(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】基板支持装置および基板作業装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
H05K13/04 Q
(21)【出願番号】P 2019074002
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】若泉 将貴
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-118399(JP,A)
【文献】特開平11-112198(JP,A)
【文献】特開2004-98448(JP,A)
【文献】特開平7-22794(JP,A)
【文献】特開2009-146945(JP,A)
【文献】特開2006-237650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面に当接して支持する上端と前記上端から下方に延設される吸引孔とを有するバックアップピンと、
前記バックアップピンを保持しながら前記基板と対向して配置される第1プレートと、前記第1プレートの下方に配置されて前記第1プレートとともに負圧を供給するための負圧通路を形成する第2プレートと、前記第2プレートの下方に配置されて前記第2プレートとともに正圧を供給するための正圧通路を形成する第3プレートを有するバックアップベースと、
前記バックアップベースの内部に配置されて前記吸引孔への前記負圧の供給と供給停止とを切り替える複数の切替部材と、を備え、
前記第1プレートは、前記バックアップピンの装着が可能な形状で鉛直方向に延設されて前記負圧通路と連通する複数の第1貫通孔を有し、
前記第2プレートは前記複数の第1貫通孔と1対1で対応しながら鉛直方向に延設されて前記負圧通路および前記正圧通路に連通する複数の第2貫通孔を有し、
前記切替部材は、鉛直方向に配列される前記第1貫通孔および前記第2貫通孔で構成される貫通孔列毎に、前記第1貫通孔、前記負圧通路、前記第2貫通孔および前記正圧通路を鉛直方向に移動可能に設けられ、前記第1貫通孔への前記バックアップピンの装着により鉛直下方に押し下げられて前記第1貫通孔を介して前記バックアップピンの前記吸引孔と前記負圧通路とを連通させて前記負圧の供給を行う一方、前記バックアップピンの非装着状態では前記正圧を受けて鉛直上方に押し上げられて前記負圧通路と前記第1貫通孔とを遮断して前記負圧の供給停止を行う
ことを特徴とする基板支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持装置であって、
前記バックアップピンの装着状態で前記バックアップピンが前記第1貫通孔に保持される保持力が前記正圧で前記バックアップピンを押し上げる押上力よりも大きい基板支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板支持装置であって、
前記バックアップピンの装着状態で前記バックアップピンと前記第1プレートとを連結する連結部材が前記バックアップピンおよび前記第1プレートのうちの少なくとも一方に設けられる基板支持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板支持装置であって、
前記第1プレートは強磁性体で形成され、
前記連結部材は前記バックアップピンに設けられるマグネットである基板支持装置。
【請求項5】
請求項2に記載の基板支持装置であって、
前記押上力が前記保持力よりも小さくなるように前記正圧通路に供給される圧力を調整する正圧調整部を備える基板支持装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板支持装置であって、
前記正圧通路への正圧の供給と供給停止とを制御する正圧制御部と、
前記負圧通路への負圧の供給と供給停止とを制御する負圧制御部と、
を備える基板支持装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の基板支持装置であって、
前記負圧通路に供給される負圧の値を計測する圧力計と、
前記バックアップピンによる前記基板の支持開始後において前記圧力計により計測される圧力値に基づいて前記基板が正常な位置に位置決めされていないことを検出する基板位置異常判定部と、
を備える基板支持装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の基板支持装置であって、
前記負圧通路に供給される負圧の値を計測する圧力計と、
前記バックアップピンによる前記基板の吸着の解除後において前記圧力計により計測される圧力値に基づいて前記基板から前記バックアップピンが切り離されていないことを検出する切離異常判定部と、
を備える基板支持装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の基板支持装置と、
前記基板支持装置で支持される前記基板の上面に対して作業を施す作業部と、
を備えることを特徴とする基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の下面を吸着しながら支持する基板支持装置および当該基板支持装置で支持された基板の上面に対して部品実装、印刷および検査などを施す基板作業装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記基板支持装置を装備する基板作業装置の一例としては、例えば特許文献1に記載された装置が知られている。この装置では、基板の上面に対して部品実装を行う作業位置の鉛直下方にバックアップ部材が待機している。このバックアップ部材は、上面に複数の吸引孔が穿設された吸着プレートで構成される。作業位置に基板が搬送されてくると、バックアップ部材が鉛直上方に移動して上面で基板の下面を支持する。また、真空ポンプなどの負圧供給源からの負圧が吸引孔に与えられ、これによってバックアップ部材は基板の下面を吸着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来装置では、基板の下面をバックアップ部材の上面全体で吸着支持するため、基板の仕様(例えば形状やサイズなど)毎に仕様に適合するバックアップ部材を準備する必要がある。このことがランニングコストの増大を招く主要因のひとつとなっている。また、基板の仕様が変更されると、バックアップ部材の入替え作業が行われる。これが基板支持のために要する作業時間の増大を招き、装置の稼働率の低下の主要因のひとつとなっている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板の下面を吸着しながら支持する基板支持装置および当該基板支持装置を装備する基板作業装置において、基板支持に要するコストおよび作業時間を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、基板支持装置であって、基板の下面に当接して支持する上端と上端から下方に延設される吸引孔とを有するバックアップピンと、バックアップピンを保持しながら基板と対向して配置される第1プレートと、第1プレートの下方に配置されて第1プレートとともに負圧を供給するための負圧通路を形成する第2プレートと、第2プレートの下方に配置されて第2プレートとともに正圧を供給するための正圧通路を形成する第3プレートを有するバックアップベースと、バックアップベースの内部に配置されて吸引孔への負圧の供給と供給停止とを切り替える複数の切替部材と、を備え、第1プレートは、バックアップピンの装着が可能な形状で鉛直方向に延設されて負圧通路と連通する複数の第1貫通孔を有し、第2プレートは複数の第1貫通孔と1対1で対応しながら鉛直方向に延設されて負圧通路および正圧通路に連通する複数の第2貫通孔を有し、切替部材は、鉛直方向に配列される第1貫通孔および第2貫通孔で構成される貫通孔列毎に、第1貫通孔、負圧通路、第2貫通孔および正圧通路を鉛直方向に移動可能に設けられ、第1貫通孔へのバックアップピンの装着により鉛直下方に押し下げられて第1貫通孔を介してバックアップピンの吸引孔と負圧通路とを連通させて負圧の供給を行う一方、バックアップピンの非装着状態では正圧を受けて鉛直上方に押し上げられて負圧通路と第1貫通孔とを遮断して負圧の供給停止を行うことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の他の態様は、基板作業装置であって、上記基板支持装置と、基板支持装置で支持される基板の上面に対して作業を施す作業部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、バックアップベースの第1プレートに設けられる第1貫通孔にバックアップピンが挿入されることで第1プレートに対してバックアップピンが装着される。したがって、基板の仕様に応じて複数の第1貫通孔におけるバックアップピンの挿入箇所を選択することで多様な基板に対応することが可能となる。また、第1プレートの第1貫通孔にバックアップピンが装着されると、負圧通路を介して負圧が吸引孔に供給され、同バックアップピンが基板を吸着支持する。一方、バックアップピンが装着されていない第1貫通孔では、バックアップピンによる切替部材に押し下げがないため、切替部材は正圧を受けて鉛直上方に押し上げられる。その結果、負圧通路と第1貫通孔とが遮断され、当該第1貫通孔を介してバックアップベースの周囲に存在する浮遊物がバックアップベースの内部に巻き込まれるのを確実に防止する。
【0009】
ここで、バックアップピンの装着状態でバックアップピンが第1貫通孔に保持される保持力が正圧でバックアップピンを押し上げる押上力よりも大きくなるように構成してもよい。このような設定によりバックアップベースからのバックアップピンの脱落を確実に防止することができる。
【0010】
バックアップピンの装着状態でバックアップピンと第1プレートとを連結する連結部材をバックアップピンおよび第1プレートのうちの少なくとも一方に設けてもよい。連結部材により適切な保持力が得られ、上記関係(保持力>押上力)が確実なものとなる。例えば第1プレートを磁性材料で形成し、連結部材としてマグネットをバックアップピンに設けてもよい。このように磁性材料とマグネットとの組み合わせを採用することで簡易な構成で適切な保持力が得られる。
【0011】
また、上記関係(保持力>押上力)を確実なものとするために、押上力が保持力よりも小さくなるように正圧通路に供給される圧力を調整する正圧調整部を設けてもよい。このように正圧調整部により圧力を調整することで押上力を高精度に調整することができる。
【0012】
また、正圧通路への正圧の供給と供給停止とを制御する正圧制御部と、負圧通路への負圧の供給と供給停止とを制御する負圧制御部と、を設けてもよい。これら正圧制御部および負圧制御部によりバックアップピンにより基板を吸着支持するだけでなく、吸着を伴うことなく基板を支持することも可能となり、多様な態様で基板を支持することができる。
【0013】
また、基板が正常な位置に位置決めされていない、つまり基板位置の異常が発生することがあり、当該異常が生じたままバックアップピンによる基板の吸着支持を行うのは妥当でない。そこで、負圧通路に供給される負圧の値を計測する圧力計と、バックアップピンによる基板の支持開始後において圧力計により計測される圧力値に基づいて基板が正常な位置に位置決めされていないことを検出する基板位置異常判定部と、を設けてもよい。これにより基板位置異常を確実に検出し、それに対応した適切な処理を行うことが可能となる。
【0014】
さらに、基板の吸着支持を解除した際にバックアップピンが基板の下面から切り離されない、いわゆるバックアップピンの切離異常が発生することがある。そこで、負圧通路に供給される負圧の値を計測する圧力計と、 バックアップピンによる基板の支持解除後において圧力計により計測される圧力値に基づいて基板からバックアップピンが切り離されていないことを検出する切離異常判定部と、を設けてもよい。これによりバックアップピンの切離異常を確実に検出し、それに対応した適切な処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、バックアップベースの第1プレートに複数の第1貫通孔を設け、任意の第1貫通孔にバックアップピンを装着可能とするとともに、バックアップベースの内部に設けた切替部材によりバックアップピンへの負圧の供給と供給停止とを切り替えるように構成している。その結果、基板を吸着支持する基板支持装置および同装置を装備する基板作業装置における基板支持に要するコストおよび作業時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る部品実装装置の一実施形態を模式的に示す部分平面図である。
【
図3】
図1に示す部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4A】バックアップベースの全体構成を示す斜視図である。
【
図4B】バックアップベースの分解組立斜視図である。
【
図5】バックアップベースに接続される負圧供給機構および正圧供給機構の構成を示す図である。
【
図6】バックアップベースに対するバックアップピンの非装着状態および装着状態を示す断面図である。
【
図7】
図1に示す部品実装装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明に係る部品実装装置の他の実施形態におけるバックアップベースに対するバックアップピンの非装着状態および装着状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る部品実装装置の一実施形態を模式的に示す部分平面図である。また、
図2は
図1の側面部分拡大図である。さらに、
図3は
図1に示す部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1、
図2および以下の図では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を適宜示す。この部品実装装置1は平面視で略矩形形状を有する基台11を有している。この基台11には、部品を実装するための実装エリアと、この実装エリアの上流側に設定される待機エリアと、実装エリアの下流側に設定される出口エリアとがX方向に直線状に設定されている。
【0018】
基台11には、基板搬送装置2が設けられている。基板搬送装置2は一対のコンベア21と、クランプ機構(
図3中の符号23)と、本発明に係る基板支持装置の一例に相当するバックアップ機構200と、を備えている。一対のコンベア21はY方向に互いに一定距離だけ離間して配置されている。コンベア21は装置全体を制御する制御部80の駆動制御部82からの駆動指令に応じて作動し、基板Bを待機エリアから実装エリアの作業位置(
図1の基板Bの位置)に搬送する。また、クランプ機構23が駆動制御部82からの駆動指令に応じて作動して作業位置に位置決めされた基板Bを固定するとともに、バックアップ機構200が駆動制御部82からの駆動指令に応じて作動して基板Bを下面Bb側から吸着支持する。そして、実装エリアでは、基板Bに対してヘッドユニット3により部品Paが実装された後、基板Bの固定および支持を解除した後でコンベア21は部品実装を完了した基板Bを実装エリアから出口エリアに搬出する。
【0019】
バックアップ機構200は、
図1に示すように、一対のコンベア21間に配置されている。バックアップ機構200は、
図2に示すように、バックアップベース210と、バックアップベース210を昇降駆動する昇降部220と、バックアップベース210に植設される複数のバックアップピン230とを備えている。また、本実施形態では、基板Bの下面Bbを吸着支持するために、各バックアップピン230では、軸心(
図4C中の符号AX)に沿って吸引孔(
図4~
図6中の符号235)が設けられ、吸引孔に対してバックアップベース210の内部に設けられる負圧通路を介して負圧供給機構240が接続されている。さらに、バックアップベース210の内部には、負圧通路のみならず正圧通路が設けられ、当該正圧通路に対して正圧供給機構250が接続されている。なお、バックアップベース210、バックアップピン230、負圧供給機構240および正圧供給機構250の構成ならびにバックアップピン230による基板Bの吸着支持動作については後で詳述する。
【0020】
バックアップベース210は、昇降部220の固定台221上に対して複数のボルトで固定され、駆動制御部82からの駆動指令に応じて昇降部220が作動することにより固定台221と一体に昇降し、これによってバックアップベース210に装着されたバックアップピン230を昇降させる。一方、バックアップベース210が下降することで、バックアップピン230が基板Bの下面Bbから鉛直下方に離れて基板Bの搬出が可能となる。
【0021】
部品実装装置1は、2個のヘッドユニット3それぞれをXY方向に個別に駆動するXY駆動機構4を備える。このXY駆動機構4は、それぞれX方向に平行に延設されてヘッドユニット3をX方向に移動可能に支持する一対のXビーム41、41を有する。各Xビーム41には、X方向に平行に延設されたボールネジ42と、ボールネジ42を回転駆動するXモーター43とが取り付けられている。Xモーター43は、ここの例ではサーボモーターである。そして、ボールネジ42のナットにヘッドユニット3が取り付けられている。さらに、XY駆動機構4は、それぞれY方向に平行に延設された一対のYビーム44、44を有する。各Xビーム41の一端は一方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持され、各Xビーム41の他端は他方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持される。各Yビーム44には、Xビーム41、41をY方向に駆動するYモーター45が取り付けられている。各Yモーター45は、ここの例ではリニアモーターであり、Xビーム41、41の端に取り付けられた可動子451、451と、Y方向に平行に延設された固定子452とを有する。そして、可動子451と固定子452との間に働く磁力によって可動子451とともにXビーム41がY方向に駆動される。かかるXY駆動機構4によれば、Xモーター43およびYモーター45によって、ヘッドユニット3をXY方向に移動させることができる。
【0022】
部品供給部5は、一対のコンベア21のY方向の両側のそれぞれに配設されている。部品供給部5では、X方向に並ぶ複数のテープフィーダー51(以下、単に「フィーダー51」と称する)が着脱可能に装着されている。各フィーダー51は集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品Pa(チップ部品)を所定間隔おきに収納したテープをY方向に間欠的に送り出すことによって、テープ内の部品Paを部品供給位置に供給する。
【0023】
ヘッドユニット3は、X方向に平行に配列された複数の実装ヘッド31を有している。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられた吸着ノズルによって部品Paを吸着・保持することが可能となっている。そして、ヘッドユニット3はフィーダー51の上方へ移動して、フィーダー51により供給される部品Paを吸着ノズルで吸着して保持する。それに続いて、ヘッドユニット3は作業位置の基板Bの上方に移動して部品Paの吸着を解除することで、基板Bの上面Baに部品Paを実装する。なお、本実施形態では、フィーダー51により供給される部品Paの吸着ノズルによる吸着状態を側方から撮像するサイドビューカメラ32(
図3)がヘッドユニット3に取り付けられている。
【0024】
また、部品供給部5とコンベア21との間には、部品認識カメラ6およびノズル保管部7が配置されている。部品認識カメラ6は、部品供給部5において吸着ノズルにより吸着された部品Paを撮像し、部品情報および位置ずれ情報を取得するための画像情報を提供する。この部品撮像は、部品供給部5から基板Bへの移動中にヘッドユニット3が部品認識カメラ6の上方を通過することで実行される。こうして取得された画像を解析することで、吸着された部品PaのXY平面における位置ずれ量および回転角度を求めることが可能となっている。
【0025】
ノズル保管部7は互いに異なる種類の複数の吸着ノズルを保管する機能を有している。部品Paに対応した吸着ノズルを取り付けるように指示された場合、ヘッドユニット3がノズル保管部7の上方まで移動した後に実装ヘッド31が鉛直方向Zに昇降して吸着ノズルを交換する。
【0026】
図3に示すように、部品実装装置1の装置各部を制御するために、部品実装装置1は制御部80を有しており、表示部85および入力部86をさらに備えている。制御部80はCPU(Central Processing Unit)により構成される演算処理部81を備えている。演算処理部81には、駆動制御部82と、記憶部83と、画像処理部84とがそれぞれ接続されている。
【0027】
制御部80では、
図3に示すように、記憶部83に記憶されているプログラム(図示省略)にしたがって演算処理部81は、次に説明するように、基板Bを作業位置に搬送した後にバックアップベース210を上昇させてバックアップピン230による基板Bの吸着支持を行う。また、演算処理部81は、バックアップピン230による基板Bの支持開始後において圧力計(
図5中の符号245)により計測される圧力値に基づいて基板Bが正常な位置に位置決めされていないことを検出する基板位置異常判定部811としても機能する。また、演算処理部81は、上記基板Bの上面Baへの部品Paの実装が完了すると、バックアップピン230による基板Bの吸着を停止して基板Bの支持を解除するが、支持解除後において圧力計(
図5中の符号245)により計測される圧力値に基づいて基板Bからバックアップピン230が切り離されていないことを検出する切離異常判定部812としても機能する。さらに、演算処理部81は、基板Bからのバックアップピン230の切離後に、バックアップベース210を下降させ、さらに基板Bを作業位置から搬送する。
【0028】
次に、本発明に係る基板支持装置の一例に相当するバックアップ機構200の詳細について
図4A~
図4C、および
図5~
図7を参照しつつ説明する。
図4Aはバックアップベースの全体構成を示す斜視図である。
図4Bはバックアップベースの分解組立斜視図である。
図4Cは
図4Bの部分拡大矢視断面図である。
図5はバックアップベースに接続される負圧供給機構および正圧供給機構の構成を示す図である。
図6はバックアップベースに対するバックアップピンの非装着状態および装着状態を示す断面図である。
【0029】
バックアップベース210は、3枚のプレート211~213を鉛直方向Zに積層した積層構造を有している。これらのプレート211~213は、
図4Bに示すように、水平面(X-Y平面)において同一の平面サイズを有している。また、その平面サイズは部品実装装置1において部品実装可能な基板Bの最大サイズと同一あるいは若干広い。一方、プレート211~213は互いに異なる構造を有している。すなわち、第2プレート212の両主面のうち第1プレート211と対向する主面では上方に開口した凹部が設けられるとともに第3プレート213と対向する主面では下方に開口した凹部が設けられている。そして、プレート211~213が鉛直上方から見て相互に重なり合うように配置された状態で一体化されてバックアップベース210が構成される。その内部では、第1プレート211と第2プレート212の上面中央部とで挟まれた空間が負圧供給機構240と接続されて負圧通路PT1として機能するとともに、第2プレート212の下面中央部と第3プレート213とで挟まれた空間が正圧供給機構250と接続されて正圧通路PT2として機能する。
【0030】
負圧供給機構240は、
図5に示すように、エジェクタや真空ポンプなどの負圧供給源241と負圧通路PT1とを接続する配管242を有している。この配管242には、開閉弁243と、圧力調整部244と、圧力計245とが配設されている。このため、駆動制御部82からの指令に応じて開閉弁243が開閉することで負圧通路PT1への負圧の供給と供給停止とを制御可能となっている。また、圧力計245により計測される圧力値に基づき圧力調整部244の開度が調整されることで負圧通路PT1に与えられる圧力が調整される。
【0031】
正圧供給機構250は、
図5に示すように、部品実装装置1が設置された工場に予め装備されている用力などの正圧供給源251と正圧通路PT2とを接続する配管252を有している。この配管252には、開閉弁253と、圧力調整部254と、圧力計255とが配設されている。このため、駆動制御部82からの指令に応じて開閉弁253が開閉することで正圧通路PT2への正圧の供給と供給停止とを制御可能となっている。また、圧力計255により計測される圧力値に基づき圧力調整部254の開度が調整されることで正圧通路PT2に与えられる圧力が調整される。
【0032】
次に、第1プレート211、バックアップピン230、第2プレート212、第3プレート213およびバックアップベース210の内部に設けられるスプール260の詳しい構成および動作をこの順に説明する。プレート211~213のうち最も上方に位置する第1プレート211は、例えばSK4等の強磁性体で形成されている。第1プレート211には、鉛直方向Zに貫通する複数の装着孔211aが水平面、つまりXY平面内に一定の間隔でハニカム状に穿設されて負圧通路PT1と連通されている。各装着孔211aはバックアップピン230の下端部231が挿通自在な形状に仕上げられている。なお、装着孔211aの配置態様はハニカム状に限定されるものではなく、分散して配置されておればよく、例えばマトリックス状に配置してもよい。
【0033】
各バックアップピン230では、下端部231の上方に装着孔211aの内径よりも大きな外径を有する環状部位232が設けられている。このため、バックアップピン230の下端部231を装着孔211aに挿入すると、第1プレート211の上面のうち当該装着孔211aの周囲領域で環状部位232が係止され、バックアップピン230が第1プレート211により保持される。こうして、第1プレート211へのバックアップピン230の装着が行われる。したがって、複数の装着孔211aに対してバックアップピン230を選択的に装着することによって第1プレート211上の任意の位置にバックアップピン230を植立させ得る。
【0034】
また、本実施形態では、バックアップピン230が装着孔211aに保持される保持力F1(
図6)を高めるために、環状部位232の下面に凹部が円環状に設けられるとともに当該凹部にマグネット233が埋め込まれている。このため、バックアップピン230の装着とともにマグネット233が強磁性体である第1プレート211を引き寄せ、磁力によってバックアップピン230と第1プレート211とを磁気的に連結している。その結果、上記保持力F1が高められる。ここで、バックアップピン230の装着孔211aへの挿入のみによって後で説明する上記正圧によるスプール260の押上力F2(
図6)よりも大きな保持力F1が得られる場合には、マグネット233を省略してもよい。
【0035】
さらに、第1プレート211に装着されたバックアップピン230は、
図4Aおよび
図5に示すように、鉛直上方(+Z)に延設されており、その上端234が作業位置に位置する基板Bの下面Bbに当接して基板Bを下方から支持可能となっている。また、バックアップピン230の軸線AXに沿って上端234から吸引孔235がバックアップピン230の下端まで貫通して設けられている。このため、基板Bの下面Bbにバックアップピン230の上端234が当接して吸引孔235の上端を塞いだ状態で吸引孔235に負圧が第1プレート211と第2プレート212との間に形成される負圧通路PT1を介して与えられると、基板Bはバックアップピン230により吸着支持される。
【0036】
第2プレート212の中央部には、
図4Bおよび
図4Cに示すように、装着孔211aと1対1で対応して装着孔211aよりも内径が(2×d)だけ広い貫通孔212aが鉛直方向Zに穿設されている。このため、1つの貫通孔212aに着目すると、当該貫通孔212aはこれに対応する装着孔211aと鉛直方向Zに配列されて貫通孔列214を構成するとともに負圧通路PT1と正圧通路PT2とを連通している。そして、貫通孔列214毎に、
図6に示すように、スプール260が装着孔211a、負圧通路PT1、貫通孔212aおよび正圧通路PT2を移動可能となっている。
【0037】
第3プレート213は、各貫通孔列214(=装着孔211a+貫通孔212a)の鉛直下方(-Z)に突起部213aが設けられた略平板構造を有している。各突起部213aの高さH1はスプール260に設けられる凹部261の深さH2よりも高く設けられている。この理由についてはスプール260の構成説明と関連付けて説明する。
【0038】
スプール260は、
図4Cおよび
図6に示すように、上端部262と下端部263とを有している。これらのうち上端部262は装着孔211aに対して挿脱自在な円環形状を有しており、中空部分の内径は吸引孔235の内径とほぼ同一である。また、上端部262の上方側面には、
図4C中の拡大図に示すように、切欠部264が部分的に設けられている。一方、下端部263は貫通孔212aに対して挿脱自在に設けられた中実円柱形状を有しており、下方中央部に凹部261が設けられている。
【0039】
このような構成されたスプール260は、上端部262が装着孔211aに挿入されるとともに下端部263が貫通孔212aに挿入された状態で、バックアップベース210の内部で鉛直方向Zに移動自在となっている。ただし、鉛直上方および鉛直下方への移動範囲はそれぞれ以下のように規制されている。
【0040】
上端部262と下端部263との境界では段差部位265(
図4C中の拡大図参照)が形成されている。このため、
図6の(a)欄に示すように段差部位265が第1プレート211の下面に係止されると、鉛直上方へのスプール260の移動は規制される。このとき、上端部262全体が装着孔211aに入り込むとともに下端部263が負圧通路PT1に位置し、負圧通路PT1と貫通孔212aとを遮断する。なお、以下の説明の便宜から、このときのスプール260の位置を最上位置という。
【0041】
一方、鉛直下方については、スプール260の最下端部に設けられた凹部261により規制される。すなわち、凹部261は突起部213aの上端部に対して嵌合自在な形状に仕上げられており、凹部261の深さH2が突起部213aの高さH1よりも小さく設定されている。このため、スプール260が鉛直下方に移動すると、
図6の(b)欄に示すように凹部261の内底面が突起部213aの上端部で係止され、鉛直下方への移動は規制される。このとき、下端部263が負圧通路PT1から退避するのに対し、上端部262が負圧通路PT1に位置し、切欠部264を介して負圧通路PT1と吸引孔235とが連通される。また、このように鉛直下方への移動が規制された状態、つまり最下位置に位置している状態では、スプール260は第3プレート213の上面から離間しており、スプール260の下端部263の少なくとも一部は正圧通路PT2を面している。もちろん、スプール260が最下位置よりも上方に位置している間も、スプール260の下端部263の少なくとも一部は正圧通路PT2を面している。つまり、スプール260の下端部263は常時正圧通路PT2を面している。
【0042】
このように構成されたバックアップ機構200を用いて基板Bを吸着支持する場合、部品実装前に、開閉弁253が開成されて正圧通路PT2に対し、圧力調整部254により圧力調整された正圧が正圧通路PT2に供給される。すると、正圧通路PT2と常時面している下端部263に対して鉛直上方(+Z)に向けた押上力F2がスプール260に作用して鉛直上方(+Z)に移動させる。この上方移動はスプール260の段差部位265が第1プレート211の下面で係止されるまで行われ、スプール260は最上位置に位置決めされる。その結果、
図6の(a)欄に示すように、スプール260により負圧通路PT1と装着孔211aとが遮断される。したがって、負圧供給機構240から負圧を負圧通路PT1に供給していたとしても、バックアップピン230が装着されていない装着孔211aに対して負圧は与えられず、当該装着孔211aの周囲に存在する浮遊物が当該装着孔211aを介してバックアップベース210の内部に巻き込まれるのを確実に防止することができる。
【0043】
このようにして負圧通路PT1と装着孔211aとがスプール260により遮断された状態の装着孔211aに対してバックアップピン230が挿入されると、装着孔211a内で当該バックアップピン230の下端部231がスプール260の上端部262と当接する。さらに押し込んでいくと、
図6の(b)欄に示すように、バックアップピン230とともにスプール260が鉛直下方(-Z)に移動して最下位置に位置決めされる。こうしてバックアップピン230がバックアップベース210に保持されるが、この位置決め状態でマグネット233が第1プレート211についてバックアップピン230をバックアップベース210に磁気的に連結する。これによって、バックアップピン230の保持力が高められる。なお、本実施形態では、正圧を供給した状態でバックアップピン230の装着ならびに基板Bの吸着支持を行うため、正圧による押上力F2がスプール260を介してバックアップピン230に印加される。したがって、バックアップピン230を安定的に保持するために、本実施形態ではマグネット233による保持力F1が押上力F2よりも高くなるように設定している。
【0044】
このようにバックアップピン230を装着孔211aに装着することで、切欠部264を介して負圧通路PT1と吸引孔235とが連通する。この状態で負圧供給機構240からの負圧通路PT1に負圧が供給されると、スプール260の上端部262の切欠部264および中空部分を介して負圧が吸引孔235に与えられる。これによってバックアップピン230による基板Bの吸着支持が可能となる。
【0045】
このようにスプール260はバックアップベース210の内部で鉛直方向Zに移動して装着孔211aに向けての負圧の供給と供給停止とを切り替える機能を有している。そして、当該機能を利用するバックアップ機構200が装備された部品実装装置1では、記憶部83に記憶されているプログラムにしたがって演算処理部81が装置各部を
図7に示すように制御する。これによって部品実装が良好に実行される。以下、
図7を参照しながらバックアップ機構200によるバックアップ処理を中心に部品実装装置1の動作について説明する。
【0046】
図7は
図1に示す部品実装装置の動作を示すフローチャートである。部品実装の対象となる基板Bがコンベア21により作業位置(
図1の基板Bの位置)に搬送され、さらにクランプ機構23により作業位置に位置決めされる。こうして、部品実装の準備が完了するが、これより前に上記基板Bに対応した装着孔211aにバックアップピン230を装着したバックアップベース210を下降位置に待機させてバックアップ準備を完了させておく。また、この段階では、負圧供給機構240の開閉弁243は閉じており、負圧通路PT1への負圧の供給は停止されている。一方、正圧供給機構250については、この段階より開閉弁253を開いて正圧通路PT2への正圧の供給を開始してもよいし、後で説明するようにバックアップピン230による吸着支持を開始する直前に開始してもよい。
【0047】
上記部品実装の準備が完了すると、バックアップベース210の上昇によりバックアップピン230が上昇される(ステップS11)。そして、バックアップピン230の上端234が基板Bの下面Bbと当接して吸引孔235の上端が塞がれると、負圧供給機構240の開閉弁243は開いて基板Bの吸着支持が開始される(ステップS12)。このとき、基板Bが正常な位置、つまり作業位置に位置決めていない場合、バックアップピン230の上端が基板Bの下面Bbに対して適切に当接せず、十分に基板Bを吸着することができない。そこで、本実施形態では、吸着開始から一定時間内に圧力計245により計測される吸着圧力が所定値以上となる否かに基づいて基板Bが作業位置に固定されているか否かが判定される(ステップS13)。
【0048】
このステップS13で「NO」と判定される、つまり基板Bが作業位置に位置決めされていないことが検知されると、部品実装装置1は直ちにエラー停止され(ステップS14)、基板Bが適切な位置に固定されていない旨、つまり基板位置異常の発生が表示部85に表示されてユーザに報知される(ステップS15)。一方、ステップS13で「YES」と判定される、つまり基板Bが作業位置に適切に固定されていることを確認すると、従前の同様にして部品実装が実行される(ステップS16)。
【0049】
そして、ステップS17で基板Bに対する部品実装が完了したことが確認されると、負圧供給機構240の開閉弁243は閉じて基板Bの吸着が停止される(ステップS18)。このとき、基板Bとの吸着の解除が適切に行われない場合、基板Bの切り離しを良好に行えないという問題が発生することがある。そこで、本実施形態では、吸着停止から一定時間内に圧力計245により計測される吸着圧力が所定値未満となる否かに基づいて基板Bの切り離しが適切に実行し得るか否かが判定される(ステップS19)。
【0050】
このステップS19で「NO」と判定される、つまり基板Bの切離異常が検知されると、部品実装装置1は直ちにエラー停止され(ステップS20)、基板Bの切離異常の発生が表示部85に表示されてユーザに報知される(ステップS21)。一方、ステップS19で「YES」と判定される、つまり基板Bとの吸着の解除が適切に行われていることを確認すると、バックアップベース210の下降によりバックアップピン230が下降される(ステップS22)。その後で部品Paが実装された基板Bはコンベア21により作業位置から搬出されて1枚の基板Bに対する部品Paの実装が完了する。
【0051】
以上のように、本実施形態では、バックアップベース210の第1プレート211に設けられる複数の装着孔211aのうち基板Bの仕様に対応した装着孔211aにバックアップピン230を選択的に装着可能となっている。したがって、多様な基板Bに対応することが可能となっている。したがって、基板仕様に応じたバックアップ部材を予め準備し、基板の仕様変更に応じてバックアップ部材を取り替えていた従来装置に比べ、基板支持に要するコストおよび作業時間を低減させることができる。
【0052】
また、バックアップピン230が装着された装着孔211aおよび当該装着孔211aの鉛直下方に位置する貫通孔212aで構成される貫通孔列214では、
図6の(b)欄に示すように、バックアップピン230によりスプール260が正圧供給による押上力F2に抗いながら押し下げられる。その結果、負圧通路PT1と吸引孔235とが連通されてバックアップピン230が基板Bを良好に吸着支持する。一方、バックアップピン230が装着されていない貫通孔列214では、押上力F2によりスプール260が押し上げられ、
図6の(a)欄に示すように、スプール260が負圧通路PT1と装着孔211aとを遮断する。これにより、バックアップピン230による基板Bの吸着支持中にバックアップベース210の周囲に存在する浮遊物をバックアップベース210の内部に巻き込むのを確実に防止することができる。
【0053】
また、バックアップピン230にマグネット233を設けて保持力F1(>押上力F2)を与えているため、第1プレート211に対してバックアップピン230が強固に固定される。その結果、バックアップベース210からのバックアップピン230の脱落を確実に防止することができる。
【0054】
また、部品実装処理(ステップS16)の実行前に基板位置異常判定部811が基板Bの固定位置の異常を検知すると、部品実装装置1を直ちにエラー停止している。このため、固定位置異常を発生させたまま当該基板Bへの部品Paの実装が未然に防止され、無駄な部品実装を回避することができる。
【0055】
また、バックアップベース210の下降前に切離異常判定部812がバックアップピン230の切離異常を検知すると、部品実装装置1を直ちにエラー停止している。このため、基板Bを吸着したままバックアップピン230がバックアップベース210と一緒に下降するのを確実に防止することができる。これによって、基板Bに対してダメージを与える等の不都合が発生するのを確実に防止することができる。
【0056】
さらに、バックアップピン230の装着時にバックアップピン230によりスプール260が押し下げられ、
図6の(b)欄に示すように、スプール260に設けられる凹部261が突起部213aの上端部に嵌合する。これによって、スプール260は第3プレート213の上面から浮いた状態に保たれる。これによって、正圧通路PT2を介してスプール260に正圧を常時与えることができる。
【0057】
上記したように、本実施形態では、装着孔211aおよび貫通孔212aがそれぞれ本発明の「第1貫通孔」および「第2貫通孔」の一例に相当している。また、スプール260は本発明の「切替部材」の一例に相当している。また、実装ヘッド31が本発明の「作業部」の一例に相当している。また、マグネット233が本発明の「連結部材」の一例に相当している。
【0058】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、スプール260に凹部261を設けるとともに第3プレート213に突起部213aを設けることでスプール260に正圧を常時与えている。凹部261および突起部213aの代わりに、
図8に示すように、スプール260の下端部263を凸形状に仕上げることでスプール260に正圧を常時与えて押上力F2を発生させるように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第1プレート211を強磁性体で形成する一方、バックアップピン230にマグネット233を設けているが、両者の関係を逆転させてもよい。つまり、バックアップピン230を強磁性体で形成する一方、第1プレート211にマグネットを設けてもよい。また、第1プレート211およびバックアップピン230の両方にマグネットを設けて第1プレート211およびバックアップピン230を磁気的に連結可能に構成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、マグネット233を設けることで押上力F2よりも高い保持力F1でバックアップピン230を第1プレート211の装着孔211aで保持しているが、バックアップピン230が装着孔211aに装着されているときの両者間での摩擦力がよりも高くなるように構成してもよい。この場合、マグネット233は不要となる。
【0061】
また、上記実施形態では、バックアップベース210からのバックアップピン230の脱落を防止するために、例えば圧力調整部254により正圧の圧力値を調整する、つまり押上力F2が保持力F1よりも小さくなるように調整してもよい。この場合、圧力調整部254が本発明の「正圧調整部」の一例に相当する。
【0062】
また、上記実施形態では、バックアップピン230により基板Bを吸着支持しているが、開閉弁243、253をともに閉じてバックアップ処理を行ってもよい。この場合、開閉弁243、253がそれぞれ本発明の「負圧制御部」および「正圧制御部」の一例に相当し、バックアップピン230は基板Bの吸着を行わず、基板支持のみを行う。
【0063】
さらに、上記実施形態では、本発明に係る基板支持装置を部品実装装置に適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、基板の下面をバックアップピンにより吸着支持しながら基板の上面に対して印刷処理や検査処理などを行う基板作業装置に対しても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、基板の下面を吸着しながら支持する基板支持装置および当該基板支持装置で支持された基板の上面に対して部品実装、印刷および検査などを施す基板作業装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…部品実装装置(基板作業装置)
31…実装ヘッド(作業部)
81…演算処理部
200…バックアップ機構(基板支持装置)
210…バックアップベース
211…第1プレート
211a…装着孔(第1貫通孔)
212…第2プレート
212a…(第2)貫通孔
213…第3プレート
214…貫通孔列
220…昇降部
230…バックアップピン
231…(バックアップピンの)下端部
233…マグネット(連結部材)
234…(バックアップピン)上端
235…吸引孔
243…開閉弁(負圧制御部)
245…圧力計
253…開閉弁(正圧制御部)
254…圧力調整部(正圧調整部)
260…スプール(切替部材)
811…基板位置異常判定部
812…切離異常判定部
B…基板
Ba…(基板の)上面
Bb…(基板の)下面
F1…保持力
F2…押上力
PT1…負圧通路
PT2…正圧通路
Z…鉛直方向