IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特許7134971ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法
<>
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図1
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図2
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図3
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図4
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図5
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図6A
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図6B
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図7A
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図7B
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図8
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図9
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図10
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図11
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図12
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図13
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図14
  • 特許-ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ポリマーボンド研磨物品及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/20 20060101AFI20220905BHJP
   B24D 5/10 20060101ALI20220905BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B24D3/20
B24D5/10
B24D3/00 330G
B24D3/00 340
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019534185
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017066042
(87)【国際公開番号】W WO2018118566
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/438,875
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】スミッソン,ロバート エル.ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアズ,ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ,ブライアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,マイケル シー.
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-514217(JP,A)
【文献】特開2003-145433(JP,A)
【文献】特開2000-233375(JP,A)
【文献】特開平05-245762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0065012(US,A1)
【文献】特表2012-515662(JP,A)
【文献】特開昭60-242975(JP,A)
【文献】特表2008-531305(JP,A)
【文献】特表2016-536151(JP,A)
【文献】特表平10-504495(JP,A)
【文献】特表2000-507885(JP,A)
【文献】特表2015-501731(JP,A)
【文献】実開昭56-033165(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D3/00-99/00
B24B3/00-3/60
B24B21/00-39/06
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨物品の製造方法であって、
a)
i)固まっていない粉末粒子の層を閉じた領域内に堆積するステップであって、前記固まっていない粉末粒子は、ポリマーボンド前駆体粒子及び研磨粒子を含み、固まっていない粉末粒子の前記層は、実質的に均一な厚さを有する、堆積するステップ、
ii)固まっていない粉末粒子の前記層の所定の領域内に液状バインダー前駆体材料を噴射するステップ、並びに
iii)前記液状バインダー前駆体材料を仮バインダー材料に変換するステップであって、前記仮バインダー材料は前記所定の領域内の前記ポリマーボンド前駆体粒子及び前記研磨粒子の少なくとも一部分に結合し、結合された粉末粒子の層を形成する、変換するステップ、
を含むサブプロセスと、
b)ステップa)を独立して複数回実施して、前記結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成するステップであって、各ステップa)において、前記固まっていない粉末粒子及び前記液状バインダー前駆体材料のいずれか又は両方が隣接する層で同じ又は異なり、前記ステップa)は、前記研磨物品プリフォームを層毎に生成するために、前記所定の領域を変更して独立して繰り返される、生成するステップと、
c)ステップa)及びステップb)において前記研磨物品プリフォームが形成された後、実質的に全ての前記残りの固まっていない粉末粒子を前記研磨物品プリフォームから分離するステップであって、前記残りの固まっていない粉末粒子を分離した結果、前記研磨物品プリフォームを少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル、又は、前記研磨物品プリフォームを少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓形冷却チャネルが形成され、前記少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル又は弓形冷却チャネルが、ステップii)において前記液状バインダー前駆体材料の適用のない部分によって形成される、分離するステップと、
d)前記研磨物品プリフォーム中の前記ポリマーボンド前駆体粒子をポリマーボンド粒子に変換するステップであって、前記ポリマーボンド粒子は前記研磨粒子を保持し、ポリマーボンド研磨物品を形成する、変換するステップと、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記液状バインダー前駆体材料が、内部に溶解又は分散したポリマーを有する液状キャリアを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記固まっていない粉末粒子がサブミクロンセラミック粒子を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリマーボンド前駆体粒子が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの組み合わせから選定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記変換するステップ(d)が、前記研磨物品プリフォームを、前記ポリマーボンド粒子を形成するべく前記ポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に軟化させるために十分な温度に加熱するステップ、又は、前記研磨物品プリフォームを、前記ポリマーボンド粒子を形成するべく前記ポリマーボンド前駆体粒子を重合させるために十分な温度に加熱するステップ、又は、前記研磨物品プリフォームの選択された部分を、前記ポリマーボンド粒子を形成するべく前記ポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に軟化させるために十分な温度に加熱するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記研磨物品プリフォームが約150℃~約250℃の温度に加熱される、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記変換するステップd)が、前記ポリマーボンド粒子を形成するべく、重合剤を前記研磨物品プリフォームに適用し、前記ポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に重合させるステップを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップa)ii)に先立って、前記固まっていない粉末粒子を加熱するステップを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
研磨物品(例えば、研磨ホイール、研磨セグメント、及び砥石)は、研磨粒子(例えば、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、アルミナ、若しくはSiC)、ガラス質ボンド前駆体(例えば、ガラスフリット、セラミック前駆体)、任意選択的な細孔誘導剤(例えば、グラスバブルズ、ナフタレン、破砕されたヤシ若しくはクルミ殻、又はアクリルガラス若しくはPMMA)、並びに液状ビヒクル中の仮有機バインダー(例えば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、尿素ホルムアルデヒド樹脂、若しくはデキストリンの水溶液)のブレンドを圧縮することによって製造することができる。次に、ブレンドされた混合物を硬化鋼成形型内に配置し、次に、ガラス質ボンド前駆体がガラス質ボンドマトリックスに変換されるまで加熱する。
【0002】
この製造アプローチには多数の欠点が存在する:各研磨物品の形状は特殊な成形型を必要とする;成形型は典型的には高額で、製造までのリードタイムが長い;何らかの設計変更は新たな成形型の製造を必要とする;型成形できる形状に制限があり、アンダーカット又は冷却チャネルなどの内部構造がある複雑な形状は、概ね不可能である;成形型は摩滅し、1つの成形型で製造できる単位数は限られる;成形型に研磨混合物が充填されている間に、構成成分の分離が起こり、容易に視認できる、不均質な研磨成分及び密度のばらつきを招く可能性がある。更に、プロセスが手動であり、労働集約的である。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本開示は、回転ポリッシング工具、仕上げ用ホイール及び構成要素、研磨セグメント、砥石及び同様のものなどのポリマー結合研磨物品、並びにそれらの製造方法に関する。ポリマー結合研磨物品は、例えば、内部チャネル、又は表面上の複雑な除去通路などの形状を含む。
【0004】
ポリマー結合研磨物品は、バインダー噴射3次元(3D)プリンタを用いて直接作製することができ、成形型の製作の必要性を回避する。本方法では、ポリマー前駆体粒子及び研磨粒子を含む粉末化粒子の薄い層が、インクジェット印刷ヘッドによって吐出される噴射されたバインダーによって所望の位置において仮に結合される。そして、プリントされた粉末層を、少なくとも部分的に乾燥し、位置を下げて、次の粉末層を展開できるようにする。粉末の延展、仮結合及び乾燥プロセスを繰り返し、未焼成研磨物品プリフォームを作製することができる。次に、未焼成研磨物品プリフォームをプリンタから取り出し、未結合のまま残った周囲の粉末から抽出する。次に、研磨物品プリフォームを更に処理し、ポリマー前駆体粒子を、研磨粒子を保持し、ポリマー結合研磨物品を形成するポリマーマトリックスに変換する。
【0005】
一実施形態において、本開示は、ポリマーマトリックス中に保持された研磨粒子を内部に有するポリマーボンド材料を含むポリマーボンド研磨物品であって、ポリマーボンド研磨物品を少なくとも部分的に通って延びる蛇行状冷却チャネル及び弓形冷却チャネルのうちの少なくとも1つを有する、ポリマーボンド研磨物品に関する。
【0006】
別の実施形態において、本開示は、ポリマーマトリックス中で結合された研磨粒子を含むポリマーボンド研磨物品前駆体であって、このポリマーボンド研磨物品前駆体は、ポリマーボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル、又はポリマーボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓形冷却チャネル、のうちの少なくとも1つを更に含む、ポリマーボンド研磨物品前駆体に関する。
【0007】
別の実施形態において、本開示は、研磨物品の製造方法であって、
a)
i)固まっていない粉末粒子の層を閉じた領域内に堆積するステップであって、固まっていない粉末粒子は、ポリマーボンド前駆体粒子及び研磨粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層は、実質的に均一な厚さを有する、堆積するステップ、
ii)固まっていない粉末粒子の層の所定の領域内に液状バインダー前駆体材料を適用するステップ、並びに
iii)液状バインダー前駆体材料を仮バインダー材料に変換するステップであって、仮バインダー材料は所定の領域内のポリマーボンド前駆体粒子及び研磨粒子の少なくとも一部分に結合し、結合された粉末粒子の層を形成する、変換するステップ、
を含むサブプロセスと、
b)ステップa)を独立して複数回実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成するステップであって、各ステップa)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択され、液状バインダー前駆体材料が独立して選択される、生成するステップと、
c)研磨物品プリフォーム中のポリマーボンド前駆体粒子をポリマーボンド粒子に変換するステップであって、ポリマーボンド粒子は研磨粒子を保持し、ポリマーボンド研磨物品を形成する、変換するステップと、
を含む製造方法に関する。
【0008】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することにより更に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A乃至図1Dは、ポリマーボンド研磨物品の製造方法の一実施形態の概略プロセスフロー図を示す。
図2】本開示の方法によって調製することができる例示的なポリマーボンド研磨ホイールの概略断面平面図である。
図3】本開示の方法によって調製することができる例示的なポリマーボンド研磨ホイールの概略断面平面図である。
図4】本開示の方法によって調製することができる例示的なポリマーボンド研磨セグメントの概略斜視図である。
図5】本開示の方法によって調製することができるポリマーボンド研磨ホイールの概略斜視図である。
図6A】本開示の方法によって調製することができる一体構造化された研磨ディスクの概略斜視図である。
図6B図6Aの一体構造化された研磨ディスクの概略平面図である。
図7A】本開示の方法によって作製することができる一体構造化された研磨ディスク700の概略斜視図である。
図7B図7Aの一体構造化された研磨ディスクの概略平面図である。
図8】本開示の方法によって調製することができる回転研磨工具800の概略斜視図である。
図9】実施例1及び2のための脱粉末後の3D印刷された部品の写真である。
図10】オーブン内における硬化前の、実施例1のための鋼マンドレル上に配置された3D印刷された部品の写真である。
図11】オーブン内における硬化後の実施例1及び2の3D印刷された部品の写真である。
図12】脱粉末後の実施例3の3D印刷された部品の写真である。
図13】脱粉末後の実施例4の3D印刷された部品の写真である。
図14】硬化(固化)後の実施例4の3D印刷された部品の写真である。
図15】鋼マンドレル上の実施例1の3D印刷された部品を用いてポリッシングした表面の光沢度測定を要約したプロットである。
【0010】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。多数の他の変更及び実施形態を当業者が考案でき、それらは、本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれる。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A図1Dは、ポリマーボンド研磨物品の製造に用いることができる例示的な粉末床噴射プロセス100を概略的に示す。図1Aは、微粒子材料を同じ区域の上に繰り返し堆積するステップによって、成形研磨物品プリフォームの3Dモデルを1度に1層ずつ付加的に積層するために用いることができる3次元(3D)印刷装置102の概略的な非限定例を示す。3Dプリンタ102は、3Dコンピュータ支援設計(computer aided design、CAD)図面を複数の2次元の断面層に変えることによって、研磨物品プリフォームを作製する。3Dプリンタ102は、研磨粒子及びポリマー前駆体粒子を含む微粒子の混合物の連続層を堆積させる。次に、これらを後続のステップにおいて互いに結合させ、本明細書において研磨物品プリフォームと呼ばれる未焼成物品を形成することができる。
【0012】
図1Aを参照すると、3D印刷装置102は、方向Aに運動させることができるピストン駆動供給プラットフォームラム122aを有する第1のチャンバ120aを含む。ラム122aは、いくつかの実施形態では研磨粒子を含む、微粒子110の混合物を支持する。粉末延展ローラ130が微粒子混合物110の表面131上を方向Bに運動し、微粒子混合物110中の粒子を粉末材料供給プラットフォームラム122a及びチャンバ120aから第2のチャンバ120bへ実質的に均一に移動させる。
【0013】
3D印刷装置102は、方向Aに沿って運動するピストン駆動積層プラットフォームラム122bを有する第2のチャンバ120bを更に含む。図1Bも参照すると、ラム122bの上方の閉じた粒子混合物堆積領域140が、混合物110中の粒子と同じであるか、又は異なり得る、研磨粒子及びポリマー前駆体粒子を含む固まっていない粉末粒子混合物の堆積層138を受容する。いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138は実質的に均一な厚さのものである。例として提供され、限定を意図されていない、いくつかの実施形態では、層の厚さは、約100μm未満、又は約50μm未満、又は約30μm未満、又は10μm未満変化し得る。
【0014】
ラム122bは、粒子混合物堆積領域140が任意の所望の厚さを有するように調整され得る。様々な実施形態では、層138にその後適用された、噴射された液状バインダー前駆体材料(図1Cに示され、後述される)が、液状バインダー前駆体材料が適用された、選択された領域内の全ての粒子に接触することができる場合には、固まっていない粉末層138は最大約1ミリメートルまでの任意の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138の厚さは、約10μm~約500μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約250μm、又は約100μm~約200μmである。
【0015】
固まっていない粉末層138内の研磨粒子は、研磨材業界において用いられる任意の研磨粒子を含み得る。様々な実施形態では、研磨粒子は、少なくとも4、又は少なくとも5、又は少なくとも6、更に又は少なくとも7、又は少なくとも8、又は少なくとも8.5、又は少なくとも9のモース硬度を有する。特定の諸実施形態では、研磨粒子は、本明細書で使用するとき、炭化ケイ素の硬度以上の硬度を有する任意の研磨粒子(例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、及びダイヤモンド)を指す、超研磨粒子を含む。
【0016】
好適な研磨材料の具体例としては、酸化アルミニウム(例えば、αアルミナ)材料(例えば、溶融、熱処理、セラミック、及び/若しくは焼結酸化アルミニウム材料)、炭化ケイ素、二ホウ化チタン、窒化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、ガーネット、溶融アルミナ-ジルコニア、ゾル-ゲル由来研磨粒子、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。米国特許第4,314,827号(Leitheiserら)、同第4,623,364号(Cottringerら)、同第4,744,802号(Schwabel)、同第4,770,671号(Monroeら)、及び同第4,881,951号(Monroeら)に、ゾル-ゲル由来研磨粒子の例を見出すことができる。ポリマーボンドマトリックス中により微細な研磨粒子を含む凝集研磨粒子(例えば、米国特許第6,551,366号(D’Souzaら)に記載されているとおりのもの)も同様に用いられ得る。
【0017】
微細な細粒度を達成するために、いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138内の粒子は、400μm以下、又は250μm以下、又は200μm以下、又は150μm以下、又は100μm以下、80μm以下、又は更に10μm以下の最大サイズを有するように(例えば、篩い分けによって)サイズが設定される。ただし、より大きなサイズもまた用いられ得る。ポリマーボンド前駆体粒子、研磨粒子、及びあらゆる任意選択の追加的な微粒子成分を含む、固まっていない粉末層138内の粒子は、同じ、又は異なる最大粒径、D90、D50、及び/又はD10粒径分布パラメータを有し得る。
【0018】
限定を意図されていない、いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138内の研磨粒子は、ダイヤモンド粒子、立方晶窒化ホウ素粒子、又は金属酸化物粒子のうちの少なくとも1つであることができ、約3.5g/cc~約3.9g/ccの密度を有することができる。他の実施形態では、固まっていない粉末層138内の研磨粒子は、約2.0g/cc~約2.2g/ccの密度を有するダイヤモンド粒塊であることができる。
【0019】
固まっていない粉末層138内の粒子はポリマー前駆体粒子を更に含む。いくつかの実施形態では、ポリマー前駆体粒子は、研磨粒子の周りを少なくとも部分的に流れるよう軟化させることができる熱可塑性ポリマー樹脂を含む。少なくとも部分的に固められると、熱可塑性樹脂は研磨粒子を強化してそれらを接着によって保持し、特定の用途のための所望の形状を有するポリマー結合研磨物品を作る。好適な熱可塑性樹脂の非限定例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル系、シアノアクリレート、エポキシ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性材料は、熱線、又は紫外線などの化学線の適用を含む任意の好適な技法によって軟化させ得る。
【0020】
他の実施形態では、固まっていない粉末層138内のポリマー前駆体粒子は、例えば、フェノール樹脂(例えば、ノボラック型及び/若しくはレゾール型フェノール樹脂)、アクリルモノマー(例えば、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、及び同様のものなど、ここで、(メタ)はアクリル系若しくはメタクリル系を指示する)、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂(ポリ尿素及びポリウレタン樹脂を含む)、アルキド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アミノプラスト樹脂、シリコーン、並びにこれらの組み合わせの、有機熱硬化性化合物を含む。少なくとも部分的に固められる、又は硬化させられると、これらの熱硬化性化合物は、研磨粒子を強化してそれらを接着によって保持し、特定の用途のための所望の形状を有するポリマー結合研磨物品を作る、共有結合的に架橋されたボンドネットワークを発達させる。熱硬化性材料は、熱線、又は紫外線などの化学線の適用を含む任意の好適な技法によって軟化させ得る。
【0021】
様々な実施形態では、固まっていない粉末層138内の微粒子の混合物は、約1wt%~約99wt%、又は約5wt%~約95wt%、又は約7wt%~約93wt%、又は約10wt%~約90、又は約20wt%~約80wt%のポリマー前駆体粒子を含む。様々な実施形態では、固まっていない粉末層138は、約1wt%~約99wt%、又は約5wt%~約95wt%、又は約15wt%~約85wt%、又は約20wt%~約80wt%、又は約30wt%~約70wt%、又は約40wt%~約60wt%の研磨粒子を含む。
【0022】
好適な粉末層のより具体的な例は、限定するものではないが、約7wt%の研磨粒子対約93wt%のポリマー前駆体粒子、又は約93wt%の研磨粒子対約7wt%のポリマー前駆体粒子、又は約76wt%の研磨粒子対約24wt%のポリマー前駆体粒子を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138はバインダー前駆体粒子を更に含み得る。粉末層138の所定の領域(単数又は複数)内において液状バインダー活性化液と反応させられるか、又はそれに曝露されると、バインダー前駆体粒子は、所定の領域内において、固まっていない粉末層138内の研磨粒子及びポリマー前駆体粒子及び研磨粒子を仮に束ねるためのバインダーを形成し、以下においてより詳細に説明されるとおりの研磨物品プリフォームを形成することができる。いくつかの実施形態では、固まっていない粉末粒子138の一部又は全ては、活性化液に曝露されると、コーティングされた粒子上で活性化させられる、バインダー前駆体材料でコーティングされ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138内の粒子は、例えば、細孔誘導剤、潤滑剤、充填剤粒子、加工助剤、並びにこれらの混合物及び組み合わせなどの他の構成要素を任意選択的に含み得る。細孔誘導剤の非限定例としては、グラスバブルズ及び有機粒子が挙げられる。好適な潤滑剤としては、限定するものではないが、黒鉛、硫黄、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。好適な加工助剤としては、限定するものではないが、ヒュームドシリカ、ナノシリカ、ステアレート、デンプン、並びにこれらの混合物及び組み合わせなどの流動化剤が挙げられる。添加物は、ポリマーボンド研磨物品において採用された研磨粒子に対してほとんど又は全く悪影響を及ぼさない。
【0025】
固まっていない粉末層138内の粒子は、任意選択的に、それらの流動性及び層の延展の均一性を向上するために改質されていてもよい。粉末の改良方法としては、凝集、噴霧乾燥、ガス噴霧又は水噴霧、フレーム形成、粒状化、ミリング加工、及び篩分けが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138内の研磨粒子は、ポリマー前駆体粒子への接着を促進する、ポリマーボンド研磨物品中の樹脂の総量を制御するなどするための1つ以上のコーティング層を任意選択的に含み得る。限定を意図されていない1つの例では、研磨粒子は、レゾール型樹脂などのフェノール樹脂プレポリマーのコーティングを含み得、また、延展に先立ってノボラック型フェノール樹脂材料もコーティングされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、固まっていない粉末層138内の粒子は、例えば、焼成されると、対応するセラミック形態へ変換する、ボーキサイト、ベーマイト、か焼アルミナ、又はか焼ジルコニアなどのセラミック前駆体(例えば、アルミナ又はジルコニアの前駆体)を任意選択的に含み得る。
【0028】
図1Cを参照すると、液状バインダー前駆体材料170が、3D印刷装置102のプリントヘッド150によって、固まっていない粉末層138の所定の領域(単数又は複数))180上に噴射される。液状バインダー前駆体材料は、よって、領域180内の固まっていない粉末粒子をコーティングし、その後に、所定の領域180内の固まっていない粉末粒子を少なくとも仮に互いに結合するバインダーに変換される。液状バインダー前駆体材料170は、(例えば、気化、又は熱硬化、化学硬化、及び/又は(例えば、UV光又は可視光を用いる)放射線硬化によって)、プリントヘッド150のプログラムされた運動によって得られる噴射パターン(及び、複数の繰り返しによる最終3D形状)に従って、固まっていない粉末粒子を互いに結合するバインダー材料に変換され得る任意の組成であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、液状バインダー前駆体材料170は液状キャリア及びポリマーを含む。液状キャリアは、少なくとも1種の有機溶媒及び水のうちの1つ以上を含み得る。例示的な有機溶媒としては、限定するものではないが、いくつかの非限定的実施形態では、100℃以上の引火点を有する、アルコール(例えば、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン、及びエーテルが挙げられる。好適な溶媒又は溶媒群の選択は、典型的には、例えば、所望の表面張力及び粘度、選択された粒子状固体、及び同様のものなどの特定の用途の要件に依存するであろう。
【0030】
いくつかの実施形態では、液状キャリア中に含まれる1種以上の有機溶媒は、例えば、液状バインダー前駆体材料170の乾燥速度又は表面張力のうちの少なくとも1つを制御し、成分(例えば、界面活性剤)の溶解を可能にすることができ、又は、成分のうちのいずれかの微量要素として、例えば、有機共溶媒が、液状キャリアに成分として添加された界面活性剤中に存在してもよい。液状バインダー前駆体材料170のための例示的な有機溶媒としては、限定するものではないが、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、及びイソブチルアルコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、及びジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール;酢酸エチル及び乳酸エチルなどのエステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2,4-ブタントリオール、1,5-ペンタンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、グリセロール、グリセロールエトキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレートなどの多価アルコール;エチレングリコールメチル若しくはエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル若しくはエチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの低級アルキルエーテル;2-ピロリジノン及びN-メチル-2-ピロリジノンなどの窒素含有化合物;ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、及びチオグリコールなどの硫黄含有化合物;並びに前述したもののうちの任意のものの組み合わせが挙げられる。
【0031】
液状キャリアは完全に水であることができるか、又は水を、ポリマーを液状バインダー前駆体材料170中に溶解させるのに適した1種以上の有機溶媒と組み合わせて含有することができる。水溶性キャリアは、総重量ベースで、少なくとも20重量%の水、少なくとも30重量%の水、少なくとも40重量%の水、少なくとも50重量%の水、又は更に少なくとも75重量%の水を含有することが好ましい。
【0032】
液状キャリア中の有機溶媒及び/又は水の量は、粘度、表面張力、及び/又は乾燥速度などの、液状バインダー前駆体材料170の特に所望される特性などのいくつかの因子に依存し得、それらの因子は、今度は、例えば、ピエゾ式又はサーマル式のプリントヘッド150などの、液状バインダー前駆体材料と共に使用されることが意図されるインクジェット印刷技術のタイプなどの因子に依存し得る。
【0033】
液状バインダー前駆体材料170中のポリマーは液状キャリア中で可溶性又は分散性であることができる。液状バインダー前駆体材料170のための好適なポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOX)、ポリビニルブチラート、メチルビニルエーテル及び無水マイレン酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はヒドロキシエチルアクリレート、メチルセルロース、天然ポリマー(例えば、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム)の特定のコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、水を含む、又は大部分水である液状キャリアと共にポリビニルピロリドンを用いることができる。所望に応じて、代わりに又は追加で、上に列挙したもの以外の他の有機ポリマーを使用してもよい。
【0034】
液状バインダー前駆体材料170は、1種以上のフリーラジカル重合性、さもなければ放射線硬化性の材料、例えば、アクリル系モノマー類及び/若しくはオリゴマー類並びに/又はエポキシ樹脂類を含んでもよい。また、フリーラジカル重合性の、そうでなければ放射線硬化性の物質を硬化させるための有効量の光開始剤及び/又は光触媒が含まれてもよい。好適な(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマー、そうでなければ放射線硬化性物質(例えば、エポキシ樹脂)の例が、例えば米国特許第5,766,277号(DeVoeら)に見られる。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態では、液状バインダー前駆体材料170は、金属ナノ粒子及び/又は金属酸化物ナノ粒子を本質的に含まない(例えば、それらを1%未満、0.1%未満、0.01%未満含有するか、又は更にはそれらを含まない)。本明細書で使用するとき、用語「ナノ粒子」は、1μm以下、又は500ナノメートル(nm)以下、又は更に150nm以下の平均粒径を有する粒子を指す。
【0036】
代替的に、又は加えて、液状バインダー前駆体170は、アルミナ及び/又はジルコニアのためのセラミック前駆体を含む水性ゾルであってもよい。例としては、水性ベーマイトゾル類及びジルコニアゾル類が挙げられる。このような場合には、焼成してポリマーボンド研磨物品を生成した後に、液状バインダー前駆体170は、研磨粒子と同じ、又は異なる組成を有し得る。例えば、米国特許第6,376,590号(Kolbら)に、ジルコニアゾル類に関する詳細を見出すことができる。例えば、米国特許第4,314,827号(Leitheiserら)、同5,178,849号(Bauer)、同4,518,397号(Leitheiserら)、同4,623,364号(Cottringerら)、同4,744,802号(Schwabel)、同4,770,671号(Monroeら)、同4,881,951号(Woodら)、同4,960,441号(Pellowら)、同5,011,508号(Waldら)、同5,090,968号(Pellow)、同5,139,978号(Wood)、同5,201,916号(Bergら)、同5,227,104号(Bauer)、同5,366,523号(Rowenhorstら)、同5,429,647号(Larmie)、同5,547,479号(Conwellら)、同5,498,269号(Larmie)、同5,551,963号(Larmie)、同5,725,162号(Gargら)、及び同5,776,214号(Wood))に、ベーマイトゾルに関する詳細を見出すことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、噴射される液状バインダー前駆体170は、固まっていない粉末層138の所定の領域(単数又は複数)内の固体バインダー前駆体粒子と反応又は接触し、バインダー前駆体粒子に、所定の区域バインダー内の研磨粒子及びポリマー前駆体粒子を仮に互いに結合するためのバインダーを形成させる活性化液であり得る。いくつかの実施形態では、噴射される活性化液170は、固まっていない粉末層138内の選択された粒子上のバインダー前駆体層と反応又は接触し、このバインダー前駆体層が、次に、バインダー前駆体層に、所定の領域内の研磨粒子及びポリマー前駆体粒子を互いに結合するバインダーを形成させる。
【0038】
次に図1Dを参照すると、噴射された液状バインダー前駆体材料170は、固まっていない粉末粒子138の所定の領域180内の固まっていない粉末粒子を少なくとも仮に互いに結合し、結合された粉末粒子の層を形成するバインダー材料に変換される(ステップ190)。液状バインダー前駆体材料は、例えば、液状バインダー前駆体材料170中の液状キャリアの気化による仕方、又は液状バインダー前駆体材料の融解若しくは軟化による仕方など、多種多様の仕方で液状バインダーに変換され得る。冷却は、当技術分野において周知の任意の手段(例えば、サブゼロ急冷又は室温への空冷)によって達成され得る。
【0039】
次に、変化させながら上述のステップを繰り返し(図1Dのステップ185)、所定のプログラムされた設計に従って固まっていない粉末層138の選択された区域内において噴射が行われる領域180、図1Dのステップ195において、繰り返しを通じて、1層1層、3次元(3D)未焼成研磨物品プリフォーム196を生成する。各繰り返しにおいて、固まっていない粉末粒子及び液状バインダー前駆体材料は、独立して選択されてもよく、すなわち、固まっていない粉末粒子及び液状バインダー前駆体材料のいずれか又は両方は、隣接する堆積層のものと同じであっても異なっていてもよい。
【0040】
得られた研磨物品プリフォーム196は、バインダー材料によって結合された粉末粒子、及び任意の残りの未結合の固まっていない粉末粒子を含む未焼成研磨物品である。十分な繰り返しを実行して研磨物品プリフォーム196を形成すると、いくつかの実施形態では、研磨物品プリフォームを、残りの未結合の固まっていない粉末粒子の実質的に全て(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)から分離することができる。ただし、これは本開示のプロセスにおける必須要件ではない。
【0041】
所望の場合には、図1のプロセスの各ステップ185において、異なる粉末を各々収容する複数の粒子収容容器が用いられてもよい。同様に、共通のプリントヘッド150、又は、いくつかの実施形態では、別個のプリントヘッドのいずれかを用いて、異なる複数の液状バインダー前駆体材料170を使用してもよい。それゆえ、異なる粉末/バインダーをポリマーボンド研磨物品の異なる個別の領域内に分布させることができる。例えば、比較的廉価であるが、性能の低い研磨粒子及び又はポリマーボンド前駆体粒子は、高い性能特性を有することが特に重要とされない(例えば、研磨面から離れた内部における)ポリマーボンド研磨物品の領域に追いやってもよい。
【0042】
本開示のポリマー結合研磨物品を作製するために適した粉末床噴射用3D印刷機器が、例えば、ExOne,North Huntington,PAから市販されている。例えば、米国特許第5,340,656号(Sachsら)及び同第6,403,002(B1)号(van der Geest)に、本開示を実施するために適した粉末噴射技法に関する更なる詳細を見出すことができる。
【0043】
図1Dのステップ197において、未焼成研磨物品プリフォーム196を更に処理し、ポリマーボンド研磨物品198を形成する。更なる処理ステップ197は、意図する用途に依存して幅広く異なり得るが、概して、研磨粒子プリフォーム196中のポリマー前駆体粒子を、プリフォーム196中の研磨粒子を保持するか、又はそれらと結合するポリマーマトリックスに変換する。
【0044】
いくつかの実施形態では、処理ステップ197は、研磨物品プリフォーム196を加熱し、ポリマー前駆体粒子を軟化させ、研磨物品プリフォーム196中の研磨粒子の少なくとも一部の周りに流れさせることを含む。軟化したポリマー前駆体粒子は研磨粒子の間の隙間を塞ぎ、研磨物品保持マトリックスを形成する。研磨物品プリフォーム196が加熱される温度は、無論、その内部に存在するポリマー前駆体及び研磨粒子に依存するが、いくつかの非限定的な例示的実施形態では、プリフォーム196は、約150℃~約350℃、又は約200℃~約250℃、又は約205℃~約230℃に加熱される。プリフォーム196は、例えば、オーブン内で、レーザーを用いて、又は放射の適用によって、といった任意の好適な方法によって加熱され得る。いくつかの実施形態では、プリフォーム196が加熱される温度は、プリフォーム196中に存在するバインダー材料の少なくとも一部分又は全てを除去するために十分であり得る。冷却するステップの後に、ポリマーマトリックスは、得られたポリマーボンド研磨物品198を、選択された研削用途において使用することができるよう、研磨粒子を十分に保持する。
【0045】
別の実施形態では、処理するステップ197は、例えば、紫外(UV)線などの化学線を研磨物品プリフォーム196に適用し、ポリマー前駆体粒子を少なくとも部分的に硬化させてポリマーマトリックスを形成し、研磨粒子の少なくとも一部を保持してポリマーボンド研磨物品198を形成することを含み得る。
【0046】
更に別の実施形態では、処理するステップ197は、活性化又は重合材料を研磨物品プリフォーム196に適用し、ポリマー前駆体粒子を少なくとも部分的に重合させてポリマーマトリックスを形成し、研磨粒子の少なくとも一部を保持してポリマーボンド研磨物品198を形成することを含み得る。
【0047】
処理するステップ197は、熱、化学線、又は重合及び活性化材料の適用のうちの1つ又は組み合わせを含むことができ、これらの処理するステップは、連続的に、又はバッチ形態で実行され得ることに留意されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ポリマーボンド研磨物品198は、それらの体積全体にわたって相当な多孔率を有することができる。したがって、いくつかの実施形態では、研磨物品プリフォーム196は、処理ステップ197の前、最中、又は後に、追加のポリマーボンド前駆体材料の溶液若しくは分散体、又は結晶粒成長調整剤を任意選択的に注入されてもよい。
【0049】
本開示に係る方法は、他の方法によっては容易に、又はたやすく製作され得ない様々なポリマーボンド研磨物品198を製造するために適している。例えば、研磨物品プリフォーム196の外部への開口部が未結合の固まっていない粉末の除去のために存在する場合には、内部ボイドがポリマーボンド研磨物品198内に含まれ得る。ポリマーボンド研磨物品198の外部に開いた蛇行状及び又は弓形の経路を有する冷却チャネルを、本開示の方法を用いて容易に製作することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーボンド研磨物品198は単一の開口部を有することができるが、より典型的には、それらは2つ以上の開口部を有する。冷却媒体(例えば、空気、水又は油)が冷却通路(単数又は複数)を通して循環し、研磨の間に発生した熱を除去する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリマーボンド研磨物品198に、部分を緻密にして強化するための浸潤剤を更に注入することができる。限定を意図されていない1つの例では、ポリマーボンド研磨粒子198をポリマー浸潤剤中に浸漬することができ、ポリマー材料が部品内のあらゆる不必要なボイドに入ることを可能にすることができる。次に、ポリマー浸潤剤を硬化させて固め、浸潤された部分を強化するか、又はその特性を特定の用途のために他の様態で変更することができる。
【0051】
ポリマーボンド研磨物品198は、例えば、一体構造化された研磨ディスク、研削ビット、研磨セグメント、成形研磨粒子(例えば、三角形研磨粒子)、研磨ホイール、及び同様のものなどの好適な研削部分を形成するために、任意選択的に機械加工されるか、又は金属マンドレルに取り付けられてもよい。
【0052】
次に図2を参照すると、例示的なポリマーボンド研磨ホイール200は弓形及び蛇行状冷却チャネル210をそれぞれ有する。
【0053】
図3は、蛇行状冷却チャネル320を有する別の例示的なポリマーボンド研磨ホイール300を示す。
【0054】
図4は例示的なポリマーボンド研磨セグメント400を示す。一般的な使用においては、複数のポリマーボンド研磨セグメント400を、金属ディスクの周縁に沿って一様に間隔を設けて取り付け、研磨ホイールを形成する。
【0055】
図5はポリマーボンド研磨ディスク500を示し、2つの領域510、520を有する。各領域は、ポリマーボンドマトリックス材料550、560中に保持された研磨粒子530、540をそれぞれ有する。
【0056】
図6A図6B及び図7A図7Bは、平面状基材620、720と一体的に形成された、精密に賦形された研磨要素610、710を有する様々な一体構造化された研磨ディスクをそれぞれ示す。
【0057】
図8は、回転研磨工具800(例えば、Dremel工具などの、手持ち式モータ駆動シャフトのためのビット)を示す。
【0058】
図2及び図3に示される上述のポリマー研磨ホイールは、対応する未焼成研磨物品前駆体本体(即ち、同じ大まかな形状特徴を有するが、仮バインダーによってくっつけられたポリマーボンド前駆体粒子を含む)を加熱するか、又は他の仕方で変換するステップによって、調製することができる。
【0059】
本開示の選択された実施形態
実施形態A:ポリマーマトリックス中に保持された研磨粒子を内部に有するポリマーボンド材料を含むポリマーボンド研磨物品であって、このポリマーボンド研磨物品を少なくとも部分的に通って延びる蛇行状冷却チャネル及び弓形冷却チャネルのうちの少なくとも1つを有する、ポリマーボンド研磨物品。
【0060】
実施形態B.研磨粒子が第1の研磨粒子及び第2の研磨粒子を含み、第1の研磨粒子及び第2の研磨粒子はポリマーボンド研磨物品内の所定の異なる領域内に配置されている、実施形態Aのポリマーボンド研磨物品。
【0061】
実施形態C.異なる領域が層である、実施形態A又はBのポリマーボンド研磨物品。
【0062】
実施形態D.研磨粒子が、ダイヤモンド粒子又は立方晶窒化ホウ素粒子のうちの少なくとも一方を含む、実施形態A~Cのうちのいずれか1つのポリマーボンド研磨物品。
【0063】
実施形態E.研磨粒子が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、又は金属酸化物セラミック粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態A~Dのうちのいずれか1つのポリマーボンド研磨物品。
【0064】
実施形態F.ポリマーボンド研磨物品が、一体構造化された研磨ディスク、研磨研削ビット、研磨セグメント、及び研磨ホイールから選定される、実施形態A~Eのうちのいずれか1つのポリマーボンド研磨物品。
【0065】
実施形態G.ポリマーマトリックス中で結合された研磨粒子を含むポリマーボンド研磨物品前駆体であって、このポリマーボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル、又はポリマーボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓形冷却チャネル、のうちの少なくとも一方を更に含む、ポリマーボンド研磨物品前駆体。
【0066】
実施形態H.研磨粒子が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、又は金属酸化物セラミック粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態Gのポリマーボンド研磨物品前駆体。
【0067】
実施形態I.研磨物品の製造方法であって、
a)
i)固まっていない粉末粒子の層を閉じた領域内に堆積するステップであって、固まっていない粉末粒子は、ポリマーボンド前駆体粒子及び研磨粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層は、実質的に均一な厚さを有する、堆積するステップ、
ii)固まっていない粉末粒子の層の所定の領域内に液状バインダー前駆体材料を適用するステップ、
iii)液状バインダー前駆体材料を仮バインダー材料に変換するステップであって、仮バインダー材料は所定の領域内のポリマーボンド前駆体粒子及び研磨粒子の少なくとも一部分に結合し、結合された粉末粒子の層を形成する、変換するステップ、
を含むサブプロセスと、
(b)ステップa)を独立して複数回実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成するステップであって、各ステップa)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択され、液状バインダー前駆体材料が独立して選択される、生成するステップと、
(c)研磨物品プリフォーム中のポリマーボンド前駆体粒子をポリマーボンド粒子に変換するステップであって、ポリマーボンド粒子は研磨粒子を保持し、ポリマーボンド研磨物品を形成する、変換するステップと、
を含む製造方法。
【0068】
実施形態J.研磨粒子が、ダイヤモンド粒子、立方晶窒化ホウ素粒子、又は金属酸化物セラミック粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態Iの製造方法。
【0069】
実施形態K.液状バインダー前駆体材料が、内部に溶解又は分散したポリマーを有する液状キャリアを含む、実施形態I及びJのうちのいずれか1つの製造方法。
【0070】
実施形態L.変換するステップ(c)に先立って、実質的に全ての残りの固まっていない粉末粒子を研磨物品プリフォームから分離するステップを更に含む、実施形態I~Kのうちのいずれか1つの製造方法。
【0071】
実施形態M.固まっていない粉末粒子がサブミクロンセラミック粒子を含む、実施形態I~Lのうちのいずれか1つの製造方法。
【0072】
実施形態N.ポリマーボンド前駆体粒子が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの組み合わせから選定される、実施形態I~Mのうちのいずれか1つの製造方法。
【0073】
実施形態O.変換するステップ(c)が、研磨物品プリフォームを、ポリマーボンド粒子を形成するべくポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に軟化させるために十分な温度に加熱するステップを含む、実施形態I~Nのうちのいずれか1つの製造方法。
【0074】
実施形態P.変換するステップ(c)が、研磨物品プリフォームを、ポリマーボンド粒子を形成するべくポリマーボンド前駆体粒子を重合させるために十分な温度に加熱するステップを含む、実施形態I~Oのうちのいずれか1つの製造方法。
【0075】
実施形態Q.変換するステップ(c)が、研磨物品プリフォームの選択された部分を、ポリマーボンド粒子を形成するべくポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に軟化させる重合させるために十分な温度に加熱するステップを含む、実施形態I~Pのうちのいずれか1つの製造方法。
【0076】
実施形態R.研磨物品プリフォームが約150℃~約250℃の温度に加熱される、実施形態I~Qのうちのいずれか1つの製造方法。
【0077】
実施形態S.変換するステップ(c)が、ポリマーボンド粒子を形成するべく、重合剤を研磨物品プリフォームに適用し、ポリマーボンド前駆体粒子を少なくとも部分的に重合させるステップを含む、実施形態I~Rのうちのいずれか1つの製造方法。
【0078】
実施形態T.ステップ(a)(ii)に先立って、固まっていない粉末粒子を加熱するステップを更に含む、実施形態I~Sのうちのいずれか1つの製造方法。
【0079】
実施形態U.固まっていない粉末粒子が最大約30℃までの温度に加熱される、実施形態I~Tのうちのいずれか1つの製造方法。
【0080】
実施形態V.仮バインダー材料がポリビニルピロリドンを含む、実施形態I~Uのうちのいずれか1つの製造方法。
【0081】
実施形態W.研磨物品の製造方法であって、
a)
i)固まっていない粉末粒子の層を閉じた領域内に堆積するステップであって、固まっていない粉末粒子は、約5wt%~95wt%のポリマーボンド前駆体粒子及び約5wt%~約95wt%の研磨粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層は実質的に均一な厚さを有する、堆積するステップ、
ii)固まっていない粉末粒子の層の所定の領域内に液状バインダー前駆体材料を噴射するステップ、並びに
iii)液状バインダー前駆体材料を、所定の領域内の固まっていない粉末粒子の粒子を互いに結合する仮バインダー材料に変換して、結合された粉末粒子の層を形成するステップ、
を含むサブプロセスと、
(b)ステップa)を独立して複数回実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成するステップであって、各ステップa)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択され、液状バインダー前駆体材料が独立して選択される、生成するステップと、
(c)研磨物品プリフォーム中のポリマーボンド前駆体粒子を加熱し、ポリマーボンド前駆体粒子を硬化させてポリマーボンド粒子を形成するステップであって、ポリマーボンド粒子は研磨粒子を保持し、ポリマーボンド研磨物品を形成する、形成するステップと、
を含む製造方法。
【0082】
実施形態X.ステップ(a)(ii)に先立って、固まっていない粉末粒子を最大約30℃までの温度に加熱するステップを更に含む、実施形態Wの製造方法。
【0083】
実施形態Y.変換するステップ(c)に先立って、実質的に全ての残りの固まっていない粉末粒子を研磨物品プリフォームから分離するステップを更に含む、実施形態W又はXの製造方法。
【0084】
実施形態Z.固まっていない粉末粒子がポリマーボンド前駆体粒子を更に含む、実施形態W~Yのうちのいずれか1つの製造方法。
【0085】
実施形態AA.ステップ(c)の後にポリマー結合研磨物品を焼結し、ポリマーボンド前駆体粒子をポリマーボンド粒子に変換してポリマー結合研磨物品を形成するステップを更に含む、実施形態W~Zのうちのいずれか1つの製造方法。
【0086】
実施形態BB.ポリマー浸潤剤を用いてポリマー結合研磨物品を浸潤させるステップを更に含む、実施形態W~AAのうちのいずれか1つの製造方法。
【0087】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な材料及びそれらの量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限しないものと解釈されるべきである。
【実施例
【0088】
一般的プロセスの説明
ポリマー粉末及び研磨粒子の混合物を調製し、The ExOne Company,North Huntingdon,PAから入手した、ExOne M-LAB 3Dプリンタの供給チャンバ内に配置した。プリンタのバインダー供給瓶に、ExOneからPM-B-SR1-04として入手した、エーテル溶媒ベースのポリマーバインダーを充填した。
【0089】
3Dモデルを、回転工具及び研磨形材のための例示的部品を作製するためにファイルに仕立て、ファイルをExOne M-labプリンタのための印刷ジョブに仕立てた。
【0090】
印刷後、印刷されたセグメント及び部品を抽出し、脱粉末し、極めて安定していることを見出した。それらのセグメント及び部品を金属マンドレル上に配置し、オーブン内に配置して粒塊の周りの粉末を緻密にし、3D形材を金属マンドレルに取り付けた。緻密にした部分を、後述されるように、研磨性能について評価した。
【0091】
実施例1
粉末混合物:Lubrizol X2006-NAT-025PWD(Lubrizol Advanced Materials,Brecksville,Ohio)からの67重量%のポリウレタン粉末、及び33重量%の9μmダイヤモンド粒塊(3M Company,Cumberland,Wisconsin 012116-SD1)を調製した。部品を作製するために使用した3Dモデルは、キャップを有する中空円筒であった。ExOne M-lab 3Dプリンタ内で成形部品を印刷した。層の高さは100μmであり、スプレッダ速度は5mm/minであり、印刷飽和度を公称90%レベルに設定し、乾燥時間を、ヒーターパワーを50%に設定した状態で、15秒に設定した。バインダーは、ExOne PM-B-SR1-04であった。
【0092】
部品を脱粉末し(図9)、図10の写真に示されるように、直径3mmの鋼マンドレル上に配置した。次に、部品を210℃で1時間硬化させた。図11に、得られた硬化した物品の写真を示す。
【0093】
実施例2
実施例1の場合と同じように粉末混合物:Lubrizol X2006-NAT-025PWDからの67%のポリウレタン粉末、及び33%の9μmダイヤモンド粒塊s(3MCumberland,012116-SD1)を調製した。部品を作製するために使用した3Dモデルは、中空円筒上の切頭円錐であった。ExOne M-lab 3Dプリンタ内で成形部品を印刷した。層の高さは100μmであり、スプレッダ速度は5mm/minであり、印刷飽和度を公称90%レベルに設定し、乾燥時間を、ヒーターパワーを50%に設定した状態で、15秒に設定した。バインダーは、ExOne PM-B-SR1-04であった。
【0094】
部品を脱粉末し(図9)、アルミニウムトレイ内(のみ)の少量のダイヤモンド粒塊上に配置した。次に、部品を210℃で1時間硬化させた。図11に、得られた硬化した物品の写真を示す。
【0095】
実施例3
実施例1の場合と同じように粉末混合物:Lubrizol X2006-NAT-025PWDからの67%のポリウレタン粉末、及び33%の9μmダイヤモンド粒塊(3MCumberland,012116-SD1)を調製した。部品を作製するために用いた3Dモデルは、外部を取り巻く弓形の溝、及び円筒の軸線に沿った隠れた中央孔につながる半径にそろえられた逆テーパ状の円錐形孔を有する丸い上部を有する円筒であった。ExOne M-lab 3Dプリンタ内で成形部品を印刷した。層の高さは100μmであり、スプレッダ速度は5mm/minであり、印刷飽和度を公称90%レベルに設定し、乾燥時間を、ヒーターパワーを50%に設定した状態で、15秒に設定した。バインダーは、ExOne PM-B-SR1-04であった。
【0096】
部品を脱粉末し、図12に、脱粉末した部品の写真を示す。
【0097】
実施例4
粉末混合物:30重量%の3M Scotchkote6258エポキシ(3M Company,St.Paul,MN)、及び70重量%のP280アルミナ研磨材(Imerys Fused Minerals GmbH,Villach,Austria)を調製した。部品を作製するために使用した3Dモデルは、キャップを有する中空円筒であった。ExOne M-lab 3Dプリンタ内で成形部品を印刷した。層の高さは100μmであり、スプレッダ速度は5mm/minであり、印刷飽和度を公称90%レベルに設定し、乾燥時間を、ヒーターパワーを80%に設定した状態で、15秒に設定した。バインダーは、ExOne PM-B-SR1-04であった。
【0098】
部分を脱粉末し、図13に、脱粉末した部分の写真を示す。円筒部品を鋼シャフト上に配置し、125℃で45分間硬化させた(固化させた)。図14に、硬化後の印刷された部品の写真を示す。
【0099】
ポリッシングの結果
図11に示されるとおりの実施例1のマンドレル工具をジルコニアの湿式ポリッシングのために準備した。15mm×20mmの寸法を有する表面を有するジルコニアクーポンを、15,000rpmで回転しているマンドレルに100~250グラムの力(grams of force、gf)を印加しておよそ30秒間ポリッシングした。
【0100】
各力条件を別個のジルコニアクーポンに対して実行した。力を印加した時間の最中、約5mm×5mmの寸法を有する区域に作用するよう、工具を均一な仕方で運動させた。
【0101】
ポリッシング後、サンプルの光沢度を測定し、図15に示す。ポリッシング後、Rhopoint Instruments(East Sussex,UK)からのNovo-Curve光沢度計を用いて、60度光沢度GU(光沢度単位)を測定した。ジルコニアサンプルを、2つの垂直な方向における光沢度(「光沢度1」及び「光沢度2」)について測定した。200及び250gfについての材料損失は約1mg/分であり、他の条件については、損失は測定可能限界未満であった。ポリッシングの最中、及びその後に、3Dポリマーボンド研磨形材は、亀裂、及びマンドレルからの分離の兆候を示さなかった。
【0102】
上記特許出願において引用された全ての文献、特許文献又は特許出願は、一貫した形でそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、クレームされている開示を当業者が実践することを可能にするために与えられており、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15