(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】プログラム、クレーム発生予測装置及びクレーム発生予測方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/62 20180101AFI20220905BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220905BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20220905BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20220905BHJP
F24F 140/50 20180101ALN20220905BHJP
【FI】
F24F11/62
F24F11/64
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:50
(21)【出願番号】P 2019091283
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】明石 征邦
(72)【発明者】
【氏名】徳永 星馬
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 強一
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-205202(JP,A)
【文献】特開2017-089967(JP,A)
【文献】特開平06-221643(JP,A)
【文献】特開2019-015486(JP,A)
【文献】特開2011-69577(JP,A)
【文献】特開2014-156977(JP,A)
【文献】特開2015-004480(JP,A)
【文献】特開2018-155435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00ー11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルを、前記計測装置が計測した過去の計測値と前記過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無とを示す履歴データを用いて学習する学習ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記学習ステップにおいては、前記過去の計測値を用いて前記予測モデルによりクレームの発生の有無を予測した結果が、前記過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無と一致する割合が高くなるように前記予測モデルを学習する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記居住環境調整装置は、前記調整区分における空調環境を調整する空調装置である、
請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第一条件は、前記計測装置により計測された空調環境の状態を表す計測値に基づいて得られる空調状態の評価指標の値が第一閾値を逸脱していることであり、
前記第二条件は、前記第一条件を満たす前記空調装置の台数が第二閾値以上である又は前記第一条件を満たす前記空調装置の組合せが所定のパターンであることである、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記学習ステップにおいては、前記評価指標の種類と、前記第一閾値と、前記第二閾値又は前記所定のパターンとのうち一以上を学習する、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記空調装置の前記評価指標は、当該空調装置の空調所掌範囲内における室内温度又は室内湿度である、
請求項4又は請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記空調装置の前記評価指標は、当該空調装置の空調所掌範囲内における室内温度及び室内湿度を用いて計算される室内エンタルピ又は快適性指標である、
請求項4又は請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記空調装置の前記評価指標は、当該空調装置の空調所掌範囲内における室内温度及び給気温度を用いて計算され、当該空調装置の給気口付近の室内温度を表す補正室内温度である、
請求項4又は請求項5に記載のプログラム。
【請求項9】
前記空調装置の前記評価指標は、前記補正室内温度と当該空調装置の空調所掌範囲内における室内湿度とを用いて計算されるエンタルピ又は快適性指標である、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記予測モデルにおいては、前記空調装置の制御能力に余裕がある場合、前記第一条件を満たさないと判定する、
請求項4から請求項9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記予測モデルにおいては、前記空調装置の空調負荷が減少傾向にある場合、前記第一条件を満たさないと判定する、
請求項4から請求項9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記学習ステップにおいては、単一の前記調整区分に設置された複数の空調装置を前記空調装置が設置されている条件に応じて複数のグループに分割し、前記グループごとに前記予測モデルを適用して得られたクレームの発生の有無の予測結果を複合して前記調整区分におけるクレームの発生の有無を予測する複合予測モデルを、前記履歴データを用いて学習する、
請求項4から請求項11のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記学習ステップにおいては、単一の前記調整区分に設置された複数の空調装置を、前記空調装置が接続されている空調機別に複数のグループに分割する、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記学習ステップにおいては、単一の前記調整区分に設置された複数の空調装置を、前記空調装置の設置場所がインテリアであるかペリメータであるかに応じて複数のグループに分割する、
請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記学習ステップにおいては、前記グループごとに得られたクレームの発生の有無の予測結果の複合条件を学習する、
請求項12から請求項14のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータに、
前記学習ステップにおいて学習された前記予測モデルに、クレームの発生有無を予測する対象の時間に応じたタイミングにおいて前記計測装置により計測された予測用の計測値を用いることによりクレームの発生の有無を予測する予測ステップをさらに実行させるための請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルに、クレームの発生有無を予測する対象の時間に応じたタイミングにおいて前記計測装置により計測された予測用の計測値を用いることによりクレームの発生の有無を予測する予測ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルを、前記計測装置が計測した過去の計測値と前記過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無とを示す履歴データを用いて学習する学習部、
を備えるクレーム発生予測装置。
【請求項19】
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルに、クレームの発生有無を予測する対象の時間に応じたタイミングにおいて前記計測装置により計測された予測用の計測値を用いることによりクレームの発生の有無を予測する予測部、
を備えるクレーム発生予測装置。
【請求項20】
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルを、前記計測装置が計測した過去の計測値と前記過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無とを示す履歴データを用いて学習する学習ステップ、
を有するクレーム発生予測方法。
【請求項21】
居住環境の調整を行う単位である調整区分に複数設置され、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルに、クレームの発生有無を予測する対象の時間に応じたタイミングにおいて前記計測装置により計測された予測用の計測値を用いることによりクレームの発生の有無を予測する予測ステップ、
を有するクレーム発生予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プログラム、クレーム発生予測装置及びクレーム発生予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模施設では、施設内の居住環境の調整を区分ごとに行う。例えば、ビルや複合施設などの大規模施設では、セントラル空調方式が用いられる。セントラル空調方式は、大規模施設を複数の空調区分に分けて空調を行う。この大規模施設のテナントから、暑い、又は、寒いなど、空調環境が不快であることを設備運用者に訴えるクレームが発生することがある。クレームの発生は施設内の実際の室内温度(以下、室温とも記載)に関連する。しかし、大規模施設の各空調区分には複数の室温計測点があるため、ある空調区分において発生したクレームがその空調区分のいずれの室温計測点により計測された室温と関連しているのかが明確ではないことがあった。そのため、計測された室温からは、クレームが発生し得る空調環境であるかを判断することが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-137795号公報
【文献】特開2017-89967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、居住環境に関するクレームの発生を予測可能とするプログラム、クレーム発生予測装置及びクレーム発生予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のプログラムは、コンピュータに学習ステップを実行させる。学習ステップにおいては、前記調整区分における居住環境の調整を行う居住環境調整装置ごとに、前記居住環境調整装置に割り当てられた計測装置により計測された居住環境の状態を表す計測値に基づいて居住環境の調整状態が第一条件を満たすか否かを判定し、前記調整区分における複数の前記居住環境調整装置について得られた判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいて、前記調整区分における居住環境が不快である旨の利用者の意思表示であるクレームの発生の有無を予測するための予測モデルを、前記計測装置が計測した過去の計測値と前記過去の計測値が得られたときのクレームの発生の有無とを示す履歴データを用いて学習する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の空調クレーム予測システムの構成図。
【
図2】同実施形態の制御対象機器、センサ及び仮設センサの例を示す図。
【
図3】同実施形態のクレーム発生予測装置の構成を示すブロック図。
【
図4】同実施形態のクレーム履歴データの例を示す図。
【
図5】同実施形態のクレーム発生予測装置の予測モデル学習処理を示すフロー図。
【
図8】同実施形態の予測モデル学習後に表示される画面例を示す図。
【
図9】同実施形態のクレーム発生予測装置のクレーム予測処理を示すフロー図。
【
図10】同実施形態のクレーム予測後に表示される画面例を示す図。
【
図11】同実施形態のクレーム予測後に表示される画面例を示す図。
【
図13】同実施形態の予測モデル学習後に表示される画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のプログラム、クレーム発生予測装置及びクレーム発生予測方法を、図面を参照して説明する。なお、クレームとは、ユーザからの居住環境の不快さの意思表示であって、連絡を含む。本実施形態では、特に、空調環境に対するクレームについて説明する。
【0008】
実施形態のクレーム発生予測装置は、空調装置が複数設置された空調区分におけるクレームの発生を予測するための予測モデルを学習する。空調区分は、施設内において居住環境の調整を行う単位である調整区分の一例である。また、空調装置は、居住環境の調整を行う居住環境調整装置の一例である。単一の空調区分に設定された複数の空調装置のそれぞれには、室内の空調環境に関する状態を計測する計測装置が割り当てられる。計測装置が出力する計測値は、空調環境の状態を表す。この計測装置から出力される計測値、又は、その計測値に所定の演算を行って得られた演算値は、空調状態を定量的に表す空調評価指標の値として用いられる。空調評価指標は、居住環境の調整状態を表す評価指標の一例である。
【0009】
予測モデルは、空調装置に割り当てられた計測装置から出力された計測値に基づく評価指標の値が第一条件を満たすか否かを単一の空調区分内の複数の空調装置それぞれについて判定し、その判定結果が第二条件を満たすか否かに基づいてクレームの発生の有無を予測するアルゴリズムである。例えば、予測モデルは、各空調装置の評価指標の値が第一閾値を逸脱しているか否かを判定し、逸脱していると判定された空調装置の台数が第二閾値以上であるか否か又は逸脱していると判定された空調装置の組合せが所定のパターンに一致するか否かに基づいてクレームの発生の有無を予測する。予測モデルは、空調評価指標の種類、第一閾値、第二閾値、及び、所定のパターンを決定変数とする。クレーム発生予測装置は、過去のクレームの発生を最も良く再現するように予測モデルの各決定変数の値を導出する。
【0010】
クレーム発生予測装置は、空調装置の台数と空調装置の組合せのうちいずれが最適な予測方法であるかを選択して予測モデルを学習する。クレーム発生予測装置は、クレームの発生と各空調装置の場所に明確な関係性がない場合には、空調装置の台数を予測モデルに用いる。一方、クレーム発生予測装置は、クレーム発生と各空調装置の場所に明確な関係性がある場合は、空調装置の組合せを予測モデルに用いる。
【0011】
クレーム発生予測装置は、導出された決定変数の値を適用した予測モデルに、時々刻々の計測値に基づいてクレームの発生を予測する。クレーム発生予測装置は、学習した予測モデルを用いて予測を行うことで、クレームと室内空調環境を表す状態の計測点との位置的な対応関係が不明の場合でも、クレーム発生を的確に予測することが可能となる。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の空調クレーム予測システムの構成例を示す図である。なお、本構成はあくまで一例であり、実施形態を制限するものではない。施設2は、空調クレームの発生予測を行う対象である。施設2は、空調区分を1以上有する。施設2には、クレーム発生予測装置1と、監視・制御システム3と、制御対象機器4と、センサ5と、仮設センサ6とが設置される。
【0013】
クレーム発生予測装置1は、監視・制御システム3及び仮設センサ6からクレーム発生の予測に用いるデータを受信する。クレーム発生の予測に用いるデータは、室内の空調環境に関する状態を計測した値を示す計測データである。計測データは、室内の空調環境の状態そのものを計測したデータでもよく、室内の空調環境に関連する機器の状態を計測したデータでもよい。クレーム発生予測装置1が監視・制御システム3から受信する計測データは、制御対象機器4が計測したデータ及びセンサ5が計測したデータである。つまり、センサ5及び仮設センサ6は計測装置の例であり、制御対象機器4は計測装置を備える。なお、クレーム発生予測装置1は、仮設センサ6との接続がなく、監視・制御システム3のみから計測データを取得してもよい。また、クレーム発生予測装置1は、監視・制御システム3との接続がなく、仮設センサ6のみから計測データを取得してもよい。
【0014】
なお、クレーム発生予測装置1は、施設2の外部に設置されたクラウドサーバーであってもよい。この場合、クレーム発生予測装置1は、複数の施設2それぞれの監視・制御システム3及び仮設センサ6とネットワークを介して接続される。
【0015】
図2は、制御対象機器4、センサ5及び仮設センサ6の例を示す図である。空調区分には、複数の制御対象機器4と、制御対象機器4に割り当てられたセンサ5及び仮設センサ6とが設置されている。制御対象機器4は、例えば、
図2に示す空調機410及び空調装置412である。空調機410及び空調装置412は、監視・制御システム3による監視・制御対象である。
【0016】
空調機410は、空調装置412への給気(SA)温度が所定の状態となるように、弁411の開度により冷温水流量を調節して、空気の冷却・加熱等を行う。空調装置412は、例えば、VAV(variable air volume system)である。空調機410は、単一の空調区分に設置された複数台の空調装置412と空調ダクトで接続されている。空調装置412は、センサ5が計測した居室内の状態が所定の値となるように、給気風量を自動調節する。居室は、一つの空調区分である。
【0017】
以下では、単一の空調区分に設置されたN台(Nは2以上の整数)の空調装置412をそれぞれ空調装置412-1~412-Nと記載する。
図2は、N=2の場合の例である。
図2では、空調装置412-n(nは1以上N以下の整数)に割り当てられたセンサ5及び仮設センサ6をそれぞれ、センサ5-n及び仮設センサ6-nと記載している。
【0018】
図3は、クレーム発生予測装置1の構成を示すブロック図である。クレーム発生予測装置1は、記憶部11と、学習用データ受信部12と、学習部13と、予測用データ受信部14と、予測部15と、表示部16とを備える。クレーム発生予測装置1は、例えば、1台以上のコンピュータ装置により実現される。クレーム発生予測装置1をネットワークにより接続される複数のコンピュータ装置により実現する場合、クレーム発生予測装置1の各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。また、同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0019】
記憶部11は、施設データと、空調区分ごとのクレーム履歴データ及び予測用データとを記憶する。施設データは、施設2における空調区分と、各空調区分の説明と、各空調区分に属する制御対象機器4と、各制御対象機器4に割り当てられたセンサ5及び仮設センサ6の情報を含む。本実施形態では、空調区分は、施設2における階数と、その階数のフロアにおける空調ゾーンとにより表される。クレーム履歴データは、予測モデルの学習に用いられる。クレーム履歴データは、日時と、その日時における各計測データ及びクレーム数とを含む。クレーム数は、空調区分の居室内において発生したクレームの数である。クレームの種類が複数ある場合、記憶部11は、クレームの種類ごとに各空調区分のクレーム履歴データを記憶する。予測用データは、クレームの発生を予測するために用いられるデータである。予測用データは、直近の過去一定期間における日時と、その日時における各計測データを含む。
【0020】
さらに、記憶部11は、空調区分ごとの学習済みの予測モデルを記憶する。予測モデルの学習とは、予測モデルに用いられる決定変数の値を決定することである。以下では、決定変数をモデルパラメータと記載する。記憶部11が記憶する学習済みの予測モデルは、学習により決定されたモデルパラメータの値を用いた予測モデル全体のアルゴリズムである。学習部13及び予測部15において予測モデルのアルゴリズムが既知である場合、記憶部11は、学習済みの予測モデルとして、学習により決定されたモデルパラメータの値のみを記憶してもよい。クレームの種類が複数ある場合、記憶部11は、クレームの種類ごとに各空調区分の学習済みの予測モデルを記憶する。
【0021】
学習用データ受信部12は、学習用データとして、監視・制御システム3から各制御対象機器4又は各センサ5が計測した計測データを受信する。また、学習用データ受信部12は、学習用データとして、各仮設センサ6から計測データを受信する。計測データは、計測対象の種別と、計測された値とを含む。計測対象の種別は、例えば、SA温度、室温などである。計測データには、計測を行った制御対象機器4、センサ5、又は、仮設センサ6の識別情報と、計測した時刻とが付加される。さらに、学習用データ受信部12は、各空調区分において発生したクレームの種類と、クレームの発生時刻とを受信する。本実施形態では、クレームの種類を、「暑い」、「寒い」の2種類とする。学習用データ受信部12は、受信したこれらの情報に基づいて、各空調区分のクレームの種類ごとのクレーム履歴データを生成し、記憶部11に書き込む。なお、学習用データ受信部12は、外部の装置からクレーム履歴データを受信して記憶部11に書き込んでもよい。
【0022】
学習部13は、クレームの種類ごとに、記憶部11に記憶されているクレーム履歴データを用いて各空調区分の予測モデルを学習する。学習部13は、クレーム履歴データに設定されている過去の計測データを用いて予測モデルにより予測したクレームの発生有無が、その計測データが得られたときの実際のクレームの発生有無と一致する割合が高くなるように予測モデルを学習する。学習部13は、学習した予測モデルを記憶部11に書き込む。また、学習部13は、各予測モデルのモデルパラメータの値を表示部16に表示する。
【0023】
予測用データ受信部14は、監視・制御システム3から各制御対象機器4又は各センサ5の計測データを受信する。さらに、予測用データ受信部14は、各仮設センサ6から計測データを受信する。予測用データ受信部14は、受信したこれらの計測データに基づいて空調区分ごとの予測用データを生成し、記憶部11に書き込む。
【0024】
予測部15は、記憶部11に記憶されている予測モデルと、予測用データが示す過去一定期間の計測データとを用いて、空調区分ごとにクレーム発生の有無を予測する。予測部15は、予測モデルの評価指標に、クレームの発生有無を予測する対象の時間に応じたタイミングにおいて計測された計測値、又は、その計測値に所定の演算を行って得られた演算値を用いることにより、クレームの発生有無を予測する。予測部15は、予測結果を表示部16に表示する。
【0025】
表示部16は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部16は、画像表示装置をクレーム発生予測装置1に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部16は、データを表示するための映像信号を生成し、画像表示装置に映像信号を出力する。あるいは、表示部16は、ネットワークを介してクレーム発生予測装置1と接続されるコンピュータ端末にデータを表示するための映像信号を出力してもよい。
【0026】
続いて、クレーム発生予測装置1の動作を説明する。クレーム発生予測装置1の処理は、予測モデル学習時の処理とクレーム予測時の処理とに大別される。まず、予測モデル学習時の処理について説明する。
【0027】
予測モデル学習時の処理に用いられるクレーム履歴データについて説明する。
図4は、予測モデル学習用のクレーム履歴データの例を示す図である。記憶部11は、空調区分及びクレームの種類別に
図4に示すクレーム履歴データを記憶する。
図3に示すクレーム発生予測装置1の学習用データ受信部12には、監視・制御システム3又は仮設センサ6を介して、予測モデル学習用の過去の一定期間の計測データが入力される。学習用データ受信部12は、これら入力された計測データを用いて、クレーム履歴データを生成する。
【0028】
クレーム履歴データは、時系列データである。クレーム履歴データは、パラメータ学習に適した任意の期間分のレコードを保持する。期間は、例えば、過去1年分、3か月分、1か月分などである。クレーム履歴データの各レコードは、日時と、当該日時におけるクレーム有無と、当該日時における計測データとを含む。
図4における計測データは、空調機410のファン風量(風量)、冷暖モード(モード)、弁開度、SA温度、SA湿度及びCO
2濃度と、空調装置412-1~412-Nそれぞれの温度、湿度及び風量との計測値を含む。
図4では、空調装置412-n(nは1以上N以下の整数)を、空調装置(n)と表している。
【0029】
学習用データ受信部12は、いずれの制御対象機器4に関する計測データであるかを、計測データに付与されている制御対象機器4、センサ5、又は、仮設センサ6の識別情報に基づいて特定する。例えば、学習用データ受信部12は、識別情報がセンサ5又は仮設センサ6を表す場合、施設データを参照してその識別情報に対応する制御対象機器4を特定する。これにより、学習用データ受信部12は、例えば、センサ5-1が計測した温度を示す計測データを、空調装置412-1に対応する温度としてクレーム履歴データに設定する。
【0030】
なお、これらの計測データはあくまで一例であり、他の種類の計測データを用いて同等の推定が可能であれば、代替が可能である。例えば、ファン風量の場合、ファンINV(インバータ)出力や給気差圧など、ファン運転状態を推定するに足る他の計測値であれば、代替が可能である。
【0031】
また、
図4に示す履歴データは、1時間ごとのレコードを示しているが、例えば、30分ごとなど任意とすることができる。施設の利用者であるユーザは、設備運用者に空調環境が不快である旨を短い時間で繰り返し訴えることは少ない。ユーザは、空調環境が不快な状態がしばらく続いた場合に設備運用者にクレームを伝える。また、監視・制御システム3が制御対象機器4の制御値を変更してから空調環境が変化するまでには時間を要する。例えば、履歴データのレコードを1分間隔にすると、1時間で1回クレームがあった場合には、60個のレコードのうち1個のレコードのみにクレーム発生有りが設定され、残りの59個のレコードにはクレーム発生無しが設定される。このようなレコードは、実際のクレームの発生状況を良く表していない可能性がある。そのため、本実施形態では、クレームを集計する時間単位があまり短くなりすぎないようにしている。
【0032】
図5は、クレーム発生予測装置1の予測モデル学習処理を示すフロー図である。学習部13は、各空調区分及びクレームの種類ごとに、
図5に示す処理を行って予測モデルを学習する。予測モデルの学習とは、クレーム履歴データを用いて、事前に定義したモデル精度評価指標値を最良とするように、後述する
図6に示す予測モデルのパラメータを最適化することである。モデル精度評価指標値は、予測の精度を表す値である。
【0033】
まず、学習部13は、空調評価指標を一つ選択する(ステップS105)。空調評価指標はモデルパラメータの一つである。学習部13は、空調評価指標を除いて、予測モデルのモデルパラメータに初期値を設定する(ステップS110)。初期値は任意に決定することができる。
【0034】
学習部13は、現在のモデルパラメータの値を用いた予測モデルに、クレーム履歴データに設定されている計測データに基づく空調評価指標の値を入力したときのクレーム有無の推定結果を得る。学習部13は、クレーム履歴データに設定されている日時の範囲内で、推定対象の日時を所定時間間隔でずらしながら、この推定結果を算出する。学習部13は、得られた推定結果と、クレーム履歴データが示すクレームの有無とを用いてモデル精度評価指標値を算出することにより、モデル精度を評価する(ステップS115)。
【0035】
学習部13は、現在選択されている空調評価指標を用いたモデルパラメータの学習を終了したか否かを判定する(ステップS120)。例えば、モデルパラメータが数値を表す場合、学習に用いる値の範囲と、その範囲における変化の幅とを決めておく。また、モデルパラメータの値が複数の条件の中からの選択された条件を表す場合、とり得る条件を決めておく。学習部13は、各モデルパラメータがとり得る値の全ての組合せについて評価を終了した場合に学習を終了したと判定する。
【0036】
学習部13は、モデルパラメータの学習を終了していないと判定した場合(ステップS120:NO)、空調評価指標以外のモデルパラメータの値を変更し(ステップS125)、ステップS115の処理に戻る。そして、学習部13は、モデルパラメータの学習を終了したと判定した場合(ステップS120:YES)、ステップS130の処理に進む。学習部13は、最もモデル精度が高かったときのモデルパラメータの値を選択する(ステップS130)。
【0037】
学習部13は、まだ選択していない空調評価指標があるか否かを判定する(ステップS135)。学習部13は、まだ選択していない空調評価指標があると判定した場合(ステップS135:YES)、ステップS105の処理に戻る。そして、学習部13は、全ての空調評価指標を選択したと判定した場合(ステップS135:NO)、ステップS140の処理に進む。学習部13は、各空調評価指標について学習した予測モデルのうち、ステップS115において算出したモデル精度評価指標値に基づいて、最も評価が良い学習モデルを選択する(ステップS140)。学習部13は、空調区分と、クレームの種類と、選択した予測モデルの各モデルパラメータの値と、モデル精度評価指標値とを対応付けて記憶部11に書き込む(ステップS145)。学習部13は、学習結果を表示部16に表示してもよい。
【0038】
続いて、予測モデルについて説明する。
図6は、本実施形態における予測モデルを示す図である。
図6に示す予測モデルのモデルパラメータは、空調評価指標、X1~X4、及び、クレーム出力条件である。モデルパラメータは、学習処理により値を最適化する対象のパラメータである。学習時は、
図5のステップS105において選択された空調評価指標の種類ごとに、X1~X4、及び、クレーム出力条件を最適化する。
【0039】
予測部15は、空調稼働時の計測データを参照して予測モデルを実行する。そのため、モデルパラメータ学習時においても、空調が非稼働の時間は予測及び評価の対象から除外される。そこで、予測モデルは、最初に、処理対象の日時が非稼働の時間帯に含まれるか否かの判定を行う(ステップS1105)。この判定は、事前に曜日や時間帯ごとに定義した半固定的な設定値に基づき行われてもよい。あるいは、この判定は、予め決められた種類の計測データに基づいて、空調が稼働しているか非稼働であるかを推定することによって行われてもよい。この計測データは、学習処理の実行時はクレーム履歴データから、クレーム予測処理の実行時は予測用データから読み出される。例えば、
図4に示すクレーム履歴データの場合、空調機410のファン風量を用いて推定を行うことができる。なお、ステップS1105の処理を予測モデルに含まず、学習部13及び予測部15が予測モデルを実行する前に行う処理としてもよい。
【0040】
予測モデルは、VAV等の空調装置412ごとに、クレームリスクを個別に判定する。具体的には、予測モデルは、nを1からNまで1ずつ増加させ、空調装置412-nのクレームリスクを判定する。クレームリスクの判定は、ステップS1110の判定と、ステップS1115の判定により行われる。予測モデルは、ステップS1110の処理において、空調装置412-nの空調評価指標がX1以上であるか否か、又は、X1以下であるか否かを判定する(ステップS1110)。予測モデルは、ステップS1110の判定がYESであった場合に、さらに、ステップS1115の処理において、空調装置412-nの空調評価指標がX1以上である状態、又は、X1以下である状態が、X2時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS1115)。予測モデルは、ステップS1110の判定及びステップS1115の判定がYESの場合、空調装置412-nはクレームリスク有りと判定する(ステップS1120)。一方、予測モデルは、ステップS1110又はステップS1115の判定がNOの場合、空調装置412-nはクレームリスク無しと判定する(ステップS1125)。
【0041】
続いて、予測モデルは、クレーム出力条件により分岐する(ステップS1130)。予測モデルは、クレーム出力条件が「空調装置台数」の場合、ステップS1110からステップS1125のループ処理においてクレームリスク有りと判定された空調装置412の台数がX3台以上か否かを判定する(ステップS1135)。予測モデルは、クレームリスク有りと判定された空調装置412がX3台以上の場合(ステップS1135:YES)、最終的に空調クレームが発生する恐れがある、すなわち、クレーム予測有りと判定する(ステップS1140)。予測モデルは、クレームリスク有りと判定された空調装置412がX3台未満の場合(ステップS1135:NO)、空調クレームが発生する恐れなし、すなわち、クレーム予測無しと判定する(ステップS1145)。
【0042】
一方、予測モデルは、クレーム出力条件が「空調装置パターン」の場合、ステップS1110からステップS1125のループ処理においてクレームリスク有りと判定された空調装置412のパターンがX4か否かを判定する(ステップS1150)。予測モデルは、パターンがX4の場合(ステップS1150:YES)、最終的に空調クレームが発生する恐れがあると判定する(ステップS1155)。予測モデルは、パターンがX4ではない場合(ステップS1150:NO)、空調クレームが発生する恐れがないと判定する(ステップS1160)。
【0043】
なお、空調装置412のパターンは、空調装置412-1~412-Nのそれぞれに対応するN個の要素からなるベクトルで表される。412-nのクレームリスクが有りの場合は要素の値は「1」、クレームリスクが無しの場合は要素の値は「0」である。例えば、空調装置412が5台(N=5)である場合、空調装置パターンは、2値のバイナリ値を要素に持つ全25=32パターンのベクトルである。空調装置412-1及び412-3がクレームリスク有りと判定された場合、空調装置パターンは[1,0,1,0,0]となる。
【0044】
続いて、空調評価指標について説明する。空調評価指標は、クレーム予測有無を判定する対象とする空調装置412の空調所掌範囲内にある空調状態を表す。空調評価指標は、監視・制御システム3を介して取得した計測値又は仮設センサ6から取得した計測値、あるいは、それらのうち1以上の計測値に基づく演算値である。空調評価指標には、例えば、室内温度、室内湿度、室内エンタルピ、快適性指標、補正室内温度、補正室内エンタルピ、補正快適性指標などが用いられる。
【0045】
快適性指標は、人体の温熱感を表す公知の指標である。快適性指標として、例えば、PMV(predicted mean vote:予測平均温冷感申告)を用いることができる。快適性指標は、室内温度及び室内湿度を用いて算出される。室内エンタルピは、室内温度及び室内湿度に基づいて得られる。補正室内温度は、給気口付近の室内温度を模擬した物理量である。補正室内温度は、空調装置412の空調所掌範囲内にある室内温度計測値及び給気温度計測値を用いて計算される。具体的には、補正室内温度は、以下の式(1)により算出される。
【0046】
T’=(TSA-T)×(F/FMAX)+T …(1)
【0047】
式(1)において、T’は補正室内温度(℃)であり、TSAは給気温度(℃)であり、FMAXは空調装置の定格風量(m3/h)であり、Fは空調装置412の計測風量(m3/h)であり、Tは室内温度(℃DB)である。
【0048】
室内空気のエンタルピや上記の快適性指標の計算には、温度計測値が用いられるのが一般的である。補正室内エンタルピ及び補正快適性指標はそれぞれ、温度計測値に代えて、上記の式(1)により算出された補正室内温度T’を用いて計算された室内エンタルピ及び快適性指標値である。
【0049】
なお、
図6に示す予測モデルは、ステップS1110において、上記の空調評価指標値がX1以上であるか否か、又は、X1以下であるか否かを判定する。この「以上」を用いるか、「以下」を用いるか切り分けは予測対象のクレームの種類によって行う。すなわち、予測対象のクレームの種類が「暑い」であれば「以上」が選択され、種類が「寒い」であれば「以下」が選択される。
【0050】
次に、
図5のステップS130における予測モデルの精度の評価に用いるモデル精度評価指標について説明する。学習部13は、
図4に示した過去一定期間のデータ、及び、上述の空調評価指標を用いて、事前に定義したモデル精度評価指標値を最良とするように予測モデルのパラメータを最適化する。モデル精度評価指標には、例えば、スレットスコアや、スレットスコアに類似の他の指標を用いることができる。スレットスコアは、稀な事象の発生有無を予測する際の性能評価指標である。スレットスコアは、以下の式(2)により計算される。
【0051】
TS=TP/(TP+FP+FN) …(2)
【0052】
式(2)において、TSはスレットスコアであり、TPは稀な事象を的中した正解回数(回/評価期間)であり、FPは空振り回数(回/評価期間)であり、FNは見逃し回数(回/評価期間)である。具体的には、TPは、評価期間内において、予測モデルを用いたクレーム予測の結果も、クレーム履歴データが示す実績もクレーム有りであった回数である。FPは、評価期間内において、予測モデルを用いたクレーム予測の結果はクレーム有り、クレーム履歴データが示す実績はクレーム無しであった回数である。FNは、評価期間内において、予測モデルを用いたクレーム予測の結果はクレーム無し、クレーム履歴データが示す実績はクレーム有りであった回数である。
【0053】
図7は、上記の処理による学習結果の例を示す図である。
図7は、施設2においてクレーム件数が多い5階及び22階の空調ゾーンごとに、クレームの種類「暑い」について予測モデルのモデルパラメータを学習した結果を示す。空調区分は、フロアの階数と、ゾーンとの組合せで特定される。例えば、最下段の22階のCゾーンでは、空調評価指標は「室温」、閾値X1は「27」℃以上、継続時間X2は「0」時間(h)、クレーム出力条件は「空調装置台数」であり、その閾値X3は「5」台以上とした予測モデルが、スレットスコア「0.51」で最良であったことを示す。なお、継続時間X2が「0」時間とは、予測時点の瞬時値のみを採用することを意味する。
図7に示す学習結果は、最良のスレットスコアが算出されときの正解回数、空振り回数、及び、見逃し回数も含んでいる。
【0054】
図8は、予測モデルの学習後に表示される画面例を示す図である。
図8は、上述した22階のCゾーンの対象クレーム「暑い」について導出された最適な予測モデルの各モデルパラメータの値と、その予測モデルのスレットスコア、正解回数、空振り回数、及び、見逃し回数などを表示した一例である。
【0055】
次に、クレーム発生予測装置1のクレーム予測時の処理について説明する。
クレーム発生予測装置1の予測用データ受信部14は、監視・制御システム3及び仮設センサ6からリアルタイムで計測データを受信する。予測用データ受信部14は、受信した計測データを用いて予測用データを生成し、記憶部11に書き込む。予測用データは、
図4に示すクレーム履歴データからクレームの有無の情報を除いたデータ構造である。予測用データにおいて隣接するレコード間の日時の差分は、クレーム予測周期と同じか、クレーム予測周期よりも短い時間とする。
【0056】
図9は、クレーム発生予測装置1のクレーム予測処理を示すフロー図である。予測部15は、各空調区分及びクレームの種類ごとに、
図9に示す処理を所定の予測周期で実行する。予測周期は、30分、1時間などであるが、1分、10分などでもよい。なお、オペレータの入力に従って予測対象の空調区分及びクレームの種類を選択してもよい。
【0057】
予測部15は、予測対象の空調区分及びクレームの種類について学習した予測モデルを記憶部11から読み出す(ステップS205)。さらに、予測部15は、予測対象の空調区分の予測用データを記憶部11から読み出す(ステップS210)。予測用データは、クレームの発生の有無を予測する対象の時間に応じたタイミングの計測データを含む。ここでは、クレームの発生の有無を予測する対象の時間が現在時刻であるので、現在から所定時間前まで遡った期間に得られた計測データを含む予測用データが読み出される。また、予測用データは、少なくとも、モデルパラメータのX2が示す継続時間における空調評価指標の値を取得可能な期間の計測データを含む。予測部15は、ステップS210において読み出した予測用データに設定されている計測データに基づいて空調評価指標の値を得る。予測部15は、得られた空調評価指標の値をステップS205において読み出した予測モデルに用いて、現時点における空調クレームの発生有無の予測結果を得る(ステップS215)。予測部15は、予測結果を表示部16に出力する(ステップS220)。
【0058】
図10及び
図11は、クレーム予測後に表示部16に表示される画面例を示す図である。
図10は、クレームが発生する恐れがない(クレーム予測無し)と予測された場合の画面例である。一方、
図11は、クレームが発生する恐れがある(クレーム予測有り)と予測された場合の画面例である。
図11に示すように、クレームが発生する恐れがあると予測された場合には、予測部15は、画面に、クレームが発生する恐れがあると予測されたクレームの種類(対象クレーム)と、空調区分(場所)と、予測に用いた予測モデルのモデルパラメータの値とを表示する。設備運用者は、画面に表示されたモデルパラメータの値が示すクレーム発生条件の少なくともいずれかの成立を回避するように、空調の運用を変更する。これにより、未然に空調クレームの発生を回避できる。
【0059】
本実施形態のクレーム発生予測装置1によれば、クレームの発生と室内空調環境を表す計測点の位置的な対応関係が不明の場合でも、クレームの発生を的確に予測することが可能となる。
【0060】
(第2の実施形態)
本実施形態では、予測モデルに、空調装置の制御能力の余裕の有無の判定を追加する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。本実施形態のクレーム発生予測装置の構成は、
図3に示す第1の実施形態のクレーム発生予測装置1と同様である。また、本実施形態のクレーム発生予測装置1が実行する予測モデル学習処理及びクレーム予測処理は、
図5に示す第1の実施形態の予測モデル学習処理及び
図9に示す第1の実施形態のクレーム予測処理と同様である。
【0061】
図12は、本実施形態における予測モデルを示す図である。
図12に示す予測モデルにおいて、
図6に示す第1の実施形態の予測モデルと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を割愛する。ここでは、第1の実施形態の予測モデルとの差分についてのみ述べる。本実施形態の予測モデルは、ステップS1120の後に、「制御能力の余裕の有無」の判定処理をアルゴリズムに追加している(ステップS1205)。この判定は、例えば、判定対象として選択されている空調装置412-nの風量が、その空調装置412-nの定格風量に達しているか否かによって行う。空調装置412-nの風量は、学習処理の実行時はクレーム履歴データ(
図4)から、クレーム予測処理の実行時は予測用データから得られる。また、各空調装置412-nの定格風量は、例えば、施設データに設定しておく。また、過去の学習用データが1年間などの長期間などのものであれば、その期間における空調装置412-nの風量の最大値との比較により判定を行ってもよい。
【0062】
空調装置412-nの風量が定格風量に達していなければ、空調装置412-nの制御能力に余裕があるとみなすことができる(ステップS1205:YES)。この場合、空調装置412-nの制御動作により、空調環境が改善傾向に転じる可能性があるため、空調装置のクレームリスク無しと判定される(ステップS1120)。一方、空調装置412-nの風量が定格風量に達していれば、空調装置412-nの制御能力に余裕がないとみなすことができる(ステップS1205:NO)。この場合、空調装置412-nの制御動作による空調環境の改善は見込めないため、空調装置のクレームリスク有りと判定される(ステップS1125)。
【0063】
図13は、本実施形態のクレーム発生予測装置1において、予測モデル学習後に表示される画面例を示す図である。上述したように、本実施形態のクレーム発生予測装置1は、空調装置412のクレームリスクの判定ロジックに、「制御能力の余裕の有無」の判定を追加している。この追加により、クレームリスク有りと判定される条件がより厳しくなる。従って、クレーム予測の空振り数が減少する。空振り数の減少により、結果的に空調クレーム発生の予測精度を向上できる見込みがある。
【0064】
(第3の実施形態)
本実施形態では、予測モデルに、空調負荷が増加傾向にあるか否かの判定を追加する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。本実施形態のクレーム発生予測装置の構成は、
図3に示す第1の実施形態のクレーム発生予測装置1と同様である。また、本実施形態のクレーム発生予測装置1が実行する予測モデル学習処理及びクレーム予測処理は、
図5に示す第1の実施形態の予測モデル学習処理及び
図9に示す第1の実施形態のクレーム予測処理と同様である。
【0065】
図14は、本実施形態における予測モデルを示す図である。
図14に示す予測モデルにおいて、
図6に示す第1の実施形態の予測モデルと同一の処理には同一の符号を付し、その説明を割愛する。ここでは、第1の実施形態の予測モデルとの差分についてのみ述べる。本実施形態における予測モデルは、ステップS1120の後に、判定対象として選択されている空調装置412-nの所掌範囲内において、「空調負荷が増加傾向にあるか?」の判定処理をアルゴリズムに追加している(ステップS1305)。この判定は、例えば、判定対象の空調装置412-nの風量(又は、VAV開度などでもよい)が、直近数時間で増加傾向か否かにより判定してもよく、直近数日前のデータを参照して、以降の時刻で当該計測量が増加傾向か否かを推定し、この推定結果に基づき判定してもよい。空調装置412-nの風量(又は、VAV開度)は、学習処理の実行時はクレーム履歴データ(
図4)から、クレーム予測処理の実行時は予測用データから得られる。また、空調装置412-n単体ではなく、当該空調装置412-nが接続される空調機410単位で上記と同等の判定をしてもよく、日射量理論値の増減傾向から判断してもよい。
【0066】
空調負荷が増加傾向にあれば(ステップS1305:YES)、空調環境はさらに悪化する可能性が高いと見込まれる。よって、空調クレームのリスク有りと判定される(ステップS1120)。一方、空調負荷が減少傾向にあれば(ステップS1305:NO)、空調環境は改善する可能性が高いと見込まれる。よって、空調クレームのリスク無しと判定される(ステップS1125)。
【0067】
本実施形態のクレーム発生予測装置1は、空調装置412のクレームリスクの判定ロジックに、「空調負荷が増加傾向にあるか?」を追加している。この追加により、クレームリスク有りと判定される条件がより厳しくなる。従って、クレーム予測の空振り数が減少する。空振り数の減少により、結果的に空調クレーム発生の予測精度を向上できる見込みがある。
【0068】
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、同一の空調区分に設置されている全ての空調装置に一つの予測モデルを用いていた。本実施形態では、同一の空調区分に設置されている空調装置を、空調機の単位や設置場所の単位でグループに分け、各グループ単位で異なる予測モデルを用いる。このように、一つの予測モデルを適用する空調装置の単位を、クレーム発生の集計単位である空調区分よりも小さくする。そして、空調機単位の予測モデルを用いて予測されたクレームリスクの有無を空調区分単位で集計し、複合的な条件によってクレーム発生の予測を行う。本実施形態では、1つの空調区分に、インテリア用の空調機と、ペリメータ用の空調機が用いられる場合を例に、第1の実施形態との差分を説明する。
【0069】
図15は、空調装置412の分類を示す図である。
図15は、施設2のあるフロアを上から見たときの空調装置412の配置を示す。同図では、空調区分Aに設置されている空調装置412の配置のみを示している。施設2の外壁に近い部分はペリメータである。ペリメータは、日射や外気温度などの外界の状態の影響を受けやすい。施設2のペリメータよりも建物の中心に近い部分はインテリアである。インテリアは、外界の状態の影響を受けにくい。インテリアに設置されているN台の空調装置412を空調装置412a-1~412a-Nと記載し、ペリメータに設置されているM台の空調装置412を空調装置412b-1~412b-Mと記載する。空調区分Aでは、N=2、M=4である。また、空調装置412a-1~412a-Nを総称して空調装置412aと記載し、空調装置412b-1~412b-Mを総称して空調装置412bと記載する。空調装置412aは、インテリア用の空調機410と接続され、空調装置412bは、ペリメータ用の空調機410と接続される。なお、空調装置412a及び空調装置412bが同じ空調機410と接続されてもいてもよい。空調装置412bは、空調装置412aよりも設置密度が高いことがある。
【0070】
施設データには、各空調装置412が空調装置412aと空調装置412bのいずれであるか、インテリア用とペリメータ用のいずれの空調機410と接続されているか、あるいは、インテリアとペリメータのいずれに設置されているかの情報が含まれる。学習部13及び予測部15は、施設データを参照して、各空調装置412が空調装置412aであるか空調装置412bであるかを判断し、グループに分割する。
【0071】
図16は、本実施形態の予測モデルを示す図である。モデルパラメータは、空調評価指標、閾値X1a、閾値X3a、閾値X1b、閾値X3b及び複合条件である。
図16は、空調評価指標として室温を用いる場合の例を示している。複合条件は、AND条件又はOR条件である。
【0072】
予測モデルは、最初に、
図6に示す第1の実施形態のステップS1105の処理と同様に、処理対象の日時が非稼働の時間帯に含まれるか否かの判定を行う(ステップS1405)。ステップS1405の処理を予測モデルに含まず、学習部13及び予測部15が予測モデルを実行する前に行う処理としてもよい。
【0073】
予測モデルは、インテリアの空調装置412aについては、ステップS1410a~ステップS1435aの処理を行い、ペリメータの空調装置412bについては、ステップS1410b~ステップS1435bの処理を行う。
【0074】
具体的には、予測モデルは、nを1からNまで1ずつ増加させてステップS1410a~S1420aの処理を行い、空調装置412a-nのクレームリスクを判定する。予測モデルは、ステップS1410aの処理において、空調装置412a-nの室温がX1a℃以上であるか否かを判定する(ステップS1410a)。予測モデルは、ステップS1410aの判定がYESの場合、空調装置412a-nはクレームリスク有りと判定し(ステップS1415a)、NOの場合、空調装置412a-nはクレームリスク無しと判定する(ステップS1420a)。
【0075】
予測モデルは、ステップS1410a~ステップS1420aのループ処理においてクレームリスク有りと判定された空調装置412aの台数がX3a台以上か否かを判定する(ステップS1425a)。予測モデルは、ステップS1425aの判定結果がYESの場合、インテリアクレームリスク有りと判定し(ステップS1430a)、NOの場合、インテリアクレームリスク無しと判定する(ステップS1435a)。
【0076】
同様に、予測モデルは、mを1からMまで1ずつ増加させてステップS1410b~S1420bの処理を行い、空調装置412b-mのクレームリスクを判定する。予測モデルは、ステップS1410bの処理において、空調装置412b-mの室温がX1b以上であるか否かを判定する(ステップS1410b)。予測モデルは、ステップS1410bの判定がYESの場合、空調装置412b-mはクレームリスク有りと判定し(ステップS1415b)、NOの場合、空調装置412b-mはクレームリスク無しと判定する(ステップS1420b)。
【0077】
予測モデルは、ステップS1410b~ステップS1420bのループ処理においてクレームリスク有りと判定された空調装置412bの台数がX3b台以上か否かを判定する(ステップS1425b)。予測モデルは、ステップS1425bの判定結果がYESの場合、ペリメータクレームリスク有りと判定し(ステップS1430b)、NOの場合、ペリメータリスク無しと判定する(ステップS1435b)。
【0078】
予測モデルは、ステップS1430a、S1435a、S1430b、S1435bの判定結果を複合条件に従って集計し、クレームリスクの有無を判定する(ステップS1440)。予測モデルは、複合条件がAND条件である場合、インテリア及びペリメータの双方でクレームリスク有りの場合に空調区分のクレーム有りと予測し、インテリアとペリメータの少なくとも一方でクレームリスク無しの場合に、空調区分のクレーム無しと予測する。予測モデルは、複合条件がOR条件である場合、インテリアとペリメータと少なくとも一方でクレームリスク有りの場合に空調区分のクレーム有りと予測し、インテリア及びペリメータの双方でクレームリスク無しの場合に空調区分のクレーム無しと予測する。
【0079】
なお、
図16におけるステップS1410a~ステップS1435aと、ステップS1410b~ステップS1435bとに、第1~第3の実施形態におけるステップS1105の処理以降の予測モデルを用いてもよい。本実施形態の予測モデルは、単一の空調区分に設置された複数の空調装置を各空調装置が設置されている条件に応じて複数のグループに分割したときに、グループごとに予測モデルを適用して得られたクレームの発生の有無の予測結果を統合して、空調区分におけるクレームの発生の有無を予測する複合予測モデルとみなすことができる。
【0080】
本実施形態によれば、同じ空調区分であっても空調機別又は設置場所別にモデルパラメータを変えることにより、精度良くクレーム発生を予測することができる。
【0081】
なお、クレーム発生予測装置1を、学習用データ受信部12及び学習部13を有する予測モデル学習装置と、予測用データ受信部14及び予測部15を有する予測モデル実行装置とにより構成してもよい。予測モデル学習装置は、複数の施設2それぞれが用いる予測モデル実行装置と接続されてもよい。この場合、クレーム発生予測装置1は、施設2ごとに記憶部11を設ける。予測モデル実行装置は、当該装置を用いる施設2に対応した記憶部11にアクセス可能とする。予測モデル学習装置と予測モデル実行装置とに接続される記憶装置が記憶部11を有してもよく、予測モデル学習装置と予測モデル実行装置の一方又は両方が記憶部11を有してもよい。予測モデル学習装置及び予測モデル実行装置の両方が記憶部11を有する場合、予測モデル学習装置が備える記憶部11にクレーム履歴データ及び施設データを記憶し、予測モデル実行装置が備える記憶部11に予測用データ及び施設データを記憶してもよい。予測モデル学習装置の学習部13は、ある施設2について学習した予測モデルをその施設2が用いる予測モデル実行装置に出力し、予測モデル実行装置の記憶部11は、予測モデル学習装置が学習した予測モデルを記憶する。また、予測モデル学習装置と予測モデル実行装置の一方又は両方が表示部16を有してもよい。
【0082】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、学習部13を持つことにより、空調区分において発生したクレームが、その空調区分におけるいずれの計測点で計測された室内環境と関連しているのかが明確ではない場合でも、計測された室内環境に基づくクレームの発生を精度良く予測可能とすることができる。また、以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、予測部15を持つことにより、学習部13が学習した予測モデルを用いてクレームの発生を予測し、クレーム発生が予測された要因となる条件を提示することができる。よって、設備運用者は、クレームが発生しないように空調の運用を変更することができる。
【0083】
上述した実施形態におけるクレーム発生予測装置1の一部又は全ての機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、クレーム発生予測装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるものであってもよい。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
1…クレーム発生予測装置、2…施設、3…監視・制御システム、4…制御対象機器、5,5-1,5-2…センサ、6,6-1,6-2…仮設センサ、11…記憶部、12…学習用データ受信部、13…学習部、14…予測用データ受信部、15…予測部、16…表示部、410…空調機、411…弁、412-1,412-2,412a-1,412a-2,412b-1,412b-2,412b-3,412b-4…空調装置