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特許7135077ホットアイソスタティックプレスのためのバックアップ冷却
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ホットアイソスタティックプレスのためのバックアップ冷却
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
B30B11/00 V
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020515885
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 FR2018052259
(87)【国際公開番号】W WO2019053386
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】1758636
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジャウエン
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・オーティシエ
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-017892(JP,A)
【文献】特開昭50-104706(JP,A)
【文献】特開平07-174472(JP,A)
【文献】米国特許第04301320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイスであって、前記プレスは、圧縮チャンバー(1)と、ガスリザーバ(14)と、前記ガスリザーバと前記圧縮チャンバーとの間のガスの第1の循環回路と、を含み、
前記バックアップ冷却デバイスは、
ガスと冷却液との間の第1の熱交換器(4)を備えた冷却液のリザーバ(3)と、
前記リザーバ(3)と、前記圧縮チャンバーの周りに配置された冷却回路(17)と、を含む閉ループを形成する冷却液の循環回路と、
接続バルブ(8)からガスの前記第1の循環回路まで延在すると共に前記第1の熱交換器(4)を含む、ガスの第2の循環回路と、
前記ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合に前記接続バルブ(8)を開放し、それ以外の場合に前記接続バルブ(8)を閉鎖するために、前記接続バルブ(8)を制御することができる制御モジュール(CMD)と
を含むことを特徴とするホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項2】
前記冷却液の前記循環回路が、ガスの前記第2の循環回路内のガスの循環によって作動させられる第1の循環ポンプ(6)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項3】
前記制御モジュールはさらに、前記第1の熱交換器(4)の入口でのガスの温度が第1の所定値よりも低い場合に、前記接続バルブ(8)を制御して、それを閉鎖することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項4】
前記制御モジュールはさらに、前記チャンバーの周りの冷却液の温度が第2の所定値よりも高い場合に、前記接続バルブ(8)を制御して、それを開放することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項5】
冷却液の前記リザーバ(3)内の冷却液の前記循環回路の入口に配置された、ガスと冷却液との間の第2の熱交換器(2)を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項6】
前記接続バルブ(8)が常時開放バルブであることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項7】
ガスの前記第1の循環回路がさらに、前記圧縮チャンバーの出口バルブ(7)および前記ガスリザーバの出口バルブ(10)を含み、前記制御モジュールは、前記ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合でかつガスの前記第2の循環回路内のガスの圧力が所定値よりも高い限り、前記圧縮チャンバーの前記出口バルブ(7)を開放するために、それを制御し、かつ、前記ガスリザーバの前記出口バルブ(10)を閉鎖するために、それを制御することが可能であることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合でかつガスの前記第2の循環回路内のガスの圧力が所定値よりも低い場合に、前記圧縮チャンバーの前記出口バルブ(7)を閉鎖するために、それを制御し、かつ、前記ガスリザーバの前記出口バルブ(10)を開放するために、それを制御することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項9】
前記バックアップ冷却デバイスは、圧縮空気のリザーバ(20)と、圧縮空気の前記リザーバ(20)の出口バルブ(21)と、冷却液の前記リザーバ内の第3の熱交換器(23)と、エキゾーストと、を連続的に含む圧縮空気の循環回路を含み、前記制御モジュールは、前記ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合で、かつ、ガスの前記第2の循環回路内のガスの圧力が所定値より低い場合に、前記圧縮チャンバーの前記出口バルブ(7)を閉鎖するために、それを制御し、かつ、圧縮空気の前記リザーバの前記出口バルブ(21)を開放するために、それを制御することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項10】
冷却液の前記リザーバ(3)内の冷却液の循環回路の入口に配置された、圧縮空気と冷却液体との間の第4の熱交換器(24)を含むことを特徴とする、請求項9に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項11】
冷却液の前記循環回路はさらに、圧縮空気の前記循環回路内での圧縮空気の循環によって作動させられる第2の循環ポンプ(25)を含むことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載のホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイス。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のバックアップ冷却デバイスを備えたホットアイソスタティックプレス。
【請求項13】
ホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却方法であって、前記プレスは、圧縮チャンバー(1)と、ガスのリザーバ(3)と、前記ガスのリザーバと前記圧縮チャンバーとの間のガスの第1の循環回路と、を含み、
前記方法は、
前記ホットアイソスタティックプレスの動作中にテクニカルアラームを検出するステップ(E1)と、
前記圧縮チャンバー(1)をガスの第2の循環回路と連通させるステップ(E4)であって、前記第2の循環回路は、接続バルブ(8)からガスの前記第1の循環回路まで延在すると共に、冷却液のリザーバ内に配置された第1の熱交換器(4)と、前記リザーバ(3)および前記圧縮チャンバーの周りに配置された冷却回路(17)を含む閉ループを形成する冷却液の循環回路と、を含むステップ(E4)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されるときに、請求項13に記載の方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の方法のステップの実行のための命令を含むコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、HIPと呼ばれ、あるいはCICと呼ばれるホットアイソスタティックコンパクション(熱間等静圧締め固め)と同義のホットアイソスタティックプレス(熱間等静圧圧縮成形)の分野に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、ホットアイソスタティックプレスのバックアップ冷却に関する。
【背景技術】
【0003】
ホットアイソスタティックプレスのバックアップ冷却は、プレスの使用中のテクニカルアラーム、例えば緊急遮断、プレスの電力源の故障あるいは循環ポンプの故障などに続いて稼働する。
【0004】
ホットアイソスタティックプレスにおいてバックアップ冷却を行う第1の既知の方法はロストウォーターを使用する。ロストウォーターによる冷却は工業用排水を発生させるが、これは、その後、冷却回路を空にし、腐食防止製品を充填することを強いる。
【0005】
ホットアイソスタティックプレスにおいてバックアップ冷却を行うための第2の既知の方法は、発電機を使用して循環ポンプを作動させたままにすることである。発電機を使用すると、追加の財務コストが発生し、追加のメンテナンスが必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却デバイスを提供することにより、先行技術の問題を解決することを目的としており、当該プレスは、圧縮チャンバーと、ガスのリザーバと、ガスのリザーバと圧縮チャンバーとの間のガスの第1の循環回路とを含み、デバイスは、
ガスと冷却液との間の第1の熱交換器を備えた冷却液のリザーバと、
リザーバと、圧縮チャンバーの周囲に配置された冷却回路とを含む閉ループを形成する冷却液の循環回路と、
接続バルブからガスの第1の循環回路まで延在すると共に第1の熱交換器を含むガスの第2の循環回路と、
ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合には接続バルブを開き、それ以外の場合にはそれを閉じるために接続バルブを制御することができる制御モジュールとを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明により、ホットアイソスタティックプレスのバックアップ冷却は、プレスに蓄積された空気圧エネルギーを使用して自律的に行われる。
【0008】
上記デバイスは、冷却流体の循環およびその冷却を実現するために、圧縮ガスの膨張によって生じたエネルギーを使用する。上記デバイスは、閉回路での冷却回路の動作を可能にする。
【0009】
好ましい特徴によれば、冷却液の循環回路は、ガスの第2の循環回路内でのガスの循環によって作動させられる第1の循環ポンプをさらに含む。
【0010】
好ましい特徴によれば、制御モジュールはまた、第1の熱交換器の入口でのガスの温度が第1の所定値よりも低い場合に、接続バルブを制御して、それを閉鎖する。
【0011】
好ましい特徴によれば、制御モジュールはまた、チャンバーの周りの冷却液の温度が第2の所定値よりも高い場合に、接続バルブを制御して、それを開放する。
【0012】
好ましい特徴によれば、バックアップ冷却デバイスは、冷却液のリザーバ内の冷却液の循環回路の入口に配置された、ガスと冷却液との間の第2の熱交換器を含む。
【0013】
好ましい特徴によれば、接続バルブは常時開放バルブである。
【0014】
好ましい特徴によれば、ガスの第1の循環回路はまた、圧縮チャンバーの出口バルブおよびガスリザーバの出口バルブを含み、制御モジュールは、ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合に、そしてガスの第2の循環回路内のガスの圧力が所定値よりも高い限り、圧縮チャンバーの出口バルブを制御して、それを開き、そしてガスリザーバの出口バルブを制御して、それを閉じることができる。
【0015】
好ましい特性によれば、制御モジュールは、ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合に、そしてガスの第2の循環回路内のガスの圧力が所定値よりも低い場合に、圧縮チャンバーの出口バルブを制御して、それを閉鎖し、そしてガスリザーバの出口バルブを制御して、それを開放することができる。
【0016】
一実施形態によれば、バックアップ冷却デバイスは、圧縮空気のリザーバ、圧縮空気のリザーバの出口バルブ、冷却液のリザーバ内の第3の熱交換器、そしてエキゾーストを連続的に含む圧縮空気の循環回路を含み、制御モジュールは、ホットアイソスタティックプレスの動作不良の場合に、そしてガスの第2の循環回路内のガスの圧力が所定値よりも低い場合に、圧縮チャンバーの出口バルブを制御して、それを閉鎖し、そして圧縮空気のリザーバの出口バルブを制御して、それを開放することができる。
【0017】
好ましい特徴によれば、バックアップ冷却デバイスは、冷却液のリザーバ内の冷却液の循環回路の入口に配置された、圧縮空気と冷却液との間の第4の熱交換器を含む。
【0018】
好ましい特徴によれば、冷却液の循環回路は、圧縮空気の循環回路内での圧縮空気の循環によって作動させられる第2の循環ポンプをさらに含む。
【0019】
本発明はまた、上記したようなバックアップ冷却デバイスを備えたホットアイソスタティックプレスに関する。
【0020】
本発明はまた、ホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却の方法にも関し、プレスは、圧縮チャンバー、ガスのリザーバ、およびガスリザーバと圧縮チャンバーとの間のガスの第1の循環回路を含み、当該方法は、
ホットアイソスタティックプレスの動作中にテクニカルアラームを検出するステップと、
圧縮チャンバーをガスの第2の循環回路と連通させるステップであって、第2の循環回路は、接続バルブからガスの第1の循環回路まで延在すると共に、冷却液のリザーバ内に配置された第1の熱交換器と、リザーバおよび圧縮チャンバーの周りに配置された冷却回路を含む閉ループを形成する冷却液の循環回路とを含むステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
上記ホットアイソスタティックプレスおよび上記方法は、上述した利点と同様の利点を有する。
【0022】
特定の実施形態では、本発明による上記方法のステップは、コンピュータプログラム命令によって実施される。
【0023】
したがって、本発明はまた、情報媒体上のコンピュータプログラムにも関し、このプログラムはコンピュータで実施することができ、このプログラムは、上述したような方法のステップの実施に適した命令を含む。
【0024】
このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用でき、それは、ソースコード、オブジェクトコード、またはソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形式(部分的にコンパイルされた形式、あるいはその他の望ましい形式など)であってもよい。
【0025】
本発明はまた、コンピュータによって読み取ることができ、上述したような方法のステップの実施に適したコンピュータプログラム命令を含む情報媒体に関する。
【0026】
情報媒体は、プログラムを格納できる任意のエンティティまたはデバイスとすることができる。例えば、媒体には、ROM、例えばCD‐ROMあるいは超小型電子回路のROMなどの記憶手段、あるいは、例えば、ディスケットまたはハードドライブなどの磁気記録手段が含まれる。
【0027】
一方、情報媒体は、電気ケーブルまたは光ケーブルを介して、無線によって、またはその他の手段によって伝達することができる、電気信号または光信号などの送信可能な媒体とすることができる。本発明によるプログラムは、特に、インターネットタイプのネットワークにダウンロードすることができる。
【0028】
あるいは、情報媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路とすることができ、この回路は、本発明による方法を実行するように、あるいはその実行に使用されるように構成される。
【0029】
図面を参照して説明され、非限定的な例として提示される好ましい実施形態に関する以下の説明から、その他の特徴および利点は明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態による、バックアップ冷却デバイスを備えたホットアイソスタティックプレスを示す図である。
図2】本発明の第2実施形態による、バックアップ冷却デバイスを備えたホットアイソスタティックプレスを示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、ホットアイソスタティックプレスのバックアップ冷却の方法を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による、バックアップ冷却デバイスに実装される監視および制御モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示される好ましい実施形態によれば、ホットアイソスタティックプレスはバックアップ冷却デバイスを備えている。
【0032】
ホットアイソスタティックプレス自体は従来のものであり、本発明を理解するために不可欠な要素のみが説明され、図示されている。特に、ホットアイソスタティックプレスは、図示されていないそれ自体既知の加熱デバイスを含む。
【0033】
ホットアイソスタティックプレスは、耐圧性がありかつ処理される対象物を受け入れるように意図された圧縮チャンバー1を含む。
【0034】
圧縮チャンバー1は、不活性処理ガス、例えばアルゴンを受け入れて、ホットアイソスタティック圧縮を実行する。このために、不活性ガスの第1の循環回路は、ガスのリザーバ14と、バルブおよび圧力増倍器13に関連付けられた導管のネットワークとを含む。
【0035】
より正確には、ガスを圧縮チャンバー1へと運ぶために、リザーバ14の出口は、それ自体が常時閉鎖バルブ9に接続された圧力増倍器13に接続されている。バルブ9は、それ自体が圧縮チャンバー1の入口に接続された常時開放バルブ7に接続されている。
【0036】
逆に、ガスをプレスからリザーバ14へと運ぶために、バルブ7はまた、それ自体が調整バルブ12に接続された減圧バルブ11に接続されている。調整バルブ12はリザーバ14に接続されている。
【0037】
バルブ7はまた、必要に応じてチャンバー1内の圧力を低下させるような方法で、それ自体、周囲大気に通じる較正されたオリフィス16に接続された排気バルブ15に接続されている。リザーバ14には、リザーバ14の別の出口から、バルブ7とバルブ9との間に接続された常時開放バルブ10が設けられている。
【0038】
本発明によれば、不活性ガスの循環回路は、不活性ガスの第1の循環回路のバルブ7とバルブ9との間に接続された常時開放バルブ8から延びる。
【0039】
常時開放バルブ8は、それ自体が冷却液のリザーバ3内に配置された第1の熱交換器4に接続された膨張システム5に接続されている。冷却液のリザーバは、プレスの特性に応じたサイズになっている。良好な慣性の恩恵を受けるために、それは一般に、例えば数立方メートル程度の大容量である。周囲の空気との熱交換によってリザーバの冷却を改善するために、リザーバのフィンをさらに設けることが可能である。
【0040】
第1の熱交換器4は、リザーバ3の外部に配置された第2の熱交換器2に接続されている。
【0041】
第2の熱交換器2は、循環ポンプ6のアクチュエータ、例えば、加圧ガスを使用して作動する往復ダイヤフラムポンプに接続されている。アクチュエータは、周囲大気中へのエキゾーストである出口を有する。
【0042】
本発明によれば、冷却液の循環回路は、リザーバ3と、圧縮チャンバー1の周りに配置された冷却回路17とを含む閉ループを形成する。
【0043】
より正確には、最も熱い冷却液から最も冷たい冷却液に向かう循環方向において、圧縮チャンバー1の周りに配置された冷却回路17の出口は熱交換器2に接続されている。熱交換器2は、冷却液のリザーバ3に接続され、かつ、冷却液の循環に関して、その上流に配置される。冷却液のリザーバ3の出口は、それ自体が、圧縮チャンバー1の周りに配置された冷却回路17の入口に接続された循環ポンプ6に接続されている。
【0044】
監視および制御モジュールCMDは、ホットアイソスタティックプレスの動作に関する情報、特に圧力、温度および電気的絶対値に関する情報を受け取りる。このために、監視および制御モジュールCMDは、それ自体既知でありかつ図示されていないセンサーに接続されている。監視および制御モジュールCMDはまた、バルブへの給電・非給電のために、したがってバルブの開放または閉鎖を制御するために、図示されていない電力源、例えばバッテリーに接続されている。例えば、常時閉鎖バルブへの給電によって、それを開放することが可能となり、常時開放バルブへの給電によって、それを閉鎖することが可能となる。
【0045】
したがって、ホットアイソスタティックプレスのバックアップ冷却デバイスの動作は、監視および制御モジュールCMDによって制御される。制御は、システムの監視の側面を優先するコンピュータ化された方法で、あるいは人の安全を優先するハードワイヤードロジックによって実行される。
【0046】
バックアップ冷却デバイスの動作は以下の通りである。
【0047】
ホットアイソスタティックプレスの通常の動作中、常時開放バルブ8は制御された状態で維持され、すなわち閉鎖される。言い換えれば、バックアップ冷却デバイスは非作動状態とされる。圧縮チャンバーは、例えば、約3,000バールの圧力および1,700℃の温度である。
【0048】
監視および制御モジュールCMDは、例えば緊急遮断、その使用中のプレスの電力供給源の故障、または循環ポンプの故障などのテクニカルアラームを検出する。テクニカルアラームが発生すると、バックアップ冷却デバイスが起動させられる。
【0049】
第1の段階では、圧縮チャンバーはガスの高圧リザーブとして使用される。ガスは膨張による冷却および冷却液の循環のために使用される。
【0050】
常時閉鎖バルブ9および10は、それらを閉じるように非給電状態とされる。したがってガスのリザーバ14は、設備の残りの部分から分離させられる。
【0051】
遅延後、圧縮チャンバー1はバックアップ冷却用のガス循環回路と連通状態となる。このために、常時開放バルブ7および8は、それらを開放するために非給電状態とされる。したがって膨張システム5は、圧縮チャンバー1のガスによって加圧される。
【0052】
圧縮チャンバー1内のガスの減圧により、既に温度が低下していることに留意されたい。バルブ8は、圧縮チャンバー1と熱交換器4との間の導管での凍結のリスクを防止するように制御される。したがって、第1の熱交換器4の入口での不活性ガスの温度が第1の所定値よりも低い場合、バルブ8は閉鎖される。
【0053】
また、バルブ8は、圧縮チャンバーの周囲の冷却液の温度に応じて制御される。したがって、圧縮チャンバーの周りの冷却液の温度が第2の所定値よりも高い場合、バルブ8は開放される。
【0054】
ガスは、その温度を低下させる膨張を経て熱交換器4に到達するが、これはリザーバ3内の冷却液を冷却する。
【0055】
ガスは、交換器2を通るその経路を連続して流れ、リザーバ3の入口での冷却液の温度の低下を可能にする第2の膨張を受ける。
【0056】
いったん膨張すると、ガスは、設備の外に排出される前に、循環ポンプ6のアクチュエータに向けられる。したがって循環ポンプ6は、その回路内で冷却液を循環させるために作動させられる。
【0057】
したがって、閉回路を循環する冷却液は、プレスから出て行き、熱交換器2での、次いで熱交換器4での冷却を受け、プレスに再注入される。
【0058】
第2の段階では、リザーバ14は、ガスの高圧リザーバとして使用される。これは、圧縮チャンバー1から来るガスの圧力が、ポンプ6の作動を可能にする値、例えば8バールより低くなるときに起こる。リザーバ14は、バックアップ冷却を目的としたガス循環回路と連通状態とされる。このために、バルブ7は閉鎖されるように給電され、バルブ10は開放されるように給電されない。したがって、圧縮チャンバーは分離され、リザーバ14は膨張システム5に接続される。リザーバ14に貯蔵されたガスは、冷却液の冷却および循環のために、バックアップ冷却デバイスにおいて使用される。
【0059】
チャンバーの安全温度に達するまで、バックアップ冷却が実行される。
【0060】
図2は、本発明によるホットアイソスタティックプレスのためのバックアップ冷却デバイスの第2実施形態を示している。
【0061】
この実施形態は、図1を参照して説明した第1実施形態の要素と同一の要素を含む。これらの要素には同じ参照符号を付し、再度の説明はしない。二つの実施形態間の違いのみを説明する。
【0062】
このデバイスは圧縮空気の循環回路を含む。この回路は、例えば200バールの圧力の圧縮空気のリザーバ20を含む。リザーバ20は、それ自体が膨張システム22に接続された常時開放バルブ21に接続されている。
【0063】
膨張システム22は、冷却液のリザーバ3内に配置された第3の熱交換器23に接続されている。第3の熱交換器23は、冷却液の循環に関してリザーバ3よりも上流で、リザーバ3の外部に配置された第4の熱交換器24に接続されている。
【0064】
第4の熱交換器24は、冷却液の循環ポンプ25のアクチュエータに接続されている。このアクチュエータは、周囲大気中の排気出口に接続されている。
【0065】
冷却液のリザーバの出口は、循環ポンプ6に平行なバイパスを含む。このバイパスは、循環ポンプ25を含む。
【0066】
プレスの公称動作時およびバックアップ冷却デバイスの第1の動作段階では、バルブ21は、それが閉鎖されるように給電される。本実施形態に係るバックアップ冷却デバイスの第1の運転段階は、第1実施形態に係るバックアップ冷却デバイスのそれと同じである。したがって、冷却液の冷却および循環を可能にするのは圧縮チャンバー1のガスである。
【0067】
デバイスの第2の動作段階は次のように変更される。圧縮チャンバーから来るガスの圧力がポンプ6の作動を可能にする値、たとえば8バールより低くなると、バルブ7は閉鎖されるように給電され、そしてバルブ21は開放されるように給電されない。これにより、圧縮チャンバーはバックアップ冷却デバイスのガス循環回路から分離させられ、リザーバ20の圧縮空気は圧縮空気回路内で循環する。圧縮空気は、リザーバ3内の冷却液を冷却する、その温度を低下させる膨張を受けることにより、熱交換器23に到達する。
【0068】
圧縮空気は、交換器24を通るその経路を連続的に流れ、リザーバ3の入口での冷却液の温度の低下を可能にする第2の膨張を受ける。
【0069】
いったん膨張させられると、圧縮空気は、設備の外に排出される前に、循環ポンプ25のアクチュエータに向けられる。循環ポンプ25は、その回路内で冷却液を循環させる。
【0070】
したがって、第2の段階では、圧縮空気が冷却および冷却液の循環のための不活性ガスに取って代わり、これによってガスを節約することが可能となる。
【0071】
図3は、本発明の一実施形態による、ホットアイソスタティックプレス用のバックアップ冷却の方法を示す。この方法は、監視および制御モジュールCMDにおいて実行され、ステップE1からE6を含む。
【0072】
ステップE1は、ホットアイソスタティックプレスの動作中にテクニカルアラームを検出することである。
【0073】
次のステップE2では、ガスリザーバ14が設備の残りの部分から分離(隔離)させられる。
【0074】
次のステップE3は遅延である。
【0075】
この遅延の後、次のステップE4は、圧縮チャンバー1とバックアップ冷却用のガス循環回路との連通である。ガスは冷却液の冷却および循環を可能にする。
【0076】
ステップE1からE4は、上述したバックアップ冷却デバイスの第1の動作段階に対応する。
【0077】
次のステップE5は、圧縮チャンバー1から来るガスの圧力が、ポンプ6の作動を可能にする値、例えば8バールより低くなることを確認するための試験である。
【0078】
この状態が実現されると、ステップE5の後にステップE6が続くが、第1実施形態によれば、このステップにおいて、リザーバ14は、バックアップ冷却を意図したガス循環回路と連通させられる。したがって、これは、上述したバックアップ冷却デバイスの第2の動作段階である。
【0079】
ステップE6の第2実施形態によれば、冷却液の冷却および循環を可能にするのは圧縮空気回路である。
【0080】
図4は、本発明による、監視および制御モジュールCMDの特定の実施形態を示す。
【0081】
監視および制御モジュールCMDは、コンピュータの一般的な構造を有する。それは、特に、上述した方法を実施するコンピュータプログラムを実行するプロセッサー100、メモリ101、入力インターフェース102、そして出力インターフェース103を含む。
【0082】
これらのさまざまな要素は、通常、バス105によって接続されている。
【0083】
入力インターフェース102は、ホットアイソスタティックプレスに設けられるさまざまなセンサーに接続され、プレスの動作に関する情報を受け取るように意図される。
【0084】
プロセッサー100は、上述した処理を実行する。この処理は、プロセッサー100によって実行される前にメモリ101によって記憶されるコンピュータプログラムのコード命令の形で実行される。
【0085】
出力インターフェース103は、本発明の枠組みで実行される、さまざまなバルブの制御命令を配信する。
【符号の説明】
【0086】
1 圧縮チャンバー
2 第2の熱交換器
3 リザーバ(タンク)
4 第1の熱交換器
5 膨張システム
6 第1の循環ポンプ
7 常時開放バルブ
8 常時開放バルブ
9 常時閉鎖バルブ
10 常時開放バルブ
11 減圧バルブ
12 調整バルブ
13 圧力増倍器
14 リザーバ
15 排気バルブ
16 オリフィス
17 冷却回路
20 リザーバ
21 常時開放バルブ
22 膨張システム
23 第3の熱交換器
24 第4の熱交換器
25 第2の循環ポンプ
100 プロセッサー
101 メモリ
102 入力インターフェース
103 出力インターフェース
105 バス
図1
図2
図3
図4