(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】緩衝器のための電子的に制御される弁
(51)【国際特許分類】
F16F 9/46 20060101AFI20220905BHJP
F16F 9/34 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
F16F9/46
F16F9/34
(21)【出願番号】P 2019566346
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2018064515
(87)【国際公開番号】W WO2018220200
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-12
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509343149
【氏名又は名称】オーリンス・レイシング・エービー
【氏名又は名称原語表記】OEHLINS RACING AB
【住所又は居所原語表記】Box 722, 194 27 Upplands Vaesby, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リンドブラッド、ガイル
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149717(JP,A)
【文献】特開2010-084923(JP,A)
【文献】特開2008-039065(JP,A)
【文献】特表2011-526988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
B62K 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝器(2)のための弁(1)であって、
前記弁(1)は、
前記緩衝器(2)の第1のチャンバ(4)の中に少なくとも部分的に挿入可能なハウジング(3)を備え、
前記ハウジング(3)は、前記第1のチャンバ(4)の中心の長手方向軸(6)に沿って延びるように構成されたピストンホルダ(5)を形成する部分を備え、
ピストン(7)は、前記ピストンホルダ(5)に設けられ、前記第1のチャンバ(4)の内容積を、第2のチャンバ(8)と第3のチャンバ(9)とに分離するように構成され、
前記ピストン(7)は、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)とを流体接続して、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)の間で一次流体流れを可能にする一次流体チャネル(10)を備え、
前記ピストンホルダ(5)は、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)とを流体接続して、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)の間で、二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを提供する前記二次流体チャネル(11)を備え、
前記弁(1)は、
流体入口(15)と流体出口(16)とを有する内側流体チャネル(14)を備えるスプール(12)をさらに備え、前記流体入口はスプールの端部を通って設けられ、前記スプールは、前記スプール(12)が、前記二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを可能にする開放位置と、前記スプール(12)が、前記二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを少なくとも部分的に制限する制限位置との間で移動可能
であり、
前記弁(1)は、その開放位置と制限位置の間で、前記スプール(12)を移動するように構成された、電気的に制御される作動器(13)をさらに備え、
前記スプール(12)は、前記開放位置と閉じた位置の間を前後に移動するように、前記ピストンホルダ(5)の前記二次流体チャネル(11)の対応する部分においてガイドされ、
前記ピストンホルダ(5)は、前記第2のチャンバ(8)から、前記二次流体チャネル(11)の中への流体入口(18)を提供する1つまたは複数の半径方向ポートを備え、そして
前記スプール(12)が前記開放位置から前記制限位置へと移動すると、前記スプール(12)の外側面で、前記二次流体チャネル(11)の前記流体入口(18)を徐々に塞ぐことにより、また、前記スプール(12)が前記制限位置から前記開放位置へと移動すると、前記二次流体チャネル(11)の前記流体入口(18)の閉塞を徐々に解除することにより、前記スプール(12)は、前記ピストンホルダ(5)の前記流体入口(18)における前記二次流体流れの絞りを調節するように構成される、
弁(1)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の半径方向ポートは、前記ピストンホルダ(5)の端部分(17)に設けられ、そして
前記スプール(12)は、使用時に、前記二次流体流れが、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)を通って送られるように構成される、請求項1に記載の弁(1)。
【請求項3】
前記ピストンホルダ(5)の端部は閉じられる、請求項2に記載の弁(1)。
【請求項4】
前記ピストンホルダ(5)の前記端部は、実質的に円錐形部分を備えるプラグにより閉じられ、前記円錐形部分の先端は、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)の中に突き出ている、請求項3に記載の弁(1)。
【請求項5】
前記円錐形部分のベースは、前記ピストンホルダ(5)の内径よりも小さな直径を有する、請求項4に記載の弁(1)。
【請求項6】
前記スプール(12)の前記流体入口の開口部は、前記プラグの前記円錐形部分に対して実質的に平行な面取り部分を備える、請求項4または5記載の弁(1)。
【請求項7】
圧力補償チャンバ(19)が、前記ハウジング(3)内に設けられ、前記圧力補償チャンバ(19)は、補助的な流体チャネル(20)により、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)に流体接続される、請求項2から
6のいずれか一項に記載の弁(1)。
【請求項8】
前記補助的な流体チャネル(20)は、前記スプール(12)を通って設けられる、請求項
7に記載の弁(1)。
【請求項9】
前記作動器(13)は、ステッピングモータである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の弁(1)。
【請求項10】
前記スプール(12)は、シャフト(21)により前記作動器(13)に接続され、圧力補償チャンバ(19)は、前記シャフト(21)の周囲に設けられる、請求項1から
9のいずれか一項に記載の弁(1)。
【請求項11】
前記スプール(12)および前記シャフト(21)は円筒形であり、前記シャフト(21)の直径は、前記スプール(12)の直径よりも小さい、請求項
10に記載の弁(1)。
【請求項12】
前記スプール(12)および/または前記シャフト(21)は、前記圧力補償チャンバ(19)において作用する流体圧力が、前記スプール(12)を、前記開放位置から離れて前記閉じた位置に向けて強制するように構成される、請求項
10または11に記載の弁(1)。
【請求項13】
前記スプール(12)および/または前記シャフト(21)は、前記スプール(12)に対して作用する流体圧力が、前記スプール(12)を、実質的に、いずれの方向にも移動するように強制しないバランスのとれた力を生成する、請求項
10から12のいずれか一項に記載の弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの最近の緩衝器は、弁の処理量を調節することにより、緩衝器の減衰特性を動的に調整するための電子的に制御される弁を備える。
【0002】
いくつかの知られた電気的に制御可能な弁は、弁を通る流体の流れを制御するニードル弁を備える。より大きな流体圧力は、ニードルにかかる力を増加し、それは、次いで、弁を開閉するために、より強力な作動器に、ニードルの動作を制御させる必要を生ずる。
【0003】
例えば、減衰器の寸法を低減し、コストを節約するために、小さな弁を提供することが概して有利である。
【0004】
従来技術の弁は、WO2010/002314A1に記載されている。この弁は、作動器によって制御されるニードル弁を備える。この弁の欠点は、作動器が遅いことであり、それが、ニードルの位置調整を遅くする。別の従来技術のデバイスは、米国特許出願公開第2017/0082169号に記載されている。
【0005】
したがって、信号を制御して、弁を備える緩衝器の減衰特性に迅速に適応するように迅速に反応する電気的に制御される弁が求められている。さらに、より小型であり、費用のかからない弁が求められている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の第1の態様は、従来技術の弁の前述の欠点を軽減する、緩衝器に対する改良された弁に関する。弁は、緩衝器の第1のチャンバの中に挿入可能なハウジングを備える。ハウジングは、第1のチャンバの中心の長手方向軸に沿って延びるように構成されたピストンホルダを形成する部分を備える。ピストンが、ピストンホルダ上に設けられ、第1のチャンバの内容積を、第2のチャンバと第3のチャンバとに分離するように構成される。ピストンは、第2のチャンバと第3のチャンバとを流体接続する一次流体チャネルを備え、第2のチャンバと第3のチャンバの間で一次流体流れを可能にする。ピストンホルダは、第2のチャンバおよび第3のチャンバを流体接続する二次流体チャネルを備え、前記流体チャネルを通して、第2のチャンバと第3のチャンバの間の二次流体流れを提供する。弁は、スプールが二次流体チャネルを通る二次流体流れを可能にする開放位置と、スプールが二次流体チャネルを通る二次流体流れを少なくとも部分的に制限する制限位置の間で移動可能なスプールをさらに備える。弁は、スプールを、その開放位置と制限位置の間で移動させるように構成された電気的に制御される作動器をさらに備える。スプールは、開放位置と閉じた位置の間で前後に移動するように、ピストンホルダの二次流体チャネルの対応する部分でガイドされる。ピストンホルダは、第2のチャンバから二次流体チャネルの中への流体入口を提供する1つまたは複数の半径方向ポートを備える。スプールは、スプールが開放位置から制限位置へと移動すると、スプールの外側面で、二次流体チャネルの流体入口を徐々に塞ぐことにより、またスプールが制限位置から開放位置へと移動すると、流体チャネルの流体入口の閉塞を徐々に解除することにより、ピストンホルダの流体入口における二次流体流れの絞りを調節するように構成される。
【0007】
このような弁において、減衰流体は、ピストンホルダの中へと半径方向に送られ、それにより、スプールが、スプール弁原理に従って、流体流れを遮断することを可能にする。出口においてではなく、スプールを用いて主としてピストンホルダの入口で、第2の流体流れの絞りを調節することにより、ピストンホルダおよびスプール内に含まれる流体の圧力は、第1のチャンバの第2のチャンバ内の流体圧力とは独立して実質的に一定になる。スプールの開口部における入口の閉塞を解除すると、圧力低下は、主として、入口に隣接して生ずる。緩衝器のフェージングが起きにくくするために、圧力低下は、短い流路で生ずるべきである。
【0008】
1つまたは複数の半径方向ポートは、いくつかの実施形態において、ピストンホルダの端部分に設けられ得るが、スプールは、流体入口と流体出口とを有する内側流体チャネルを備え、スプールは、二次流体流れが、使用時に、スプールの内側流体チャネルを通って送られるように構成される。弁のこのような構成は、通常、圧縮ストローク中に、ピストンホルダの遠位端部分から内側に、ピストンホルダのベースに向けて導かれる流体流れに対して有利である。
【0009】
ピストンホルダの端部は、閉じられ得る。ピストンホルダの閉じられた端部は、ピストンホルダの半径方向入口ポートを通る流体流れを促進する。
【0010】
具体的には、ピストンホルダの端部は、実質的に円錐形部分を備えるプラグによって閉じられ得る。円錐形部分の先端は、通常、スプールの流体チャネルの中に突き出ている。プラグの円錐形部分は、弁に入る流体をガイドし、それにより、乱流、および弁を通る流れ抵抗を低下する。プラグの一部として円錐形部分を設けることにより、内部円錐を備えるピストンホルダの生産が簡単化される。さらにこの設計は、必要に応じて、様々な弁/スプールに対して、異なる形状の円錐を備えたプラグを用いるモジュール式の設計を提供する。
【0011】
円錐形部分のベースは、ピストンホルダの内径よりも小さい直径を有することができる。このような円錐形部分は、流体が、ピストンホルダの中に実質的に半径方向に入るのを可能にし、制御された方法で、より大きな距離にわたってピストンホルダに沿って転送し、それにより、流れ抵抗を低減し、弁の反応速度を向上させる。
【0012】
スプールの流体入口開放部は、プラグの円錐形部分に対して実質的に平行な面取り部分を備えることができる。面取り部分は、スプールのより鋭利な遠位端を提供し、また減衰流体流れのより明確な制限を提供する。
【0013】
スプールの入口は、スプールの端部を通って提供され得る。スプールの壁を通る半径方向孔として入口を設けるのではなく、スプールの端部を通してスプールの入口を設ける場合、流体流れおよび乱流は、圧力低下が入口付近で広がるので、主として、ピストンホルダの入口の形状、位置、および数を変更することによって調整され得る。
【0014】
圧力補償チャンバが、ハウジング内に設けられ得るが、前記圧力補償チャンバは、補助的な流体チャネルにより、スプールの内側流体チャネルに流体接続される。
【0015】
圧力補償チャンバは、スプールの圧力バランスをとることを可能にし、スプールの動作を実質的に圧力に無関係にする。圧力バランスのとれたスプールは、作動器が、スプールに対して作用する圧力を克服するように強力に動作する必要がなくなるので、より小型の作動器および/またはより高速の作動器の使用を可能にする。
【0016】
補助的な流体チャネルが、スプールを通して提供され得る。スプールを通る補助的な流体チャネルを提供することにより、ハウジング内に流体チャネルを機械加工する必要がなく、したがって、1つのタイプのハウジングに対して、異なるスプール構成が使用され得る。
【0017】
代替的に、補助的な流体チャネルは、ピストンホルダの壁に設けられ得る。ピストンホルダの壁に補助的な流体チャネルを設けることにより、スプールの製作が簡単化される。
【0018】
作動器は、ステッピングモータ(stepper motor)とすることができる。ステッピングモータは、スプールの位置を制御できるようにするために、スプールにソレノイドの力に抗してバイアスを加える必要のあるソレノイドを用いるのではなく、さらなる部品を使用せずに、スプールの位置の制御を可能にする。
【0019】
スプールは、シャフトにより作動器に接続され得るが、その場合、圧力補償チャンバが、シャフトの周りに設けられる。圧力補償チャンバをシャフトの周りに設けることは、内側のチャネル/穴を機械加工するのが簡単な、一体化された、簡単で強固なピストンホルダの使用を可能にし、一方、必要になる何らかの余分なバランス力を、シャフトの囲む部分に割り振ることができ、それは、いずれにせよ、ハウジングの作動器側からの機械加工が容易に利用可能になる。したがって、弁の設計は、簡単であり、強固なものとなる。
【0020】
スプールおよびシャフトは、円筒形とすることができ、シャフトの直径は、スプールの直径よりも小さい。シャフトの周りの空間は、ピストンホルダの中心穴の領域内で、圧力補償に適したスプールの表面を露出する。それにより、弁を製作するために必要な機械加工工程は少なくなるが、スプールならびに弁の全体的な寸法および重量は、小型のまま維持され得る。
【0021】
スプールおよび/またはシャフトは、圧力補償チャンバにおいて作用する流体圧力が、スプールを、開放位置から離れて閉じた位置へと強制するように構成され得る。圧力補償チャンバにおける流体からの圧力は、述べられた方向にスプールを押すように作用する力成分を有するように加えられたスプールの表面に作用し、それにより、スプールを、閉じた位置から開放位置の方向に内側に押すようにスプールに作用する弁の他の部分の流体圧力によって生ずる力を完全に、または部分的にバランスさせる。
【0022】
スプールおよび/またはシャフトは、スプールに作用する流体圧力が、スプールを、実質的にいずれの方向にも移動させないバランスのとれた力を生成するように構成され得る。バランスのとれたスプールは、スプールの位置を制御するために必要なパワーがより少ないので、より小型の、および/または高速のステッピングモータの使用を可能にする。例えば、シャフトの直径は、シャフト直径を増加させることにより、スプールに対する、圧力補償チャンバからの正味の力を減少させるために変えることができ、その逆も同様である。
【0023】
圧力補償チャンバを、作動器を含むハウジングの一部から隔離するために、シャフトとハウジングの間に、封止要素が提供され得る。封止要素は、ハウジングの表面により、圧力補償チャンバの信頼性のある閉鎖を可能にし、それは、次いで、圧力補償チャンバにおける流体圧力により生成されたスプールに対する正味の力を望ましい方向に作用させることを可能にする。圧力補償チャンバが、スプールそれ自体に含まれるチャンバであるとすると、スプールに作用する正味の力はゼロになるはずである。
【0024】
ピストンホルダの出口開口部は、ピストンホルダの入口開放部よりも大きい寸法のものであり得る。このような構成は、弁を通る流体流れの制限を提供するが、それは、主として、ピストンホルダの入口であり、ピストンホルダの出口ではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】緩衝器の減衰特性を制御するための、緩衝器の上側部分に電気コネクタを備えて示された、自動二輪車などの乗物の前フォークに対する緩衝器の斜視図。
【
図2】
図1でも示された緩衝器の横断面図。緩衝器は、本発明の第1の実施形態による弁を備える。
【
図3】
図1および
図2でも示された緩衝器の第1の部分Aの拡大された詳細図。
【
図4】
図1、
図2、および
図3でも示された緩衝器の第2の部分Bの拡大された詳細図。
【
図5】スプールの内側流体チャネルの出口の、およびピストンホルダの二次流路の出口の拡大された細部を示す平面P1における横断面図。
【
図6】本発明による2つの弁と、実際には、それぞれの各弁に接続されているが、各弁から取り外された、例示用に示された各電気的コネクタとを備えて示された、自動二輪車などの乗物の後方スイングアームに対する緩衝器の斜視図。
【
図7】
図1~
図4の緩衝器の第1のチャンバ内に嵌合された、本発明の第1の実施形態による弁の一部の横断面図。作動器は、図の範囲の外側にあるので示されていないが、作動器は、
図2および
図3の拡大部分Aで示されていることに留意されたい。
【
図8】
図6の後方緩衝器の第1のチャンバ内に嵌合された、本発明の第2の実施形態による弁の横断面図。作動器は、
図8の左側部分で、ピストンホルダに通常取り付けられるピストンなしに示されていることに留意されたい。しかし、ピストンは、
図7のものと同じ基本設計および機能を有する。
【
図9】本発明の第3の実施形態による弁を備える減衰器の側面図。
【
図11】本発明の第3の実施形態による弁を示す図。図示のように、二次流体チャネルの入口は、減衰流体のリバウンド流れを制御するために、ピストンホルダの内側部分に設けられる。この実施形態では、二次流体流れは、スプールを通して送られないが、ピストンホルダの二次流体チャネルを通して直接送られる。
【
図12】スプールに作用する流体の力をバランスさせるための圧力補償システムをさらに備える、
図11で示された弁の代替的な実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の参照数字は、本記述および特許請求の範囲の全体を通して使用される。参照数字1は、概して、本発明の弁を指すが、1aおよび1bは、2つの開示された実施形態のそれぞれ各1つを直接指す。
【0027】
【0028】
開示される実施形態は、本発明のいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、以下でより詳細に述べられる。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。そうではなくて、これらの実施形態は、この開示が、十分であり、完全なものであるように、および本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。本記述の全体を通して、同様の数字は同様の要素を示す。
【0029】
本発明の第1の実施形態による弁を備える緩衝器2aが、
図1~
図4、および
図6で示される。本発明の第2の実施形態による弁は、
図5および
図7で示される。
【0030】
図1~
図4の緩衝器2aは、通常、自動二輪車の前輪の動きを減衰させるために使用されるが、他の使用も可能である。減衰器は、緩衝器の圧縮およびリバウンドストローク中に、減衰流体を、減衰器内の流体流れを制御する1つまたは複数の弁を通って送るために、知られた複筒式設計を使用する。本発明の弁は、
図4および
図6でより詳細に示される。
【0031】
弁1は、緩衝器2の第1のチャンバ4の中に挿入されるハウジング3を備える。
【0032】
第1のチャンバは、いくつかの実施形態では、緩衝器の動作チャンバに対応することができる。他の実施形態では、第1のチャンバは、
図6で示された緩衝器のハウジングの上側部分に形成される空間など、緩衝器の動作チャンバに流体接続された補助的なチャンバに対応することができる。他の実施形態では、第1のチャンバは、使用時に、減衰流体が送られて通る、緩衝器の何らかの他のチャンバとすることができる。
【0033】
ハウジング3は、第1のチャンバ4の中心長手方向軸6に沿って延びるように構成されたピストンホルダ5を形成する部分を備える。ピストン7は、ピストンホルダ5上に設けられ、第1のチャンバ4の内部容積を、第2のチャンバ8と、第3のチャンバ9とに分離するように構成される。ピストン7は、第2のチャンバ8と第3のチャンバ9とを流体接続する一次流体チャネル10を備え、第2のチャンバ8と第3のチャンバ9の間で一次流体流れ22を可能にする。ピストンホルダ5は、第2のチャンバ8と第3のチャンバ9とを流体接続する二次流体チャネル11を備え、前記二次流体チャネル11を通る第2のチャンバ8と第3のチャンバ9の間の二次流体流れ23を提供する。弁1は、スプール12が、二次流体チャネル11を通る二次流体流れを可能にする開放位置と、スプール12が、二次流体チャネル11を通る二次流体流れを少なくとも部分的に制限する制限位置との間で移動可能なスプール12をさらに備える。
【0034】
一次流体流れは、ピストンの流体チャネルを確定する孔の寸法および数など、ピストン7の流体抵抗特性によって制御され、孔を覆う1つまたは複数のシムが任意選択で設けられる。第1の実施形態の開示される弁1aは、ピストンの周囲に分散されるいくつかの孔と、孔を覆うシムスタックとを備える。同様のピストン構成は、本発明の弁の他の実施形態に対しても提供される。
【0035】
弁を通る減衰流体の流れをさらに制御するために、二次流体流れは、前記開放位置と制限位置の間で、スプール12を動作させることにより、調整することができる。開放位置では、弁は、より大きな二次流体流れが可能になるように、完全に開くことが好ましい。スプールの制限位置では、二次流体流れの流路がスプールによって低減され、したがって、わずかな流体流れだけが可能になる。いくつかの実施形態では、その制限位置にあるスプールは、二次流体流れを完全に阻止する。
【0036】
スプール12の動作を制御するために、弁1は、電気的に制御される作動器13を備える。
図1~
図7の実施形態では、作動器は、
図3で示されるように減衰器の端部分Aに設けられる。作動器13の端部分に作動器13を設けることにより、電気ケーブルが、作動器に達するために、減衰器を通って奥に送られる必要がない。他の実施形態では、作動器は減衰器のさらに中へと配置され、ケーブルが減衰器を通って作動器に送られることもあり得る。
【0037】
作動器13は、スプール12を、その開放位置とその制限位置の間で移動させるように構成される。スプール12は、通常、様々な中間位置の間で前後に動作するように、開放位置と閉じた位置の間を移動するようにピストンホルダ5の二次流体チャネル11の対応する部分においてガイドされるが、それは、弁の流体抵抗を変化させるために、作動器により制御される。
図1~
図7の実施形態では、ピストンホルダは、通常、回転させることにより製作される実質的に円筒形状を有する。さらに、二次流体チャネルは、穴あけによって作られ、したがって、スプールの円筒形の外側面に一致する孔形状を有する。他の実施形態では、そうではなくて、二次流体チャネルは、楕円形の横断面を有するものなど、何らかの他の横断面形状を有することができ、その場合、スプールは、楕円形の横断面を備える対応する形状を有することになる。いずれの場合であっても、スプールは、その開放位置と制限位置の間で移動可能である必要があり、また、二次流体チャネルを囲んでいる内側面に対して封止する必要があり、したがって、二次流体流れは、スプールとピストンホルダとの中間においてスプールの周囲でそれを通って漏れるのではなく、スプールを通って送られる。
【0038】
したがって、スプール12は、流体入口15と流体出口16とを有する内側流体チャネル14を備える。スプール12は、使用時に、二次流体流れが、スプール12の内側流体チャネル14を通って送られるように構成される。ピストンホルダ5の端部分17は、第2のチャンバ8から、流体チャネル11の中へと流体入口18を提供する1つまたは複数の半径方向ポートを備える。スプール12は、スプール12が、開放位置から制限位置へと移動すると、スプール12の円筒形の、またはその他の形状をした外側面で、二次流体チャネル11の流体入口18を徐々に塞ぐことにより、および、スプール12が、制限位置から開放位置に向けて移動すると、流体チャネル11の流体入口18の閉塞を徐々に解除することにより、ピストンホルダ5の流体入口18における二次流体流れの絞りを調節するように構成される。
図5で示されるように、スプールの内側流体チャネルの出口は、ピストンホルダの二次流路の出口を形成する6個の孔により形成された連続的な空間により囲まれている。流体は、スプールの内側チャネルと、出口に形成された連続的な空間との間を流れることができるので、スプールは、出口を通る流体流れに悪影響を与えることなく、ハウジングに対して任意に回転され得る。いくつかの実施形態の場合、スプールは、ハウジングに対して回転することができるが、他の実施形態では、スプールは、直接的に、または間接的に、ハウジングに対する回転が阻止されることに留意されたい。設計選択は、作動器の選択に大きく依存している。設計に影響する主な考慮事項は、キャプティブステッピングモータ(captive stepper moter)が使用されるか、それとも非キャプティブステッピングモータが使用されるかである。例えば、非キャプティブステッピングモータが使用される実施形態では、スプールは、ステッピングモータのトルクを、スプールにその開放位置と制限位置の間で供給できるようにするために、回転が直接または間接的に阻止されなければならない。スプールとハウジングの間の相対的な回転を阻止するための一手段は、スプールとハウジングの相互トラックにボールを設けることである。
【0039】
図6~
図7で最もよく示されるように、ピストンホルダ5の端部は、プラグにより閉じられている。プラグは、実質的に円錐形部分を備え、円錐形部分の先端が、スプール12の流体チャネル11の中に突き出ている。ピストンホルダの閉じた端部は、ピストンホルダの軸方向開口部を通る流体流れも可能にするはずの開放端を有するピストンホルダとは対照的に、流体流れをピストンホルダの半径方向ポートを通して送る。
【0040】
代替的に、閉じた端部は、端部にプラグを差し込む必要がないように、ハウジングの作動器端部から、ハウジングを部分的にだけ通る二次流体チャネルを穴あけすることによるなど、ピストンホルダの残部と一体に形成され得る。プラグの円錐形部分は、したがって、代替的に、例えば、フライス加工により、プラグの一部としてではなく、ハウジングの一体部分として機械加工され得る。しかし、フライス加工は適切なものではなく、ハウジングの作動器端部から、細長いピストンホルダの中まで奥に入れることができない可能性もある。
【0041】
ピストンホルダの閉じた端部を提供するためにプラグを用いることにより、プラグの円錐形部分が、回転させることにより作られ得るので、円錐形部分の製作が容易に行われる。したがって、プラグの一部として円錐形部分を提供することにより、内部円錐を備えるピストンホルダの生産が、簡単で費用がかからなくなる。さらに、この設計は、様々な弁に対して、または弁の意図された特性に対して、個別的に、異なる形状の円錐を備えるプラグを用いるモジュラ式設計を提供する。
【0042】
図1~
図7の実施形態では、円錐形部分のベースは、ピストンホルダの内径よりも小さい直径を有する。このような円錐は、流体を、ピストンホルダの中に実質的に半径方向に入るようにし、制御された方法で、大きな距離にわたって、ピストンホルダに沿って転送することを可能にし、それにより、流れ抵抗を低下させ、弁の反応速度を向上させる。他の実施形態では、円錐は、ピストンホルダの内径と同じ直径を有することもできる。
【0043】
スプール12の流体入口開口部は、プラグの円錐形部分に対して実質的に平行な面取り部分を備える。面取り部分は、スプールの鋭利な遠位縁部を提供し、それは、次いで、入口により増加した乱流をスプールにより調整されるようにする。スプール12の入口15は、スプールの長手方向軸に沿って実質的に中心に、スプール12の端部を介して提供される。
【0044】
スプールの端部を通るスプールの入口を設ける場合、半径方向孔など、スプールの側壁を通る孔として入口を設けるのとは反対に、流体流れおよび乱流は、主として、ピストンホルダの入口の形状、位置、および数を変更することにより調整され得る。スプールの入口の周囲に広がる圧力低下、および流体流れの減衰は、スプールの入口を囲む連続する縁部分により容易に遮断され得る。したがって、スプールの長手方向軸回りの、ピストンロッドの半径方向入口とスプールの間で、回転方向の位置合せは必要ではなく、それは、スプールの内側チャネル14の入口が、スプールの長手方向軸に関して対称的であり、それにより、ピストンホルダの半径方向ポート/入口の増加した位置決めの自由度を提供するからである。
【0045】
図6および
図7で最もよく示されるように、圧力補償チャンバ19が、ハウジング3内に設けられ、圧力補償チャンバ19は、本明細書で、補助的な流体チャネル20と呼ばれる流体チャネルにより、スプール12の内側流体チャネル14に流体接続される。圧力補償チャンバは、スプールの圧力バランスをとることを可能にし、スプールの動作を実質的に圧力に無関係にする。圧力バランスのとれたスプールは、作動器が、スプールに対して作用する圧力に打ち勝つように強力に働く必要がなくなるので、より小型の作動器、またはより高速な作動器の使用を可能にする。圧力補償チャンバが何も使用されない場合、スプールの内側の圧力の増加は、スプールに作用する正味の力を増加させて、スプールをその開放位置の方向に強制することになる。圧力補償チャンバを用いると、圧力補償チャンバの内側の流体は、二次流体チャネルと接触する流体と同じ圧力を有することになり、したがって、二次流体チャネルに作用する圧力の正味の力は、反対方向に作用する力により補償され得る。したがって、圧力補償チャンバは、スプールと接触する流体の合計の正味の力を、圧力補償チャンバの寸法および形状を変えることによって調整され得るようにする。当業者であれば理解されるように、圧力補償チャンバおよび補助的な流体チャネルの特有の構成および位置決めは、本発明の範囲内で変更され得る。
【0046】
補助的な流体チャネル20は、スプール12を通って設けられる。補助的な流体チャネルを、スプールを通って設けることにより、ハウジング内に流体チャネルを機械加工する必要がなくなり、したがって、ハウジングの1つのタイプに対して、異なるスプール構成が使用され得る。代替的に、補助的な流体チャネル20は、他の実施形態では、例えば、スプールの長さに沿って延びる凹部として、ピストンホルダ5の壁に設けることもでき、したがって、補助的な流体チャネルは、スプールの外側と、スプールの内側面における凹部との間に形成される。
【0047】
補助的な流体チャネルを、ピストンホルダ5の壁に設けることにより、スプール12の製作は簡単化される。示された実施形態では、作動器はステッピングモータである。例えば、ばねを用いるなど、スプールの位置の制御を可能にするために、スプールに、ソレノイドの力に抗するバイアスが加えられることを必要とするソレノイドを用いるのとは対照的に、ステッピングモータは、さらなる部品を用いずに、スプールの位置の制御を可能にする。そうではあるが、代替的に、作動器は、ステッピングモータに代えてソレノイドとすることもできる。
【0048】
スプール12は、シャフト21によって作動器13に接続される。シャフトは、スプール12の一体部分であるが、他の実施形態では、ねじ山、圧入嵌め、パンチング、または溶接などの任意の適切な手段により、スプール12に接合される別の部品を含むことができる。
図1~
図4および
図6の第1の実施形態では、スプール12は、長いシャフトにより作動器に接続される。圧力補償チャンバ19は、シャフト21の周りに設けられる。開示された実施形態では、圧力補償チャンバは、同じ穴であるが、二次流体チャネルも形成するピストンホルダの円筒形の内側面の間に形成される空間に形成される。圧力補償チャンバからの大きなバランス力が必要になる他の実施形態では、より大きな直径の空間が、二次流体チャネルを形成する主となる穴の外側に形成され得る。
【0049】
シャフトの周囲に圧力補償チャンバを設けることは、内側のチャネル/穴を機械加工するのが簡単な、一体化された、簡単で強固なピストンホルダの使用を可能にする。スプール12および作動器を接続するシャフトは、スプール12よりも小さな直径を有するので、スプール12の圧力補償チャンバにおける流体圧力の正味の力は、作動器から離れる方向にスプール12を強制するように加えられる。圧力補償チャンバにおける減衰流体からの圧力は、述べられた方向にスプールを押すように作用する力成分を有するように加えられたスプールの表面に作用し、それにより、スプールを、閉じた位置から開放位置への方向に内側に押すようにスプールに作用する弁の他の部分の流体圧力により生ずる力を完全に、または部分的にバランスさせる。
【0050】
したがって、スプール12およびシャフト21は、スプール12に作用する流体圧力が、実質的に、スプール12をいずれかの方向に移動させるように強制しないバランスのとれた力を生成する。バランスのとれたスプールは、スプールの位置を制御するのに、力をあまり必要としないので、小型で高速な作動器/ステッピングモータの使用を可能にする。
【0051】
Oリングである封止要素が、いくつかの実施形態では、作動器13を含むハウジング3の一部など、ハウジングの他の部分から、圧力補償チャンバ19を隔離させるために、シャフト21とハウジング3の間に設けられる。
【0052】
さらに、ピストンホルダ5の出口開口部は、スプール12の出口開口部よりも大きな寸法であり、したがって、弁を通る流体流れは、主として、ピストンホルダの入口で制限され、ピストンホルダの出口では制限されない。
【0053】
主として、スプールの入口で弁を通る流体流れを制限することにより、弁の挙動は、一貫性があり、予測可能である。
【0054】
有利さでは劣るが、代替の実施形態で、弁は、流体流れが、二次流体チャネルの入口および出口で均等に、または主として、二次流体チャネルの出口で制限されるように構成され得る。
【0055】
自動二輪車などの乗物の後方スイングアームに対する
図6の緩衝器2bは、
図7で示された本発明の第2の実施形態による2つの弁1bを備える。弁1bは、上記で述べられ、
図1~
図5、および
図8で示された第1の実施形態の弁1/1aと同じように機能する。差は、作動器とスプールとを接続する短いシャフトである。
図8において、弁1bは、ピストンホルダ5上に取り付けられるピストン7を用いずに示されていることにも留意されたい。しかし、ピストン7は、本発明のこの第2の実施形態においても実際に設けられ、したがって、一次流体流れ22も提供される。さらなる差は、ハウジングの形状であり、ハウジングは、第2の実施形態では、作動器も収容するが、
図1~
図5、および
図7の第1の実施形態では、二次流体チャネルおよびスプールなど、本発明の他の機構を収容するだけである。
【0056】
本発明の第3の実施形態による弁が、
図9~
図11で示され、
図12における代替の実施形態は、圧力補償チャンバ19を、スプール12を通る二次流体チャネル11に接続する補助的な流体チャネル20を有する圧力補償システムを備える。本発明の第3の実施形態による弁1cは、上記で述べた第1の2つの実施形態1a、1bの弁と同様に機能するが、反対方向の減衰流体流れに適応される。したがって、二次流体流れは、他の2つの実施形態と比較して、ピストンの反対側において制限される。スプールは、スプールの端部分において二次流体流れを制限し、二次流体流れの制限を解除するためにその端部分を後退させ、次いで、二次流体流れは、スプールを通って送られずに、ピストンホルダの二次流体チャネルを通って直接流れる。
図11で示されるように、スプールの制限する端部は、円錐形部分を備える。円錐形部分は、二次流体流れ23を二次流体チャネル11の中へとガイドする。加えて、この第3の実施形態の弁構成はまた、両方向への流れに使用される可能性を有する。したがって、それは、前フォークにおけるリバウンドの減衰に使用され得るが、前フォークの圧縮の減衰にも使用され、また緩衝器におけるリバウンドおよび圧縮の減衰に使用され得る。
【0057】
本発明の上記で述べた実施形態において、緩衝器が動作するとき、すなわち、例えば、自動二輪車の車輪に接続された主ピストンが、使用時に、緩衝器の動作チャンバを通って移動されたとき、弁のピストンは、第1のチャンバ内で静止している。主ピストンの衝撃運動は、第1のチャンバ、例えば、動作チャンバ内の圧力を増加させ、次いで、減衰流体を、緩衝器の本発明の1つまたは複数の弁を通るように強制するが、弁のピストンは、第1のチャンバに対して静止したままである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 緩衝器(2)のための弁(1)であって、
前記弁(1)は、
前記緩衝器(2)の第1のチャンバ(4)の中に少なくとも部分的に挿入可能なハウジング(3)を備え、
前記ハウジング(3)は、前記第1のチャンバ(4)の中心の長手方向軸(6)に沿って延びるように構成されたピストンホルダ(5)を形成する部分を備え、
ピストン(7)は、前記ピストンホルダ(5)に設けられ、前記第1のチャンバ(4)の内容積を、第2のチャンバ(8)と第3のチャンバ(9)とに分離するように構成され、
前記ピストン(7)は、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)とを流体接続して、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)の間で一次流体流れを可能にする一次流体チャネル(10)を備え、
前記ピストンホルダ(5)は、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)とを流体接続して、前記第2のチャンバ(8)と前記第3のチャンバ(9)の間で、二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを提供する前記二次流体チャネル(11)を備え、
前記弁(1)は、スプール(12)が、前記二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを可能にする開放位置と、前記スプール(12)が、前記二次流体チャネル(11)を通る二次流体流れを少なくとも部分的に制限する制限位置との間で移動可能な前記スプール(12)をさらに備え、
前記弁(1)は、その開放位置と制限位置の間で、前記スプール(12)を移動するように構成された、電気的に制御される作動器(13)をさらに備え、
前記スプール(12)は、前記開放位置と閉じた位置の間を前後に移動するように、前記ピストンホルダ(5)の前記二次流体チャネル(11)の対応する部分においてガイドされ、
前記ピストンホルダ(5)は、前記第2のチャンバ(8)から、前記二次流体チャネル(11)の中への流体入口(18)を提供する1つまたは複数の半径方向ポートを備え、そして
前記スプール(12)が前記開放位置から前記制限位置へと移動すると、前記スプール(12)の外側面で、前記二次流体チャネル(11)の前記流体入口(18)を徐々に塞ぐことにより、また、前記スプール(12)が前記制限位置から前記開放位置へと移動すると、前記二次流体チャネル(11)の前記流体入口(18)の閉塞を徐々に解除することにより、前記スプール(12)は、前記ピストンホルダ(5)の前記流体入口(18)における前記二次流体流れの絞りを調節するように構成される、
弁(1)。
[2] 前記1つまたは複数の半径方向ポートは、前記ピストンホルダ(5)の端部分(17)に設けられ、そして
前記スプール(12)は、流体入口(15)と流体出口(16)とを有する内側流体チャネル(14)を備え、前記スプール(12)は、使用時に、前記二次流体流れが、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)を通って送られるように構成される、[1]に記載の弁(1)。
[3] 前記ピストンホルダ(5)の端部は閉じられる、[2]に記載の弁(1)。
[4] 前記ピストンホルダ(5)の前記端部は、実質的に円錐形部分を備えるプラグにより閉じられ、前記円錐形部分の先端は、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)の中に突き出ている、[3]に記載の弁(1)。
[5] 前記円錐形部分のベースは、前記ピストンホルダ(5)の内径よりも小さな直径を有する、[4]に記載の弁(1)。
[6] 前記スプール(12)の前記流体入口の開口部は、前記プラグの前記円錐形部分に対して実質的に平行な面取り部分を備える、[4]または[5]記載の弁(1)。
[7] 前記スプール(12)の前記入口(15)は、前記スプール(12)の端部を通って設けられる、[2]から[6]のいずれか一項に記載の弁(1)。
[8] 圧力補償チャンバ(19)が、前記ハウジング(3)内に設けられ、前記圧力補償チャンバ(19)は、補助的な流体チャネル(20)により、前記スプール(12)の前記内側流体チャネル(14)に流体接続される、[2]から[7]のいずれか一項に記載の弁(1)。
[9] 前記補助的な流体チャネル(20)は、前記スプール(12)を通って設けられる、[8]に記載の弁(1)。
[10] 前記作動器(13)は、ステッピングモータである、[1]から[9]のいずれか一項に記載の弁(1)。
[11] 前記スプール(12)は、シャフト(21)により前記作動器(13)に接続され、前記圧力補償チャンバ(19)は、前記シャフト(21)の周囲に設けられる、[1]から[10]のいずれか一項に記載の弁(1)。
[12] 前記スプール(12)および前記シャフト(21)は円筒形であり、前記シャフト(21)の直径は、前記スプール(12)の直径よりも小さい、[11]に記載の弁(1)。
[13] 前記スプール(12)および/または前記シャフト(21)は、前記圧力補償チャンバ(19)において作用する流体圧力が、前記スプール(12)を、前記開放位置から離れて前記閉じた位置に向けて強制するように構成される、[11]または[12]に記載の弁(1)。
[14] 前記スプール(12)および/または前記シャフト(21)は、前記スプール(12)に対して作用する流体圧力が、前記スプール(12)を、実質的に、いずれの方向にも移動するように強制しないバランスのとれた力を生成する、[11]から[13]のいずれか一項に記載の弁(1)。