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特許7134987予知保全を行う方法、及び塗装仕上げシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】予知保全を行う方法、及び塗装仕上げシステム
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20220905BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20220905BHJP
   B05B 12/08 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B05B15/00
B05B12/08
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019547300
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 GB2018050403
(87)【国際公開番号】W WO2018158557
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】1703276.4
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519265893
【氏名又は名称】カーライル フルイド テクノロジーズ (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、 ナイジェル
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-309297(JP,A)
【文献】特開平03-017321(JP,A)
【文献】特開2009-155841(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035687(WO,A1)
【文献】特開平04-022454(JP,A)
【文献】特開2001-306729(JP,A)
【文献】特開平07-237090(JP,A)
【文献】特開2000-297443(JP,A)
【文献】特開2003-022129(JP,A)
【文献】米国特許第06408258(US,B1)
【文献】横山 道洋,製造業向けビッグデータ分析 PAO (Predictive Asset Optimization) による製品品質や設備保全の最適化,IBM PROVISION Winter 2015,日本,日本アイ・ビー・エム株式会社,2015年02月06日,No.84,Page.36-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05D1/00-7/26
G06Q50/00-50/34
G05B23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装仕上げ設備で液体塗料を供給するのに使用される機器の予知保全を行う方法であって、
前記機器の複数のコンポーネント及び関連する複数のメンテナンス要求のセットを特定することと、
前記複数のコンポーネントのそれぞれについて、前記コンポーネントの耐用年数に影響を与える複数の動作パラメータのセットを提供することと、
コンポーネントごとに、前記コンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に前記複数の動作パラメータを関連付けるアルゴリズムを提供することと、
前記塗装仕上げ設備の運転中に前記複数の動作パラメータのそれぞれを監視することと、
コンポーネントごとに、監視された複数の動作パラメータを前記アルゴリズムに加えて前記コンポーネントの残り時間を計算することと、
コンポーネントごとに、保守作業員に前記コンポーネントの残り時間に関連するアラート表示を提供することと
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の動作パラメータは、塗料タンクレベル、塗料タンク間の塗料の動き、塗装仕上げシステムの任意の場所の圧力、塗料の流れ、塗料の速度、モーター速度、温度、圧力、塗料フィルター、オイルレベル、ノイズ、摩耗、及び給脂スケジュールの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の動作パラメータは、ポンプで送り込まれる前記液体塗料の研磨性を考慮に入れるように構成可能な研磨係数をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の動作パラメータは平均圧力及び流量を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記塗装仕上げ設備の運転中に前記複数の動作パラメータに関連するデータを記録するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
コンポーネントがどれだけの作業を完了したかに関する表示を保守作業員に提供するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記表示は、前記コンポーネントが受けた圧力及び/又はサイクル速度の平均値に基づいている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
リムーバブルメモリストレージデバイスにメンテナンス設定のセットを保存するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のコンポーネントのアラート表示を表示するようにグラフィカルユーザーインターフェースを構成するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コンポーネントの将来の動作パラメータを予測するためにジョブキューデータとインターフェースするステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各コンポーネントの残り時間及び各コンポーネントの複数の動作パラメータに関連する第1のデータセットをサーバにアップロードするステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のデータセットと、請求項11の方法に対応する方法の他の複数の段階を用いて前記サーバにアップロードされたデータの両方から導出された第2のデータセットを前記サーバからダウンロードするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のデータセットに基づいて前記コンポーネントの動作パラメータを調整するように複数の塗装仕上げシステムのいずれかのコントローラを構成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンポーネントの残り時間を増加させるように前記コンポーネントを構成するための最適な動作パラメータのセットを決定するために前記サーバにアップロードされたデータを処理するステップをさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
塗装仕上げシステムであって、
関連するメンテナンス要求を有する複数のコンポーネントを含む、液体塗料の供給に使用される機器と、
前記複数のコンポーネントの耐用年数に影響する複数の動作パラメータを監視するように構成された監視デバイスと、
メモリとプロセッサとを有する少なくとも1つのコントローラと
を含み、
前記メモリは、コンポーネントごとに、前記コンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に前記複数の動作パラメータを関連付けるアルゴリズムを記憶し、
前記プロセッサは、コンポーネントごとに、監視された複数の動作パラメータを前記アルゴリズムに加えて前記コンポーネントの残り時間を計算し、前記コンポーネントの残り時間に関連するアラート表示を提供するようにプログラムされている、システム。
【請求項16】
前記複数のコンポーネントの少なくとも1つがポンプである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ポンプは、カムフォロアベアリング、ベアリング、カム、流体シール、ギアボックス又はベローズのいずれか1つ以上を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラのメモリは、リムーバブルメモリストレージデバイスに組み込まれている、請求項15から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
コンポーネントごとに1つのコントローラが存在する、請求項15から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは交換可能である、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラは、コンピューティングデバイスへのデータリンクを提供するように動作可能な少なくとも1つの制御カードを含む、請求項15から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コンピューティングデバイスのハードドライブに記憶されているジョブスケジュールデータとのインターフェースをさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラは、サーバへのデータ接続をさらに含み、前記コントローラのプロセッサは、前記データ接続を用いて各コンポーネントの残り時間及び各コンポーネントの動作パラメータに関連する第1のデータセットを前記サーバにアップロードするようにプログラムされている、請求項15から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラのプロセッサは、前記サーバにアップロードされたデータから導き出された第2のデータセットをダウンロードするようにプログラムされている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、前記第2のデータセットに基づいて前記動作パラメータを調整するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装仕上げシステム上で予知保全を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の製造に使用されるタイプの従来の塗料スプレーシステムは、通常、それぞれが異なる色の塗料をスプレーブースに供給して多数のユーザーポイント(スプレーアプリケーターなど)に分配する、いくつかの個別の塗料ラインで構成されている。一般に、一度にスプレーされる色又は使用中の色は1つだけであるため、1つのラインのみがアクティブに使用され、残りは使用可能な状態のままである。
【0003】
塗料が噴霧されていないためにシステムが使用されていない場合、通常、塗料タンクから回路の周りに塗料をポンプで送り、タンクに戻すことにより、塗料ラインの吹き付け圧力及び塗料速度を維持する。これは、2つの理由で行われる。第一に、液体塗料を動かし続ける必要があるためである。そうしないと、塗料ラインに色素沈着が定着し始める可能性がある。第二に、スプレーを開始する前に、ラインを必要な圧力に準備する必要があるためである。特許文献1に開示されているようないわゆるスマートシステムは、塗料材料の需要がないときにシステム内の流量が減少するように循環手段をインテリジェントに調整する。このような減少により、ポンプなどのコンポーネントの摩耗レベルを低減することができる。その結果、ポンプの理想的なメンテナンススケジュールは変更され、塗料材料の需要がある時間の長さ(すなわち、塗料が噴霧されている時間)によって異なり得る。
【0004】
既存の保全ソリューションでは、時間又はポンプサイクルに関連して設定された間隔に基づいて、ユーザーが所望のメンテナンス間隔を設定することしかできない。従来、冗長性を確保するために、このようなメンテナンス間隔は、コンポーネント障害の最悪のシナリオに基づいて設定されている。したがって、メンテナンスの提供は非効率的であることが多く、完全に修理可能な部品が交換されかつ廃棄される可能性がある。
【0005】
設定されたメンテナンス間隔を使用することに関するさらなる問題は、何らかの理由で部品が予想より高い摩耗を受けた場合、次のスケジュールされたメンテナンス時点の前に使用中に壊れる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第1789202号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、塗装仕上げシステムのメンテナンスを行うための改良されたシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、塗装仕上げ設備で液体塗料を供給するのに使用される機器の予知保全を行う方法が提供される。方法は、
機器のコンポーネントと関連するメンテナンス要求のセットを特定することと、
コンポーネントのそれぞれについて、コンポーネントの耐用年数に影響する動作パラメータのセットを提供することと、
コンポーネントごとに、コンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に動作パラメータを関連付けるアルゴリズムを提供することと、
塗装仕上げ設備の運転中に各動作パラメータを監視することと、
コンポーネントごとに、監視された動作パラメータをアルゴリズムに加えてコンポーネントの残り時間を計算することと、
コンポーネントごとに、保守作業員にコンポーネントの残り時間に関連するアラート表示を提供することと
を含む。
【0009】
この方法で設定されている予知保全では、塗装仕上げ設備のコンポーネントが実際に行った作業が考慮される。これにより、コンポーネントの寿命を効率的に予測できるため、特定のコンポーネントに必要な場合にのみメンテナンスを行うことができる。その結果、メンテナンス間隔が長くなり、必要な場合にのみコンポーネントが交換される。メンテナンスのための人件費、機械のダウンタイム、及びスペアパーツのコストが削減される。方法により摩耗しているコンポーネントを交換する必要がある時期を正確に予測することができるため、稼働時間が増加する。また、特に通常よりも高い作業負荷がかかる場合、コンポーネントが故障する可能性が低くなる。
【0010】
本明細書で使用される「アルゴリズム」という用語は、残り時間が計算される方程式又は一組の方程式の形であることができるが、それらに限定されることを意図するものではない。例えば、1つ以上の動作パラメータを残り時間に関連付けるアルゴリズムは、ルックアップテーブル又は他のアクセス可能なデータストレージ/マッチング法の形で実現することができる。
【0011】
動作パラメータは、塗料タンクレベル、塗料タンク間の塗料の動き、塗装仕上げシステムの任意の場所の圧力、塗料の流れ、塗料の速度、モーター速度、温度、塗料フィルターの圧力、オイルレベル、ノイズ、摩耗、及び給脂スケジュールの1つ以上を含む。これらのパラメータの値はコンポーネントの残り時間の決定に関連するため、このような動作パラメータを考慮することは有利である。
【0012】
動作パラメータは、ポンプで送り込まれる液体塗料の研磨性を考慮に入れるように構成可能な研磨係数を含むことができる。
【0013】
塗料の研磨性を考慮することは、シールなどのコンポーネントのメンテナンス又は交換が必要になる時期を予測する重要な要素である。例えば、塗料の研磨性が高い場合、動作中にシール材がより速い速度で摩耗する可能性がある。
【0014】
動作パラメータは、平均圧力又は流量を含むことができる。
【0015】
方法は、塗装仕上げ設備の運転中に動作パラメータに関するデータを記録するステップをさらに含むことができる。
【0016】
データを記録することにより、コンポーネントの使用量を分析することができるため、コンポーネントが行った作業量を示す表示が提供される。この情報は、コンポーネントの正常性を示し、コンポーネントごとにコンポーネントの予防保全を策定するのに役立つ。例えば、自動車工場では、視覚的な色と効果を提供するために、車両の車体部分にベースコート塗料を塗布することができる。この塗料の視覚特性は、顧客が選択することができる。続いて、着色されたベースコートの上にクリアコート塗料を塗布することができる。クリアコート層は通常、環境との界面を形成し、摩耗や紫外線などの環境影響に耐えるのに十分な耐久性がある。クリアコート塗料はまた、光沢や「輝き」などの視覚上の効果を与える場合がある。クリアコート又はベースコートの複数の層を組み合わせて、真珠光沢のような視覚的に望ましい効果を形成することができる。したがって、工場内では、クリアコートのポンプとベースコートのポンプが課される使用量のレベルに大きなばらつきがある可能性があることを理解されたい。クリアコート塗料用のペイントポンプがベースコート塗料用のペイントポンプよりも使用量が多いと判断された場合、クリアコートペイントポンプのより早いメンテナンスが必要になる。また、塗料の配合が異なるため、ポンプのストロークごとに摩耗レベルが異なる場合がある。したがって、前述のように、動作パラメータとして研磨性などの塗料の材料特性を考慮することは有利である。
【0017】
方法は、コンポーネントがどれだけの作業を完了したかに関する表示を保守作業員に提供するステップをさらに含むことができる。これは、前記コンポーネントが受けた圧力及び/又はサイクル速度の平均値に基づいていることができる。
【0018】
方法は、リムーバブルメモリストレージデバイスにメンテナンス設定のセットを記憶するステップをさらに含むことができる。これにより、メンテナンス設定をバックアップしたり、異なるコンポーネント間で転送したりすることができる。メンテナンス設定は、複雑な場合や、コンポーネント動作の長い履歴に基づいている場合がある。したがって、他のコンポーネントで使用するために、設定を転送(又はデスクトップコンピュータなどの手段を用いてコピー)することが有利である。また、新規設置のためのメンテナンス設定をすばやく簡単に複製することができる。例えば、リムーバブルメモリストレージデバイスは、メンテナンス設定を操作するためにデスクトップコンピュータ又はラップトップとインターフェースで接続されることができるセキュアデジタル(SD)カードを含むことができる。
【0019】
方法は、1つ以上のコンポーネントのアラート表示を表示するようにグラフィカルユーザーインターフェースを構成するステップをさらに含むことができる。有利なことに、アラート表示は、最適な方法で作業員に表示されることができる。例えば、1人の作業員が1つの画面で複数のコンポーネントのメンテナンスステータスを見ることができる。コンポーネントの動作パラメータや残り時間などのメンテナンスに関するデータは、色分けされる方法で作業員に表示される。作業員は、どのコンポーネントに注意が必要かをすばやく判断することができる。方法は、グラフィカルユーザーインターフェースで視覚的に監視されているコンポーネントの数を調整することにより、さまざまなサイズの塗装仕上げ設備に適用することができる。
【0020】
方法は、コンポーネントごとに、コンポーネントの将来の動作パラメータを予測するためにジョブスケジュール又はジョブキューを含むデータとインターフェースするステップをさらに含むことができる。これにより、有利なことに、コンポーネントの残り時間をより正確に計算することができ、メンテナンスをより効率的に行うことができる。例えば、コンポーネントは将来の期間に通常よりも高い負荷の下に置かれるため、より早いメンテナンス間隔で交換する必要があると判断される場合がある。この機能は、複数のポンプが異なる色の塗料に使用される場合に特に関連する。車などの製造される物は、特定の色でカスタムオーダーされる場合がある。したがって、特定の色のポンプの残り時間/摩耗レベルは、特定の色で顧客が注文した車の量に大きく依存する。顧客の注文データは、ジョブスケジューラ又はジョブキューに送られる。このジョブスケジューラからのデータをアルゴリズムに入力して、予測される将来の作業負荷に基づいてコンポーネントの残り時間を遡及的に決定することができる。
【0021】
方法は、各コンポーネントの残り時間及び各コンポーネントの動作パラメータに関連する第1のデータセットをサーバにアップロードするステップをさらに含むことができる。
【0022】
方法は、第1のデータセットと、上記の方法の他の複数の段階を用いてサーバにアップロードされたデータの両方から導き出された第2のデータセットをサーバからダウンロードするステップをさらに含み得る。
【0023】
方法は、第2のデータセットに基づいてコンポーネントの動作パラメータを調整するように複数の塗装仕上げシステムのいずれかのコントローラを構成するステップをさらに含むことができる。
【0024】
方法は、コンポーネントの残り時間を増加させるようにコンポーネントを構成するための最適な動作パラメータのセットを決定するためにサーバにアップロードされたデータを処理するステップをさらに含むことができる。
【0025】
コンポーネントの使用量とメンテナンス要求(すなわち、動作パラメータと残り時間)に関連するデータをサーバにアップロードすることは有利である。複数の塗装仕上げ設備が同様の方法を行い、それにより異なる塗装仕上げ設備内のコンポーネントの使用量とコンポーネントのメンテナンス要求に関する情報を含むデータベースを生成することができる。この情報を使用して、メンテナンス要求に関連してコンポーネントをより効率的に使用する方法を決定できる。例えば、特定の設備で特定のポンプを使用すると、メンテナンス要求が低くなるため、特に効率的であると判断される場合がある。他の設備の作業員は、特定のポンプの動作パラメータを監視し、関連する設定/動作パラメータを適用することにより、ポンプの効率を向上させることができる。
【0026】
さらなる例として、世界中の様々な塗装仕上げ設備は様々なサイクル速度で塗装ポンプを動作させ得る。サイクル速度が高いと、自動車などの商品を塗装するプロセスが速くなる可能性があるが、より高いレベルのメンテナンスが必要になる。サイクル速度が低いと、自動車の塗装プロセスは遅くなる可能性があるが、ポンプのメンテナンスが少なくて済む。第1のデータセットを用いて、各サイクル速度に通常必要なメンテナンスの量を決定することができる。所定の時間枠でポンプに必要なメンテナンスの量に対する塗装車が生み出す価値に基づいて使用するのに最適なサイクル速度が存在し得る。アップロードされたデータを処理することにより、この最適なサイクル速度を決定することが可能である。
【0027】
本発明は、異なる設備からの作業員が、インターネットなどのネットワークを介して塗装仕上げ設備内のコンポーネントの動作に関する知識を共有することを可能にする。このような知識の共有により、塗装仕上げシステムの効率がさらに向上する。
【0028】
本発明の第2の態様において、塗装仕上げシステムであって、
関連するメンテナンス要求を有するコンポーネントを含む、液体塗料の供給に使用される機器と、
コンポーネントの耐用年数に影響する動作パラメータを監視するように構成された監視デバイスと、
メモリとプロセッサとを有する少なくとも1つのコントローラと
を含む塗装仕上げシステムが提供される。
【0029】
メモリは、コンポーネントごとに、コンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に動作パラメータを関連付けるアルゴリズムを記憶する。プロセッサは、コンポーネントごとに、監視された動作パラメータをアルゴリズムに加えてコンポーネントの残り時間を計算し、コンポーネントの残り時間に関連するアラート表示を提供するようにプログラムされている。
【0030】
提供される塗装仕上げシステムは、有利なことに、第1の態様で説明された予知保全方法を行うことを可能にする。
【0031】
コンポーネントの少なくとも1つはポンプであることができる。
【0032】
ポンプは、以下のいずれか、カムフォロアベアリング、ベアリング、カム、流体シール、ギアボックス又はベローズの1つ以上を含むことができる。
【0033】
コントローラのメモリは、少なくとも部分的にリムーバブルメモリストレージデバイスに組み込まれていることができる。メモリの一部は、サンディスク(登録商標)が製造したものなどのセキュアデジタル(SD)カードに配置されていることができる。
【0034】
コンポーネントごとに1つのコントローラが存在することができる。
【0035】
コントローラは交換可能である。これにより、コントローラを交換、移動、再割り当てするためにすばやくアクセスできる。システムは、追加の入出力機能を提供するため及び将来の要求に柔軟に対応することができるように複数のコントローラを取り付けること可能にする。システムは簡単に交換可能である(プラグアンドプレイ)。例えば、コンポーネントを交換する必要がある時期をより正確に予測するためにスケジュールデータを使用することができるように、スケジュールデータの入力を組み込んだコントローラを追加することができる。
【0036】
コントローラは、コンピューティングデバイスへのデータリンクを提供するように動作可能な少なくとも1つの制御カードを含むことができる。メンテナンス要求に関連するデータは、デスクトップPCやラップトップなどのコンピュータを介して制御カードとの間で転送することができる。
【0037】
システムは、ハードドライブに保存されたジョブスケジュールデータとのインターフェースをさらに含むことができる。アルゴリズムは、将来のメンテナンス要求を決定するために、ジョブスケジュールデータに関連することができる。
【0038】
コントローラは、サーバへのデータ接続をさらに含むことができ、コントローラのプロセッサは、データ接続を用いて各コンポーネントの残り時間及び各コンポーネントの動作パラメータに関する第1のデータセットをサーバにアップロードするようにプログラムされている。
【0039】
コントローラのプロセッサは、サーバにアップロードされたデータから導き出された第2のデータセットをダウンロードするようにプログラムされていることができる。
【0040】
コントローラは、第2のデータセットに基づいて動作パラメータを調整するように構成されていることができる。
【0041】
本発明の第3の態様において、サーバであって、
プロセッサ及びメモリと、
塗装仕上げシステムのコントローラへの複数のデータ接続と
を含むサーバが提供される。
【0042】
サーバのプロセッサは、複数のデータ接続を用いて、動作パラメータと各塗装仕上げシステム内のコンポーネントに対してメンテナンス作業が行われるまでの残り時間とを含む第1のデータセットを受信し、第1のデータセットをメモリに保存するようにプログラムされている。複数のデータ接続を用いて、第1のデータセットから導き出された第2のデータセットを送信することができる。
【0043】
塗装仕上げシステムの各コンポーネントについて、プロセッサは、各コンポーネントに適用されたときにコンポーネントにメンテナンス作業が行われるまでの残り時間を増加させる最適な動作パラメータを決定するために、第1のデータセットを処理するようにプログラムされていることができる。この情報は、第2のデータセットに格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】既知の塗料循環システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるコンピュータソフトウェアを実行するコンピューティングデバイスからの第1の例示的なスクリーンショットである。
図3】本発明の一実施形態によるコンピュータソフトウェアを実行するコンピューティングデバイスからの第2の例示的なスクリーンショットである。
図4】本発明の一実施形態による方法及びシステムで行われるデータ転送を示す概略ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態によるコンピュータソフトウェアを実行するコンピューティングデバイスからの第3の例示的なスクリーンショットである。
図6】本発明の一実施形態による複数の塗装仕上げシステムがサーバに接続することを示す概略ブロック図である。
図7】本発明の一実施形態による方法を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態による方法の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1を参照すると、請求項に記載された方法の実施形態が適用され得る塗装仕上げ設備に見られる例示的な塗料循環システムが示されている。塗料循環システム20は、液体塗料の貯蔵器を含む塗料タンク11を含む。以下、スマートポンプ又はスマート背圧レギュレーター(スマートBPR)という用語は、特許文献1に開示されているような塗料循環システムに接続されている自動制御可変ポンプ又はBPRを指す。このようないわゆるスマートシステムは、コントローラ26への接続を介してポンプ又はBPRなどのデバイスを自動的に制御するように構成されていることができる。上述のように、いわゆるスマートシステムは、塗料材料の需要がないときにシステム内の流量が減少するように、システム内のデバイス/コンポーネントの設定をインテリジェントに調整するように構成されていることができる。スマートポンプ22は、塗料タンク11からの塗料を、任意選択的に塗料フィルター13を通して、スプレーブース14に供給するように動作可能である。スプレーブース14は、通常、1つ以上のアプリケーター16を含む。例えば、これらはロボットアームによって操作されるスプレーノズルである。スプレーブース14で使用されない塗料は、自動制御のスマートBPR 25を介して塗料タンク11に戻される。スマートポンプ22及びスマートBPR25は、コントローラ26から制御される。圧力センサ24からの信号は、コントローラ26への入力として提供される。コントローラ26は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又は他の適切なプログラマブルデバイスであることができる。コントローラ26は、制御又はメンテナンス設定を記憶するメモリを含むことができる。コントローラ26は、異なる制御又はメンテナンス設定が新しいポンプに適用又は転送されるように交換可能であることができる。コントローラ26は、他のコンピューティングデバイスとのデータ転送のための接続を可能にするデータ接続インターフェースを組み込んでいることができる。
【0046】
前述のように、スマートポンプ22は、塗料材料の需要がないときに、必要な循環を維持して色素沈着の沈降を防ぎながら、コンポーネントの摩耗レベルの低下を可能にするように、塗料ラインの減圧をインテリジェントに維持する。
【0047】
このような塗料循環システムの例は、特許付与された特許文献1に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0048】
コントローラ26は圧力センサ24から入力を受けるように示されているが、複数のコンポーネントから入力を受けることができる。例えば、カムフォロアベアリング、メインベアリング、カム、流体シール、ベローズ、及び給脂スケジュールから入力を受けることができる(部品は個々に示されていない)。入力は、塗料タンクレベル、塗料の動き、圧力、流量、塗料の速度、ポンプ速度、塗料フィルターの前後の圧力、温度などの動作パラメータを含むことができる。動作パラメータは、塗装仕上げ設備の運転中に監視されることができる。
【0049】
図2を参照すると、スマートポンプソフトウェアを実行しているコンピューティングデバイス(図示せず)からの例示的なスクリーンショットが示されている。コンピューティングデバイスは、動作パラメータ201のライブステータスを表示するために、コントローラ26(図1にのみ示す)とインターフェースする。この情報は、コンピューティングデバイス(図示せず)に表示されてもよいし、表示されなくてもよい。いずれの場合も、動作パラメータ201はスマートポンプソフトウェアによって監視される。コンポーネントの残り時間(すなわち、メンテナンスの注意が必要になるまでの残り時間)を決定するために、監視対象の動作パラメータにアルゴリズム(図示せず)が適用される。スマートポンプソフトウェアの要素は、コントローラ26又はコンピューティングデバイスで動作することができる。コンピューティングデバイスは、例えば、デスクトップPC、ラップトップ、又はタブレットであることができる。
【0050】
アルゴリズムは、動作パラメータである入力に基づいて計算を行うことにより出力(コンポーネントの残り時間)が決定される方程式又は一組の方程式の形であることができる。アルゴリズムは、ルックアップテーブル又は他のアクセス可能なデータストレージ/マッチング法の形で実現されることができる。例えば、可能性がある入力及び出力のリストが、データベースのコンピューティングメモリに保存されていることができる。マッチングプロセスなどを用いて、このデータベースから適切な出力を検索することができる。
【0051】
動作パラメータのライブステータスは、コントローラ26のメモリ又はリムーバブルメモリストレージデバイス(図示せず)に記録されることができる。このデータをアルゴリズムに入力して、コンポーネントの残り時間を計算することができる。データは、新しいポンプが追加されたり、ポンプを含む新しい工場が建設されたりしても、データが引き続き使用できるように、リムーバブルメモリストレージデバイスを介して異なるポンプに転送されることができる。
【0052】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるコンポーネントの残り時間に関するアラート表示が示されている。アラート表示は、スマートポンプのソフトウェアプログラムを実行しているデスクトップコンピュータ、タブレット、又はラップトップの画面に表示される警告ウィンドウ301の形である。警告ウィンドウ301は、時間インジケータ304及びメンテナンス指示305に関連付けられたコンポーネントラベル303を含むことができる。ここに示されるコンポーネントラベル303は、特定されたコンポーネントの例示的なセットを含む。指示305は、例えば、「ベアリング給脂」指示の下に示されるように、複数のコンポーネントラベル303及び時間インジケータ304に関連付けられることができる。時間インジケータ304は、コンポーネントの耐用年数に影響を与える動作パラメータに関連するアルゴリズムを用いて計算されることができるコンポーネントの残り時間を示す。
【0053】
一部のコンポーネントは、ポンプで送り込まれる材料の研磨性を考慮に入れるように構成可能な研磨係数305を含むことができる。警告ウィンドウ301を見ている保守作業員は、現在の研磨係数を見ることができ、使用されている塗料の種類に応じて研磨係数を手作業で変更することができる。時間インジケータ304は、スマートポンプのソフトウェアプログラムを実行しているコンピューティングデバイスを用いて研磨係数が手作業で変更されると、アルゴリズムを用いて自動的に更新されることができる。
【0054】
警告ウィンドウ301を見ている保守作業員は、動作中にコンポーネントを監視し、それによりどのコンポーネントに注意が必要かを判断することができる。メンテナンス指示305を読むことにより、保守作業員は、コンポーネントが適切にメンテナンスされることを確実にするために行うアクションを知っている。時間インジケータは、重要なコンポーネントのメンテナンスの必要性に応じて色分けされていることができる。表示警告ウィンドウ301は、スマートポンプのソフトウェアプログラムを用いて完全にカスタマイズ可能であることができる。例えば、システムのセットアップ時に、一部の時間インジケータのみを表示することができ、又は複数のポンプに関する情報を表示することができる。
【数1】
【0055】
式1を参照すると、本発明の実施形態のアルゴリズムにプログラムされることができる例示的な式が示されている。この式は、軸受メーカーが軸受寿命(又は軸受の残り時間)を予測するために使用する標準的な計算である。式は、軸受速度(速度)が軸受寿命に与える影響は比較的小さく、軸受荷重が軸受寿命に影響を与える主な要因であることを示している。実施形態において、アルゴリズムは、ジョブキューデータ(以下で詳細に説明する)及びネットワーク経由で取得した他のシステムからのデータ(同様に以下で詳細に説明する)を用いて、コンポーネントの前の使用、予測されるコンポーネントの将来の使用などのソースから取得した集合データと共にこの方程式を利用することができる。このようなデータを利用することにより、予測を微調整してより正確にすることができる。
【0056】
図示の実施形態において、アラート表示は、グラフィカルユーザーインターフェースを有する、スマートポンプのコンピュータプログラムのウィンドウの形をとる。作業員は、このウィンドウを見ているときにコンポーネントの残り時間についてのみ警告を受ける。アラート表示は、アラーム、ライト、テキストメッセージ、又はその他の電子通知又は視覚的キューの形を取ることもできる。
【0057】
図4を参照すると、アルゴリズムへの例示的な入力を示すフローチャートが示されている。アルゴリズム410は、コントローラ26又はコンピューティングデバイス(図示せず)への入力を処理することができる。アルゴリズム410は、コンポーネントの残り時間を決定するために、コンポーネントが置かれる負荷を考慮することができる。負荷は、圧力402、流量401、サイクル速度403、又は他の動作パラメータ404などの動作パラメータに依存し得る。スマートポンプでは、圧力と流量は様々であることができる。例えば、これらの値は、塗料が積極的に噴霧されていない期間中は低くなる。コンポーネントの計算された残り時間420は、これらの要因を考慮に入れ、単に従来技術の方法で典型的なサイクル速度を利用するのではなく、正確な残り時間を提供する。残り時間420の値は、処理されかつ/又は前述のようにアラート表示によってはコンピューティングデバイス上で保守作業員に提示されることができる。圧力402及び流量403はメモリ430に記録されることができ、アルゴリズム410はこれらの値の時間履歴を考慮することができる。アルゴリズムは、圧力、サイクル速度、又は流量の平均値を考慮することができる。このような入力を使用すると、単に式1で示す式のような単一の式を使用する従来の方法に比べて、残り時間の決定精度が向上する。
【0058】
一部のコンポーネントでは、動作パラメータは、コンポーネントの材料に対するポンプで送られる液体の研磨性を考慮に入れる研磨係数のようなコンポーネント固有のパラメータ406をさらに含む。例えば、シールは塗料液の研磨性により摩耗する可能性がある。このような摩耗の速度は、圧力や流量などの他の動作パラメータにも左右される。
【0059】
アルゴリズム410は、ジョブキューデータ407から入力を受けることができる。ジョブキューデータは、部品がコンベアシステムにロードされると自動車OEM、ティア1、又は工場全体の部品の位置を監視するソフトウェアによって収集されるデータを含むことができる。ジョブキューデータは、スプレーブース14内のアプリケーター16への塗料の供給をオン及びオフにするために、カラーバルブに要求信号を提供するのに使用されることができる。ジョブキューデータ407は、将来の期間中に特定のポンプがどれだけの負荷の下に置かれるかに関する表示を提供する。例えば、アルゴリズムは、多数の自動車部品を赤でスプレーすることと、その結果、赤のペイントポンプが将来の時点でメンテナンスが必要になることとを決定することができる。したがって、適切なメンテナンス間隔でメンテナンスを行うことができる。アルゴリズムはさらに、様々なポンプの計画された作業負荷に基づいて、メンテナンススケジュールを作成することができる。
【0060】
図5を参照すると、本発明の一部の実施形態によるメンテナンスアラート表示が示されている。コンポーネントラベル303が表示され、取るべきメンテナンス作業に応じて色分けされている。メンテナンス指示305は、コンポーネントラベル303の下に表示されている。
【0061】
図6を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による複数の塗装仕上げシステムがどのようにサーバに接続するかの図が示されている。塗装仕上げシステム1、2、3(603、604、605)のコントローラは、インターネット接続606a-dを介してインターネット601に接続する。コントローラは、コンポーネントと直接インターフェースで接続される制御カードを含むことができる。或いは、コントローラは、デスクトップコンピュータ又はネットワーク接続性を有する他の種類のコンピューティングデバイスである。コントローラは、制御カードとデスクトップコンピュータの両方を含むことができる。サーバ602は、接続607を介してインターネットに接続されている。接続606a-d及び607は、インターネットプロバイダーとインターフェースするモデムを介した無線接続(WiFi(R)など)又は有線接続を含むことができる。図示の実施形態には、3つの塗装仕上げシステム603、604、605のみが存在するが、より多くのシステム、例えば数百又は数千のシステムが存在する可能性があることが理解されるであろう。同様に、さらに多くのサーバが存在する可能性がある。サーバ602は、マイクロソフト(登録商標)クラウドプラットフォームなどの商用クラウドコンピューティングサービスであることができる。
【0062】
塗装仕上げシステム603、604、605は、インターネット601を介してサーバに接続されている。塗装仕上げシステムのコントローラ(図示せず)は、コンポーネントの動作パラメータと残り時間を記録し、この第1のデータセットをメモリに保存する。第1のデータセットは、設定された時間間隔でサーバに定期的に同期(アップロード)されることができる。この場合、塗装仕上げシステムをインターネット経由でサーバに永久的に接続する必要はない。或いは、動作パラメータと残り時間の値をリアルタイムでサーバにアップロードすることができる。
【0063】
サーバ602は、第1のデータセットを処理し、第2のデータセットを生成する。第2のデータセットは、第1のデータセットの統計的解析であることができる。例えば、ポンプを運転することができるポンプサイクル速度ごとに、ポンプを交換する必要がある平均回数などの値を含むことができる。第2のデータセットは、インターネット601を介して塗装仕上げシステム606a~cに送信される。作業員は、コントローラにインストールされたコンピュータソフトウェアを用いてデータを見ることができる。また、作業員は、ソフトウェアを用いてデータを操作し、他の塗装仕上げシステムから取得したデータに基づいてメンテナンス要求が経済的であることを確実にするための最適なポンプサイクル速度設定などの有用な情報を取得することができる。
【0064】
図7を参照すると、本発明の実施形態による方法を表すフローチャートが示されている。
【0065】
最初に、ステップ701により、コンポーネントと関連するメンテナンス要求のセットを特定する。メンテナンス要求は、メーカーの資料を参照して決定することができる。
【0066】
ステップ702において、コンポーネントごとに、コンポーネントの耐用年数に影響を与える動作パラメータのセットを提供する。例えば、コンポーネントがポンプの場合、動作パラメータはサイクル速度と圧力とを含む。
【0067】
ステップ703において、コンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に動作パラメータを関連付ける各コンポーネントのアルゴリズムを提供する。例えば、アルゴリズムは、ポンプを特定のサイクル速度及び圧力で所定の時間運転した場合、ポンプを交換するメンテナンス作業を2週間で行う必要があると決定することができる。したがって、ステップ704において、動作パラメータのそれぞれを動作中に監視する。同時に、ステップ705において、動作パラメータに関連するデータを動作中に記録することができる。データは、上述のようにコンポーネントの効率をさらに向上させるのに使用することができる。他のコンポーネントに容易にコピーすることができるように、ステップ706により、メンテナンス設定をリムーバブルメモリストレージデバイスに保存することができる。メンテナンス設定は、コンポーネントの過去の使用量に基づいてコンポーネントのメンテナンス作業が行われるまでの残り時間に関するデータを含むことができる。図7にはステップ705及び706がステップ4と共に行われるように示されているが、これらのステップは、ステップ707などの他のステップと共に行われてもよい。
【0068】
ステップ707の間、アルゴリズムに監視された動作パラメータを加えてコンポーネントの残り時間を計算する。上述のように、アルゴリズムは入力と出力を有する方程式であることができる。或いは、アルゴリズムは静的なデータセットを含むルックアップテーブルであることができる。方法は、ステップ708によりコンポーネントの将来の動作パラメータを予測するために、ジョブキューデータとインターフェースすることを含み得る。ステップ708は、図示の方法の任意の時点で行うことができる。
【0069】
ステップ709の間、コンポーネントの残り時間に関するアラート表示が保守作業員に提供される。
【0070】
図8を参照すると、本発明の実施形態による方法の一部を表すフローチャートが示されている。この方法801の第1のステップは、ステップ703などの残り時間が計算されたときから図7に示されるステップのいずれかの後に配置することができる。
【0071】
ステップ801において、第1のデータセットをサーバにアップロードする。第1のデータセットは、各コンポーネントの残り時間と各コンポーネントの動作パラメータに関連する。データは複数の塗装仕上げシステムからアップロードされることができ、インターネット経由でアップロードされることができる。
【0072】
ステップ802において、データを処理して、コンポーネントの残り時間を増加させるようにコンポーネントを構成するための最適な動作パラメータのセットを決定する。この処理は、サーバ上で(すなわち、サーバのプロセッサとメモリを用いて)実行することができる。
【0073】
ステップ803において、第1のデータセットから導き出された第2のデータセットをダウンロードする。通常、このプロセスは、塗装仕上げシステムのコンピューティングデバイス又はコントローラを用いて行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8