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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
B66B3/00 F
B66B3/00 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210173
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096914
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 浩二
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211850(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039590(WO,A1)
【文献】特開2019-151447(JP,A)
【文献】特開2020-121880(JP,A)
【文献】特開2011-255982(JP,A)
【文献】特開2011-136824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-3/02;
5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント種別と、アナウンス内容と、アナウンス内容の出力時間とを対応付けたアナウンス情報を記憶し、同一のイベント種別で、アナウンス内容の出力時間が異なるアナウンス情報を複数記憶する記憶部と、
イベントを検知する検知部と、
乗りかごの位置から到着位置までの走行時間を算出する時間算出部と、
前記検知部により、イベントが検知された場合、検知されたイベントと同一のイベント種別アナウンス情報のうち、アナウンス内容の出力時間と時間算出部により算出された走行時間とに基づいて選択したアナウンス情報のアナウンス内容を前記乗りかごに出力させる音声出力制御部と、を備える、エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、同一のアナウンス内容で、複数言語分の内容を記憶し、
前記音声出力制御部は、前記複数言語分のそれぞれのアナウンス内容を前記乗りかごに出力させる、請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記乗りかご内の撮像画像に基づいて、前記乗りかごの利用者の国籍を推定する推定部をさらに備え、
前記音声出力制御部は、前記推定部により推定された国籍に対応する言語のアナウンス情報のアナウンス内容を前記乗りかごに出力させる、請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記音声出力制御部は、前記乗りかごに出力させるアナウンス内容のアナウンス情報と同一のイベント種別で、最も長い出力時間のアナウンス内容を着床対象のホールへ出力させる、請求項1から3の何れか一項に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのかごに乗っている利用客へアナウンス内容を報知する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-12180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かごの位置によっては、アナウンス内容の全てを報知する前に着床してしまい、適切にアナウンス内容を出力できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、適切にアナウンス内容を出力するエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、記憶部と、検知部と、時間算出部と、音声出力制御部とを備える。記憶部は、イベント種別と、アナウンス内容と、アナウンス内容の出力時間とを対応付けたアナウンス情報を記憶し、同一のイベント種別で、アナウンス内容の出力時間が異なるアナウンス情報を複数記憶する。検知部は、イベントを検知する。時間算出部は、乗りかごの位置から到着位置までの走行時間を算出する。音声出力制御部は、検知部により、イベントが検知された場合、検知されたイベントと同一のイベント種別アナウンス情報のうち、アナウンス内容の出力時間と時間算出部により算出された走行時間とに基づいて選択したアナウンス情報のアナウンス内容を乗りかごに出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの概略構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るエレベータの概略構成例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図4A図4Aは、アナウンス情報のデータ構造を示す図である。
図4B図4Bは、アナウンス情報の具体的なデータ例を示す図である。
図5図5は、走行時間に基づいて、アナウンス内容を変える例を説明する図である。
図6図6は、イベントに応じたアナウンス内容の出力処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかるエレベータ制御装置について説明する。図1図2は、本実施形態に係るエレベータの概略構成例を示す図である。また、図3は、本実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。エレベータ100は、図1に示すように、乗りかご(以下、「かご」と称す)110と、ウェイト120と、メインロープ130と、巻上機140とを有し、さらにそらせシーブ150と、制御装置160とを有して構成されている。なお、本実施形態では、かご110、ウェイト120、メインロープ130は、昇降路170内に配置されている。また、巻上機140、そらせシーブ150および制御装置160は、機械室180内に配置されている。なお、機械室180を設けずに、巻上機140、制御装置160を昇降路170内に配置してもよい。また、制御装置160は、図示しない各種装置と接続している。例えば、制御装置160は、緊急地震速報を発信する緊急地震速報装置と接続している。また、制御装置160は、建物の火災を検知する装置または、建物の火災発生を通知する監視装置と接続している。また、制御装置160は、ガイドレールに沿って転動するローラの回転に応じてエンコーダから出力されるパルスをもとにかご110の位置を検出する位置検出器と接続している。
【0009】
かご110は、利用者が乗降するものである。かご110は、図2に示すように、複数台が配設されており、ここでは、2台のかご110(A号機、B号機)が配設されているものとする。かご110は、図1に示すように、昇降路170内に設置された図示しない一対のかご用ガイドレールの間に配置され、かご用ガイドレールに対して1以上設けられた図示しない案内装置を介してかご用ガイドレールに沿って昇降することで、昇降路170内を昇降するものである。かご110には、かご側ドア111が開閉自在に設けられている。かご側ドア111は、かご110の乗降口112を閉塞、開放するものである。かご側ドア111は、かご110の昇降時は閉状態を維持し、かご110が着床した場合に、図示しない駆動装置により閉状態から開状態となる。
【0010】
ウェイト120は、かご110の昇降に連動して昇降路170内を昇降するものである。ウェイト120は、図示しない一対のウェイト用ガイドレールの間に配置され、ウェイト用ガイドレールに対して1以上設けられた図示しない案内装置を介してウェイト用ガイドレールに沿って昇降する。ここで、ウェイト120は、かご110が所定積載量(例えば、最大積載量に対して0~1/2程度)の場合に巻上機140を挟んで、かご110と釣り合うように重量が設定されている。
【0011】
メインロープ130は、かご110とウェイト120とを連結する1以上のロープであり、巻上機140のメインシーブ141およびそらせシーブ150に巻き掛けられている。メインロープ130は、かご110と、ウェイト120とをトラクション式に昇降させるものである。メインロープ130は、本実施形態では、一方の端部がかご110に連結され、他方の端部がウェイト120に連結されている。本実施形態では、メインロープ130は、一方の端部がかご110の鉛直方向上部に固定され、他方の端部がウェイト120の鉛直方向上部に固定されている。
【0012】
巻上機140は、回転することでメインシーブ141に巻き掛けられたメインロープ130をモータ142により巻上げ、かご110とウェイト120との昇降方向における相対位置を変化させることで、かご110を昇降路170内で昇降させるものである。巻上機140は、制御装置160と電気的に接続されており、制御装置160を介して供給される電力によりモータ142の駆動制御が行われる。
【0013】
制御装置160は、呼び登録信号や行き先階登録信号に基づいて、エレベータ100の運転を制御するものであり、少なくともかご側ドア111の開閉制御、巻上機140の駆動制御を行うものである。
【0014】
ここで、エレベータ100が設置される建物には、乗り場2001~n(nは、かご110が停止可能な階数)が設けられている。乗り場2001~nは、かご110が停止可能な階に設けられている。乗り場2001~nには、乗り場側ドア2011~nが開閉自在にそれぞれ設けられている。乗り場側ドア2011~nは、乗り場2001~nの乗り場側乗降口2021~nをそれぞれ閉塞、開放するものである。乗り場側乗降口2021~nは、かご110が着床した際に乗降口112と対向する位置に形成されている。乗り場側ドア2011~nは、通常、閉状態であり、図示しないロック機構により、開状態への動作が規制されている。乗り場側ドア2011~nは、かご110が目的階の乗り場2001~nに着床し、図示しない着床検出器などにより所定の着床位置に着床したことが検出されると、制御装置160によってかご側ドア111が閉状態から開状態に動作するのに連動して、ロック機構によるロックを解除するとともに、閉状態から開状態となる。
【0015】
ここで、建物の基準階について説明する。基準階とは、エレベータ100におけるサービスの基準となり、管制運転時の着床先となる階床であり、例えば、エントランス等が存在するロビー階等である。この実施形態では、基準階を1階とする。
【0016】
エレベータ100の基準階(1階)の基準階乗り場200には、図1図3に示すように、乗り場報知装置10、基準階呼びボタン13、基準階カメラ14が配設されている。
【0017】
乗り場報知装置10は、基準階乗り場200の利用者に報知を行うものであり、基準階表示装置11と、基準階スピーカ12とを備える。乗り場報知装置10は、例えば、エレベータ100が管制運転している際、当該管制運転に関するアナウンス内容を出力する。
【0018】
基準階表示装置11は、かご110の運転方向、現在階などの種々の運行情報を表示するものである。基準階表示装置11は、基準階乗り場200の利用者に対して種々の運行情報を表示する。基準階表示装置11は、後述する制御装置160からの制御信号によって制御される。
【0019】
基準階スピーカ12は、音声出力部であり、例えば、かご110の種々の運行情報を放送案内する音声を出力可能なものである。基準階スピーカ12は、基準階乗り場200の利用者等に対して種々の放送案内をする。基準階スピーカ12は、後述する制御装置160からの制御信号によって制御される。
【0020】
基準階呼びボタン13は、基準階乗り場200の利用者の操作が入力され、この操作入力に応じて呼び登録を行う。基準階呼びボタン13による呼び登録とは、かご110を基準階乗り場200の階床に呼ぶための登録である。基準階呼びボタン13は、利用者の操作入力に応じて呼び登録信号を制御装置160に送信する。
【0021】
基準階カメラ14は、図1に示すように、基準階乗り場200に設けられており、エレベータシステム1の起動中は常時稼働して、基準階乗り場200周辺の利用者を画像(基準階乗り場画像)として、所定時間ごとの静止画または動画を撮像するものである。基準階カメラ14は、図示しないカメラ制御部によって、起動、撮像開始、撮像終了などが制御される。さらに、基準階カメラ14の性能によっては、ズームイン・ズームアウト、基準階カメラ14の基準階乗り場200に対する向きの変更なども制御することができる。基準階カメラ14は、撮像した画像を、カメラ制御部を介して、制御装置160に送信する。
【0022】
かご110内には、図1図3に示すように、かご内報知装置20、かご呼びボタン23、かご内カメラ24が配設されている。
【0023】
かご内報知装置20は、かご110に設けられ、かご110内の利用者に報知を行うものであり、かご表示装置21と、かごスピーカ22とを備える。かご内報知装置20は、例えば、管制運転の場合に、その旨を報知したり、運行情報を報知したりする。
【0024】
かご表示装置21は、かご110の運転方向、現在階などの種々の運行情報を表示するものである。かご表示装置21は、かご110内の利用者に対して種々の運行情報を表示する。かご表示装置21は、後述する制御装置160からの制御信号によって制御される。
【0025】
かごスピーカ22は、音声出力部であり、例えば、かご110の種々の運行情報を放送案内する音声を出力可能なものである。かごスピーカ22は、かご110内の利用者に対して種々の放送案内をする。また、かごスピーカ22は、かご110内の利用者に対して管制運転に関するアナウンス内容を音声出力する。かごスピーカ22は、後述する制御装置160からの制御信号によって制御される。
【0026】
かご呼びボタン23は、かご110内の利用者の操作が入力され、この操作入力に応じて行き先階登録を行う。かご呼びボタン23による行き先階登録とは、利用者の目的の行先階の登録である。かご呼びボタン23は、利用者の操作入力に応じて行き先階登録信号を制御装置160の制御部30に送信する。
【0027】
かご内カメラ24は、図3に示すように、かご110内に設けられており、かご110内の利用者を画像(かご内画像)として、所定時間ごとの静止画または動画を撮像するものである。かご内カメラ24は、図示しないカメラ制御部によって、起動、撮像開始、撮像終了などが制御される。さらに、かご内カメラ24の性能によっては、ズームイン・ズームアウト、かご内カメラ24のかご110内に対する向きの変更なども制御することができる。かご内カメラ24は、撮像した画像を、カメラ制御部を介して、制御装置160に送信する。このかご内カメラ24は、かご110の運転中は常時稼働している。
【0028】
エレベータ制御装置である制御装置160は、エレベータ100の基本的な運行の制御を行うものである。また、制御装置160は、かご110や基準階等の各階の乗り場にアナウンス内容を音声出力させる。
【0029】
制御装置160は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAMおよび入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータおよび駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは、予め用意されたマップデータ、対応するエレベータ100の仕様等の情報を記憶する。制御装置160は、かご呼びボタン23、基準階呼びボタン13を含むエレベータ100の各部と電気的に接続される。制御装置160は、エレベータ100の各部の動作を統括的に制御する。制御装置160は、例えば、基準階呼びボタン13、かご呼びボタン23等への利用者からの操作入力に応じて、巻上機140(図1参照)の駆動を制御し、かご110を昇降路170(図1参照)内で昇降させる。これにより、エレベータ100は、かご110を呼び登録に応じて指定された目的階に移動させることができる。
【0030】
具体的に、制御装置160は、制御部30、記憶部31、検知部32、時間算出部33、推定部34、および音声出力制御部35を有する。
【0031】
制御部30は、各階の呼びボタン(例えば、基準階呼びボタン13)やかご呼びボタン23により設定されたホール呼び・かご呼びに基づいて、応答階床を決定し、かご110の現在位置から応答階床までの距離に応じて、かご110の加速度及び減速度と、かご110の最高速度とを決定する。そして、これらかご110の加速度、減速度、最高速度と移動距離から定まる移動パターンを求め、この移動パターンに従ってかご110が現在位置から応答階床へと移動するように、巻上機140に対して制御指令を出力する。また、制御部30は、当該移動パターンの情報や応答階床の情報を時間算出部33へ通知する。
【0032】
記憶部31は、各種情報を記憶する部分である。記憶部31は、イベント種別と、アナウンス内容と、アナウンス内容の出力時間とを対応付けたアナウンス情報を記憶する。ここで、図4Aおよび図4Bを用いて、記憶部31が記憶するアナウンス情報の例を説明する。
【0033】
図4Aは、記憶部31が記憶するアナウンス情報のデータ構造を示す図である。図4Aに示すように、アナウンス情報は、イベント種別と、アナウンス内容と、アナウンス内容の出力時間とを対応付けた情報である。
【0034】
ここで、イベント種別とは、アナウンスを報知するトリガーとなるイベントの種別を示すものである。イベント種別の例としては、火災、地震などの管制運転に関するものや、催し物等の案内に関するもの等がある。
【0035】
図4Bは、記憶部31が記憶するアナウンス情報の具体的なデータ例を示す図である。図4Bに示すように、イベント種別が「火災」であるアナウンス内容には、日本語のアナウンス内容、英語のアナウンス内容、中国語のアナウンス内容、韓国語のアナウンス内容が含まれる。このように、アナウンス情報には、「火災です。降りてください。」というアナウンス内容について、複数言語分の内容が含まれる。また、アナウンス情報には、アナウンス内容を出力するために要する時間である出力時間も含む。出力時間は、例えば、単位は、秒であり、全ての言語を出力するための時間を示す。なお、出力時間は、各言語の出力時間を含むようにしてもよい。
【0036】
また、図4Bに示すように、記憶部31は、イベント種別が「地震」であり、互いのアナウンス内容の出力時間が異なるアナウンス情報を複数記憶している。例えば、記憶部31は、出力時間が15秒であり、日本語のアナウンス内容が「地震です。ドアが開いたら足元に注意して降りてください。」であるアナウンス情報を記憶している。また、記憶部31は、出力時間が10秒であり、日本語のアナウンス内容が「地震です。降りてください。」であるアナウンス情報を記憶している。また、記憶部31は、出力時間が5秒であり、日本語のアナウンス内容が「地震」であるアナウンス情報を記憶している。
【0037】
このように、記憶部31は、同一のイベント種別で、標準レベルのアナウンス内容のアナウンス情報(図4Bのイベント種別「地震」であり、出力時間15秒のアナウンス情報)と、当該標準レベルの短縮版のアナウンス内容のアナウンス情報(図4Bのイベント種別「地震」であり、出力時間10秒のアナウンス情報)と、単語レベルのアナウンス内容のアナウンス情報(図4Bのイベント種別「地震」であり、出力時間5秒のアナウンス情報)を記憶する。
【0038】
図3に戻り、記憶部31は、上述のアナウンス情報以外に、かご内カメラ24が撮像した画像を記憶する。
【0039】
検知部32は、イベントを検知する部分である。検知部32は、当該緊急地震速報装置から緊急地震速報を受信することで、地震を検知する。また、検知部32は、建物の火災を検知する装置または、建物の火災発生を通知する監視装置から火災が発生した旨の情報を受信することで、火災を検知する。また、検知部32は、広告指示する装置から広告指示を受信することにより、催し物等の広告指示を検知するようにしてもよい。また、検知部32は、イベントを検知すると、イベントを検知した旨を時間算出部33および推定部34へ通知すると共に、音声出力制御部35へ検知したイベント種別を通知する。
【0040】
時間算出部33は、かご110の位置から到着位置までの時間を算出する。時間算出部33は、検知部32からイベントを検知した旨を受信すると、位置検出器からかご110の位置を検出する。また、時間算出部33は、制御部30から移動パターンの情報や応答階床の情報を取得する。時間算出部33は、現在のかご110の位置から応答階床までの距離と、移動パターンが示すかご110の速度とに基づいてかご110の走行時間を算出する。時間算出部33は、算出した走行時間を音声出力制御部35へ送出する。
【0041】
推定部34は、かご110内の撮像画像に基づいて、かご110の利用者の国籍を推定する部分である。推定部34は、検知部32からイベントを検知した旨を受信すると、かご110内の撮像画像を解析して、利用者の国籍を推定する。ここでいう利用者の国籍として、国自体ではなく、所定のエリア(アジア、欧米等)を含む。なお、画像解析した結果に基づいて利用者の国籍を推定する技術は、公知の画像処理技術により実現できる。推定部34は、推定した国籍を音声出力制御部35へ送出する。
【0042】
音声出力制御部35は、検知部32により、イベントが検知された場合、検知されたイベント種別に対応するアナウンス情報のうち、アナウンス内容の出力時間と時間算出部33により算出された時間とに基づいて定められたアナウンス情報のアナウンス内容をかご110に出力させる。
【0043】
検知部32が、イベントを検知すると、音声出力制御部35は、検知部32からイベント種別を取得し、時間算出部33から走行時間を取得する。音声出力制御部35は、記憶部31を参照し、イベント種別に対応し、且つ出力時間が、走行時間より短いものの中で最も長いアナウンス内容の情報を取得する。なお、音声出力制御部35は、出力時間が、走行時間より、予め定めている許容時間(例えば、2秒)程度超える場合、当該出力時間に対応するアナウンス内容の情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
音声出力制御部35は、取得したアナウンス内容をかご110へ出力し、かごスピーカ22に当該アナウンス内容を音声出力させる。この場合、かごスピーカ22は、例えば、アナウンス内容における、日本語、英語、中国語、および韓国語のそれぞれを出力する。このように、音声出力制御部35は、アナウンス内容をかご110へ出力することで、複数言語分のアナウンス内容をかご110に出力させる。
【0045】
なお、音声出力制御部35は、許容時間を超えるアナウンス内容を取得した場合、かご110へ当該アナウンス内容を出力する際、同時出力指示をするようにしてもよい。
【0046】
ここで、図5を用いて、かご110の走行時間に基づいて、アナウンス内容を変える例を説明する。図5は、走行時間に基づいて、アナウンス内容を変える例を説明する図である。
【0047】
図5の例では、かご110が1階まで移動するものとする。かご110が、4階を少し過ぎるぐらいの位置にいる場合、走行時間が多いので、音声出力制御部35は、標準レベルのアナウンス内容を音声出力させる。
【0048】
また、かご110が、3階ぐらいの位置にいる場合、十分な走行時間があるわけではないので、短縮版のアナウンス内容を音声出力させる。また、かご110が、2階ぐらいの位置にいて、短縮版のアナウンス内容の出力時間が許容時間程度超えるとき、音声出力制御部35は、当該短縮版のアナウンス内容を同時に出力させる。また、かご110が、2階を出発したぐらいの位置にいる場合、ほとんど出力する余力がないので、音声出力制御部35は、単語レベルのアナウンス内容を出力させる。
【0049】
図3に戻り、音声出力制御部35は、単語レベルのアナウンス内容を出力する場合、着床階のスピーカ(例えば、基準階スピーカ12)に標準のアナウンス内容を出力させるようにしてもよい。
【0050】
また、音声出力制御部35は、推定部34から取得した国籍に基づいて、出力するアナウンス内容を絞るようにしてもよい。例えば、推定部34から取得した国籍の情報がアジア系のみである場合、音声出力制御部35は、日本語、中国語、および韓国語のアナウンス内容を出力する。このように、音声出力制御部35は、推定部34により推定された国籍に対応する言語のアナウンス内容をかご110へ出力させる。
【0051】
続いて、図6を用いて、イベントに応じたアナウンス内容の出力処理手順を説明する。図6は、イベントに応じたアナウンス内容の出力処理の手順を説明するフローチャートである。
【0052】
まず、検知部32が、イベントを検知すると(ステップS1)、時間算出部33が、かご110の現在位置等に基づいて走行時間を算出する(ステップS2)。音声出力制御部35は、検知されたイベント種別に対応するアナウンス情報のうち、アナウンス内容の出力時間と時間算出部33により算出された時間とに基づいて定められたアナウンス情報を検索し(ステップS3)、検索したアナウンス情報のアナウンス内容をかご110に音声出力させる(ステップS4)。
【0053】
なお、上述の実施形態では、同一のアナウンス内容で、複数言語分の内容を記憶する場合について述べたが、これに限られず、日本語のみ等、一言語の内容を記憶するようにしてもよい。
【0054】
本実施形態に係る制御装置160では、記憶部31が、同一のイベント種別で、標準レベルのアナウンス内容のアナウンス情報と、当該標準レベルの短縮版のアナウンス内容のアナウンス情報と、単語レベルのアナウンス内容のアナウンス情報を記憶する。音声出力制御部35は、検知部32により、イベントが検知された場合、検知されたイベント種別に対応するアナウンス情報のうち、アナウンス内容の出力時間と時間算出部33により算出された時間とに基づいて定められたアナウンス情報のアナウンス内容をかご110に出力させる。
【0055】
このように、記憶部31で、同一のイベント種別で、複数のアナウンス情報を記憶しておき、音声出力制御部35が、時間算出部33により算出された走行時間に基づきアナウンス内容を出力させることで、かご110が着床してしまう前にアナウンス内容を報知させることができる。すなわち、制御装置160は、適切にアナウンス内容を出力することができる。
【0056】
また、記憶部31は、同一のアナウンス内容で、複数言語分の内容を記憶し、音声出力制御部35は、複数言語分のそれぞれのアナウンス内容をかご110に出力させる。これにより、制御装置160は、かご110に様々な国の人が乗っていたとしても、利用者にアナウンス内容を理解させることができる。
【0057】
また、推定部34は、かご110の利用者の国籍を推定し、音声出力制御部35は、推定した国籍に対応する言語のアナウンス内容を出力する。これにより、制御装置160は、利用者に適したアナウンス内容に絞って音声出力させるので、不要なアナウンス内容まで音声出力してしまうことを防止することができる。
【0058】
また、音声出力制御部35は、かご110に出力させるアナウンス内容のアナウンス情報と同一のイベント種別で、最も長い出力時間のアナウンス内容を着床対象の階のスピーカ(例えば、基準階スピーカ12)へ出力させることで、着床対象のホールへ出力させる。このように、音声出力制御部35は、かご110内だけでなく、着床先でも音声出力させることで、かご110内で単語レベルのアナウンス内容を出力していたとしても、着床先でより分かりやすいアナウンスを出力することで、利用者にアナウンス内容をより確実に理解させることができる。
【0059】
上述の制御装置160で実行されるプログラムは、上述した図3の制御装置160の機能ブロックのうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…エレベータシステム、10…乗り場報知装置、11…基準階表示装置、12…基準階スピーカ、13…基準階呼びボタン、14…基準階カメラ、20…かご内報知装置、21…かご表示装置、22…かごスピーカ、23…かご呼びボタン、24…かご内カメラ、30…制御部、31…記憶部、32…検知部、33…時間算出部、34…推定部、35…音声出力制御部、100…エレベータ、110…かご、140…巻上機、160…制御装置、2001~n 乗り場。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6