(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】フォトニック粒子、UV遮断剤、及びアクリルポリマーを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20220905BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220905BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220905BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/81
A61Q17/04
A61K8/25
(21)【出願番号】P 2020526174
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081474
(87)【国際公開番号】W WO2019096959
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-12
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ドーゾン
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリーナ・ルード
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/114869(WO,A1)
【文献】特表2013-507353(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第3046076(FR,A1)
【文献】特表2009-536949(JP,A)
【文献】特開昭52-108030(JP,A)
【文献】特表2013-508351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)平均サイズが0.5μm~100μmであるフォトニック粒子であって、それぞれが、250nm~1800n
mに及ぶ波長範囲において放射の減衰をもたらす、単分散ナノ粒子の、又は空間の、秩序ある周期的な配置を含む、フォトニック粒子、及び
b)少なくとも1つのUV遮断剤、及び
c)式(A)及び(B)のモノマー単位を含む少なくとも1つのポリマーであって:
【化1】
式中:
R1は、各場合に独立して、アルキル基及びアルキレン基から選択され、そして
R1基の少なくとも60質量%は、ステアリル基及びベヘニル基から選択された基であり、前記質量パーセンテージは、前記ポリマー中に存在する全ての前記R1基の合計に関するものであり、そして
全てのヒドロキシエチルアクリレート単位の合計の、前記R1基を有する全てのアクリレート単位の合計に対する質量比は、1:30~1:1の範囲であり、
そして単位A及びBの総合計は、前記ポリマーの総質量に対して少なくとも95質量%であり、
ポリマーが2000~9000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する、少なくとも1つのポリマーと
を少なくとも含
む化粧用組成物。
【請求項2】
ナノ粒子を含む前記フォトニック粒子がマトリックスを有していない、請求項1に記載の
化粧用組成物。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、シリカ、少なくとも1つの金属酸化物、又はシリカ及び少なくとも1つの金属酸化物の混合物を含む、請求項1又は2に記載の
化粧用組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、シリカで構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項5】
前記ナノ粒子の平均サイズが、100nm~500n
mである、請求項1~4のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項6】
前記フォトニック粒子が、形状が実質的に球形である、請求項1~5のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項7】
前記フォトニック粒子は、平均サイズが1μm~40μm
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項8】
フォトニック粒子の質量含有量が、組成物の総質量に対して0.1質量%~50質量
%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項9】
前記UV遮断剤(1又は複数)が、親水性、親油性、又は不溶性の有機UV遮断剤及び無機UV遮断剤、並びにそれらの混合物から選択されてもよいUV遮断剤から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項10】
UV遮断剤の含有量が、組成物の総質量に対して0.01質量%~60質量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項11】
ポリマーc)において、
ステアリル基及びベヘニル基以外のR1は、アルキル基
であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項12】
ポリマーc)において、前記R1基の少なくとも70質量
%が、ベヘニル基又はステアリル基であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項13】
ポリマーc)において、全ての前記R1基が、ステアリル基又はベヘニル基であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項14】
ポリマーc)において、前記質量比が、1:15~1:1の範
囲であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項15】
ポリマーc)は、数平均分子量Mnが5000~9000g/molの範囲であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項16】
ポリマーc)は、融点が40℃~70℃の範
囲であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項17】
ポリマーc)において、前記R1基の少なくとも60質量%がステアリル基であり、そしてポリマーc)は、融点が40~60℃の範
囲であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項18】
ポリマーc)において、前記R1基の少なくとも60質量%がベヘニル基であり、そして前記ポリマーc)は、融点が60℃~70℃の範
囲であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項19】
ポリマーc)の含有量が、組成物の総質量に対して0.01質量%~15質量%であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の
化粧用組成物。
【請求項20】
太陽UV放射に対するケラチン物質の光保護のための非治療方法であって、請求項1~19のいずれか一項に記載の化粧用組成物を前記ケラチン物質に適用する工程を含む非治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、とりわけ化粧用組成物、特に光保護組成物に関し、そしてケラチン物質、特に皮膚及びその外皮を、前記組成物を用いて処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
280~400nmの波長の光放射が、ヒト表皮を褐色にすることができることが知られている。しかしながら、より詳細には、UVB光として知られている280~320nmの波長の光は、皮膚の紅斑及び熱傷を引き起こし、これらは自然な日焼けの進行にとって不利益となる恐れがある。
【0003】
これらの理由から、そしてまた美的な理由から、この自然な日焼けを制御して、皮膚の色を制御する(ゆえに、このUVB放射は遮断されるべきである)手段について、一定の需要がある。
【0004】
320~400nmの波長の、皮膚の日焼けを引き起こすUVA光は、特に、敏感な皮膚、又は太陽放射に絶えず曝される皮膚の場合、皮膚の有害な変化を誘導しやすいことも知られている。UVA光は、特に、皮膚の弾力のロス及びしわの出現の原因となり、早期の皮膚の老化をもたらす。
【0005】
したがって、UVA放射を遮断して除くこともまた望まれている。
【0006】
現在まで、UVA及び/又はUVB放射によって誘導される影響から保護する多くの光保護組成物が提案されてきた。これらの組成物は、通常、有機遮断剤又は無機遮断剤を、より詳細には、有機脂溶性遮断剤の、且つ/又は水溶性遮断剤の、金属酸化物顔料、例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛と組み合わせた混合物を含有する。これらの無機粒子は、日光保護を増大させることを可能にし、これにより、有機遮断剤の量が引き下げられるので、製剤の美容性を向上することができる。
【0007】
二酸化チタン又は酸化亜鉛等の無機遮断剤は、それらのUV吸収特性のために、化粧品に広く用いられている。しかしながら、それらが皮膚に塗布されると、ホワイトニングを引き起こし、魅力的でない。
【0008】
(特許文献1)から、ネットワークを形成することができ、且つUVB、UVA、及び赤外線の範囲におけるフィルタリングの光学特性を有する単分散粒子を用いる実施が知られている。前記特許出願では、粒子は、皮膚上で組織化されなければならない。
【0009】
このタイプの材料は、とりわけ、固体フォトニック粒子が分散する連続水性相を含む二相化粧用組成物に用いられてきた。
【0010】
このタイプの組成物は、高SPFに近づくが、その欠点は、フォトニック粒子の沈殿及び凝集であり、これにより、一旦形成されると再分散させるのが非常に困難なブロックが形成される。この欠点は、組成物の性能を長期的に損なう。なぜなら、実際に分散したフォトニック粒子の量は、経時的に低下する傾向があるからである。
【0011】
材料(又はフォトニック粒子)、特にオパールは、コロイド結晶である。すなわち、コロイド粒子の、又は空間(empty space)のアセンブリに基づく、三次元周期構造体である。当該アセンブリは、UV光の物理的減衰(attenuation)を可能にする。この減衰は、材料中の格子の周期性、及びその屈折率、特に材料と媒体間の屈折率の差異によって調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第06/136724号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
材料と媒体間の屈折率の最大差異を確実にするには、水性相中にフォトニック粒子を含ませるのが有利である。フォトニック材料は、エマルジョンとして製剤化するのが困難である。なぜなら、脂肪相に移行する傾向、又はそれ自体がエマルジョン小滴の界面に位置する傾向があるからである。その場合、その有効性は低下する。美容特性、例えば脂っぽさ、べとつき、及び/又は白色の仕上がりについて妥協することなく、フォトニック材料の光保護特性が発現される、エマルジョンの形態の高SPF組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、本発明者らは、特定のアクリルポリマーの添加により、美容特性が向上した、安定した高SPFエマルジョンを得ることが可能になることを見出した。特に、皮膚への塗布後、ホワイトニング効果もなく、皮膚は軟らかく、脂っぽくもなく、べとつきもしない。
【0015】
その態様の第1のものに従えば、本発明は、組成物、とりわけ化粧用組成物、特に光保護組成物に関し、少なくとも以下を含む:
- a)平均サイズが0.5μm~100μmであるフォトニック粒子であって、それぞれが、250nm~1800nm、好ましくは250nm~400nmに及ぶ波長範囲において放射の減衰をもたらす、単分散ナノ粒子の、又は空間の、秩序ある(ordered)周期的な配置を含む、フォトニック粒子、
- b)少なくとも1つのUV遮断剤(UVスクリーニング剤)、及び
- c)以下に記載される少なくとも1つのポリマー。
【0016】
その態様の別のものに従えば、本発明は、本発明に従う組成物を調製する方法であって、美容的に許容可能な媒体中に、本発明に従うフォトニック粒子、及び上で定義されたポリマーc)を分散させる工程を含む方法に関する。
【0017】
その態様の別のものに従えば、本発明は、生理的に許容可能な媒体中に、上で定義された本発明に従う組成物を含む、化粧用組成物、とりわけ光保護組成物に関する。
【0018】
本発明に従う化粧用組成物、とりわけ光保護組成物は、ケラチン物質の光保護のための非治療プロセスにおいる使用に特に適している。
【0019】
本発明に従う光保護化粧用組成物は、例えば、SPFが少なくとも5、又は少なくとも10、より良好には15、より良好には少なくとも30、45、若しくは60である。SPF(サンプロテクションファクター)は、論文A new substrate to measure sunscreen protection factors throughout the ultraviolet spectrum,J.Soc.Cosmet.Chem.,40,127-133(1989年5月/6月)中で定義されている。
【0020】
光保護化粧用組成物の配合は、例えば、範囲250~400nm内の少なくとも1つの波長について、より良好にはこの範囲の全体について、組成物の透過率が70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、又はより良好には1%以下であるように選択される。遮断は、範囲250~400nmにおいて、透過率が低くなるのに比例して、良くなる。
【0021】
その態様の別のものに従えば、本発明は、太陽UV放射に対するケラチン物質の光保護のための非治療方法であって、本発明に従う化粧用組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む非治療方法に関する。
【0022】
本発明はまた、ケラチン物質を染色し、且つ/又は明るくする方法、及びケラチン物質のスペクトル反射を改変する方法に関し、これらの方法はそれぞれ、本発明に従う化粧用組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む。
【0023】
本発明はまた、皮膚の黒ずみを制限し、且つ/又は色及び/若しくは色艶の均一性を向上させる非治療美容的方法であって、本発明に従う化粧用組成物を皮膚に塗布する工程を含む非治療美容的方法に関する。
【0024】
本発明はまた、ケラチン物質の加齢の徴候を予防且つ/又は処置する非治療美容的方法であって、本発明に従う化粧用組成物を前記ケラチン物質の表面に塗布する工程を含む非治療美容的方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の本文では、特に明記しない限り、値の範囲、とりわけ、表現「の間」及び「・・・~・・・」の限界値は、その範囲内に含まれる。
【0026】
さらに、本明細書中で用いられる表現「1つ以上」及び「以上」は、表現「少なくとも1つ」及び「少なくとも」にそれぞれ等しい。
【0027】
フォトニック粒子
本発明との関連では、フォトニック粒子は、オパールとも呼ばれる。
【0028】
好ましくは、フォトニック粒子は、分散系の形態で組成物中に存在する。
【0029】
フォトニック粒子は、フォームファクタ(form factor)が2未満、とりわけ1.75未満であってよい。フォームファクタは、粒子が楕円形である場合、その最も大きな縦寸法の、その最も大きな横寸法に対する比率を示す。フォトニック粒子は、実質的に球形であってよく、そしてその場合、フォームファクタは1に等しい。
【0030】
表面カバー率に関して、重ね合わせることができる平坦な粒子に対して、2未満のフォームファクタが有利であり得る。
【0031】
フォトニック粒子の平均サイズは、0.5μm~100μm、好ましくは1μm~40μm、有利には5μm~25μm、優先的には5μm~20μm、又は5μm~15μmである。
【0032】
用語「平均サイズ」は、集団の半分についての統計学的粒子サイズ寸法を表し、D(0.5)と呼ばれる。
【0033】
本発明に従うフォトニック粒子は、マトリックスなしで秩序ある、又はあらゆるタイプのマトリックス内に秩序ある、若しくは分散された、例えば熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス内に分散された、充填されたナノ粒子又は中空のナノ粒子を含んでもよい。
【0034】
本発明に従うフォトニック粒子は、以下で記載されるように、変異体に応じて、順(direct)オパール、逆(inverse)オパール、偽逆(pseudo-inverse)オパールとみなされてもよい。
【0035】
フォトニック粒子は、無色であってもよい。
【0036】
フォトニック粒子は、充填されていても中空であってもよい。
【0037】
順オパール(Direct opals)
「順オパール」型のフォトニック粒子は、場合によっては複合した、充填されたナノ粒子の配置を含む。
【0038】
フォトニック粒子は、好ましくはマトリックスなしの、凝集ナノ粒子を含んでもよい。
【0039】
そのような粒子を製造する第1のプロセスは、刊行物S-H Kim et al.,JACS,2006,128,10897-10904中に記載されているように、油中水エマルジョン(水性相は単分散ナノ粒子を含む)を得る工程に続く、先に得たエマルジョンのマイクロ波照射の工程を含む、フォトニック粒子を得る工程を含んでもよい。
【0040】
第2の製造プロセスは、刊行物S-M.Yang,Langmuir 2005,21,10416-10421中に記載されているように、エレクトロスプレー下でSiO2ナノ粒子又はポリスチレンナノ粒子を凝集させる工程を含んでもよい。
【0041】
また、「順オパール」型のフォトニック粒子は、刊行物“Ordered macroporous titania photonic balls by micrometer-scale spherical assembly templating”(Li et al.,J.Mater.Chem.,2005,15,2551-2556)中に記載されているようなプロセスを介して得られてもよい。
【0042】
また、「順オパール」型のフォトニック粒子は、噴霧化プロセスを介して得られてもよい。
【0043】
このプロセスに従えば、霧状にされることとなる粒子は、第1に、水性媒体中に、又は均質な水/溶媒混合液中に分散される。前記溶媒は、水混和性であり、例えばアルコール、例えばエタノールである。粒子濃度は、5質量%~70質量%であってもよい。こうして得られた分散系は、アトマイザ、例えばNiro Minor Production中に導入される;注入速度(この機械の場合)は、1000~10000g/h、好ましくは2000~8000g/hであってもよい。タービン速度は非常に高く、好ましくは25000~45000rpmである。噴霧化温度は、100~500℃、好ましくは200~350℃であってもよい。
【0044】
また、「順オパール」型のフォトニック粒子は、マトリックス内で、互いと接触して凝集したナノ粒子、又はマトリックス内に分散したナノ粒子を含んでもよい。
【0045】
以前に記載されたプロセスに加えて、いくつかのプロセスが、これらのフォトニック粒子を製造するのに適することができ、とりわけ、米国特許出願公開第2003/0148088号明細書に記載されている、ケイ素マトリックス内へのSiO2粒子の凝集プロセスがある。
【0046】
第2のプロセスは、刊行物D.Pine,Langmuir 2005,21,6669-6674中に記載されているように、PMMAナノ粒子のエマルジョンを用いた凝集の工程を含む。
【0047】
「順オパール」型のフォトニック粒子は、光-、電子-又は熱-架橋性の有機マトリックス内に分散したナノ粒子を含んでもよい。
【0048】
光架橋性、電子架橋性、又は熱架橋性の有機マトリックス、とりわけ光架橋性又は熱架橋性のマトリックスを用いる利点は、マトリックス内に含有されるナノ粒子間の距離を変えて、フォトニック粒子の光学特性を変える実現性にある。当該距離は、光-、電子-、又は熱-架橋の前の、とりわけ光-又は熱-架橋の前の、有機マトリックス内に分散したナノ粒子の質量分率によって決まり得る。前記質量分率は、熱-、電子-、又は光-架橋前の、ナノ粒子の質量/マトリックスの質量の比率に等しい。
【0049】
本発明の好ましい実施形態に従えば、ナノ粒子のこの質量分率は、1%~90%、より良好には5%~60%である。
【0050】
このタイプのフォトニック粒子は、いくつかの乳化プロセス、例えば、刊行物S-H Kim et al.,Adv.Mater.2008,9999,1-7に記載されているもの(これは、UV光重合性ETPTA(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)光架橋性樹脂中に分散したシリカ粒子を用いる)、又は刊行物“Ordered macroporous titania photonic balls by micrometer-scale spherical assembly templating”(Li et al.,J.Mater.Chem.,2005,15,2551-2556)に記載されているものに従って得られてもよい。
【0051】
ある例において、フォトニック粒子は、マトリックスなしに、凝集シリカナノ粒子で構成される。
【0052】
逆オパール(Inverse opals)
「逆オパール」型のフォトニック粒子は、ナノ粒子の代わりに孔(空孔)を含む。
【0053】
逆オパールは、例えば、か焼又は酸性加水分解(例えば5%フッ化水素酸による)によるナノ粒子の破壊(ナノ粒子の全て又は一部の代わりに、空間を残す)後の順オパールから得られてもよい。破壊工程は、マトリックス内のナノ粒子の痕跡のサイズの縮小をもたらす場合があり、これは最大50%であり得る。
【0054】
か焼(500℃~1000℃)は、有機ナノ粒子及び無機マトリックスをベースにする順オパールに実施されてもよい。
【0055】
酸性加水分解(例えばフッ化水素酸溶液による)は、無機ナノ粒子及び有機マトリックスをベースにするオパールに行われてもよい。
【0056】
逆オパールの場合、ナノ粒子によって占められる容積/マトリックス(有機マトリックス、又は無機マトリックスの前駆体)によって占められる容積の比率は、99/1~80/20まで変わってもよく、これは、逆オパールの表面多孔性を変動させる作用を有することとなる。そのような変動は、刊行物D.Pine and F.Lange,Langmuir 2005,21,6669-6674中に示されている。
【0057】
逆オパールは、マトリックス内に凝集し、又は分散されたナノ粒子を含む順オパールについて上で既に記載されているプロセスに続く、ナノ粒子を、例えばか焼又は酸性加水分解によって、破壊する工程を介して生成されてもよく、例えば、以下の刊行物中に記載されている:
- A.Stein:Chem.Mater.2002,14,3305-3315(オパールは、ZrO対象についてはジルコニウムアセテートマトリックス中の、TiO2オパールについてはチタンプロポキシドマトリックス中の、又はシリカオパールについてはテトラメトキシシラン(TMOS)マトリックス中の単分散粒子から製造される。か焼の後、PS粒子は、空間を残す。その後、最終材料は、オパール粉末を与えるように摺り潰される)。
- D.Pine,F.F.Lange:Langmuir,Vol.21,15,2005,6669-6674(乳化プロセスに続く、PMMA粒子のか焼工程を介した、球形のオパールの生成を記載している。オパール多孔性は、チタンアルコキシド/PMMA粒子の含有比によって制御される)。
- F.F.Lange,Colloid Polym.Sci.(2003)282,7-13(チタンブトキシドの存在下でのPMMA粒子の乳化に続く、PMMA粒子のか焼を記載している)。
【0058】
生来、逆オパールは、光学特性が媒体に応じて変わることとなる多孔性材料(オパール内の孔を充填し得る)の追加の処理はない。
【0059】
媒体に拘わらず光学特性を確実にするために、逆オパール構造体のフォトニック粒子は、コーティングされてもよく、そして浸漬される媒体に対する漏止め(leaktight)が与えられてもよい。
【0060】
このコーティングは、例えば、ポリマー又はワックスでなされてもよい。
【0061】
いくつかのプロセスが可能である:
- スプレー乾燥又は噴霧化:原理は、フォトニック粒子をコーティングすることとなる材料を、蒸発点が100℃以下である揮発性の溶媒(エタノール、アセトン、イソプロパノール、水等、又はそれらの混合液)中に可溶化又は分散(ラテックスについて)させるものである。全体が、溶媒又は混合物が蒸発することができる温度にされたチャンバ内でスプレーされて、粒子上にコーティング材料が堆積する。前記粒子は、空気流の影響下で、室温にてコンテナ中に引き込まれて、その中に収集される。例えば、刊行物“Effects of fabrication conditions on the characteristics of etamidazole spray dried microspheres”:Wang et al.,J.Microencapsulation,2002,vol.19,No.4,495-510に言及してもよい。
- 空気流動層:空気流動層プロセスは、顆粒を乾燥且つ製造するのに頻繁に用いられる方法である。温風の流れが、リアクタの基部を介して導入される。アトマイザによって生成チャンバ中にスプレーされた懸濁液は、懸濁液中の粒子を成長させて、粒子は、空気流によってもはや運び去られ得ないほど早く、地面に落ちる。
【0062】
非限定的に、粒子をコーティングするための材料は、以下から選択されてもよい:
- 融点が45℃を超えるワックス及び脂肪性物質、とりわけカルナバワックス、蜜蝋、ステアリルステアレート、ポリエチレンワックス、ジ18/22アジペート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、テトラコンタニルステアレート、又はジオクタデシルカーボネート、
- セルロース及びセルロース誘導体、とりわけエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、及びEthocel(登録商標)のブランド名で販売されているポリマー、
- 分子量が10000~80000g/モルのポリカプロラクトン、
- 90/10~50/50の比率のポリ乳酸(PLA)及びポリ乳酸-グリコール酸(PLAGA)、
- ポリビニルアルコール、
- ポリビニルピロリドンの、そしてビニルアセテートのコポリマー、並びに
-Eudragit(登録商標)L100のブランド名で販売されている、アクリル酸の、そしてメチルメタクリレートのコポリマー。
【0063】
フォトニック粒子のコアと、こうして製造されたシェルとの質量比は、99.9/0.1~80/20、好ましくは99/1~90/10であってもよい。
【0064】
偽逆オパール(Pseudo-inverse opals)
「偽逆オパール」型のフォトニック粒子は、マトリックスなしで凝集された、又はあらゆるタイプのマトリックス内に凝集若しくは分散された、例えば、熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス内に分散された、中空のナノ粒子を含む。
【0065】
中空ナノ粒子(「偽逆オパール」とも呼ばれる)からの順オパールの製造は、中空ナノ粒子を用いない順オパールと比較して屈折率の差がより大きいことによって、光学効果を増幅する利点が、そしてコーティングされていない逆オパール(その光学特性は、分散される媒体次第である)と比較してゼロの多孔性をもたらす利点がある。
【0066】
中空ナノ粒子は、以下に記載されるようなものであってもよい。
【0067】
Janus型フォトニック粒子(Jenus-type photonic particles)
フォトニック粒子は、Janus型であってもよい。すなわち、ナノ粒子の少なくとも1つの他の回析配置、又は少なくとも2つの他の回析配置を含んでよく、当該配置はそれぞれ、固有の光学特性、とりわけ異なる回折スペクトルを有する。
【0068】
第1の実施形態において、一方の配置は、充填されたナノ粒子を含んでもよく、そしてもう一方の配置は、充填されたナノ粒子又は中空ナノ粒子を含んでもよい。
【0069】
変形として、一方の配置は、中空ナノ粒子を含んでもよく、そしてもう一方の配置は、中空ナノ粒子を含んでもよい。
【0070】
粒子がいくつかの配置を含む場合、各配置が、例えば、UVスペクトルの一部をカバーして、広い光保護をもたらしてもよい。
【0071】
いくつかの回析配置を含むフォトニック粒子は、刊行物S-H.Kim et al.,Adv.Mater.2008,9999,1-7、又は刊行物“Patterned colloidal photonic domes and balls derived from viscous photocurable suspensions”(Kim et al.,Adv.Mater.2008,20,3211-3217)中で教示されているようにして得ることができる。
【0072】
フォトニック粒子が、色特性に、特に肌色の均質化に、少なくとも部分的に用いられる場合、ナノ粒子の配置は、白色光によって明るくされたときに、それぞれの異なる色を生じさせ得る。配置は、とりわけ赤、緑及び/又は青色を生じさせることによって、多数の色調、特に反射光の相加的合成による白色の生成が可能となる。
【0073】
例えば、30~150°の間で変わる観察角度について、620~700nmにわたる波長範囲において、可視スペクトルの反射率が少なくとも50%である場合、配置は、反射色が赤色である。緑色については、考慮される波長範囲は、490~550nmにわたり、青色については410~490nmにわたる。配置は、フォトニック粒子のそれぞれの異なるゾーン、例えば2つの相対するゾーン、例えば、球形のフォトニック粒子の場合、2つの正反対の半球形のゾーンを通して、光を回析させ得る。
【0074】
配置の一方は、波長範囲の少なくとも1つの第1位の反射ピークが250~400nmである回折スペクトルを有してもよく、そしてもう一方の配置は、波長範囲の少なくとも1つの第1位の反射ピークが250~400nm又は400~700nmである回折スペクトルを有してもよい。
【0075】
フォトニック粒子の混合物
本発明に従う組成物は、1つのタイプのみのフォトニック粒子、又は、例えば、とりわけ第1位の、可視、UV、若しくは近IR領域に位置決めされる、異なる波長に集中した反射ピークを有する、少なくとも2つの異なるタイプのフォトニック粒子の混合物を含んでもよい。
【0076】
組成物は、例えば、充填されたナノ粒子を含む一方のタイプのフォトニック粒子、及び充填されていても中空であってもよいナノ粒子を含むもう一方のタイプのフォトニック粒子の混合物を含んでもよい。
【0077】
組成物は、例えば、中空のナノ粒子を含む一方のタイプのフォトニック粒子、及び中空であってもよいナノ粒子を含むもう一方のタイプのフォトニック粒子の混合物を含んでもよい。
【0078】
組成物は、例えば、熱-、電子-、又は光-架橋性マトリックスを含む一方のタイプのフォトニック粒子、及び熱-、電子-、又は光-架橋性マトリックスを含まないもう一方のタイプのフォトニック粒子の混合物を含んでもよい。
【0079】
ナノ粒子
フォトニック粒子を構成するナノ粒子は、平均サイズが100nm~500nm、好ましくは100nm~400nmであってもよい。
【0080】
用語「平均サイズ」は、集団の半分についての統計学的粒子サイズ寸法を表し、D(0.5)と呼ばれる。
【0081】
ナノ粒子は、球形の形状であってもよい。
【0082】
ナノ粒子は、15%以上まで単分散であってよい。用語「x%まで単分散である」は、本発明に従えば、平均サイズが、x%以下の変動係数CVを有する粒子を指す。
【0083】
変動係数CVは、以下の関係によって定義される:
CV=s/D
sは、粒子サイズ分布の標準偏差であり、
Dは、前記粒子の平均サイズである。
【0084】
平均サイズD及び標準偏差sは、走査型電子顕微鏡、例えば、Hitachi社の機械リファレンスS-4 500を用いて得られる画像の分析によって、250個の粒子に対して測定されてもよい。この測定を促進するのに、画像分析ソフトウェアが用いられてもよく、例えば三谷商事株式会社によって販売されているWinroof(登録商標)ソフトウェアが用いられてもよい。好ましくは、単分散ナノ粒子の変動係数は、10%以下、より良好には7%以下、さらに良好には5%以下であり、例えば実質的には3.5%以下のオーダーである。
【0085】
ナノ粒子は、充填されていても中空であってもよく、そして有機であっても無機であってもよい。
【0086】
ナノ粒子は、単一材料(monomaterial)であっても複合物であってもよい。
【0087】
単分散ナノ粒子は、複合物である場合、例えば、異なる材料、例えば有機材料及び/又は無機材料から製造されるコア及びシェルを含んでもよい。
【0088】
無機ナノ粒子
ナノ粒子は、無機化合物を含んでもよいし、完全に無機物であってもよい。
【0089】
ナノ粒子は、無機である場合、例えば、少なくとも1つの酸化物、とりわけ、例えば、シリカ、ケイ素、鉄、チタン、アルミニウム、クロム、亜鉛、銅、ジルコニウム、及びセリウムの酸化物、並びにそれらの混合物から選択される金属酸化物を含んでもよい。また、ナノ粒子は、金属、とりわけチタン、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉄、又は銅、並びにそれらの混合物及び合金を含んでもよい。
【0090】
一実施形態に従えば、ナノ粒子は、シリカ、とりわけ先に述べたような、少なくとも1つの金属酸化物、又はシリカの、そして、とりわけ先に述べたような、少なくとも1つの金属酸化物の混合物を含む。
【0091】
有機ナノ粒子
ナノ粒子は、有機化合物を含んでもよいし、完全に有機物であってもよい。
【0092】
有機ナノ粒子を製造するのに適し得る材料のうち、とりわけ、炭素ベース又はケイ素ベースの鎖を有するポリマーに言及してもよく、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、シリコーンポリマー、NAD(「非水性分散系」)、例えば、例として、イソドデカン中20%の、架橋された96.7%メチルメタクリレート及び3.3%エチレングリコールジメタクリレートで構成されるリジッドNAD、粒子径:141nm(多分散性Q=0.14)、又は90%メチルメタクリレート及び10%アリルメタクリレート、粒子径:170nm、又は100%メチルジメタクリレート、粒子径:138nm(多分散性Q=0.15)、又はポリ(メチルメタクリレート/アリルメタクリレート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸-グリコール酸(PLAGA)、セルロース、及びそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ラテックス形態、キチン、複合キチン材料がある。
【0093】
有機ナノ粒子のガラス転移温度(Tg)は、40℃より高くてよく、より良好には60℃より高い。
【0094】
中空のナノ粒子
当該ナノ粒子は、コア及びシェルを含む。コアは、有機であっても無機であってもよい。
【0095】
ナノ粒子シェルは、例えば、PSから製造されてもよく、そして粒子は、例えば、有機マトリックス内で凝集してもよい。
【0096】
ナノ粒子シェルは、例えば、PSから製造されてもよく、そして粒子は、例えば、有機熱-、電子-、又は光-架橋性マトリックス内で分散してもよい。
【0097】
当該中空ナノ粒子のコアは、異なる屈折率から利益を得るように、空気又は空気以外の気体、例えば、CO2、N2、ブタン、又はイソブタンによって構成されてもよい。
【0098】
中空ナノ粒子の内側の空気又は別の気体の存在により、回折ピークの強さに関して有利である、ナノ粒子と周囲の媒体との間の屈折率の大きな差を得ることが可能となる。
【0099】
ナノ粒子が中空である場合、コアとシェル間の回析波長での屈折率の差は、0.4以上であってもよい。前記回析波長は、250~800nm、例えば250~400nmであってもよい。ナノ粒子が中空である場合、コアの最も大きな寸法とナノ粒子の最も大きな寸法との比率は、0.5~0.8であってもよい。ナノ粒子が中空である場合、コア容積は、ナノ粒子の総容積の10%~80%、好ましくは20%~60%である。
【0100】
中空ナノ粒子のシェルの厚さ(ナノ粒子の最も大きな寸法と、ナノ粒子のコアの最も大きな寸法との差の半分に等しいとみなされる)は、50~200nm、例えば30~100nmであってもよい。
【0101】
用いられてもよい中空ナノ粒子のうち、JSR社の280nmナノ粒子SX866(B)を挙げることができる。
【0102】
ナノ粒子のコアは、場合によっては、日焼け止め(sunscreen)又は日焼け止めの混合物を含んでもよい。
【0103】
マトリックス
フォトニック粒子は、上で記載したように、あらゆるタイプのマトリックス中に凝集若しくは分散した、例えば熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス中に分散した、充填された(中実の)、若しくは中空のナノ粒子、又はあらゆるタイプのマトリックス中に分散した、例えば、熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス中に分散した空間を含んでもよい。
【0104】
マトリックスは、有機であっても無機であってもよい。
【0105】
有機マトリックスのうち、非限定的には、アクリルマトリックス(ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリアクリルアミド(PAM)から製造される)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルエチルアセテート(PVEA)、融点が65℃より高く、例えば75℃より高く、且つ硬度が5MPaより高く、好ましくは6MPaより高いワックスから製造されるマトリックスを挙げることができる。
【0106】
特に、マトリックスは、熱架橋性であっても光架橋性であっても電子架橋性であってもよい。
【0107】
用語「光架橋性マトリックス」は、光放射、とりわけUVによって架橋が誘導且つ/又は補助されるマトリックスを意味すると理解されるべきである。
【0108】
用語「熱架橋性マトリックス」は、熱の供給によって、例えばマトリックスを60℃より高い温度にすることによって、架橋が誘導且つ/又は補助されるマトリックスを意味すると理解されるべきである。
【0109】
用語「電子架橋性マトリックス」は、電界を印加することによって架橋が誘導且つ/又は補助されるマトリックスを意味すると理解されるべきである。
【0110】
マトリックスは、熱架橋性且つ光架橋性のどちらであってもよい。
【0111】
フォトニック粒子は、熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス中に分散した、充填された、若しくは中空のナノ粒子、又は熱-、電子-、若しくは光-架橋性マトリックス中に分散した空間を含んでもよい。
【0112】
熱架橋性又は光架橋性マトリックスは、有機であってもよい。
【0113】
架橋性有機マトリックスのうち、非限定的に、以下を挙げることができる:
- 光架橋性ポリマー、例えば、ETPA(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、PEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、アクリル樹脂、PEGジアクリレート、及び仏国特許第2833487号明細書中に記載される材料、
- 仏国特許第2848428号明細書中に記載される、多環付加(polycycloaddition)によって架橋する、PVA又はPVEA、及び以下の式を有するスチリルピリジニウムのコポリマー:
【化1】
(式中、Rは、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、R’は、水素原子又はアルキル基を表す)、仏国特許第2910286号明細書中に記載される反応性シリコーン、すなわち:式:
【数1】
(式中、Rは、直鎖状又は環状の、一価の炭化水素ベースの基(1~30個の炭素原子を含む)であり、mは、1又は2に等しく、R’は、2~10個の炭素原子を含む不飽和脂肪族炭化水素ベースの基、又は5~8個の炭素原子を含む不飽和環状炭化水素ベースの基である)のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサン、及び/又は式:
【数2】
(式中、Rは、1~30個の炭素原子を含む一価の、直鎖状若しくは環状の炭化水素ベースの基、又はフェニル基であり、pは、1又は2である)の少なくとも1つのアルキルヒドロゲノシロキサン(alkylhydrogenosiloxane)単位を含むポリオルガノシロキサン、並びに
- 熱架橋性又は電子架橋性の熱可塑性ポリマー。
【0114】
マトリックスの架橋は、例えば国際公開第2007/082061A2号パンフレットに記載されるようにスクシンイミドを用いた、化学架橋であってもよい。光開始剤を必要とする光架橋性マトリックスについて、光開始剤は、例えば、以下のリストから選択される:Ciba(登録商標)によってIrgacure(登録商標)369のブランド名で販売されているDMPA(ジメトキシ2-フェニルアセトフェノン)、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノフェニル]-1-ブタノン、Sigma-Aldrich(登録商標)によって販売されている4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、Sigma-Aldrich(登録商標)によって販売されている2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、Sigma-Aldrich(登録商標)によって販売されている2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルフォリノブチロフェノン、Sigma-Aldrich(登録商標)によって販売されているフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、Sigma-Aldrich(登録商標)によって販売されているイソプロピルチオキサントン、及びカンホロラクトン(camphorolactone)。
【0115】
PEGジアクリレートは、例えば、光開始剤、例えばカンホロラクトンの助力を得て、架橋することができる。
【0116】
無機マトリックスのうち、言及してもよい例として、金属酸化物マトリックス、とりわけSiO2、TiO2、若しくはZrOから製造されたもの、又はCaCO3マトリックス若しくはSiマトリックスが挙げることができる。
【0117】
本発明の好ましい実施形態に従えば、オパールは、そのナノ粒子が、SiO2、TiO2、若しくはZnO等の無機材料、又はそれらの混合物に相当する複合材料から製造された、充填された粒子(中実粒子)で構成されている、順オパールである。
【0118】
本発明の特に好ましい実施形態に従えば、オパールは、そのナノ粒子が、充填されたSiO2粒子で構成されている、順オパールである。
【0119】
一例として、シリカ粒子(JGCのCosmo S-160NP)の水性分散系から製造された順オパールを挙げることができる。オパールは、以下の調製方法に従うスプレー乾燥によって得られる。
【0120】
市販の分散系は、得られたまま用いられ、又は18%に等しい粒子の質量濃度が得られるように水と混合される。
【0121】
このようにして得られた分散系は、アトマイザ(Niro Minor Production)中に導入され、注入速度は3800g/hにセットされ、タービン速度は37800rpmにセットされ、そして噴霧化温度は290℃にセットされる。
【0122】
フォトニック粒子の質量含有量は、組成物の総質量に対して、好ましくは0.1質量%~50質量%、優先的には0.5質量%~15質量%である。
【0123】
アクリルポリマーc)
本発明に従えば、本発明に従うポリマーc)は、式(A)及び(B)のモノマー単位を含み:
【化2】
式中:
R1は、各場合に独立して、アルキル基及びアルキレン基から選択され、
R1基の少なくとも60質量%は、ステアリル基及びベヘニル基から選択された基であり、質量パーセンテージは、ポリマー中に存在する全てのR1基の合計に関し、
全てのヒドロキシエチルアクリレート単位の合計の、R1基を有する全てのアクリレート単位の合計に対する質量比は、1:30~1:1の範囲であり、
単位A及びBの総合計は、ポリマーの総質量の少なくとも95質量%である。
【0124】
好ましくは、R1は、アルキル基、好ましくはC16~C22アルキル基、より優先的にはステアリル(C18)基又はベヘニル(C22)基からなる。
【0125】
好ましくは、R1基の少なくとも70質量%、優先的には少なくとも80質量%、より優先的には少なくとも90質量%は、ステアリル基又はベヘニル基である。
【0126】
好ましい一実施形態に従えば、全てのR1基は、ベヘニル基である。
【0127】
別の好ましい実施形態に従えば、全てのR1基は、ステアリル基である。
【0128】
好ましくは、前記質量比は、1:15~1:1の範囲であり、そして優先的には1:10~1:4の範囲である。
【0129】
有利には、ポリマー中に存在するポリマー単位は、以前に記載された単位(A)及び(B)で構成される。
【0130】
ポリマーは、数平均分子量Mnが、2000~9000g/molの範囲であり、好ましくは5000~9000g/molの範囲である。数平均分子量は、例えば以下の例に記載される方法に従う、ゲル浸透クロマトグラフィ法によって測定され得る。
【0131】
好ましくは、ポリマーは、融点が40℃~70℃の範囲であり、優先的には45℃~67℃の範囲である。融点は、例えば以下の例に記載される方法に従う、示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0132】
第1の実施形態に従えば、ポリマーのR1基の少なくとも60質量%がステアリル基である場合、ポリマーは好ましくは、融点が40~60℃の範囲であり、優先的には45~55℃の範囲である。
【0133】
第2の実施形態に従えば、ポリマーのR1基の少なくとも60質量%がベヘニル基である場合、ポリマーは、融点が60℃~70℃の範囲であり、優先的には63℃~67℃の範囲である。
【0134】
本発明に従って用いられるポリマーは、式
CH2=CH-COO-R1(R1は、以前に記載した意味を有する)
のモノマー、及び2-ヒドロキシエチルアクリレートの重合によって調製され得る。
【0135】
重合は、知られている方法、例えば溶液重合又はエマルジョン重合に従って実施されてもよい。
【0136】
重合は、例えば、米国特許出願公開第2007/0264204号明細書に記載されている。
【0137】
本発明に従うポリマーc)は、好ましくは、本発明に従う組成物中に、組成物の総質量に対して0.01質量%~15質量%、とりわけ0.05質量%~8質量%、特に0.1質量%~5質量%の範囲の量で存在する。
【0138】
UV遮断剤(UVスクリーニング剤)
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つのUV遮断剤(日光由来のUV放射を遮断して除く薬剤)を含む。UV遮断剤は、親水性、親油性、又は不溶性である有機UV遮断剤及び無機UV遮断剤、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0139】
用語「UV遮断剤」は、太陽によって放射されるUV放射の少なくとも一部を吸収して、当該放射の有害な作用から皮膚及び/又は唇及び/又は毛髪を保護することができる物質を意味する。
【0140】
UV遮断剤は、通常、化粧品に用いられるUV遮断剤である。UV遮断剤は、化粧品において容認されているUV遮断剤のリストを明記する(EC)Regulation No.1223/2009のAnnex VIに含まれるポジティブリストから選択されてもよい。
【0141】
特定の実施形態に従えば、UV遮断剤は、本発明に従う組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%~60質量%に、特に5質量%~45質量%に及ぶ活性材料の含有量で存在する。
【0142】
水溶性の有機UV遮断剤は、とりわけ、以下の群から選択される。
【0143】
320~400nmのUV光(UVA)を吸収することができる水溶性遮断剤
ChimexによってMexoryl SXの名で製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸、
欧州特許第669323号明細書及び米国特許第2463264号明細書に記載されているビス-ベンザゾリル誘導体、より詳細にはHaarmann & ReimerによってNeo Heliopan APの商標名で販売されている化合物ジナトリウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホネート、
好ましい遮断剤は、テレフタリリデンジカンファースルホン酸である。
【0144】
280~320nmのUV光(UVB)を吸収することができる水溶性遮断剤
p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体類
PABA、
グリセリルPABA、及び
BASF社によってUvinul P25の名で販売されているPEG-25 PABA、
とりわけMerckによってEusolex 232の商標名で販売されている、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、
フェルラ酸、
サリチル酸、
DEAメトキシシンナメート、
ChimexによってMexoryl SLの名で製造されているベンジリデンカンファースルホン酸、
ChimexによってMexoryl SOの名で製造されているカンファーベンザルコニウムメトスルフェート、及び。
【0145】
好ましい遮断剤は、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸である。
【0146】
混合UVA及びUVB水溶性遮断剤
少なくとも1つのスルホン基を含むベンゾフェノン誘導体類
ベンゾフェノン-4(BASF社によってUvinul MS40の商標名で販売されている)、
ベンゾフェノン-5、及び
ベンゾフェノン-9。
【0147】
吸収体は、スルホン酸タイプの有機UV遮断剤である場合、好ましくは、ある量の有機塩基、例えばアルカノールアミンと、水溶性になるように組み合わされる。
【0148】
用語「アルカノールアミン」は、少なくとも1つの第一級、第二級、又は第三級アミンの官能基、及び少なくとも1つのアルコール、通常、第一級アルコールの官能基を含むC2~C10化合物を意味する。
【0149】
適切なアルカノールアミンとして、トロメタニン(tromethanine)及びトリエタノールアミンを挙げることができる。
【0150】
疎水性、又は通常の溶媒中に不溶性である有機遮断剤は、特に、種々のファミリーの化合物から選択され得る。
【0151】
320~400nmのUV光(UVA)を吸収することができる疎水性遮断剤
ジベンゾイルメタン誘導体類
とりわけDSM Nutritional Products,Inc.によってParsol 1789の商標名で販売されている、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0152】
アミノベンゾフェノン類
BASF社によってUvinul A+の商標名で販売されているn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0153】
アントラニル誘導体類
SymriseによってNeo Heliopan MAの商標名で販売されているメンチルアントラニレート。
【0154】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
優先的な遮断剤は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートである。
【0155】
280~320nmのUV光(UVB)を吸収することができる疎水性遮断剤
para-アミノベンゾエート類
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
エチルヘキシルジメチルPABA(ISPのEscalol 507)。
【0156】
サリチル誘導体類
Rona/EM IndustriesによってEusolex HMSの名で販売されているホモサレート、
SymriseによってNeo Heliopan OSの名で販売されているエチルヘキシルサリチレート、
ScherによってDipsalの名で販売されているジプロピレングリコールサリチレート、
SymriseによってNeo Heliopan TSの名で販売されているTEAサリチレート。
【0157】
シンナメート類
DSM Nutritional Products,Inc.によって特にParsol MCXの商標名で販売されている、エチルヘキシルメトキシシンナメート、
イソプロピルメトキシシンナメート、
SymriseによってNeo Heliopan E 1000の商標名で販売されているイソアミルメトキシシンナメート、
ジイソプロピルメチルシンナメート、
シノキセート、
グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
【0158】
β,β’-ジフェニルアクリレート誘導体類
とりわけBASF社によってUvinul N539の商標名で販売されている、オクトクリレン、
特にBASF社によってUvinul N35の商標名で販売されている、エトクリレン。
【0159】
ベンジリデンカンファー誘導体類
ChimexによってMexoryl SDの名で製造されている3-ベンジリデンカンファー、
MerckによってEusolex 6300の名で販売されているメチルベンジリデンカンファー、
ChimexによってMexoryl SWの名で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
【0160】
トリアジン誘導体類
とりわけBASF社によってUvinul T150の商標名で販売されている、エチルヘキシルトリアゾン、
Sigma 3VによってUvasorb HEBの商標名で販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
米国特許第6,225,467号明細書、国際公開第2004/085412号パンフレット(化合物6及び9参照)、又は文献“Symmetrical Triazine Derivatives”IP.COM Journal,IP.COM Inc West Henrietta,NY,USA(2004年9月20日)に記載されている対称性トリアジン遮断剤、特に2,4,6-トリス-(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル-1,3,5-トリアジン))及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン(Beiersdorfの国際公開第06/035000号パンフレット、国際公開第06/034982号パンフレット、国際公開第06/034991号パンフレット、国際公開第06/035007号パンフレット、国際公開第2006/034992号パンフレット、及び国際公開第2006/034985号パンフレットにおいても言及されている)。
【0161】
イミダゾリン誘導体類
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0162】
ベンザルマロネート誘導体類
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、DSM Nutritional Products,Inc.によってParsol SLXの商標名で販売されているポリシリコーン-15、
ジネオペンチル4’-メトキシベンザルマロネート。
【0163】
メロシアニン誘導体類
オクチル5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート、
好ましい遮断剤は、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、エチルヘキシル、メトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、及びジエチルヘキシルブタミドトリアゾンである。
【0164】
最も優先的には、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾン、及びエチルヘキシルメトキシシンナメートである。
【0165】
UVA光及びUVB光の双方を吸収することができる混合疎水性遮断剤
ベンゾフェノン誘導体類
BASF社によってUvinul 400の商標名で販売されているベンゾフェノン-1、
BASF社によってUvinul D50の商標名で販売されているベンゾフェノン-2、
BASF社によってUvinul M40の商標名で販売されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、
ベンゾフェノン-5、
Norquay社によってHelisorb 11の商標名で販売されているベンゾフェノン-6、
American Cyanamid社によってSpectra-Sorb UV-24の商標名で販売されているベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-10、
ベンゾフェノン-11、
ベンゾフェノン-12。
【0166】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体類
Rhodia Chimie社によってSilatrizoleの名で販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、Fairmount ChemicalによってMIXXIM BB/100の商標名で固体形態で、又はCiba Specialty Chemicals社によってTinosorb Mの商標名で水性分散系として微粒状にされた形態で販売されているメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール。
【0167】
ビス-レゾルシニルトリアジン誘導体類
Ciba GeigyによってTinosorb Sの商標名で販売されているビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン。
【0168】
ベンゾオキサゾール誘導体類
Sigma 3VによってUvasorb K2Aの名で販売されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0169】
優先的な遮断剤は:
ドロメトリゾールトリシロキサン、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、及び
ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン
である。
【0170】
最も優先的な遮断剤は:
ドロメトリゾールトリシロキサン、及び
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン
である。
【0171】
また、国際公開第2007/071582号パンフレット、IP.com Journal(2009),9(5A),29-30 IPCOM000182396D、表題「Process for producing 3-amino-2-cyclohexan-1-ylidene compounds」、及び米国特許第4749643号明細書(第13欄第66行~第14欄第57行、及びこの点に関して引用される参考文献)に記載されるプロトコルに従って調製されるような、メロシアニンタイプの遮断剤を挙げることができる。
【0172】
無機の日焼け止め又は光保護剤
無機の光保護剤は、コーティングされた、又はコーティングされていない金属酸化物顔料(一次粒子の平均サイズ:通常5nm~100nm、好ましくは10nm~50nm)、例えば酸化チタン(非晶質、又はルチル及び/若しくはアナタースの形態で結晶化)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムの顔料から選択され、これらは全て、それ自体が周知であるUV光保護剤である。
【0173】
顔料は、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0174】
コーティングされた顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries,February 1990,Vol.105,53-64ページに記載される化合物による、化学的、電子工学的、機械化学的、且つ/又は機械的な性質の1つ以上の表面処理を経た顔料であり、例えば、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、若しくはアルミニウム塩、(チタン又はアルミニウムの)金属アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、ケイ素酸化物、金属酸化物、又はナトリウムヘキサメタホスフェートがある。
【0175】
知られているように、シリコーンは、可変分子量の、直鎖状又は環状の、且つ分枝状の、又は架橋された構造体を含む有機シリコーンポリマー又はオリゴマーであり、適切に官能化されたシランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに連結(シロキサン結合)されている主要な単位の繰返しから本質的に構成されており、場合によっては置換されている炭化水素ベースの基は、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結されている。
【0176】
また、用語「シリコーン」は、その調製に必要とされるシラン、特にアルキルシランを包含する。
【0177】
本発明に適した顔料をコーティングするのに用いられるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンを含有する群から選択される。さらに優先的には、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンを含有する群から選択される。
【0178】
言うまでもなく、シリコーンで処理される前に、金属酸化物顔料は、他の表面剤で、特に酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、若しくはケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0179】
コーティングされた顔料は、より詳細には、以下のものでコーティングされた酸化チタンである:
- シリカ、例えば池田物産株式会社の製品Sunveil、
- シリカ及び酸化鉄、例えば池田物産株式会社の製品Sunveil F、
- シリカ及びアルミナ、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SA及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、並びにTioxide社の製品Tioveil、
- アルミナ、例えば石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(B)及びTipaque TTO-55(A)、並びにKemira社の製品UVT 14/4、
- アルミナ及びアルミニウムステアレート、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z、及びMT-01、Uniqema社の製品Solaveil CT-10 W及びSolaveil CT 100、並びにMerck社の製品Eusolex T-AVO、
- シリカ、アルミナ、及びアルギン酸、例えばテイカ株式会社の製品MT-100 AQ、
- アルミナ及びアルミニウムラウレート、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 S、
- 酸化鉄及び鉄ステアレート、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 F、
- 酸化亜鉛及び亜鉛ステアレート、例えばテイカ株式会社の製品BR 351、
- シリカ及びアルミナ(且つシリコーンで処理されている)、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS、又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
- シリカ、アルミナ、及びアルミニウムステアレート(且つシリコーンで処理されている)、例えばチタン工業株式会社の製品STT-30-DS、
- シリカ(且つシリコーンで処理されている)、例えばKemira社の製品UV-Titan X 195、
- アルミナ(且つシリコーンで処理されている)、例えば、石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(S)又はKemira社の製品UV-Titan M 262、
- トリエタノールアミン、例えばチタン工業株式会社の製品STT-65-S、
- ステアリン酸、例えば石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(C)、
- ナトリウムヘキサメタホスフェート、例えばテイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 W、
- オクチルトリメチルシランで処理されたTiO2(Degussa Silices社によってT 805の商標名で販売されている)、
- ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO2(Cardre社によって70250 Cardre UF TiO2SI3の商標名で販売されている)、並びに
- ポリジメチルヒドロゲノシロキサンで処理されたアナタース/ルチルTiO2(Color Techniques社によってMicrotitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicの商標名で販売されている)。
【0180】
コーティングされていない酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社によってMicrotitanium Dioxide MT 500 B又はMicrotitanium Dioxide MT 600 Bの商標名で、Degussa社によってP 25の名で、Wackher社によってTransparent titanium oxide PWの名で、三好化成株式会社によってUFTRの名で、株式会社トーメンによってITSの名で、そしてTioxide社によってTioveil AQの名で販売されている。
【0181】
コーティングされていない酸化亜鉛顔料は、例えば、以下のものである:
- Sunsmart社によってZ-Coteの名で販売されているもの、
- Elementis社によってNanoxの名で販売されているもの、
- Nanophase Technologies社によってNanogard WCD 2025の名で販売されているもの。
【0182】
コーティングされた酸化亜鉛顔料は、例えば、以下のものである:
- Toshibi社よってZinc Oxide CS-5の名で販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたZnO)、
- Nanophase Technologies社によってNanogard Zinc Oxide FNの名で販売されているもの(Finsolv TN(C12~C15アルキルベンゾエート)中40%分散系として)、
- 大東化成工業株式会社によってDaitopersion ZN-30及びDaitopersion ZN-50の名で販売されているもの(シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中の分散系(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたナノ酸化亜鉛を30%又は50%含有する))、
- ダイキン工業株式会社によってNFD Ultrafine ZnOの名で販売されているもの(ペルフルオロアルキルホスフェート、及びパーフルオロアルキルエチルをベースにしたコポリマーでコーティングされたZnO(シクロペンタシロキサン中の分散系として))、
- 信越化学工業株式会社によってSPD-Z1の名で販売されているもの(シリコーングラフトアクリルポリマーでコーティングされたZnO(シクロジメチルシロキサン中に分散))、
- ISP社によってEscalol Z100の名で販売されているもの(アルミナ処理ZnO(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP-ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物中に分散))、
- 冨士色素株式会社によってFuji ZnO-SMS-10の名で販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO)、
- Elementis社によってNanox Gel TNの名で販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合体を有するC12~C15アルキルベンゾエート中に55%の濃度にて分散したZnO)。
【0183】
コーティングされていない酸化セリウム顔料は、Rhone-Poulenc社によってColloidal Cerium Oxideの名で販売されている。
【0184】
コーティングされていない酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によってNanogard WCD 2002(FE 45B)、Nanogard Iron FE 45 BL AQ、Nanogard FE 45R AQ、及びNanogard WCD 2006(FE 45R)の名で、又はMitsubishi社によってTY-220の名で販売されている。
【0185】
コーティングされた酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によってNanogard WCD 2008(FE 45B FN)、Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)、Nanogard FE 45 BL 345、及びNanogard FE 45 BLの名で、又はBASF社によってTransparent Iron Oxideの名で販売されている。
【0186】
また、金属酸化物の、特に二酸化チタン及び二酸化セリウムの混合物を挙げることができ、シリカでコーティングされた二酸化チタン及び二酸化セリウムの等質量混合物が挙げられ、池田物産株式会社によってSunveil Aの名で販売されており、そしてまた、アルミナ、シリカ、及びシリコーンでコーティングされた二酸化チタン及び二酸化亜鉛の混合物、例えば、Kemira社によって販売されている製品M 261、又はアルミナ、シリカ、及びグリセロールでコーティングされた二酸化チタン及び二酸化亜鉛の混合物、例えば、Kemira社によって販売されている製品M 211を挙げることもできる。
【0187】
挙げられたこれらの金属酸化物粒子それ自体は、本発明に従って定義されるように、フォトニック粒子を構成しない。
【0188】
無機遮断剤は、本発明に従う組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%~15質量%、好ましくは0.2質量%~10質量%の濃度で存在してもよい。
【0189】
好ましくは、フォトニック粒子の、ポリマーc)に対する質量比は、0.1~20、好ましくは0.5~10である。
【0190】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つの水性相を含む。
【0191】
水性相は、水、場合によっては他の水溶性又は水混和性の有機溶媒を含有する。
【0192】
本発明の使用に適した水性相は、例えば、天然の湧き水、例えばLa Roche-Posayの水、Lucasの水、Vittelの水、Saint-Gervaisの水、若しくはVichyの水、又はフローラルウォーターから選択される水を含んでもよい。
【0193】
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの極性のある有機溶媒を含有してもよく、これは、好ましくは、生理的に許容可能である。
【0194】
極性のある有機溶媒は、通常、水混和性である。
【0195】
極性のある有機溶媒として、C1~C6モノアルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール;C1~C6ポリオール、例えば、グリセロール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオール;C1~C6アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びヘキシレングリコール;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0196】
本発明の組成物中のC1~C6アルコールの総含有量は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、そして優先的には1質量%~5質量%のC1~C6アルコールである。
【0197】
本発明の組成物中のC1~C6アルキレングリコールの総含有量は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%、そして優先的には5質量%~25質量%のC1~C6アルキレングリコールである。
【0198】
本発明に従う組成物は、揮発性の溶媒を含んでもよい。
【0199】
本発明の目的のために、用語「揮発性の溶媒」は、室温且つ大気圧にて、ケラチン物質と接触して直ぐに蒸発することができるあらゆる液体を意味する。
【0200】
本発明に従う組成物は、とりわけ、組成物が、揮発性の溶媒を少なくとも5%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%含有するように選択されてもよい。
【0201】
脂肪相
本発明に従う組成物は、脂肪相を含んでもよい。脂肪相は、とりわけ、揮発性であってもよい。
【0202】
組成物は、油、例えば、合成エステル及びエーテル、無機起源又は合成起源の直鎖状又は分枝状の炭化水素、8~26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、部分的に炭化水素ベースの、且つ/又はシリコーンベースのフルオロ油、シリコーン油、例えば直鎖状又は環状のシリコーン鎖を有する揮発性又は非揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)(室温にて液体又はペースト状である)、並びにそれらの混合物を含んでもよく、他の例が以下に与えられている。
【0203】
このように、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの揮発性の油を含んでもよい。
【0204】
揮発性油
本発明の目的のために、用語「揮発性油」は、室温にて、且つ大気圧にて、皮膚と接触して直ぐ(1時間未満)に蒸発することができる油(又は非水性媒体)を意味する。
【0205】
揮発性油は、揮発性の化粧用油であり、これは、室温にて液体である(とりわけ蒸気圧が室温且つ大気圧にてゼロでなく、特に蒸気圧が0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲であり、好ましくは1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲であり、好ましくは1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲である)。
【0206】
揮発性の炭化水素ベースの油は、8~16個の炭素原子を含有する、動物又は植物起源の炭化水素ベースの油から選択されてもよく、とりわけ、分枝状のC8~C16アルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン、及び、例えば、Isopar(登録商標)又はPermethyl(登録商標)の商標名で販売されている油である。
【0207】
また、用いられてもよい揮発性油として、揮発性のシリコーン、例えば揮発性の直鎖状又は環状のシリコーン油が挙げられ、とりわけ、粘性が≦8センチストーク(8×10-6m2/s)であり、そしてとりわけ、2~10個のケイ素原子、特に2~7個のケイ素原子を含むものであり、当該シリコーンは、場合によっては、1~10個の炭素原子を含むアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明で用いられてもよい揮発性のシリコーン油として、とりわけ、ジメチコン(粘度が5及び6cStである)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0208】
また、揮発性のフルオロ油、例えばノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタン、及びそれらの混合物が用いられてもよい。
【0209】
また、先で言及した油の混合物を用いることも可能である。
【0210】
不揮発性油
本発明に従う組成物は、不揮発性油を含んでもよい。
【0211】
本発明の目的のために、用語「不揮発性油」は、蒸気圧が0.13Pa未満である油、とりわけモル質量が高い油を意味する。
【0212】
不揮発性油は、とりわけ、フッ素化されていてもよい不揮発性の炭化水素ベースの油、及び/又はシリコーン油から選択されてもよい。
【0213】
本発明での使用に適し得る不揮発性の炭化水素ベースの油として、とりわけ:
- 動物起源の炭化水素ベースの油、
- 植物起源の炭化水素ベースの油、例えばフィトステアリルエステル、例えばフィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレート、及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート(例えば、味の素株式会社によってEldew PS203の名で販売されている)、グリセロールの脂肪酸エステルで構成されるトリグリセリド、C4~C24に及ぶ鎖長を有してもよい脂肪酸(当該鎖は、おそらく、直鎖状又は分枝状であり、且つ飽和しており、又は不飽和である);これらの油は、とりわけ、ヘプタノイック(heptanoic)トリグリセリド若しくはオクタノイック(octanoic)トリグリセリド、コムギ麦芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シアバター油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スウィートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘイゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ポピー油、カボチャ油、マロー油、クロフサスグリ油、マツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイノキ油、パッションフラワー油、又はマスクローズ油;シアバター;或いは代わりにカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の名で販売されているものである、
- 無機起源又は合成起源の炭化水素ベースの油、例えば:
・ 10~40個の炭素原子を含有する合成エーテル、
・ 無機起源又は合成起源の直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、石油ゼリー、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばパールリーム、及びスクアラン、並びにそれらの混合物、特に水添ポリイソブテン、
・ 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸の残基を表し、R2は、とりわけ、1~40個の炭素原子を含有する分枝状炭化水素ベースの鎖を表すが、R1+R2は≧10であることを条件とする)
を挙げることができる。
【0214】
エステルは、とりわけ、とりわけ脂肪酸エステル、例えば:
・ セトステアリルオクタノエート、イソプロピルアルコールエステル、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、水酸化エステル、例えば、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、ジイソプロピルアジペート、ヘプタノエート、及び、とりわけイソステアリルヘプタノエート、アルコール又はポリアルコールオクタノエート、デカノエート又はリシノレート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、プロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート、並びにそれらの混合物、C12~C15アルコールベンゾエート、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えば、イソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えば、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、オクチルイソノナノエート、水酸化エステル、例えば、イソステアリルラクテート及びジイソステアリルマレート、
・ ポリオールエステル及びペンタエリトリチルエステル、例えば、ジペンタエリトリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
・ ジオールダイマーの、そして二価酸ダイマーのエステル、例えば、日本精化株式会社によって販売されており、且つ仏国特許出願公開第0302809号明細書に記載されているLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)、
・ 室温にて液体であり、12~26個の炭素原子を含有する分枝状且つ/又は不飽和の炭素ベースの鎖を有する脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、及び2-ウンデシルペンタデカノール、
・ 高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸、並びにそれらの混合物、並びに
・ ジアルキルカーボネート(2つのアルキル鎖はおそらく、同一であり、又は異なる)、例えば、CognisによってCetiol CC(登録商標)の名で販売されているジカプリリルカーボネート、
・ 不揮発性のシリコーン油、例えば、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン鎖の側に、且つ/又は末端にアルキル基又はアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン(これらの基はそれぞれ、2~24個の炭素原子を含有する)、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、並びにジメチコン又はフェニルトリメチコン(粘性は、100cSt以下である)、並びにそれらの混合物、
- 並びにそれらの混合物
から選択されてもよい。
【0215】
フォトニック粒子を含有する組成物は、油がなくてもよく、特に非揮発性の油を含有しなくてもよい。
【0216】
添加物
フォトニック粒子を含む組成物は、美容分野で一般的であるアジュバントから選択される少なくとも1つの添加物を含んでもよく、例えば、フィラー、着色剤、親水性又は親油性のゲル化剤、水溶性又は脂溶性の活性剤、保存剤、モイスチャライザ、例えばポリオール、とりわけグリセロール、封鎖剤、抗酸化剤、溶媒、芳香剤、臭気吸収剤、pH調整剤(酸又は塩基)、及びそれらの混合物である。
【0217】
組成物は、太陽保護の技術分野において補完活性を有する少なくとも1つの活性剤を含有してもよく、例えば、抗酸化剤、抗色素沈着及び脱色の関連での漂白剤、並びにアンチエイジング活性剤である。
【0218】
添加物は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,10th Edition Cosmetic and Fragrance Assn,Inc.,Washington DC(2004)(参照によって本明細書に組み込まれる)中で言及されているものから選択されてもよい。
【0219】
提示形態
本発明に従う組成物は、皮膚、唇、毛髪、又は爪用のローション、二相組成物、クリーム、乳、軟膏、又はゲルであってもよい。
【0220】
光保護化粧用組成物
その態様の別のものに従えば、本発明は、上記に定義されるように、生理的に許容可能な媒体中に、本発明に従う組成物を含む、光保護化粧用組成物に関する。
【0221】
用語「生理的に許容可能な媒体」は、ヒトケラチン物質、特に、皮膚、粘膜、又は外皮に塗布されてもよい非毒性の媒体を意味する。
【0222】
この媒体は、組成物が塗布されることとなる支持体の性質に、そしてまた、組成物がパッケージ化されることが意図される形態に、適合する。
【0223】
組成物は、特に熱可塑性物質から製造された、あらゆるパッケージング装置内に、又はこの目的のために意図されるあらゆる支持体上に、パッケージ化されてよい。
【0224】
パッケージング装置は、ボトル、ポンプ動作ボトル、エーロゾルフラスコ、チューブ、サシェ、又は瓶であってもよい。
【0225】
美容用の非治療光保護プロセス
光保護化粧用組成物は、手で塗布されてもよいし、アプリケータを用いて塗布されてもよい。
【0226】
また、塗布は、例えば圧電装置又はエーログラフ装置を用いて、スプレー又は発射によって実施されてもよいし、中間支持体上に以前に堆積させた組成物の層の移行によって実施されてもよい。
【実施例】
【0227】
実施例1-本発明に従うフォトニック粒子の調製
シリカ粒子(JGCのCosmo S-160NP)の水性分散系を、以下のプロセスに従って霧状にした。
【0228】
市販の分散系を得られたまま用い、又は約18%に等しい粒子の質量濃度が得られるように水と混合する。
【0229】
このようにして得られた分散系を、アトマイザ(Niro Minor Production)中に導入し、注入速度を3800g/hにセットし、タービン速度を37800rpmにセットし、そして噴霧化温度を290℃にセットする。
【0230】
得られたオパールは、平均サイズ(D0.5)が12.2μmの、乾燥粉末の形態の順オパール(direct opals)である。
【0231】
ポリマー1の調製の実施例2:
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による分子量の判定:
10mg/mlのポリマーのテトラヒドロフラン溶液を調製することによって、サンプルを調製する。サンプルを、54℃のオーブン内に10分間置いてから、振動シェーカー内に60分間置いて、溶解を促進させる。視覚による精査の後に、サンプルは、溶媒中に完全に溶解したように見える。
【0232】
調製したサンプルを、2つのpolypore 300×7.5mmカラム(Agilent Technologies製)、Waters 2695クロマトグラフィーシステム、テトラヒドロフラン移動相、及び屈折率による検出を用いて分析した。サンプルを、0.45μmナイロンフィルターで濾過してから、液体クロマトグラフ中に注入した。較正に用いた標準は、Agilent TechnologiesのEasi Vial狭ポリスチレン(PS)標準である。
【0233】
2520000~162ダルトンの範囲にわたるポリスチレン標準を較正に用いた。
【0234】
当該システムは、PSS SECcurity 1260 RI検出器を備えている。ポリスチレン較正曲線を用いて、平均分子量を判定した。ダイアグラムの記録、及び種々の分子量の判定を、Win GPC Unichrom 81プログラムによって行った。
【0235】
示差走査熱量測定(又はDSC)による融点の判定:
この方法は、示差走査熱量測定によってポリマーの融点を判定するための一般的な手順を記載する。この方法は、規格ASTM E791及びASTM D 34182に基づき、DSC較正は、規格ASTM E 9672に従って行われる。
【0236】
ベヘニルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー(ポリマー1):
サイドブレードミキサー、内部温度計、2つの漏斗、還流コンデンサ、及び他の2つ口用の拡張部を備えた4つ口フラスコ内で、20分間の窒素フラッシュによって系から酸素を除去した後に、175gのベヘニルアクリレート、25gの2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び0.4gの2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Akzo Nobel)を、80℃にて60分にわたって、40gのイソプロパノールに、撹拌しながら加えた。その混合物を、80℃にて3時間撹拌した。次に、溶媒を、減圧蒸留によって除去してから、1gのジラウリルパーオキシドを加えて、反応を110℃にて60分間続けた。この工程を繰り返した。次に、混合物を90℃に冷却して、脱塩水の流れを加えてから、混合物を撹拌した。水を、減圧蒸留によって除去した。
分子量:Mn=7300g/mol、Mw=21000、Mw/Mn=2.8
融点:65℃。
【0237】
ポリマー2の調製の実施例3:
ステアリルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー(ポリマー2):
サイドブレードミキサー、内部温度計、2つの漏斗、還流コンデンサ、及び他の2つ口用の拡張部を備えた4つ口フラスコ内で、20分間の窒素フラッシュによって系から酸素を除去した後に、155gのステアリルアクリレート、45gの2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び0.4gの2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Akzo Nobel)を、80℃にて90分にわたって、50gのイソプロパノールに、撹拌しながら加えた。混合物を、80℃にて3時間撹拌した。次に、溶媒を、減圧蒸留によって除去してから、1gのジラウリルパーオキシドを加えて、反応を125℃にて60分間続けた。その工程を繰り返した。次に、混合物を90℃に冷却して、脱塩水の流を加えてから、混合物を撹拌した。水を、減圧蒸留によって除去した。
分子量:Mn=7500g/mol、Mw=19000、Mw/Mn=2.6
融点:49℃。
【0238】
例4~6-本発明に従う組成物の調製
以下のO/Wエマルジョンを調製した。
【0239】
【0240】
【0241】
調製方法
- 例4~6に記載される組成物を、以下の手順に従って調製した:
- 1-油性相(相A)を、遮断剤を導入することによって調製する。
- 遮断剤を、70℃に加熱することによって溶解させて、ポリマーを構成する脂肪相を加えて、ポリマーが完全に溶解するまで加熱する。
- 2-水性相(相B)を調製して、相を70℃に加熱する。
- 3-ローター/ステーターミキサー、例えばMoritzブレンダを70℃にて用いて、2つの相を一緒に乳化させて、30℃に冷却する。
- 4-フォトニック粒子(相C)を、Rayneriブレンダを用いてゆっくり撹拌しながら導入する。
- 5-相Dを、Rayneriブレンダを用いてゆっくり撹拌しながら加える。
【0242】
組成物4~6は、4℃、室温、そして45℃にて2ヵ月間均質であり、且つ安定している。
【0243】
本発明に従うポリマーc)の添加により、本発明に従わない別のアクリルポリマーとは対照的に、SPFを顕著に増大させることが可能となる。
【0244】
組成物4は、SPFが高いと同時に、優れた美容特性を有する。皮膚上での透明度、及び軟度は、本発明に従う組成物4について、著しく優れている。
【0245】
同じタイプの結果は、組成物4中でポリマー1をポリマー2で置き換えることによって得られる。