(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜の再利用方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20220905BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20220905BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20220905BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20220905BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C03C27/12 Z ZAB
B29B17/02
B32B7/06
B32B17/10
B32B27/00 L
C03C27/12 D
C03C27/12 F
(21)【出願番号】P 2019523993
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2018022076
(87)【国際公開番号】W WO2018225860
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2017113557
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512192277
【氏名又は名称】クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp-Reis-Strasse 4, D-65795 Hattersheim am Main, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】平原 正彬
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆行
(72)【発明者】
【氏名】植田 達也
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-29083(JP,A)
【文献】特開昭55-21280(JP,A)
【文献】特開平11-277537(JP,A)
【文献】特開平11-48248(JP,A)
【文献】特開2014-226935(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C27/12
B29B17/00-17/04
B32B17/10
B32B27/00-27/42
B09B1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する工程を含む、合わせガラス用中間膜の再利用方法
であって、前記工程はA層および/またはB層を切削する方法により行う、合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項2】
前記工程で分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を少なくとも原料として合わせガラス用中間膜(2)を製造する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項3】
合わせガラス用中間膜(1)がA層とA層の両面に積層されたB層とからなる、請求項1
または2に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項4】
A層および/またはB層がポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1~
3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項5】
A層およびB層がポリビニルアセタール樹脂を含有する、請求項1~
4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項6】
A層およびB層がさらに可塑剤を含有する、請求項
5に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項7】
A層が熱可塑性エラストマーを含有し、B層がアイオノマー樹脂を含有する、請求項1~
4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法。
【請求項8】
少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを切削により分離する工程、
前記工程で分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を原料の少なくとも一部として用いて合わせガラス用中間膜(2)を製造する工程、および
少なくとも2枚のガラスの間に合わせガラス用中間膜(2)を配置してラミネートまたは圧着する工程
を含む、合わせガラス
の製造方法。
【請求項9】
少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを
切削により分離する工程を含み、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を原料として用い、原料として使用される合わせガラス用中間膜(1)由来の樹脂組成物の割合が0.1%以上である、合わせガラス用中間膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス用中間膜の再利用方法、合わせガラス用中間膜の再利用方法により得られた合わせガラス用中間膜、前記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラス、および合わせガラス用中間膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール樹脂および可塑剤からなる組成物、あるいはアイオノマー樹脂からなる組成物を成形して得られるシートは、ガラスとの接着性や透明性、また、力学強度に優れることから合わせガラス用中間膜として広範に利用されている(以下、合わせガラス用中間膜を単に「中間膜」と称することがある)。
【0003】
近年、エコロジー性とエコノミー性の観点から、中間膜や合わせガラスの製造工程で発生するトリムやオフスペック品を再利用し、中間膜を得ることが提案されている。例えば特許文献1には、ポリビニルアセタール樹脂とそれとは異なる樹脂成分および共重合体を含み、再混練した後のヘイズが低い合わせガラス用中間膜が記載されている。特許文献2には、特定構造を有するポリビニルアセタールおよび特定量の可塑剤を含有し、模擬リサイクル試験後のヘイズが低い積層体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-069279号公報
【文献】特開2014-226935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された合わせガラス用中間膜や、特許文献2に記載された積層体は、再利用後のヘイズが十分に低いとは言い難く、例えば自動車用フロントガラスのように非常に高い透明性が要求される場合においては、更なる改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、合わせガラス用中間膜を再利用して新たな合わせガラス用中間膜を製造した際に、ヘイズが十分に低く透明度が十分に高い合わせガラス用中間膜を得ることが可能な、合わせガラス用中間膜の再利用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
[1]少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する工程を含む、合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[2]前記工程で分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を少なくとも原料として合わせガラス用中間膜(2)を製造する、[1]に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[3]前記工程はA層とB層の界面を剥離する方法により行う、[1]または[2]に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[4]前記工程はA層および/またはB層を切削する方法により行う、[1]または[2]に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[5]合わせガラス用中間膜(1)がA層とA層の両面に積層されたB層とからなる、[1]~[3]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[6]A層および/またはB層がポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[7]A層およびB層がポリビニルアセタール樹脂を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[8]A層およびB層がさらに可塑剤を含有する、[7]に記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[9]A層が熱可塑性エラストマーを含有し、B層がアイオノマー樹脂を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法;
[10][1]~[9]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の再利用方法により得られた合わせガラス用中間膜;
[11][10]に記載の合わせガラス用中間膜が、少なくとも2枚のガラスの間に配置されてなる合わせガラス;
[12]少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する工程を含み、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を原料として用いる、合わせガラス用中間膜の製造方法;
を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合わせガラス用中間膜を再利用して新たな合わせガラス用中間膜を製造した際に、ヘイズが十分に低く透明度が十分に高い合わせガラス用中間膜を得ることが可能な、合わせガラス用中間膜の再利用方法を提供できる。また、前記再利用方法により得られる合わせガラス用中間膜および該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラス、さらに合わせガラス用中間膜の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】B層/A層/B層の3層構成を有する合わせガラス用中間膜(1)の最下層をスライサーで切削している様子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は本実施形態に限定されない。
【0011】
(合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する方法)
合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する方法は特に限定されず、例えば、A層とB層の界面を剥離する方法、A層および/またはB層を切削する方法、A層および/またはB層を研磨する方法、A層および/またはB層を溶解する方法が挙げられる。これらの方法を行うための装置は特に限定されず、従来公知のものを使用できる。また、A層とB層の界面を剥離する方法は、装置を使用せず手で剥離することにより実施することも可能である。合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する方法そのものは、本発明の合わせガラス用中間膜の再利用方法以外の用途として、種々の応用が可能である。例えば、当該方法を用いて、合わせガラス用中間膜の厚みを調整したり、合わせガラス用中間膜(1)から合わせガラス用中間膜以外の成形体を製造したり、合わせガラス用中間膜(1)から分離したA層および/またはB層を少なくとも原料として合わせガラス用中間膜以外の成形体に再利用したりできる。
【0012】
A層および/またはB層を切削する方法としては、特に限定されることなく、例えば、ナイフ加工法、レーザー加工法、ウォータージェット法等が挙げられる。中でも切削されたシートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。ナイフ加工法で合わせガラス用中間膜(1)を切削する際の器具としては、スリットを有する平滑な盤面と、このスリットより突出した刃とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。上記のスライス部材を用いる場合、盤面からの刃の突出高さ(盤面から刃の頂部までの距離)は0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましい。ナイフ加工法にて用いるナイフの形状は片刃、両刃、非対称刃いずれでもよいが、厚み精度を出しやすい観点から片刃が好ましい。合わせガラス用中間膜(1)を盤面に対して力を掛けながら切削することにより、切削盤面からの刃の突出高さよりも大きな厚みを有するA層および/またはB層を分離できる。ナイフ加工法にて用いるナイフの材質は、特に限定されることなく、例えば、超硬合金、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼等が挙げられる。ナイフ加工法で合わせガラス用中間膜(1)を切削する際の合わせガラス用中間膜(1)の表面温度は、刃への合わせガラス用中間膜(1)の付着を抑制し切削を容易にする観点から、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましい。
【0013】
合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離した後の各層の状態は特に限定されず、例えばA層を含む層とB層とに分離されていてもよく、A層とB層を含む層とに分離されていてもよく、A層とB層とそれ以外の層とに分離されていてもよく、合わせガラス用中間膜(1)を構成する全ての層が分離されていてもよい。すなわち、例えば合わせガラス用中間膜(1)がB層/A層/B層という3層構成を有する場合、B層とA層/B層とに分離して再利用してもよく、ここで得られたA層/B層をさらにA層とB層とに分離して再利用してもよい。
【0014】
合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離することにより得られるA層を含む層およびB層を含む層は、それぞれA層を主成分とする層およびB層を主成分とする層であることが好ましい。本明細書において「A層を主成分とする層」とは、A層の含有量が60質量%以上(好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%)である層を意味する。また、「B層を主成分とする層」とは、B層の含有量が60質量%以上(好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%)である層を意味する。合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離して得られる各層が上記の態様であるとき、得られる合わせガラス用中間膜(2)が透明性に優れる傾向にあり、本発明の合わせガラス用中間膜の再利用方法はより有用な方法となる。
【0015】
合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離することにより得られるA層を含む層およびB層を含む層の内、合わせガラス用中間膜(2)の製造に用いられる割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。当該割合が高いことにより、再利用の効率が高いと言える。
【0016】
(合わせガラス用中間膜(1))
合わせガラス用中間膜(1)における積層構成は、合わせガラスの用途や目的によって適宜決定すればよく、例えば、B層/A層という2層構成、B層/A層/B層という3層構成の他、B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層/A層/B層、B層/A層/B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層/A層/B層/A層/B層などの積層構成であってもよい。中でも、合わせガラス用中間膜(1)は、A層と、A層の両面に積層されたB層からなる構成が好ましい。これらの構成において、A層および/またはB層がそれぞれ2層以上含まれる場合、各A層、各B層を構成する成分は互いに同じであっても異なっていてもよい。ガラスへの接着性の観点から、最外層の両方がB層であることが好ましい。
【0017】
また、合わせガラス用中間膜(1)は、A層およびB層以外の層(C層とする)を1層以上含んでいてもよく、例えば、B層/A層/C層/B層、B層/A層/B層/C層、B層/C層/A層/C層/B層、B層/C層/A層/B層/C層、B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/A層/B層/C層、C層/B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/C層/A層/C層/B層/C層などの積層構成でも構わない。また上記積層構成において、A層が2層以上含まれる場合、各A層を構成する成分は互いに同じであっても異なっていてもよい。B層、C層についても同様である。ガラスへの接着性の観点から、最外層の両方がB層であることが好ましい。
【0018】
本発明において、合わせガラス用中間膜(1)が有するA層および/またはB層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。中でも、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。中でも、A層およびB層がポリビニルアセタール樹脂を含有する態様、およびA層が熱可塑性エラストマーを含有し、B層がアイオノマー樹脂を含有する態様が特に好ましく、このとき得られる合わせガラス(2)は透明性、遮音性、力学物性、および耐久性等に優れる。
【0019】
合わせガラス用中間膜(1)において、A層および/またはB層がポリビニルアセタール樹脂を含有する場合、A層を含む層とB層を含む層とを分離する方法としては、A層を主成分とする層におけるA層の含有量を高くする観点から、A層および/またはB層を切削する方法が好ましい。
【0020】
(ポリビニルアセタール樹脂)
本発明において、ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度は、40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度は、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがさらに好ましい。上記平均アセタール化度が40モル%以上であると可塑剤などの溶剤との相溶性に優れる傾向にある。上記平均アセタール化度が90モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を得るための反応に長時間を要さないため、プロセス上好ましい傾向にある。
【0021】
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位の平均含有量は30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。ビニルアセテート単位の平均含有量が30モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の製造時にブロッキングが起きにくく、製造しやすい。上記ビニルアセテート単位の平均含有量の下限値は特に限定されないが、通常0.1モル%以上である。
【0022】
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の平均含有量は、5モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましい。ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の平均含有量は、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。ビニルアルコール単位の平均含有量が5モル%以上であると、ガラスとの接着性が優れる傾向にある。ビニルアルコール単位の平均含有量が50モル%以下であると、耐水性が優れる傾向にある。
【0023】
ポリビニルアセタール樹脂は、通常、ビニルアセタール単位、ビニルアルコール単位およびビニルアセテート単位から構成されており、これらの各単位量は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」や核磁気共鳴法(NMR)によって測定できる。
【0024】
ポリビニルアセタール樹脂がビニルアセタール単位以外の単位を含む場合は、ビニルアルコールの単位量とビニルアセテートの単位量を測定し、これらの両単位量をビニルアセタール単位以外の単位を含まない場合のビニルアセタール単位量から差し引くことで、残りのビニルアセタール単位量を算出できる。
【0025】
ポリビニルアセタール樹脂は従来公知の方法により製造でき、代表的には、アルデヒド類を用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより製造できる。具体的には、ポリビニルアルコールを温水に溶解し、得られた水溶液を所定の温度(好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、好ましくは90℃以下、より好ましくは20℃以下)に保持しながら、所要の酸触媒およびアルデヒド類を加え撹拌してアセタール化反応を進行させ、次いで反応温度を好ましくは70℃以上に上げて反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥を行って、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得る方法等が挙げられる。
【0026】
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度は500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が500以上であると、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの耐貫通性が優れる傾向にある。また、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2600以下であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が5000以下であると、成形しやすくなる傾向にある。
【0027】
なお、ポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度の数値は、原料となるポリビニルアルコールの好ましい粘度平均重合度の数値と同一である。
【0028】
得られるポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位の平均含有量を30モル%以下に設定するために、ケン化度が70モル%以上のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が70モル%以上であると、樹脂の透明性や耐熱性に優れる傾向にあり、アルデヒド類との反応性も良好となる。ケン化度は、より好ましくは95モル%以上である。上記ポリビニルアルコールのケン化度の上限値は特に制限されないが、通常100モル%以下である。
【0029】
ポリビニルアルコールの粘度平均重合度やケン化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定できる。
【0030】
ポリビニルアルコールのアセタール化に用いるアルデヒド類としては、炭素数1以上12以下のアルデヒドが好ましい。アルデヒドの炭素数が12以下であると、アセタール化の反応性に優れる傾向にあり、また反応中における樹脂のブロックの発生を抑制しやすいため、ポリビニルアセタール樹脂の合成が容易になる傾向にある。
【0031】
アルデヒド類としては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族、脂環式アルデヒドが挙げられる。中でも炭素数2以上6以下の脂肪族アルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドが特に好ましい。また、上記アルデヒド類は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、多官能アルデヒド類やその他の官能基を有するアルデヒド類などを、全アルデヒド類の質量に対して20質量%以下の範囲で併用してもよい。
【0032】
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が最も好ましい。ポリビニルブチラール樹脂としては、ビニルエステルと他の単量体との共重合体をケン化して得られるポリビニルアルコール系重合体を、ブチルアルデヒドを用いてブチラール化した変性ポリビニルブチラール樹脂を用いてもよい。該他の単量体とは、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィン;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその誘導体;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3-プロパンジオールビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、7-オクテン-1-オール、9-デセン-1-オール、3-メチル-3-ブテン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N-アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン基を有する単量体;ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N-アクリルアミドジメチルアミン、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等のアミノ基を有する単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルアミド-プロピルトリエトキシシラン等のシリル基を有する単量体;などが挙げられる。ビニルエステルと他の単量体とを共重合する際の他の単量体の使用量は、その使用される目的および用途等によっても異なるが、通常、共重合に用いられる全ての単量体単位に対して20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下がより好ましい。
【0033】
(可塑剤)
A層およびB層にポリビニルアセタール樹脂を用いる場合、さらに可塑剤を添加してもよい。A層およびB層で用いられる可塑剤としては特に制限はないが、例えば、一価カルボン酸エステル、多価カルボン酸エステルなどのカルボン酸エステル系可塑剤;リン酸エステル系可塑剤;有機亜リン酸エステル系可塑剤;カルボン酸ポリエステル、炭酸ポリエステル、ポリアルキレングリコールなどの高分子可塑剤;ひまし油などのヒドロキシカルボン酸と多価アルコールのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸と一価アルコールのエステル化合物などのヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤;が挙げられる。
【0034】
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2-エチルブタン酸、へプタン酸、オクチル酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸などの一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられ、具体的には、トリエチレングリコールジ2-ジエチルブタノエート、トリエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジオクタノエート、テトラエチレングリコールジ2-エチルブタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、PEG#400ジ2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2-エチルヘキサノエート、グリセリンまたはジグリセリンの2-エチルヘキサン酸との完全または部分エステル化物などが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350~450であるポリエチレングリコールを表す。
【0035】
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2-エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1~12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ-2-エチルブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ2-エチルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2-エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられる。
【0036】
リン酸系可塑剤または亜リン酸系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2-エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、またはベンジルアルコールなどの炭素数1~12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2-エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2-エチルヘキシル)などが挙げられる。
【0037】
カルボン酸ポリエステル系可塑剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールを交互共重合して得られるカルボン酸ポリエステル;グリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、6-ヒドロキシへキサン酸、8-ヒドロキシへキサン酸、10-ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシドデカン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸や、4-ヒドロキシ安息香酸、4-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸などの芳香環を有するヒドロキシカルボン酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体(ヒドロキシカルボン酸ポリエステル);γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、ε-カプロラクトン、ラクチドなどの脂肪族ラクトン化合物や、フタリドなどの芳香環を有するラクトン化合物などのラクトン化合物を開環重合して得られるカルボン酸ポリエステル;などが挙げられる。これらカルボン酸ポリエステルの末端構造は特に限定されず、水酸基やカルボキシル基でもよいし、末端水酸基や末端カルボキシル基を一価カルボン酸あるいは一価アルコールと反応させてエステル結合を形成させたものでもよい。
【0038】
炭酸ポリエステル系可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールと、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステルをエステル交換反応により交互共重合して得られる炭酸ポリエステルが挙げられる。これら炭酸ポリエステル化合物の末端構造は特に限定されないが、炭酸エステル基または水酸基であるとよい。
【0039】
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、オキセタンなどのアルキレンオキシドを、一価アルコール、多価アルコール、一価カルボン酸または多価カルボン酸を開始剤として開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0040】
ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤としては、リシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸ブチル、6-ヒドロキシヘキサン酸メチル、6-ヒドロキシヘキサン酸エチル、6-ヒドロキシヘキサン酸ブチルなどのヒドロキシカルボン酸の一価アルコールエステル;エチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、ジエチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、トリエチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(2-ヒドロキシ酪酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(3-ヒドロキシ酪酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(4-ヒドロキシ酪酸)エステル、トリエチレングリコールジ(2-ヒドロキシ酪酸)エステル、グリセリントリ(リシノール酸)エステル、L-酒石酸ジ(1-(2-エチルヘキシル))、ひまし油などのヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステル;の他、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステルのk個のヒドロキシカルボン酸由来の基(kは自然数であり、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステルに存在する水酸基の数以下の数である)を、水酸基を含まないカルボン酸由来の基または水素原子に置き換えた化合物も使用可能であり、これらヒドロキシカルボン酸エステルは従来公知の方法で得られるものを使用できる。
【0041】
本発明において、これら可塑剤は1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、75質量部以下であることがさらに好ましく、70質量部以下であることが特に好ましい。可塑剤の含有量がポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂100質量部に対して100質量部以下であると、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの耐衝撃性が優れる傾向にある。
A層およびB層が可塑剤を含有する場合、A層とB層で可塑剤の含有量は同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、A層がポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して可塑剤を50質量部以上含有し、B層がポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して可塑剤を10質量部以上50質量部未満で含有してもよい。
【0043】
(アイオノマー樹脂)
本発明において、アイオノマー樹脂は特に限定されず、例えば、エチレン由来の単量体単位およびα,β-不飽和カルボン酸由来の単量体単位を有し、α,β-不飽和カルボン酸の少なくとも一部が金属イオンによって中和された樹脂等が挙げられる。金属イオンとしては、例えばナトリウムイオンが挙げられる。ベースポリマーとなるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸共重合体において、α,β-不飽和カルボン酸由来の単量体単位の含有割合は2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、α,β-不飽和カルボン酸の単量体単位の含有割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。本発明においては、入手のしやすさの点から、エチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、およびエチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等のエチレン系アイオノマーが好ましい。エチレン系アイオノマーとしては、エチレン-アクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマーが特に好ましい。アイオノマー樹脂は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
(熱可塑性エラストマー)
本明細書において、熱可塑性エラストマーとは、加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化してゴム弾性を示す高分子化合物を意味する。上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば後述するハードセグメントとソフトセグメントを有する高分子化合物が挙げられる他、天然ゴム、イソプレンゴム、ブダジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどのゴムを用いてもよい。
【0045】
上記熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントを有する高分子化合物を用いることが好ましく、例えば、ポリスチレン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリブタジエン、ポリイソプレンなど/ハードセグメント;ポリスチレン)、ポリオレフィン系エラストマー(ソフトセグメント;エチレンプロピレンゴム/ハードセグメント;ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリ塩化ビニル/ハードセグメント;ポリ塩化ビニル)、ポリウレタン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル、ポリエステル/ハードセグメント;ポリウレタン)、ポリエステル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル/ハードセグメント;ポリエステル)、ポリアミド系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール/ハードセグメント;ポリアミド<ナイロン樹脂>)、ポリブタジエン系エラストマー(ソフトセグメント;非晶性ブチルゴム/ハードセグメント;シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン)、アクリル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリアクリル酸エステル/ハードセグメント;ポリメタクリル酸メチル)などが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
上記熱可塑性エラストマー中のハードセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して4質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。ハードセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、23質量%以下であることが特に好ましい。ハードセグメントの含有量が4質量%以上であると、成形性が良好となる。また、ハードセグメントの含有量が30質量%以下であると適度な靱性を付与することができ、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。
【0047】
上記熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して70質量%以上であることが好ましく、73質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましく、77質量%以上であることが特に好ましい。ソフトセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して96質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましく、92質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。ソフトセグメントの含有量が70質量%以上であると、適度な靱性を付与することができ、得られる中間膜を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。また、ソフトセグメントの含有量が96質量%以下であると、成形性が良好となる。
【0048】
上記熱可塑性エラストマーとしては、成形性と合わせガラスの耐衝撃性を両立させる観点から、芳香族ビニル重合体ブロックと脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(A)ということがある」)が好ましく、芳香族ビニル重合体ブロックとビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体がより好ましく、ポリスチレンブロックとビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体がさらに好ましい。
【0049】
熱可塑性エラストマーとして、芳香族ビニル重合体ブロックとビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとの共重合体、例えばブロック共重合体(A)を用いる場合、これらの重合体ブロックの結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはこれらの2つ以上が組み合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0050】
直鎖状の結合形態の例としては、芳香族ビニル重合体ブロックをaで、ビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックをbで表したとき、a-bで表されるジブロック共重合体、a-b-aまたはb-а-bで表されるトリブロック共重合体、a-b-a-bで表されるテトラブロック共重合体、a-b-a-b-aまたはb-a-b-a-bで表されるペンタブロック共重合体、(а-b)nX型共重合体(Xはカップリング残基を表し、nは2以上の整数を表す)、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、ジブロック共重合体またはトリブロック共重合体が好ましく、トリブロック共重合体としては、a-b-aで表されるトリブロック共重合体であることがより好ましい。
【0051】
ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル由来の単量体単位および脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の合計量は、ブロック共重合体(A)を構成する全単量体単位に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。なお、前記ブロック共重合体(A)中の脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックは、一部またはすべてが水素添加されたものでもよい。
【0052】
ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して4質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。芳香族ビニル由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、23質量%以下であることが特に好ましい。ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル由来の単量体単位の含有量が4質量%以上であると、良好な成形性を確保することができ、芳香族ビニル由来の単量体単位の含有量が30質量%以下であると、適度な靱性を付与でき、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。なお、ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)を合成する際の各単量体の仕込み比、またはブロック共重合体の1H-NMR等の測定結果から求めることができる。
【0053】
ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル重合体ブロックに含まれる芳香族ビニル由来の単量体単位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロック中の全単量体単位に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
【0054】
上記芳香族ビニル重合体ブロックを構成する芳香族ビニル由来の単量体単位としては、スチレン;α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレンなどのアルキルスチレン;2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンなどのアリールスチレン;ハロゲン化スチレン;アルコキシスチレン;ビニル安息香酸エステルなどに由来する単量体単位が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
また、上記芳香族ビニル重合体ブロック中には、芳香族ビニル以外に由来する単量体単位が含まれていてもよい。芳香族ビニル以外に由来する単量体単位の例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-フェニル-1-ブテン、6-フェニル-1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2-フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1-ジフルオロエチレン、3-フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4-ジクロロ-1-ブテン、ノルボルネン、アセチレン等の不飽和単量体単位;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体単位;ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロオクタジエン等の共役ジエン由来の単量体単位;などが挙げられる。芳香族ビニル以外に由来する単量体単位の含有量は、芳香族ビニル重合体ブロック中の全単量体単位に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
【0056】
ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して70質量%以上であることが好ましく、73質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、77質量%以上であることが特に好ましい。ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して96質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましく、92質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の含有量が70質量%以上であると、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。また、ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の含有量が96質量%以下であると、良好な成形性を確保できる。なお、ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の含有量は、ブロック共重合体を合成する際の各単量体の仕込み比、またはブロック共重合体の1H-NMR等の測定結果から求めることができる。
【0057】
ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位の割合は、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の全単量単位に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
【0058】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックを構成する脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等のビニル化合物;ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン等のジエン化合物;ノルボルネン、アセチレン等に由来する単量体単位が挙げられる。なお、上記脂肪族不飽和炭化水素由来の単量体単位としては、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2-フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1-ジフルオロエチレン、3-フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4-ジクロロ-1-ブテン等のように、炭素原子または水素原子の一部がヘテロ原子で置換された脂肪族不飽和炭化水素に由来する単量体単位であってもよく、4-フェニル-1-ブテン、6-フェニル-1-ヘキセン等のように、ビニル基を構成する炭素原子以外に芳香族基が結合した脂肪族不飽和炭化水素に由来する単量体単位であってもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
上記脂肪族不飽和炭化水素に由来する単量体単位は、入手容易性や取り扱い性の観点から、炭素数2以上であることが好ましく、炭素数4以上であることがより好ましく、また、炭素数12以下であることが好ましく、炭素数8以下であることがより好ましい。また、上記脂肪族不飽和炭化水素に由来する単量体単位は、入手容易性や取り扱い性、合成のしやすさの観点から、共役ジエン由来の単量体単位であることが好ましい。すなわち、上記脂肪族不飽和炭化水素として、ブタジエンまたはイソプレンを用いること、ならびにブタジエンおよびイソプレンを併用することがより好ましい。
【0060】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエン由来の単量体単位の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。熱安定性を向上させる観点から、上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックを構成する単量体単位として共役ジエン由来の単量体を用いる場合は、その一部または全部が水素添加された水素添加物であることが好ましい。その際の水素添加率は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。ここで、水素添加率とは、水素添加反応前後のブロック共重合体のヨウ素価を測定して得られる値である。水素添加反応における水素圧や反応温度を変更することにより、上記水素添加率を調整できる。
【0061】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエンの結合形態は複数あり、例えば、イソプレン単位には、1,4-結合、1,2-結合、3,4-結合があり、ブタジエン単位については、1,4-結合と1,2-結合がある。上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエン由来の単量体単位の合計量(例えば、イソプレン単位およびブタジエン単位の合計量)に対する、イソプレン単位の1,2-結合および3,4-結合の含有量ならびにブタジエン単位の1,2-結合の含有量の合計は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましい。また、上記合計は、100モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがより好ましく、90モル%以下であることがさらに好ましく、上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中にイソプレン単位が含まれている場合には、85モル%以下であることが特に好ましく、75モル%以下であることが最も好ましい。
【0062】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中に共役ジエン由来の単量体単位が含まれ、かつ、イソプレン単位が共役ジエン由来の単量体単位に対して90モル%以上含まれる場合、共役ジエン以外に由来する単量体単位が含まれておらず、かつ上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエン由来の単量体単位の合計量に対するイソプレン単位の1,2-結合および3,4-結合の含有量の合計が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。また、上記合計は75モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
【0063】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中に共役ジエン由来の単量体単位が含まれ、かつ、ブタジエン単位が共役ジエン由来の単量体単位に対して90モル%以上含まれる場合、上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエン由来の単量体単位の合計量に対するブタジエン単位の1,2-結合の含有量は、20モル%以上であることが好ましく、65モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。また、上記含有量は100モル%以下であることが好ましい。
【0064】
上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中に共役ジエン由来の単量体単位が含まれ、かつ、イソプレン単位およびブタジエン単位の合計含有量が共役ジエン由来の単量体単位に対して90モル%以上であり、イソプレン単位とブタジエン単位の質量比(イソプレン単位/ブタジエン単位)が10/90~90/10である場合、上記脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の共役ジエン由来の単量体単位の合計量に対するイソプレン単位およびブタジエン単位の1,2-結合および3,4-結合の含有量の合計は、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。また、上記合計は95モル%以下であることが好ましく、85モル%以下であることがより好ましい。
【0065】
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中には、少量であれば、脂肪族不飽和炭化水素以外に由来する単量体単位が共重合されていてもよい。上記脂肪族不飽和炭化水素以外に由来する単量体単位の例としては、「芳香族ビニル以外に由来する単量体単位の例」として例示した単量体単位が挙げられる。上記脂肪族不飽和炭化水素以外に由来する単量体単位の含有量は、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の全単量体単位に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
【0066】
ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、その力学特性、成形加工性の観点から、30,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましい。ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、その力学特性、成形加工性の観点から、400,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましい。ブロック共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0以上であることが好ましい。ブロック共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、数平均分子量とは、GPC測定によって求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0067】
ブロック共重合体(A)の製造方法は特に限定されず、例えばアニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法などの当該分野において公知の方法により製造できる。例えばアニオン重合の場合、具体的には、
(i)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;
(ii)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;
(iii)ジリチウム化合物を開始剤として用い、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;などが挙げられる。
【0068】
脂肪族不飽和炭化水素単量体として共役ジエンを用いる場合、アニオン重合の際に有機ルイス塩基を添加することによって、ブロック共重合体(A)中の1,2-結合量および3,4-結合量を増やすことができ、該有機ルイス塩基の添加量によって、ブロック共重合体(A)中の1,2-結合量および3,4-結合量を容易に制御できる。
【0069】
前記有機ルイス塩基としては、例えば、酢酸エチルなどのエステル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N-メチルモルホリンなどのアミン;ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;などが挙げられる。
【0070】
未水添の熱可塑性エラストマー、例えばポリスチレン系エラストマーを水素添加反応に付す場合、水素添加触媒に対して不活性な溶媒に得られた未水添のポリスチレン系エラストマーを溶解させるか、または、未水添のポリスチレン系エラストマーを反応液から単離せずにそのまま用い、水素添加触媒の存在下、水素と反応させることにより行うことができる。
【0071】
水素添加触媒としては、例えばラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの単体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒;などが挙げられる。水素添加反応は、通常、水素圧力0.1MPa以上20MPa以下、反応温度20℃以上250℃以下、反応時間0.1時間以上100時間以下の条件で行うことができる。
【0072】
(その他の添加成分)
A層および/またはB層には、その他の成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着力調整剤、遮熱材料、ブロッキング防止剤、顔料、染料、機能性無機化合物等が、必要に応じて添加されていてもよい。
【0073】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物などが挙げられ、これらの中でもフェノール系化合物が好ましく、アルキル置換フェノール系化合物がより好ましい。
【0074】
フェノール系化合物の例としては、例えば、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-)ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
【0075】
リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(フェニル-ジ-アルキル(C12~C15)ホスファイト)4,4’-イソプロピリデン-ビス(ジフェニルモノアルキル(C12~C15)ホスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物;などが挙げられる。これらの中でもモノホスファイト系化合物が好ましい。
【0076】
硫黄系化合物としては、例えば、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオプロピオネート)、3,9-ビス(2-ドデシルチオエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0077】
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましい。また、酸化防止剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。酸化防止剤の量が上記範囲内にあれば、十分な酸化防止効果を発揮できる。
【0078】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0080】
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0081】
これらの紫外線吸収剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることがさらに好ましい。また、紫外線吸収剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の量が上記範囲内にあれば、十分な紫外線吸収効果を発揮できる。
【0082】
(光安定剤)
光安定剤としてはヒンダードアミン系のものが好ましく、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA-57(商品名)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「チヌビン622(商品名)」などが挙げられる。
【0083】
これらの光安定剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光安定剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることがさらに好ましい。また、光安定剤の配合量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。光安定剤の量が上記範囲内にあれば、十分な光安定効果を発揮できる。
【0084】
(接着力調整剤)
ガラスとの接着力を調整するため、合わせガラスを作製する際にガラスと接する層に接着力調整剤を添加してもよい。接着力調整剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2-エチルブタン酸、2-エチルヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、シランカップリング剤などが用いられる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。接着力調整剤の含有量は、用いる接着力調整剤の種類に応じて適宜決定すればよく、通常、合わせガラス用中間膜(1)のガラスへの接着力が、パンメル試験(Pummel test;国際公開第03/033583号等に記載)において3~10になるように調整することが好ましい。特に、合わせガラスに高い耐貫通性が求められる場合は、上記接着力が3~6になるように含有量を調整することが好ましく、高いガラス飛散防止性が求められる場合は、上記接着力が7~10になるように含有量を調整することが好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着力調整剤を添加しないことも有用な方法である。通常、合わせガラスを作製する際にガラスと接する層の接着力調整剤の含有量としては、該層を構成する全構成成分の総質量に対して0.0001~1質量%であることが好ましく、0.0005~0.1質量%がより好ましく、0.001~0.03質量%がさらに好ましい。
【0085】
また、合わせガラス用中間膜(1)において隣接するA層とB層との接着力を調整するため、A層またはB層に接着力調整剤を添加してもよい。このような隣接する層間の接着力を調製するために用いる接着力調整剤としては、カルボキシル基、カルボキシル基の誘導体基、エポキシ基、ボロン酸基、ボロン酸基の誘導体基、アルコキシル基、またはアルコキシル基の誘導体基などの接着性官能基を有するポリオレフィン類が挙げられる。
【0086】
(遮熱材料)
A層および/またはB層が、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子または有機遮熱性材料)を含むことで、合わせガラス用中間膜(1)に遮熱機能を付与し、合わせガラスとしたときに、近赤外光の透過率を下げることができる。無機遮熱性微粒子としては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O5)、六ホウ化ランタン、一般式MmWOn(Mは金属元素を表し、mは0.01以上、1.0以下、nは2.2以上、3.0以下である)で表される金属ドープ酸化タングステンなどが挙げられる。中でも、ITOやATO、金属ドープ酸化タングステンが好ましい。前記金属ドープ酸化タングステンの一般式中のMで表される金属元素としては、例えばCs、Tl、Rb、Na、Kなどが挙げられ、特にCsが好ましい。遮熱性の観点から上記一般式中のmは、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、また、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
【0087】
本発明の合わせガラス用中間膜(1)に無機遮熱性微粒子が含まれる場合、その含有量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましい。また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。無機遮熱性微粒子の含有量が上記範囲内にあると、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの近赤外光の透過率を効果的に下げつつ、高い可視光線透過率を保つことができる。無機遮熱性微粒子の平均粒子径は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが透明性の観点からより好ましい。なお、ここでいう無機遮熱性微粒子の平均粒子径は、レーザー回折装置で測定されるものをいう。
【0088】
有機遮熱性材料としては、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物などが挙げられる。前記有機遮熱性材料はさらに遮熱性を向上させる観点から、金属を含有することが好ましい。前記金属としては、例えばNa、K、Li、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、V、Ca、Alなどが挙げられ、特にNiが好ましい。
【0089】
有機遮熱性材料の含有量は、合わせガラス用中間膜(1)を構成する層を形成する全構成成分の総量に対して0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることがさらに好ましい。また、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。有機遮熱性材料の含有量が上記範囲内にあると、得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いた合わせガラスの近赤外光の透過率を効果的に下げることができる。
【0090】
これらの遮熱材料は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
合わせガラス用中間膜(1)の膜厚は、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上あることがさらに好ましい。また、合わせガラス用中間膜(1)の膜厚は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。合わせガラス用中間膜(1)の膜厚が上記範囲内であると、合わせガラスを作製する際にラミネートが容易になり、コストの低減にもなるため好ましい。
【0092】
合わせガラス用中間膜(1)におけるA層の膜厚は0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上あることがさらに好ましい。また、A層の膜厚は3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。A層の膜厚が上記範囲内であると、合わせガラスを作製する際にラミネートが容易になり、コストの低減にもなるため好ましい。合わせガラス用中間膜(1)中にA層が複数含まれる場合には、A層全体の合計の厚さが上記範囲を満たしていることが好ましい。また、少なくとも1つの単層のA層の厚みが、0.01mm以上0.7mm以下であることが好ましく、0.10mm以上0.40mm以下であることがより好ましい。
【0093】
合わせガラス用中間膜(1)におけるB層の膜厚は、0.04mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.2mm以上あることがさらに好ましい。また、B層の膜厚は、7mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。B層の膜厚が上記範囲内であると、合わせガラスを作製する際にラミネートが容易になり、コストの低減にもなるため好ましい。合わせガラス用中間膜(1)中にB層が複数含まれる場合には、B層全体の合計の厚さが上記範囲を満たしていることが好ましい。また、少なくとも1つの単層のB層の厚みが、0.04mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.10mm以上0.40mm以下であることがより好ましい。
【0094】
合わせガラス用中間膜(1)には、前述のとおりC層が含まれていてもよく、C層は公知の樹脂から構成される層であってよい。C層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリイミドなどを用いることができる。また、必要に応じ、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着力調整剤、遮熱材料、ブロッキング防止剤、顔料、染料、機能性無機化合物等が、添加されていてもよい。これらの添加剤としては、A層および/またはB層に用いられ得るものと同様のものが挙げられる。
【0095】
合わせガラス用中間膜(1)の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアセタール樹脂またはアイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマーと、紫外線吸収剤等のA層を構成する全ての成分を混合した組成物を均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法によりA層を作製できる。また、同様の方法で、B層を作製し、これらをプレス成形等で積層させてもよいし、A層、B層およびその他必要な層を共押出法により成形してもよい。
【0096】
公知の製膜方法の中でも、特に押出機を用いて合わせガラス用中間膜(1)を製造する方法が好適に採用される。押出時の温度(組成物の温度)は150℃以上が好ましく、170℃以上がさらに好ましい。また、押出時の温度(組成物の温度)は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。押出時の温度が上記範囲内であると、組成物に含まれる樹脂等の分解を引き起こし難く、押出機からの吐出を安定させることができる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
【0097】
また、合わせガラス用中間膜(1)の表面にメルトフラクチャー、エンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成することが好ましい。メルトフラクチャー、エンボスの形状は特に限定されず、従来公知のものを採用できる。
【0098】
(合わせガラス用中間膜の再利用方法)
本発明の合わせガラス用中間膜の再利用方法においては、前述した方法により合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する工程を含む。分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を合わせガラス用中間膜としてそのまま再利用してもよいし、加工した後に合わせガラス用中間膜として再利用してもよい。好ましい態様としては、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を少なくとも原料として合わせガラス用中間膜(2)を製造する。合わせガラス用中間膜(2)の製造において、上記A層を含む層のみを用いてもよく、上記B層を含む層のみを用いてもよく、上記A層を含む層と上記B層を含む層の両方を用いてもよい。より詳細には、例えば合わせガラス用中間膜(1)がB層/A層/B層からなる3層構成である場合、b層/a層/b層からなる3層構成の合わせガラス用中間膜(2)を製造する際に、a層用の原料として上記A層を含む層を用い、b層用の原料として上記B層を含む層以外の原料(例えば、新たに調製した樹脂組成物)を用いてもよく、a層用の原料として上記A層を含む層を用い、b層用の原料として上記B層を含む層を用いてもよい。また、上記A層を含む層またはB層を含む層を使用して、単層構成である合わせガラス用中間膜(2)を製造してもよい。また、合わせガラス用中間膜(2)を製造する際に、上記A層を含む層および上記B層を含む層以外の原料をさらに用いてもよい。例えば、b層/a層/b層からなる3層構成の合わせガラス用中間膜(2)を製造する際に、b層の原料として新たに調製した樹脂組成物と上記B層を含む層との混合物を用いることもできる。また、a層の原料として新たに調製した樹脂組成物と上記A層を含む層との混合物を用いることもできる。
【0099】
合わせガラス用中間膜(1)から分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を、合わせガラス用中間膜(2)を製造する際の少なくとも原料とする方法は特に制限されないが、例えば、上記A層を含む層および/またはB層を含む層をベント式二軸押出機を用いてTダイに導入する方法、ベント式二軸押出機を用いてダイに導入してペレットを得た後、該ペレットをベント式単軸押出機を用いてTダイに導入する方法等が挙げられる。上記A層を含む層および/またはB層を含む層をベント式二軸押出機を用いてTダイに導入する方法は特に限定されないが、例えば、ベント式二軸押出機を用いて、温度150~250℃(より好ましくは170~230℃)、吐出量1~100000kg/時(より好ましくは2~50000kg/時)の条件で、150~250℃(より好ましくは170~230℃)のTダイに導入する方法が挙げられる。
【0100】
(合わせガラス用中間膜(2))
本発明において合わせガラス用中間膜(2)は、合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離し、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を原料として用いて製造される。このようにして得られる合わせガラス用中間膜(2)も本発明のひとつである。さらに、少なくともA層とB層を有する合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離する工程を含み、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を原料とする、合わせガラス用中間膜の製造方法もまた、本発明のひとつである。
【0101】
合わせガラス用中間膜(2)の層構成は特に限定されず、単層であってもよいし、a層/b層からなる2層構成、a層/b層/a層からなる3層構成、4層以上の多層構成、a層およびb層以外の層(c層とする)を含む層構成であってもよい。c層を構成する樹脂としては、例えば前述のC層を構成する樹脂と同じものが挙げられる。層構成以外の合わせガラス用中間膜(2)の好ましい態様は、前述した合わせガラス用中間膜(1)の好ましい態様と同様である。
【0102】
(合わせガラス用中間膜の再利用率)
合わせガラス用中間膜の再利用率は、合わせガラス用中間膜(2)の製造において原料として使用される合わせガラス用中間膜(1)由来の樹脂組成物が、合わせガラス用中間膜(2)の総量に占める割合で表される。より詳細には、実施例に記載の方法で算出される。上記合わせガラス用中間膜の再利用率は0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることがよりさらに好ましく、40%以上であることが特に好ましく、60%以上であることがとりわけ好ましく、80%以上であることが極めて好ましく、100%であってもよい。合わせガラス用中間膜の再利用率が上記範囲内であるとき、本発明の合わせガラス用中間膜の再利用方法はエコロジー性とエコノミー性により優れる。
【0103】
(合わせガラス)
本発明の再利用方法により得られる合わせガラス用中間膜(2)を少なくとも2枚のガラスの間に配置した合わせガラスもまた、本発明のひとつである。本発明の再利用方法により得られる合わせガラス用中間膜(2)を用いることにより、透明性に優れる合わせガラスを得ることができる。そのため、本発明の合わせガラス用中間膜は、自動車用フロントガラス、自動車用サイドガラス、自動車用サンルーフ、自動車用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラス、建築用ガラスなどに好適に用いることができる。本発明の再利用方法により得られる合わせガラス用中間膜(2)の構成を内部に有する合わせガラスがヘッドアップディスプレイ用ガラスに適用される場合、用いられる該合わせガラス用中間膜の断面形状は、一方の端面側が厚く、他方の端面側が薄い形状であることが好ましい。その場合、断面形状は、一方の端面側から他方の端面側に漸次的に薄くなるような、全体が楔形である形状であってもよいし、一方の端部から該端面と他方の端部の間の任意の位置までは同一の厚さで、該任意の位置から他方の端部まで漸次的に薄くなるような、断面の一部が楔形のものであってもよい。
【0104】
本発明の合わせガラスを構成するガラスの厚さは特に限定されないが、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。また、本発明の合わせガラスを構成する少なくとも2枚のガラスが同じ厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。
【0105】
本発明の合わせガラスを構成するガラスは特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラス等が使用でき、これらは無色、有色、あるいは透明、非透明のいずれであってもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、使用するガラスの形状に特に制限はなく、単純な平面状の板ガラスであっても、自動車用サンルーフガラスなどの曲率を有するガラスであってもよい。
【0106】
本発明の再利用方法により得られる合わせガラス用中間膜(2)を、クリアガラス2枚の間に配置した合わせガラスについて、JIS K 7105に準じて測定したヘイズは10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、1以下であることが特に好ましい。上記ヘイズが10を超えるものは、合わせガラスを通した視認性が低下する傾向にある。
【0107】
(合わせガラスの製造方法)
本発明の合わせガラスは従来公知の方法で作製できる。例えば、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後にオートクレーブ工程に投入する方法も付加的に行うことができる。
【0108】
真空ラミネータ装置を用いる場合、例えば太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10-6MPa以上3×10-2MPa以下の減圧下、100℃以上200℃以下で、特に130℃以上170℃以下の温度でラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は例えば欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10-2MPaの圧力下、130℃以上145℃以下でラミネートされる。
【0109】
ニップロールを用いる場合、例えば、合わせガラス用中間膜に含まれる樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をした後、さらに流動開始温度に近い条件で仮圧着する方法が挙げられる。具体的には、例えば赤外線ヒーターなどで30℃以上100℃以下に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50℃以上150℃以下に加熱した後ロールで圧着して接着または仮接着させる方法が挙げられる。
【0110】
また、本発明の合わせガラス用中間膜(2)の構成を合わせガラス内部に有するように、B層を塗布したガラスを合わせガラス用中間膜(2)の両面に合わせて積層し、合わせガラスとしてもよい。
【0111】
仮圧着後に付加的に行われるオートクレーブ工程は、合わせガラスの厚さや構成にもよるが、例えば、1MPa以上15MPa以下の圧力下、120℃以上160℃以下の温度で、0.5時間以上2時間以下で実施される。
【実施例】
【0112】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の実施例において「%」は特に断りのない限り、「質量%」を意味する。
【0113】
1.合わせガラス用中間膜の再利用率の算出
合わせガラス用中間膜の再利用率は下記の式により算出した。W2は合わせガラス用中間膜(2)の質量であり、WA、WBはそれぞれ、合わせガラス用中間膜(2)の製造(すなわち、合わせガラス用中間膜(1)の再利用)において使用されたa層用の樹脂およびb層用の樹脂のうち、合わせガラス用中間膜(1)から分離することで得られたA層およびB層由来の樹脂の質量である。
再利用率(%)=(WA+WB)×100/W2
【0114】
2.合わせガラスのヘイズの測定
市販のクリアガラス(縦50mm×横50mm×厚さ2mm)2枚で実施例および比較例で得られた合わせガラス用中間膜(1)または合わせガラス用中間膜(2)を挟み、真空バック法(条件:30℃から160℃に60分間で昇温し、その後160℃で30分間保持)によって、合わせガラスを作製した。その後、ヘイズメーター「HZ1」(スガ試験機株式会社製)を用い、JIS K 7105に準じて、該合わせガラスのヘイズを20℃で測定した。評価結果を表1に示す。
【0115】
(熱可塑性エラストマーの製造)
<TPE-1>
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50kg、アニオン重合開始剤としてsec-ブチルリチウムの10.5質量%シクロヘキサン溶液130g(sec-ブチルリチウムとして13.9g)を仕込み、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン290gを仕込んだ。耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン1.8kgを加えて1時間重合させ、引き続いてイソプレン13.2kgを加えて2時間重合させ、さらにスチレン1.8kgを加えて1時間重合させることにより、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。
【0116】
該反応液に、オクチル酸ニッケルおよびトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下で添加し、水素圧力1MPa、80℃の条件で5時間反応させた。該反応液を放冷および放圧させた後、水洗により上記触媒を除去し、真空乾燥させることにより、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、TPE-1とする)を得た。
【0117】
<TPE-2>
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50kg、アニオン重合開始剤としてsec-ブチルリチウムの10.5質量%シクロヘキサン溶液76g(sec-ブチルリチウムとして8.0g)を仕込み、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン313gを仕込んだ。耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン0.5kgを加えて1時間重合させ、引き続いてイソプレン8.2kgおよびブタジエン6.5kgからなる混合液を加えて2時間重合させ、さらにスチレン1.5kgを加えて1時間重合させることにより、ポリスチレン-ポリ(イソプレン/ブタジエン)-ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。
【0118】
該反応液に、オクチル酸ニッケルおよびトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下で添加し、水素圧力1MPa、80℃の条件で5時間反応させた。該反応液を放冷および放圧させた後、水洗により上記触媒を除去し、真空乾燥させることにより、ポリスチレン-ポリ(イソプレン/ブタジエン)-ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、TPE-2とする)を得た。
【0119】
<TPE-3>
TPE-1とTPE-2とを質量比1:1で220℃にて溶融混練して、TPE-3を得た。
【0120】
(ポリビニルアセタール樹脂の製造)
<PVB-1>
還流冷却器、温度計、イカリ型撹拌翼を備えた5リットルガラス容器に、イオン交換水4000g、ポリビニルアルコール(粘度平均重合度2400、けん化度92モル%)400gを仕込み、95℃に昇温してポリビニルアルコールを完全に溶解させた。得られた溶液を120rpmで撹拌下、10℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド231gおよび20%塩酸水溶液200mLを添加した。その後、60分かけて70℃まで昇温し、70℃にて100分間保持した後、室温まで冷却した。得られた樹脂をイオン交換水で洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰のイオン交換水で洗浄、乾燥してポリビニルブチラール(以下、PVB-1とする)を得た。PVB-1をJIS K 6728に従って分析したところ、平均ブチラール化度(平均アセタール化度)は74モル%、平均残存ビニルエステル基量の含有量は7モル%であり、平均残存水酸基量は19モル%であった。
【0121】
<PVB-2>
PVB-1の製造において、ポリビニルアルコールを粘度平均重合度1700、けん化度99モル%に変更し、またブチルアルデヒドの使用量を228gに変更した以外は同様にしてポリビニルブチラール(以下、PVB-2とする)を得た。PVB-2をJIS K 6728に従って分析したところ、平均ブチラール化度(平均アセタール化度)は69モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%であり、平均残存水酸基量は30モル%であった。
【0122】
<実施例1>
[i]PVB-1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート60質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量2.5kg/時の条件で、185℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、PVB-2を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート40質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したB層用の組成物を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量10kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.30mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-1を得た。
【0123】
[ii]表面温度が23℃の合わせガラス用中間膜(1)-1から、A層とB層の界面を手で剥離し、厚さ0.30mmのB層単層のシート-1(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、A層/B層(0.15mm/0.30mm)という2層構成であるシート-2を得た。
【0124】
[iii]PVB-1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート60質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量2.5kg/時の条件で、185℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-1を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量10kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.30mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-2を得た。
【0125】
<実施例2>
PVB-1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート60質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量2.5kg/時の条件で、185℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、実施例1の[ii]におけるシート-1を100質量部、PVB-2を70質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート28質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.07質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.14質量部を配合したb層用の組成物を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量10kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.30mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-3を得た。
【0126】
<実施例3>
PVB-1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート60質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量2.5kg/時の条件で、185℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、実施例1の[ii]におけるシート-1を100質量部、PVB-2を200質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート80質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.2質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.4質量部を配合したb層用の組成物を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量10kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.30mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-4を得た。
【0127】
<実施例4>
実施例1の[ii]におけるシート-1を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量12.5kg/時の条件で、170℃のTダイ(シングルマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。該Tダイから押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、厚さ0.75mmの単層の合わせガラス用中間膜(2)-5を得た。
【0128】
<実施例5>
[i]TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.4kg/時の条件で、210℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、PVB-2を100質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール(株式会社クラレ製、クラレポリオールP-510;ポリ[(3-メチル-1,5-ペンタンジオール)-alt-(アジピン酸)])40質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したB層用の組成物を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量8.3kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-6を得た。
【0129】
[ii]表面温度23℃の合わせガラス用中間膜(1)-6から、A層とB層の界面を手で剥離し、B層単層のシートと、A層/B層という2層構成であるシートに分離し、さらにA層とB層の界面を手で剥離することで、厚さ0.25mmのB層単層のシート-3(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)2枚と、厚さ0.25mmのA層単層のシート-4(目視で確認したところ、B層の付着は見られなかった)1枚を得た。
【0130】
[iii]TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.4kg/時の条件で、210℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-3を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量8.3kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-7を得た。
【0131】
<実施例6>
[i]TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、B層用の樹脂としてアイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(登録商標))を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-8を得た。
【0132】
[ii]表面温度23℃の合わせガラス用中間膜(1)-8から、A層とB層の界面を手で剥離し、B層単層のシートと、A層/B層という2層構成であるシートに分離し、さらにA層とB層の界面を手で剥離することで、厚さ0.25mmのB層単層のシート-5(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)2枚と、厚さ0.25mmのA層単層のシート-6(目視で確認したところ、B層の付着は見られなかった)1枚を得た。
【0133】
[iii]TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-5を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-9を得た。
【0134】
<実施例7>
a層用の樹脂として実施例6の[ii]におけるシート-6を100質量部、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂として、実施例6の[ii]におけるシート-5を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-10を得た。
【0135】
<実施例8>
実施例6の[ii]におけるシート-5を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量12.5kg/時の条件で、190℃のTダイ(シングルマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。該Tダイから押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、厚さ0.75mmの単層の合わせガラス用中間膜(2)-11を得た。
【0136】
<実施例9>
[i]TPE-2を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、B層用の樹脂としてアイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(登録商標))を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-12を得た。
【0137】
[ii]表面温度23℃の合わせガラス用中間膜(1)-12から、A層とB層の界面を手で剥離し、B層単層のシートと、A層/B層という2層構成であるシートに分離し、さらにA層とB層の界面を手で剥離することで、厚さ0.25mmのB層単層のシート-7(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)2枚と、厚さ0.25mmのA層単層のシート-8(目視で確認したところ、B層の付着は見られなかった)1枚を得た。
【0138】
[iii]TPE-2を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-7を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-13を得た。
【0139】
<実施例10>
[i]TPE-3を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、B層用の樹脂としてアイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(登録商標))を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-14を得た。
【0140】
[ii]表面温度23℃の合わせガラス用中間膜(1)-14から、A層とB層の界面を手で剥離し、B層単層のシートと、A層/B層という2層構成であるシートに分離し、さらにA層とB層の界面を手で剥離することで、厚さ0.25mmのB層単層のシート-9(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)2枚と、厚さ0.25mmのA層単層のシート-10(目視で確認したところ、B層の付着は見られなかった)1枚を得た。
【0141】
[iii]TPE-3を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-9を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-15を得た。
【0142】
<実施例11>
[i]TPE-3を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したA層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.0kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、B層用の樹脂としてアイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(登録商標))を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.8kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、B層/A層/B層(0.27mm/0.21mm/0.27mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(1)-16を得た。
【0143】
[ii]表面温度23℃の合わせガラス用中間膜(1)-16から、A層とB層の界面を手で剥離し、B層単層のシートと、A層/B層という2層構成であるシートに分離し、さらにA層とB層の界面を手で剥離することで、厚さ0.27mmのB層単層のシート-11(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)2枚と、厚さ0.21mmのA層単層のシート-12(目視で確認したところ、B層の付着は見られなかった)1枚を得た。
【0144】
[iii]TPE-3を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂としてシート-11を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.27mm/0.21mm/0.27mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-17を得た。
【0145】
<実施例12>
TPE-3を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、実施例11の[ii]におけるシート-11を100質量部、およびアイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(登録商標))を、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.27mm/0.21mm/0.27mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-18を得た。
【0146】
<実施例13>
表面温度が13℃である、実施例1の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-1を積層方向に対し0度の角度で押し付けながら、
図1に示すようにスライサー(盤面からの刃の突出高さ:0.15mm、刃の材質:超硬合金)を用いて、合わせガラス用中間膜(1)-1の積層方向に対し90度の角度で動かすことによりスライスし、厚さ0.23mmのB層単層のシート-13(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.07mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成であるシート-14を得た。
【0147】
シート-1の代わりにシート-13を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-19を得た。
【0148】
<実施例14>
実施例1の[i]における合わせガラス用中間膜1-(1)の表面温度が18℃である以外は、実施例13と同様の方法を用いてスライスし、厚さ0.25mmのB層単層のシート-15(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.05mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成であるシート-16を得た。
【0149】
シート-1の代わりにシート-15を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-20を得た。
【0150】
<実施例15>
スライサーにおいて、盤面からの刃の突出高さが0.12mmである以外は、実施例13と同様の方法を用いてスライスし、厚さ0.17mmのB層単層のシート-17(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.13mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成であるシート-18を得た。
【0151】
シート-1の代わりにシート-17を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-21を得た。
【0152】
<実施例16>
シート-1の代わりにシート-13を用いた以外は実施例2と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-22を得た。
【0153】
<実施例17>
シート-1の代わりにシート-13を用いた以外は実施例3と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-23を得た。
【0154】
<実施例18>
シート-1の代わりにシート-13を用いた以外は実施例4と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-24を得た。
【0155】
<実施例19>
実施例5の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-6を用いた以外は実施例13と同様の方法を用いてスライスし、厚さ0.21mmのB層単層のシート-19(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.04mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成であるシート-20を得た。
【0156】
シート-3の代わりにシート-19を用いた以外は実施例5と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-25を得た。
【0157】
<実施例20>
実施例6の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-8を用いた以外は実施例14と同様の方法でスライスし、厚さ0.17mmのB層単層のシート-21(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.08mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成であるシート-22を得た。
【0158】
シート-5の代わりにシート-21を用いた以外は実施例6と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-26を得た。
【0159】
<実施例21>
シート-5の代わりにシート-21を用いた以外は実施例8と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-27を得た。
【0160】
<実施例22>
実施例9の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-12を用いた以外は実施例14と同様の方法でスライスし、厚さ0.19mmのB層単層のシート-23(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.06mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成であるシート-24を得た。
【0161】
シート-7の代わりにシート-23を用いた以外は実施例9と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-28を得た。
【0162】
<実施例23>
実施例10の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-14を用いた以外は実施例14と同様の方法でスライスし、厚さ0.18mmのB層単層のシート-25(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.07mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成であるシート-26を得た。
【0163】
シート-9の代わりにシート-25を用いた以外は実施例10と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-29を得た。
【0164】
<実施例24>
実施例11の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-16を用いた以外は実施例14と同様の方法でスライスし、厚さ0.17mmのB層単層のシート-27(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.10mm/0.21mm/0.27mm)という3層構成であるシート-28を得た。
【0165】
シート-11の代わりにシート-27を用いた以外は実施例11と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-30を得た。
【0166】
<実施例25>
シート-11の代わりにシート-27を用いた以外は実施例12と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-31を得た。
【0167】
<実施例26>
実施例13において得られた表面温度が13℃のシート-14を用い、B層のうち実施例13においてシート-13がスライスされた層と反対側の層、すなわち0.30mmの厚さがある層の表面が盤面に接するように設置した。実施例13と同様の方法を用いてスライスし、厚さ0.23mmのB層単層のシート-32(目視で確認したところ、A層の付着は見られなかった)と、B層/A層/B層(0.07mm/0.15mm/0.07mm)という3層構成であるシート-33を得た。
【0168】
100質量部のシート-13の代わりに50質量部のシート-13と50質量部のシート-32とを用いた以外は実施例1と同様の方法を用いて、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-34を得た。
【0169】
<比較例1>
PVB-1を100質量部、可塑剤としてトリエチレングリコール-ジ2-エチルヘキサノエート60質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度170℃、吐出量2.5kg/時の条件で、185℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂として実施例1の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-1を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量10kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.30mm/0.15mm/0.30mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-35を得た。
【0170】
<比較例2>
TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.4kg/時の条件で、210℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂として実施例5の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-6を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度200℃、吐出量8.3kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-36を得た。
【0171】
<比較例3>
TPE-1を100質量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.1質量部、紫外線吸収剤として2-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)-6-tert-ブチル-p-クレゾール0.2質量部を配合したa層用の組成物を、20mmφベント式二軸押出機を用いて、温度220℃、吐出量3.6kg/時の条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅400mm)に導入した。一方、b層用の樹脂として実施例6の[i]における合わせガラス用中間膜(1)-8を100質量部、26mmφベント式二軸押出機を用いて、温度190℃、吐出量7.2kg/時の条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、表面温度を15℃とした2つの金属エンボスロールによってニップし、引き取り速度0.5m/minで、b層/a層/b層(0.25mm/0.25mm/0.25mm)という3層構成となる、厚さ0.75mmの合わせガラス用中間膜(2)-37を得た。
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
実施例1~26からわかるように、合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離し、分離したA層を含む層および/またはB層を含む層を少なくとも原料として製造した合わせガラス用中間膜(2)は、合わせガラス作製時のヘイズが合わせガラス用中間膜(1)と同等である。一方で、比較例1~3からわかるように、合わせガラス用中間膜(1)からA層を含む層とB層を含む層とを分離せずに、合わせガラス用中間膜(1)のまま再利用して製造した合わせガラス用中間膜(2)は、合わせガラス作製時のヘイズが大きく、透明性に劣る。すなわち、本発明の合わせガラス用中間膜の再利用方法は、再利用前の透明性を維持した合わせガラス用中間膜が得られるため、有用な方法である。
【符号の説明】
【0176】
1 刃
2 スリット
3 盤面
4 合わせガラス用中間膜(1)
h 盤面からの刃の突出高さ