(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】自発光組成物、これを用いて製造された色変換層およびこれを含むカラーフィルタおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09K 11/06 20060101AFI20220905BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220905BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220905BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220905BHJP
C09B 5/62 20060101ALI20220905BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20220905BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20220905BHJP
C08K 5/3437 20060101ALI20220905BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C09K11/06 645
G02B5/20
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G02F1/13357
C09B5/62
C09B67/20 F
C09B67/46 A
C09K11/06
C08K5/3437
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2020028533
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0020622
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 龍 虎
(72)【発明者】
【氏名】金 敏 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 商 範
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043878(US,A1)
【文献】特開2011-187908(JP,A)
【文献】特表2017-527849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/00-11/89
C09B3/18,5/62,67/20,67/46
G02F1/1335-1/13357
G02B5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料を含む自発光感光性樹脂組成物であって、
前記ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料は、下記化学式1の構造を含むものである、自発光感光性樹脂組成物:
【化1】
(前記化学式1において、
R
1は、2,6-Diisopropylphenylまたは2,4,6-Trimethylphenylであり、
R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換のC
1~C
10直鎖アルキル、置換もしくは非置換のC
2~C
10分枝鎖アルキル、置換もしくは非置換のC
6~C
18アリール、置換もしくは非置換のC
6~C
30アリールアルキル、置換もしくは非置換のC
1~C
18のアルコキシ、置換もしくは非置換の原子数3~30の複素環基またはハロゲンであり、
x、y、zは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、
x、y、zが2以上の整数の場合、R
2、R
3およびR
4は、同一または異なる置換基を有していてもよい。)
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2-1~2-10からなる群より選択される1種以上を含むものである、請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物:
【化2】
【請求項3】
前記自発光組成物は、着色剤をさらに含むものである、請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記自発光組成物は、光重合性化合物;光重合開始剤;結合剤樹脂および溶剤からなる群より選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項5】
ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料は、自発光感光性樹脂組成物の固形分総重量に対して、0.01~30重量%含まれるものである、請求項1に記載の自発光感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の自発光感光性樹脂組成物で製造された色変換層。
【請求項7】
請求項6に記載の色変換層を含むカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルタを含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光組成物、これを用いて製造された色変換層およびこれを含むカラーフィルタおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業は、CRTから、PDP、OLED、LCDなどに代弁される平板ディスプレイに急激な変化を遂げてきている。そのうち、液晶表示装置(LCD)は、ほぼすべての産業において画像表示装置として広く用いられており、その応用範囲は持続的に広がっている。しかし、LCDは、自らの発光素子の不在によって別途のバックライトユニットが必須である。
【0003】
既存の液晶表示装置において、色実現のために使用されている顔料または染料系の着色カラーフィルタは、透過するバックライト光源に対して特定領域の光吸収および透過する特性を利用していて、照射されるバックライト光源の透過効率が急激に低下する問題を抱えている。
【0004】
一般的なバックライトユニットの光源としては、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いた。しかし、CCFLを用いたバックライトユニットは、常にCCFLに電源が印加されるので相当量の電力が消耗し、CRTに比べて約70%水準の色再現率、水銀が添加されることによる環境汚染の問題が欠点として指摘されている。前記問題点を解消するための代替品として、現在、LED(Light Emitting diode)を用いたバックライトユニットに関する研究が活発に行われている。
【0005】
LEDをバックライトユニットとして用いる場合、NTSC(National Television System Committee)による色再現範囲の仕様の100%を上回り、より生き生きとした画質を消費者に提供することができる。
【0006】
そこで、同種産業界では、バックライト光源の効率を向上させるために、カラーフィルタおよびLCD panelの材料および構造などの変更により光効率を向上させるための技術を開発している。特に、韓国公開公報第10-2016-0123256号などは、光効率向上のために蛍光染料を用いた樹脂組成物などを提供しているが、蛍光効率を高められる染料を用いる場合、その溶解度が低下する問題が発生し、溶解度を高めたリレン系蛍光染料の場合、その蛍光効率および信頼性が低下する問題が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開公報第10-2016-0123256号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するために、優れた蛍光効率および溶解度を優れたものに高めることが可能な蛍光染料を感光性樹脂組成物に含むことにより、蛍光効率に優れた自発光樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、優れた輝度および色再現性を有する色変換層を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、優れた輝度および色再現性を有するカラーフィルタおよび画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料を含む自発光感光性樹脂組成物であって、
前記ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料は、下記化学式1の構造を含むものである、自発光感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【0013】
前記化学式1において、
R1は、2,6-Diisopropylphenylまたは2,4,6-Trimethylphenylであり、
R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換のC1~C10直鎖アルキル、置換もしくは非置換のC2~C10分枝鎖アルキル、置換もしくは非置換のC6~C18アリール、置換もしくは非置換のC6~C30アリールアルキル、置換もしくは非置換のC1~C18のアルコキシ、置換もしくは非置換の原子数3~30の複素環基またはハロゲンであり、
x、y、zは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、
x、y、zが2以上の整数の場合、R2、R3およびR4は、同一または異なる置換基を有していてもよい。
【0014】
また、本発明は、前述した自発光感光性樹脂組成物で製造された色変換層を提供する。
また、本発明は、前述した色変換層を含むカラーフィルタを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、前述したカラーフィルタを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、4-クミルフェノール基に由来する置換基を含むことで溶解度に優れた新規な蛍光染料を含むことにより、優れた蛍光効率を提供可能な自発光感光性樹脂組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記自発光感光性樹脂組成物で製造されることにより、優れた色再現が可能であり、蛍光効率に優れるだけでなく、優れた輝度を提供可能な色変換層、これを含むカラーフィルタおよび画像表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、色変換層を含むカラーフィルタに関する図である。
図1にて、Rは赤色画素、Gは緑色画素、Bは青色画素、Wは白色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ペリレンビスイミド系蛍光染料を含む自発光樹脂組成物に関し、優れた蛍光効率を提供可能な自発光組成物を提供するものである。
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
<自発光組成物>
蛍光染料
本発明は、蛍光染料として、ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料を含むことができる。より具体的には、前記ペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料は、下記化学式1の構造を含むことができる。
【0021】
【0022】
前記化学式1において、
R1は、2,6-Diisopropylphenylまたは2,4,6-Trimethylphenylであり、
R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換のC1~C10直鎖アルキル、置換もしくは非置換のC2~C10分枝鎖アルキル、置換もしくは非置換のC6~C18アリール、置換もしくは非置換のC6~C30アリールアルキル、置換もしくは非置換のC1~C18のアルコキシ、置換もしくは非置換の原子数2~30の複素環基またはハロゲンであり、
x、y、zは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、
x、y、zが2以上の整数の場合、R2、R3およびR4は、同一または異なる置換基を有していてもよい。
【0023】
本発明の化学式1で表されるペリレンビスイミド系化合物は、4-クミルフェノール基に由来する置換基を導入して、その立体障害効果により高濃度でも蛍光度を増加させることができ、溶媒に対する溶解度を増加させることができる。また、優れた化学的、熱的および光学的安定性を示すことができて、工程の適用に非常に有利な効果を有することができる。
【0024】
本明細書において、「置換もしくは非置換」は、ハロゲン基、ニトリル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、シリル基、ホウ素基、アリールアミン基、アラルキルアミン基、アルキルアミン基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、ヘテロ環基、およびアセチレン基からなる群より選択された1つ以上の置換基で置換されているか、いずれの置換基も有しないことを意味する。
【0025】
本明細書において、「ハロゲン基」は、-F、-Cl、-Br、または-Iを意味する。
【0026】
より具体的には、前記化学式1の化合物は、下記化学式2-1~2-10からなる群より選択される1種以上の化合物を含むものであってもよいが、これに限定するものではない。
【0027】
【0028】
前記蛍光染料は、自発光樹脂組成物の固形分総重量に対して、0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%含まれる。前記蛍光染料が前記範囲内に含まれる場合、優れた発光強度を有し、溶解性が良くて信頼性に優れるという利点がある。
【0029】
本発明において、「固形分」は、自発光樹脂組成物の総構成における、溶剤を除いた成分を意味する。
【0030】
本願発明は、必要に応じて、前記化学式1で表されるペリレンビスイミド系の赤色蛍光染料以外の通常の蛍光染料をさらに含むことができる。
【0031】
本発明は、着色剤、光重合性化合物、光重合開始剤、結合剤樹脂、および溶剤のうちの1種以上をさらに含むことができる。
【0032】
着色剤
本願発明は、必要に応じて、着色剤をさらに含むことができ、本発明の着色剤において、着色剤は、有機着色剤および/または無機着色剤からなる群より選択される1種以上を含むことができ、前記有機着色剤は、有機顔料および/または有機染料が挙げられ、無機着色剤は、無機顔料および/または無機染料が挙げられる。前記着色剤は、ミルベースの形態で存在し得る。前記有機顔料および/または有機染料は、合成色素または天然色素であってもよい。前記有機顔料は、必要な場合、ロジン処理、酸性基または塩基性の基が導入されている顔料誘導体を使用する表面処理、重合体化合物などを使用する顔料の表面に対するグラフト処理、硫酸微細粒子化方法などによる微細粒子化処理、または不純物を除去するために有機溶媒または水などによる洗浄処理を実施することができる。前記無機顔料は、金属酸化物、金属錯塩、硫酸バリウム(体質顔料)の無機塩などであってもよい。この時、前記ミルベースの主目的である色を呈する層は、既存のミルベースで使用される顔料と同一である。
【0033】
前記着色剤は、粒子サイズが3~150nmであってもよいし、前記範囲に属する場合、液相に分散した状態に維持されるのに有利である。より具体的には、着色剤のうち、有機着色剤は、粒子のサイズが20~100nmの場合に好ましい。有機着色剤が前記範囲を満足する場合、分散安定性の面で良い。これは、もし前記範囲未満のサイズを有すると、着色剤の表面積が急激に増加して分散安定性が低下し、着色剤間のかたまり現象が発生することがあり、前記範囲を超えるサイズを有すると、着色剤の重量が増加するため、分散安定性が低下し、沈殿が発生しやすいからである。着色剤のうち、無機着色剤は、粒子のサイズが3~20nmであってもよい。無機着色剤が前記範囲のサイズを有すると、分散性に優れ、保管安定性が増加する面で好ましい。
【0034】
前記着色剤は、着色感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して、前記着色剤が0.1~50重量%含まれ、より好ましくは1~30重量%含まれる。前記範囲内に含まれる場合、着色を発現するのに有利であるという点で好ましい。
【0035】
光重合性化合物
本発明は、光重合性化合物をさらに含むことができる。前記光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0036】
前記単官能単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。前記2官能単量体の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他の多官能単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち2官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。
【0037】
前記光重合性化合物は、自発光組成物中の固形分総重量に対して、5~80重量%、好ましくは10~60重量%含まれる。前記光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、画素部の強度や平滑性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0038】
結合剤樹脂
前記結合剤樹脂は、通常、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、着色材料の分散媒として作用する。本発明の自発光樹脂組成物に含有される結合剤樹脂は、蛍光染料に対する結合剤樹脂として作用し、カラーフィルタの製造のための現像段階で使用されたアルカリ性現像液に溶解可能な結合剤樹脂であればすべて使用可能である。
【0039】
結合剤樹脂は、例えば、カルボキシル基含有単量体、およびこの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する不飽和多価カルボン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。ここで、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよいし、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよいし、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよいし、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有するマクロ単量体類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に、前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としてノルボルニル骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、ロジン骨格を有する単量体などのバルキー性単量体が比誘電定数値を低下させる傾向があるので、好ましい。
【0040】
本発明の結合剤樹脂としては、酸価が20~200(KOHmg/g)の範囲が好ましい。酸価が前記範囲にあれば、現像液中の溶解性が向上して、非露出部が溶解しやすく感度が増加して、結果的に、露出部のパターンが現像時に残って残膜率(film remaining ratio)を改善するようになって、好ましい。ここで、酸価とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求められる。また、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶出溶剤とする)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という)である3,000~200,000、好ましくは3,000~100,000の結合剤樹脂が好ましい。分子量が前記範囲にあれば、コーティングフィルムの硬度が向上して、残膜率が高く、現像液中の非露出部の溶解性が卓越し、解像度が向上する傾向があって、好ましい。
【0041】
結合剤樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.5~6.0であることが好ましく、1.8~4.0であることがより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が1.5~6.0であれば、現像性に優れるので、好ましい。
【0042】
本発明の結合剤樹脂の含有量は、自発光樹脂組成物中の固形分総重量に対して、通常5~85重量%、好ましくは10~70重量%の範囲である。結合剤樹脂の含有量が前記範囲に含まれる場合、現像液への溶解性が十分で非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、現像時に露光部の画素部分の膜減少が生じにくくて、非画素部分の欠落性が良好な傾向にあるので、好ましい。
【0043】
光開始剤
本発明で使用される光開始剤は、アセトフェノン系化合物を含有することが好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどが挙げられる。また、前記アセトフェノン系以外の光重合開始剤を組み合わせて使用することができる。アセトフェノン系以外の光重合開始剤は、光を照射することにより活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、増感剤、酸発生剤などが挙げられる。活性ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。トリアジン系化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。前記活性ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,2,-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、9,10-フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを使用することができる。前記酸発生剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類やニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが挙げられる。また、活性ラジカル発生剤として、前記化合物中には活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
【0044】
本発明に係る自発光樹脂組成物に使用される光開始剤の含有量は、固形分を基準として結合剤樹脂および光重合性化合物の合計量に対して、重量分率で通常0.1~40重量%、好ましくは1~30重量%である。前記範囲にあれば、自発光樹脂組成物が高感度化され、この組成物を用いて形成した画素部の強度や、この画素部の表面での平滑性が良好になる傾向にあるので、好ましい。さらに、本発明では、光重合開始助剤を使用することができる。光重合開始助剤は、光開始剤と組み合わせて使用される場合があり、光開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進させるために使用される化合物である。光重合開始助剤としては、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げられる。
【0045】
アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンズフェノン(通称、ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、なかでも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。このような光重合開始剤(D)は、単独でまたは複数を組み合わせて使用しても支障がない。また、光重合開始助剤として市販のものを使用することができ、市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB-F」[製造元:保土谷化学工業株式会社]などが挙げられる。
【0046】
これらの光重合開始助剤を使用する場合、その使用量は、光開始剤1モルあたり、通常10モル以下、好ましくは0.01~5モルが好ましい。前記範囲にあれば、自発光樹脂組成物の感度がさらに高くなり、この組成物を用いて形成されるカラーフィルタの生産性が向上する傾向にあるので、好ましい。
【0047】
溶剤
本発明の自発光樹脂組成物に含有される溶剤は特に限定されず、自発光樹脂組成物の分野で使用されている各種有機溶剤を使用することができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、およびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。前記溶剤のうち、塗布性、乾燥性の面で、好ましくは、前記溶剤のうち沸点が100℃~200℃の有機溶剤が挙げられ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上混合して使用することができる。
【0048】
本発明の自発光樹脂組成物中の溶剤の含有量は、それを含む自発光樹脂組成物全量に対して、重量分率で、通常60~90重量%、好ましくは70~85重量%である。溶剤の含有量が前記基準で60~90重量%の範囲であれば、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0049】
添加剤
本発明の一実施形態に係る自発光感光性樹脂組成物は、添加剤をさらに含むことができる。
【0050】
前記添加剤は、使用者の必要に応じて追加可能な成分で、本発明ではその種類を特に限定しないが、一例としては、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などが挙げられる。
【0051】
前記充填剤は、例えば、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
前記他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0052】
前記密着促進剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0053】
前記紫外線吸収剤としては、具体的には、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、本発明の添加剤は、酸化防止剤であってもよい。
前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、トリアジン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、HALs(Hindered Amine Light stabilizer)系光安定剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを使用することができるが、これに制限されるわけではない。
【0055】
このように、本発明の自発光感光性樹脂組成物が酸化防止剤をさらに含む場合、一緒に含まれる蛍光染料の信頼性が向上できるという利点がある。
【0056】
前記フェノール系酸化防止剤としては、公知の化合物を使用することができ、具体的には、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリトリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのスピロ環骨格を有するフェノール化合物;1,3,5,-トリメチル-2,4,6,-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタン、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5,-トリメチル-2,4,6,-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリトリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、AO-60(Adeka社製)、AO-80(Adeka社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
前記リン系酸化防止剤としては、公知の化合物を使用することができ、具体的には、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのスピロ環骨格を有するホスファイト化合物;2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-デシルオキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル、ホスホン酸、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、HP-10(Adeka社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記硫黄系酸化防止剤としては、公知の化合物を使用することができ、具体的には、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリトリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)などのチオエーテル構造を有する化合物;2-メルカプトベンズイミダゾール、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
前記ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、公知のベンゾトリアゾール系誘導体を使用することができ、市販品から入手可能である。具体的には、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、または2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールや、市販のTINUVIN PS、TINUVIN99-2、TINUVIN109、TINUVIN384-2、TINUBIN571、TINUVIN900、TINUVIN928、またはTINUVIN1130(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)などが例示される。
【0060】
また、前記トリアジン系光安定剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。市販のものでもよく、例えば、TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN479、またはTINUVIN1577(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)などが挙げられる。
【0061】
そして、前記ベンゾフェノン系光安定剤としては、光安定剤として公知のベンゾフェノン系誘導体を使用することができ、市販品から入手可能である。具体的には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、または2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンや、市販のものとしては、CHIMASSORB81(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)が挙げられる。
【0062】
前記HALs系光安定剤は、市販のものを使用することができ、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のTINUVIN123、TINUVIN292などが挙げられる。
【0063】
これらの光安定剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、好ましくは、350nm以下で良好な吸収領域を有するベンゾトリアゾール系、トリアジン系、またはベンゾフェノン系光安定剤と組み合わせて使用可能である。市販の製品としては、TINUVIN5050、TINUVIN5060、またはTINUVIN5151などが好ましい。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、前述した酸化防止剤は、これを含む自発光感光性樹脂組成物全100重量%に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.2~7重量%含まれ、前記酸化防止剤の含有量が前記範囲内に含まれる場合、これを含む自発光感光性樹脂組成物の蛍光効率が低下するのを防止できるという利点がある。
【0065】
また、本発明の一実施形態によれば、前記酸化防止剤は、光重合開始剤と共に含まれる場合、光重合開始剤と酸化防止剤の重量比は、1:0.1~1:3であってもよいし、好ましくは1:0.2~1:0.5であってもよい。光重合開始剤と酸化防止剤の重量比が前記範囲未満の場合、蛍光効率を確保できず色変換能力が低下することがあり、前記範囲を超える場合、輝度が低下する恐れがあるので、前記範囲内で適切に使用することが好ましい。
【0066】
<色変換層>
本発明の他の様態に係る色変換層は、前述した自発光感光性樹脂組成物の硬化物を含む。
【0067】
本発明の色変換層は、画像表示装置に適用される場合に、画像表示装置は光源の光によって発光するので、本発明の自発光感光性樹脂組成物の硬化物を含むことにより、蛍光染料の分散性が良好になって蛍光維持率が向上し、これによって優れた光効率を実現することができ、色相を有する光が放出されるものであるので、色再現性がより優れ、光ルミネッセンスにより全方向に光が放出されるので、視野角も改善されるだけでなく、耐薬品性に優れるという利点がある。
【0068】
より詳細には、色変換層を含む通常の画像表示装置では、白色光が色変換層を透過してカラーが実現されるが、この過程で光の一部が色変換層に吸収されるので、光効率が低下することがある。しかし、本発明の自発光感光性樹脂組成物で製造された色変換層を含む場合には、蛍光染料の分散性に優れて蛍光維持率が向上することで、より優れた光効率を実現することができる(
図1参照)。
【0069】
<カラーフィルタ>
本発明の他の様態に係るカラーフィルタは、前述した色変換層を含むことにより、蛍光維持率に優れ、耐薬品性に優れるという利点がある。
【0070】
前記カラーフィルタは、前述した色変換層のほか、基板および前記基板の上部に形成されたパターン層を含むが、前記基板は、色変換層自体の基板でもよく、またはディスプレイ装置などに色変換層が位置する部位でもよいもので、本発明において特に限定はない(
図1参照)。
図1を参照すれば、バックライトから出た光源が、本発明の色変換層で蛍光の光源が加えられて、本発明の色変換層を含むカラーフィルタは、優れた輝度を示すことができる。
【0071】
前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)、または高分子基板であってもよいし、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
パターン層は、本発明の自発光感光性樹脂組成物を含む層で、前記自発光感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンに露光、現像および熱硬化して形成された層であってもよい。
【0073】
前記自発光感光性樹脂組成物で形成されたパターン層は、赤量子ドット粒子を含有する赤色パターン層、緑量子ドット粒子を含有する緑色パターン層、および青量子ドット粒子を含有する青色パターン層を備えることができる。光照射時、赤色パターン層は赤色光を、緑色パターン層は緑色光を、青色パターン層は青色光を放出する。
【0074】
その場合に、画像表示装置への適用時、光源の放出光が特に限定されないが、より優れた色再現性の面で青色光を放出する光源を用いることができる。
【0075】
前記パターン層は、赤色パターン層、緑色パターン層、および青色パターン層のうち2種の色相のパターン層のみを備えてもよい。その場合には、前記パターン層は、量子ドット粒子を含有しない透明パターン層をさらに備えてもよい。
【0076】
2種の色相のパターン層のみを備える場合には、含まない残りの色相を示す波長の光を放出する光源を用いることができる。例えば、赤色パターン層および緑色パターン層を含む場合には、青色光を放出する光源を用いることができる。その場合に、赤量子ドット粒子は赤色光を、緑量子ドット粒子は緑色光を放出し、透明パターン層は青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0077】
前記のような基板およびパターン層を含む色変換層は、各パターンの間に形成された隔壁をさらに含むことができ、ブラックマトリックスをさらに含んでもよい。また、色変換層のパターン層の上部に形成された保護膜をさらに含んでもよい。
【0078】
本発明は、前記色変換層を含むカラーフィルタを提供することができる。
<表示装置>
発明に係る表示装置は、前述した光変換積層基材を含む。前記画像表示装置は、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置、OLED、およびQLEDを含む)、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビゲーション用表示装置などの表示装置などが挙げられ、特に、カラー表示装置が好適である。
【0079】
前記表示装置は、前記光変換積層基材を備えたことを除けば、本発明の技術分野にて当業者に知られた構成をさらに含むことができる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施のための実施例を具体的に説明する。ただし、本発明の実施がこれに限定されるものではなく、他の形態に変形可能である。
【0081】
以下、含有量を示す「%」および部は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0082】
【0083】
1,6,7,12-テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(0.11mol)と2,6-ジイソプロピルアニリン(0.44mol)をプロピオン酸1Lに投入後、昇温して140℃で5時間反応を維持した。反応液を室温に冷却して析出物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。濾過体を水に分散して30分維持後に減圧濾過し、さらにメタノールに分散して30分維持後に減圧濾過した。乾燥後、80.5%の収率で中間体化合物(INT)を得た。
【0084】
前記形成された中間体化合物に対して、MALDI-TOF測定装置を用いてMS(Mass Spectrometric)を測定した。その結果、分子量が848.16であると確認された。
【0085】
【0086】
前記製造例1で製造されたINT(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)の溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に4-メチルフェノール(0.04mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した液を120℃で2時間投入した。同一の温度で1時間反応維持後、4-クミルフェノール(0.16mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加し、4時間撹拌を維持した。反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過をして不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式2-1の化合物を40.4%の収率で得た。
MS:1239.49
【0087】
【0088】
前記製造例1で製造されたINT(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)の溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に2,4-ジメチルフェノール(0.32mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した液を120℃で2時間投入した。同一の温度で1時間反応維持後、4-クミルフェノール(0.32mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加し、4時間撹拌を維持した。反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過をして不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式2-2の化合物を36.0%の収率で得た。
MS:1281.57
【0089】
【0090】
前記製造例1で製造されたINT(0.04mol)とN-メチルピロリドン(266.1g)の溶解液に炭酸カリウム(0.04mol)を添加した後、120℃に昇温した。前記反応液に2,4-ジメチルフェノール(0.32mol)をN-メチルピロリドン(88.7g)に溶解した液を120℃で2時間投入した。同一の温度で1時間反応維持後、4-クミルフェノール(0.62mol)と炭酸カリウム(0.16mol)を添加し、4時間撹拌を維持した。反応液を室温に冷却し、蒸留水3Lに排出した。生成された紫色沈殿物を減圧濾過し、メタノールで水洗した。濾過体をメチレンクロライド(MC)に再溶解後、シリカ濾過をして不純物を除去し、MeOHで再結晶を進行させて、化学式2-3の化合物を31.0%の収率で得た。
MS:1385.72
【0091】
結合剤樹脂の合成例
樹脂(B-1)
撹拌機、温度計還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、モノマー滴下ロートとして、ベンジルマレイミド74.8g(0.20モル)、アクリル酸43.2g(0.30モル)、ビニルトルエン118.0g(0.50モル)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入後、撹拌混合して用意し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール6g、PGMEA24gを入れて撹拌混合したものを用意した。この後、フラスコにPGMEA395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2hの間進行させ、1hの後に110℃昇温して3h維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、グリシジルメタクリレート28.4g[(0.10モル)、(本反応に使用したアクリル酸のカルボキシル基に対して33モル%)]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4g、トリエチルアミン0.8gをフラスコ内に投入して110℃で8時間反応を継続し、固形分酸価が70mgKOH/gの樹脂Aを得た。GPCによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は16,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0092】
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK-GELG4000HXL+TSK-GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度:40℃
移動相溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
注入量:50μl
検出器:RI
測定試料濃度:0.6質量%(溶剤=テトラヒドロフラン)
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-1、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
前記で得られた重量平均分子量および数平均分子量の比を分子量分布(Mw/Mn)とした。
【0093】
実施例:カラーフィルタ色変換層(色変換画素;Glass基板)の製造
下記表1の実施例1~4と比較例1の構成の自発光感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造した。すなわち、前記それぞれの自発光感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置き、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた。次いで、前記薄膜上に紫外線を照射した。この時、紫外線光源はウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名USH-250D)を用いて、大気雰囲気下、40mJ/cm2の露光量(365nm)で光照射し、特別な光学フィルタは用いなかった。前記紫外線が照射された薄膜をpH12.5のKOH水溶液現像溶液にスプレー現像機を用いて60秒間現像後、220℃の加熱オーブンにて20分間加熱してパターンを製造した。前記で製造された自発光カラー色変換層パターンのフィルム厚さは3.0μmであった。色変換層の厚さは500μmまで多様に制御可能である。
【0094】
【0095】
実験例
1.染料の溶解度
合成例1および2で合成された染料および前記表1のR4に相当するルモゲンFレッドをそれぞれ溶媒に溶解させて溶解度を確認した。
【0096】
【0097】
一方、本願発明の染料構造に相当する合成例1~合成例3の染料は、溶媒に5~8wt%の溶解度を有するもので優れた溶解度を有することを確認できただけでなく、ルモゲンFレッドはPGMEAに不溶であり、本願発明の染料が著しく優れた溶解度を有することを確認した。ルモゲンFレッドの場合、ディスプレイ工程で使用する溶剤に対する溶解度が低くて、使用に多くの困難があったが、本発明では、これに対する問題点を解決して、赤色蛍光染料をディスプレイ工程に適用可能な効果を有することができた。
【0098】
2.発光強度(Intensity)の測定
【0099】
【0100】
前記表3を通して分かるように、実施例と比較例を比較すれば、実施例の蛍光効率が比較例1に比べて優れた発光強度を示すもので、優れた輝度を有することを確認した。また、実施例2と3では、染料の濃度が高くなっても蛍光が維持されるが、比較例1および2では、染料の濃度が高くなると、濃度消光によって蛍光が減少することが確認された。すなわち、本願発明の構成をすべて含む実施例1~4は、濃度が高くても蛍光が維持される蛍光染料を含むことにより、優れた発光強度効果を示し、これを含むカラーフィルタ、画像表示装置などは優れた輝度を示すことができることを確認した。