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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/357 20110101AFI20220905BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
H04N5/357 700
H04N5/225 300
H01L25/00 B
H01L25/08 Y
H01L27/146 F
H01L27/146 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019532507
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2018026427
(87)【国際公開番号】W WO2019021852
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2017145364
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】宮本 宗
(72)【発明者】
【氏名】秋山 義行
(72)【発明者】
【氏名】角田 純一
(72)【発明者】
【氏名】児島 秀一
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/198913(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/181874(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152577(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149845(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/357
H04N 5/225
H01L 25/00
H01L 25/065
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、
第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板と
を備え、
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が略90度異なるように構成される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、少なくとも一部の領域において遮光構造を成す
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、プラスの電源に接続される配線を含み、他方の導体は、マイナスの電源またはGNDに接続される配線を含む
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、面状導体を含む
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、網目状導体を含む
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の導体層を形成する導体は面状導体を含み、
前記第2の導体層を形成する導体は網目状導体を含み、
前記第1の導体層は、前記第2の導体層よりも前記第1の半導体基板に近い位置関係である
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記網目状導体の少なくとも一部の領域において、導体領域の導体幅と間隙領域の間隙幅とが、
導体幅≧間隙幅
の関係である
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の導体層を形成する導体が第1の網目状導体を含み、
前記第2の導体層を形成する導体が第2の網目状導体を含み、
前記第1の網目状導体の導体周期と前記第2の網目状導体の導体周期とが略同一である
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の網目状導体の導体幅と前記第2の網目状導体の導体幅とが異なる
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記網目状導体の、導体でない間隙領域の少なくとも一部に、他の導体が配置された
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の導体層は、前記間隙領域の少なくとも一部に、前記他の導体が配置された前記網目状導体を有し、
前記他の導体が、前記第1の導体層を形成する導体の少なくとも一部に接続された
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記網目状導体の第1の方向の抵抗値と、前記第1の方向に直交する第2の方向の抵抗値とが異なる
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の半導体基板は、光を受光する画素を有し、
選択される前記画素の位置により、前記第1の導体ループの実効的な形状が変化し得る
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の導体ループは、前記画素、前記画素が出力する画素信号が流れる信号線、及び、前記画素に対する制御信号が流れる制御線を含む導体ループである
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1の方向の抵抗値よりも前記第2の方向の抵抗値が低い前記網目状導体に接続される電極である複数のパッドをさらに備え、
前記複数のパッドは、前記第1の方向に密に配置される
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1の方向の抵抗値よりも前記第2の方向の抵抗値が低い前記網目状導体に接続される電極である複数のパッドをさらに備え、
前記複数のパッドは、前記第2の方向に密に配置される
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項18】
隣接して配置された少なくとも一部の前記パッドどうしの極性が異なる
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項19】
対向して配置された少なくとも一部の前記パッドどうしの極性が等しい
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項20】
第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、
第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板と
を備え、
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される
半導体装置
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体装置および電子機器に関し、特に、信号に生じ得るノイズを抑制できるようにした半導体装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサに代表される固体撮像装置においては、各画素が生成する画素信号に対して、固体撮像装置の内部の構成に起因してノイズが生じ得る。
【0003】
例えば、固体撮像装置の内部に存在するトランジスタやダイオード等の能動素子には微細なホットキャリア発光を生じるものが有り、このホットキャリア発光が画素に形成された光電変換部に漏れ込んだ場合、画素信号にノイズが生じることになる。
【0004】
能動素子から生じたホットキャリア発光に起因するノイズを抑制する方法としては、能動素子と光電変換部の間の形成されている配線に遮光構造を持たせる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、例えば、固体撮像装置の内部の構成に起因して生じた磁界による誘導起電力によって画素信号にノイズ(誘導性ノイズ)が生じることがある。具体的には、ある画素から画素信号を読み出す際に、画素信号を読み出す画素を選択するための制御信号が伝達される制御線と、選択された画素から読み出された画素信号が伝達される信号線とから導体ループが画素アレイ上に形成される。
【0006】
そして、制御線と信号線から成る導体ループの近傍に配線が存在すると、その配線に流れる電流変化により導体ループを通過する磁束が発生し、これにより導体ループに誘導起電力が発生して画素信号に誘導性ノイズが生じることがある。以下、近傍の配線に流れる電流変化により磁束が発生し、それにより誘導起電力が発生する導体ループをVictim導体ループと称することにする。
【0007】
電子機器の内部における誘導性ノイズを抑制する方法としては、電子機器内部で磁束を生じさせていた配線を、2層の網目状配線とすることにより、発生していた磁束を打ち消す方法が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2013/115075
【文献】特開2014-57426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ただし、上述した特許文献2に記載の発明では、誘導性ノイズは抑制できるが、ホットキャリア発光を遮光することについては考慮されていなかった。
【0010】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、信号におけるノイズの発生をより効果的に抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の第1の側面の半導体装置は、第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板とを備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される。
【0012】
本技術の第2の側面の電子機器は、第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板とを備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される半導体装置を備える。
【0013】
本技術の第1及び2の側面においては、第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板とが設けられ、前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本技術の第1の側面によれば、信号におけるノイズの発生を抑制することができる。
【0015】
本技術の第2の側面によれば、信号におけるノイズの発生を抑制することができる。
【0016】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】導体ループの変化による誘導起電力の変化を説明する図である。
図2】本技術を適用した固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図3】画素・アナログ処理部の主な構成要素例を示すブロック図である。
図4】画素アレイの詳細な構成例を示す図である。
図5】画素の構成例を示す回路図である。
図6】固体撮像装置の断面構造例を示すブロック図である。
図7】能動素子群が形成された領域から成る回路ブロックの平面配置例を示す概略構成図である。
図8】遮光構造による遮光対象領域と、能動素子群の領域および緩衝領域との位置関係例を示す図である。
図9】導体層A及びBの第1の比較例を示す図である。
図10】第1の比較例に流れる電流条件を示す図である。
図11】第1の比較例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図12】導体層A及びBの第1の構成例を示す図である。
図13】第1の構成例に流れる電流条件を示す図である。
図14】第1の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図15】導体層A及びBの第2の構成例を示す図である。
図16】第2の構成例に流れる電流条件を示す図である。
図17】第2の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図18】導体層A及びBの第2の比較例を示す図である。
図19】第2の比較例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図20】導体層A及びBの第3の比較例を示す図である。
図21】第3の比較例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図22】導体層A及びBの第3の構成例を示す図である。
図23】第3の構成例に流れる電流条件を示す図である。
図24】第3の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図25】導体層A及びBの第4の構成例を示す図である。
図26】導体層A及びBの第5の構成例を示す図である。
図27】導体層A及びBの第6の構成例を示す図である。
図28】第4乃至第6の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図29】導体層A及びBの第7の構成例を示す図である。
図30】第7の構成例に流れる電流条件を示す図である。
図31】第7の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図32】導体層A及びBの第8の構成例を示す図である。
図33】導体層A及びBの第9の構成例を示す図である。
図34】導体層A及びBの第10の構成例を示す図である。
図35】第8乃至第10の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図36】導体層A及びBの第11の構成例を示す図である。
図37】第11の構成例に流れる電流条件を示す図である。
図38】第11の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図39】導体層A及びBの第12の構成例を示す図である。
図40】導体層A及びBの第13の構成例を示す図である。
図41】第12及び第13の構成例に対応する誘導性ノイズのシミュレーション結果を示す図である。
図42】半導体基板におけるパッドの第1の配置例を示す平面図である。
図43】半導体基板におけるパッドの第2の配置例を示す平面図である。
図44】半導体基板におけるパッドの第3の配置例を示す平面図である。
図45】X方向とY方向とで抵抗値が異なる導体の例を示す図である。
図46】導体層A及びBの第2の構成例のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図47】導体層A及びBの第5の構成例のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図48】導体層A及びBの第6の構成例のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図49】導体層A及びBの第2の構成例のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図50】導体層A及びBの第5の構成例のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図51】導体層A及びBの第6の構成例のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図52】導体層A及びBの第2の構成例のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図53】導体層A及びBの第5の構成例のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図54】導体層A及びBの第6の構成例のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図55】導体層A及びBの第2の構成例のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図56】導体層A及びBの第5の構成例のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図57】導体層A及びBの第6の構成例のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。
図58】導体層A及びBの各構成例を形成する網目状導体の変形例を示す図である。
図59】レイアウト自由度の向上を説明するための図である。
図60】電圧降下(IR-Drop)の低減を説明するための図である。
図61】電圧降下(IR-Drop)の低減を説明するための図である。
図62】容量性ノイズの低減を説明するための図である。
図63】固体撮像装置を成す第1の半導体基板と第2の半導体基板とのパッケージ積層例を示す図である。
図64】撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図65】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図66】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図67】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図68】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図69】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序で行なう。
1.Victim導体ループと磁束
2.本技術の実施の形態である固体撮像装置の構成例
3.ホットキャリア発光に対する遮光構造
4.導体層A及びBの構成例
5.導体層A及びBが形成される半導体基板における電極の配置例
6.導体層A及びBの構成例の変形例
7.網目状導体の変形例
8.様々な効果
9.応用例
10.撮像装置の構成例
11.体内情報取得システムへの応用例
12.内視鏡手術システムへの応用例
13.移動体への応用例
【0019】
<1.Victim導体ループと磁束>
例えば、CMOSイメージセンサ等の固体撮像装置(半導体装置)において電源配線の近傍にVictim導体ループが形成される回路が存在する場合、Victim導体ループのループ面内を通過する磁束が変化すると、Victim導体ループに発生する誘導起電力が変化し、画素信号にノイズが発生することがあった。なお、Victim導体ループは、少なくとも一部に導体を含んで形成されていればよい。また、Victim導体ループが全て導体で形成されていてもよい。
【0020】
ここで、Victim導体ループ(第1の導体ループ)とは、近傍で生じた磁界強度の変化に影響を受ける側の導体ループを指す。一方、Victim導体ループの近傍に存在し、流れる電流の変化によって磁界強度に変化を生じさせ、Victim導体ループに対して影響を及ぼす側の導体ループをAggressor導体ループ(第2の導体ループ)と称する。
【0021】
図1は、Victim導体ループの変化による誘導起電力の変化を説明する図である。例えば、図1に示されるCMOSイメージセンサ等の固体撮像装置は、ピクセル基板10とロジック基板20とが、上からその順に積層されて構成される。図1の固体撮像装置においては、ピクセル基板10の画素領域にVictim導体ループ11(11A,11B)の少なくとも一部が形成され、そのピクセル基板10に積層されるロジック基板20の、このVictim導体ループ11の近傍には、(デジタル)電源を供給するための電源配線21が形成される。
【0022】
そして、ピクセル基板10上のVictim導体ループ11のループ面内には、この配線21による磁束が通過し、それによってVictim導体ループ11に誘導起電力が発生する。
【0023】
なお、Victim導体ループ11に発生する誘導起電力Vemfは次式(1)および(2)によって算出できる。なお、Φは磁束、Hは磁界強度、μは透磁率、SはVictim導体ループ11の面積をそれぞれ示す。
【0024】
【数1】
・・・(1)
【数2】
・・・(2)
【0025】
ピクセル基板10の画素領域に形成されるVictim導体ループ11のループ経路は、画素信号を読み出す読み出し対象画素として選択される画素の位置によって変わる。図1の例の場合、画素Aが選択された際に形成されるVictim導体ループ11Aのループ経路は、画素Aと異なる位置の画素Bが選択された際に形成されるVictim導体ループ11Bのループ経路と異なる。換言すると、選択される画素の位置によって、導体ループの実効的な形状が変化する。
【0026】
このようにVictim導体ループ11のループ経路が変化すると、Victim導体ループのループ面内を通過する磁束が変化し、それによってVictim導体ループに発生する誘導起電力が大きく変化することがあった。また、その誘導起電力の変化により、画素から読み出される画素信号にノイズ(誘導性ノイズ)が生じることがあった。そして、この誘導性ノイズにより、撮像画像に縞状の画像ノイズが発生することがあった。つまり、撮像画像の画質が低減することがあった。
【0027】
そこで、本開示では、Victim導体ループおける誘導起電力による誘導性ノイズの発生を抑制する技術を提案する。
【0028】
<2.本技術の実施の形態である固体撮像装置(半導体装置)の構成例>
図2は、本技術の実施の形態である固体撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【0029】
図2に示される固体撮像装置100は、被写体からの光を光電変換して画像データとして出力するデバイスである。例えば、固体撮像装置100は、CMOSを用いた裏面照射型CMOSイメージセンサ等として構成される。
【0030】
図2に示されるように、固体撮像装置100は、第1の半導体基板101と第2の半導体基板102とが積層されて構成される。
【0031】
第1の半導体基板101には、画素やアナログ回路等を有する画素・アナログ処理部111が形成されている。第2の半導体基板102には、デジタル回路等を有するデジタル処理部112が形成されている。
【0032】
第1の半導体基板101および第2の半導体基板102は、互いに絶縁された状態で重畳される。つまり、画素・アナログ処理部111の構成と第2の半導体基板102の構成とは、基本的に互いに絶縁されている。なお、図示を省略しているが、画素・アナログ処理部111に形成される構成と、デジタル処理部112に形成される構成とは、必要に応じて(必要な部分が)、例えば、導体ビア(VIA)、シリコン貫通ビア(TSV)、Cu-Cu接合、Au-Au接合、若しくは、Al-Al接合等の同種金属接合、Cu-Au接合、Cu-Al接合、若しくは、Au- Al接合等の異種金属接合、または、ボンディングワイヤ等を介して互いに電気的に接続される。
【0033】
なお、図2においては、積層された2層の基板からなる固体撮像装置100を例に説明したが、固体撮像装置100を構成する基板の積層数は任意である。例えば単層であってもよいし、3層以上であってもよい。以下においては、図2の例のように2層の基板により構成される場合について説明する。
【0034】
図3は、画素・アナログ処理部111に形成される主な構成要素例を示すブロック図である。
【0035】
図3に示されるように、画素・アナログ処理部111には、画素アレイ121、A/D変換部122、および垂直走査部123等が形成される。
【0036】
画素アレイ121は、フォトダイオード等の光電変換素子をそれぞれ有する複数の画素131(図4)が縦横に配置されている。
【0037】
A/D変換部122は、画素アレイ121の各画素131から読み出されたアナログ信号等をA/D変換し、その結果得られるデジタルの画素信号を出力する。
【0038】
垂直走査部123は、画素アレイ121の各画素131のトランジスタ(図5の転送トランジスタ142等)の動作を制御する。つまり、画素アレイ121の各画素131に蓄積された電荷は、垂直走査部123に制御されて読み出され、画素信号として、単位画素のカラム毎に信号線132(図4)を介してA/D変換部122に供給され、A/D変換される。
【0039】
A/D変換部122は、そのA/D変換結果(デジタルの画素信号)を、画素131のカラム毎に、デジタル処理部112に形成されるロジック回路(図示せず)に供給する。
【0040】
図4は、画素アレイ121の詳細な構成例を示す図である。画素アレイ121には、画素131-11乃至131-MNが形成されている(M,Nは任意の自然数)。すなわち、画素アレイ121には、M行N列の画素131が行列状(アレイ状)に配置されている。以下、画素131-11乃至131-MNを個々に区別する必要が無い場合、画素131と称する。
【0041】
画素アレイ121には、信号線132-1乃至132-Nと、制御線133-1乃至133-Mが形成されている。以下、信号線132-1乃至132-Nを個々に区別する必要が無い場合、信号線132と称し、制御線133-1乃至133-Mを個々に区別する必要が無い場合、制御線133と称する。
【0042】
画素131には、カラム(列)毎に、そのカラムに対応する信号線132が接続されている。また、画素131には、行毎に、その行に対応する制御線133に接続されている。画素131に対しては、制御線133を介して、垂直走査部123からの制御信号が伝送される。
【0043】
画素131からは、信号線132を介して、アナログの画素信号がA/D変換部122に出力される。
【0044】
次に、図5は、画素131の構成例を示す回路図である。画素131は、光電変換素子としてのフォトダイオード141、転送トランジスタ142、リセットトランジスタ143、増幅トランジスタ144、およびセレクトトランジスタ145を有する。
【0045】
フォトダイオード141は、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード141のアノード電極はGNDに接続され、カソード電極は転送トランジスタ142を介してフローティングディフュージョン(FD)に接続される。もちろん、フォトダイオード141のカソード電極が電源に接続され、アノード電極が転送トランジスタ142を介してフローティングディフュージョンに接続され、光電荷を光正孔として読み出す方式としてもよい。
【0046】
転送トランジスタ142は、フォトダイオード141からの光電荷の読み出しを制御する。転送トランジスタ142は、ドレイン電極がフローティングディフュージョンに接続され、ソース電極がフォトダイオード141のカソード電極に接続される。また、転送トランジスタ142のゲート電極には、垂直走査部123(図3)から供給される転送制御信号TRGを伝送する転送制御線が接続される。転送制御信号TRG(すなわち、転送トランジスタ142のゲート電位)がオフ状態のとき、フォトダイオード141からの光電荷の転送が行われない(フォトダイオード141において光電荷が蓄積される)。転送制御信号TRG(すなわち、転送トランジスタ142のゲート電位)がオン状態のとき、フォトダイオード141に蓄積された光電荷がフローティングディフュージョンに転送される。
【0047】
リセットトランジスタ143は、フローティングディフュージョンの電位をリセットする。リセットトランジスタ143は、ドレイン電極が電源電位に接続され、ソース電極がフローティングディフュージョンに接続される。また、リセットトランジスタ143のゲート電極には、垂直走査部123から供給されるリセット制御信号RSTを伝送するリセット制御線が接続される。リセット制御信号RST(すなわち、リセットトランジスタ143のゲート電位)がオフ状態のとき、フローティングディフュージョンは電源電位と切り離されている。リセット制御信号RST(すなわち、リセットトランジスタ143のゲート電位)がオン状態のとき、フローティングディフュージョンの電荷が電源電位に排出されて、フローティングディフュージョンがリセットされる。
【0048】
増幅トランジスタ144は、フローティングディフュージョンの電圧に応じた電気信号(アナログ信号)を出力する(電流を流す)。増幅トランジスタ144は、ゲート電極がフローティングディフュージョンに接続され、ドレイン電極が(ソースフォロワ)電源電圧に接続され、ソース電極がセレクトトランジスタ145のドレイン電極に接続されている。例えば、増幅トランジスタ144は、リセットトランジスタ143によってリセットされたフローティングディフュージョンの電圧に応じた電気信号としてのリセット信号(リセットレベル)を画素信号としてセレクトトランジスタ145に出力する。また、増幅トランジスタ144は、転送トランジスタ142によって光電荷が転送されたフローティングディフュージョンの電圧に応じた電気信号としての光蓄積信号(信号レベル)を画素信号としてセレクトトランジスタ145に出力する。
【0049】
セレクトトランジスタ145は、増幅トランジスタ144から供給される電気信号の信号線(VSL)132(すなわち、A/D変換部122)への出力を制御する。セレクトトランジスタ145は、ドレイン電極が増幅トランジスタ144のソース電極に接続され、ソース電極が信号線132に接続されている。また、セレクトトランジスタ145のゲート電極には、垂直走査部123から供給されるセレクト制御信号SELを伝送するセレクト制御線が接続される。セレクト制御信号SEL(すなわち、セレクトトランジスタ145のゲート電位)がオフ状態のとき、増幅トランジスタ144と信号線132は電気的に切り離されている。したがって、この状態のとき、当該画素131から画素信号としてのリセット信号や光蓄積信号が出力されない。セレクト制御信号SEL(すなわち、セレクトトランジスタ145のゲート電位)がオン状態のとき、当該画素131が選択状態となる。つまり、増幅トランジスタ144と信号線132が電気的に接続され、増幅トランジスタ144から出力される画素信号としてのリセット信号や光蓄積信号が、垂直信号線132を介してA/D変換部122に供給される。すなわち、当該画素131から画素信号としてのリセット信号や光蓄積信号が読み出される。
【0050】
なお、画素131の構成は任意であり、図5の例に限定されない。
【0051】
以上のように構成される画素・アナログ処理部111においては、画素信号としてのアナログ信号の読み出しの対象として画素131が選択されると、上述した各種トランジスタを制御する制御線133や、信号線132、電源配線(アナログ電源配線、デジタル電源配線)等により、様々なVictim導体ループ(ループ形状(環状)の導体)が形成される。このVictim導体ループのループ面内に、近傍の配線等から発生する磁束が通過することにより誘導起電力が発生する。
【0052】
Victim導体ループとしては、制御線133または信号線132の少なくとも一方の一部の配線を含んでいればよい。また、制御線133の一部を含むVictim導体ループと、信号線132の一部を含むVictim導体ループとがそれぞれ独立のVictim導体ループとして存在してもよい。さらに、Victim導体ループは、その一部または全部が第2の半導体基板102に含まれていてもよい。さらに、Victim導体ループは、ループ経路が可変であってもよいし、固定であってもよい。
【0053】
Victim導体ループを成す制御線133と信号線132の配線方向は互いに略直交することが望ましいが、互いに略平行であってもよい。
【0054】
なお、他の導体ループの近傍に存在する導体ループは、Victim導体ループになり得る。例えば、近傍のAggressorループに流れる電流の変化によって磁界強度に変化が生じても、影響を受けない導体ループであっても、Victim導体ループとなり得る。
【0055】
Victim導体ループでは、その近傍に存在する配線(Aggressor導体ループ)に高周波信号が流れて、Aggressor導体ループの周辺の磁界強度が変化すると、その影響によりVictim導体ループに誘導起電力が生じ、Victim導体ループにノイズが発生することがあった。特に、Victim導体ループの近傍に、互いに同一の方向に電流が流れる配線が密集する場合、磁界強度の変化が大きくなり、Victim導体ループに発生する誘導起電力(すなわちノイズ)も大きくなる。
【0056】
そこで、本開示では、Aggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向を調整し、その磁界がAggressor導体ループを通過させないようにする。
【0057】
<3.ホットキャリア発光に対する遮光構造>
図6は、固体撮像装置100の断面構造例を示す図である。
【0058】
上述したように、固体撮像装置100は、第1の半導体基板101と、第2の半導体基板102とが積層されて構成される。
【0059】
第1の半導体基板101には、例えば、光電変換部となるフォトダイオード141と、複数の画素トランジスタ(図5の転送トランジスタ142乃至セレクトトランジスタ145)とからなる画素単位が2次元的に複数配列された画素アレイが形成される。
【0060】
フォトダイオード141は、例えば、半導体基体152に形成されたウェル領域内にn型半導体領域と基体表面側(図中、下側)のp型半導体領域を有して形成される。半導体基体152上には、複数の画素トランジスタ(図5の転送トランジスタ142乃至セレクトトランジスタ145)が形成される。
【0061】
半導体基体152の表面側には、層間絶縁膜を介して複数層の配線が配置された多層配線層153が形成される。配線は、例えば銅配線で形成される。画素トランジスタ及び垂直走査部123等は、異なる配線層の配線同士が、配線層間を貫通する接続導体により所要箇所で接続される。半導体基体152の裏面(図中、上側の面)上には、例えば、反射防止膜、所定領域を遮光する遮光膜、及び、各フォトダイオード141に対応する位置に設けられたカラーフィルタやマイクロレンズ等の光学部材155が形成される。
【0062】
一方、第2の半導体基板102には、デジタル処理部112(図2)としてのロジック回路が形成される。ロジック回路は、例えば、半導体基体162のp型の半導体ウェル領域に形成された、複数のMOSトランジスタ164からなる。
【0063】
さらに、半導体基体162上には、層間絶縁膜を介して配線が配置された配線層を複数備える多層配線層163が形成される。図6では、多層配線層163を形成する複数の配線層のうちの2層の配線層(配線層165A,165B)を示している。
【0064】
固体撮像装置100においては、配線層165Aおよび配線層165Bによって遮光構造151を成している。
【0065】
ここで、第2の半導体基板102において、MOSトランジスタ164等の能動素子が形成されている領域を能動素子群167とする。第2の半導体基板102では、例えば、複数のnMOSトランジスタやpMOSトランジスタ等の能動素子を組み合わせて一つの機能を実現するための回路が構成される。そして、この能動素子群167が形成された領域を、回路ブロック(図7の回路ブロック202乃至204に相当)とする。なお、第2の半導体基板102に形成される能動素子としては、MOSトランジスタ164以外にダイオード等も存在し得る。
【0066】
そして、第2の半導体基板102の多層配線層163において、配線層165Aと配線層165Bから成る遮光構造151が、能動素子群167とフォトダイオード141との間に存在することにより、能動素子群167から発生するホットキャリア発光がフォトダイオード141に漏れ込むことを抑制している(詳細は後述する)。
【0067】
以下、遮光構造151を成す配線層165Aと配線層165Bのうち、フォトダイオード141等が形成された第1の半導体基板101に近い方の配線層165Aを導体層A(第1の導体層)と称することにする。また、能動素子群167に近い方の配線層165Bを導体層B(第2の導体層)と称することにする。
【0068】
ただし、フォトダイオード141等が形成された第1の半導体基板101に近い方の配線層165Aを導体層B、能動素子群167に近い方の配線層165Bを導体層Aとしてもよい。さらに、導体層A及びBの間には、絶縁層、半導体層、他の導体層等のいずれかが設けられていてもよい。また、導体層A及びBの間以外にも、絶縁層、半導体層、他の導体層等のいずれかが設けられていてもよい。
【0069】
導体層Aや導体層Bは、回路基板や半導体基板や電子機器の中で最も電流の流れやすい導体層であることが望ましいが、その限りではない。
【0070】
導体層Aと導体層Bの一方が、回路基板や半導体基板や電子機器の中で1番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、回路基板や半導体基板や電子機器の中で2番目に電流の流れやすい導体層であることが望ましいが、その限りではない。
【0071】
導体層Aと導体層Bの一方が、回路基板や半導体基板や電子機器の中で最も電流の流れにくい導体層ではないことが望ましいが、その限りではない。導体層Aと導体層Bの両方が、回路基板や半導体基板や電子機器の中で最も電流の流れにくい導体層ではないことが望ましいが、その限りではない。
【0072】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101の中で1番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第1の半導体基板101の中で2番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0073】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第2の半導体基板102の中で1番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第2の半導体基板102の中で2番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0074】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101の中で1番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第2の半導体基板102の中で1番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0075】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101の中で1番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第2の半導体基板102の中で2番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0076】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101の中で2番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第2の半導体基板102の中で1番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0077】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101の中で2番目に電流の流れやすい導体層であり、他方が、第2の半導体基板102の中で2番目に電流の流れやすい導体層であってもよい。
【0078】
例えば、導体層Aと導体層Bの一方が、第1の半導体基板101または第2の半導体基板102の中で最も電流の流れにくい導体層ではなくてもよい。
【0079】
例えば、導体層Aと導体層Bの両方が、第1の半導体基板101または第2の半導体基板102の中で最も電流の流れにくい導体層ではなくてもよい。
【0080】
なお、上述した1番目は、3番目や4番目やN番目(Nは正数)として置き換え可能であり、上述した2番目も、3番目や4番目やN番目(Nは正数)として置き換え可能である。
【0081】
なお、上述した回路基板や半導体基板や電子機器の中で電流の流れやすい導体層は、回路基板の中で電流の流れやすい導体層、半導体基板の中で電流の流れやすい導体層、電子機器の中で電流の流れやすい導体層、の何れかであると考えてもよい。また、上述した回路基板や半導体基板や電子機器の中で電流の流れにくい導体層は、回路基板の中で電流の流れにくい導体層、半導体基板の中で電流の流れにくい導体層、電子機器の中で電流の流れにくい導体層、の何れかであると考えてもよい。また、上述した電流の流れやすい導体層をシート抵抗の低い導体層とし、電流の流れにくい導体層をシート抵抗の高い導体層としても、それぞれ置き換え可能である。
【0082】
なお、導体層A及びBに用いる導体の材料としては、銅、アルミ、タングステン、クロム、ニッケル、タンタル、モリブデン、チタン、金、銀、鉄等の金属、若しくは、これらの何れかを少なくとも含む混合物や化合物が主に用いられる。また、シリコン、ゲルマニウム、化合物半導体、有機半導体等の半導体が含まれていてもよい。さらに、綿、紙、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、合成樹脂、マイカ、石綿、ガラス繊維、磁器等の絶縁体が含まれていてもよい。
【0083】
遮光構造151を成す導体層A及びBは、電流が流されることによってAggressor導体ループと成り得る。
【0084】
次に、遮光構造151によって遮光される領域(遮光対象領域)について説明する。
【0085】
図7は、半導体基体162における、能動素子群167が形成された領域から成る回路ブロックの平面配置例を示す概略構成図である。
【0086】
図7のAは、複数の回路ブロック202乃至204が一括して遮光構造151による遮光対象領域とされる場合の例であり、回路ブロック202,203および204の全てを含む領域205が遮光対象領域となる。
【0087】
図7のBは、複数の回路ブロック202乃至204が個別に遮光構造151による遮光対象領域とされる場合の例であり、回路ブロック202,203、および204のそれぞれを含む領域206,207、および208が個別に遮光対象領域となり、領域206乃至208以外の領域209が遮光非対象領域とされる。
【0088】
図7のBに示した例の場合、遮光構造151を成す導体層A及びBのレイアウトの自由度が制限されることを回避することができる。しかしながら、導体層A及びBのレイアウトが複雑化するため、導体層A及びBのレイアウトを設計するために多大な労力が必要となる。
【0089】
遮光構造151を成す導体層A及びBのレイアウトを容易に設計するためには、図7のAに示した例を採用し、複数の回路ブロックを一括して遮光対象領域とすることが望ましい。
【0090】
そこで、本開示では、導体層A及びBのレイアウトの自由度が制限されることを回避しつつ、レイアウトを容易に設計できる導体層A及びBの構造を提案する。
【0091】
なお、本実施の形態における遮光対象領域には、ホットキャリア発光の発光源となる能動素子群167の領域を表す回路ブロックに加えて、回路ブロックの周辺にも遮光対象領域となるように緩衝領域を設けるようにする。回路ブロックの周囲に緩衝領域を設けることにより、回路ブロックから斜め方向に射出されるホットキャリア発光がフォトダイオード141に漏れ込むことを抑止できる。
【0092】
図8は、遮光構造151による遮光対象領域と、能動素子群の領域および緩衝領域との位置関係例を示す図である。
【0093】
図8に示す例では、能動素子群167が形成された領域と、能動素子群167の周囲の緩衝領域191が遮光対象領域194としており、遮光対象領域194に対向するように、遮光構造151が形成される。
【0094】
ここで、能動素子群167から遮光構造151までの長さを層間距離192とする。また、能動素子群167の端部から配線による遮光構造151の端部までの長さを緩衝領域幅193とする。
【0095】
遮光構造151は、緩衝領域幅193が、層間距離192よりも大きくなるように形成する。これにより、点光源として発生するホットキャリア発光の斜め成分についても遮光することが可能となる。
【0096】
なお、緩衝領域幅193の適切な値は、遮光構造151と能動素子群167との層間距離192に依存して変わる。例えば、層間距離192が長い場合、能動素子群167からのホットキャリア発光の斜め成分を十分に遮蔽できるように緩衝領域191を大きく設ける必要がある。一方、層間距離192が短い場合、緩衝領域191を大きく設けなくても能動素子群167からのホットキャリア発光を十分に遮光することができる。従って、多層配線層163を構成する複数の配線層のうち、能動素子群167に近い配線層を用いて遮光構造151を形成するようにすれば、導体層A及びBのレイアウトの自由度を向上させることできる。ただし、能動素子群167に近い配線層を用いて遮光構造151を形成することは、能動素子群167に近い配線層のレイアウト制約などにより、難しい場合が多い。本技術では、能動素子群167から遠い配線層を用いて遮光構造151を形成する場合でも、高いレイアウト自由度が得られる。
【0097】
<4.導体層A及びBの構成例>
以下、本技術を適用した固体撮像装置100におけるAggressor導体ループと成り得る、遮光構造151を成す導体層A(配線層165A)および導体層B(配線層165B)の構成例について説明するが、その前に、構成例の比較対象とする比較例について説明する。
【0098】
<第1の比較例>
図9は、遮光構造151を成す導体層A及びBの、後述する複数の構成例と比較するための第1の比較例を示す平面図である。なお、図9のAは導体層Aを、図9のBは導体層Bを示している。図9における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0099】
第1の比較例における導体層Aは、Y方向に長い直線状導体211が、X方向に導体周期FXAで周期的に配置されている。なお、導体周期FXA=X方向の導体幅WXA+X方向の間隙幅GXAである。各直線状導体211は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0100】
第1の比較例における導体層Bは、Y方向に長い直線状導体212が、X方向に導体周期FXBで周期的に配置されている。なお、導体周期FXB=X方向の導体幅WXB+X方向の間隙幅GXBである。各直線状導体212は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。ここで、導体周期FXB=導体周期FXAである。
【0101】
なお、各直線状導体211をVdd配線とし、各直線状導体212をVss配線とするように、導体層A及びBの接続先を入れ替えてもよい。
【0102】
図9のCは、図9のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。第1の比較例の場合、図9のCに示されるように、導体層Aを構成する直線状導体211と、導体層Bを構成する直線状導体212とを重ねて配置した場合に、導体部分が重畳する重複部分が生じるように、直線状導体211,212が形成されるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を十分に遮光することができる。なお、重複部分の幅を重複幅とも称する。
【0103】
図10は、第1の比較例(図9)に流れる電流条件を示す図である。
【0104】
導体層Aを構成する直線状導体211と、導体層Bを構成する直線状導体212に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である直線状導体212に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である直線状導体211に、電流が、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0105】
第1の比較例に、図10に示したように電流が流れる場合、Vss配線である直線状導体211と、Vdd配線である直線状導体212との間には、図10の平面図において、隣接する直線状導体211及び212を含んで形成される、ループ面がXY平面にほぼ平行な導体ループによって、略Z方向の磁束が発生し易くなる。
【0106】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、図10に示されるように信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0107】
さらに、Aggressor導体ループの構成次第では、誘導起電力はVictim導体ループの寸法に比例するので、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0108】
第1の比較例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略Z方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせ易い磁束の方向(Z方向)とが略一致するので、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)が予想される。
【0109】
図11は、第1の比較例を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0110】
図11のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じた画像を示している。図11のBは、図11のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図11のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L1を示している。図11のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0111】
以下、図11のCに示した実線L1を、遮光構造151を成す導体層A及びBの構成例を固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果との比較に用いることにする。
【0112】
<第1の構成例>
図12は、導体層A及びBの第1の構成例を示している。なお、図12のAは導体層Aを、図12のBは導体層Bを示している。図12における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0113】
第1の構成例における導体層Aは、面状導体213から成る。面状導体213は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0114】
第1の比較例における導体層Bは、面状導体214から成る。面状導体214は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0115】
なお、面状導体213をVdd配線とし、各直線状導体214をVss配線とするように、導体層A及びBの接続先を入れ替えてもよい。以降に説明する各構成例においても同様とする。
【0116】
図12のCは、図12のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図12のCにおける斜線が交差するハッチングの領域215は、導体層Aの面状導体213と、導体層Bの面状導体214とが重複する領域を示している。したがって、図12のCの場合は、導体層Aの面状導体213と、導体層Bの面状導体214との全面が重なっていることを示している。第1の構成例の場合、導体層Aの面状導体213と、導体層Bの面状導体214との全面が重なるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を確実に遮光することができる。
【0117】
図13は、第1の構成例(図12)に流れる電流条件を示す図である。
【0118】
導体層Aを構成する面状導体213と、導体層Bを構成する面状導体214に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である面状導体214に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である面状導体213に、電流が、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0119】
第1の構成例に、図13に示したように電流が流れる場合、Vss配線である面状導体213と、Vdd配線である面状導体214との間には、面状導体213及び214が配置された断面において、面状導体213及び214(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0120】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、図13に示されるように信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z軸方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0121】
さらに、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0122】
第1の構成例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略X方向や略Y方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせる磁束の方向(Z方向)とが略直交して略90度異なる。換言すれば、Aggressor導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、Victim導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向とが略90度異なる。そのため、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)は、第1の比較例の場合に比べて少ないことが予想される。
【0123】
図14は、第1の構成例(図12)を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0124】
図14のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じ得る画像を示している。図14のBは、図14のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図14のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L11を示している。図14のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。なお、図14のCの点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。
【0125】
図14のCに示した実線L11と点線L1を比較して明らかなように、第1の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができる。よって、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を抑止することができる。
【0126】
<第2の構成例>
図15は、導体層A及びBの第2の構成例を示している。なお、図15のAは導体層Aを、図15のBは導体層Bを示している。図15における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0127】
第2の構成例における導体層Aは、網目状導体216から成る。網目状導体216におけるX方向の導体幅をWXA、間隙幅をGXA、導体周期をFXA(=導体幅WXA+間隙幅GXA)、端部幅をEXA(=導体幅WXA/2)とする。また、網目状導体216におけるY方向の導体幅をWYA、間隙幅をGYA、導体周期をFYA(=導体幅WYA+間隙幅GYA)、端部幅をEYA(=導体幅WYA/2)とする。網目状導体216は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0128】
第2の構成例における導体層Bは、網目状導体217から成る。網目状導体217におけるX方向の導体幅をWXB、間隙幅をGXB、導体周期をFXB(=導体幅WXB+間隙幅GXB)、端部幅をEXB(=導体幅WXB/2)とする。また、網目状導体217におけるY方向の導体幅をWYB、間隙幅をGYB、導体周期をFYB(=導体幅WYB+間隙幅GYB)、端部幅をEYB(=導体幅WYB/2)とする。網目状導体217は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0129】
なお、網目状導体216と網目状導体217は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WXA=導体幅WYA=導体幅WXB=導体幅WYB
間隙幅GXA=間隙幅GYA=間隙幅GXB=間隙幅GYB
端部幅EXA=端部幅EYA=端部幅EXB=端部幅EYB
導体周期FXA=導体周期FYA=導体周期FXB=導体周期FYB
【0130】
図15のCは、図15のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図15のCにおける斜線が交差するハッチングの領域218は、導体層Aの網目状導体216と、導体層Bの網目状導体217とが重複する領域を示している。第2の構成例の場合、導体層Aを成す網目状導体216の間隙と導体層Bを成す網目状導体217の間隙が一致するので、能動素子群167からのホットキャリア発光を十分に遮光することはできない。ただし、後述するように、誘導性ノイズの発生を抑えることはできる。
【0131】
図16は、第2の構成例(図15)に流れる電流条件を示す図である。
【0132】
導体層Aを構成する網目状導体216と、導体層Bを構成する網目状導体217に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である網目状導体217に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である網目状導体216に、電流が、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0133】
第2の構成例に、図16に示したように電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体216と、Vdd配線である網目状導体217との間には、網目状導体216及び217が配置された断面において、網目状導体216及び217(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0134】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、図16に示されるように信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0135】
さらに、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0136】
第2の構成例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略X方向や略Y方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせる磁束の方向(Z方向)とが略直交して略90度異なる。換言すれば、Aggressor導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、Victim導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向とが略90度異なる。そのため、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)は、第1の比較例に比べて少ないことが予想される。
【0137】
図17は、第2の構成例(図15)を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0138】
図17のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じ得る画像を示している。図17のBは、図17のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図17のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L21を示している。図17のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。なお、図17のCの点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。
【0139】
図17のCに示した実線L21と点線L1を比較して明らかなように、第2の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができる。よって、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を抑止することができる。
【0140】
<第2の比較例>
第2の構成例(図15)では、導体層Aを成す網目状導体216と導体層Bを成す網目状導体217の関係として、導体周期FXA=導体周期FYA=導体周期FXB=導体周期FYBを満たすようにしている。
【0141】
このように、導体層AのX方向の導体周期FXAと、導体層AのY方向の導体周期FYAと、導体層BのX方向の導体周期FXBと、導体層BのX方向の導体周期FYBとを一致させると、誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0142】
図18および図19は、導体層Aと導体層Bの全ての導体周期を一致させると、誘導性ノイズの発生を抑えることができることを説明するための図である。
【0143】
図18のAは、図15に示した第2の構成例と比較するための、第2の構成例を変形した第2の比較例を示している、この第2の比較例は、第2の構成例における導体層Aを成す網目状導体216のX方向の間隙幅GXAとY方向の間隙幅GYAを広げて、X方向の導体周期FXAとY方向の導体周期FYAを、第2の構成例の5倍にしたものである。なお、第2の比較例における導体層Bを成す網目状導体217は、第2の構成例と同じものとする。
【0144】
図18のBは、図15のCに示した第2の構成例を図18のAと同倍率で示したものである。
【0145】
図19は、第2の比較例(図18のA)と、第2の構成例(図18のB)を固体撮像装置100に適用した場合のミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、第2の比較例に流れる電流条件は、図16に示した場合と同様とする。図19の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0146】
図19における実線L21は、第2の構成例に対応し、点線L31は第2の比較例に対応するものである。
【0147】
実線L21と点線L31を比較して明らかなように、第2の構成例は、第2の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0148】
<第3の比較例>
ところで、第2の比較例における導体層Aを成す網目状導体の導体幅を広げた場合にも誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0149】
図20および図21は、導体層Aを成す網目状導体の導体幅を広げると、誘導性ノイズの発生を抑えることができることを説明するための図である。
【0150】
図20のAは、図18のAに示した第2の比較例を再掲したものである。
【0151】
図20のBは、第2の比較例と比べるための、第2の構成例を変形した第3の比較例を示している、この第3の比較例は、第2の構成例における導体層Aを成す網目状導体216のX方向とY方向の導体幅WXA,WYAを第2の構成例の5倍に広げたものである。なお、第3の比較例における導体層Bを成す網目状導体217は、第2の構成例と同じものとする。
【0152】
図21は、第3の比較例と、第2の比較例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、第3の比較例に流れる電流条件は、図16に示した場合と同様とする。図21の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0153】
図21における実線L41は、第3の比較例に対応し、点線L31は第2の比較例に対応するものである。
【0154】
実線L41と点線L31を比較して明らかなように、第3の比較例は、第2の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0155】
<第3の構成例>
次に、図22は、導体層A及びBの第3の構成例を示している。なお、図22のAは導体層Aを、図22のBは導体層Bを示している。図22における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0156】
第3の構成例における導体層Aは、面状導体221から成る。面状導体221は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0157】
第3の構成例における導体層Bは、網目状導体222から成る。網目状導体222におけるX方向の導体幅をWXB、間隙幅をGXB、導体周期をFXB(=導体幅WXB+間隙幅GXB)とする。また、網目状導体222におけるY方向の導体幅をWYB、間隙幅をGYB、導体周期をFYB(=導体幅WYB+間隙幅GYB)、端部幅をEYBとする。網目状導体222は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0158】
なお、網目状導体222は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WXB=導体幅WYB
間隙幅GXB=間隙幅GYB
端部幅EYB=導体幅WYB/2
導体周期FXB=導体周期FYB
【0159】
上述した関係のように、X方向とY方向で導体幅、導体周期、間隙幅を揃えることにより、網目状導体222のX方向とY方向とで配線抵抗や配線インピーダンスが均一になるので、X方向とY方向とで磁界耐性や電圧降下を均等にすることができる。
【0160】
また、端部幅EYBを導体幅WYBの1/2とすることにより、網目状導体222の端部周辺で発生する磁界によってVictim導体ループに生じる誘導起電力を抑制することができる。
【0161】
図22のCは、図22のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図22のCにおける斜線が交差するハッチングの領域223は、導体層Aの面状導体221と、導体層Bの網目状導体222とが重複する領域を示している。第3の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0162】
図23は、第3の構成例(図22)に流れる電流条件を示す図である。
【0163】
導体層Aを構成する面状導体221と、導体層Bを構成する網目状導体222に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である網目状導体222に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である面状導体221に流れる電流は、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0164】
第3の構成例に、図23に示したように電流が流れる場合、Vss配線である面状導体221と、Vdd配線である網目状導体222との間には、面状導体221と網目状導体222が配置された断面において、面状導体221と網目状導体222(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0165】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0166】
さらに、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0167】
第3の構成例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略X方向や略Y方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせる磁束の方向(Z方向)とが略直交して略90度異なる。換言すれば、Aggressor導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、Victim導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向とが略90度異なる。そのため、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)は、第1の比較例に比べて少ないことが予想される。
【0168】
図24は、第3の構成例(図22)を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0169】
図24のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じ得る画像を示している。図24のBは、図24のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図24のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L51を示している。図24のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。なお、図24のCの点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。
【0170】
図24のCに示した実線L51と点線L1を比較して明らかなように、第3の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができる。よって、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を抑止することができる。
【0171】
<第4の構成例>
次に、図25は、導体層A及びBの第4の構成例を示している。なお、図25のAは導体層Aを、図25のBは導体層Bを示している。図25における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0172】
第4の構成例における導体層Aは、網目状導体231から成る。網目状導体231におけるX方向の導体幅をWXA、間隙幅をGXA、導体周期をFXA(=導体幅WXA+間隙幅GXA)、端部幅をEXA(=導体幅WXA/2)とする。また、網目状導体215におけるY方向の導体幅をWYA、間隙幅をGYA、導体周期をFYA(=導体幅WYA+間隙幅GYA)とする。網目状導体231は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0173】
第4の構成例における導体層Bは、網目状導体232から成る。網目状導体232におけるX方向の導体幅をWXB、間隙幅をGXB、導体周期をFXB(=導体幅WXB+間隙幅GXB)とする。また、網目状導体232におけるY方向の導体幅をWYB、間隙幅をGYB、導体周期をFYB(=導体幅WYB+間隙幅GYB)、端部幅をEYB(=導体幅WYB/2)とする。網目状導体232は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0174】
なお、網目状導体231と網目状導体232は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WXA=導体幅WYA=導体幅WXB=導体幅WYB
間隙幅GXA=間隙幅GYA=間隙幅GXB=間隙幅GYB
端部幅EXA=端部幅EYB
導体周期FXA=導体周期FYA=導体周期FXB=導体周期FYB
導体幅WYA=2×重複幅+間隙幅GYA、導体幅WXA=2×重複幅+間隙幅GXA
導体幅WYB=2×重複幅+間隙幅GYB、導体幅WXB=2×重複幅+間隙幅GXB
【0175】
ここで、重複幅とは、導体層Aの網目状導体231と、導体層Bの網目状導体232とを重ねて配置した場合に、導体部分が重複する重複部分の幅である。
【0176】
上述した関係のように、網目状導体231と網目状導体232のX方向とY方向の導体周期を全て揃えることにより、網目状導体231の電流分布と、網目状導体232の電流分布とを略均等、且つ、逆特性にできるので、網目状導体231の電流分布によって生じる磁界と、網目状導体232の電流分布によって生じる磁界とを効果的に相殺できる。
【0177】
また、網目状導体231と網目状導体232のX方向とY方向の導体周期、導体幅、間隙幅を全て揃えることにより、網目状導体231と網目状導体232のX方向とY方向とで配線抵抗や配線インピーダンスが均一になるので、X方向とY方向とで磁界耐性や電圧降下を均等にすることができる。
【0178】
また、網目状導体231の端部幅EXAを導体幅WXAの1/2とすることにより、網目状導体231の端部周辺で発生する磁界によってVictim導体ループに生じる誘導起電力を抑制することができる。また、網目状導体232の端部幅EYBを導体幅WYBの1/2とすることにより、網目状導体231の端部周辺で発生する磁界によってVictim導体ループに生じる誘導起電力を抑制することができる。
【0179】
なお、導体層Aの網目状導体231のX方向に端部を設ける代わりに、導体層Bの網目状導体232のX方向の端部を設けるようにしてもよい。また、導体層Bの網目状導体232のY方向の端部を設ける代わりに、導体層Aの網目状導体231のY方向に端部を設けるようにしてもよい。
【0180】
図25のCは、図25のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図25のCにおける斜線が交差するハッチングの領域233は、導体層Aの網目状導体231と、導体層Bの網目状導体232とが重複する領域を示している。第4の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0181】
ただし、導体層Aの網目状導体231と、導体層Bの網目状導体232とにより、完全にホットキャリア発光を遮光するためには、以下の関係を満たす必要がある。
導体幅WYA≧間隙幅GYA
導体幅WXA≧間隙幅GXA
導体幅WYB≧間隙幅GYB
導体幅WXB≧間隙幅GXB
【0182】
この場合、以下の関係が満たされることになる。
導体幅WYA=2×重複幅+間隙幅GYA
導体幅WXA=2×重複幅+間隙幅GXA
導体幅WYB=2×重複幅+間隙幅GYB
導体幅WXB=2×重複幅+間隙幅GXB
【0183】
第4の構成例に、図23に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体231と、Vdd配線である網目状導体232との間には、網目状導体231及び232が配置された断面において、網目状導体231及び232(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0184】
<第5の構成例>
次に、図26は、導体層A及びBの第5の構成例を示している。なお、図26のAは導体層Aを、図26のBは導体層Bを示している。図26における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0185】
第5の構成例における導体層Aは、網目状導体241から成る。網目状導体241は、第4の構成例(図25)における導体層Aを成す網目状導体231をY方向に導体周期FYA/2だけ移動したものである。網目状導体241は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0186】
第5の構成例における導体層Bは、網目状導体242から成る。網目状導体242は、第4の構成例(図25)における導体層Bを成す網目状導体232と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体242は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0187】
なお、網目状導体241と網目状導体242は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WXA=導体幅WYA=導体幅WXB=導体幅WYB
間隙幅GXA=間隙幅GYA=間隙幅GXB=間隙幅GYB
端部幅EXA=端部幅EYB
導体周期FXA=導体周期FYA=導体周期FXB=導体周期FYB
導体幅WYA=2×重複幅+間隙幅GYA、導体幅WXA=2×重複幅+間隙幅GXA
導体幅WYB=2×重複幅+間隙幅GYB、導体幅WXB=2×重複幅+間隙幅GXB
【0188】
ここで、重複幅とは、導体層Aの網目状導体241と、導体層Bの網目状導体242とを重ねて配置した場合に、導体部分が重複する重複部分の幅である。
【0189】
図26のCは、図26のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図26のCにおける斜線が交差するハッチングの領域243は、導体層Aの網目状導体241と、導体層Bの網目状導体242とが重複する領域を示している。第5の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0190】
また、第5の構成例の場合、網目状導体241と網目状導体242との重複する領域243がX方向に連なる。網目状導体241と網目状導体242との重複する領域243では、網目状導体241と網目状導体242に互いに極性が異なる電流が流れるので、領域243から生じる磁界が互いに打ち消されることになる。よって、領域243付近における誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0191】
第5の構成例に、図23に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体241と、Vdd配線である網目状導体242との間には、網目状導体241及び242が配置された断面において、網目状導体241及び242(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0192】
<第6の構成例>
次に、図27は、導体層A及びBの第6の構成例を示している。なお、図27のAは導体層Aを、図27のBは導体層Bを示している。図27における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0193】
第6の構成例における導体層Aは、網目状導体251から成る。網目状導体251は、第4の構成例(図25)における導体層Aを成す網目状導体231と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体251は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0194】
第6の構成例における導体層Bは、網目状導体252から成る。網目状導体252は、第4の構成例(図25)における導体層Bを成す網目状導体232をX方向に導体周期FXB/2だけ移動したものである。網目状導体252は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0195】
なお、網目状導体251と網目状導体252は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WXA=導体幅WYA=導体幅WXB=導体幅WYB
間隙幅GXA=間隙幅GYA=間隙幅GXB=間隙幅GYB
端部幅EXA=端部幅EYB
導体周期FXA=導体周期FYA=導体周期FXB=導体周期FYB
導体幅WYA=2×重複幅+間隙幅GYA、導体幅WXA=2×重複幅+間隙幅GXA
導体幅WYB=2×重複幅+間隙幅GYB、導体幅WXB=2×重複幅+間隙幅GXB
【0196】
ここで、重複幅とは、導体層Aの網目状導体251と、導体層Bの網目状導体252とを重ねて配置した場合に、導体部分が重複する重複部分の幅である。
【0197】
図27のCは、図27のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図27のCにおける斜線が交差するハッチングの領域253は、導体層Aの網目状導体251と、導体層Bの網目状導体252とが重複する領域を示している。第6の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0198】
第6の構成例に、図23に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体251と、Vdd配線である網目状導体252との間には、網目状導体251及び252が配置された断面において、網目状導体251及び252(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0199】
さらに、第6の構成例の場合、網目状導体251と網目状導体252の重複する領域253がY方向に連なる。この網目状導体251と網目状導体252との重複する領域253では、網目状導体251と網目状導体252に互いに極性が異なる電流が流れるので、領域253から生じる磁界が互いに打ち消されることになる。よって、領域253付近における誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0200】
<第4乃至第6の構成例のシミュレーション結果>
図28は、第4乃至第6の構成例(図25乃至図27)を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、第4乃至第6の構成例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図28の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0201】
図28のAにおける実線L52は、第4の構成例(図25)に対応するものであり、点線L1は第1の比較例(図9)に対応するものである。実線L52と点線L1を比較して明らかなように、第4の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0202】
図28のBにおける実線L53は、第5の構成例(図26)に対応するものであり、点線L1は第1の比較例(図9)に対応するものである。実線L53と点線L1を比較して明らかなように、第5の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0203】
図28のCにおける実線L54は、第6の構成例(図27)に対応するものであり、点線L1は第1の比較例(図9)に対応するものである。実線L54と点線L1を比較して明らかなように、第6の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0204】
また、実線L52乃至L54を比較して明らかなように、第6の構成例は、第4の構成例及び第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化をより抑えることができ、誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0205】
<第7の構成例>
次に、図29は、導体層A及びBの第7の構成例を示している。なお、図29のAは導体層Aを、図29のBは導体層Bを示している。図29における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0206】
第7の構成例における導体層Aは、面状導体261から成る。面状導体261は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0207】
第7の構成例における導体層Bは、網目状導体262と中継導体301から成る。網目状導体262は、第3の構成例(図22)における導体層Bの網目状導体222と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体262は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0208】
中継導体(他の導体)301は、網目状導体262の導体ではない間隙領域に配置されて網目状導体262と電気的に絶縁されており、導体層Aの面状導体261が接続されたVssに接続される。
【0209】
中継導体301の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体301は、網目状導体262の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体301は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体301は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体301は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0210】
図29のCは、図29のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図29のCにおける斜線が交差するハッチングの領域263は、導体層Aの面状導体261と、導体層Bの網目状導体262とが重複する領域を示している。第7の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0211】
また、第7の構成例の場合、中継導体301を設けたことにより、Vss配線である面状導体261を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。面状導体261と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、面状導体261と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0212】
図30は、第7の構成例(図29)に流れる電流条件を示す図である。
【0213】
導体層Aを構成する面状導体261と、導体層Bを構成する網目状導体262に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である網目状導体262に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である面状導体261に、電流が、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0214】
第7の構成例に、図30に示したように電流が流れる場合、Vss配線である面状導体261と、Vdd配線である網目状導体262との間には、面状導体261と網目状導体262が配置された断面において、面状導体261と網目状導体262(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0215】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0216】
さらに、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0217】
第7の構成例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略X方向や略Y方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせる磁束の方向(Z方向)とが略直交して略90度異なる。換言すれば、Aggressor導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、Victim導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向とが略90度異なる。そのため、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)は、第1の比較例に比べて少ないことが予想される。
【0218】
図31は、第7の構成例(図29)を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0219】
図31のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じ得る画像を示している。図31のBは、図31のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図31のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L61を示している。図31のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。なお、図31のCの点線L51は、第3の構成例(図22)に対応するものである。
【0220】
図31のCに示した実線L61と点線L51を比較して明らかなように、第7の構成例は、第3の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を悪化させないことがわかる。すなわち、導体層Bの網目状導体262の間隙に中継導体301が配置された第7の構成例でも、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を、第3の構成例と同じ程度に抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、面状導体261が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体262が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、面状導体261と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体262と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、面状導体261や網目状導体262に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体301を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0221】
<第8の構成例>
次に、図32は、導体層A及びBの第8の構成例を示している。なお、図32のAは導体層Aを、図32のBは導体層Bを示している。図32における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0222】
第8の構成例における導体層Aは、網目状導体271から成る。網目状導体271は、第4の構成例(図25)における導体層Aの網目状導体231と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体271は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0223】
第8の構成例における導体層Bは、網目状導体272と中継導体302から成る。網目状導体272は、第4の構成例(図25)における導体層Bの網目状導体232と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体232は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0224】
中継導体(他の導体)302は、網目状導体272の導体ではない間隙領域に配置されて、網目状導体272と電気的に絶縁されており、導体層Aの網目状導体271が接続されたVssに接続される。
【0225】
なお、中継導体302の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体302は、網目状導体272の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体302は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体302は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体302は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0226】
図32のCは、図32のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図32のCにおける斜線が交差するハッチングの領域273は、導体層Aの網目状導体271と、導体層Bの網目状導体272とが重複する領域を示している。第8の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0227】
第8の構成例に、図30に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体271と、Vdd配線である網目状導体272との間には、網目状導体271及び272が配置された断面において、網目状導体271及び272(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0228】
また、第8の構成例の場合、中継導体302を設けたことにより、Vss配線である網目状導体271を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。網目状導体271と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、網目状導体271と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0229】
<第9の構成例>
次に、図33は、導体層A及びBの第9の構成例を示している。なお、図33のAは導体層Aを、図33のBは導体層Bを示している。図33における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0230】
第9の構成例における導体層Aは、網目状導体281から成る。網目状導体281は、第5の構成例(図26)における導体層Aの網目状導体241と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体281は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0231】
第9の構成例における導体層Bは、網目状導体282と中継導体303から成る。網目状導体282は、第5の構成例(図26)における導体層Bの網目状導体242と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体282は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0232】
中継導体(他の導体)303は、網目状導体282の導体ではない間隙領域に配置されて、網目状導体282と電気的に絶縁されており、導体層Aの網目状導体281が接続されたVssに接続される。
【0233】
なお、中継導体303の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体303は、網目状導体282の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体303は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体303は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体303は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0234】
図33のCは、図33のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図33のCにおける斜線が交差するハッチングの領域283は、導体層Aの網目状導体281と、導体層Bの網目状導体282とが重複する領域を示している。第9の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0235】
第9の構成例に、図30に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体281と、Vdd配線である網目状導体282との間には、網目状導体281及び282が配置された断面において、網目状導体281及び282(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0236】
また、第9の構成例の場合、中継導体303を設けたことにより、Vss配線である網目状導体281を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。網目状導体281と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、網目状導体281と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0237】
<第10の構成例>
次に、図34は、導体層A及びBの第10の構成例を示している。なお、図34のAは導体層Aを、図34のBは導体層Bを示している。図34における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0238】
第10の構成例における導体層Aは、網目状導体291から成る。網目状導体291は、第6の構成例(図27)における導体層Aの網目状導体251と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体291は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0239】
第10の構成例における導体層Bは、網目状導体292と中継導体304から成る。網目状導体292は、第6の構成例(図27)における導体層Bの網目状導体252と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体292は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0240】
中継導体(他の導体)304は、網目状導体292の導体ではない間隙領域に配置されて、網目状導体292と電気的に絶縁されており、導体層Aの網目状導体291が接続されたVssに接続される。
【0241】
なお、中継導体304の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体304は、網目状導体292の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体304は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体304は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体304は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0242】
図34のCは、図34のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図34のCにおける斜線が交差するハッチングの領域293は、導体層Aの網目状導体291と、導体層Bの網目状導体292とが重複する領域を示している。第10の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0243】
第10の構成例に、図30に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体291と、Vdd配線である網目状導体292との間には、網目状導体291及び292が配置された断面において、網目状導体291及び292(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0244】
また、第10の構成例の場合、中継導体304を設けたことにより、Vss配線である網目状導体291を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。網目状導体291と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、網目状導体291と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0245】
<第8乃至第10の構成例のシミュレーション結果>
図35は、第8乃至第10の構成例(図32乃至図34)を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、第8乃至第10の構成例に流れる電流条件は、図30に示した場合と同様とする。図35の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0246】
図35のAにおける実線L62は、第8の構成例(図32)に対応するものであり、点線L52は、第4の構成例(図25)に対応するものである。実線L62と点線L52を比較して明らかなように、第8の構成例は、第4の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を悪化させないことがわかる。すなわち、導体層Bの網目状導体272の間隙に中継導体302が配置された第8の構成例でも、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を第4の構成例と同じ程度に抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、網目状導体271が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体272が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、網目状導体271と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体272と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、網目状導体271や網目状導体272に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体302を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0247】
図35のBにおける実線L63は、第9の構成例(図33)に対応するものであり、点線L53は、第5の構成例(図26)に対応するものである。実線L63と点線L53を比較して明らかなように、第9の構成例は、第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を悪化させないことがわかる。すなわち、導体層Bの網目状導体282の間隙に中継導体303が配置された第9の構成例でも、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を第5の構成例と同じ程度に抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、網目状導体281が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体282が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、網目状導体281と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体282と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、網目状導体281や網目状導体282に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体303を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0248】
図35のCにおける実線L64は、第10の構成例に(図34)対応するものであり、点線L54は、第6の構成例(図27)に対応するものである。実線L64と点線L54を比較して明らかなように、第10の構成例は、第6の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を悪化させないことがわかる。すなわち、導体層Bの網目状導体292の間隙に中継導体304が配置された第10の構成例でも、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズの発生を第6の構成例と同じ程度に抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、網目状導体291が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体292が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、網目状導体291と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体292と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、網目状導体291や網目状導体292に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体304を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0249】
また、実線L62乃至L64を比較して明らかなように、第10の構成例は、第8の構成例及び第9の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化をより抑えることができ、誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0250】
<第11の構成例>
次に、図36は、導体層A及びBの第11の構成例を示している。なお、図36のAは導体層Aを、図36のBは導体層Bを示している。図36における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0251】
第11の構成例における導体層Aは、X方向(第1の方向)の抵抗値とY方向(第2の方向)の抵抗値が異なる網目状導体311から成る。網目状導体311は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0252】
網目状導体311におけるX方向の導体幅をWXA、間隙幅をGXA、導体周期をFXA(=導体幅WXA+間隙幅GXA)、端部幅をEXA(=導体幅WXA/2)とする。また、網目状導体311におけるY方向の導体幅をWYA、間隙幅をGYA、導体周期をFYA(=導体幅WYA+間隙幅GYA)、端部幅をEYA(=導体幅WYA/2)とする。網目状導体311においては、間隙幅GYA>間隙幅GXAが満たされる。したがって、網目状導体311の間隙領域は、Y方向がX方向よりも長い形状を有しており、X方向とY方向とで抵抗値が異なり、Y方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さくなる。
【0253】
第11の構成例における導体層Bは、X方向の抵抗値とY方向の抵抗値が異なる網目状導体312から成る。網目状導体312は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0254】
網目状導体312におけるX方向の導体幅をWXB、間隙幅をGXB、導体周期をFXB(=導体幅WXB+間隙幅GXB)とする。また、網目状導体312におけるY方向の導体幅をWYB、間隙幅をGYB、導体周期をFYB(=導体幅WYB+間隙幅GYB)、端部幅をEYB(=導体幅WYB/2)とする。網目状導体312においては、間隙幅GYB>間隙幅GXBが満たされる。したがって、網目状導体312の間隙領域は、Y方向がX方向よりも長い形状を有しており、X方向とY方向とで抵抗値が異なり、Y方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さくなる。
【0255】
なお、網目状導体311のシート抵抗値が網目状導体312のシート抵抗値よりも大きい場合、網目状導体311と網目状導体312は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WYA≧導体幅WYB
導体幅WXA≧導体幅WXB
間隙幅GXA≦間隙幅GXB
間隙幅GYA≦間隙幅GYB
【0256】
反対に、網目状導体311のシート抵抗値が網目状導体312のシート抵抗値よりも小さい場合、網目状導体311と網目状導体312は、以下の関係を満たすことが望ましい。
導体幅WYA≦導体幅WYB
導体幅WXA≦導体幅WXB
間隙幅GXA≧間隙幅GXB
間隙幅GYA≧間隙幅GYB
【0257】
さらに、網目状導体311,312のシート抵抗値と導体幅については、以下の関係を満たすことが望ましい。
(網目状導体311のシート抵抗値)/(網目状導体312のシート抵抗値)
≒導体幅WYA/導体幅WYB
(網目状導体311のシート抵抗値)/(網目状導体312のシート抵抗値)
≒導体幅WXA/導体幅WXB
【0258】
本明細書で開示する寸法関係に関わる限定は必須ではなく、網目状導体311の電流分布と、網目状導体312の電流分布とが、略均等、略同一、または、略類似した電流分布であり、且つ、逆特性な電流分布となるように構成されていることが望ましい。
【0259】
例えば、網目状導体311のX方向の配線抵抗と網目状導体311のY方向の配線抵抗との比と、網目状導体312のX方向の配線抵抗と網目状導体312のY方向の配線抵抗との比とが、略同一となるように構成されていることが望ましい。
【0260】
また、網目状導体311のX方向の配線インダクタンスと網目状導体311のY方向の配線インダクタンスとの比と、網目状導体312のX方向の配線インダクタンスと網目状導体312のY方向の配線インダクタンスとの比とが、略同一となるように構成されていることが望ましい。
【0261】
また、網目状導体311のX方向の配線キャパシタンスと網目状導体311のY方向の配線キャパシタンスとの比と、網目状導体312のX方向の配線キャパシタンスと網目状導体312のY方向の配線キャパシタンスとの比とが、略同一となるように構成されていることが望ましい。
【0262】
また、網目状導体311のX方向の配線インピーダンスと網目状導体311のY方向の配線インピーダンスとの比と、網目状導体312のX方向の配線インピーダンスと網目状導体312のY方向の配線インピーダンスとの比とが、略同一となるように構成されていることが望ましい。
【0263】
換言すると、(網目状導体311のX方向の配線抵抗×網目状導体312のY方向の配線抵抗)≒(網目状導体312のX方向の配線抵抗×網目状導体311のY方向の配線抵抗)、
(網目状導体311のX方向の配線インダクタンス×網目状導体312のY方向の配線インダクタンス)≒(網目状導体312のX方向の配線インダクタンス×網目状導体311のY方向の配線インダクタンス)、
(網目状導体311のX方向の配線キャパシタンス×網目状導体312のY方向の配線キャパシタンス)≒(網目状導体312のX方向の配線キャパシタンス×網目状導体311のY方向の配線キャパシタンス)、または、
(網目状導体311のX方向の配線インピーダンス×網目状導体312のY方向の配線インピーダンス)≒(網目状導体312のX方向の配線インピーダンス×網目状導体311のY方向の配線インピーダンス)、
の何れかの関係を満たすことが望ましいが、この関係を満たすことが必須ではない。
【0264】
なお、上述した配線抵抗、配線インダクタンス、配線キャパシタンス、および、配線インピーダンスは、それぞれ、導体抵抗、導体インダクタンス、導体キャパシタンス、および、導体インピーダンスに、置き換え可能である。
【0265】
なお、上述したインピーダンスZ、抵抗R、インダクタンスL、キャパシタンスCの間には、角周波数ωおよび虚数単位jによってZ=R+jωL+1÷(jωC)の関係がある。
【0266】
なお、これらの比の関係は、網目状導体311および網目状導体312の全体として満たされていてもよいし、網目状導体311および網目状導体312における一部の範囲内で満たされていてもよく、任意の範囲内で満たされていればよい。
【0267】
さらに、電流分布が略均等または略同一または略類似、且つ、逆特性となるように調整する回路が設けられていてもよい。
【0268】
上述した関係を満たすことにより、網目状導体311の電流分布と、網目状導体312の電流分布とを略均等、且つ、逆特性にできるので、網目状導体311の電流分布によって生じる磁界と、網目状導体312の電流分布によって生じる磁界とを効果的に相殺できる。
【0269】
図36のCは、図36のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図36のCにおける斜線が交差するハッチングの領域313は、導体層Aの網目状導体311と、導体層Bの網目状導体312とが重複する領域を示している。第11の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0270】
また、第11の構成例の場合、網目状導体311と網目状導体312との重複する領域313がX方向に連なる。網目状導体311と網目状導体312との重複する領域313では、網目状導体311と網目状導体312に互いに極性が異なる電流が流れるので、領域313から生じる磁界が互いに打ち消されることになる。よって、領域313付近における誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0271】
また、第11の構成例の場合、網目状導体311のY方向の間隙幅GYAとX方向の間隙幅GXAが異なるように形成されるとともに、網目状導体312のY方向の間隙幅GYBとX方向の間隙幅GXBが異なるように形成される。
【0272】
このように、網目状導体311,312をX方向とY方向の間隙幅に差異を設けた形状とすることにより、実際に導体層を設計、製造する際の、配線領域の寸法、空隙領域の寸法、各導体層における配線領域の占有率等に制約を守ることができ、配線レイアウトの設計の自由度を高めることができる。また、間隙幅に差異を設けない場合に比較して、電圧降下(IR-Drop)や誘導性ノイズなどの観点で有利なレイアウトに配線を設計することができる。
【0273】
図37は、第11の構成例(図36)に流れる電流条件を示す図である。
【0274】
導体層Aを構成する網目状導体311と、導体層Bを構成する網目状導体312に対しては、端部では均等にAC電流が流れるものとする。ただし、電流方向は、時間によって変化し、例えば、Vdd配線である網目状導体312に、電流が、図面の上側から下側に流れるとき、Vss配線である網目状導体311に、電流が、図面の下側から上側に流れるものとする。
【0275】
第11の構成例に、図37に示したように電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体311と、Vdd配線である網目状導体312との間には、網目状導体311及び312が配置された断面において、網目状導体311及び312(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0276】
一方、導体層A及びBから成る遮光構造151が形成された第2の半導体基板102に積層された第1の半導体基板101の画素アレイ121においては、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループがXY平面に形成される。XY平面に形成されるVictim導体ループは、Z方向の磁束によって誘導起電力が生じ易く、誘導起電力の変化が大きいほど、固体撮像装置100から出力される画像が悪化する(誘導性ノイズが増す)ことになる。
【0277】
さらに、画素アレイ121において選択画素が移動されることにより、信号線132と制御線133から成るVictim導体ループの実効的な寸法が変化されると、誘導起電力の変化が顕著になる。
【0278】
第11の構成例の場合、導体層A及びBから成る遮光構造151のAggressor導体ループのループ面から生じる磁束の方向(略X方向や略Y方向)と、Victim導体ループに誘導起電力を生じさせる磁束の方向(Z方向)とが略直交して略90度異なる。換言すれば、Aggressor導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、Victim導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向とが略90度異なる。そのため、固体撮像装置100から出力される画像の悪化(誘導性ノイズの発生)は、第1の比較例に比べて少ないことが予想される。
【0279】
図38は、第11の構成例(図36)を、固体撮像装置100に適用した場合に生じる誘導性ノイズのシミュレーション結果を示している。
【0280】
図38のAは、固体撮像装置100から出力される、誘導性ノイズが生じ得る画像を示している。図38のBは、図38のAに示した画像の線分X1-X2における画素信号の変化を示している。図38のCは、画像に誘導性ノイズを生じさせた誘導起電力を表す実線L71を示している。図38のCの横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。なお、図38のCの点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。
【0281】
図38のCに示した実線L71と点線L1を比較して明らかなように、第11の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化を抑えることができ、誘導性ノイズを抑制できることがわかる。
【0282】
なお、第11の構成例は、XY平面状で90度回転させて用いてもよい。また、90度に限らず任意の角度に回転させて用いてもよい。例えば、X軸やY軸に対して斜めに構成してもよい。
【0283】
<第12の構成例>
次に、図39は、導体層A及びBの第12の構成例を示している。なお、図39のAは導体層Aを、図39のBは導体層Bを示している。図39における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0284】
第12の構成例における導体層Aは、網目状導体321から成る。網目状導体321は、第11の構成例(図36)における導体層Aの網目状導体311と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体321は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0285】
第12の構成例における導体層Bは、網目状導体322と中継導体305から成る。網目状導体322は、第11の構成例(図36)における導体層Bの網目状導体312と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体322は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0286】
中継導体(他の導体)305は、網目状導体322の導体ではないY方向に長い長方形の間隙領域に配置されて、網目状導体322と電気的に絶縁されており、導体層Aの網目状導体321が接続されたVssに接続される。
【0287】
なお、中継導体305の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体305は、網目状導体322の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体305は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体305は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体305は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0288】
図39のCは、図39のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図39のCにおける斜線が交差するハッチングの領域323は、導体層Aの網目状導体321と、導体層Bの網目状導体322とが重複する領域を示している。第12の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0289】
第12の構成例に、図37に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体321と、Vdd配線である網目状導体322との間には、網目状導体321及び322が配置された断面において、網目状導体321及び322(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0290】
さらに、第12の構成例の場合、網目状導体321と網目状導体322との重複する領域323がX方向に連なる。網目状導体321と網目状導体322との重複する領域323では、網目状導体321と網目状導体322に互いに極性が異なる電流が流れるので、領域323から生じる磁界が互いに打ち消されることになる。よって、領域323付近における誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0291】
また、第12の構成例の場合、中継導体305を設けたことにより、Vss配線である網目状導体321を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。網目状導体321と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、網目状導体321と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0292】
なお、第12の構成例は、XY平面状で90度回転させて用いてもよい。また、90度に限らず任意の角度に回転させて用いてもよい。例えば、X軸やY軸に対して斜めに構成してもよい。
【0293】
<第13の構成例>
次に、図40は、導体層A及びBの第13の構成例を示している。なお、図40のAは導体層Aを、図40のBは導体層Bを示している。図40における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0294】
第13の構成例における導体層Aは、網目状導体331から成る。網目状導体331は、第11の構成例(図36)における導体層Aの網目状導体311と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体331は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0295】
第13の構成例における導体層Bは、網目状導体332と中継導体306から成る。網目状導体332は、第11の構成例(図36)における導体層Bの網目状導体312と同様の形状を有するので、その説明は省略する。網目状導体332は、例えば、プラス電源に接続される配線(Vdd配線)である。
【0296】
中継導体(他の導体)306は、第12の構成例(図39)における中継導体305を、間隔を空けて複数(図40の場合は10)に分割したものである。中継導体306は、網目状導体332のY方向に長い長方形の間隙領域に配置されて、網目状導体332と電気的に絶縁されており、導体層Aの網目状導体331が接続されたVssに接続される。中継導体の分割数やVssへの接続の有無は、領域によって異ならせてもよい。この場合には、設計時に電流分布を微調整できるので、誘導性ノイズ抑制や電圧降下(IR-Drop)低減に繋げることができる。
【0297】
なお、中継導体306の形状は任意であり、回転対称または鏡面対称などのように対称な円形または多角形が望ましい。中継導体306の分割数は、任意に変更することができる。中継導体306は、網目状導体332の間隙領域の中央その他の任意の位置に配置することができる。中継導体306は、導体層Aとは異なるVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体306は、導体層Bよりも能動素子群167に近い側のVss配線としての導体層に接続されるようにしてもよい。中継導体306は、Z方向に延伸された導体ビア(VIA)を介して、導体層Aとは異なる導体層や、導体層Bよりも能動素子群167に近い側の導体層等に接続することができる。
【0298】
図40のCは、図40のAとBにそれぞれ示した導体層A及びBをフォトダイオード141側(裏面側)から見た状態を示している。ただし、図40のCにおける斜線が交差するハッチングの領域333は、導体層Aの網目状導体331と、導体層Bの網目状導体332とが重複する領域を示している。第13の構成例の場合、導体層Aまたは導体層Bの少なくとも一方によって能動素子群167が覆われていることになるので、能動素子群167からのホットキャリア発光を遮光することができる。
【0299】
第13の構成例に、図37に示した場合と同様に電流が流れる場合、Vss配線である網目状導体331と、Vdd配線である網目状導体332との間には、網目状導体331及び332が配置された断面において、網目状導体331及び332(の断面)を含んで形成される、ループ面がX軸にほぼ垂直な導体ループおよびループ面がY軸にほぼ垂直な導体ループによって、略X方向および略Y方向の磁束が発生し易くなる。
【0300】
さらに、第13の構成例の場合、網目状導体331と網目状導体332との重複する領域333がX方向に連なる。領域333では、網目状導体331と網目状導体332に互いに極性が異なる電流が流れるので、領域333から生じる磁界が互いに打ち消されることになる。よって、領域333付近における誘導性ノイズの発生を抑えることができる。
【0301】
また、第13の構成例の場合、中継導体306を設けたことにより、Vss配線である網目状導体331を略最短距離または短距離で能動素子群167と接続することができる。網目状導体331と能動素子群167とを略最短距離または短距離で接続することにより、網目状導体331と能動素子群167の間の電圧降下、エネルギ損失、または、誘導性ノイズを低減できる。
【0302】
さらに、第13の構成例では、中継導体306が複数に分割されていることにより、導体層Aにおける電流分布と、導体層Bとにおける電流分布とを、略均一、かつ、逆極性にすることができるので、導体層Aから生じる磁界と導体層Bから生じる磁界とを互いに打ち消すことができる。したがって、第13の構成例では、外的要因によるVdd配線とVss配線との電流分布差を生じさせ難くすることができる。よって、第16の構成例は、XY平面の電流分布が複雑である場合や、網目状導体331,332に接続される導体のインピーダンスがVdd配線とVss配線とで異なる場合に好適である。
【0303】
なお、第13の構成例は、XY平面状で90度回転させて用いてもよい。また、90度に限らず任意の角度に回転させて用いてもよい。例えば、X軸やY軸に対して斜めに構成してもよい。
【0304】
<第12及び第13の構成例のシミュレーション結果>
図41は、第12の構成例(図39)及び第13の構成例(図40)を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、第12及び第13の構成例に流れる電流条件は、図37に示した場合と同様とする。図41の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0305】
図41のAにおける実線L72は、第12の構成例(図39)に対応するものであり、点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。実線L72と点線L1を比較して明らかなように、第12の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力を変化させないことがわかる。よって、第12の構成例は、第1の比較例に比べて、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズを抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、網目状導体321が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体322が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、網目状導体321と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体322と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、網目状導体321や網目状導体322に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体305を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0306】
図41のBにおける実線L73は、第13の構成例(図40)に対応するものであり、点線L1は、第1の比較例(図9)に対応するものである。実線L73と点線L1を比較して明らかなように、第13の構成例は、第1の比較例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力を変化させないことがわかる。よって、第13の構成例は、第1の比較例に比べて、固体撮像装置100から出力される画像における誘導性ノイズを抑制することができる。ただし、このシミュレーション結果は、網目状導体331が能動素子群167と接続されておらず、かつ、網目状導体332が能動素子群167と接続されていない場合のシミュレーション結果である。例えば、網目状導体331と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合や、網目状導体332と能動素子群167の少なくとも一部が導体ビア等を介して略最短距離または短距離で接続されている場合には、網目状導体331や網目状導体332に流れる電流量が位置に応じて徐々に小さくなる。このような場合には、中継導体306を設けたことにより、電圧降下やエネルギ損失や誘導性ノイズが半分以下へ大幅に改善される条件もある。
【0307】
<5.導体層A及びBが形成される半導体基板における電極の配置例>
次に、上述した導体層A及びBの第11乃至第13の構成例のように、X方向とY方向とで抵抗値が異なる導体が形成される半導体基板における電極の配置について説明する。
【0308】
なお、以下の説明では、Y方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さい導体(網目状導体331,332)を含む導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が半導体基板に形成される場合を例にして説明する。ただし、Y方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さい導体を含む導体層A及びBの第11および第12の構成例が半導体基板に形成される場合についても同様とする。
【0309】
半導体基板に形成される導体層A及びBの第13の構成例では、導体(網目状導体331,332)のY方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さいので、Y方向に電流が流れ易い。したがって、導体層A及びBの第13の構成例の導体における電圧降下(IR-Drop)をできるだけ小さくするためには、半導体基板に配置する複数のパッド(電極)を、抵抗値が小さい方向であるY方向よりも、抵抗値が大きい方向であるX方向に密に配置することが望ましいが、X方向よりもY方向に密に配置してもよい。
【0310】
<半導体基板におけるパッドの第1の配置例>
図42は、半導体基板においてY方向よりもX方向に密にパッドを配置した第1の配置例を示す平面図である。なお、図42における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0311】
図42のAは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の1辺にパッドを配置した場合を示している。図42のBは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400のY方向で対向する2辺にパッドを配置した場合を示している。なお、図中の点線矢印は、そこに流れる電流の向きの一例を示しており、矩形破線411は、点線矢印で示した電流による電流ループ411が生じる。点線矢印で示した電流の方向は、時々刻々と変化する。
【0312】
図42のCは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の3辺にパッドを配置した場合を示している。図42のDは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の4辺にパッドを配置した場合を示している。図42のEは配線領域400に複数形成される導体層A及びBの第13の構成例の向きを示している。
【0313】
配線領域400に配置されるパッド401はVdd配線に接続され、パッド402は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0314】
図42に示した第1の配置例の場合、パッド401及び402は、それぞれ、1又は隣接して配置された複数(図42の場合、2)のパッドから成る。パッド401と402とは、隣接して配置される。1のパッドからなるパッド401と1のパッドからなるパッド402とは、隣接して配置され、2のパッドからなるパッド401と2のパッドからなるパッド402とは、隣接して配置される。パッド401と402との極性(接続先がVdd配線またはVss配線)は逆極性とされている。配線領域400に配置するパッド401の数と、パッド402の数は略同数とする。
【0315】
これにより、配線領域400に形成される導体層A及びBのそれぞれに流れる電流分布を略均一、かつ、逆極性にできるので、導体層A及びBのそれぞれから生じる磁界とそれに基づく誘導起電力を効果的に相殺することができる。
【0316】
また、図42のB,C,Dに示されるように、配線領域400の2辺以上にパッドを形成した場合、対向する辺で向かい合うパッドの極性が逆極性とされている。これにより、図42のBに点線矢印で示したように、配線領域400のX座標が共通であってY座標が異なる位置には、同じ方向の電流が分布し易くなる。
【0317】
<半導体基板におけるパッドの第2の配置例>
次に、図43は、半導体基板においてY方向よりもX方向に密にパッドを配置した第2の配置例を示す平面図である。なお、図43における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0318】
図43のAは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400のY方向で対向する2辺にパッドを配置した場合を示している。なお、図中の点線矢印は、そこに流れる電流の向きを示しており、矩形破線412は、点線矢印で示した電流による電流ループ412が生じる。点線矢印で示した電流の方向は、時々刻々と変化する。
【0319】
図43のBは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の3辺にパッドを配置した場合を示している。図43のCは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の4辺にパッドを配置した場合を示している。図43のDは、配線領域400に複数形成される導体層A及びBの第13の構成例の向きを示している。
【0320】
配線領域400に配置されるパッド401はVdd配線に接続され、パッド402は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0321】
図43に示した第2の配置例の場合、パッド401及び402は、隣接して配置された複数(図43の場合、2)のパッドから成る。パッド401と402とは、隣接して配置される。1のパッドからなるパッド401と1のパッドからなるパッド402とは、隣接して配置され、2のパッドからなるパッド401と2のパッドからなるパッド402とは、隣接して配置される。パッド401と402との極性(接続先がVdd配線またはVss配線)は逆極性とされている。配線領域400に配置するパッド401の数と、パッド402の数は略同数とする。
【0322】
これにより、配線領域400に形成される導体層A及びBのそれぞれに流れる電流分布を略均一、かつ、逆極性にできるので、導体層A及びBのそれぞれから生じる磁界とそれに基づく誘導起電力を効果的に相殺することができる。
【0323】
さらに、第2の配置例では、対向する辺で向かい合うパッドの極性を同極性としている。ただし、対向する辺で向かい合うパッドの一部は極性が逆極性であってもよい。これにより、配線領域400には、図42のBに示した電流ループ411に比べて小さい電流ループ412が生じることになる。電流ループは、その大きさが磁界の分布範囲に影響し、電界ループが小さい程、磁界の分布範囲が狭くなる。したがって、第2の配置例は、第1の配置例に比べて、磁界の分布範囲が狭くなる。よって、第2の配置例は、第1の配置例に比べて、生じる誘導起電力と、それに基づく誘導性ノイズを小さくすることができる。
【0324】
<半導体基板におけるパッドの第3の配置例>
次に、図44は、半導体基板においてY方向よりもX方向に密にパッドを配置した第3の配置例を示す平面図である。なお、図44における座標系は、横方向をX軸、縦方向をY軸、XY平面に対して垂直な方向をZ軸とする。
【0325】
図44のAは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の1辺にパッドを配置した場合を示している。図44のBは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400のY方向で対向する2辺にパッドを配置した場合を示している。なお、図中の点線矢印は、そこに流れる電流の向きを示しており、矩形破線413は、点線矢印で示した電流による電流ループ413が生じる。
【0326】
図44のCは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の3辺にパッドを配置した場合を示している。図44のDは、導体層A及びBから成る第13の構成例(図40)が複数形成される配線領域400の4辺にパッドを配置した場合を示している。図44のEは、配線領域400に複数形成される導体層A及びBの第13の構成例の向きを示している。
【0327】
配線領域400に配置されるパッド401はVdd配線に接続され、パッド402は、例えば、GNDやマイナス電源に接続される配線(Vss配線)である。
【0328】
図44に示した第3の配置例の場合、隣接して配置した複数(図44の場合、2)のパッドから成るパッド群を成す各パッドの極性(接続先がVdd配線またはVss配線)が逆極性とされている。配線領域400の1辺または全ての辺に配置したパッド401の数と、パッド402の数は略同数とする。
【0329】
さらに、第3の配置例では、対向する辺で向かい合うパッドの極性を同極性としている。ただし、対向する辺で向かい合うパッドの一部は、極性が逆極性であってもよい。
【0330】
これにより、配線領域400には、図43のAに示した電流ループ412よりも小さい電流ループ413が生じることになる。したがって、第3の配置例は、第2の配置例に比べて、磁界の分布範囲が狭くなる。よって、第3の配置例は、第2の配置例に比べて、生じる誘導起電力と、それに基づく誘導性ノイズを小さくすることができる。
【0331】
<Y方向の抵抗値とX方向の抵抗値とが異なる導体の例>
図45は、導体層A及びBを構成する導体の他の例を示す平面図である。すなわち、図45は、Y方向の抵抗値とX方向の抵抗値とが異なる導体の例を示す平面図である。なお、図45のA乃至Cは、Y方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さい例を示し、図45のD乃至Fは、X方向の抵抗値がY方向の抵抗値よりも小さい例を示している。
【0332】
図45のAは、X方向の導体幅WXとY方向の導体幅WYが等しく、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYよりも狭い網目状導体を示している。図45のBは、X方向の導体幅WXがY方向の導体幅WYよりも広く、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYよりも狭い網目状導体を示している。図45のCは、X方向の導体幅WXとY方向の導体幅WYが等しく、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYと等しく、導体幅WYを有するX方向に長い部分の、導体幅WXを有するY方向に長い部分と交差しない領域に穴が設けられた網目状導体を示している。
【0333】
図45のDは、X方向の導体幅WXとY方向の導体幅WYが等しく、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYよりも広い網目状導体を示している。図45のEは、X方向の導体幅WXがY方向の導体幅WYよりも狭く、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYよりも広い網目状導体を示している。図45のFは、X方向の導体幅WXとY方向の導体幅WYが等しく、X方向の間隙幅GXがY方向の間隙幅GYと等しく、導体幅WXを有するY方向に長い部分の、導体幅WYを有するX方向に長い部分と交差しない領域に穴が設けられた網目状導体を示している。
【0334】
図42乃至図44に示した配線領域400におけるパッドの第1乃至第3の配置例は、図45のA乃至Cに示したようなY方向の抵抗値がX方向の抵抗値よりも小さく、Y方向に電流が流れ易い導体を配線領域400に形成した場合に、その導体における電圧降下(IR-Drop)を抑制する効果がある。
【0335】
また、図42乃至図44に示した配線領域400におけるパッドの第1乃至第3の配置例は、図45のD乃至Fに示したようなX方向の抵抗値がY方向の抵抗値よりも小さく、X方向に電流が流れ易い導体を配線領域400に形成した場合に、電流がX方向に拡散し易くなり、配線領域400の辺に配置されたパッドの近傍における磁界が集中しにくくなるので、誘導性ノイズの発生を抑制できる効果が期待できる。
【0336】
<6.導体層A及びBの構成例の変形例>
次に、上述した導体層A及びBの第1乃至第13の構成例のうちのいくつかの構成例についての変形例について説明する。
【0337】
図46は、導体層A及びBの第2の構成例(図15)のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図46のAは導体層A及びBの第2の構成例、図46のBは導体層A及びBの第2の構成例の変形例を示している。
【0338】
図46のCは、図46のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図13に示した場合と同様とする。図46の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0339】
図46のCにおける実線L81は、図46のBに示した変形例に対応するものであり、点線L21は第2の構成例(図15)に対応するものである。実線L81と点線L21を比較して明らかなように、この変形例は、第2の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が若干少ない。よって、この変形例は、第2の構成例に比較して誘導性ノイズを若干抑制できることがわかる。
【0340】
図47は、導体層A及びBの第5の構成例(図26)のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図47のAは導体層A及びBの第5の構成例、図47のBは導体層A及びBの第5の構成例の変形例を示している。
【0341】
図47のCは、図47のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図47の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0342】
図47のCにおける実線L82は、図47のBに示した変形例に対応するものであり、点線L53は第5の構成例(図26)に対応するものである。実線L82と点線L53を比較して明らかなように、この変形例は、第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化がとても少ない。よって、この変形例は、第5の構成例に比較して誘導性ノイズをより一層抑制できることがわかる。
【0343】
図48は、導体層A及びBの第6の構成例(図27)のX方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図48のAは導体層A及びBの第6の構成例、図48のBは導体層A及びBの第6の構成例の変形例を示している。
【0344】
図48のCは、図48のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図48の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0345】
図48のCにおける実線L83は、図48のBに示した変形例に対応するものであり、点線L54は第6の構成例(図27)に対応するものである。実線L83と点線L54を比較して明らかなように、この変形例は、第6の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が少ない。よって、この変形例は、第6の構成例に比較して誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0346】
図49は、導体層A及びBの第2の構成例(図15)のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図49のAは導体層A及びBの第2の構成例、図49のBは導体層A及びBの第2の構成例の変形例を示している。
【0347】
図49のCは、図49のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図13に示した場合と同様とする。図49の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0348】
図49のCにおける実線L111は、図49のBに示した変形例に対応するものであり、点線L21は第2の構成例に対応するものである。実線L111と点線L21を比較して明らかなように、この変形例は、第2の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が若干少ない。よって、この変形例は、第2の構成例に比較して誘導性ノイズを若干抑制できることがわかる。
【0349】
図50は、導体層A及びBの第5の構成例(図26)のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図50のAは導体層A及びBの第5の構成例、図50のBは導体層A及びBの第5の構成例の変形例を示している。
【0350】
図50のCは、図50のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図50の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0351】
図50のCにおける実線L112は、図50のBに示した変形例に対応するものであり、点線L53は第5の構成例に対応するものである。実線L112と点線L53を比較して明らかなように、この変形例は、第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化がとても少ない。よって、この変形例は、第5の構成例に比較して誘導性ノイズをより一層抑制できることがわかる。
【0352】
図51は、導体層A及びBの第6の構成例(図27)のY方向の導体周期を1/2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図51のAは導体層A及びBの第6の構成例、図51のBは導体層A及びBの第6の構成例の変形例を示している。
【0353】
図51のCは、図51のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図51の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0354】
図51のCにおける実線L113は、図51のBに示した変形例に対応するものであり、点線L54は第6の構成例に対応するものである。実線L113と点線L54を比較して明らかなように、この変形例は、第6の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が少ない。よって、この変形例は、第6の構成例に比較して誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0355】
図52は、導体層A及びBの第2の構成例(図15)のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図52のAは導体層A及びBの第2の構成例、図52のBは導体層A及びBの第2の構成例の変形例を示している。
【0356】
図52のCは、図52のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図13に示した場合と同様とする。図52の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0357】
図52のCにおける実線L121は、図52のBに示した変形例に対応するものであり、点線L21は第2の構成例に対応するものである。実線L121と点線L21を比較して明らかなように、この変形例は、第2の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が若干少ない。よって、この変形例は、第2の構成例に比較して誘導性ノイズを若干抑制できることがわかる。
【0358】
図53は、導体層A及びBの第5の構成例(図26)のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図53のAは導体層A及びBの第5の構成例、図53のBは導体層A及びBの第5の構成例の変形例を示している。
【0359】
図53のCは、図53のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図53の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0360】
図53のCにおける実線L122は、図53のBに示した変形例に対応するものであり、点線L53は第5の構成例に対応するものである。実線L122と点線L53を比較して明らかなように、この変形例は、第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化がとても少ない。よって、この変形例は、第5の構成例に比較して誘導性ノイズをより一層抑制できることがわかる。
【0361】
図54は、導体層A及びBの第6の構成例(図27)のX方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図54のAは導体層A及びBの第6の構成例、図54のBは導体層A及びBの第6の構成例の変形例を示している。
【0362】
図54のCは、図54のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図54の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0363】
図54のCにおける実線L123は、図54のBに示した変形例に対応するものであり、点線L54は第6の構成例に対応するものである。実線L123と点線L54を比較して明らかなように、この変形例は、第6の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が少ない。よって、この変形例は、第6の構成例に比較して誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0364】
図55は、導体層A及びBの第2の構成例(図15)のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図55のAは導体層A及びBの第2の構成例、図55のBは導体層A及びBの第2の構成例の変形例を示している。
【0365】
図55のCは、図55のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図13に示した場合と同様とする。図55の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0366】
図55のCにおける実線L131は、図55のBに示した変形例に対応するものであり、点線L21は第2の構成例に対応するものである。実線L131と点線L21を比較して明らかなように、この変形例は、第2の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が若干少ない。よって、この変形例は、第2の構成例に比較して誘導性ノイズを若干抑制できることがわかる。
【0367】
図56は、導体層A及びBの第5の構成例(図26)のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図56のAは導体層A及びBの第5の構成例、図56のBは導体層A及びBの第5の構成例の変形例を示している。
【0368】
図56のCは、図56のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図56の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0369】
図56のCにおける実線L132は、図56のBに示した変形例に対応するものであり、点線L53は第5の構成例に対応するものである。実線L132と点線L53を比較して明らかなように、この変形例は、第5の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化がとても少ない。よって、この変形例は、第5の構成例に比較して誘導性ノイズをより一層抑制できることがわかる。
【0370】
図57は、導体層A及びBの第6の構成例(図27)のY方向の導体幅を2倍に変形した変形例とその効果を示す図である。なお、図57のAは導体層A及びBの第6の構成例、図57のBは導体層A及びBの第6の構成例の変形例を示している。
【0371】
図57のCは、図57のBに示した変形例を固体撮像装置100に適用した場合のシミュレーション結果として、画像に誘導性ノイズを生じさせる誘導起電力の変化を示している。なお、この変形例に流れる電流条件は、図23に示した場合と同様とする。図57の横軸は画像のX軸座標、縦軸は誘導起電力の大きさを示している。
【0372】
図57のCにおける実線L133は、図57のBに示した変形例に対応するものであり、点線L54は第6の構成例に対応するものである。実線L133と点線L54を比較して明らかなように、この変形例は、第6の構成例に比べて、Victim導体ループに生じさせる誘導起電力の変化が少ない。よって、この変形例は、第6の構成例に比較して誘導性ノイズをより抑制できることがわかる。
【0373】
<7.網目状導体の変形例>
次に、図58は、上述した導体層A及びBの各構成例に適用できる網目状導体の変形例を示す平面図である。
【0374】
図58のAは、上述した導体層A及びBの各構成例に採用されている網目状導体の形状を簡略化して示したものである。上述した導体層A及びBの各構成例に採用されている網目状導体は、間隙領域が矩形であり、矩形の各間隙領域がX方向とY方向にそれぞれ直線状に配置されていた。
【0375】
図58のBは、網目状導体の第1の変形例を簡略化して示したものである。網目状導体の第1の変形例は、間隙領域が矩形であり、各間隙領域がX方向には直線状に配置され、Y方向には段毎にずれて配置される。
【0376】
図58のCは、網目状導体の第2の変形例を簡略化して示したものである。網目状導体の第2の変形例は、間隙領域が菱形であり、各間隙領域が斜め方向には直線状に配置される。
【0377】
図58のDは、網目状導体の第3の変形例を簡略化して示したものである。網目状導体の第3の変形例は、間隙領域が矩形以外の円形または多角形(図58のDの場合、8角形)であり、各間隙領域がX方向とY方向にそれぞれ直線状に配置される。
【0378】
図58のEは、網目状導体の第4の変形例を簡略化して示したものである。網目状導体の第4の変形例は、間隙領域が矩形以外の円形または多角形(図58のEの場合、8角形)であり、各間隙領域がX方向には直線状に配置され、Y方向には段毎にずれて配置される。
【0379】
図58のFは、網目状導体の第5の変形例を簡略化して示したものである。網目状導体の第5の変形例は、間隙領域が矩形以外の円形または多角形(図58のFの場合、8角形)であり、各間隙領域が斜め方向に直線状に配置される。
【0380】
なお、導体層A及びBの各構成例に適用できる網目状導体の形状は、図58に示した変形例に限らず、網目状であればよい。
【0381】
<8.様々な効果>
<レイアウト設計自由度の向上>
上述したように、導体層A及びBの各構成例では、面状導体または網目状導体を採用している。一般に、網目状導体(格子状導体)は、X方向およびY方向に対して周期的な配線構造を有している。よって、周期構造の単位(1周期分)となる基本周期構造を有する網目状導体を設計すれば、その基本周期構造をX方向やY方向に繰り返して配置することにより、直線状導体を用いる場合に比較して、簡単に配線のレイアウトが設計できる。換言すると、網目状導体を用いた場合、直線状導体を用いるよりもレイアウト自由度が向上する。したがって、レイアウト設計に要する工数や時間や費用を圧縮できる。
【0382】
図59は、所定の条件を満たす回路配線のレイアウトを、直線状導体を用いて設計する場合の設計工数と、網目状導体(格子状導体)を用いて設計する場合の設計工数とをシミュレーションした結果を示す図である。
【0383】
図59の場合、直線状導体を用いて設計する場合の設計工数を100%とすれば、網目状導体(格子状導体)を用いて設計するときの設計工数は40%程度となり、大幅に設計工数を減らすことができることがわかる。
【0384】
<電圧降下(IR-drop)の低減>
図60は、XY平面に配置された同じ材質であって形状が異なる導体に対して同じ条件でDC電流をY方向に流した場合における電圧変化を示す図である。
【0385】
図60のAは直線状導体、図60のBは網目状導体、図60のCは面状導体のそれぞれに対応し、色の濃淡が電圧を表している。図60のA,B,Cを比較すると、電圧変化は、直線状導体が最も大きく、次に網目状導体、面状導体の順であることがわかる。
【0386】
図61は、図60のAに示した直線状導体の電圧降下を100%として、網目状導体と面状導体の電圧降下を相対的にグラフ化して示す図である。
【0387】
図61からも明らかなように、面状導体および網目状導体は、直線状導体に比較して、半導体装置の駆動にとって致命的な障害となり得る電圧降下(IR-Drop)を低減できることがわかる。
【0388】
ただし、現在の半導体基板の加工プロセスでは、面状導体を製造できない場合が多いことが知られている。よって、導体層A及びBには、ともに網目状導体を用いる構成例を採用することが現実的である。ただし、半導体基板の加工プロセスが進化して面状導体を製造できるようになった場合には、その限りではない。メタル層の中でも最上層メタルや最下層メタルについては、面状導体を製造できる場合もある。
【0389】
<容量性ノイズの低減>
導体層A及びBを形成する導体(面状導体または網目状導体)は、信号線132および制御線133から成るVictim導体ループに対して誘導性ノイズだけでなく、容量性ノイズを生じさせることが考えられる。
【0390】
ここで、容量性ノイズとは、導体層A及びBを形成する導体に電圧が印加された場合に、その導体と信号線132や制御線133との間の容量結合によって、信号線132や制御線133に電圧が発生し、さらに、印加電圧が変化することにより、信号線132や制御線133に電圧ノイズが生じることを指す。この電圧ノイズは、画素信号のノイズとなる。
【0391】
容量性ノイズの大きさは、導体層A及びBを形成する導体と、信号線132や制御線133等の配線との間の静電容量や電圧にほぼ比例すると考えられる。静電容量については、2枚の導体(一方が導体、他方が配線でもよい)の重なり合う面積がSであり、2枚の導体の間隔がdで平行に配置され、導体の間に誘電率εの誘電体が均一に充てんされている場合、2枚の導体間の静電容量C=ε*S/dである。したがって、2枚の導体の重なり合う面積Sが広いほど、容量性ノイズは大きくなることがわかる。
【0392】
図62は、XY平面に配置された同じ材質であって形状が異なる導体と、他の導体(配線)との静電容量の違いを説明するための図である。
【0393】
図62のAは、Y方向に長い直線状導体と、その直線状導体とZ方向に間隔を空けてY方向に直線状に形成されている配線501,502(信号線132や制御線133に相当する)を示している。ただし、配線501は、その全体が直線状導体の導体領域と重なり合うが、配線502は、その全体が直線状導体の間隙領域と重なり合い、導体領域と重なり合う面積を有していない。
【0394】
図62のBは、網目状導体と、その網目状導体とZ方向に間隔を空けてY方向に直線状に形成されている配線501,502を示している。ただし、配線501は、その全体が網目状導体の導体領域と重なり合うが、配線502は、その略半分が網目状導体の導体領域と重なり合う。
【0395】
図62のCは、面状導体と、その面状導体とZ方向に間隔を空けてY方向に直線状に形成されている配線501,502を示している。ただし、配線501,502は、その全体が面状導体の導の領域と重なり合う。
【0396】
図62のA,B,Cにおける導体(直線状導体、網目状導体、または面状導体)と配線501の静電容量と、導体(直線状導体、網目状導体、または面状導体)と配線502の静電容量との差分を比較した場合、直線状導体が最も大きく、次に、網目状導体、面状導体の順となる。
【0397】
すなわち、直線状導体では、配線のXY座標の違いによる、直線状導体と配線との静電容量の差が大きく、容量性ノイズの発生も大きく異なることになる。よって、画像においては視認性が高い画素信号のノイズになる可能性が有る。
【0398】
これに対して、網目状導体や面状導体では、直線状導体に比較して、配線のXY座標の違いによる、導体と配線との静電容量の差が小さいので、容量性ノイズの発生をより小さくすることができる。よって、容量性ノイズに起因する画素信号のノイズを抑制することができる。
【0399】
<放射性ノイズの低減>
上述したように、導体層A及びBの各構成例のうち、第1の構成例以外の構成例では、網目状導体を用いている。網目状導体には、放射性ノイズを低減する効果が期待できる。ここで、放射性ノイズは、固体撮像装置100の内部から外部への放射性ノイズ(不要輻射)と、固体撮像装置100の外部から内部への放射性ノイズ(伝達されるノイズ)を含むものとする。
【0400】
固体撮像装置100の外部から内部への放射性ノイズは、信号線132等における電圧ノイズや画素信号のノイズを発生させ得るので、導体層A及びBの少なくとも一方に網目状導体を用いた構成例を採用した場合、電圧ノイズや画素信号のノイズを抑制する効果を期待できる。
【0401】
網目状導体の導体周期は、網目状導体が低減できる放射性ノイズの周波数帯に影響するので、導体層A及びBのそれぞれに導体周期が異なる網目状導体を用いた場合、導体層A及びBに同じ導体周波数の網目状導体を用いた場合に比べて、より広い周波数帯の放射性ノイズを低減させることができる。
【0402】
なお、上述した効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0403】
<9.応用例>
本開示による技術は、上記各実施の形態、および、その変形例または応用例の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。上記各実施の形態、および、その変形例または応用例における各構成要素は、その一部が省略されていてもよく、その一部または全部が変化していてもよく、その一部または全部が変更されていてもよく、その一部が他の構成要素で置き換えられていてもよく、その一部または全部に他の構成要素が追加されていてもよい。また、上記各実施の形態、および、その変形例または応用例における各構成要素、その一部または全部が複数に分割されていてもよく、その一部または全部が複数に分離されていてもよく、分割または分離された複数の構成要素の少なくとも一部で機能や特徴を異ならせていてもよい。さらに、上記各実施の形態および、その変形例または応用例における各構成要素の少なくとも一部を組み合わせて、異なる実施の形態としてもよい。さらに、上記各実施の形態、および、その変形例または応用例における各構成要素の少なくとも一部を移動させて、異なる実施の形態としてもよい。さらに、上記各実施の形態、および、その変形例または応用例における各構成要素の少なくとも一部の組み合わせに結合要素や中継要素を加えて、異なる実施の形態としてもよい。さらに、上記各実施の形態、および、その変形例または応用例における各構成要素の少なくとも一部の組み合わせに切り替え要素や切り替え機能を加えて、異なる実施の形態としてもよい。
【0404】
本実施の形態である固体撮像装置100においてAggressor導体ループと成り得る導体層A及びBをそれぞれ形成する導体は、Vdd配線またはVss配線とされていた。つまり、導体層A及びBには、少なくとも一部の領域で互いに逆方向に電流が流れており、ある時刻において、導体層Aには図中上から下方向に電流が流れるとき、導体層Bには図中下から上方向に電流が流れていた。なお、電流の大きさは互いに同一であることが望ましい。なお、導体層A及びBを形成する導体が第2の半導体基板内に構成される例を用いて説明したが、この限りではない。例えば、第1の半導体基板内に構成されていてもよく、一部または全部が第2の半導体基板以外に構成されていてもよい。
【0405】
導体層A及びBに流れる信号としては、時間方向に電流の方向が変化する差動信号であれば、VddやVss以外のどのような信号が流れるようにしてもよい。つまり、導体層A及びBは、時間tに応じて電流Iが変化する(微小時間dtの微小電流変化がdIである)信号が流れていればよい。なお、導体層A及びBに基本的にはDC電流が流れていても、電流の立ち上がり、電流の時間遷移、電流の立ち下がり、などがある場合は、時間tに応じて電流Iが変化している。
【0406】
例えば、導体層Aに流れる電流の大きさと、導体層Bに流れる電流の大きさとが互いに同一でなくてもよい。逆に、導体層Aに流れる電流の大きさと、導体層Bに流れる電流の大きさとが互いに同一である(導体層A及びBに、時間に応じて変化する電流が略同一のタイミングで流れる)ようにしてもよい。一般的には、導体層A及びBに、時間に応じて変化する電流が略同一のタイミングで流れる場合の方が、導体層Aに流れる電流の大きさと、導体層Bに流れる電流の大きさとが互いに同一でない場合よりも、Victim導体ループに発生する誘導起電力の大きさをより抑制することができる。一方、導体層A及びBに流れる信号が差動信号でなくてもよい。例えば、両方ともVdd配線、両方ともVss配線、両方ともGND配線、同じ種類の信号線、異なる種類の信号線、などの何れであってもよい。また、導体層A及びBを形成する導体が、電源や信号源とは接続されない導体であってもよい。これらの場合には、誘導性ノイズを抑制できるという効果が低下するものの、それ以外の発明効果は得られる。
【0407】
また、導体層A及びBには、例えばクロック信号のような、所定の周波数の周波数信号が流れるようにしてもよい。また、導体層A及びBには、例えば、交流電源電流が流れるようにしてもよい。また、導体層A及びBには、例えば、同一の周波数信号が流れるようにしてもよい。また、導体層A及びBには、複数の周波数成分を含む信号が流れるようにしてもよい。一方、時間tに応じて電流Iが全く変化しないDC信号が流れていてもよい。この場合には、誘導性ノイズを抑制できるという効果は得られないが、それ以外の発明効果は得られる。一方、信号が流れないようにしてもよい。この場合には、誘導性ノイズ抑制、容量性ノイズ抑制、電圧降下(IR-Drop)低減、の効果は得られないが、それ以外の発明効果は得られる。
【0408】
<固体撮像装置100を成す第1の半導体基板101と第2の半導体基板102とのパッケージ積層例>
図63は、固体撮像装置100を成す第1の半導体基板101と第2の半導体基板102との積層例を示す図である。
【0409】
第1の半導体基板101と第2の半導体基板102は、パッケージとして、互いにどのように積層されていてもよい。
【0410】
例えば、図63のAに示されるように、第1の半導体基板101と第2の半導体基板102をそれぞれ個別に封止材を用いて封止し、その結果得られるパッケージ601とパッケージ602とを積層してもよい。
【0411】
また、図63のBまたはCに示されるように、第1の半導体基板101と第2の半導体基板102を積層した状態で封止材により封止し、パッケージ603を生成してもよい。この場合、ボンディングワイヤ604は、図63のBに示されるように、第2の半導体基板102に接続してもよいし、図63のCに示されるように、第1の半導体基板101に接続してもよい。
【0412】
また、パッケージとしては、どのような形態であってもよい。例えば、CSP(Chip Size Package)やWL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)であってもよく、パッケージでインターポーザ基板や再配線層が用いられていてもよい。また、パッケージがないどのような形態であってもよい。例えば、COB(Chip On Board)として半導体基板が実装されていてもよい。例えば、BGA(Ball Grid Array)、COB(Chip On Board)、COT(Chip On Tape)、CSP(Chip Size Package/Chip Scale Package)、DIMM(Dual In-line Memory Module)、DIP(Dual In-line Package)、FBGA(Fine-pitch Ball Grid Array)、FLGA(Fine-pitch Land Grid Array)、FQFP(Fine-pitch Quad Flat Package)、HSIP(Single In-line Package with Heatsink)、LCC(Leadless Chip Carrier)、LFLGA(Low profile Fine pitch Land Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、LQFP(Low-profile Quad Flat Package)、MC-FBGA(Multi-Chip Fine-pitch Ball Grid Array)、MCM(Multi-Chip Module)、MCP(Multi-Chip Package)、M-CSP(Molded Chip Size Package)、MFP(Mini Flat Package)、MQFP(Metric Quad Flat Package)、MQUAD(Metal Quad)、MSOP(Micro Small Outline Package)、PGA(Pin Grid Array)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrie)、PLCC(Plastic Leadless Chip Carrie)、QFI(Quad Flat I-leaded Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded Package)、QFN(Quad Flat non-leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QTCP(Quad Tape Carrier Package)、QUIP(Quad In-line Package)、SDIP(Shrink Dual In-line Package)、SIMM(Single In-line Memory Module)、SIP(Single In-line Package)、S-MCP(Stacked Multi Chip Package)、SNB(Small Outline Non-leaded Board)、SOI(Small Outline I-leaded Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、SOP(Small Outline Package)、SSIP(Shrink Single In-line Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)、SZIP(Shrink Zigzag In-line Package)、TAB(Tape-Automated Bonding)、TCP(Tape Carrier Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TSSOP(Thin Shrink Small Outline Package)、UCSP(Ultra Chip Scale Package)、UTSOP(Ultra Thin Small Outline Package)、VSO(Very Short Pitch Small Outline Package)、VSOP(Very Small Outline Packag)、WL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)、ZIP(Zigzag In-line Package)、μMCP(Micro Multi-Chip Package)、の何れの形態であってもよい。
【0413】
本技術は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、CCDセンサ、CMOSセンサ、MOSセンサ、IR(Infrared)センサ、UV(Ultraviolet)センサ、ToF(Time of Flight)センサ、測距センサのような何れのセンサや回路基板や装置や電子機器などにも適用できる。
【0414】
また、本技術は、トランジスタやダイオードやアンテナのような何かしらデバイスをアレイ配置したセンサや回路基板や装置や電子機器で好適であり、何かしらデバイスを略同一平面上にアレイ配置したセンサや回路基板や装置や電子機器で特に好適であるが、その限りではない。
【0415】
本技術は、例えば、メモリデバイスが関わる各種のメモリセンサ、メモリ用回路基板、メモリ装置、または、メモリを含む電子機器、CCDが関わる各種のCCDセンサ、CCD用回路基板、CCD装置、または、CCDを含む電子機器、CMOSが関わる各種のCMOSセンサ、CMOS用回路基板、CMOS装置、または、CMOSを含む電子機器、MOSが関わる各種のMOSセンサ、MOS用回路基板、MOS装置、または、MOSを含む電子機器、発光デバイスが関わる各種のディスプレイセンサ、ディスプレイ用回路基板、ディスプレイ装置、または、ディスプレイを含む電子機器、発光デバイスが関わる各種のレーザセンサ、レーザ用回路基板、レーザ装置、または、レーザを含む電子機器、アンテナデバイスが関わる各種のアンテナセンサ、アンテナ用回路基板、アンテナ装置、または、アンテナを含む電子機器、などにも適用できる。これらの中でも、ループ経路が可変のVictim導体ループを含むセンサ、回路基板、装置、または、電子機器、制御線若しくは信号線を含むセンサ、回路基板、装置、または、電子機器、水平制御線若しくは垂直信号線を含むセンサ、回路基板、装置、または、電子機器などで好適だが、その限りではない。
【0416】
なお、固体撮像装置100を成す第1の半導体基板101と第2の半導体基板102とを積層せず、隣接して配置したり、同一平面に配置したりしてもよい。
【0417】
<Victim導体ループとAggressor導体ループの構造的応用例>
Victim導体ループのループ面を通過する磁束を発生させるAggressor導体ループは、Victim導体ループと重畳していてもよいし、重畳していなくてもよい。さらに、Aggressor導体ループは、Victim導体ループが形成される半導体基板に積層された複数の半導体基板に形成されるようにしてもよいし、Victim導体ループと同一の半導体基板に形成されるようにしてもよい。
【0418】
さらに、Aggressor導体ループは、半導体基板ではなく、例えばプリント基板、フレキシブルプリント基板、インターポーザ基板、パッケージ基板、無機基板、または、有機基板など、様々な基板が考えられるが、導体を含むまたは導体を形成できる何かしらの基板であればよく、半導体基板が封止されたパッケージ等の半導体基板以外の回路に存在してもよい。一般的に、Victim導体ループに対するAggressor導体ループの距離は、Aggressor導体ループが半導体基板に形成された場合、Aggressor導体ループがパッケージに形成された場合、Aggressor導体ループがプリント基板に形成された場合の順に短くなる。Victim導体ループに生じ得る誘導性ノイズや容量性ノイズは、Victim導体ループに対するAggressor導体ループの距離が短いほど増大し易くなるので、本技術は、Victim導体ループに対するAggressor導体ループの距離が短いほど効果を奏することができる。さらに、基板のみに限定されず、ボンディングワイヤやリード線やアンテナ線や電力線やGND線や同軸線やダミー線や板金などのような、導線や導板に代表される導体自体に対しても、本技術を適用することができる。
【0419】
<10.撮像装置の構成例>
上述した固体撮像装置100は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、撮像機能を備えた他の機器、又は、フラッシュメモリ等の高感度アナログ素子を有する半導体装置を備える電子機器に適用することができる。
【0420】
図64は、電子機器の一例として、撮像装置700の構成例を示すブロック図である。
【0421】
撮像装置700は、固体撮像素子701、固体撮像素子701に入射光を導く光学系702、固体撮像素子701と及び光学系702間に設けられたシャッタ機構703と、固体撮像素子701を駆動する駆動回路704を有する。さらに、撮像装置700は、固体撮像素子701の出力信号を処理する信号処理回路705を有する。
【0422】
固体撮像素子701は、上述した固体撮像装置100に相当する。光学系702は、光学レンズ群等から成り、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子701に入射させる。これにより、固体撮像素子701内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。シャッタ機構703は、入射光の固体撮像素子701への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0423】
駆動回路704は、固体撮像素子701及びシャッタ機構703に駆動信号を供給する。そして、駆動回路704は、供給した駆動信号により、固体撮像素子701の信号処理回路705への信号出力動作、及び、シャッタ機構703のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路704から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子701から信号処理回路705への信号転送動作を行う。
【0424】
信号処理回路705は、固体撮像素子701から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0425】
上述の撮像装置700等の電子機器によれば、固体撮像素子701において、周辺回路部における動作時のMOSトランジスタ、ダイオード等の能動素子からのホットキャリア発光等の光の受光素子へ漏れ込みによるノイズ発生を抑制することができる。従って、画質が向上した高品質の電子機器を提供することができる。
【0426】
<11.体内情報取得システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムに適用されてもよい。
【0427】
図65は、本開示に係る技術が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0428】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0429】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0430】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0431】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0432】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0433】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0434】
光源部10111は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0435】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0436】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0437】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0438】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0439】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図65では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0440】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0441】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0442】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/若しくは手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0443】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部10112に適用することができる。具体的には、撮像部10112として、上述した固体撮像装置100を適用することができる。撮像部10112に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部10112に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの発生が抑制され、より鮮明な術部画像を得ることができるため、検査の精度が向上する。
【0444】
<12.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0445】
図66は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0446】
図66では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギ処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0447】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0448】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0449】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0450】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0451】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0452】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0453】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0454】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギ処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0455】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0456】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0457】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0458】
図67は、図66に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0459】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0460】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0461】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0462】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0463】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0464】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0465】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0466】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0467】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0468】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0469】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0470】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0471】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0472】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギ処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0473】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0474】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0475】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用することができる。具体的には、撮像部11402として、上述した固体撮像装置100を適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの発生が抑制され、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0476】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0477】
<13.移動体への応用例>
さらに、本開示に係る技術は、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0478】
図68は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0479】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図68に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0480】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0481】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0482】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0483】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0484】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0485】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0486】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0487】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0488】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図68の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0489】
図69は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0490】
図69では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0491】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0492】
なお、図69には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0493】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0494】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0495】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0496】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0497】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用することができる。具体的には、撮像部12031として、上述した固体撮像装置100を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの発生が抑制され、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバによる運転を適切に支援することが可能になる。
【0498】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0499】
本技術は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、
第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板と
を備え、
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される
半導体装置。
(2)
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が略90度異なるように構成される
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、少なくとも一部の領域において遮光構造を成す
前記(1)または(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、プラスの電源に接続される配線を含み、他方の導体は、マイナスの電源またはGNDに接続される配線を含む
前記(1)から(3)のいずれかに記載の半導体装置。
(5)
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、面状導体を含む
前記(1)から(4)のいずれかに記載の半導体装置。
(6)
前記第1の導体層を形成する導体または前記第2の導体層を形成する導体の少なくとも一方の導体は、網目状導体を含む
前記(1)から(4)のいずれかに記載の半導体装置。
(7)
前記第1の導体層を形成する導体は面状導体を含み、
前記第2の導体層を形成する導体は網目状導体を含み、
前記第1の導体層は、前記第2の導体層よりも前記第1の半導体基板に近い位置関係である
前記(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記網目状導体の少なくとも一部の領域において、導体領域の導体幅と間隙領域の間隙幅とが、
導体幅≧間隙幅
の関係である
前記(6)に記載の半導体装置。
(9)
前記第1の導体層を形成する導体が第1の網目状導体を含み、
前記第2の導体層を形成する導体が第2の網目状導体を含み、
前記第1の網目状導体の導体周期と前記第2の網目状導体の導体周期とが略同一である
前記(6)または(8)に記載の半導体装置。
(10)
前記第1の網目状導体の導体幅と前記第2の網目状導体の導体幅とが異なる
前記(9)に記載の半導体装置。
(11)
前記網目状導体の、導体でない間隙領域の少なくとも一部に、他の導体が配置された
前記(6)から(10)のいずれかに記載の半導体装置。
(12)
前記第2の導体層は、前記間隙領域の少なくとも一部に、前記他の導体が配置された前記網目状導体を有し、
前記他の導体が、前記第1の導体層を形成する導体の少なくとも一部に接続された
前記(11)に記載の半導体装置。
(13)
前記網目状導体の第1の方向の抵抗値と、前記第1の方向に直交する第2の方向の抵抗値とが異なる
前記(6)から(12)のいずれかに記載の半導体装置。
(14)
前記第1の導体ループの実効的な形状が変化し得る
前記(1)から(13)のいずれかに記載の半導体装置。
(15)
前記第1の半導体基板は、光を受光する画素を有し、
前記第1の導体ループは、前記画素、前記画素が出力する画素信号が流れる信号線、及び、前記画素に対する制御信号が流れる制御線を含む導体ループである
前記(1)から(14)のいずれかに記載の半導体装置。
(16)
前記第1の方向の抵抗値よりも前記第2の方向の抵抗値が低い前記網目状導体に接続される電極である複数のパッドをさらに備え、
前記複数のパッドは、前記第1の方向に密に配置される
前記(13)から(15)のいずれかに記載の半導体装置。
(17)
前記第1の方向の抵抗値よりも前記第2の方向の抵抗値が低い前記網目状導体に接続される電極である複数のパッドをさらに備え、
前記複数のパッドは、前記第2の方向に密に配置される
前記(13)から(15)のいずれかに記載の半導体装置。
(18)
隣接して配置された少なくとも一部の前記パッドどうしの極性が異なる
前記(16)または(17)に記載の半導体装置。
(19)
対向して配置された少なくとも一部の前記パッドどうしの極性が等しい
前記(16)または(17)に記載の半導体装置。
(20)
第1の導体ループの少なくとも一部が形成される第1の半導体基板と、
第2の導体ループを形成する、導体を有する第1の導体層及び第2の導体層を含む第2の半導体基板と
を備え、
前記第1の導体層と前記第2の導体層は、前記第2の導体ループから磁束が発生するループ面の方向と、前記第1の導体ループに誘導起電力を発生させるループ面の方向と、が異なるように構成される
半導体装置
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0500】
10 ピクセル基板, 11 Victim導体ループ, 20 ロジック基板, 21 電源配線, 100 固体撮像装置, 101 第1の半導体基板, 102 第2の半導体基板, 111 画素・アナログ処理部, 112 デジタル処理部, 121 画素アレイ, 122 A/D変換部, 123 垂直走査部, 131 画素, 132 信号線, 133 制御線, 141 フォトダイオード, 142 転送トランジスタ, 143 リセットトランジスタ, 144 増幅トランジスタ, 145 セレクトトランジスタ, 151 遮光構造, 152 半導体基体, 153 多層配線層, 155 光学部材, 162 半導体基体,163 多層配線層, 164 MOSトランジスタ, 165 配線層, 167 能動素子群, 191 緩衝領域, 192 層間距離, 193 緩衝領域幅, 194 遮光対象領域, 202乃至204 回路ブロック, 205乃至208 遮光対象領域, 209 遮光非対象領域, 211,212 直線状導体, 213,214 面状導体, 216,217 網目状導体, 221 面状導体, 222 網目状導体, 231,232 網目状導体, 241,242 網目状導体, 251,252 網目状導体, 261 面状導体, 262 網目状導体, 271,272 網目状導体, 281,282 網目状導体, 291,292 網目状導体, 301乃至306 中継導体, 311,312 網目状導体, 321,322 網目状導体, 331,332 網目状導体, 400 配線領域, 401,402 パッド, 501,502 配線, 601乃至603 パッケージ, 604 ボンディングワイヤ, 700 撮像装置, 701 固体撮像素子, 702 光学系, 703 シャッタ機構, 704 駆動回路, 705 信号処理回路
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