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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド回転旋回装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 5/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
B24C5/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019547981
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018019889
(87)【国際公開番号】W WO2018160542
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】62/466,392
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518290478
【氏名又は名称】ウエストマイヤー,ポール
(73)【特許権者】
【識別番号】519271595
【氏名又は名称】マザヘリ,レニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエストマイヤー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】マザヘリ,レニー
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06712055(US,B1)
【文献】米国特許第08820303(US,B2)
【文献】特表2019-513572(JP,A)
【文献】特開2003-340720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/00、5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転構造及び旋回構造を組み合わせる方法であって、物体が加速され、第1の加速度が管の回転運動により生じ、第2の加速度が円筒の旋回運動により生じ、前記物体の合成加速度は、旋回によって誘起される加速だけ、又は、回転によって誘起される加速だけを利用する位相同期技術によって達成することができるものより大きな、前記物体の最終速度を生じさせることができる方法。
【請求項2】
前記管は、直管、曲管から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記管は、出口を有し、前記管は、前記管の出口に取り付けられた、跳ね飛び低減構造を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転構造は、駆動シャフトを有し、
前記旋回構造は、駆動シャフトを有し、
前記回転構造の駆動シャフトは、前記旋回構造の駆動シャフトと非同期である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転構造は、駆動シャフトを有し、
前記旋回構造は、駆動シャフトを有し、
前記回転構造の駆動シャフトは、前記旋回構造の駆動シャフトと同期する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記同期する駆動シャフトは、単一のシャフトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記回転構造と前記旋回構造の同期運動は、それぞれ異なる駆動シャフトを制御する能動機構によって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記同期関係は、前記回転構造と前記旋回構造との間の位相オフセットを有する、請求
項5に記載の方法。
【請求項9】
前記旋回構造は、遅延ループを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記回転管と前記旋回構造との間の相対角度は、従来の位相同期速度を超えて前記物体を加速するように選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記回転構造及び前記旋回構造の非同期運動は、機械的な干渉を防止するために、制御によって制限される、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月3日に出願された米国仮特許出願第62/466,392号に基づくものであり、この米国仮特許出願の利益を主張する。
【0002】
本発明は、組み合わされた回転旋回装置を用いて物体を加速することに関する。装置内で回転構造及び旋回構造を組み合わせて物体の特定の速度を達成することによって、旋回により誘起される加速だけを利用する設計と比較すると部品の数を削減することができ、回転により誘起される加速だけを利用する設計と比較すると絶対寸法を小さくすることができる。同期運動は、加速物体が著しい物理的なギャップ又はジャンプなしに回転基準座標系から旋回基準座標系に移行することを可能にし、跳ね飛びの可能性を大幅に低減する。装置内における位相再調整は、数回行われてもよい。物体は、目標物に向けて放出され、目標物に向かう。Paul Westmeyer及びRenee Mazaheriに対して発行された、2014年9月2日付の米国特許第8,820,303B2号明細書は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。Paul Westmeyer、Robert Woods、及びParker Woodsの名前で2017年2月13日に出願された、「Acceleration and Precision Controlled Ejection of Mass」という名称の米国特許出願第15/430,663号は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
多くの製品は、研磨、コーティング、切削、及びその他の広範囲の用途のために、物体を衝突させることに頼っている。加圧されたサンドブラスト、弾丸用の爆発する化学物質、及び回転する切削ブレードは、物体を加速するために用いられる技術である。本発明者らの特許、米国特許第8,820,303B2号明細書(「303」という)は、多くの目的で物体の速度を生じさせるための旋回技術を定める。回転により誘起される加速を利用する特許出願は、これら二人の発明者のうちの1人によって出願されている。このハイブリッド構成は、それらの活動から理論的に生まれたものである。2つの原則の目標は、本発明を推し進め、単純な設計、及びコンパクトなパッケージングとすることである。
【0004】
「303」によって定められたいずれの設計においても、可動部の数は、複雑な機械装置に対して典型的なものである。これらの旋回設計は、製品のコンパクト性、特定の用途のための最適化において選択するための、多数の変数、及び設計の拡張性ある性質によって定められている。ステージの数、ステージの形状、旋回半径及び様々なステージの旋回周波数などの、旋回ベースの設計パラメータの変動は、多数の選択肢によって、多くの用途を満たす取引を可能にする。
【0005】
「303」において、旋回により誘起される加速は、統合戦略として位相再調整を備える。これらの位相再調整イベントは、古典的な位相同期速度を超える速度を生じさせる。回転又は旋回の従来の位相同期速度は、経路長の周波数倍として定義される。「303」における遅延ループの概念は、ステージ内での位相再調整のための技術である。つまり、特定の旋回半径と、特定の周波数で旋回する構造である。遅延ループ構造は、あらゆる単一の旋回周波数における位相構造の連続、「機械的迂回路」である。「303」サービスループの概念を用いた新しい旋回構造への進展は、速度を得るために遅延ループをもとにしている。サービスループは、経路における真の不連続点であり、加速構造、つまり形状、周波数、寸法などの大きな変化を可能にする。
【0006】
旋回の特許「303」には、物体、つまり加速されている物体(object)が、遅延ループによって「迂回され」(「303」で用いられる用語)る、非常に多くの例がある。一方、遅延ループにおいて、物体は、物体の速度を低減することができる如何なる大きな力も受けない。遅延ループを出ると、物体は、物体と加速力との間の新たな位相関係を利用して、旋回構造の一部分に再挿入される。位相再調整の例として、複合的な形状、つまりボウルであって、直径がそのボウルの直径に等しい円筒につながっているようなものに、遅延ループ経路が挿入されるときに発生するものがある。物体がボウルの縁で位相同期速度を達成している場合があるため、物体が加速力に対して位相再調整されることができる場合を除き、円筒内の如何なる追加的なサイクルも、如何なる追加的な速度増加ももたらさない。遅延ループは、特に、加速面の外へ物体を移動し、物体の速度を増加するために有利な位相で物体が加速面に再び入ることを可能にするように設計されている。旋回運動において半径方向力は周期的であり、従って、新たな位相調整は、特定のサイクルにおけるあらゆる時点で発生する可能性があり、この機会は、それ自体をサイクルごとに繰り返す。「303」において言及されるように、速度増加の限度は、物体の速度が位相波速度よりも十分に速く、かつ、従って、追加的な速度を得るために利用可能な持続時間が、位相波の加速面から外へ移動し、それからその中へ戻ることによって物体に与えられる損失に打ち勝つには小さすぎるときに発生する。
【0007】
物体が、特定の旋回周波数で、特定の旋回構造における、その速度に対する実用上の上限に効果的に達したとき、「303」は、異なるパラメータ、つまり旋回周波数、旋回半径、寸法などを有する新しい構造の中に物体を取り入れる。1つの構造から別の構造への移行は、「303」特許の別の不可欠な部分である。
【0008】
特許「303」は、形状、周波数、旋回半径が移行の両側で選択的に異なる、移行の系列を定める。これらの変動を適切に可能にするためにこの特許において定められた、多くの機構がある。特許「303」において、これらの移行は、これらの移行「サービスループ」構造と遅延ループ構造を区別するための用語、「サービスループ」として定義される。
【0009】
遅延ループとサービスループは、「303」特許において言及されるように、膨大な一連の構成を可能にした。旋回システムの中での安定した加速に必要な条件は、不定の局所的な半径を有する形状(ボウル)を用いるように本発明者らを導く。しかし、他の形状は、初期条件が満たされることを条件として用いられることができる。例えば、固定された半径(円筒形状)のための初期の挿入速度である。
【0010】
同期ステージは、設計され、かつ制御され得るが、追加的な複雑さは、「303」特許の設計において必要とされていない。非同期の動作が発生するとき、同期設計が機能しない可能性がある。様々なステージの同期運動を許すための許容範囲を有する部品を構築することが可能である。また一部の用途のためにそのようなことが望ましい場合がある。非同期の設計は、より堅牢である。なぜなら、それらは、ステージからステージへの部品が、高度に制御された位相調整(同期の)ではなく、あらゆる位相関係を有する可能性があることを前提としているからである。
【0011】
逆に、旋回システムと比較すると、発明の名称「物体の加速及び精密制御された放出」の特許出願における回転設計は、部品点数からすれば複雑さがより小さいが、妥協点は、加速物体の同一の出口速度を達成するために必要とされる、より大きな寸法である。回転設計におけるパラメータは、周波数及び回転する中空管の長さだけである。
【0012】
回転設計において、物体を2回又は3回加速することは、あまり実用的ではない。第2の、又はそれに続く構造(又はステージ)への挿入は、制御を必要とし、より少ない部品
点数という利点を打ち破る。周波数だけが信頼できるパラメータであるため、第2又は第3の構造は、第1の構造として使用することができた可能性がある。
【0013】
旋回設計は、より高い周波数、及びそのようにしてコンパクト性に有利であるのに対し、回転設計は、より大きな寸法と相性の良い、より低い周波数を用いる。より高い周波数での動作に対応できる部品は、より小さい寸法でより豊富にある。実用上の事柄として、旋回システムは、物体の同等の出口速度となるようなスピンだけのシステムよりも、3つの寸法のうち少なくとも2つについて、2倍程度、物理的により小さくなっている。
【0014】
旋回だけによって1つの製品ファミリーが生み出され、スピンだけによって第2の製品ファミリーが生み出され、そして結合されたスピン旋回によって第3の製品ファミリーが生じる。
【発明の概要】
【0015】
これは、物体が加速される回転構造と旋回構造を組み合わせる方法である。第1の加速は、管の回転運動によって生じる。第2の加速は、円筒の旋回運動によって生じる。物体の合成加速度は、位相同期技術によって達成することができるものより大きな、物体の最終速度を生じさせることができる。
【0016】
管は、直管又は曲管から選択される。管は、管の出口に取り付けられた、跳ね飛び低減構造を有する。回転構造の駆動シャフトは、旋回構造の駆動シャフトと非同期である。回転構造の駆動シャフトは、旋回構造の駆動シャフトと同期する。
【0017】
一実施形態において、同期する駆動シャフトは、単一のシャフトである。回転構造と旋回構造の同期運動は、それぞれ異なる駆動シャフトを制御する能動機構によって行われる。同期関係は、回転構造と旋回構造との間の位相オフセットを有する。別の実施形態において、旋回構造は、遅延ループを含む。回転管と旋回構造との間の相対角度は、従来の位相同期速度を超えて物体を加速するように選択される。回転構造及び旋回構造の非同期運動は、機械的な干渉を防止するために、制御によって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、旋回アニュアルリングの動的エンベロープ(円筒の断面)を示す図である。
図2図2は、旋回円筒及び回転管の断面を示す図である。
図2B図2Bは、旋回円筒及びピローブロックベアリング付き回転管の断面を示す図である。
図3図3は、直管及び曲管用のエアギャップ及び跳ね飛びデフレクタプレートを示す図である。
図4B図4Bは、旋回位相と管出口との間の固定された角度及び距離を示す図である。
図4図4は、旋回位相と管出口との間の角度を示す図である。
図5図5は、旋回ボウル及び回転管の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
参考資料において言及されているように、高圧流体又は爆薬なしに摩耗、切削、コーティングなどを行う目的のために物体を加速するシステムの構築は、回転機械装置又は旋回機械装置を用いて行うことができる。回転と旋回の組み合わせは、回転機械部品であって旋回構造内にその出力(古典的な半径方向力を受けて加速された物体)を供給するものによって構成することができる。これら2つの構造は、非同期とし、又は同期させることができる。非同期の組み合わせは、回転部品から旋回部品への移行のランダム性のため、よ
り多くの複雑さを有する。共通の動力シャフトに結合され、又は機械的に制御される(複数の動力シャフトから駆動される場合)、同期される回転部品と旋回部品は、同等の性能の非同期の設計と比較すると、物体の加速の問題に対する、非常にコンパクトな、より少ない部品点数での解決策を提供することができる。
【0020】
設計パラメータが真にランダムに選択されたか、又は実行中に真にランダムである場合、非同期の設計は、役に立たない(外への出口における物体の大きな速度という能力がないことを意味する)可能性を有する。慎重なパラメータの選択及び設計の実行を行うことが可能であり、興味深く有用な装置を設計することができる。しかし、はるかに困難性の低い設計プロセスは、同期設計の手法で発生する。
【0021】
重要な同期パラメータは、所与の周波数と旋回半径における、回転構造と旋回構造の互いに対する相対位相角である。所与の周波数における相対位相角の選択は、他の周波数での動作が位相関係に応じて異なる性能をもたらす、「ポイント設計」の解決策に帰着する。小さすぎる旋回半径は不十分な加速の原因となる一方、大きすぎる旋回半径は位相同期の機会を通り越す加速の原因となるため、旋回半径は、他のパラメータと両立できる範囲内である必要がある。主要なパラメータの相対的な関係、及びあらゆる特定の設計のためのそれらのパラメータの両立性の発見には、主に機械的な干渉を排除するために、単純な幾何学的計算を必要とする。
【0022】
同期の振る舞いは、回転構造及び旋回構造の両方を駆動している1つの動力シャフトとして、最も容易に記述される。機械的な干渉は、同期共有の動力シャフトによる設計において迅速に発見される。
【0023】
周波数及び回転半径の選択肢は、ある程度、利用可能な部品によって定まる。ほとんどのベアリングは、定格で数百ヘルツ(200Hz-毎分12,000回転)未満である。周波数が上限に達すると、静的負荷及び動的負荷並びにそれらのベアリングによって定まる寸法障壁が、旋回半径を数インチ以下に迅速に制限する。磁気ベアリングは、周波数及び寸法の増加を可能にし、従ってますます大きな機械装置が実用的になる。性能が決定的に重要であり、かつコストが設計を制限する要素ではない特殊な設計は、周波数及び旋回半径の大きな値で構築される。しかし、大半の装置は、コストが設計を推進する変数となるような機能のために利用される。
【0024】
特許「303」において、設計は、それぞれ異なる周波数の複数のステージに基づいている。同様に、本発明は、複数のステージという概念の上に構築することができる。本出願によって定義される単一の各ステージは、「303」の複数ステージの設計の構成要素として解釈することができる。「303」において、ステージ間の境界として挿入速度が用いられた。そして同様の境界が本出願で発生する可能性がある。
【0025】
2サブシステムの設計が提案される。サブシステム1は回転であり、サブシステム2は旋回である。2つのサブシステムのいくつかのバリエーションが提供される。回転基準座標系において物体を加速するために使用される、あらゆる中空管、導管又はその他の構造を単一の用語で「管」というものとするように、用語を定義する。同様に、あらゆる旋回構造、円筒若しくはボウル又はその他の形成要素を単一の用語で「円筒」という。全ての単一のステージの設計において、物体は、回転基準座標系から旋回基準座標系へ移行する。複数ステージの設計は、旋回サブシステムから回転サブシステムへの移行を有することができるが、これらの設計は、実用的であるためには、それに続くステージにおいてより高い加速度プロファイルを必要とする。加速度ベクトルは、最初の動力まで引き上げられる旋回半径、及び第2の動力まで引き上げられる旋回周波数を有することに注意せよ。
【0026】
回転座標系における管の端部と旋回座標系における円筒面との間の距離として定義される、同期設計の「エアギャップ」距離は、管の形状(直管又は曲管)、及び回転構造と旋回構造との間の選択された固定位相関係に依存する。
【0027】
非同期設計において、「エアギャップ」距離の依存関係にあるものは、管の形状、旋回半径、並びに回転部品及び旋回部品の特定の周波数、並びにそれらの周波数のあらゆる動態である。
【0028】
同期設計と非同期設計の両方において、物体は、チャネル又は溝などの円筒面の特性によって誘導されることができる。これらの誘導面は、ねじ山の外観を有することができる。単一の円筒の中において、ねじ山は、複数の平面における連続的な経路として、「303」遅延ループを含むことができる。このようにして、「303」遅延ループの位相調整の全ての利点を達成することができる。
【0029】
非同期設計
1つのバリエーションは、旋回円筒面上への非同期の制御されない移行へと物体を加速する、単純な回転直管である。管を出発する物体は、次のようにする可能性がある。(a)旋回円筒面から跳ね飛び、(b)旋回円筒面上へ捕捉され、それから旋回円筒面からの不十分な加速のために減速し、旋回円筒面の位相から外れて脱落し、又は(c)旋回円筒面上へ捕捉され、旋回円筒面とともに加速する。
【0030】
跳ね飛びには、封じ込め構造によって対処することができる。跳ね飛びイベントが低減されるとき、一部のエネルギー(速度)が失われる。跳ね飛びが制御されている場合であっても、旋回円筒の安定した加速領域上に捕捉されるための速度条件を満足する確率は、管と円筒の運動の非同期性のためにランダムである。管から円筒への挿入速度が低すぎると、物体は、静止するまで速度が低下し続けることとなる。
【0031】
円筒上へ捕捉されるときの物体の速度が十分である場合、追加的な速度を、良好な位相調整によって加えることができる。加えられる速度の大きさは、円筒の最大加速度ベクトル位置に対する、物体の相対位相に依存する。
【0032】
良好な位相関係で円筒上へ補足された物体には、次の2つの選択肢が存在する。いくらかの速度(大きさの範囲は、位相同期より大きい値への挿入の間である)を加えた後に円筒面から出る。又は、円筒面上に存在することが許される場合には、位相同期される。
【0033】
位相同期が達成される場合、物体は、旋回構造の古典的な位相同期速度を超えて速度を加えるために、位相再調整構造(遅延ループ)の中に移動される。
【0034】
管と円筒との間の非同期運動の結果、図1(旋回アニュアルリングの動的エンベロープ(円筒の断面))に示すように、位相関係が変化するにつれて刻々と変化する動的エンベロープが生じる。あらゆる所与の円筒内径に対して、旋回半径が減少するのとともに、この動的エンベロープは縮小する。
【0035】
非同期設計において、回転周波数とは異なる周波数での歯車駆動の旋回などの、図1に示す直円柱の体積内のあらゆる回転物体は、完全な動的エンベロープを収容する必要があり、そうでなければ機械的な干渉が発生する。図2(旋回円筒及び回転管の断面)における物体210は、シャフトから円筒へのインタフェースにおいて歯車駆動とすることができる。この場合において、許容誤差の問題は、最終的に、多数の回転サイクルの後に、管と円筒との間の非同期運動につながる可能性がある。
【0036】
非同期の加速装置である、回転管と旋回面との間の移行は、限度内で動作するようにすることができる。非常に小さな旋回半径のシステムについては、回転管と旋回面との間の物理的なギャップは、最も近い接近において「小」であり、最も遠い分離において「小」に「旋回の半径の2倍」に等しい距離を加えたものである。いずれの場合においても、最大の関心事は、跳ね跳びイベントである。
【0037】
管の形を適合させることは、跳ね飛びの確率に大きな影響を与える。図3(直管及び曲管用のエアギャップ及び跳ね飛びデフレクタプレート)に示す曲管305-Cは、旋回面の方へ物体を導くことができる。管と旋回面との間の非同期運動は、物体が旋回面に触れる瞬間の視射角を変化させる。
【0038】
図3(直管及び曲管用のエアギャップ及び跳ね飛びデフレクタプレート)に示され、管の端部に取り付けられたデフレクタプレート305-CSは、跳ね跳びが発生した場合にそれを調節することができる。ほとんどの場合に跳ね飛びが発生するのであるが、しかし時には角度が一列に並び、跳ね跳びが発生しない。
【0039】
管及び円筒の周波数は、回転管から旋回円筒面へ物体が移行するときに、良好な位相イベントが起きる確率に大きな影響を与える可能性がある。設計上、回転及び旋回の周波数の値は、ことによると1パーセント未満の小さな端数のずれはあるかもしれないが、非常に近似しているべきである。あらゆる非同期設計において、絶対相対周波数が厳しく制御されていない場合であっても、何らかの粗製の周波数ガバナが使用されるべきである。管がより高い周波数で回転している場合、物体の挿入速度は、旋回面に対する安定した位相同期よりも大きくなることができ、同期が発生することができる、位相空間のより大きな角度を可能にする。逆に、旋回周波数が回転周波数よりも高い場合、位相同期のための角度の範囲は縮小する。管からの物体の出口速度における別の変数は、管の入り口での物体の挿入速度である。大きな挿入速度が存在する場合、物体の管出口速度は、回転サブシステム及び旋回サブシステムの相対周波数の効果を、効果的に優越することができる。
【0040】
これら全ての非同期設計の制限は、管と円筒とが固定された関係において同期される、同期設計によって克服することができる。
【0041】
同期設計
より制御された一構成は、旋回円筒と同期する回転管を有し、定義上、旋回面上へ捕捉するために物体に十分な速度を与える。物体は、旋回面の近くの管を出発し、管が旋回面と同期しているため、管の内部における加速は、隣接する旋回面よりも、わずかにだけ、小さい速度(管の出口端からの距離と旋回円筒面からの距離との差は、「エアギャップ」である)を生じさせる。物体が旋回面上に捕捉された後は、正確な位相調整によって、わずかにより低い速度とすることができる。位相同期速度を超えて物体を加速するために、旋回運動により誘起される一連の加速は、遅延ループの位相再調整を含め、最終的な速度を達成するために利用される。図4B(旋回位相と管出口との間の固定された角度及び距離)に示すように、旋回面の分離した一部分との1つの相互作用から、旋回面の異なる分離した一部分との別の相互作用へと、管が回転の周波数で運動しているとき、「エアギャップ」距離は、大きさが固定されている。旋回の位相が移動するとき、円筒の各部分の絶対距離は、回転軸に対して移動している。絶対距離は、その回転軸での回転を通じて、旋回半径の2倍である。この距離の変化は、図らずも回転周波数である、旋回周波数によって定まる一定の比率である。
【0042】
同期設計において、回転周波数と旋回周波数は同一であり、旋回構造の動的エンベロープは所与の回転位置に対して固定されており、そして回転体の先端位置は旋回面の局所的な位置に整合される。動力シャフトは、管及び局所旋回面を回転させ、それによって、動
的エンベロープは瞬間動的エンベロープである。この「合わせ」機械設計の手法において、物体は、回転管から旋回面上へ移行するとき、選択的に位相調整されることができる。この第1の位相再調整は、物体を円筒の位相同期速度を超える速度へと効果的に押し上げるために利用されることができる。それに続く追加的な遅延ループの位相再調整は、物体に更に速度を加えるために利用されることができる。
【0043】
図4に示す、同期された管405Sと円筒の旋回位相との間の角度ABCは、駆動シャフト402への機械的取付けによって固定される。円筒の取付けは、物体410、旋回半径構造によって、シャフト402の回転の中心に対して相対的に定められる。曲管405Cは、類似の角度ABDを有する。旋回半径は、動力シャフト402からの旋回装置410のオフセットにより定まる。物体402及び物体410の中心は、線分BAの基準である。線分BCは、動力シャフト402の中心から、直管405Sの端部までである。線分BDは、動力シャフト402の中心から、曲管405Cの端部までである。
【0044】
管が曲がっている場合、物体の寸法は、「エアギャップ」よりも大きくすることができる。ただし、円筒の内壁である図3の項目316上の物体の経路が、後に続く加速のサイクルにおいてその場所に戻らないように制限されていることが条件である。物体と管との機械的な干渉がそのイベントにおいて発生するであろうからである。非曲管は、物体が管と旋回面との間に挟まれることなく管から出ることを可能にするために、管の端部と旋回面との間に十分な距離を与えて設計されるべきである。どのような場合でも、図3に示すように、物体の寸法もまた、跳ね飛びデフレクタプレート305-SSの円筒の内壁316との最小間隔、又は曲管の場合には、跳ね飛びデフレクタプレート305-CSの円筒の内壁316との最小間隔を定める。
【0045】
図3は、旋回円筒の中の単純な曲管305C及び直管305Sを示す(旋回サイクルの瞬時位置を示している)。曲管は、直管のものよりも小さい「エアギャップ」とともに示されている。
【0046】
先行する旋回特許「303」において、ステージ間の移行は、ステージ間移動機能として構築されるサービスループ機構によって管理される。
【0047】
回転周波数及び旋回周波数が、同一の回転シャフトによる駆動であるか、又は1つの回転シャフトによる駆動であるかのように制御されることを条件として、単一のステージの回転から旋回への移行において、如何なる機構も必要とされない。単一の回転シャフトは、必要とされる部品がより少数であり、製造の制御を除いて制御が全く必要とされないため、明らかに好ましい。回転管と旋回面との間の公称許容範囲は、物体を移行するために十分なものである。
【0048】
複雑な制御は、それぞれ異なる回転構造及び旋回構造に対する効果的な位相制御を可能にする。インデックス付け、例えば光学式エンコーダ、及びモータ回転速度を調整するための処理能力によって、独立したモータ及びそれらが駆動するシャフトは、これら2つの独立したシャフトが1つのシャフトであるかのように、位相関係を維持することができる。高度化の程度、又はその欠如は、ほぼ同期して運動する組立品の位置の差の絶対的な大きさに基づいて、制御ロジック及び制御アクチュエータにおいて見出される。可動部の位置及び回転速度が十分に制御され、ほぼ同期された部分組立品群のいくつかの機械的構成は、これらの加速の目的のための、同期された同等の装置群として扱われることができる。
【0049】
回転シャフトへの円筒及び管の相対的な取付けにより定まる、管の位相角に対する円筒の初期位相は、加速の比率の関数として、それぞれ異なる動力を要求することを示すこと
ができる。より低い加速の関数であるとき、管及び円筒の位相の選択を基にして、要求される全体的な動力を管理することができる。例えば、円筒と管との間の位相関係の90度の広がりを超えて、20%差の超過が出口速度において発生する可能性があることを示すことができる。そしてこれらの速度は、回転周期の2倍未満、又は回転周期のほぼ3倍で達成することができる。これらの計算は、摩擦が無視されることを前提としており、一部の物体の種類(硬く滑らかな面上のボールベアリング)に対しては、これはあまり非現実的ではない。そして空気抵抗もまた、無視される。空気物体は、他の「物体」の種類とともに加速されるため、この前提もまた、速度型が亜音速であり、かつ滑らかな表面によって渦流が最小限に保たれる限り、非現実的ではない。
【0050】
図面の詳細な説明
図1、旋回アニュアルリングの動的エンベロープ(円筒の断面)は、直円柱の旋回によって生じる4つの個別の位置(111、112、113、及び114)を示す。この4つの面は、1つのむきだしの面である面111、並びに3つの部分的に覆われた面である面112、面113及び面114と重なり合う。ここで、面114が最も覆われている。円柱が旋回するにつれて、断面は、固定された基準(観測者)に対するその相対位置を変える。4つの重なり合う断面は、4つの瞬間的な図である。完全な旋回の周期にわたって、掃き出される領域は、内径が、元の直円柱の内径から旋回の半径の2倍を引いたもので定まり、掃かれる領域の外径が、円柱の外径に旋回の半径の2倍を加えたもので定まる、環状の輪の形を定める。
【0051】
図2、システム200の旋回ボウル及び回転管の断面は、モータ201、及びその駆動シャフト202から始まる。2つのオブジェクト、旋回シャフト210及び回転管205が駆動シャフト202に連結される。内面216とともに基部及び円筒形状構造を含み、かつ内面216上のチャネルの4つの具体例、217A、217B、217C、及び217Dを含む、旋回構造215が旋回シャフト210に連結される。物体供給管222は、何らかの性質の回転継手(多くのものが利用可能である)を介して管205に結合される。物体供給管222は、供給ホッパ223から供給を受け、そしてまた供給ホッパ223は、入り口224を介して外部ソースから供給を受ける。
【0052】
動作時、モータ201は、シャフトを駆動する。シャフト202は、回転して管205を回転させる。シャフト202は、円筒215に連結された旋回シャフト210を駆動し、そこで円筒が旋回する。物体は、ホッパ223から供給されて、物体供給管222から管205に入る。ホッパ223、及びその供給は、完全に装置200の安全囲いの外側となることができる。
【0053】
明確さのため、跳ね飛び板、遅延ループ、及び物体が装置200を出発する出口ポートを含む、装置200のいくつかの追加的な特徴は、図示しない。
【0054】
図2B、旋回円筒及びピローブロックベアリング付き回転管の断面は、追加的な構造であるピローブロックベアリングとともに、回転管及び旋回円筒の別のバージョンを示す。システム460は、4つの連結節を有する複雑な形状のシャフト231を有するモータ230、管232、及び旋回円筒235の内部のベアリング255、並びに2つのピローブロックベアリング245a及び245Bを有する。これらのピローブロックベアリングは、旋回構造、及びシステムを通って移動する物体によって誘起される、ウォブルからモータベアリングを分離するために用いられる。管232は、旋回角度からの「オフセット」の角度で示されており、従って、管は短く見える。上面図において、管232は、円筒の内面236の一部に近接する。この特定の管は、複数の内部管である可能性があり、そのようにして、複数のチャネル構造が存在する可能性がある。円筒内面236上の、4つのチャネル配置237A、237B、237C、及び237Dも示す。
【0055】
これまでの段落において言及した特徴である、供給のソースの部品、出口ポート、跳ね飛び板、及び遅延ループは、図示しない。
【0056】
図3、直管及び曲管用のエアギャップ及び跳ね飛びデフレクタプレートは、旋回装置310に連結された中央駆動シャフト302を示す。ここで、旋回装置310は、円筒の内面316を有する円筒315に連結され(明確さのために図示せず)ている。2種類の代表的な管である、跳ね飛びデフレクタプレート305-SSを有する管305-S(ストレート)、及び跳ね跳びデフレクタプレート305-CSを有する管305-C(カーブ)。シリンダ315のこの位置への配置は、瞬間的な図である。
【0057】
動作時、駆動シャフト302は、モータ及びその制御エレクトロニクス(図示せず)に連結される。シャフトは、速度を立ち上げ、回転管305-S及び/又は305-Cへの物体の供給を開始する。これらの物体ユニットは、各管に固有の遅延ループ(図示せず)へ、そして最終的には各旋回チャネル/管の組み合わせ(図示せず)に固有の出口へとチャネル(図示せず)によって誘導されて、旋回円筒内壁316上に移動される。
【0058】
各管は、円筒内壁上のチャネルによって分離される、異なる種類の物体を運ぶことができ、またそのような管が多数存在し得る。物体の各種類ごとの出口を分離することができ、物体は、分離されたアプリケータ装置によって導かれる。各アプリケータ装置は、アプリケータ装置への供給を行う、旋回部品によって誘起される運動に適応する必要がある。
【0059】
図4B、旋回位相と管出口との間の固定された角度及び距離は、原点(X=0,Y=0)を中心とする回転シャフト、並びに小さな矢印、-X軸上の611、及び+Y軸上の621でそれぞれ示される2つの位置によって定まる、旋回半径の方向付けを有する。これらの2つの矢印の位置は、動力シャフトが90度回転するときに発生する、円筒の旋回位置の90度の変化を表す。単一の回転管は、613及び623として、2つの回転位置に90度離れて示される。各管は、それぞれの出口ポート613E及び623Eを有する。管は、対応する旋回円筒面の位相角から60度遅れたものとして示され、管位置613は、円筒面612から60度遅れている。円筒面の第2の瞬時位置は、622であり、瞬時位置612の90度後、623にある管の60度前方である。
【0060】
円筒612上に、管613の出口613Eに最も近い点である、位置612Sが存在する。出口613Eと円筒面612Sとの間の距離は、それらに対応する623Eと622Sとに対して、製造の許容誤差内で同一である。この比較的単純なダイアグラムは、瞬間動的エンベロープの概念を示す。
【0061】
図4、旋回位相と管出口との間の角度は、「B」とラベル付けされた中心点を有する回転シャフト402に連結された、複数の管405S及び405Cを示す。3本の線が、それぞれの一端に点「B」を有して形成される。線ABは、旋回軸410の瞬時位置の中心を、回転シャフト402の中心と連結する。線BCは、直管405Sの出口を、回転シャフト402の中心に連結する。線BDは、曲管405Cの出口を、回転シャフト402の中心に連結する。これらの線は、物体に働いている力を明確に記述するために用いられる、瞬時位置である。
【0062】
図5、旋回ボウル及び回転管の断面は、異なる形成要素を表す。システム10は、管130及び旋回ベアリング120に連結された、シャフト110を有する。デフレクタプレート135は、管130に連結され、これらの物体は全て、シャフトとともに回転する。旋回ベアリング120は、ボウル基部150、ボウル155、遅延ループ構造160及び165を旋回させる。
図1
図2
図2B
図3
図4
図4B
図5