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特許7135094生産性地熱井からの閉ループエネルギー生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】生産性地熱井からの閉ループエネルギー生成
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
E21B43/00 C
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2020542892
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017296
(87)【国際公開番号】W WO2019157341
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/627,809
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268312
【氏名又は名称】グリーンファイア・エナジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GREENFIRE ENERGY INC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ,ブライアン・エス
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー,ジョセフ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー,ダン
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/072364(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0206912(US,A1)
【文献】特表2014-523989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0250200(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330670(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0232858(US,A1)
【文献】特表2015-529693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのシステムであって、
前記地熱貯留層から生成された生成流体を生成導管出口に輸送するための外側生成導管と、
前記外側生成導管内に配置された熱交換器であって、前記熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える、熱交換器と、
ポンプおよび/または熱サイフォンによって、前記外側熱交換導管を通して前記内側導管へと(または反対方向に)作動流体を循環させるための作動流体循環システムと、
前記内側導管から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するためのエネルギー利用または変換システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記システムは、人工リフトシステムをさらに備え、前記人工リフトシステムは、
リフトガスを前記外側生成導管に注入し結果、前記生成流体を前記外側熱交換導管の周りで持ち上げ、前記外側熱交換導管内の前記作動流体を間接的に加熱するガス注入パイプ、
潜液ポンプ、または、
潜液ポンプとガス注入パイプの両方、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作動流体または第2の作動流体を、前記地熱貯留層から生成され、前記生成導管出口を介して回収される流体によって加熱するための第2の熱交換器と、
任意選択的に、回収される、加熱された前記第2の作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するための第2のエネルギー利用または変換システムと、
をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの水を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記作動流体は、前記生成流体または改質された前記生成流体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記改質された生成流体は、再調整された地熱塩水を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの炭化水素または冷媒である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記リフトガスが非凝縮性ガスを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記非凝縮性ガスが、窒素、二酸化炭素、空気、天然ガス、メタン、または上記の組み合わせを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記生成流体から前記リフトガスを分離するための分離システムをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ガス注入パイプを使用して、分離された前記リフトガスを再注入するためのリフトガス循環システムをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスであって、
生成流体を前記地熱貯留層から外側生成導管を通して生成導管出口に輸送することと、
作動流体を、前記外側生成導管内に配置された熱交換器を通って循環させることであって、前記熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備え、前記循環させることは、低温の作動流体を前記外側熱交換導管に供給することと、加熱された作動流体を前記内側導管から回収することとを含む、循環させることと、
前記内側導管から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を提供することと、
を含む、プロセス。
【請求項13】
前記作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの水を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記作動流体は、前記生成流体または改質された前記生成流体を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記改質された生成流体は、再調整された地熱塩水を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの炭化水素または冷媒である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
リフトガスを地熱貯留層に近接する前記外側生成導管に注入し、結果、前記生成流体を前記外側熱交換導管の周りで持ち上げ、前記外側熱交換導管内の前記作動流体を間接的に加熱すること、
潜液ポンプを介して前記生成流体を圧送すること、または、
上記の両方、
を介して前記生成流体を持ち上げることをさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
前記リフトガスが非凝縮性ガスを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記非凝縮性ガスが、窒素、二酸化炭素、空気、天然ガス、メタン、または上記の組み合わせを含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記生成流体から前記リフトガスを分離することをさらに含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
ガス注入パイプを使用して、分離された前記リフトガスを再注入するためのリフトガス循環システムをさらに備える、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記熱交換器は、前記作動流体が熱サイフォン効果を介して完全にまたは部分的に循環するように構成される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項23】
地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスであって、
地熱貯留層から生成導管を介して生成流体を生成することと、
前記生成流体または前記生成流体の一部を含む作動流体を、前記生成導管内に配置されたダウンホール熱交換器を通して循環させて、前記生成流体との間接熱交換を介して前記作動流体を加熱することと、
前記内側導管から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を生成することと、
を含む、プロセス。
【請求項24】
前記循環させるステップにおいて前記生成流体を使用する前に、前記生成流体から塩、シリカ、スケール、および/または金属を除去することをさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記生成流体から溶解ガスを分離することをさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
前記生成流体を人工的に持ち上げることをさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項27】
前記人工的に持ち上げることが潜液ポンプを含むシステムによって実行される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記人工的に持ち上げることは、リフトガスを前記生成導管に注入することをさらに含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記人工的に持ち上げることは、リフトガスを前記生成導管に注入することを含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
前記生成流体から溶解ガスおよび/またはリフトガスを分離することをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
地熱貯留層から流体を生成し、電力または電気を生成するためのシステムであって、
地熱貯留層から生成導管を介して生成流体を生成するための生成導管と、
前記生成流体または前記生成流体の一部を含む作動流体を、前記生成流体との間接熱交換を介して加熱するように構成されている、前記生成導管内に配置されているダウンホール熱交換器と、
加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を生成するためのエネルギー使用または変換システムと、
を備える、システム。
【請求項32】
前記生成流体から塩、シリカ、スケール、および/または金属を除去するための分離システムをさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記生成流体から溶解ガスを分離するための分離システムをさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記生成流体を前記貯留層から人工的に持ち上げるための人工リフトシステムをさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記人工リフトシステムが潜液ポンプを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記人工リフトシステムが、リフトガスを前記生成導管に注入するためのリフトガス注入パイプをさらに備える、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記人工リフトシステムが、リフトガスを前記生成導管に注入するためのリフトガス注入パイプを備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記生成流体から溶解ガスおよび/またはリフトガスを分離するための分離システムをさらに備える、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのシステムであって、
前記貯留層に対して開いた裏打ち坑井または孔から構成される、外側生成導管内に配置された熱交換器であって、前記熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える、熱交換器と、
(a)前記外側熱交換導管を通って前記内側導管に、または(b)前記内側熱交換導管を通って前記外側熱交換導管に作動流体を循環させるための作動流体循環システムと、
前記熱交換器の前記外側熱交換導管の表面において蒸気を水に凝縮させ、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した前記蒸気が前記貯留層に深く流れ込むようにし、結果、蒸気が地熱資源のより深いところから前記導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加するように構成されている、前記熱交換器の前記作動流体の流速を制御するための測定および制御システムと、
蒸気が、障壁下で前記熱交換器の前記外側熱交換導管の表面において水に凝縮することなく、前記熱交換器の前記外側熱交換導管の周りの環状部を上昇するのを防ぐように構成されている、前記坑井と前記熱交換器の前記外側熱交換導管の間の前記環状部に配置されている1つまたは複数のプラグまたは他の障壁のシステムと、
熱出力または電力のために地表において前記熱交換器から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するためのエネルギー利用または変換システムと、
を備える、システム。
【請求項40】
他の障壁のプラグの上方で、前記坑井または開放ボアホールのケーシングと前記熱交換器の前記外側熱交換導管との間に設置される、ガス、断熱材または他の充填材料から成るシステムをさらに備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスであって、
前記貯留層に対して開いた裏打ち坑井または孔から構成される熱交換器を、外側生成導管内に配置することであって、前記熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える、配置することと、
作動流体を、前記外側熱交換導管を通って前記内側導管へと、または逆に循環させることと、
前記熱交換器内の前記作動流体の流速を、前記熱交換器の前記外側熱交換導管の表面において蒸気が水に凝縮し、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した前記蒸気が前記貯留層に深く流れ込むようにし、結果、蒸気が地熱資源のより深いところから前記導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加するように、制御することと、
前記環状部内の1つまたは複数のプラグまたは他の障壁を、前記坑井と前記熱交換器の前記外側熱交換導管との間に配置することであって、結果、蒸気が、前記障壁下で前記熱交換器の前記外側熱交換導管の表面において水に凝縮することなく、前記熱交換器の前記外側熱交換導管の周りの前記環状部を上昇することが防止される、配置することと、
熱出力または電力のために地表において前記熱交換器から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換することと、
ガス、断熱材または他の充填材料を、他の障壁のプラグの上方で、前記坑井または開放ボアホールのケーシングと前記熱交換器の前記外側熱交換導管との間に設置することと、
を含む、プロセス。
【請求項42】
乾燥蒸気を含む地熱貯留層から流体を生成し、電力または電気または他の変換技術を生成するためのシステムであって、
外側生成導管内に配置された熱交換器、および前記貯留層への密閉されたまたは開いた孔であって、前記熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える、熱交換器および孔と、
作動流体を前記外側熱交換導管を通して前記内側導管へと循環させるための作動流体循環システムと、
前記外側熱交換器導管の表面において蒸気が水に凝縮し、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した前記蒸気が前記貯留層に深く流れ込むようにし、結果、蒸気が前記導管に向かって流れるようにするポンプ速度を制御するように構成されているコントローラと、
前記内側導管から回収される、加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを熱出力または電気に変換するためのエネルギー変換システムと、
蒸気が凝縮し、過熱蒸気中の塩化物または他の化学物質が凝縮蒸気と反応してHClまたは他の腐食性化学物質を生成することにより腐食性になる可能性を減らすために、前記外側生成導管のケーシングと前記外側熱交換導管との間に配置されるガスまたは他の充填材と、
を備える、システム。
【請求項43】
地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのシステムであって、
リフトガスを生成導管に連続的に注入し、結果、生成流体を持ち上げ、リフトガスと生成流体との混合物を前記地熱貯留層から生成導管出口へと輸送するためのガス注入パイプと、
前記混合物によって作動流体を加熱するための熱交換器と、
前記熱交換器を通して前記作動流体を循環させるための作動流体循環システムと、
加熱された前記作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するためのエネルギー利用または変換システムと、
を備える、システム。
【請求項44】
前記生成流体から熱を抽出するための下げ孔熱交換器をさらに備える、請求項43に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本発明は、概して、地熱貯留層からエネルギーを回収するための装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、非生産性地熱井の生産性を高め、生産性がわずかである地熱井、またはさらには生産性地熱井の生産性を増大させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
温室効果ガスの影響が明らかになるにつれ、再生可能エネルギー資源のさらなる開発がより重要視されてきている。太陽光および風力による電力は断続的であり、送電網に問題を引き起こし、これに対処するためには高価な貯蔵ソリューションが必要である。対照的に、地熱エネルギーから生成される電力は、柔軟に送出することができるベースロード電力である。それにもかかわらず、地熱発電は十分に活用されていない。このように十分に活用されていない主な理由は、適切な熱水資源を見つけ、上首尾の熱水井を掘削するための費用が高いことである。そのような資源に掘削される多くの坑井は、わずかしか成功せず、非凝縮性ガスが多すぎ、単純に電力変換システムに接続するのに十分強力ではないか、または、最初は成功しても、時間の経過とともに相当の発電能力を失う。
【0003】
既存の地熱発電システムは、蒸気タービン内で直接発電するために使用することができる乾燥蒸気の量およびエンタルピーを最大化するフラッシュ地熱塩水を含む。同様に、地熱井が乾燥蒸気を生成する場合、蒸気のすべてを蒸気タービン内で使用して直接発電することができる。代替的に、塩水または塩水のフラッシュされた液体部分からの熱を使用して、閉ループ内で動作する地表の別個の作動流体に熱を伝達することによって電力を生成することができ、これは有機ランキンサイクル(ORC)を使用したバイナリ発電所として参照されることが多い。いずれの場合も、地熱蒸気および/または塩水が坑井から生成され、それを使用してその後、直接電力が生成されるか、または、熱を第2の作動流体に伝達して間接的に電力が生成される。両方の方法が使用されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法を使用すると、いくつかの制限が発生する。まず、生成された地熱塩水は、発電に使用することができるように十分に高い圧力がある必要があり、通常、フィールド内のすべての坑井が同じ圧力、すなわち、システム圧力において生成する必要がある。ほとんどの坑井は圧力と流量との間に単調に減少する関係を示すため、必要な生成圧力の制限は、生成することができる流体の量の制限に等しい。地熱井からの十分な圧力の欠如、または同等に、許容可能な圧力における質量流量が低いことは、地熱発電に対する厳しい制約である。より低い圧力、より高い流量の地熱流体から電力を生成することができることが望ましい。
【0005】
上記の方法の第2の制限は、地熱塩水および蒸気が地表へと上昇する際に膨張すると、膨張によって圧力および温度が失われることである。一般に、流体が地表に近づくとき、周囲の岩石への追加の熱損失がある。地表に対して坑井内のより高い温度およびより低い圧力を利用する電力システムが望ましい。
【0006】
上記の方法の第3の制限は、地熱塩水が浸出化学物質を高濃度で含むことが多く、これによって下流の設備に腐食またはスケールが引き起こされ、高価なメンテナンスまたは化学処理が必要になることである。生成された塩水を下流の発電設備から隔離することができることが望ましい。
【0007】
上記の方法の第4の制限は、地熱蒸気および塩水が一般に非凝縮性ガス(NCG)を含むことである。NCGは、電力を生成する前に水または蒸気から容易に分離することができず、また、多くの場合、生成される電力に大きく貢献しない。さらに、相当の費用をかけて、それらはタービンの後の復水器において水から分離されなければならない。生成された地熱塩水と混合された豊富なNCGは、地熱発電に対する厳しい制約である。NCGを下流の発電設備から隔離することができることが望ましい。
【0008】
上記の方法のさらなる制限は、いくつかの地熱資源は乾燥蒸気を生成するのに十分に高温であるかもしれないが、蒸気は腐食性要素、有毒な要素、または蒸気中の他の要素のために電力を生成するので容易に使用できない場合があることである。腐食性または有毒な要素から隔離された乾燥蒸気から熱を抽出することができるシステムが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の要約
一態様では、本明細書において開示される実施形態は、地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのシステムに関する。システムは、地熱貯留層から生成された流体を生成導管出口に輸送するための外側生成導管と、外側生成導管内に配置された熱交換器であって、熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える、熱交換器と、ポンプおよび/または熱サイフォンによって、外側熱交換導管を通して内側導管へと(または反対方向に)作動流体を循環させるための作動流体循環システムとを含むことができる。システムはまた、内側導管から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するためのエネルギー利用または変換システムを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、人工リフトシステムを含むことができ、人工リフトシステムは、リフトガスを外側生成導管に注入し、それによって生成流体を外側熱交換導管の周りで持ち上げ、外側熱交換導管内の作動流体を間接的に加熱するガス注入パイプ、潜液ポンプ、または潜液ポンプとガス注入パイプの両方を含む。
【0011】
いくつかの実施形態は、(一次)作動流体または第2の作動流体を、地熱貯留層から生成され、生成導管出口を介して回収される流体によって加熱するための第2の熱交換器をさらに含むことができる。回収される、加熱された第2の作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するための第2のエネルギー利用または変換システムを設けることもできる。
【0012】
いくつかの実施形態では、作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの水であってよい。他の実施形態では、作動流体は、生成流体または改質された生成流体を含む。改質された生成流体は、例えば、再調整された地熱塩水を含んでもよい。さらに他の実施形態では、作動流体は、亜臨界相および超臨界相を含む、任意の相または相の組み合わせの炭化水素または冷媒であってよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、リフトガスは非凝縮性ガスであってよい。本明細書の実施形態による非凝縮性ガスは、他の化合物または混合物の中でも、窒素、二酸化炭素、空気、天然ガス、メタン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。他の実施形態では、リフトガスは、生成流体から回収される溶解ガスおよび/または非凝縮性ガスを含んでもよい。したがって、リフトガスは、一般に、または生成流体から回収されるものとしての、非凝縮性ガスであってもよい。
【0014】
システムはまた、生成流体からリフトガスを分離するための分離システムを含むことができる。システムは、ガス注入パイプを使用して、分離されたリフトガスを再注入するためのリフトガス循環システムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、熱交換器は、作動流体が熱サイフォン効果を介して完全にまたは部分的に循環するように構成されてもよい。
【0015】
別の態様では、本明細書の実施形態は、地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスに関する。このプロセスは、生成流体を地熱貯留層から外側生成導管を通して生成導管出口に輸送することを含むことができる。作動流体は、外側生成導管内に配置された熱交換器を通って循環することができ、熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える。循環は、低温の作動流体を外側熱交換導管に供給することと、加熱された作動流体を内側導管から回収することとを含むことができる。作動流体は、逆方向に循環させることもできる。次に、プロセスは、内側導管から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、プロセスはまた、リフトガスを地熱貯留層に近接する外側生成導管に注入し、それによって生成された流体を外側熱交換導管の周りで持ち上げ、外側熱交換導管内の作動流体を間接的に加熱すること、潜液ポンプを介して生成流体を圧送すること、または上記の両方を介して生成流体を持ち上げることを含むこともできる。
【0016】
別の態様では、本明細書の実施形態は、地熱貯留層から流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスに関する。このプロセスは、地熱貯留層から生成導管を介して流体を生成することを含むことができる。プロセスはまた、生成流体またはその一部を含む作動流体を、生成導管内に配置されたダウンホール熱交換器を通して循環させて、生成流体との間接熱交換を介して作動流体を加熱することを含むこともできる。次に、プロセスは、内側導管から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を生成することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書のプロセスはまた、生成された流体の使用前に、生成流体から塩、シリカ、スケール、元素、および/または金属を除去することを含むこともできる。
【0018】
別の態様では、本明細書の実施形態は、地熱貯留層から流体を生成し、電力または電気を生成するためのシステムに関する。システムは、地熱貯留層から生成導管を介して流体を生成するための生成導管を含むことができる。ダウンホール熱交換器(DHX)を、生成導管内に配置して、生成流体またはその一部などの作動流体を、生成流体との間接熱交換を介して加熱するように構成することができる。システムはまた、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換して、熱出力または電力を生成するためのエネルギー使用または変換システムを含むことができる。
【0019】
本明細書のいくつかの実施形態では、システムは、生成流体から塩、シリカ、スケール、元素、および/または金属を除去するための分離システムをさらに含むことができる。
【0020】
別の態様では、本明細書において開示される実施形態は、蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのシステムに関する。システムは、貯留層に対して開いた裏打ち坑井または孔から構成される、外側生成導管内に配置された熱交換器を含むことができ、熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える。作動流体循環システムは、(a)外側熱交換導管を通って内側導管に、または(b)内側熱交換導管を通って外側熱交換導管に作動流体を循環させるために使用することができる。熱交換器の外側導管の表面においてまたはその近くで蒸気を水に凝縮させ、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が地熱資源のより深いところから導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加するように構成されている測定および制御システムが、熱交換器の作動流体の流速を制御することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、この凝縮蒸気の貯留層のより深いところへの流れおよび移流加熱の追加により、資源内で上昇し、熱交換器を取り囲む生成導管内で下降して循環する水の対流ループが形成される。1つまたは複数のプラグまたは他の障壁のシステムが、坑井と熱交換器の外側導管の間の環状部に配置され得、蒸気が、障壁下で熱交換器の外側導管の表面においてまたはその近くで水に凝縮することなく、熱交換器の外側導管の周りの環状部を上昇するのを防ぐように構成される。さらに、熱出力または電力のために地表において熱交換器から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するためのエネルギー利用または変換システム。いくつかの実施形態では、ガス、断熱材または他の充填材料から成るシステムを、他の障壁のプラグの上方で、坑井または開放ボアホールのケーシングと熱交換器の外側導管との間に設置することができる。いくつかの実施形態では、管が、坑井または開放ボアホールのケーシングと熱交換器の外側導管との間に挿入され、そのようなプラグまたは他の障壁を通過して、収集されたNCGを地表に輸送することができる。
【0021】
別の態様では、本明細書の実施形態は、蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスに関する。プロセスは、貯留層に対して開いた裏打ち坑井または孔から構成される熱交換器を、外側生成導管内に配置することを含むことができ、熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を備える。作動流体は、外側熱交換導管を通って内側導管へと、またはその逆に循環することができる。熱交換器内の作動流体の流速は、熱交換器の外側導管の表面においてまたはその近くで蒸気が水に凝縮し、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が地熱資源のより深いところから導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加するように、制御することができる。環状部内の1つまたは複数のプラグまたは他の障壁が、坑井と熱交換器の外側導管との間に配置され得、結果、蒸気が、障壁下で熱交換器の外側導管の表面において水に凝縮することなく、熱交換器の外側導管の周りの環状部を上昇することが防止される。プロセスはまた、熱出力または電力のために地表において熱交換器から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換することを含むこともできる。いくつかの実施形態では、プロセスはまた、ガス、断熱材または他の充填材料を、他の障壁のプラグの上方で、坑井または開放ボアホールのケーシングと熱交換器の外側導管との間に設置することを含むこともできる。
【0022】
さらに別の態様では、本明細書の実施形態は、乾燥蒸気を含む地熱貯留層から流体を生成し、電力または電気または他の変換技術を生成するためのシステムに関する。システムは、外側生成導管内に配置された熱交換器、および貯留層への密閉されたまたは開いた孔を含むことができる。熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を含むことができる。作動流体を外側熱交換導管を通して内側導管へと循環させるために、作動流体循環システムを設けることができ、コントローラが、外側熱交換器導管の表面において蒸気が水に凝縮し、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が導管に向かって流れるようにするポンプ速度を制御するように構成され得る。さらに、内側導管から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを電力または電気に変換するためのエネルギー変換システムを設けることができる。蒸気が凝縮し、過熱蒸気中の塩化物または他の化学物質が凝縮蒸気と反応してHClまたは他の腐食性化学物質を生成することにより腐食性になる可能性を減らすために、ガスまたは他の充填材をケーシングと外側導管との間に配置することができる。
【0023】
他の態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本明細書の実施形態によるダウンホール熱交換器の図である。
図2】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から熱出力または電力を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図3】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から熱出力または電力を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図3A】ガス注入パイプを含む図3の裸孔およびダウンホール熱交換器の断面図である。
図4】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から電力または電気を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図5】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から電力または電気を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図6】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から電力または電気を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図7】本明細書の実施形態による、地熱貯留層から電力または電気を生成するためのシステムのプロセスフロー図である。
図8】地熱貯留層から収集された蒸気を効率的に使用するためのブロックされた環状領域を含む坑井の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
地熱貯留層では、高温の流体は一般的に非常に高い圧力にさらされており、この圧力の原因は、岩石表土(地盤圧力)、地下水面(静水圧)、またはこの2つの何らかの組み合わせである。蒸気および/または塩水から構成される地熱流体は、地熱貯留層から坑井を介して生成されるため、圧力の低下を受ける。実際、この圧力差が、地熱蒸気または塩水を地表に押しやるものである。蒸気または塩水の圧力およびエンタルピーに応じて、蒸気または塩水は、坑井を上昇するときに、膨張またはフラッシュして気化ガスになり得る。これは、生成流体のエンタルピーに悪影響を与えないが、生成される蒸気と塩水との混合物の温度が低下する。バイナリシステムにおいて一般的に使用されているように、地表のみで熱交換器がこの熱を別の作動流体に伝達するために使用される場合、作動流体は地表の塩水および蒸気の温度より高温にすることはできない。これにより、生成することができる電力量が制限される。
【0026】
ダウンホール熱交換器(DHX)を地熱井に挿入することにより、熱交換器が、深部のより高い地熱蒸気および塩水温度にアクセスすることができる。これにより、DHX内を循環する作動流体が、熱交換器が地表に配置されている場合よりも多くの電力を生成することが可能になる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、ダウンホール内に存在するDHXによってより高い温度にアクセスする必要があるが、DHXを挿入する結果として、生成される塩水が表面に向かって上昇するときにフラッシュしないか、または、それほどフラッシュしなくなる。DHXへの熱の移動により、坑井内の生成流体がより低温に、かつ密度が高くなり、これによりカラム重量が重くなり、場合によっては坑井内の流体の上昇流が中止(または停止)される。これを防止または逆転させるために、このような坑井は、ガスリフト、潜液ポンプの使用、またはこれらの機構の組み合わせのいずれかによって、継続的または必要に応じて刺激することができる。
【0028】
本発明の一実施形態では、坑井から加熱された地熱生成流体の高圧流を生成する方法が提供される。この実施形態の方法は、(a)地熱生成流体を、坑井内に設置されたDHXの外側の周りでガスリフトすることと、(b)DHX内を循環するために別個の高圧作動流体を圧送することと、(c)地熱生成流体が生成されるときに、地熱生成し流体からDHX内の循環作動流体に熱を伝達することと、(d)DHX内部からの高圧作動流体を使用して電力を生成することとを含む。本明細書では、生成流体の同時生成、DHX内の作動流体の循環、および生成流体からDHX内の作動流体への熱伝達は「共生成」として参照される。
【0029】
本発明の別の実施形態では、地熱蒸気および塩水中のNCGが、そのようなNCGによって悪影響を受ける地表の設備と接触しないように、生成流体および作動流体の流れを共生成する方法が提供される。この実施形態の方法は、(a)NCGを含む地熱生成流体を、坑井内に設置されたDHXの外側の周りでガスリフトすることと、(b)DHX内部で別個の高圧作動流体を圧送することと、(c)地熱生成流体が生成されるときに、地熱生成し流体からDHX内の循環作動流体に熱を伝達することと、(d)DHX内部からの高圧作動流体を使用して熱出力または電力を生成することとを含む。
【0030】
本発明の別の実施形態では、地表に運ばれる地熱生成流体内の既存のNCGを利用するか、または、地熱生成流体にNCGを添加して、坑井によって生成される地熱生成流体の流れをさらに増強する方法が提供される。この実施形態の方法は、(a)地熱生成流体をガスリフトすることと、(b)地表に運ばれた地熱生成流体からNCGを除去することと、(c)除去されたNCGの全部または一部を、そのようなNCGの全部または一部がガスリフトを支援するためにリサイクルされるように、地熱生成流体のガスリフトに使用されるシステムに添加することとを含む。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態では、DHX内を循環する作動流体として第2の流体を使用して地熱生成流体からエンタルピーを抽出するシステムが提供される。この実施形態のDHXシステムは、(a)(i)底部に差し込まれた外側管、および(ii)作動流体を地表に戻すための外側管の内部に挿入される断熱管を有する管内管熱交換器と、(b)循環作動流体に流れを提供するポンプと、(c)(必要な場合)表面において作動流体の相分離を可能にするためのフラッシュタンクコレクタと、(d)熱出力または電力を生成するために作動流体のガス部分をタービンに送達するためのオフテイクシステムと、(e)補給作動流体の液体供給源とを備える。
【0032】
いくつかの実施形態では、共生成流体は地表へと生成される。例えば、表面に送達される共生成流体は、存在する場合はDHXへの熱伝達後であっても、プラントシステムの圧力と一致するか、またはそれを超えるのに十分な圧力を有することができる。しかしながら、プラントシステムの圧力に一致または超過しているか否かに関係なく、表面式熱交換器(SHX)を使用して、NCGを含まない作動流体内の共生成流体から追加の熱を取り込み、同時に発電を制限することが多いNCGを分離することができる。SHXは、共生成された地熱塩水または生成流体から、水、炭化水素、または冷媒などのDHX向けに企図されているものと同じ作動流体に熱を伝達し、その後、SHXからの作動流体を使用して熱出力または電力を生成することができる。例えば、ガスリフトを使用してより高い温度および圧力の生成流体をSHXに送達することができるため、システムは、既存の地表発電プラントシステムと統合して、SHXをより効率的または実用的に利用することができる。いくつかの実施形態では、SHXを使用して、DHXに提供される作動流体を予熱するか、またはこれに補足的な熱を加えることができる。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態では、蒸気などの共生成流体は地表へと生成されず、代わりに地表に到達するのを阻止され、蒸気はより低温のDHX上で深部において、DHX内の作動流体に熱を伝達した後に地熱資源に戻って流れる液体凝縮物によって凝縮される。この実施形態の方法は、(a)DHXの外側導管の周りの環状部内で蒸気が地表へと上昇するのを防ぐための、深部にあるDHXの外側の周りの1つまたは複数のプラグまたは障壁と、(b)地熱資源からの蒸気が、スロット付きライナを介して坑井に貫入し、DHXのより低温の外側導管で凝縮し、結果として生じる液体塩水が下向きに流れて資源を補充し、坑井への移流蒸気の流れを誘発し、該当する場合はDHXを取り巻く導管内で下向きに、地熱資源内で上向きに循環して、資源によって再加熱された後、DHXを取り巻く導管に再び入る流体の対流ループを確立することと、(c)蒸気生成流体および凝縮物からDHX内部の循環作動流体に熱を伝達することと、(d)DHX内部からの作動流体を使用して、熱出力または電力を生成することとを含む。
【0034】
さらに他の実施形態では、生成流体は、ガスリフトを使用して地表へと生成されてもよい。ガスリフトを使用して坑井からの流れを連続的に刺激する場合、地表に送達される生成流体は、プラントシステムの圧力と一致するかまたはそれを超えるのに十分な圧力を有することができるがあることがわかった。しかしながら、プラントシステムの圧力に一致するかまたはそれを超過するか否かに関係なく、DHXに加えて、またはDHXの代わりに表面式熱交換器(SHX)を使用して、共生成流体から熱を取り込むことができる。SHXは、生成された地熱塩水または生成流体から、作動流体に熱を伝達することができ、その後、SHXからの作動流体を使用して熱出力または電力を生成することができる。ガスリフトに使用されるガスは、限定ではなく、地表に生成される地熱塩水から回収されるNCGを含む、さまざまなガスであってもよい。さらに、ガスリフトガスは、水または他の流体を添加してリフトプロセスに質量および力を追加し、ガスを加圧して共生成流体を最適に持ち上げるために必要な力の寄生負荷を低減することによって調整することができる。ガスリフトはより高い温度および圧力の生成流体をSHXに送達することができ、システムがSHXを利用して生成流体からエネルギーを抽出することを可能にし、SHXが、さまざまな実施形態においてDHXに加えて、またはDHXの代わりに使用されることを可能にする。このようにして、SHXは、生成流体中のリフトガスまたは他のNCGを分離することができ、それにより、これらはタービンと相互作用しない。
【0035】
要約すると、本発明は、既存の地熱技術よりも優れている、生成流体を含む蒸気または塩水よりも高い温度で作動流体を地表に運ぶ新規の装置および方法を含む。閉ループにおいて適切な作動流体を循環する坑井に挿入されるSHXおよび/またはDHXのさまざまな組み合わせを、さまざまな生成流体リフト方法および/または再循環方法と共に使用して、熱出力または電力の生成を大幅に増やすことができる。
【0036】
いくつかの例では、作動流体は水であり、DHXを出るときに、正確なより低い圧力にフラッシュすることができる。フラッシュされると、通常、得られるストリームは蒸気と液体の両方の混合物であり、これらはフラッシュ容器において分離される。蒸気部分は、プラントの要件に一致する蒸気供給圧力によって、地熱発電所の蒸気供給および発電システムに向けられる。液体部分は新鮮な補給水と混合され、DHXにリサイクルされる。
【0037】
別の例では、作動流体は生成塩水である。生成塩水を脱気してNCGまたは他の望ましくない成分を除去した後、塩水は加圧してDHXに向けることができる。塩水はDHXを出るときにフラッシュすることができ、蒸気部分は必要なシステム圧力において既存の地熱発電所に送達される。液体部分はDHXにリサイクルされる。
【0038】
別の例では、作動流体は水である。水がDHXを出ると、熱は地表の第2の熱交換器を通して発電システムに伝達される。地表の熱交換器は、有機ランキンサイクル発電システムの一部であってもよく、その多くは、市販されているか、またはすでに存在しており、地熱発電所にある。
【0039】
さらに別の例では、作動流体は有機炭化水素、冷媒、または無機流体であり、作動流体が、冷却されてDHXに再注入される前に、DHXを出てタービンまたはエキスパンダを介して膨張するときに、作動流体から直接電力を生成することができる。
【0040】
ここで図1を参照すると、DHXの概略図が示されている。地質層10(地熱層10)に掘削された坑井は、地熱層から流体14を生成するための坑井ケーシング12を含むことができる。坑井ケーシング12内には、作動流体を高温生成流体によって間接的に加熱するための熱交換器16が配置されている。
【0041】
いくつかの実施形態における熱交換器は、管内管熱交換器であり、外側熱交換導管18および内側導管20を含むことができる。低温の作動流体22は、外側熱交換導管18と内側導管20との間の環状部を通って、外側熱交換導管の末端またはキャップされた端部(図示せず)に、そしてそこから内側導管20の開放端(図示せず)に循環される。外側熱交換導管を通る循環中、作動流体は、地層から生成される流体14との間接的な熱交換によって加熱される。次に、加熱された作動流体24を、内側導管を介して回収することができる。作動流体の方向は逆にすることもできる。
【0042】
このようなDHXは、地熱層から熱出力または電力を生成するために使用することができる。そのようなシステムの実施形態は、図2図8に示され、ここで、同様の数字は同様の部品を表す。
【0043】
ここで図2を参照すると、地熱貯留層から熱出力または電力を生成するためのシステムが示されている。裸孔30が、地熱貯留層32内に掘削され得、生成導管またはケーシング34の1つまたは複数の区画を含み得る。ダウンホール熱交換器40が、生成導管34内に配置され得、図1に関して説明した管内管熱交換器と同様に、外側熱交換導管44および内側導管46を含むことができる。DHXは、坑口アセンブリ42からケーシング34を通って、地熱貯留層32の上方、地熱貯留層32に近接、または地熱貯留層内など、所望の深さまで延伸することができる。
【0044】
作動流体52は、入口53を介してDHXへと、外側熱交換導管44と内側導管46との間の環状部を通って、外側熱交換導管44の末端またはキャップされた端54に、そしてそこから内側導管46の開放端56に循環される。外側熱交換導管44を通る循環中、作動流体は、地層から生成され、生成導管34を通じて上方に通過する高温地熱流体との間接的な熱交換によって加熱される。作動流体の方向は逆にすることもできる。生成流体は、間接熱交換を介して対応して冷却され、生成流体出口58を介して回収される。
【0045】
生成流体は、必要に応じてさらに処理し、および/または貯留層に注入することができる。生成流体が十分な残留エネルギーを含む場合などのいくつかの実施形態では、追加のエネルギーが生成された流体から抽出され、熱交換器、タービン、および、生成流体に含まれる残留エネルギーを回収するため他の関連設備を含むことができる第2のエネルギー変換システム(図示せず)などを介して電力または電気に変換され得る。
【0046】
作動流体は、ダウンホールを通過するときに漸進的に加熱され、その後、加熱作動流体59が、内側導管46に入り、そこを通過し、これは、断熱することができ、加熱作動流体出口60を介して回収することができる。
【0047】
その後、熱の形態で作動流体に伝達されているエネルギーが、エネルギー変換システムによって利用され得るか、または、例えばタービン62を含むことができるエネルギー変換システムを介して変換されて、電力または電気64を生成することができる。次に、膨張した作動流体66を、給送/流出交換器68、冷却塔70、または他の直接または間接熱交換機構(図示せず)の1つまたは複数の中で間接熱交換などによって冷却することができる。
【0048】
作動流体の循環は、作動流体循環システムを介して提供され得る。作動流体循環システムは、ポンプ72と、弁(図示せず)と、関連する配管と、他の構成要素(例えば、温度および圧力センサ、図示せず)とを含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、作動流体循環システムは、ポンプを含まないか、または必要としない。むしろ、DHXおよび関連する構成要素の直径は、選択された作動流体が熱サイフォン効果を介してシステムを通って循環するように構成することができる。
【0050】
上記のように、より低い圧力、より高い流量の地熱流体から熱出力または電力を生成することができることが望ましい。さらに、貯留層特性は、生成流体の冷却が、生成流体が(a)表面に上昇し、(b)作動流体を加熱するときに、流量の減少をもたらすことができ、または、生成流体の温度、圧力および密度の変化に起因して貯留層からの流体の生成を実効的に停止することができるようなものとすることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、地熱貯留層から熱出力または電力を生成するためのシステムは、地熱貯留層からDHXを通って地表までの高温生成流体の輸送を支援する人工リフト機構を含むことができる。
【0052】
図3に示すように、人工リフト機構はガスリフトを含むことができる。リフトガス80は、ガスリフト注入パイプ82を介して導入することができる。ガスリフトパイプは、裸孔内でDHX 40の下端54と同等以下の深さまで延伸することができ、リフトガスはガスリフト注入パイプ82の終端部84を出、結果、地熱貯留層から地表までの生成流体の流れを増強し、DHX 40内の作動流体に伝達される熱を増加させる。リフトガスは、裸孔内の1つまたは複数の高さに配置することができる、1つまたは複数のガス分配器を介して導入することができる。
【0053】
図3Aに示すように、ガスリフト注入パイプ82は、DHX40とケーシング34との間に形成された環状部内のダウンホールを通過することができる。リフトガスを裸孔内に注入するための代替手段も使用することができる。
【0054】
ガスリフトは、地熱システム内で非自噴井を「キックオフ」または始動するために一般的に使用される。しかし、熱水および蒸気が地表に到達するとすぐに、水柱はガスの助けなしに流れを続けるのに十分なほど軽くなる。対照的に、本明細書において開示されているシステムは、連続的な、または必要に応じて断続的なガスリフトを使用して、地熱貯留層から地表への高温生成流体の輸送を支援して、前述したように、共生成地熱流体の流れを維持し、坑井の「停止」の可能性を回避することができる。
【0055】
上記のように、生成流体は、必要に応じてさらに処理し、および/または貯留層に注入することができる。図3および図3Aに関して上述したようなガスリフトを使用する場合、表面に送達される生成流体は、システムプラント圧力と一致またはそれを超えるのに十分な圧力を有することができ、生成流体から抽出され、第2のエネルギー変換システム(図示せず)などを介して電力または電気に変換されるのに十分な残留エネルギーを含むことができることがわかっている。第2のエネルギー変換システムは、熱交換器、タービン、および、生成流体に含まれる残留エネルギーを回収するための他の関連設備を含むことができる。
【0056】
代替的に、または付加的に、図4に示すように、人工リフト機構は潜液ポンプ90を含むことができる。潜液ポンプ90は、DHX 40の下端54の下の深さにおいて裸孔内に配置することができ、地表に向けて生成流体を圧送し、結果、地熱貯留層から地表までの生成流体の流れを増強し、DHX 40内の作動流体に伝達される熱を増加させる。
【0057】
いくつかの実施形態では、作動流体は水を含む。他の実施形態では、作動流体は、軽質炭化水素または冷媒であってもよい。さらに他の実施形態では、作動流体は二酸化炭素であってよい。他の実施形態では、作動流体は、生成流体またはその一部を含んでもよい。
【0058】
いずれの場合も、作動流体は、さまざまな相または混合相にあってもよい。DHX内の熱交換により、作動流体は部分的または完全に気化し得る。他の実施形態では、作動流体は、地表で回収されるときに作動流体が液体またはその超臨界相のままであるように、十分に加圧されたままであり得る。図5に示されるように、例えば、作動流体をタービンに通す前に、加熱された作動流体59は、フラッシュ容器または分離器などの容器108を通過して、タービンを回転させるために使用することができるか、または同様に発電所112において使用することができる気化ガス110を生成することができる。その後、気化されていない液体114を、容器108から引き出し、ポンプ72を介してDHXを通って再循環させることができる。必要に応じて、追加の作動流体116を添加して、DHX40に注入される作動流体52を形成することができる。
【0059】
上記のように、いくつかの実施形態では、作動流体は、生成流体を含んでもよい。図6に示すように、生成塩水などの生成流体は、フローライン120を介してDHXに循環され得る。必要に応じて、追加の作動流体116、または作動流体が塩水である補給水または塩水を添加して、DHX40に注入される作動流体52を形成することができる。このようにして、生成流体の生成に通常関連するエネルギーの損失を、DHXによって増強して、生成流体からエネルギーを有利に生成することができる。
【0060】
生成流体は多くの場合、より低い表面圧力で生成流体中の液体から分離し得る溶解ガスを含む。そのような実施形態では、DHXにおける加熱によってエネルギーを生成するそのようなガスの組成および有用性に応じて、生成流体をDHXに供給する前に生成流体から溶解ガスを分離することが望ましい場合がある。
【0061】
図7に示すように、生成流体を、フローライン120を介して分離器130に供給して、生成流体中の液体134から溶解ガス132を分離することができる。回収されたガス132は、必要または要求に応じて、排出または他の方法で処理することができる。次に、液体134は、DHX内で加熱するために、任意の補給水または塩水116と共にDHXに供給することができる。図6の実施形態と同様に、このようにして、生成流体の生成に通常関連するエネルギーの損失を、DHXによって増強して、生成流体からエネルギーを有利に生成することができる。
【0062】
他の実施形態では、DHXの一部の周りの環状領域は、遮蔽されるかまたは他の様態で生成蒸気の流れを制限することができる。遮蔽された領域は、生成蒸気がDHXに熱を伝達するときに集まって凝縮することを可能にすることができる。次に、液体凝縮物は、地熱層に戻るために、DHXを取り巻く環状領域を下降する。
【0063】
ここで図8を参照すると、蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成して熱出力または電力を生成するシステムであって、システムは、DHXを取り巻く遮蔽された環状領域を作成する1つまたは複数のプラグまたは障壁を含む、システムが示されている。図2と同様に、システムは、外側生成導管34内に配置されたDHX40を含むことができ、これは、貯留層に開いている裏打ち坑井または孔を含むことができる。DHXは、外側熱交換導管44および内側導管46を含むことができる。作動流体を、外側熱交換導管44を通して内側導管46に(または反対方向に)循環させるための作動流体循環システム(72、52など)も設けられている。
【0064】
地熱貯留層32から生成された蒸気は、生成導管34内に収集され、次にDHX 40と接触することができる。1つまたは複数のプラグ150または他の障壁から成るシステムを、坑井34とDHX40の外側導管44との間の環状部に配置することができる。プラグ150は、蒸気がゾーン152内の外側導管44の周りの環状部を上昇するのを防ぐことができる。むしろ、熱は、その下端に近接するDHX40を介して効率的に抽出され、熱交換器の外側導管44の表面において水が凝縮される。
【0065】
同様に、地熱貯留層32から生成された蒸気は、スロット付きライナ154とDHXとの間の環状部内で収集され、次いで、DHX40と接触することができる。1つまたは複数のプラグ150または他の障壁から成るシステムを、坑井ケーシング34とDHX40の外側導管44との間の環状部に配置することができる。プラグ150は、蒸気がゾーン152内の外側導管44の周りの環状部を上昇するのを防ぐことができる。むしろ、熱は、その下端に近接するDHX40を介して効率的に抽出され、熱交換器の外側導管44の表面において水が凝縮される。凝縮物は下向きに下降し、貯留層に逃げる。いくつかの実施形態では、この凝縮蒸気の貯留層のより深いところへの流れおよび移流加熱の追加により、図8に示すように、資源内で上昇し、熱交換器を取り囲む、スロット付きライナ154などの導管内で下降して循環する水の対流ループが形成される。
【0066】
熱交換器内の作動流体の流速を制御するためのシステムも提供され得る。コントローラは、タービン2などのエネルギー変換または利用システムへの所望のエネルギー量を生成する範囲内で作動流体の流速を維持するように構成することができ、一方でまた、熱交換器の外側導管44の表面において蒸気を水に凝縮させ、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が地熱資源のより深いところから導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加する。凝縮した蒸気は地熱貯留層に逆流する。タービン62などのエネルギー利用または変換システムは、例えば、熱出力または電力のために表面においてDHX40から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを使用または変換するために使用することができる。
【0067】
ゾーン152内のプラグまたは障壁150の上の領域は空でもよく、またはいくつかの実施形態では、坑井または開放ボアホールのケーシング34とDXH 40の外側導管44との間の環状領域内に設置されたガス、断熱材または他の充填材料(図示せず)から成るシステムであってもよい。プラグまたは障壁150は、蒸気が地表に上昇するのを防ぎ、充填材料は、熱交換器を地熱資源から断熱することができ、および/または、地熱資源からの蒸気がそのようなプラグまたは他の障壁の上方で熱交換器に対して凝縮し、過熱蒸気と凝縮蒸気との化学反応により、腐食性になる可能性を低減するために使用することができる。
【0068】
他の態様では、本明細書において開示される実施形態は、蒸気を含む地熱貯留層から作動流体を生成し、熱出力または電力を生成するためのプロセスに関する。いくつかの実施形態では、プロセスは、図1図8に関して図示および説明されたシステムを操作するためのステップを含むことができる。
【0069】
本明細書のプロセスはまた、貯留層へと開いている裏打ち坑井または孔などの、外側生成導管内に熱交換器を配置することを含むこともできる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のプラグまたは他の障壁を、坑井と熱交換器の外側導管との間の環状部に配置することができる。付加的に、ガス、断熱材または他の充填材料の設置を、他の障壁のプラグの上方で、坑井または開放ボアホールのケーシングと熱交換器の外側導管との間に配置または設置することができる。熱交換器は、外側熱交換導管および内側導管を含むことができる。
【0070】
電力を生成するプロセスは、作動流体を外側熱交換導管を通して内側導管に、またはその逆に(内側導管を通して外側導管に)循環させることを含むことができる。熱交換器内の作動流体の流速は、熱交換器の外側導管の表面において蒸気が水に凝縮し、結果、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が地熱資源のより深いところから導管に向かって流れ、伝導加熱に移流加熱を追加するように、制御することができる。
【0071】
坑井と熱交換器の外側導管との間の環状部内に配置された1つまたは複数のプラグは、蒸気が、熱交換器の外側導管の表面において水に凝縮することなく、熱交換器の外側導管の周りの環状部を上昇することを防止することができる。他の障壁のプラグの上方で坑井または開放ボアホールのケーシングと熱交換器の外側導管との間に設置されたガス、断熱材または他の充填材は、蒸気が地表に上昇するのを防ぎ、充填材料は、熱交換器を地熱資源から断熱することができ、および/または、地熱資源からの蒸気がそのようなプラグまたは他の障壁の上方で熱交換器に対して凝縮し、酸性になる可能性を低減することができる。
【0072】
凝縮蒸気は、熱交換器内を循環する作動流体に熱を提供する。プロセスはその後、熱出力または電力のために地表において熱交換器から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを利用または変換することができる。
【0073】
本明細書の実施形態による、乾燥蒸気を含む地熱貯留層から流体を生成し、電力または電気または他の変換技術を生成するシステムは、外側生成導管内に配置された熱交換器を含むことができ、貯留層への密閉されたまたは開いた孔を含むことができる。熱交換器は、上記の実施形態と同様に、外側熱交換導管および内側導管を含むことができる。作動流体を、外側熱交換導管を通して内側導管に循環させるための作動流体循環システムを設けることができる。システムは、外側熱交換器導管の表面において蒸気が水に凝縮し、有意な密度差を引き起こし、結果として凝縮した蒸気が貯留層に深く流れ込むようにし、それによって蒸気が導管に向かって流れるようにする速度に作動流体循環速度を制御するコントローラを含むことができる。このような凝縮および凝縮物の流れは、システムの伝導加熱に移流加熱を追加し、熱伝達を大幅に増加させ、外側熱交換導管から資源へ、また逆に戻って循環する水および蒸気の対流ループとして確立する。システムは、内側導管から回収される、加熱された作動流体に含まれるエネルギーを電力または電気に変換するためのエネルギー変換システムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ケーシングと外側導管との間のガスまたは他の充填材を、過熱蒸気中の塩化物が凝縮蒸気と反応してHClを生成することにより、蒸気が凝縮して酸性になる可能性を減らすために使用することができる。
【0074】
本明細書は、数値範囲を使用して、本発明に関する特定のパラメータを定量化する。数値範囲が提供される場合、そのような範囲は、範囲の下限値のみを記載するクレーム制限、および範囲の上限値のみを記載するクレーム制限の文字による裏付けとして解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、10~100の開示される数値範囲は、「10を超える」(上限なし)を記載するクレームおよび「100未満」(下限なし)を記載するクレームの文字による裏付けを提供する。
【0075】
本明細書において使用される場合、「備える」(“comprising,”“comprises,”and“comprise”)という用語は、この用語の前に記載された主題からこの用語の後に記載された1つまたは複数の要素に移行するために使用される制限のない移行語であり、移行後に列挙されている1つまたは複数の要素は、必ずしも主題を構成する唯一の要素ではない。
【0076】
本明細書において使用される場合、「含む」(“including,”“includes,”and“include”)という用語は、「備える」と同じ制限のない意味を有する。
【0077】
本明細書において使用される場合、「有する」(“having,”“has,”and“have”)という用語は、「備える」と同じ制限のない意味を有する。
【0078】
本明細書において使用される場合、「含む」(“containing,”“contains,”and“contain”)という用語は、「備える」と同じ制限のない意味を有する。
【0079】
本明細書において使用される場合、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」という用語は、1つまたは複数を意味する。
【0080】
本明細書において使用される場合、「および/または」と言う用語は、2つ以上のアイテムから成るリスト内で使用されるとき、リストされたアイテムのいずれか1つを単独で利用することができること、またはリストされたアイテムの2つ以上の任意の組み合わせを利用することができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、組成物はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ。または、A、B、およびCの組み合わせを含むことができる。
【0081】
上記の本発明の好ましい形態は、例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈するために限定的な意味で使用されるべきではない。上述の例示的な実施形態への明らかな修正は、本発明の思想から逸脱することなく、当業者によって容易に行うことができる。
【0082】
本発明者らは、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の文字通りの範囲から実質的に逸脱しないが、本発明の文字通りの範囲外の任意の装置に関係する、本発明の合理的に公正な範囲を決定および評価するために、均等論に依拠することを意図していることをここに述べる。
【0083】
本開示は限られた数の実施形態を含むが、本開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを理解するであろう。したがって、本範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8