(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11582 20170101AFI20220905BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220905BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220905BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220905BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220905BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/90 B
(21)【出願番号】P 2019038626
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那波 恭介
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0162420(US,A1)
【文献】特開2015-026674(JP,A)
【文献】特開2014-042029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0021632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11582
H01L 29/788
H01L 29/792
H01L 21/336
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の層が第2の層を介して積層された積層体が形成された基板を準備し、
前記積層体の上層部分の前記第1の層が階段状となった第1の階段部を形成する第1の処理、
前記第1の階段部を構成する前記第1の層と同じ積層位置にある前記第1の層が階段状となった第2の階段部を形成する第2の処理、及び
前記第1の階段部と前記第2の階段部との間に前記第1の階段部を構成する前記第1の層と同じ積層位置にある前記第1の層から構成され、前記第1の階段部に対向するように配置される第3の階段部を形成する第3の処理をそれぞれ並行して実施し、
前記第1の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させていきながら、前記積層体の下層部分へ前記第1の階段部を延伸していく第4の処理、
前記第2の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させていきながら、前記積層体の下層部分へ前記第2の階段部を延伸していく第5の処理、及び
前記第3の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させることなく、前記積層体の下層部分へ前記第3の階段部を延伸していく第6の処理をそれぞれ並行して実施し、
前記第2の階段部の段差を維持しつつ前記第2の階段部を前記積層体の積層方向にエッチングして、前記第1の階段部を構成する前記第1の層より下層の前記第1の層を含む前記第2の階段部を形成する処理を実施する、
半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、半導体記憶装置の微細化が進行し、積層構造のメモリセルを有する3次元不揮発性メモリが提案されている。3次元不揮発性メモリでは、高さ方向に配置されるメモリセルの各層におけるワード線を引き出すため、階段状の構造が採られることがある。このような階段状の構造が占める領域をなるべく小さくすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、階段状の構造が占める領域を小さくすることができる半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、複数の第1の層が第2の層を介して積層された積層体が形成された基板を準備し、前記積層体の上層部分の前記第1の層が階段状となった第1の階段部を形成する第1の処理、前記第1の階段部を構成する前記第1の層と同じ積層位置にある前記第1の層が階段状となった第2の階段部を形成する第2の処理、及び前記第1の階段部と前記第2の階段部との間に前記第1の階段部を構成する前記第1の層と同じ積層位置にある前記第1の層から構成され、前記第1の階段部に対向するように配置される第3の階段部を形成する第3の処理をそれぞれ並行して実施し、前記第1の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させていきながら、前記積層体の下層部分へ前記第1の階段部を延伸していく第4の処理、前記第2の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させていきながら、前記積層体の下層部分へ前記第2の階段部を延伸していく第5の処理、及び前記第3の階段部の最下段に対する最上段の位置を後退させることなく、前記積層体の下層部分へ前記第3の階段部を延伸していく第6の処理をそれぞれ並行して実施し、前記第2の階段部の段差を維持しつつ前記第2の階段部を前記積層体の積層方向にエッチングして、前記第1の階段部を構成する前記第1の層より下層の前記第1の層を含む前記第2の階段部を形成する処理を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置の構成例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は、比較例にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図15】
図15は、比較例にかかる半導体記憶装置および実施形態にかかる半導体記憶装置の無効領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、半導体記憶装置1は、シリコン基板等の基板10上に配置される周辺回路PERと、周辺回路PER上に配置される積層体LMと、を備える。
【0009】
周辺回路PERは、トランジスタTR等を含み、積層体LMに配置されるメモリセルMCの動作に寄与する。メモリセルMCについては後述する。周辺回路PERは、絶縁層55で覆われている。
【0010】
絶縁層55上にはソース線SLが配置されている。ソース線SLは例えばポリシリコン層等で構成されている。
【0011】
ソース線SL上には、導電層としてのワード線WLと絶縁層ILとが複数交互に積層された積層体LMが配置されている。ワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層ILは例えばSiO2層等である。ワード線WL及び絶縁層ILの積層数は任意である。積層体LMはメモリ部MEMと階段部STRa,STRb,STRcとを有する。
【0012】
メモリ部MEMには複数のピラーPLがマトリクス状に配置されている。ピラーPLは、積層体LMを貫通してソース線SLに到達する柱状構造を有する。また、ピラーPLは、複数の層から構成される。具体的には、ピラーPLは、ピラーPLの内側から順に、コア層50、チャネル層51、トンネル絶縁層52、電荷蓄積層53、及びブロック絶縁層54を備える。コア層50、トンネル絶縁層52、及びブロック絶縁層54は、例えばSiO2層等である。チャネル層51は、例えばアモルファスシリコン層またはポリシリコン層等である。電荷蓄積層53は例えばSiN層等である。
【0013】
以上のように構成されることで、ピラーPLと複数のワード線WLとのそれぞれの交差部には、複数のメモリセルMCが形成される。メモリセルMCは、ワード線WLから所定の電圧を印加され、電荷蓄積層53に所定の電圧を保持することで、データを不揮発に保持する。また、ワード線WLから所定の電圧を印加することで、メモリセルMCからデータを読み出すことができる。半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルMCが積層体LM中に3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0014】
なお、積層体LMの最下層のワード線WLを含む1つ以上のワード線WLと、積層体LMの最上層のワード線WLを含む1つ以上のワード線WLは、所定のピラーPLを選択する選択ゲート線として機能してもよい。この場合、これらの選択ゲート線とピラーPLの交差部には選択ゲートが形成される。選択ゲート線から所定の電圧を印加され、選択ゲートがオンまたはオフすることで、動作対象のメモリセルMCを含む所定のピラーPLが選択される。
【0015】
積層体LMの端部には、ワード線WL及び絶縁層ILが階段状となった階段部STRa,STRb,STRcが配置されている。第1の階段部としての階段部STRaは最もメモリ部MEM寄りに配置され、メモリ部MEM側へと向かって昇段するよう構成される。第2の階段部としての階段部STRbは最もメモリ部MEMから離れた位置に配置され、メモリ部MEM側へと向かって昇段するよう構成される。第3の階段部としての階段部STRcは、階段部STRa,STRbの間に配置され、メモリ部MEM側へと向かって降段するよう構成される。階段部STRa,STRcの間には、それぞれの最下段の間を接続するランディング部LNDが配置される。階段部STRa,STRb,STRcは、例えば積層体LMの上面の高さ位置と同じ高さの絶縁層56により覆われている。
【0016】
階段部STRaは、積層体LMの上層部分のワード線WL及び絶縁層ILから構成される。階段部STRbは、積層体LMの下層部分のワード線WL及び絶縁層ILから構成される。階段部STRa,STRbでは、例えば1層のワード線WLとその上層の1層の絶縁層ILとから1段分が構成される。
【0017】
階段部STRa,STRbを構成するワード線WLは、それぞれ同じ高さ位置に配置されるメモリセルMCと接続している。換言すれば、ランディング部LNDを構成するワード線WLを除き、積層体LMに含まれる全てのワード線WLが、階段部STRas,STRbsのいずれかの段を構成する。これにより、階段部STRa,STRbは、これらのワード線WLの引き出し部として機能する。そして、階段部STRa,STRbの各段には、階段部STRa,STRbを覆う絶縁層56及び各段を構成するワード線WL上層の絶縁層ILを貫通し、ワード線WLと図示しない上層配線とを接続するコンタクトCCが配置される。また、上記のランディング部LNDにもコンタクトCCが配置される。
【0018】
階段部STRcは、階段部STRaを構成する上層部分のワード線WL及び絶縁層ILと同じ積層位置にあるワード線WL及び絶縁層ILの一部を少なくとも含んで構成される。上述のように、階段部STRa,STRcは段差の昇降の向きが逆であり、階段部STRa,STRcは互いに対向する。階段部STRcでは、理想的には、例えば3層のワード線WLとそれら各ワード線WLの上層の3層の絶縁層ILとから1段分が構成される。階段部STRa,STRb,STRcの各段の平坦部分であるテラス部の幅は例えば略等しく、このため、階段部STRcは、総じて、階段部STRa,STRbよりも急な勾配を有する。
【0019】
ただし、階段部STRcに関するこれらの構成は、後述する製造処理が理想的に実施された場合の例であって、実際の階段部STRcに必ずしも当てはまらない場合がある。例えば、階段部STRcの製造処理においては、各段の合わせが階段部STRa,STRbよりも精度を落として行われる場合があり、階段部STRcの各段が規則的に構成されているとは限らず、その勾配も途中で変化することがある。階段部STRcについて少なくともいえることは、階段部STRcの階段長が、階段部STRa,STRbの階段長よりも短いということである。
【0020】
階段部STRcを構成するワード線WLはメモリセルMCとは接続されておらず、階段部STRcはワード線WLの引き出し部としての機能を有さないダミー階段である。階段部STRc及びコンタクトCCが接続される領域を除くランディング部LNDは、半導体記憶装置1の機能に寄与しない無効領域である。
【0021】
(半導体記憶装置の製造処理の例)
次に、
図2~
図13を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造処理の例について説明する。
図2~
図13は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。
図2~
図13において、積層体LMの下層構造およびメモリ部MEMなどの一部の構成が省略される場合がある。
【0022】
まず、シリコン基板等の基板10上に、トランジスタTR等を含む周辺回路PERを形成する。周辺回路PERは、一般的な半導体回路の形成手法を用いて形成することができる。周辺回路PERを覆う絶縁層55を形成し、絶縁層55上にポリシリコン層等のソース線SLを形成する。
【0023】
図2(a)に示すように、基板10の上方に、第1の層としての犠牲層SCと、第2の層としての絶縁層ILとが複数交互に積層された積層体LMsを形成する。ただし、
図2(a)及びそれ以降の複数の図において、積層体LMsの上層部のみを示す。
【0024】
犠牲層SCは、例えば絶縁層ILとは異なるSiN層等の絶縁層であり、後の処理でタングステンまたはモリブデン等の導電材料に置き換えられる層である。
【0025】
これ以降、積層体LMsに階段状の構造を形成していく。
【0026】
図2(b)に示すように、積層体LMs上に、メモリ部MEMとなる領域の全面、及び階段部STRa,STRb,STRcとなる領域の一部を覆うレジストパターン31を形成する。
【0027】
図2(b)において、レジストパターン31は、例えばメモリ部MEMの幅分、紙面の奥行き方向に延びている。また、レジストパターン31の端部P1aのメモリ部MEMからの距離は、後に形成される階段部STRaの最下段の段差部分であるステップ部のメモリ部MEMからの距離に略等しい。また、レジストパターン31の端部P1bのメモリ部MEMからの距離は、後に形成される階段部STRbの最下段のステップ部のメモリ部MEMからの距離に略等しい。また、レジストパターン31の端部P1cのメモリ部MEMからの距離は、後に形成される階段部STRcの最下段のステップ部のメモリ部MEMからの距離に略等しい。
【0028】
図2(c)に示すように、レジストパターン31をマスクに、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとを除去する。
【0029】
図3(a)に示すように、レジストパターン31をO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン31aを形成する。このとき、レジストパターン31aが、後に形成される階段部STRa,STRb,STRcのテラス部の幅分程度、後退するようスリミング量を調整する。これにより、レジストパターン31aの裾部には、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが新たに露出する。
【0030】
図3(b)に示すように、レジストパターン31aをマスクに、新たに露出した最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとを除去する。このとき、最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。
【0031】
図3(c)に示すように、レジストパターン31aをO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン31bを形成する。レジストパターン31bの裾部には、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが新たに露出する。
【0032】
図4(a)に示すように、レジストパターン31bをマスクに、新たに露出した最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとを除去する。このとき、最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。また、最上層の下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの更に下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。
【0033】
図4(b)に示すように、レジストパターン31bをO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン31cを形成する。レジストパターン31cの裾部には、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが新たに露出する。
【0034】
図4(c)に示すように、レジストパターン31cをマスクに、新たに露出した最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとを除去する。このとき、最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。また、最上層の下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの更に下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。また、最上層の下層の更に下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが既に除去されていた部分では、それらの更に下層の絶縁層ILと犠牲層SCとが除去される。
【0035】
ここまでの処理により、メモリ部MEMの形成予定位置から最も近い位置には、メモリ部MEMに向かって昇段していく4段分の階段部STRasが形成される。また、メモリ部MEMの形成予定位置から最も遠い位置には、メモリ部MEMに向かって昇段していく4段分の階段部STRbsが形成される。また、階段部STRas,STRbsの間には、メモリ部MEMに向かって降段していく4段分の階段部STRcsが形成される。また、階段部STRas,STRcsの間には、これらの階段部STRas,STRcsの最下段を接続するランディング部LNDsが形成される。階段部STRas,STRbs,STRcsは、積層体LMsにおける積層位置が互いに等しい層から構成され、例えば全て同じ高さ位置に形成される。
【0036】
このように、積層体LMsに階段状の構造を形成していく処理では、最上層から数えて所定の積層位置にある1対の絶縁層ILと犠牲層SCとが一括して同じ処理を経ていく。これ以降、最上層の1対の絶縁層ILおよび犠牲層SCを1組目の絶縁層ILおよび犠牲層SC、それらの下層の1対の絶縁層ILおよび犠牲層SCを2組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCなどと呼ぶことがある。
【0037】
図4(c)の処理の後、レジストパターン31cを剥離する。
【0038】
図5(a)に示すように、積層体LMs上に、メモリ部MEMとなる領域の全面、及び階段部STRas,STRbs,STRcsの一部の領域を覆うレジストパターン32を形成する。
【0039】
図5(a)において、レジストパターン32は、例えばメモリ部MEMの幅分、紙面の奥行き方向に延びている。また、レジストパターン32の端部P2aは、
図4(c)において最後に形成された階段部STRasの最上段のステップ部から、テラス部の幅分程度、後退している。また、レジストパターン32の端部P2bは、
図4(c)において最後に形成された階段部STRbsの最上段のステップ部から、テラス部の幅分程度、後退している。また、レジストパターン32の端部P2cの位置は、
図4(c)において最後に形成された階段部STRcsの最下段のステップ部の位置と一致している。つまり、レジストパターン32は、最下段のテラス部までの階段部STRcsの全体を覆っている。
【0040】
図5(b)に示すように、レジストパターン32をマスクに、積層体LMsの露出部分において、1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。これにより、階段部STRas,STRbsでは、各段から1組ずつ絶縁層ILおよび犠牲層SCが除去されて1段下の段となり、レジストパターン32の裾部には新たに最上段が形成され、最上層から5組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段となる。
【0041】
階段部STRcはレジストパターン32に覆われているので、階段部STRcの各段は除去されない。ただし、階段部STRcの最下段を覆うレジストパターン32裾部の絶縁層ILおよび犠牲層SCが1組除去されることにより、階段部STRcの最下段が2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されることとなり、最下段の段差が増す。
【0042】
図5(c)に示すように、レジストパターン32をO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン32aを形成する。このとき、レジストパターン32aが階段部STRas,STRbs,STRcsのテラス部の幅分程度、後退するようスリミング量を調整する。これにより、階段部STRas,STRbsにおいては、レジストパターン32aの裾部に、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが新たに露出する。また、階段部STRcsにおいては、レジストパターン32の裾部に、階段部STRcsの最下段が露出する。
【0043】
図6(a)に示すように、レジストパターン32aをマスクに、積層体LMsの露出部分において、1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。これにより、階段部STRas,STRbsでは、各段から1組ずつ絶縁層ILおよび犠牲層SCが除去されて1段下の段となり、レジストパターン32aの裾部には新たに最上段が形成され、最上層から6組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段となる。
【0044】
また、階段部STRcでは、露出した最下段を構成する2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCのうち、上層の絶縁層ILおよび犠牲層SCの1組が除去される。これにより、階段部STRcの最下段から2段目が、新たに2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されることとなり、段差が増す。また、最上層から5組目および6組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段となる。
【0045】
図6(b)に示すように、レジストパターン32aをO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン32bを形成する。これにより、階段部STRas,STRbsにおいては、レジストパターン32bの裾部に、積層体LMsの最上層の絶縁層ILと犠牲層SCとが新たに露出する。また、階段部STRcsにおいては、レジストパターン32の裾部に、階段部STRcsの最下段から2段目が露出する。
【0046】
図6(c)に示すように、レジストパターン32bをマスクに、積層体LMsの露出部分において、1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。これにより、階段部STRas,STRbsでは、各段から1組ずつ絶縁層ILおよび犠牲層SCが除去されて1段下の段となり、レジストパターン32aの裾部には新たに最上段が形成され、最上層から7組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段となる。
【0047】
また、階段部STRcでは、露出した最下段から2段目を構成する2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCのうち、上層の絶縁層ILおよび犠牲層SCの1組が除去される。これにより、階段部STRcの最下段から3段目が、新たに2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されることとなり、段差が増す。また、最上層から4組目および5組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段から2段目となり、最上層から6組目および7組目の絶縁層ILおよび犠牲層SCが新たに最下段となる。
【0048】
図7(a)に示すように、レジストパターン32bをO
2プラズマ等でスリミングして、レジストパターン32cを形成する。
【0049】
図7(b)に示すように、レジストパターン32cをマスクに、積層体LMsの露出部分において、1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。
【0050】
ここまでの処理により、階段部STRas,STRbsは、それぞれメモリ部MEMに向かって昇段していく8段分の階段部となる。また、階段部STRcsは、各段が2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されることとなり、メモリ部MEMに向かって降段していく4段分の階段部となる。また、階段部STRcsは、テラス部の幅が階段部STRas,STRbsと変わらないまま、各段が2組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されるため、階段部STRas,STRbsよりも急な勾配を有することとなる。
【0051】
このように、当初、レジストパターン31のスリミングにより、等しい段差および等しい勾配を有する階段部STRas,STRbs,STRcsを形成した後、レジストパターン32のスリミングでは、異なる段差および異なる勾配を有する階段部STRas,STRbsと、階段部STRcsとを形成する。
【0052】
換言すれば、レジストパターン32のスリミングにより、階段部STRas,STRbsでは、新たに形成される最下段に対して、新たに形成される最上段の位置をメモリ部MEM側へと後退させていきながら、積層体LMsの下層部分へと階段形状が延伸されていく。このとき、階段部STRas,STRbsの最下段のメモリ部MEMに対する位置(距離)は変化しないままである。
【0053】
一方、階段部STRcsでは、新たに形成される最下段に対して最上段の位置を後退させることなく、積層体LMsの下層部分へと階段形状が延伸されていく。つまり、階段部STRcsでは、最下段のメモリ部MEMに対する位置も、最上段のメモリ部MEMに対する位置も変化しないまま、階段部STRcsの深さだけが増していく。これにより、階段部STRcsが、階段部STRas,STRbsよりも急な勾配を有することとなる。
【0054】
図7(b)の処理の後、レジストパターン32cを剥離する。
【0055】
図7(c)に示すように、積層体LMs上に、メモリ部MEMとなる領域の全面、及び階段部STRas,STRbs,STRcsの一部の領域を覆うレジストパターン33を形成する。
【0056】
図7(c)において、レジストパターン33は、例えばメモリ部MEMの幅分、紙面の奥行き方向に延びている。また、レジストパターン33の端部P3aは、
図7(b)において最後に形成された階段部STRasの最上段のステップ部から、テラス部の幅分程度、後退している。また、レジストパターン33の端部P3bは、
図7(b)において最後に形成された階段部STRbsの最上段のステップ部から、テラス部の幅分程度、後退している。また、レジストパターン33の端部P3cの位置は、
図7(b)において最後に形成された階段部STRcsの最下段のステップ部の位置と一致している。つまり、レジストパターン33は、最下段のテラス部までの階段部STRcsの全体を覆っている。
【0057】
レジストパターン33をマスクに、積層体LMsの露出部分において、1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。また、レジストパターン32の場合と同様、レジストパターン33のスリミングと1組の絶縁層ILおよび犠牲層SCの除去とを3回繰り返す。
【0058】
図8(a)に示すように、上記の処理により、階段部STRas,STRbsは、それぞれメモリ部MEMに向かって昇段していく12段分の階段部となる。また、階段部STRcsは、各段が3組の絶縁層ILおよび犠牲層SCから構成されることとなり、メモリ部MEMに向かって降段していく4段分の階段部となる。これにより、階段部STRcsは、階段部STRas,STRbsよりも更に急な勾配を有することとなる。
【0059】
ここで、各々のレジストパターンを用いて行われる複数回のスリミングを1サイクルとすると、ここまでの処理では、3つのレジストパターン31~33を用いて3サイクルのスリミングが行われたこととなる。
【0060】
また、等しい段差および等しい勾配を有する階段部STRas,STRbs,STRcsを初期状態として、2つのレジストパターン32,33を用いてスリミングを2サイクル行うと、階段部STRas,STRbsの1段分に含まれる絶縁層ILおよび犠牲層SCが例えば1組である場合、階段部STRcsの1段分に含まれる絶縁層ILおよび犠牲層SCは3組となる。すなわち、スリミングを2サイクル行うと、階段部STRcsの1段分の段差は、階段部STRas,STRbsの1段分の段差の3倍となる。
【0061】
さらに上記を一般化すれば、等しい段差および等しい勾配を有する階段部STRas,STRbs,STRcsを初期状態として、スリミングをNサイクル行うと、階段部STRas,STRbsの1段分の層数がM層に対して、階段部STRcsの1段分の層数が[(N+1)×M]層となる。
【0062】
図8(a)の処理の後、レジストパターン33cを剥離する。
【0063】
図8(b)に示すように、積層体LMs上に、メモリ部MEMとなる領域の全面、及び階段部STRas,STRbs,STRcsの一部の領域を覆うレジストパターン34を形成する。
【0064】
図8(b)において、レジストパターン34は、例えばメモリ部MEMの幅分、紙面の奥行き方向に延びている。また、レジストパターン34は、階段部STRasの最上段から最下段まで、また、階段部STRasと対向する階段部STRcsの最下段から最上段までを覆っている。階段部STRbsは、階段部STRcsと最上段を共有しているため、階段部STRbsにおいては、最上段から2段目の段以降の下段が露出している。
【0065】
図9に示すように、レジストパターン34をマスクに、階段部STRbsの露出した各段から、階段部STRasを構成する絶縁層ILおよび犠牲層SCと等しい層数、つまり、12組の絶縁層ILおよび犠牲層SCを除去する。換言すれば、階段部STRbsの最上段が、ランディング部LNDsを構成する絶縁層ILおよび犠牲層SCよりも1組分下層の絶縁層ILおよび犠牲層SCとなるようにする。これにより、階段部STRasを構成する絶縁層ILおよび犠牲層SCよりも下層の絶縁層ILおよび犠牲層SCから、階段部STRbsが構成されることとなる。
【0066】
このように、他の階段部STRaよりも階段部STRbsの積層位置を下げる処理を、これ以降、階段部STRbsの落とし込みと呼ぶことがある。この落とし込みによって、上述の階段部STRa,STRb,STRcと略等しい形状を有する階段部STRas,STRbs,STRcsが形成される。
【0067】
【0068】
図10に示すように、階段部STRas,STRbs,STRcsを覆う絶縁層56を、積層体LMsの上面の高さまで形成する。また、積層体LMsを貫通してソース線SLまで到達する複数のメモリホールMHを形成する。
【0069】
図11に示すように、個々のメモリホールMH内に、メモリホールMHの内壁側から順に、ブロック絶縁層54、電荷蓄積層53、トンネル絶縁層52、及びチャネル層51を形成する。チャネル層51はメモリホールMHの底部にも形成する。また、チャネル層51内側の空隙をコア層50により充填する。これにより、ピラーPLが形成される。
【0070】
積層体LMsを貫通する図示しないスリットを形成する。
図11において、スリットは紙面と平行して伸びる。
【0071】
図12に示すように、図示しないスリットを介して、積層体LMsの犠牲層SCを除去する。これにより、犠牲層SCが除去された絶縁層IL間に空隙を含む階段部STRag,STRbg,STRcgを有する積層体LMgが形成される。
【0072】
図13に示すように、図示しないスリットを介して、絶縁層IL間の空隙にタングステンまたはモリブデン等の導電材料を充填する。これにより、絶縁層IL間にワード線WLが積層された階段部STRa,STRb,STRcを有する積層体LMが形成される。
【0073】
その後、階段部STRa,STRbの各段、及びランディング部LNDを構成するワード線WLに接続されるコンタクトCCを形成する。
【0074】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1の製造処理が終了する。
【0075】
(比較例)
次に、
図14を用いて、比較例の半導体記憶装置について説明する。
図14は、比較例にかかる半導体記憶装置の製造処理の手順の一例を示すフロー図である。ただし、対比のため、
図14右側に実施形態の半導体記憶装置1の製造処理の幾つかの段階を示す。
【0076】
図14(a)に示すように、比較例の半導体記憶装置の製造処理において、積層体LM’の階段部が形成される領域に5つのアイランド部を有するレジストパターン31’を形成する。
図14(b)に示すように、レジストパターン31’をスリミングしながら、アイランド部の両側に、同じ高さ及び同じ勾配の階段部STRa’~STRk’を形成する。
図14(c)に示すように、レジストパターン32’をマスクに、階段部STRa’,STRb’、階段部STRe’,STRf’、階段部STRi’,STRj’に対して、階段部STRc’,STRd’、階段部STRg’,STRh’、階段部STRk’を落とし込む。
図14(d)に示すように、レジストパターン33’をマスクに、階段部STRa’~STRd’に対して、階段部STRe’~STRk’を落とし込む。
図14(e)に示すように、レジストパターン34’をマスクに、階段部STRa’~STRh’に対して、階段部STRi’~STRk’を落とし込む。以上のように、レジストパターン31’を用いたスリミングを1サイクル行い、レジストパターン32’~34’を用いた落とし込みを3回行うことで、比較的簡便に、比較例の階段部STRa’~STRk’が形成される。
【0077】
次に、
図15を用いて、比較例の半導体記憶装置の課題について説明する。
図15は、比較例にかかる半導体記憶装置および実施形態にかかる半導体記憶装置1の無効領域IVを示す模式図である。
【0078】
図15(a)に示すように、比較例の半導体記憶装置においては、階段部STRb’,STRd’,STRf’,STRh’,STRj’及びこれらに接続されるランディング部が、半導体記憶装置の機能に寄与しない無効領域IVである。また、無効領域IVに属する階段部STRb’,STRd’,STRf’,STRh’,STRj’の勾配は、ワード線の引き出し部としての機能を有する他の階段部と変わらず緩やかである。したがって、比較例の半導体記憶装置の階段部STRa’~STRk’における無効領域IVの占有率は、例えば50%を超え、階段部のデザインによっては75%程度となってしまうこともある。
【0079】
図15(b)に示すように、実施形態の半導体記憶装置1においては、階段部STRc及びコンタクトCCの接続領域を除くランディング部LNDが無効領域IVである。また、無効領域IVに属する階段部STRcの勾配は、ワード線WLの引き出し部としての機能を有する他の階段部STRa,STRbよりも大きい。したがって、実施形態の半導体記憶装置1の階段部STRa,STRb,STRcにおける無効領域IVの占有率を、例えば50%以下に抑えることができる。また、比較例の階段部STRa’~STRk’に対し、実施形態の階段部STRa,STRb,STRcの全長は50%以下、階段部STRa,STRb,STRcのデザインによっては30%程度である。
【0080】
以上のように、実施形態の半導体記憶装置1によれば、階段部STRa,STRb,STRcが占める領域を小さくすることができる。これにより、半導体記憶装置1におけるメモリ部MEMの占有率を高めることができる。また、半導体記憶装置1を小型化することができる。
【0081】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、階段部STRa,STRb,STRcの前身である階段部STRas,STRbs,STRcsの各段は、レジストパターン31~33を用いて並行して形成される。これにより、製造処理が煩雑になることなく簡便に、階段部STRa,STRb,STRcを形成することができる。
【0082】
なお、上述の実施形態においては、階段部STRbの最上段がランディング部LNDより1段分低いこととしたが、これらが同じ階層にあってもよい。この場合、その階層に属するワード線WLに接続されるコンタクトCCは、階段部STRbの最上段またはランディング部LNDのいずれに配置されてもよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、階段部STRbを構成する絶縁層ILおよびワード線WLが、階段部STRaを構成する絶縁層ILおよびワード線WLと重複しないこととしたが、これらが一部重複してもよい。つまり、階段部STRbの落とし込み量を減らしてもよい。階段部STRa,STRb間で積層位置が重複した分、無効領域IVが増加することとなるが、階段部STRa,STRb,STRcのレイアウトに鑑みて、このような構成をとることも可能である。
【0084】
また、上述の実施形態においては、周辺回路PERがメモリ部MEMと基板10との間に配置されることとしたが、これに限られない。周辺回路は、例えば、メモリ部外側のメモリ部と同じ高さに配置されてもよい。この場合、メモリ部は基板の直上に配置されてもよい。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…半導体記憶装置、10…基板、31~34…レジストパターン、50…コア層、51…チャネル層、52…トンネル絶縁層、53…電荷蓄積層、54…ブロック絶縁層、CC…コンタクト、LM…積層体、LND…ランディング部、MC…メモリセル、MEM…メモリ部、PER…周辺回路、PL…ピラー、STRa,STRb,STRc…階段部、WL…ワード線。