(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】移動式熱間コイル保温熱処理装置
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20220905BHJP
C21D 9/52 20060101ALI20220905BHJP
B21B 39/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C21D1/00 E
C21D9/52 101
B21B39/00 H
(21)【出願番号】P 2020537827
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2018106712
(87)【国際公開番号】W WO2019057117
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】201710853613.3
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810632224.2
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520097467
【氏名又は名称】宝鋼湛江鋼鉄有限公司
【氏名又は名称原語表記】BAOSTEEL ZHANJIANG IRON & STEEL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520098006
【氏名又は名称】上海賀力液圧机電有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HELI HYDRAULIC MECHANICAL & ELECTRICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇
(72)【発明者】
【氏名】朱 蔚 林
(72)【発明者】
【氏名】王 野
(72)【発明者】
【氏名】趙 春 禾
(72)【発明者】
【氏名】宋 涛
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167992(JP,A)
【文献】特開昭60-110816(JP,A)
【文献】特開昭60-218431(JP,A)
【文献】特許第6163621(JP,B1)
【文献】特開昭60-125329(JP,A)
【文献】特開平07-001024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0049773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
C21D 9/52- 9/70
B21B 39/00-41/12
B21B 45/00-45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板の中央に設置される鋼コイル固定台座と;
環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座の中部に水平に外挿されるトレーと;
下端が開口され、前記トレーをカバーして設けられ、その内部キャビティ体積が鋼コイルより大きい保温カバーと;
前記保温カバーに設置される電気加熱装置と;
前記保温カバー内に設置される温度センサーと;
前記電気加熱装置、温度センサーと電気的に接続される情報収集制御モジュールと
を含み、
前記鋼コイル固定台座は、上端面が斜面であり、且つ対称に設置される2個の並列的な支持体を含む;2個の支持体の
間の間隙の両側に、それぞれ側面密封装置が設置され、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持
体の間の間隙には、2個の支持体
の間の間隙を閉じ込める底部密封装置が設けられることを特徴とする、熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項2】
ガス保護装置及びガスセンサーがさらに含まれ、且つそれぞれ該情報収集制御モジュールと電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項3】
前記情報収集制御モジュール内には、信号送信モジュールが設けられることを特徴とする、請求項2に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項4】
前記側面密封装置は、
2個の支持体の外側であって、2個の支持体の間の間隙の両側のそれぞれの底部に設置される固定基板と;固定基板の外側面に沿って間隔を空けて設置されるガイドローラーと;
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の
間の間隙の両側に、それぞれ設置され、その底端が前記固定基板のガイドローラーに摺動可能に設けられる2個のシーラーと;
駆動機構と
を含み、
駆動機構は、
前記2個のシーラーにそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラーに接続される2個のラックと;
2個の軸受台座に水平に設置される駆動軸と;駆動軸の両端にそれぞれ設置され、ラックと噛み合うピニオンと
を含
み、
前記軸受台座は、固定板によって前記支持体の一側に設置される、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項5】
該固定板の一側には、前記ラックを通すための貫通孔が設けられ、貫通孔上方の固定板外側面には、ラックの頂面と当接するためのローラーが設置されることを特徴とする、請求項4に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項6】
前記シーラーは複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆されることを特徴とする、請求項4に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項7】
前記底部密封装置は、
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間に設置されて、鉛直に配置される支持板と;
前記支持板の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体
の間の間隙に相応する密封板と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項8】
前記支持板の一側端面には電磁ブロックが設けられることを特徴とする、請求項
7に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項9】
前記側面密封装置は、2個の支持体の外側であって、2個の支持体の間の間隙の両側の底部のそれぞれに設置される固定基板と;固定基板の外側面に沿って間隔を空けて設置されるガイドローラーと;
前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間の間隙の両側にそれぞれ設置され、その底端が前記固定基板のガイドローラーに摺動可能に設けられる2個のシーラーとを含み、
前記シーラーは複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板であることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項10】
前記保温カバーの側面下部には位置決めブッシュが設けられる
;前記トレーには該位置決めブッシュと合わせる位置決めピンが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項11】
前記保温カバーには、ガス孔及
びガス排出バルブが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項12】
前記保温カバーは複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板であることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項13】
前記保温カバーは複合構造であり、内部放射層、電気加熱ワイヤー層、中間メッシュ層、中間保温層、外保護層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項14】
前記
複合構造はアンカー釘によって固定されることを特徴とする、請求項
13に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項15】
前記保温カバーは方形保温カバー又は円形保温カバーであることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【請求項16】
前記電気加熱装置は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサーは熱電対であることを特徴とする、請求項1に記載の熱間コイル保温熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は熱間圧延設備に関し、特に移動式熱間コイル保温熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
冷間圧延超高強度鋼の生産には、主に帯鋼の長手方向及び幅方向に性能のばらつきが大きいという難題が存在し、冷間圧延生産の際に圧延力の急激な変動が生じることや、冷間圧延製品の厚さが公差標準を超えることに繋がり、これは、冷間圧延酸洗連続圧延機群の圧延安定性に影響を与えるし、冷間圧延超高強度鋼の歩留まりにもひどく影響を与える。
【0003】
伝統の熱間圧延生産ラインでは、巻取り終了後の鋼コイルの輸送において、鋼コイルの輸送しか完成せず、鋼コイルに保温徐冷、焼鈍等の処理プロセスが必要であると、専用の保温ピット、保温炉、ベル型炉、熱処理等の生産ラインを設置する必要がある。投資が大きく、エネルギー消費が高く、輸送コストが大きく、歩留まりが低い等の特徴を有する。特に高強度鋼種の場合、上記プロセスは時効の原因で、プロセス効果が理想の状態に達することができない。
【0004】
現在、国内外の主流製鋼所では、オフライン保温ピット、保温ウォール又は保温炉によって高強度鋼に徐冷、焼鈍処理を行い、帯鋼をコイルにしてからさらに均一に冷却させ、性能ばらつきの改善及び内部応力の緩和の目的を果たす場合が多い。現段階で、ある会社は移動式熱間コイル焼鈍制御装置について段階的に開発・応用を行っているが、使用過程において多くの問題がある。
【0005】
(1)圧延ライン保温装置に存在する最重要問題は、帯鋼が巻取ってから保温装置に入るまでの時間間隔が長すぎて、帯鋼の金属組織変態が殆ど発生若しくは完成したゆえ、オフライン徐冷による熱間コイル性能改善効果は、高強度鋼の品質要求を満たすことができない。熱間コイルを保温カバーに入れるには、20~30分間吊ったままで輸送する必要があり、鋼コイルの空冷時間が長すぎて、保温効果と材料性能に影響を与える。
【0006】
(2)このような保温装置には、専用の保温ピット、保温炉、ベル型炉、熱処理等の生産ラインが追加して設置され、構築コストが通常高くなり、しかも改造過程の工事期間が長くて順調な生産に影響を与える。また、保温効果が劣る(温度降下速度が速い)という問題も存在する。
【0007】
(3)このような形態の保温カバーは殆どオフラインモード(保温装置が巻取り置き場に静止的に放置されるもの)であり、鋼コイルの吊り輸送で、生産ラインの正常な生産ペースが乱れる。圧延鋼生産ラインの生産能力の発揮が影響され、実際の量産化が困難になる。
【0008】
(4)現段階で、ある会社が開発した保温カバーは、形式上で保温効果しか持たず、底部構造が完全に密封できないゆえ、鋼コイル保温効果が劣る。
【0009】
中国特許CN201210338335では、鋼コイルの巻取り終了後にコイルを装荷して輸送する輸送チェイントレーを含む「ローラートレー式金属帯コイル輸送装置」が開示される。該装置は、単独で鋼コイルを輸送する固定台座だけである。輸送途中で鋼コイルにインライン保温を行うことができない。
【0010】
中国特許CN201710853613.3では、保温効果しか持たず、底部構造が完全に密封できないゆえ、鋼コイル保温効果が劣る「インライン保温徐冷装置」が開示される。
【0011】
日本特許JP1985110816(A)では、単一式保温カバーを含む「単一式保温カバー」が開示されるが、ローラーハース輸送チェインの構造形式を取り、鋼コイル保温作用しか奏することができない。
【0012】
日本特許JP2010094710(A)では、専用の保温ピット等の生産ラインが追加して設置されたことを含む「トンネル式保温カバー」が開示されるが、構築コストが通常高くなり、しかも改造過程の工事期間が長くて順調な生産に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の内容
本発明の目的は、鋼コイル自身の熱によって鋼コイルに均熱、徐冷の熱処理プロセスを施し、高効率、省エネルギー及び歩留まり向上の目的を果たす移動式熱間コイル保温熱処理装置を設計することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を果たすために、本発明の技術方案は:
基板と;前記基板の中央に設置される鋼コイル固定台座と;環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座の中部に水平に外挿されるトレーと;下端が開口され、前記トレーをカバーして設けられ、その内部キャビティ体積が鋼コイルより大きい保温カバーと;前記保温カバーの内側壁に設置される電気加熱装置と;前記保温カバー内に設置される温度センサーと;前記電気加熱装置、温度センサーと電気的に接続される情報収集制御モジュールとを含む、移動式熱間コイル保温熱処理装置である。
【0015】
好ましくは、ガス保護装置及びガスセンサーがさらに含まれ、且それぞれ該情報収集制御モジュールと電気的に接続される。
【0016】
好ましくは、前記情報収集制御モジュール内には、信号送信モジュールが設けられる。
好ましくは、前記鋼コイル固定台座は、上端面が斜面であり、且つ対称に設置される2個の並列的な支持体を含む;2個の支持体の両側の間隙には、それぞれ側面密封装置が設置される。
【0017】
さらに、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の底部の間には、2個の支持体の底部の間の間隙を閉じ込める底部密封装置が設けられる。
【0018】
好ましくは、前記底部密封装置は、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の間に設置されて、鉛直に配置される支持板であって、その両側面の下部に長手方向に沿って均一な間隔で、摺動可能な機構を形成するための若干のローラーが設置される支持板と;前記支持板の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体の底部の間の間隙に相応する密封板とを含む。
【0019】
好ましくは、前記支持板の一側端面には電磁ブロックが設けられる;相応に、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の一側端部には電磁ブロックと合わせる金属ストッパブロックが設けられる。
【0020】
好ましくは、前記密封板は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板である。
【0021】
好ましくは、前記側面密封装置は、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の外側、間隙の底部にそれぞれ水平に設置される2個の固定基板と;固定基板の外側面に軸方向に沿って間隔を空けて設置される若干のガイドローラーと;前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の両側の間隙にそれぞれ設置され、その底端が前記固定基板のガイドローラーに摺動可能に設けられる2個のシーラーと;駆動機構とを含み、該駆動機構は、前記2個のシーラーにそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラーに接続される2個のラックと;2個の軸受台座によって前記支持体の間隙に対する反対側に水平に設置される駆動軸と;駆動軸の両端にそれぞれ設置され、ラックと噛み合うピニオンとを含む。
【0022】
好ましくは、前記軸受台座は、固定板によって前記支持体の一側に設置され、該固定板の一側には、前記ラックを通すための貫通孔が設けられ、貫通孔上方の固定板外側面には、ラックの頂面と当接するためのローラーが設置される。
【0023】
好ましくは、前記シーラーは複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆される。
【0024】
好ましくは、前記シーラーは直角板構造である。
好ましくは、前記保温カバーの側面下部には位置決めブッシュが設けられる;相応に、前記保温カバートレーには該位置決めブッシュと合わせる位置決めピンが設けられる;前記位置決めピンはテーパ状のものが好ましい。
【0025】
好ましくは、前記保温カバーには、ガス透過孔及び相応のガス排出バルブが設けられる。
【0026】
好ましくは、前記保温カバーは複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板である。
【0027】
好ましくは、前記保温カバーは複合構造であり、内部から外部へ順次に、内部放射層、電気加熱ワイヤー層、中間メッシュ層、中間保温層、外保護層を含む;前記保温カバー複合構造はアンカー釘によって固定される。
【0028】
材料として、内層は耐高温ステンレス板である。
好ましくは、前記保温カバーは方形保温カバー又は円形保温カバーである。
【0029】
好ましくは、前記電気加熱装置は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサーは熱電対である。
【0030】
前記側面密封装置は主に、密封性能を増強し、保温カバーがトレーに取り付けられる場合の内部保温空間での熱損失を防ぐためのものであり、密封性能が増強されると、密封空間内での鋼コイル残留熱の利用は向上する。
【0031】
保温装置内の熱損失を低減させ、温度保温の安定性を向上させ、計測時のデータの正確性を保証し、保温装置の気密性を確保し、内部物体の酸化を防止し、作動自動化レベルを上げることで、鋼コイルの性能効果を高める。
【0032】
底部の開口が底部密封装置によって閉じ込められ、鋼コイルが巻取り機キャビティからトレーに取り出される時、保温物体が位置についてから保温カバーを被せ、走行過程において、該装置は自動的に横に移動し、トレー底部の開口を良好に密封し、密閉空間を形成し、温度が降下しないように保証し、保温を実現する。
【0033】
輸送チェイントレーの保温カバーベースは、輸送チェイントレーの上部にあり、輸送チェイントレーに全体的に溶接される。保温カバーに対する荷重負担能力を向上させるために、輸送チェイントレーの保温カバーベースには、高強度耐熱鋼材を採用し、外部を保温材で被覆し、中間部をアンカー釘によって固定した後、最外部に耐高温ステンレス板を敷く。保温カバーを便利に上下に吊ることを保証するために、輸送チェイントレーの保温カバーベースの中間部に位置決めピンを設け、ガイドブッシュを設け、吊り・実装過程において、保温カバーを最終に位置につけ、位置決めの精度を高め、実装時間を向上させる。
【0034】
鋼コイルが巻取り機キャビティからトレーに取り出される時、保温カバーは位置決めピンと位置決めブッシュによって密閉に位置を決めることにより、保温カバーを迅速に取り付けて位置を決めて密閉空間を形成し、温度が降下しないように保証することができる。
【0035】
ガス保護装置は、鋼コイルの酸化を防止して表面品質を高めるために、熱間圧延・巻取り終了後、鋼コイルが輸送チェインのトレーに取り付けられてから、保温カバーがカバーされる。保温カバー内部に保護ガスを導入し、鋼コイル内の空気を置換する。鋼コイルの酸化を防止して鋼コイル表面品質を高める。
【0036】
保温カバー内部には、ガス透過孔が追加して開けられ、ガス排出バルブが取り付けられる。熱間圧延・巻取り終了後、鋼コイルが輸送チェインのトレーに取り付けられてから、保温カバー装置がカバーされ、内部空間の温度が600℃以上にも達する。それと同時に、鋼コイルは層流冷却、帯鋼巻取りの過程において、表面に少量の湿気が付着している。設備の安全の保証及び鋼コイルの品質の向上のために、保温カバーに保護ガスを導入する前に、高温ガスを排除する。
【0037】
保温カバー外層は高強度鉄筋板であり、保温カバーは頻繁に吊られるので、吊り強度を保証する必要がある。外部を特殊耐熱鋼材にする。中間を保温材で被覆し、中間部をアンカー釘によって固定した後、最内部に耐高温ステンレス板を敷く。後期の吊り輸送を保証するために、保温カバー頂端に吊りチャックを追加する。それと共に、鋼コイルの性質と種類により、保温カバーは他の形態(方形保温カバー、円形保温カバーの構造)に作製してもよく、温度場構造が変更すると、鋼コイルの性能向上にとってより有利である。
【0038】
電気加熱装置により、保温カバーは、熱延鋼コイルの残留熱による徐冷を実現できるだけでなく、ある特殊な鋼材に対して二次加熱処理を施し、二次焼戻を実現し、鋼コイルの性能を改善し、結晶粒子を微細化することもできる。
【0039】
情報検出送信モジュールは、保温カバー内の鋼コイル温度を記録する。保温カバーに検出素子、PLCシステム及び無線送信装置を追加することにより、保温カバー内の情報を認識する。保温カバー内部に、温度測定範囲が0~1100度で、保温カバー内部の空気の温度変化を検出するための熱電対を挿入する。
【0040】
保温カバー内の空気や温度等のデータを地面のサーバーに送信すると共に、相関の鋼コイルデータ情報を下流へ送信するために、元の保温カバーの外面に無線リモコンボックスを取り付けることで、無線及び蓄電装置を利用して、保温カバーの移動式温度測定・サンプリング、データの無線送信、物流情報の書き込み・読み込み等の機能を実現する。
【発明の効果】
【0041】
本発明の有利な効果は、
本発明にかかる半円形構造設計は、構造が軽量で、保温効果が良好で、鋼コイルの積み降ろしが便利で、自動化程度が高く、密閉性が良好である等の特徴を有し、該設備の保温・均熱及び耐酸化効果がさらに最適化される。
【0042】
1.巻取り終了後、速やかに保温し、効果が一番優れている;高温領域で保温し、性能指標を有効に改善できる。低温領域で保温すると、組織変態又は冷却の不均一が既に発生しており、効果は大幅に低下する。
【0043】
2.有効な保温は肝心なものであり、冷却速度を変えると、材質性能に影響を与え、「層流冷却+巻取った後の冷却制御」は、高強度鋼の材質性能を改善するための重要な一環である。異なる製品は、成分の相違、温度プロセスの相違により、熱間コイルの材質特性も相違する。
【0044】
3.保温時間の延長は、材質の性能均一化及び性能軟化に有利であり、980QP、980DP-GI (極限規格)、1180QPの熱間コイル保温が≧6時間で、980CPの熱間コイル保温が≧12時間である場合、効果は一番優れている。
【0045】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は本発明の実施例1の構造の模式図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例における保温カバーの局所断面図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例1における底部密封装置の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
具体的な実施形態
図1~
図12を参照して、本発明にかかる移動式熱間コイル保温熱処理装置は、
基板1と;
前記基板1の中央に設置される鋼コイル固定台座2と;
環状構造のものであって、前記鋼コイル固定台座2の中部に水平に外挿されるトレー3と;
下端が開口され、前記トレー3をカバーして設けられ、その内部キャビティ体積が鋼コイル100より大きい保温カバー4と;
前記保温カバー4の内側壁に設置される電気加熱装置5と;
前記保温カバー4内に設置される温度センサー6と;
前記電気加熱装置5、温度センサー6と電気的に接続される情報収集制御モジュール7とを含む。
【0048】
また、ガス保護装置及びガスセンサー8、8’がさらに含まれ、且それぞれ該情報収集制御モジュール7と電気的に接続される。
【0049】
好ましくは、前記情報収集制御モジュール7内には、信号送信モジュールが設けられる。
【0050】
好ましくは、前記鋼コイル固定台座2は、上端面が斜面であり、且つ対称に設置される2個の並列的な支持体21、22を含む;2個の支持体21、22の両側の間隙には、それぞれ側面密封装置9、9’が設置される。
【0051】
さらに、前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の底部の間には、2個の支持体21、22の底部の間の間隙を閉じ込める底部密封装置10が設けられる。
【0052】
好ましくは、前記底部密封装置10は、
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の間に設置されて、鉛直に配置される支持板101であって、その両側面の下部に長手方向に沿って均一な間隔で、摺動可能な機構を形成するための若干のローラー102が設置される支持板101と;
前記支持板101の頂面に水平に設置され、その大きさが前記2個の支持体21、22の底部の間の間隙に相応する密封板103と
を含む。
【0053】
好ましくは、前記支持板101の一側端面には電磁ブロック104が設けられる;相応に、前記鋼コイル固定台座の2個の支持体の一側端部には電磁ブロックと合わせる金属ストッパブロックが設けられる。
【0054】
好ましくは、前記密封板103は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板である。
【0055】
好ましくは、前記側面密封装置9(側面密封装置9を一例とする、以下同じ)は、
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の外側、間隙の底部にそれぞれ水平に設置される2個の固定基板91、91’と;固定基板91、91’の外側面に軸方向に沿って間隔を空けて設置される若干のガイドローラー92、92’と;
前記鋼コイル固定台座2の2個の支持体21、22の両側の間隙にそれぞれ設置され、その底端が前記固定基板91のガイドローラー92、92’に摺動可能に設けられる2個のシーラー93、93’と;
駆動機構94と
を含み、
駆動機構94は、
前記2個のシーラー93、93’にそれぞれ水平に設置され、その一端がシーラー93、93’に接続される2個のラック941と;
2個の軸受台座943によって前記支持体21の間隙に対する反対側に水平に設置される駆動軸942と;駆動軸942の両端にそれぞれ設置され、ラック941と噛み合うピニオン944と
を含む。
【0056】
好ましくは、前記軸受台座943は、固定板945によって前記支持体221の一側に設置され、該固定板945の一側には、前記ラック941を通すための貫通孔9451が設けられ、貫通孔9451上方の固定板945外側面には、ラック941の頂面と当接するためのローラー946が設置される。
【0057】
好ましくは、前記シーラー93は複合層構造であり、中間が保温材マットからなり、両側が耐高温鋼板で被覆される。
【0058】
好ましくは、前記シーラー93は直角板構造である。
好ましくは、前記保温カバー4の側面下部には位置決めブッシュ12が設けられる;相応に、前記鋼コイルトレー3には該位置決めブッシュ12と合わせる位置決めピン13が設けられる;前記位置決めピン13はテーパ状のものが好ましい。
【0059】
好ましくは、前記保温カバー4には、ガス透過孔及び相応のガス排出バルブ41が設けられる。
【0060】
好ましくは、前記保温カバー4は複合構造であり、外保護層が高強度鋼板であり、中間層が保温材であり、内層は耐高温ステンレス板である。
【0061】
好ましくは、前記保温カバー4は複合構造であり、内部から外部へ順次に、内部放射層42、電気加熱ワイヤー層43、中間メッシュ層44、中間保温層45、外保護層46を含む;前記保温カバー複合構造はアンカー釘47によって固定される。
【0062】
図3、
図4を参照して、前記保温カバー4は方形保温カバー又は円形保温カバーである。
【0063】
好ましくは、前記電気加熱装置5は電気加熱ワイヤーであり、前記温度センサーは熱電対である。
【0064】
本発明は、巻取り後の帯鋼コイルに保温処理を行うと共に、巻取り終了直後の鋼コイルに残留熱を利用して焼鈍処理の目的を果たし、鋼コイルが巻取ってから保温・焼鈍装置に入るまでの時間が長すぎることによって招かれる性能改善の不十分、ならびに帯鋼の長手方向及び幅方向に性能のばらつきが大きいという難題を非常に大きく改善できる。
【0065】
特殊バッチの熱延帯鋼には、高度加工等の特殊処理が必要であり、保温カバー内部に集積される加熱装置及び保護ガスの冷却導入は、必要な場合に、連携して温度の制御を実現することができる。