(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】シート用途のための空気透過性コンポジット
(51)【国際特許分類】
B32B 3/24 20060101AFI20220905BHJP
B32B 7/02 20190101ALI20220905BHJP
A47C 27/15 20060101ALI20220905BHJP
D06N 3/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B32B3/24 Z
B32B7/02
A47C27/15 A
D06N3/00
(21)【出願番号】P 2020501340
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 US2018042061
(87)【国際公開番号】W WO2019014575
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-21
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519258493
【氏名又は名称】セイジ・オートモーティブ・インテリアズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sage Automotive Interiors, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・マイケル・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ディ・コーリー
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-139147(JP,U)
【文献】特開2016-129994(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106715122(CN,A)
【文献】国際公開第2014/097999(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299944(US,A1)
【文献】特開2005-052298(JP,A)
【文献】特表2007-538162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0134464(US,A1)
【文献】特開2016-078628(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012011221(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D06N 1/00-7/06
A47C 27/00-27/22
31/00-31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート用途に使用するためのシート材であって、
前記シート材は表面層及び背面スクリム層を有して成り、
前記表面層は、表面層を通じる空気流れに適した穿孔のアレイを有し、及び
前記背面スクリム層は、美的特徴を有し、通気性のあるコンポジット材を形成するために前記表面層に接着又は積層され、該通気性のあるコンポジット材はシート用途のために該
通気性のあるコンポジット材を通じて空気流れを与えるようになって
おり、
125パスカル静圧におけるASTM D737で試験した際に、前記通気性のあるコンポジット材の表面層が5.66m
3
/分(200CFM)以上の空気流れおよび前記背面スクリム層が8.50m
3
/分(300CFM)以上の空気流れを有する、
シート材。
【請求項2】
前記表面層がシート材を通じる加熱
または冷却された空気流れに適する、請求項1に記載のシート材。
【請求項3】
前記表面層が、5.66m
3/分(200CFM)~11.33m
3/分(400CFM)の空気流れを有する、請求項2に記載のシート材。
【請求項4】
前記表面層が7.08m
3/分(250CFM)以上の空気流れを有する、請求項1に記載のシート材。
【請求項5】
前記表面層が少なくとも8.50m
3/分(300CFM)の空気流れを有する、請求項
4に記載のシート材。
【請求項6】
前記表面層がスエードである、請求項1に記載のシート材。
【請求項7】
前記背面スクリム層が8.50m
3/分(300CFM)~16.99m
3/分(600CFM)の空気流れを有する、請求項
1に記載のシート材。
【請求項8】
前記背面スクリム層が11.33m
3/分(400CFM)以上の空気流れを有する、請求項
1に記載のシート材。
【請求項9】
前記背面スクリム層が少なくとも14.16m
3/分(500CFM)の空気流れを有する、請求項
8に記載のシート材。
【請求項10】
前記背面スクリム層が8.50~16.99m
3/分(300~600CFM)の空気流れを有しおよび前記表面層が5.66~11.33m
3/分(200~400CFM)の空気流れを有する際、前記
通気性のあるコンポジット材が3.26m
3/分(115CFM)以上の空気流れを有する、請求項1に記載のシート材。
【請求項11】
前記表面層が9.12m
3/分(322CFM)の空気流れを有しおよび前記背面スクリム層が15.94m
3/分(563CFM)の空気流れを有する際、前記
通気性のあるコンポジット材が4.02m
3/分(142CFM)の空気流れを有する、請求項
10に記載のシート材。
【請求項12】
前記美的特徴が色彩である、請求項1に記載のシート材。
【請求項13】
接着層をさらに有して成り、前記背面スクリム層が
前記通気性のあるコンポジット材を形成するために前記接着層を介して前記表面層に接着されており、前記
通気性のあるコンポジット材は通気性を有する、請求項1に記載のシート材。
【請求項14】
前記
通気性のあるコンポジット材が100N以上の引裂強度を有する、請求項
13に記載のシート材。
【請求項15】
シート用途に使用するためのシート材を作製するための方法であって、
表面層を通る空気流れに適した穿孔のアレイを有する表面層を供するステップ、
前記穿孔を通じて見える美的特徴を有する背面スクリム層を供するステップ、
前記背面スクリム層を前記表面層に接着又は積層して、コンポジット材を形成するステップ
を含み、
前記コンポジット材は、シート用途に使用するため通気性がありかつコンポジット材を通じて空気流れを与えるようになって
おり、
125パスカル静圧におけるASTM D737で試験した際に、前記コンポジット材の表面層が5.66m
3
/分(200CFM)以上の空気流れおよび前記背面スクリム層が8.50m
3
/分(300CFM)以上の空気流れを有する、
シート材を作製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許法第119(e)の下で、2017年7月14日に出願された、米国仮特許出願第62/532,510号から優先権を主張し、その出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は穿孔された(又は穴を開けられた;perforated)、不織布スエードに一般的に関する。より具体的には、本発明はこれらの材料に空気流れ(通気流又は気流又はエア・フロー;air flow)及び美的(又は審美的、又は美しさのある;aesthetic)特徴を授けることに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、シート(又は座位、又は座部、又は座席;seating)用途(又はアプリケーション;applications)マーケットは孔、すなわち、穿孔(又は穴あき、又は開いた穴;perforation)を有して成る不織布スエードを提供する。これらのスエードは、加熱及び/又は冷却シートでの使用の際に、穿孔を通じる一定の空気流れの仕様を満たすことが求められる。
【0004】
穿孔又は貫通孔のサイズ及び総数(又は数;population)は空気流れに肯定的な(又は良い;positively)又は否定的(又は悪い;negatively)影響を与え得る。空気流れが問題であるのみならず、穿孔の特徴が材料全体に美しさ(又は審美性;aesthetic)を授ける能力を制限し得る。例えば、装飾用のスクリムは、穿孔の穴を通じて美しさ(色、テクスチャなど)を示すために穿孔の背部に有して成り得ることできる。
【0005】
しかしながら、装飾用のスクリムが穿孔された材料の背部に添えられる際(穿孔の総数及び穴のサイズに関わらず)、空気流れがコンポジット(又は複合体又は複合材;composite)を通じて制限されることを、先行の取り組みが示している。穿孔された面及び装飾用背面材(又は裏地;backing)の現在の典型的なコンポジットは、20CFM(立方フィート毎分)程度の低さを有して成る、ほとんどの規格(又は標準、又は基準;standard)よりも著しく低い貫通孔を通じた通気性(又は空気透過性;air permeability)を結果としてもたらす。
【0006】
従って、穿孔された材料に対し、美的特徴をもたらすこともできる通気性(又は空気透過性;air permeable)のある装飾用背面スクリムを供する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を供するために、単純化した本発明の概要を示す。この概要は本発明の広範囲な概観ではない。本発明の極めて重要な又は重大な要素を特定すること及び/又は本発明の範囲を線引きすることを意図しておらず、しかしながら、下記に続くより詳細な説明への導入として、単純化した形態で本発明の概念を示すことを意図している。
【0008】
本発明はシート用途に使用される材料を有して成り得る。本発明の一実施形態では、材料は通気性があり及び/又は空気の流れを与える(又は可能とする;allow the flow of air)背面材を有して成り得る。本発明の他の実施形態では、材料は、シート用途に使用するためのコンポジット材を形成するための、穿孔された層に適用される通気性のある背面スクリム層であり得る。さらに他の実施形態では、本発明は色彩等の美的特徴を有する通気性のある背面スクリムに接着される、穿孔された、スエードの不織布層を有して成るシートコンポジット材を有して成り得る。本発明のさらに他の実施形態では、コンポジット材は、スパン-レース接着材(spun-laced adhesive)、ウェブ、熱活性化接着剤、又は粉末接着材等の接着材を介して組み合わされ得る通気性のある層を有して成り得る。
【0009】
本発明は、材料を作製するための方法も含み得る。本発明の一実施形態では、当該方法は通気性のある表面層(又は表側層又は表地;surface layer)を供するステップ、通気性のある背面スクリム層を供するステップ、及び表面層を背面スクリム層に接着させてシート用途に使用するための通気性のあるコンポジット材を形成するステップ、を含み得る。
【0010】
本発明は、シート用途に使用するためのシート材もまた有して成り得る。当該シート材は、通気性のあるコンポジット材を形成するために表面層に接着又は積層される、美的特徴を有する背面層(又は裏側層;backing layer)と一体的に、表面層を通じる空気流れに適した穿孔のアレイを有する表面層を有する。当該通気性のあるコンポジット材は、シートのためにコンポジット材を通じて十分な空気流れを与えるようになっている(又は可能となっている;adapted to allow sufficient airflow)。
【0011】
本発明は、シート用途に使用するためのシート材を作製するための方法をさらに含み、穿孔を通じる空気流れに適した穿孔のアレイを有する表面層を供すること、穿孔を通して見ることができる美的特徴を有する背面層を供すること、さらに、背面層を表面層に接着し又は積層して、シート用途に使用するための通気性があり及び十分な空気流れを与えるようになっているコンポジット材を形成することを含む。
【0012】
他の特徴及びこれらの利点は、実施形態の詳細な説明を注意深く読むことから、本発明に関連する当業者、技術および設備にとって容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態による装飾用背面を組み込むコンポジット材の写真である。
【0014】
【
図2】
図2は本発明の一実施形態による装飾用背面を組み込むコンポジット材の写真である。
【0015】
【
図3】
図3は本発明の一実施形態による穿孔された材料の写真である。
【0016】
【
図4】
図4は本発明の一実施形態による穿孔された材料の写真である。
【0017】
【
図5】
図5は本発明の一実施形態による通気性のある背面材の写真である。
【0018】
【
図6】
図6は本発明の一実施形態による接着ウェブの写真である。
【0019】
【
図7】
図7は本発明の一実施形態によるコンポジット材の写真である。
【0020】
【
図8】
図8は本発明の一実施形態によるコンポジット材の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、シート製品に関する材料、方法及びシステムを含んで成る。本発明の代替となる実施形態を
図1~8に示し、下記にて詳細に説明する。
【0022】
本発明は、シート材を有して成り得る。本発明の一実施形態では、シート材は通気性があり及び/又は空気の流れを可能とし得る。本明細書で使用される、用語“通気性がある”は、十分な空気透過性がある材料を指し、及び/又は十分な量の空気がシート用途に使用するため適切な速度で通過することを可能にする材料を指す。本発明の一実施形態では、約115ft3/分/ft2(CFM)以上の全体的な空気流れがある場合、1より多い範囲で全て組み合わされた層を有して成る、シート材は十分な空気透過性又は“通気性がある”。
【0023】
他の実施形態では、シート材は適切な引裂強度を有し得る。例えば、シート材は、単一材料で約50N(ニュートン(kg・m/秒2))以上、コンポジット材で約100N以上のトラぺゾイド(trapezoidal)(トラップ)引裂強度を有し得る。
【0024】
本発明の他の実施形態では、シート材料は、シート用途に使用するための通気性のあるコンポジット材を形成するため、穿孔された層等通気性のある表面層に適用され得る、通気性のある背面スクリム層であり得る。例えば、通気性のある表面層は約250CFM以上の空気流れを有し得る。他の例では、通気性のある表面層は少なくとも322CFMであり得る。
【0025】
さらに他の実施形態では、本発明は、色彩等の美的特徴を有し得る通気性のある背面スクリムに接着された、穿孔されたスエードの不織布層を有し得るシートコンポジット材を有して成り得る。例えば、通気性のある背面スクリムは約400CFM以上の空気流れを有し得る。他の例として、通気性のある表面層は少なくとも500CFMであり得る。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態では、通気性のあるコンポジット材層は接着材ウェブ、スパンレース接着剤、熱活性接着剤、又は粉接着剤により結合され得て、いずれの接着材も全体のコンポジット材に関して十分な通気性能力を維持する必要がある。例えば、通気性のあるコンポジット材は少なくとも115CFMであり得る。他の例では、通気性のあるコンポジット材は、少なくとも125CFMであり得る。
【0027】
本発明は通気性のあるシート材を作製するための方法もまた含み得る。本発明の一実施形態では、当該方法は通気性のある表面層を供するステップ、通気性のある背面スクリム層を供するステップ、及び表面層を背面スクリム層に接着しシート用途に使用するための通気性のあるコンポジット材を形成するステップを含み得る。
【0028】
例示的な一実施形態では、当該材料は、全体のコンポジットシート材を形成するため追加の層に接着され得る、通気性のある装飾用のスクリムを有して成り得る。例えば、穿孔されたスエードに適切な接着材を用いてつけられる際、穿孔されたコンポジットは、適切な空気流れを供することができ、更に穿孔を通じて色彩等の美的特徴を表示することができる。
【0029】
他の例示的な実施形態では、本発明は、美しさの創作を独自に(又はユニークに、又は一意的に;uniquely)可能とするコンポジット(穿孔スエード+接着材+特別に構成された装飾背面材)の好ましいバランス(又は調和;balance)を有して成る。
【0030】
更に他の例示的な実施形態では、本発明は、接着材層により結合される表面層及び背面層を有するコンポジットを有して成る。コンポジットの表面層の一例は、(アメリカ合衆国サウスカロライナ州グリーン・ビルの)セージ・オートモティブ社(Sage Automotive,Inc.)の(一定の穴サイズ、密度、及び穴の総数を有する)穿孔された不織布ダイナミカ(Dinamica)(登録商標)の自動車用スエード製品を有して成り得る。代替として、表面層は 他のスエードや革製品を有して成り得る。この実施形態では、表面層は約200CFM以上の空気流れを有し得る。他の例では、表面層は約200CFM~約400CFMの間の空気流れを有し得る。
【0031】
背面層は通気性のある装飾用スクリムであり、当該スクリムはニット材であり得る。例示的な一実施形態は、ヘッドライナーのたて糸ニット材(又は車内天井部のたて糸ニット材;headliner warp knit material)を含み得る。代替として、当該材料は通気性のある丸編み物(又は丸編みニット又はサーキュラー・ニット;circular knit)であり得る。他の代替として、通気性のある装飾用スクリムは空気流れ性のみならず一定のトラップ引裂強度を有する。さらに他の実施形態では、スクリムは織物、又は不織布の構造を有し得るが、シート用途に使用するための十分な通気性能がある。この実施形態では、背面層は約300CFM以上の空気流れを有し得る。他の実施形態では、背面層は約300CFM~約600CFMの空気流れを有し得る。
【0032】
他の実施形態では、通気性のあるコンポジット材は、全体として約142CFMの空気流れを有するコンポジットを形成するため、約563CFMの空気流れを有する背面スクリム層に接着される、約322CFMの空気流れを有する穿孔材の表面層によって形成され得る。
【0033】
本発明は、スペーサー又は背面層に取り付けられることに比べて(又は対して;versus)、タック縫い(又は部分縫い;tack sewn)であるスタンドアロン(又は単独又は独立;standalone)材のためのオプション(又は選択;option)もまた有して成り得る。例えば、そのような材料は、背面スクリムなしで、スペーサー生地(又は空間付生地;spacer fabric)を穿孔構造(又はデザイン;design)に直接積層することにより形成され得る。この例では、スタンドアロン材はシート用途に使用するための十分な通気性があることが好ましい。
【0034】
本発明の他の実施形態では、コンポジット材は、穿孔を有する表面層と、丸編み物構造等のニット材であり、更にコンポジット材を通じて必要な空気流れが維持されるとともに装飾用背面スクリムの色彩を穿孔を通じて示すことが可能な通気性のある装飾用背面スクリムとを含んで成り得る。当該コンポジット材は、 空気流れ/空気透過性の仕様を満たす必要があるシート用途で作用するためスペーサー背面又はラミネートに材料が縫い付けられる又は取り付けられることを含む、代替の方法により作製され得る。
【0035】
本発明の特徴は、十分な空気流れを可能にする又は通気性がある孔を有する装飾用シート材を有して成る。高レベルの貫通孔のサイズ、密度、及び総数を利用している従来の方法では、その結果として得られる材料は引裂強度の要求を満足しない。本発明では、二棒針編物スペーサー生地(又はダブル・ニードル・バー・ニット・スペーサー・ファブリック;double needle bar knit spacer fabric)等の、編み織り生地(又はニット・ファブリック;knit fabric)を有して成るスペーサー、又は他の背面層が引裂強度を強化するために使用される。
【0036】
さらに他の実施形態では、本発明は、穿孔された不織布のスエード等の表地(又は生地;face fabric);特別に構成された装飾用背面スクリム;及びシート用途のための通気性のあるコンポジット材を一体的に形成する層を結合するための接着剤を有して成り得る。
【0037】
例示的な一実施形態では、背面スクリム層が使用され得る。当該背面スクリム層は、二棒針編スペーサー生地等のスペーサーを含み、加熱及び/又は冷却シート材に取り付けられる又は積層される。別の実施形態では、十分な空気流れが達成される条件ならば、発泡体及びスクリムが使用され得る。
【0038】
さらに他の実施形態では、接着材は、スパンレース又は粉体分散ラミネート(又は分散積層材;scatter lamination)であり得る。あるいは、空気流れに悪影響を与えることなくコンポジット層を積層する他の手段が使用され得る。他の実施形態では、接着層又は構成要素は、使用される場合、結合された層が容易に剥がれない又は外れないような十分な結合強度を供し得る。
【0039】
本発明の特徴は、十分な空気流れを可能にする又は通気性のある孔を有する装飾用シート材を有して成る。高レベルの貫通孔のサイズ、密度、及び総数を用いる先行の方法では、結果として得られる材料は引裂強度の要求を満足しない。本発明では、二棒針編スペーサー生地等の編み織り生地を有して成り得るスペーサー又は背面スクリム又は他の背面が、引裂強度を強化するために使用され得る。この増加された引裂強度は、コンポジット材に十分な空気流れを授けるために効果的な空孔率(又は気孔率;porosity)を有する材料によりバランスが保たれている。空気透過率に対する重要な要素は、穿孔ドット総数の影響、接着材の空気透過率、及び特別に構成された装飾用スクリムの空気透過率であり得る。
【0040】
図1~8には、本発明の一実施形態によるコンポジットの例示的な構成要素の写真を示す。例示的な一実施形態では、本発明は シート用途に使用するための通気性のある層を形成するために接着又は結合される表面層及び装飾背面層のコンポジットであるシート材を有して成り得る。この例示的な実施形態では、シート材は少なくとも115ft
3/分/ft
2である空気流れを含んでよく、シート材のトラップ引裂強度は約100N以上である。
【0041】
他の例示的な実施形態では、本発明は、約300~約600CFMの範囲の空気流れを有する背面スクリム層、及び約200~約400CFMの範囲の空気流れを有する表面層を有するコンポジット材を有して成り得て、背面スクリム層及び表面層がコンポジットの空気流れが全体で少なくとも115CFM以上となるように接着材で結合される。
【0042】
さらに他の例示的な実施形態では、本発明は、背面スクリム層が接着剤により表地層と結合するコンポジット材を有して成り得る。一例では、背面スクリムは400CFMより大きく、表地層は250CFMより大きい。
【0043】
さらに他の例示的な実施形態では、本発明は、背面スクリム層が接着剤により表地層と結合するコンポジット材を有して成り得る。一例では、背面スクリムは500CFMより大きく、表地層は300CFMより大きい。
【0044】
さらに他の例示的な実施形態では、本発明は、背面スクリム層が接着剤により表地層と結合するコンポジット材を有して成り得る。一例では、背面スクリム層は約563CFMで表地は約322CFMであり、結合時にこれらの層は約142CFMであるコンポジットを形成する。
【0045】
商業的に利用可能な材料と比較として本発明の代替となる実施形態の一つ以上の例の特徴を下記に示す。
【0046】
表1:代替となる穿孔された表面層における空気透過性データ
【0047】
表2:代替となる丸編み背面スクリム層の空気透過性及び引裂強度
【0048】
表3:代替となる穿孔された表面層の空気透過性及び引裂強度
【0049】
これらの結果は、背面層の適切な空孔率を選択することと、当該背面層を好ましい穿孔のアレイ及びサイズを有する表面層等の適切な表面層と結合することとが、コンポジット材の全体の通気性能及び強度に影響を与え得るということを示す。本発明の空気透過率、トラップ引裂強度、及び破壊強度は、通気性があり、装飾性があり、及び機能的であるシート材を達成するように調整される。
【0050】
本発明は、本明細書で説明されたようなコンポジットを作製するための方法もまた含む。本発明の一実施形態では、コンポジットの表面層に孔を開けるための穿孔装置が供され得る。層を結合するための接着積層(又は接着ラミネート加工;adhesive lamination)もまた供され得る。次いで、穿孔された表面層を形成し得る。背面層を形成し得る。最後に、穿孔された表面層及び背面層のコンポジットを、接着材成分(又は接着材コンポーネント;adhesive component)で両層を結合することによって形成し得る。例示的な一実施形態では、接着材成分は熱活性接着材、スパンレース接着剤、粉体ラミネート(又は粉積層;powder lamination)、又は十分な空気流れと結合強度を維持する別の適切な接着材であり得る。
【0051】
本発明の他の例示的な実施形態では、プロセス・パラメーター(又は工程因子;process parameters)は本明細書で説明されたようなコンポジットシート材の作製を可能とし得る。例えば、あるパラメータが、シートのためのコンポジット材の摩耗(abrasion)、可燃性(flammability)、つなぎ目強さ(seam strength)、引裂強度(tear strength)、引っ張り強度(tensile strength)を強化するために使用され得る。
【0052】
当業者によれば、好ましい実施形態の前述の説明から、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく置き換え及び修正をすることができることを理解されよう。