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特許7135002エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/30 20200101AFI20220905BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20220905BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/46
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019561356
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018052183
(87)【国際公開番号】W WO2018141699
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】17153927.3
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523096(JP,A)
【文献】特開平07-184627(JP,A)
【文献】特表2010-506594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0013875(US,A1)
【文献】特表2012-527222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の受け入れチャンバーと第二の受け入れチャンバーとを備えるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムであって、
前記第一の受け入れチャンバーおよび前記第二の受け入れチャンバーが装置ハウジング内で横並びに配置され、第一の固体基体含有ロッドが前記第一の受け入れチャンバー内に配置され、また第二の固体基体含有ロッドが前記第二の受け入れチャンバー内に配置され、前記第一の受け入れチャンバーまたは前記第二の受け入れチャンバーのうちの少なくとも一つが、前記それぞれの受け入れチャンバー内に収容された少なくとも前記第一または前記第二の固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備え、前記ヒーターの発熱体が前記それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも半分の長さにわたって延びて、前記それぞれの受け入れチャンバー内に配置された前記それぞれの基体含有ロッドの長さの少なくとも一部分を加熱するように配置されている、システム。
【請求項2】
少なくとも前記第一または前記第二の固体基体含有ロッドが、前記第一または前記第二の受け入れチャンバー内に備えられた前記ヒーターによって前記ロッドの全周に沿って加熱可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第一の固体基体含有ロッドが第一のロッド径を含み、前記第二の固体基体含有ロッドが第二のロッド径を含み、ここで前記第一のロッド径が前記第二のロッド径よりも大きい、請求項1~2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の受け入れチャンバーが第一のチャンバー径を備え、前記第二の受け入れチャンバーが第二のチャンバー径を備え、少なくとも前記第一または前記第二のチャンバー径が7ミリメートルよりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
横並びに配置された前記受け入れチャンバーの前記第一のチャンバー径と前記第二のチャンバー径の総延長が15ミリメートルよりも小さい、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第一の固体基体含有ロッドおよび前記第二の固体基体含有ロッドが、前記受け入れチャンバーから延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一の固体基体含有ロッドが、たばこおよびニコチンを含み、前記第二の固体基体含有ロッドが風味剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
マウスピースを備え、閉位置にあるマウスピースが前記第一の固体基体含有ロッドおよび前記第二の固体基体含有ロッドを覆う、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
第一の固体基体含有ロッドを受けて収容するための第一の受け入れチャンバーと、第二の固体基体含有ロッドを受けて収容するための第二の受け入れチャンバーとを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置であって、
前記第一の受け入れチャンバーおよび前記第二の受け入れチャンバーが前記装置ハウジング内で横並びに配置され、
少なくとも前記第一の受け入れチャンバーまたは前記第二の受け入れチャンバーが、前記それぞれの受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備え、前記ヒーターが前記それぞれの受け入れチャンバーを囲むように配置されており、前記ヒーターの発熱体が、前記それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びて、前記それぞれの受け入れチャンバーに収容された基体含有ロッドの少なくとも一部分を加熱するように配置されている、装置。
【請求項10】
前記第一の受け入れチャンバーおよび前記第二の受け入れチャンバーが、前記それぞれの受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備え、各ヒーターが前記それぞれの受け入れチャンバーを囲むように配置されている、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記第一の受け入れチャンバーが第一のチャンバー径を備え、前記第二の受け入れチャンバーが第二のチャンバー径を備え、前記第一のチャンバー径と前記第二のチャンバー径が等しい、請求項9~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第一の受け入れチャンバーが第一のチャンバー径を備え、前記第二の受け入れチャンバーが第二のチャンバー径を備え、前記第一のチャンバー径が前記第二のチャンバー径よりも大きい、請求項9~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
マウスピースを備え、前記第一の受け入れチャンバーが受け入れ開口部を備え、前記第二の受け入れチャンバーが受け入れ開口部を備え、前記マウスピースが閉位置の時に前記第一の受け入れチャンバーの前記受け入れ開口部を覆い、また前記第二の受け入れチャンバーの前記受け入れ開口部を覆う、請求項9~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記受け入れチャンバーが前記少なくとも一つのヒーターを備えることを示すインジケータを備える、請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体基体含有ロッド、特にたばこロッドを使用するエアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生装置に関する。とりわけ本発明は、たばこロッドなど、複数の固体基体含有ロッドとの併用に適したエアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システム、いわゆる電子たばこは、蒸発される液体、または加熱されるたばこ材料を使用することが周知である。一部の装置において、液体の蒸発は、たばこの加熱と組み合わされる。他のシステムにおいて、異なる液体を並列して選択的に蒸発させるために、異なる液体を含む二つのカートリッジが提供されている。
【0003】
よって、固体基体含有ロッドを使用することにおいて、より多くの可能性、またはある選択肢をユーザーに提供するエアロゾル発生システムに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、第一の受け入れチャンバーと第二の受け入れチャンバーとを備えるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。第一の受け入れチャンバーおよび第二の受け入れチャンバーは、装置ハウジング内で横並びに配置されている。第一の固体基体含有ロッドは第一の受け入れチャンバー内に配置されていて、第二の固体基体含有ロッドは第二の受け入れチャンバー内に配置されている。第一の受け入れチャンバーまたは第二の受け入れチャンバーのうちの少なくとも一つは、それぞれの受け入れチャンバー内に収容された少なくとも第一または第二の固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを含む。ヒーターの発熱体は、それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるように配置され、それぞれの受け入れチャンバー内に配置されたそれぞれの基体含有ロッドの長さの少なくとも一部分を加熱することが好ましい。
【0005】
このシステムでは、受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドのどちらを使用するかの選択肢、または両方の固体基体含有ロッドを並列で、どの程度使用するかの選択肢をユーザーに与える。受け入れチャンバー内に提供された固体基体含有ロッドの種類に応じて、望ましい消費者体験が選択されうる。例えば、風味ベースの体験またはニコチンベースの体験のどちらにするか、あるいはその両方の体験を選択しうる。
【0006】
エアロゾル発生システムは、二つの、またはそれ以上の異なる固体基体含有ロッドを個別に、または組み合わせて使用することを可能にする。どちらの固体基体含有ロッドを使用するかの選択肢がユーザーに与えられる。ユーザーはまた、使用する固体基体含有ロッドの異なる組み合わせの選択肢が与えられる。
【0007】
二つ以上の固体基体含有ロッドは、組み合わせで使用される時、並列にまたは個別に使用されうる。並列使用において、たばこロッドを通した気流は、両方の固体基体含有ロッドを通して並列に導かれ、装置を離れる前にマウスピース内で組み合わされてもよい。
【0008】
固体基体含有ロッドからの物質は、固体基体含有ロッドを通過する気流によって移動されうる。これらの物質は単純に、通過する気流によって混入されうる。例えば、たばこ基体を通過する気流は、たばこ風味が混入されうる。固体基体含有ロッドを加熱し、吸入可能なエアロゾルを形成するによって、吸入される物質はまた、活発に発生される。
【0009】
ヒーターの発熱体は、それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるように配置されていることが好ましい。これによって、固体基体含有ロッドは、その長さに沿って加熱されうる。固体基体含有ロッドは、例えばロッド内の固体基体の長さの一部分に沿って、またはロッド内の固体基体の全長に沿って加熱されうる。固体基体含有ロッドは、ロッド内の固体基体の全長に沿って加熱されることが好ましい。
【0010】
システムにおいて、少なくとも第一または第二の固体基体含有ロッドは、第一または第二の受け入れチャンバー内に備えられたヒーターによって、ロッドの全周に沿って加熱可能であることが好ましい。これは、例えば円周方向に配置されたヒーターによって、またはそれぞれの受け入れチャンバーを実質的に囲むように配置されたヒーターによって達成されうる。実質的に囲むヒーターは、受け入れチャンバーを完全に取り囲む必要はなく、例えば一つまたは複数の間隙を含みうる。間隙は、一つの取り囲む発熱体の向かい合った側の間に配置されてもよく、またはヒーターの隣接しかつ円周方向に配置された複数の発熱体の間に配置されてもよい。
【0011】
円周方向に配置されたヒーターによって、固体基体含有ロッド、および特にロッド内のたばこまたはその他のエアロゾル形成基体は、非常に均一かつ効果的に加熱されうる。こうして、再現性があり信頼性のあるエアロゾル発生が達成されうる。さらに、例えばロッドの中央部または周辺部での効果的でない加熱に起因する未使用の基体の無駄が防止されうる。
【0012】
これらの効果はまた、受け入れチャンバーを実質的に囲むように配置されたヒーターを用いて、よって間隙を備えたヒーターを用いて達成されてもよい。間隙は、例えば10分の1ミリメートルもしくは10分の2~3ミリメートルのサイズ、または最大1ミリメートルのサイズを有しうる。
【0013】
円周方向の加熱は、小さなロッド径を有するロッドを使用する時に特に効果的である。
【0014】
本発明によるシステムで使用される固体基体含有ロッドは、同一のロッド径でもよく、または異なるロッド径でもよい。
【0015】
同じ直径のロッドを使用することは、ロッドの製造プロセスを簡略化しうる。同じ直径のロッドはまた、二つのロッドを順々に使用することによって、ユーザー体験の期間を倍増するために使用されうる。
【0016】
一部の実施形態において、第一の固体基体含有ロッドは第一のロッド径を含み、第二の固体基体含有ロッドは第二のロッド径を含み、ここで第一のロッド径は第二のロッド径よりも大きい。
【0017】
異なるロッド径を有する固体基体含有ロッドを使用することは、例えば同一サイズの固体基体含有ロッドを使用するよりも、固体基体含有ロッドのさらなる、かつ異なる適用をもたらしうる。例えば、より緩慢なまたは低減された加熱は、大きめのロッドでもたらされ、より急速なまたはより効率的な加熱は、対応するエアロゾル発生および風味放出を伴う小さめのロッドでもたらされうる。
【0018】
異なるサイズのロッドはまた、ロッドが挿入される受け入れチャンバーについて唯一の可能性を提供することによって、適用を簡略化しうる。
【0019】
ロッドが圧迫されることなく、かつ受け入れチャンバー内で緩く収まることなく、固体基体含有ロッドが受け入れチャンバー内に嵌合するように、固体基体含有ロッドの直径とそれぞれの受け入れチャンバーの直径は一致するサイズを有することが好ましい。固体基体含有ロッドを受け入れチャンバーに挿入するために、また受け入れチャンバーから取り外すために、小さな摩擦力が必要であることが好ましい。
【0020】
有利なことに、固体基体含有ロッドの直径、およびそれに応じて受け入れチャンバーの直径は、小さく保たれる。互いに隣接して横並びに配置された二つの受け入れチャンバーは、従来的な大きさの固体基体含有ロッド用の受け入れチャンバーよりも大きくないか、または著しく大きくないことが好ましい。小さめの受け入れチャンバー、およびそれに応じて小さめロッドは、ロッドの中心に至るまで非常に効率的な加熱を提供しうる。さらに、一つの固体基体含有ロッド用の周知の装置のサイズを大きくする必要はない。特に、二つの受け入れチャンバーの直径が十分に小さい場合、従来的なマウスピースが、両方のロッドを覆うために、また両方のロッドからのエアロゾル吸入のために使用されうる。
【0021】
少なくとも第一または第二のチャンバー径は、7ミリメートルより小さいことが好ましく、5ミリメートルより小さいことがより好ましい。少なくとも第一または第二のチャンバー径は、例えば2ミリメートル~7ミリメートルの範囲であり、好ましくは2ミリメートル~5ミリメートル、または2ミリメートル~3.5ミリメートルの範囲としうる。
【0022】
第一および第二のチャンバー径は、上記の所定の範囲内であることが好ましい。
【0023】
従って、横並びに配置された受け入れチャンバーの第一のチャンバー径と第二のチャンバー径の総延長は、15ミリメートルより短いことが好ましく、12ミリメートルより短いことがより好ましく、例えば5ミリメートル~10ミリメートルである。
【0024】
固体基体含有ロッドは、受け入れチャンバー内に完全に受けられてもよい。別の方法として、固体基体含有ロッドは、受け入れチャンバーの中に収容された時にそこから延びてもよい。
【0025】
固体基体含有ロッドは、使用後にロッドを受け入れチャンバーの外に引き出すためにロッドの延長部分を掴むことを可能にするために、受け入れチャンバーから延びることが好ましい。第一および第二の固体基体含有ロッドはまた、両方の固体基体含有ロッドで吸うことができるように、受け入れチャンバーから延びうる。固体基体含有ロッド、特にたばこロッドの延長部分は、フィルターまたはフィルターの一部分でありうる。
【0026】
装置はマウスピースを備えてもよく、ここでマウスピースが閉位置にある、すなわちマウスピースが装置ハウジング上に取り付けられ、かつ受け入れチャンバーを閉じている時、マウスピースは第一および第二の固体基体含有ロッドを覆う。これによって、一つのマウスピースを通して固体基体含有ロッドのうちどちらか一つを個別使用または並列使用することが可能である。
【0027】
固体基体含有ロッドは、例えば均質化したたばこ材料または再構成たばこ材料(例えば捲縮して集合させてロッド状にされたたばこシート)を含むたばこプラグなどのたばこロッドであってもよい。たばこロッドまたはその他のエアロゾル形成固体基体含有ロッドは、エアロゾル発生を変化させるために気化可能なろうを含んでもよく、または風味含有材料またはカプセルを含んでもよい。
【0028】
システムで使用される固体基体含有ロッドは、同一であってもよく、または異なっていてもよい。異なる固体基体含有ロッドは、サイズが異なっていてもよく、例えばロッド径が異なっていてもよい。異なる固体基体含有ロッドは、異なるたばこ材料、異なる風味剤、異なるニコチン含有量、異なる物質の組み合わせのうちどれか一つまたは組み合わせを含むことが好ましい。
【0029】
一部の好ましい実施形態において、第一の固体基体含有ロッドは、たばこおよびニコチンを含み、第二の固体基体含有ロッドは風味剤、好ましくはたばこ風味以外の風味剤、または例えばメントールなどの追加的な風味剤を含む。第二の固体基体含有ロッドは、たばこ材料を含まなくてもよい。第一の固体基体含有ロッドは風味剤を含むがニコチンを含まず、その一方で第二の固体基体含有ロッドはニコチンを含むことが好ましい。
【0030】
システムにおいて、一つの固体基体含有ロッドは加熱されてもよく、また一つの固体基体含有ロッドは加熱されなくてもよい。別の方法として、両方の固体基体含有ロッドが加熱されてもよい。
【0031】
第三のまたはさらなる固体基体含有ロッドは、装置ハウジング内に収容されうる。それに応じて装置ハウジングは、}第三のまたはさらなる固体基体含有ロッドを受けて収容するための第三のまたはさらなる受け入れチャンバーを含む。
【0032】
有利なことに、システムは装置ハウジング内に横並びに配置された二つ以上の固体基体含有ロッドを含む。二つの固体基体含有ロッドは装置ハウジング内に横並びに配置されていること、および装置ハウジングは二つの受け入れチャンバーのみを備えることが好ましい。
【0033】
マウスピースは装置内のすべての固体基体含有ロッドを覆うことが好ましい。
【0034】
本発明によると、エアロゾル発生装置も提供されている。装置は、第一の固体基体含有ロッドを受けて収容するための第一の受け入れチャンバーと、第二の固体基体含有ロッドを受けて収容するための第二の受け入れチャンバーとを備える装置ハウジングを備える。第一の受け入れチャンバーおよび第二の受け入れチャンバーは、装置ハウジング内に横並びに配置されている。少なくとも第一の受け入れチャンバーまたは第二の受け入れチャンバーは、それぞれの受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備える。ヒーターの発熱体は、受け入れチャンバー内に収容された基体含有ロッドの少なくとも一部分を加熱するために、それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるように配置されていることが好ましい。発熱体は、長さの一部に沿って延びるように配置されてもよく、この部分は受け入れチャンバーの全長よりも短い。別の方法として、発熱体は、それぞれの受け入れチャンバーの全長に沿って延びるように配置されてもよい。
【0035】
ヒーターは、それぞれの受け入れチャンバーを実質的に囲むか、または取り囲むように配置されていることが好ましい。こうして、ヒーターの発熱体は受け入れチャンバーを実質的にまたは完全に囲む。
【0036】
こうした装置の利点は、本発明によるシステムに関連して既に説明してきた。
【0037】
第一または第二の受け入れチャンバーは、それぞれの受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備えることが好ましい。
【0038】
そこで、各ヒーターの発熱体は、それぞれの受け入れチャンバー内に収容された基体含有ロッドの少なくとも一部分を加熱するために、それぞれの受け入れチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるように配置されてもよい。
【0039】
各ヒーターの発熱体は、それぞれの受け入れチャンバー内に収容されている、基体含有ロッドの一部分またはロッド全体を加熱するために、それぞれの受け入れチャンバーの全長に沿って延びるように配置されてもよい。
【0040】
ヒーターまたは各ヒーターは、それぞれの受け入れチャンバーを実質的に囲むかもしくは取り囲むか、またはそれぞれの受け入れチャンバーを全体的に囲むかもしくは取り囲むように配置されてもよい。
【0041】
ヒーターは、抵抗加熱可能なヒーター、または固体基体含有ロッド内の基体を誘導加熱するためのインダクタであることが好ましい。例えば、金属ワイヤーまたは誘導コイルは、受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドを取り囲むように、受け入れチャンバー壁内で円周方向に配置されてもよい。インダクタによって誘導加熱されたサセプタ材料は、受け入れチャンバー内に、または固体基体含有ロッド内に提供されうる。
【0042】
サセプタ材料は受け入れチャンバー内に提供されることが好ましい。
【0043】
第一の受け入れチャンバーは第一のチャンバー径を備え、第二の受け入れチャンバーは第二のチャンバー径を備える。第一のチャンバー径および第二のチャンバー径は等しくてもよく、または異なっていてもよい。例えば、第一のチャンバー径は第二のチャンバー径よりも大きくてもよく、またはその逆であってもよい。それに応じて、異なるサイズの固体基体含有ロッドは、第一および第二の受け入れチャンバー内に収容されうる。
【0044】
装置はマウスピースを備えることができ、これは装置ハウジングに取り外し可能に接続可能でありうる。マウスピースが取り外された位置において、受け入れチャンバーへのアクセスが提供される。装置ハウジングに取り付けられた時、マウスピースは閉位置にあって、受け入れチャンバーはマウスピースによって閉じられていて、また受け入れチャンバー内に収容された固体基体含有ロッドはマウスピースによって覆われている。第一の受け入れチャンバーは受け入れ開口部を備え、また第二の受け入れチャンバーは受け入れ開口部を備える。
【0045】
マウスピースの閉位置において、マウスピースは第一の受け入れチャンバーの第一の受け入れ開口部を覆い、第二の受け入れチャンバーの第二の受け入れ開口部を覆う。
【0046】
マウスピースの開位置において、受け入れチャンバーへのアクセスが提供されるように、マウスピースは装置ハウジングにヒンジ式で接続されうる。
【0047】
装置は、ヒーターを含む受け入れチャンバーを示すインジケータを備えうる。有利なことに、インジケータは、一つの受け入れチャンバーのみがヒーターを備える時に提供される。二つ以上の受け入れチャンバーが提供されている場合、インジケータはヒーターを含むすべての受け入れチャンバーを示すことが好ましい。従って、インジケータは、加熱可能な固体基体含有ロッドが装置内に挿入されることを示しうる。
【0048】
インジケータは、例えば描画インジケータ、印刷インジケータまたは触覚インジケータとしうる。インジケータは、ヒーターを含む受け入れチャンバーの受け入れチャンバー開口部に配置またはその周りに配置された色付きの領域であることが好ましい。
【0049】
装置ハウジングは、第三のまたはさらなる固体基体含有ロッドを受けて収容するための第三のまたはさらなる受け入れチャンバーを含む。第三のまたはさらなる固体基体含有ロッドは、第一および第二の固体基体含有ロッドと同一であってもよく、または異なっていてもよい。第三またはさらなる受け入れチャンバーは、第三またはさらなる固体基体含有ロッドを加熱するためのヒーターを備えてもよい。
【0050】
すべての受け入れチャンバーは、装置ハウジング内で横並びに配置されていることが好ましい。受け入れチャンバーは直線に沿って配置されてもよい。
【0051】
装置は装置の動作を制御するためのコントロールを含んでもよい。特に、コントロールは固体基体含有ロッドの加熱を制御するよう構成されている。例えば、コントロールは受け入れチャンバー内のヒーターへの電源供給を制御する。コントロールはまた、装置の電源の充電状態、受け入れチャンバー内でのロッドの存在または不在、または特定の固体基体含有ロッドの動作モードを制御しうる。
【0052】
特に、コントロールは、装置内のすべての固体基体含有ロッドを作動させるよう構成されている。コントロールは、装置内の一つまたは二つ、好ましくはすべての固体基体含有ロッドを組み合わせて作動させるよう構成されうる。コントロールは、ユーザーの選択に応じて、一つまたは二つの固体基体含有ロッドの加熱プロセスを変化させるように構成されうる。従って、ある時では、一つの固体基体含有ロッドが別のロッドよりも集中的に使用され、別の時では、一つの固体基体含有ロッドが他の固体基体含有ロッドよりも控えめに使用されてもよい。装置には、それぞれの調整入力手段が提供されうる。二つの固体基体含有ロッド、特に二つの同一なロッドは順々に使用されうる。これによって、ユーザー体験は、単一のロッドのみと比較して二倍になりうる。
【0053】
装置は、ユーザーが装置を起動するための起動ボタンを備えうる。
【0054】
一つの固体基体含有ロッドのみが装置内に収容されうる一方で、第一の固体基体含有ロッドは第一の受け入れチャンバー内に配置されていて、第二の固体基体含有ロッドは第二の受け入れチャンバー内に配置されていることが好ましい。さらなる受け入れチャンバーが利用可能であり、さらなる固体基体含有ロッドは、さらなる受け入れチャンバー内に配置されうる。
【0055】
本発明による本明細書に記載のエアロゾル発生装置は、本発明によるエアロゾル発生システムで使用されることが好ましい。
【0056】
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、装置内に収容された一つまたは二つの固体基体含有ロッドを備えたエアロゾル発生システムを示す。
図2図2は、装置内に収容された一つまたは二つの固体基体含有ロッドを備えたエアロゾル発生システムを示す。
図3図3は、装置内に収容された一つまたは二つの固体基体含有ロッドを備えたエアロゾル発生システムを示す。
図4図4は、装置内に収容された一つまたは二つの固体基体含有ロッドを備えたエアロゾル発生システムを示す。
図5図5は、二つの加熱可能な受け入れチャンバーを備えるエアロゾル発生装置の断面を示す。
図6図6は、一つの加熱可能な受け入れチャンバーを備えるエアロゾル発生装置の断面を示す。
図7図7は、加熱可能なおよび非加熱式の受け入れチャンバーに対するインジケータを含むエアロゾル発生装置を示す。
図8図8は、加熱可能なおよび非加熱式の受け入れチャンバーに対するインジケータを含むエアロゾル発生装置を示す。
図9図9は、加熱可能なおよび非加熱式の受け入れチャンバーに対するインジケータを含むエアロゾル発生装置を示す。
図10図10は、加熱可能なおよび非加熱式の受け入れチャンバーに対するインジケータを含むエアロゾル発生装置を示す。
図11図11は、異なるサイズのたばこロッド(図12)を含む二つの異なるサイズの受け入れチャンバー(図11)を有するエアロゾル発生装置を示す。
図12図12は、異なるサイズのたばこロッド(図12)を含む二つの異なるサイズの受け入れチャンバー(図11)を有するエアロゾル発生装置を示す。
図13図13は、ヒンジ付きマウスピースを備える装置を示す。
図14図14は、閉じたマウスピースを備えた装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図において、同一の参照番号が同一または類似の要素に使用されている。
【0059】
図1に示すエアロゾル発生装置は、装置ハウジング1内に横並びに配置された二つの管状の受け入れチャンバー10、11を有する装置ハウジング1を備える。受け入れチャンバー10、11は、図2に示す通り、二つの固体基体含有ロッドを収容するサイズである。固体基体含有ロッドは、受け入れチャンバー10内に完全に収容されないが、図3および図4に示す通り、固体基体含有ロッドは、そこから延びる。固体基体含有ロッド30、31は、ユーザーが受け入れチャンバーから延びるロッドの端で直接吸うことができるように、相互に隣接して配置されている。別の方法として、マウスピース(図示せず)は、固体基体含有ロッド30、31の延びる端を覆うように配置されうる。
【0060】
固体基体含有ロッド30、31は、エアロゾル形成たばこ基体を含むエアロゾル発生たばこロッドであることが好ましい。ロッドは、ルースたばこ、押し出し成形たばこのカットフィラー、または捲縮して集合されて当技術分野で周知のロッドを形成する均質化したたばこシートを含むことが好ましい。
【0061】
固体基体含有ロッド30、31は異なる内容物を含むことが好ましい。第一の固体基体含有ロッド30は、例えば風味のないものでもよく、またはたばこ風味およびニコチンを含んでもよい。第二の固体基体含有ロッド31は、例えば風味剤を含有するがニコチンを含有しないロッドでもよい。風味剤は、例えばメントールなどのたばこ風味とは異なってもよい。
【0062】
装置ハウジングは、装置を起動するための起動ボタン15を備える。別の方法として、または追加的に、装置は呼吸起動式スイッチを備えてもよい。
【0063】
装置ハウジング1は基本的に、平らなシリンダの形態を有する。ハウジング1のサイズは、二つの固体基体含有ロッド30、31が、ハウジング1内で電源16の横に横並びに配置されうるように選択されることが好ましい。図5および図6の断面図に示す通り、装置は電池またはパワーセルなどの電源16と、長方形で示したコントロール17とを備える。
【0064】
図5の断面図において、発熱体6は、受け入れチャンバー10、11の長さの一部分に沿って黒い線として描かれている。それぞれの受け入れチャンバーは、例えばそれぞれの受け入れチャンバー10、11に収容された固体基体含有ロッド30、31を加熱するための発熱体6(例えば、抵抗加熱可能な発熱体)が提供されている。発熱体は、たばこロッド30、31の均質な加熱のために受け入れチャンバーの周囲の周りに延びる。
【0065】
図5および図6において、ロッドはたばこ基体311を含むたばこロッドとして描写されている。二つのロッドのたばこ基体311は、たばこロッドが順々に交互に使用される時、ユーザー体験の延長を可能にするように同一であってもよい。
【0066】
特に、約5.3ミリメートルの直径を有するスリムたばこロッドは、わずかにより大きい断面を有する受け入れチャンバー10、11内で使用されうる。こうしたスリムたばこロッドは、約3~4回のみの吸煙が可能である。二つのたばこロッドを順々に使用することによって、吸煙体験は、従来の紙巻たばこの喫煙の体験に相当する約8回の吸煙を行えるように延長されうる。
【0067】
ロッドの端部分、例えば受け入れチャンバー10、11から延びる部分は、フィルター要素302を備えうる。
【0068】
発熱体は、受け入れチャンバーの長さの少なくとも約半分の長さにわたって延びることが好ましい。図5および図6に示す実施例において、発熱体6は受け入れチャンバーの長さの50パーセントを超える長さにわたって延びる。発熱体は、受け入れチャンバーの実質的に全長にわたって延びてもよい。
【0069】
装置ハウジング1は、ハウジングの底部に空気吸込み口14を備え、ここで気流は装置ハウジング1に入り、次に受け入れチャンバー10、11の底部に入り、たばこロッド内を通過して、ユーザーへ導かれる。
【0070】
図6において、第一の受け入れチャンバー10のみが発熱体6を備える。第一の受け入れチャンバー内のたばこロッド30は、吸入可能なエアロゾルを発生するために加熱される。第二の受け入れチャンバー11内のロッド31は加熱されない。第二のロッドは、通過する気流に混入される風味剤を含むことが好ましい。
【0071】
図7は、例えば図6の断面図に示す通り、一つの加熱可能な受け入れチャンバーのみを有する装置の実施形態を示す。加熱可能な第一の受け入れチャンバー10には、インジケータ100が提供されている。この実施形態において、インジケータは第一の受け入れチャンバー10の受け入れ開口部の周りに印刷または塗装された色付きのリングである。インジケータ100は加熱可能な受け入れチャンバーを示し、加熱される固体基体含有ロッドをユーザーが配置する特定の場所を示す。
【0072】
図8において、固体基体含有ロッド30は、加熱可能な第一の受け入れチャンバーに挿入されている。図9において、固体基体含有ロッド31は、非加熱式の第二の受け入れチャンバーに挿入されている。図10において、固体基体含有ロッド30、31は、消費者体験がたばこ基体などの加熱された固体基体からの物質、および風味付き基体などの非加熱の固体基体からの物質を含みうるように、二つの受け入れチャンバーのそれぞれに挿入されている。
【0073】
図11は、二つの異なるサイズの受け入れチャンバー12、11を備えるエアロゾル発生装置の実施形態を示す。大きめの第一の受け入れチャンバー12は、図12に示す通り、厚めの固体基体含有ロッド32を収容しうる。薄めの固体基体含有ロッド31は第二の受け入れチャンバー11内に配置されている。
【0074】
厚めのロッドは、ニコチンおよびエアロゾル形成のために加熱された受け入れチャンバーで使用されることが好ましく、一方で小さめのロッドは未加熱の風味剤を提供するために使用されることが好ましい。加熱されない基体は、たばこ材料を含有しないロッドでもよい。
【0075】
ただし、両方のチャンバーは加熱されてもよい。こうした実施形態において、小さめのロッドは、大きめのロッドよりも加熱にさらされることがあり、よって蒸気またはニコチンの生成を増大させるために使用されうる。
【0076】
図13および図14において、装置ハウジング1およびマウスピース2を備える装置が示されている。マウスピース2は、図13に示す通り、開位置でハウジング1にヒンジ式に接続されている。ロッド30、31は受け入れチャンバーからわずかに延びる。これによって、マウスピース2内でわずかな空間のみが使用され、それに応じてマウスピースは小さく、かつ空間を節約する方法で構成されうる。一方で、受け入れチャンバーから延びるロッドの部分は、端部分を掴むことによって、使用後にロッドを取り外すのに役立ちうる。
【0077】
マウスピース2は楕円形状を有し、装置ハウジング1とともに3つの側で同一平面上に配置されるよう配置されて位置付けられていることが好ましい。図14のマウスピースは、取り付けられた状態または閉位置で示されている。閉位置において、マウスピース2は受け入れチャンバーの両方の開口部を覆い、また受け入れチャンバー内に収容された両方の固体基体含有ロッド30、31を覆う。
【0078】
明細書において、ヒーターは発熱体を備えるものとして見なされる。ヒーターは一つ以上の発熱体を含みうる。装置内のコントロールは、一つの発熱体または複数の発熱体を個別に加熱できるように構成されうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-9】
図10
図11
図12
図13
図14