigen typing,Hum.Immunol.(2010), doi 10.1016/jhumimm.2010.06.016(印刷中)、Shafer et al.,J Infect Dis.1;199(5):610(2009))。このアプローチでは、検出は、DNAポリメラーゼ反応中に放出されるピロリン酸(PPi)、スルフリラーゼによるピロリン酸のアデノシン三リン酸(ATP)への定量的変換、及びその後のホタルルシフェラーゼによる可視光の発生に基づいている。より近年の研究は、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)の3’-OH基をキャップするために蛍光色素に結合した光開裂可能な化学的部分に主に焦点を絞った合成方法によるDNA配列決定を実施している(Welch et al.Nucleosides and Nucleotides 18,197(1999)、Xu et al.,米国特許第7,777,013号、Williams et al.,米国特許第7,645,596号、Kao et al.,米国特許第6,399,335号、Nelson et al.,米国特許第7,052,839号及び第7,033,762号、Kumar et al.,米国特許第7,041,812号、Sood et al,米国特許出願第2004-0152119号、Eid et al.,Science 323,133(2009))。合成による配列決定法において、DNA配列は、DNA/ポリメラーゼ複合体を各デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)で別々にかつ連続的に検査する際に、ピロリン酸放出を測定することによって推定されているところである。Ronaghi et al.,Science 281:363 365(1998)、Hyman,Anal.Biochem.174,423(1988)、Harris,米国特許第7,767,400号を参照されたい。
【0080】
B.その他の分析種
抗体、タンパク質、粒子及び他の分析種は、免疫沈降、ウェスタンブロット法、ELISA、ラジオイムノアッセイ、競合的イムノメトリックアッセイなどのフォーマットによって検出することができる。Harlow & Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(CSHP NY,1988)、米国特許第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,879,262号、第4,034,074号、第3,791,932号、第3,817,837号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,879,262号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,996,345号、第4,034,074号、及び第4,098,876号を参照されたい。サンドイッチアッセイが好ましいフォーマットである(米国特許第4,376,110号、第4,486,530号、第5,914,241号、及び第5,965,375号を参照されたい)。
【0081】
競合アッセイを用いることもできる。いくつかの方法では、試料中の分析種抗原は、抗体検出試薬への結合のために、外来的に供給された標識分析種抗原と競合する。抗体に結合した標識分析種抗原の量は、試料中の分析種抗原の量に反比例する。抗体は、結合した複合体の試料からの分離を検出前に容易にするために固定することができる。
【0082】
ラテラルフロー装置も、分析種を検出するために使用することができる。分析種が存在し得る試料で処理された検査ストリップへ流体を適用する。標識した結合分子はストリップを通過するので、分析種を有する試料を含有する特定の区域へと通過するにつれ、捕捉することができる。
【0083】
VI.感度
本発明の方法は、血液細胞からの分析種の高感度の検出を提供することができる。病原体由来RNA分析種について、感度は、全血の容積中に存在する最小数の病原性RNAコピーとして表すことができる。全血の容積は、溶解試薬と直接接触するものであり得、またはペレット化赤血球などの血液画分を調製するために使用されるものであり得、これらは順に、溶解試薬と接触する。好ましくは、こうした方法は、全血中の病原性RNAの存在を、約2×103コピー(1匹の寄生虫/1mLに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、2×103コピー/5mL全血以上、または2×103コピー/10mL全血以上、2×103コピー/50mL全血以上、または2×103コピー/100mL全血以上の感度で検出する。好ましくは、こうした方法は、約8×103コピー(4匹の寄生虫/1mlに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、8×103コピー/全血5mL以上、8×103コピー/全血10mL以上、8×103コピー/全血50mL以上、または8×103コピー/全血100mL以上の感度で、全血中の病原性RNAの存在を検出する。好ましくは、こうした方法は、約24×103コピー(12匹の寄生虫/1mLに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、24×103コピー/全血5mL以上、24×103コピー/全血10mL以上、24×103コピー/全血50mL以上、または24×103コピー/全血100mL以上の感度で、全血中の病原性RNAの存在を検出する。
【実施例】
【0084】
実施例1.細胞溶解及びバベシアRNAの安定化のための試薬の分析
本実施例の目的は、ヒト全血中の赤血球を有効にかつ優先的に溶解し、溶解した試料中の分析種(複数可)を安定させ、RNアーゼの活性を阻害する溶解試薬を識別することとした。血液の他の細胞成分に対する赤血球の優先的溶解は、溶解した赤血球の百分率が、分析中の試料中に存在する他の細胞成分の百分率よりも高く、他の細胞タイプが凝集体中で評価されることを意味する。本実施例では、分析種は、病原体由来RNA分析種である、バベシア寄生虫由来の18SリボソームRNAである。磁気ビーズを用いたGen-Probe’Target Capture Technologyと適合するために、溶解試薬は、効率的な標的捕捉のために、均質な溶解物を好ましくは結果的に生じるべきである。
【0085】
この第1の実施例では、PAXgene(商標)Blood RNA System(BD Biosciences)、溶解試薬A及び溶解試薬Bを、バベシア試料調製物について評価した。各チューブに含有されるPAXgene試薬は、細胞膜を溶解して安定化試薬として作用することが既知である第4級アンモニウム塩である活性化合物テトラデシルトリメチルアンモニウムオキサラート(TDTMAO)を含む。溶解試薬Aは、pH7.4で、14mM重炭酸ナトリウム、250mM塩化アンモニウム、5%(w/v)LLS、及び0.1mM EDTAの水溶液であった。溶解試薬Bは、pH7.3で、14mM重炭酸ナトリウム、250mM塩化アンモニウム、8%(w/v)LLS、及び0.1mM EDTAの水溶液であった。
【0086】
調製に用いた試料は、バベシア感染したハムスター血を添加したヒト全血とした。10uLの感染したハムスター血を90uLの新鮮なヒトドナー血(非感染)と組み合わせることによって、感染したハムスター全血を連続希釈した。次に、これらの連続希釈物の各々を、900uLの新鮮なヒトドナー血と組み合わせて、1mLの試料を提供した。各1mLの試料をまず、PAXgeneチューブからの溶解試薬3mLと室温で組み合わせ、5分間揺らしておいて細胞溶解を誘導した。次に、500μLの溶解したサンプルを500μLのTarget Capture Reagent(TCR)へ添加した。Gen-Probe、Procleix、及びAptima TCRを評価した。溶解した試料をTCRに添加した後、白色の沈殿物が形成された。それゆえ、PAXgeneシステムは、Gen-Probeの標的捕捉、増幅及び検出試薬を用いた、全血溶解、バベシアの捕捉、増幅及び検出には不適切であった。
【0087】
次の実験において、14mM重炭酸ナトリウムで緩衝し、LLS及びEDTAを含有する250mM塩化アンモニウム(ACL)の溶解試薬を評価した。先に概して説明した通り、ヒト全血を、1×10
-5~1×10
-8の範囲の希釈でバベシア感染ハムスターの血液で刺激した。次に、1mLの刺激された全血を3mLの溶解試薬Aと25℃で5分間混合して、赤血球溶解を誘導した。500μLの溶解した試料を500μLのTCRへ添加した後、沈殿は観察されなかった。標的捕捉は、米国特許第6,110,678号に概して説明される通り実施した。バベシア18S rRNAは、転写媒介性増幅によって各試料において検出された(米国特許第5,399,491号、第5,554,516号、第5,824,518号及び第7,833,716号)。各希釈条件の6つの複製物を増幅し、検出した。寄生虫負荷は、1mLあたり約1個の寄生虫を含有するように希釈物を統計的に識別することに基づいて決定した。さらに、既知濃度のIVTストックの連続希釈物を別々の反応ウェルで増幅及び検出して、ハムスター血液の増幅/検出した各希釈物における寄生虫負荷を算出するための曲線を提供した。試料中のバベシア18S rRNAを捕捉、増幅及び検出するために使用した標的捕捉オリゴマー、プライマー及びプローブは次の通りであった:
【表1】
【0088】
先に記載の各条件からの増幅及び検出の結果は、溶解試薬Aが、その後の分析のために赤血球を有効に溶解してバベシア18S rRNAを放出したことを示している。連続希釈のこれらの各試料において検出したバベシアrRNAと、連続希釈したIVTによる結果との比較は、1mLあたり0.01個の寄生虫という低い検出限界を示した。
【0089】
さらなる溶解試薬を、血液細胞の溶解及び病原体由来分析種の検出について評価した。
【0090】
実施例2.さらなる溶血試薬の評価
その後の評価のために有効に溶血し、分析種を放出する能力を評価するために、溶解試薬の試験を実施した。本実施例では、本明細書に説明される通り、TMA増幅及び検出反応を用いて、バベシア寄生虫由来の18S rRNAを識別して、核酸分析種を評価した。
本実施例において使用した試料は、バベシア感染ヒト全血とし、PCRによってバベシアに対して陽性であると判定された。寄生虫血症は、バベシア感染血を非感染血へと連続的に希釈し、次に非感染血を用いて各希釈物の容積を1mLへ増量し、1mLの希釈物を3mLの溶解試薬Aと混合し、次に実施例1に説明される通り、捕捉、増幅及び検出反応を実施することによって判定した。ストック感染ヒト血液試料中の寄生虫負荷は、1mLあたり約1個の寄生虫を含有するように希釈物を統計的に識別し、次に、ストック感染血液試料へと逆算することに基づいて決定した。次に、概して説明されている通り、感染血試料を別々に希釈して、総容積1mLで12個/mL(12p/mL)及び4個/mL(4p/mL)の希釈物を得た。以下のアッセイでは、12p/mL及び4p/mLをそれぞれ使用した。
【0091】
溶解試薬Cを溶解試薬Bと同様に作製したが、EDTAの濃度を10mMまで上昇させた。溶解試薬Dは、pH6.7で15mMの一塩基性リン酸ナトリウム、15mMの二塩基性リン酸ナトリウム、10%(
w/v)LLS、1mMのEGTA、及び1mM EDTA-Na
2二水和物からなる水溶液とした。溶解試薬Eは、pH7.5で100mMのTRIS 30mMの塩化マグネシウム、及び6%(
w/v)LLSの水溶液とした。分離した刺激済み全血試料(先に説明ずみ)を1:2または1:4(血液試料:溶解試薬)の比の溶解試薬C~Eのうちの1つで各々溶解し、表2~4において識別される通り、条件ごとに36~72個の複製物で検査した。反応性のある試料とは、RLU値が100,000RLUを超えるものであると判定された。先に説明した通り、Procleix TCR及びTMAによる増幅を用いて、各試料においてバベシア18S rRNAを検出した。感度、安定性及び頑強性について条件を評価した。溶解試薬C~Eについての結果を表2、表3、表4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0092】
これらのデータは、溶解試薬C~Eが、全血を溶解し、その後の分析のために病原体由来の分析種を血液細胞から放出する上で良好に挙動することを示している。溶解試薬C~Eを使用して血液細胞から得られたバベシア18S rRNAの増幅及び検出のためのTMAアッセイの分析感度は、4:1と低い、全血に対する溶解緩衝液の希釈物で、4p/mLと少なくとも低かった。結果の大きな変動によってわかるように、4℃で保存の3日後、感度の喪失が観察された。この感度の喪失は、2:1希釈及び4p/mLを有する試料において容易に観察できた。
【0093】
理解を明確にする目的のために本発明を詳細に説明してきたが、ある一定の変更は、添付の特許請求の範囲内で実施され得る。受託番号、ウェブサイト等を含むすべての公開物、及び本出願に引用された特許文献はその全体が参照により、各々が個別に示されているのと同じ程度まで、すべての目的のために本明細書により組み込まれる。配列、ウェブサイトまたは他の参照の広範な異なる版が異なる時刻に存在し得る場合には、有効な出願日における参照と関連する版が意図される。有効な出願日とは、発行時の受託番号が開示された最も早い優先日を意味する。文脈から他に明らかでない限り、本発明のいかなる要素、実施形態、ステップ、特徴または態様も、その他と組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明の実施形態の一部の例は、以下の項目に示される。
(項目1)
塩化アンモニウムと、アニオン洗剤と、抗凝固薬と、を含む、試薬。
(項目2)
緩衝液をさらに含む、項目1に記載の試薬。
(項目3)
前記緩衝液が重炭酸ナトリウムである、項目2に記載の試薬。
(項目4)
前記試薬が約7.0~約8.0のpHを有する、項目2または項目3に記載の試薬。
(項目5)
前記pHが約7.2~約7.6である、項目4に記載の試薬。
(項目6)
前記pHが約7.3である、項目5に記載の試薬
(項目7)
前記抗凝固薬が、EDTA、ヘパリン、またはクエン酸塩である、項目1~6のいずれか1項に記載の試薬。
(項目8)
前記抗凝固薬がであり、前記EDTAが約0.05mM~約15mMの濃度で存在する、項目7に記載の試薬。
(項目9)
前記EDTAが約0.1mM~約10mMの濃度で存在する、項目7に記載の試薬。
(項目10)
前記EDTAが約0.1mMの濃度で存在する、項目9に記載の試薬。
(項目11)
前記EDTAが約10mMの濃度で存在する、項目9に記載の試薬。
(項目12)
塩化アンモニウムが約100mM~約500mMの濃度で存在する、項目1~11のいずれか1項に記載の試薬。
(項目13)
前記塩化アンモニウムが約200mM~約300mMの濃度で存在する、項目12に記載の試薬。
(項目14)
塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在する、項目13に記載の試薬。
(項目15)
前記アニオン洗剤が、ラウリル硫酸リチウム(LLS)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)からなる群から選択される、項目1~14のいずれか1項に記載の試薬。
(項目16)
前記アニオン洗剤がLLSであり、前記LLSが約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目15に記載の試薬。
(項目17)
前記LLSが約5%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目16に記載の試薬。
(項目18)
前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在する、項目17に記載の試薬。
(項目19)
前記重炭酸ナトリウムが約5mM~約30mMの濃度で存在する、項目3~18のいずれか1項に記載の試薬。
(項目20)
前記重炭酸ナトリウムが約10mM~約20mMの濃度で存在する、項目19に記載の試薬。
(項目21)
前記重炭酸ナトリウムが約14mMの濃度で存在する、項目20に記載の試薬。
(項目22)
前記塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在し、前記アニオン洗剤がLLSであり、前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在し、前記試薬が重炭酸ナトリウムである緩衝液をさらに含み、前記重炭酸ナトリウムが約14mMの濃度で存在し、前記試薬が約7.2~約7.6のpHを有する、項目1に記載の試薬。
(項目23)
項目1~22のいずれか1項に記載の試薬と、赤血球または赤血球由来の産物と、を含む、組成物。
(項目24)
前記組成物が全血を含む、項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約3:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目27)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約4:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目28)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)~約4:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目29)
前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、項目24~28のいずれか1項に記載の組成物。
(項目30)
(i)緩衝液と、(ii)ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii)塩化物含有塩ならびにEDTA、EDTA-Na
2
、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬のうちの1つまたは両方と、を含む、溶血試薬であって、5.5よりも高いpHを有する、溶血試薬。
(項目31)
前記緩衝液が、約5mM~約30mMの濃度で存在する重炭酸ナトリウムである、項目20に記載の試薬。
(項目32)
前記重炭酸ナトリウムが、約10mM~約20mMの濃度で存在する、項目31に記載の試薬。
(項目33)
前記重炭酸ナトリウムが、約15mM~約20mMの濃度で存在する、項目32に記載の試薬。
(項目34)
前記重炭酸ナトリウムが、約14mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目35)
前記LLSが、約8%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目30~34のいずれか1項に記載の試薬。
(項目36)
前記試薬がEDTAを含み、前記EDTAが約0.1mM~約10mMの濃度で存在する、項目30~35のいずれか1項に記載の試薬。
(項目37)
前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在し、前記試薬が約200mM~約350mMの濃度で存在する塩化アンモニウムを含む、項目36に記載の試薬。
(項目38)
前記EDTAが約10mMの濃度で存在する、項目37に記載の試薬。
(項目39)
前記塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在する、項目37または項目38に記載の試薬。
(項目40)
前記緩衝液がリン酸ナトリウムであり、前記リン酸ナトリウムが約10mM~約33mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目41)
前記緩衝液がリン酸ナトリウムであり、前記リン酸ナトリウムが約15mM~約30mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目42)
前記リン酸ナトリウム緩衝液が、約15mMの一塩基性リン酸ナトリウムと、約15mMの二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液と、を含む、項目40または項目41に記載の試薬。
(項目43)
前記LLSが、約8%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目40~42のいずれか1項に記載の試薬。
(項目44)
前記試薬が抗凝固薬を含み、前記抗凝固薬がEDTA-Na
2
である、項目30及び40~43のいずれか1項に記載の試薬。
(項目45)
前記試薬が抗凝固薬を含み、前記抗凝固薬が約0.5mM~約5mMの濃度のEGTAを含む、項目30及び40~44のいずれか1項に記載の試薬。
(項目46)
前記抗凝固薬がEDTA-Na
2
をさらに含み、前記EDTA-Na
2
が約1mMの濃度で存在する、項目45に記載の試薬。
(項目47)
前記EGTAが約1mMの濃度で存在する、項目45または項目46に記載の試薬。
(項目48)
前記LLSが約10%(v/v)の濃度で存在する、項目40~47のいずれか1項に記載の試薬。
(項目49)
前記LLSが約10%(v/v)の濃度で存在し、前記抗凝固薬が約1mMの濃度で存在するEDTA-Na
2
と、約1mMの濃度で存在するEGTAと、を含む、項目42に記載の試薬。
(項目50)
前記緩衝液がTRISであり、前記試薬が塩化マグネシウムを含み、前記試薬が前記抗凝固薬を含んでいない、項目30に記載の試薬。
(項目51)
前記塩化マグネシウムが、約20mM~約35mMの濃度で存在する、項目50に記載の試薬。
(項目52)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目50または項目51に記載の試薬。
(項目53)
前記LLSが約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目50~52のいずれか1項に記載の試薬。
(項目54)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目53に記載の試薬。
(項目55)
前記試薬が、TRIS緩衝液と、約20mM~約35mMの濃度で存在する塩化マグネシウム塩と、約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する前記LLSと、から本質的になる、項目30に記載の試薬。
(項目56)
前記TRISが約75mM~約150mMの濃度で存在する、項目50~55のいずれか1項に記載の試薬。
(項目57)
前記TRISが約100mMの濃度で存在する、項目56に記載の試薬。
(項目58)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目55~57のいずれか1項に記載の試薬。
(項目59)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目55~58のいずれか1項に記載の試薬。
(項目60)
前記緩衝液がTRISであり、前記TRISが約75mM~約150mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目61)
前記試薬が塩化マグネシウム塩を含み、前記塩化マグネシウムが約20mM~約35mMの濃度で存在する、項目60に記載の試薬。
(項目62)
前記LLSが約4%~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目60または項目61に記載の試薬。
(項目63)
前記TRISが約100mMの濃度で存在する、項目60~62のいずれか1項に記載の試薬。
(項目64)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目60~63のいずれか1項に記載の試薬。
(項目65)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目60~64のいずれか1項に記載の試薬。
(項目66)
前記試薬が前記抗凝固薬を含んでいない、項目60~65のいずれか1項に記載の試薬。
(項目67)
項目30~66のいずれか1項に記載の試薬と、血液細胞と、を含む、組成物。
(項目68)
前記試薬が全血を含む、項目67に記載の組成物。
(項目69)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約1:1(v/v)~約4:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目70)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目71)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約3:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目72)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約4:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目73)
前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、項目68~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目74)
血液細胞から分析種を分析する方法であって、(a)血液細胞を、塩化アンモニウムと、ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、抗凝固薬と、を含む、試薬と接触させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、分析種が前記溶解した血液細胞から放出され、前記試薬が、前記血液細胞から放出された分析種の分解を有効に阻害するステップと、(b)前記血液細胞から放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
(項目75)
前記分析種が病原体由来の分析種である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記分析種がRNA分析種である、項目74または項目75に記載の方法。
(項目77)
前記血液細胞の少なくとも50%が前記試薬によって5分以内に溶解する、項目74~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
溶解した赤血球の百分率が、溶解した白血球の百分率よりも大きい、項目74~77のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記試薬が、項目1~22のいずれか1項に定義される通りである、項目74~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記接触させるステップの後に、固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、項目74~79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
固体支持体上に前記分析種を固定する前記ステップが、前記放出された分析種を、固体支持体に結合した捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させるステップを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種と相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントへ結合し、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントが、前記固定したプローブへ結合する、項目80に記載の方法。
(項目82)
増幅反応を実施して前記分析種を増幅させ、その結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出することをさらに含む、項目80に記載の方法。
(項目83)
前記増幅反応が等温増幅反応である、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記増幅反応が転写媒介性増幅反応である、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記血液細胞から放出された前記分析種から前記試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、項目74~84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記分析種が病原性生物である、項目74~85のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記接触させるステップにおいて、前記赤血球が全血中にあり、試薬と全血の比が1:1~4:1である、項目74~90のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
血液細胞を溶解し、そこから分析種を放出させる方法であって、(a)血液細胞を含有する試料を、前記血液細胞を溶解させ、そこから分析のための分析種を放出させるのに有効な溶解試薬と接触させるステップであって、前記溶解試薬が、(i)緩衝液と、(ii)ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii)塩化物含有塩ならびにEDTA、EDTA-Na
2
、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬のうちの少なくとも1つと、を含み、前記試薬が、5.5よりも高いpHを有するステップと、(b)前記試料中の血液細胞を溶解させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、そこから前記分析種が放出される条件を提供するステップと、(c)ステップ(b)において放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
(項目93)
前記分析種が病原体由来の分析種である、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記分析種がRNA分析種である、項目92または項目93に記載の方法。
(項目95)
前記血液細胞の少なくとも50%が前記試薬によって5分以内に溶解する、項目92~94のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記試薬が、項目28~64hのいずれか1項に定義される通りである、項目92~95のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、項目92~96のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
前記分析種を固定する前記ステップは、前記放出された分析種を捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させることを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が前記捕捉プローブへ結合し、前記結合した捕捉プローブが、前記固定したプローブへ結合する、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記固定した分析種が、増幅反応を用いて前記分析種を増幅し、結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出して分析される、項目97に記載の方法。
(項目100)
前記増幅反応が等温増幅反応である、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記増幅反応が転写媒介性増幅である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記方法が、前記赤血球から放出された前記標的から前記試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、項目92~101のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記分析種が病原性生物である、項目92~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記病原生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目105に記載の方法。
(項目107)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記試料が全血を含み、前記接触させるステップの間に、試薬と全血の比が1:1~4:1である、項目92~107のいずれか1項に記載の方法。
(項目109)
血液細胞を含有する試料から分析種を分離する方法であって、(a)溶解試薬と血液細胞を含有する試料との混合物を、前記試料中の前記血液細胞の少なくとも一部の溶解に十分な条件下でインキュベートし、それにより分析種を放出させるステップ、(b)前記混合物を、前記分析種を固定するように構成された固体支持体と接触させるステップ、及び(c)前記固定した分析種を前記混合物から分離するステップから本質的になり、前記溶解試薬が、緩衝液と、ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、塩化物含有塩及び抗凝固薬のうちの少なくとも1つと、を含み、前記抗凝固薬が、EDTA、EDTA-Na
2
、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記試薬が5.5よりも高いpHを有する、方法。
(項目110)
前記固体支持体が、付着した固定したプローブを含む、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記接触させるステップ(b)は、前記混合物を、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を含む、捕捉プローブと接触させることをさらに含む、項目110に記載の方法。
(項目112)
ステップ(b)の後でありかつステップ(c)の前にあるステップ(i)をさらに含み、前記ステップ(i)が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントと前記分析種との間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、項目111に記載の方法、
(項目113)
ステップ(i)の後でありかつステップ(c)の前であるステップ(ii)をさらに含み、前記ステップ(ii)が、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントと、前記固体支持体へ付着した前記固定したプローブとの間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記固体支持体が磁気ビーズ固体支持体である、項目109~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記固体支持体がシリカ固体支持体である、項目109~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記シリカ固体支持体がグラスウールである、項目115に記載の方法。
(項目117)
前記シリカ固体支持体がビーズである、項目115に記載の方法。
(項目118)
前記固体支持体がカラム内に含有される、項目109~117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記分析種が病原性生物である、項目109~118のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目120に記載の方法。
(項目122)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目122に記載の方法。
(項目124)
前記分析種がRNA分析種である、項目109~123のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記RNA分析種がリボソームRNA分析種である、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記試料が全血試料である、項目109~125のいずれか1項に記載の方法。
(項目127)
項目1~22及び30~66のいずれか1項に定義される通りの溶解試薬を含むキット。
(項目128)
細胞試料から放出された分析種を固定するための固体支持体をさらに含む、項目127に記載のキット。
(項目129)
プライマー、少なくとも1つの検出プローブ、またはそれらの両方をさらに含む、項目127または128に記載のキット。
(項目130)
項目1~22及び30~66のいずれか1項に記載の溶解試薬を、血液細胞を含有する試料と混合することによって調製される反応混合物。
(項目131)
前記反応混合物が、前記溶解試薬及び血液細胞を含有する前記試料と一緒に、前記血液細胞から放出された分析種を固定するための固体支持体を混合することをさらに含む、項目130に記載の反応混合物。
【配列表】