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  • 特許-レドーム基材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】レドーム基材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/12 20060101AFI20220905BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20220905BHJP
   C08L 51/08 20060101ALI20220905BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20220905BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20220905BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C08L71/12
C08K9/02
C08L51/08
H01Q1/42
C08J3/20 B CEZ
C08J5/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020555271
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2018079867
(87)【国際公開番号】W WO2019127939
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】201711435107.9
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520233098
【氏名又は名称】クアンチー カッティング エッジ テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KUANG-CHI CUTTING EDGE TECHNOLOGY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,マオビャオ
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106893303(CN,A)
【文献】特開2001-274615(JP,A)
【文献】特表2016-532354(JP,A)
【文献】特開2011-071881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/12
C08K 9/02
C08L 51/08
H01Q 1/42
C08J 3/20
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテル樹脂を、ポリフェニレンエーテル樹脂A、ポリフェニレンエーテル樹脂B、及びポリフェニレンエーテル樹脂Cの3つの部分に分け、セラミック粉体を表面処理するとともに、、表面処理された前記セラミック粉体を前記ポリフェニレンエーテル樹脂Bと均一に混合して、造粒してセラミック母粒子を製造する工程と、
中空ガラスビーズを表面処理するとともに、表面処理された前記中空ガラスビーズを前記ポリフェニレンエーテル樹脂Cと均一に混合して、造粒して中空ビーズ母粒子を製造する工程と、
5~10重量部の前記ポリフェニレンエーテル樹脂A、70~85重量部の前記セラミック母粒子、10~15重量部の前記中空ビーズ母粒子、1~3重量部の相溶化剤及び0.1~0.3重量部の潤滑剤をとって均一に混合し、ホットプレスしてからレドーム基材を製造する工程と、を含み、
前記セラミック母粒子を製造する工程では、重量が前記セラミック母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤で、前記セラミック粉体を表面処理して、使用された表面処理された前記セラミック粉体及び前記ポリフェニレンエーテル樹脂Bの重量はそれぞれ前記セラミック母粒子の総重量の80%~85%及び10%~20%であり、
前記中空ビーズ母粒子を製造する工程では、重量が前記中空ビーズ母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤で、前記中空ガラスビーズを表面処理し、使用された表面処理された前記中空ガラスビーズ及び前記ポリフェニレンエーテル樹脂Cの重量はそれぞれ前記中空ビーズ母粒子の総重量の50%~55%及び45%~55%であることを特徴とするレドーム基材の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック粉体は、ルチル型TiO 、BaO SrTi 、SrTiO 、BaTiO 、CaCu Ti 12 の1種又は複数種の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載のレドーム基材の製造方法。
【請求項3】
前記カップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)、プロピルトリメトキシシランの1種又は複数種の組み合わせを含み、
前記相溶化剤は、ポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、ポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)の1種又は2種の組み合わせを含み、
前記潤滑剤は、モノステアリン酸グリセリル、N,N-エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンステアリルアミド、ポリシロキサンの1種又は複数種の組み合わせを含むことを特徴とする請求項に記載のレドーム基材の製造方法。
【請求項4】
前記セラミック粉体を表面処理する工程の前に、前記セラミック粉体、前記ポリフェニレンエーテル樹脂Bをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させることをさらに含み、
前記中空ガラスビーズを表面処理する工程の前に、前記中空ガラスビーズ、前記ポリフェニレンエーテル樹脂Cをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させることをさらに含み、
ホットプレス機で前記ホットプレスを実行し、前記ホットプレス機の操作温度が230~280℃であり、操作圧力が20~50MPaであることを特徴とする請求項に記載のレドーム基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレドームに関し、より具体的にはレドーム基材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場で使われているレドーム基材は、主にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)等であり、これらの材料の剛性が大きく、熱変形温度が高く、電気的性能に優れているが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドの材料と加工コストが高く、ポリテトラフルオロエチレンの加工温度範囲が狭く、ポリフェニレンエーテル分子構造の剛性が大きいため、製品にストレスクラックが生じやすく、二次熱間加工処理には不向きである。
【0003】
従来技術では、ポリフェニレンエーテル基材はレドーム基材の製造にも使用できるが、ポリフェニレンエーテル樹脂のストレスクラック及び対応する技術的解決手段については言及されていない。従来技術により製造されたレドーム基材は、二次熱間処理において、部分的に明らかなクラックが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に存在する不足を解決するために、本発明はレドーム基材及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、5~10重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、70~85重量部のセラミック母粒子、10~15重量部の中空ビーズ母粒子、1~3重量部の相溶化剤及び0.1~0.3重量部の潤滑剤を含むレドーム基材を提供する。
【0006】
前記レドーム基材において、前記セラミック母粒子は、セラミック粉体をカップリング剤で表面改質処理した後、ポリフェニレンエーテルと混合してから造粒して得られ、前記セラミック粉体はルチル型TiO2、BaO6SrTi2、SrTiO3、BaTiO3、CaCu3Ti412の1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0007】
前記レドーム基材において、前記中空ビーズ母粒子は、中空ガラスビーズをカップリング剤で表面改質処理した後、ポリフェニレンエーテルと混合してから造粒して得られる。
【0008】
前記レドーム基材において、前記カップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)、プロピルトリメトキシシランの1種又は複数種の組み合わせの1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0009】
前記レドーム基材において、前記相溶化剤は、ポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、ポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)の1種又は2種の組み合わせを含むとともに、前記ポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸及び前記ポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレートのグラフト率がそれぞれ0.5%~1.0%である。
【0010】
前記レドーム基材において、前記潤滑剤は、モノステアリン酸グリセリル、N,N-エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンステアリルアミド、ポリシロキサンの1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0011】
本発明の他の態様によれば、セラミック粉体を表面処理するとともに、表面処理された前記セラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒してセラミック母粒子を製造する工程と、中空ガラスビーズを表面処理するとともに、表面処理された前記中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒して中空ビーズ母粒子を製造する工程と、5~10重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、70~85重量部の前記セラミック母粒子、10~15重量部の前記中空ビーズ母粒子、1~3重量部の相溶化剤及び0.1~0.3重量部潤滑剤をとって均一に混合し、ホットプレスしてからレドーム基材を製造する工程と、を含むレドーム基材の製造方法をさらに提供する。
【0012】
前記レドーム基材の製造方法において、前記セラミック母粒子を製造する工程では、重量が前記セラミック母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤で、前記セラミック粉体を表面処理して、使用された表面処理された前記セラミック粉体及び前記ポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれ前記セラミック母粒子の総重量の80%~85%及び10%~20%であり、前記中空ビーズ母粒子を製造する工程では、重量が前記中空ビーズ母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤で、前記中空ガラスビーズを表面処理し、使用された表面処理された前記中空ガラスビーズ及び前記ポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれ前記中空ビーズ母粒子の総重量の50%~55%及び45%~55%である。
【0013】
前記レドーム基材の製造方法において、前記カップリング剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)、プロピルトリメトキシシランの1種又は複数種の組み合わせを含み、前記相溶化剤は、ポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、ポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)の1種又は2種の組み合わせを含み、前記潤滑剤は、モノステアリン酸グリセリル、N,N-エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンステアリルアミド、ポリシロキサンの1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0014】
前記レドーム基材の製造方法において、前記セラミック粉体を表面処理する工程の前に、前記セラミック粉体、前記ポリフェニレンエーテルをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させることをさらに含み、前記中空ガラスビーズを表面処理する工程の前に、前記中空ガラスビーズ、前記ポリフェニレンエーテルをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させることをさらに含み、ホットプレ機で前記ホットプレスを実行し、前記ホットプレス機の操作温度が230~280℃であり、操作圧力が20~50MPaである。
【0015】
ポリフェニレンエーテル基材の耐応力性が悪いという欠陥を改善するために、本発明は、カップリング剤で処理されたセラミック粉体及びカップリング剤で処理された中空ガラスビーズと、ポリフェニレンエーテルとをそれぞれ母粒子に製造し、次に相溶化剤を添加して、ポリフェニレンエーテル樹脂、セラミック母粒子及び中空ビーズ母粒子の間の界面接合強度を向上させ、セラミック粉体及び中空ガラスビーズのポリフェニレンエーテル樹脂における分布均一性を改善することができる。特にポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)及びポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)の1種又は2種の組み合わせを相溶化剤として添加することにより、ポリフェニレンエーテル樹脂、セラミック母粒子及び中空ビーズ母粒子の間の界面接合強度を効果的に向上させることができる。セラミック粉体と中空ガラスビーズとの割合及び含有量を制御することによりセラミック粉体及び中空ガラスビーズの堆積配列方式を最適化することができ、ポリフェニレンエーテルとセラミック粉体及び中空ガラスビーズとの間の応力集中を効果的に低減させることができる。基材密度及び誘電率を保持した上で、ポリフェニレンエーテル製のレドーム基材の耐ストレスクラックの欠陥を効果的に改善する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、軽量で高誘電率、耐ストレスクラック性に優れたポリフェニレンエーテルレドーム基材を提供し、ポリフェニレンエーテル基材の耐ストレスクラック性を効果的に改善した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例において使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を伴うことなく、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
図1図1は本発明の実施例に係るレドーム基材の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段について明確かつ完全に説明する。説明される実施例は実施例のすべてではなく、本発明の実施例の一部に過ぎないことが明らかである。本発明の実施例に基づき、当業者が入手した他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0019】
本発明はレドーム基材及びその製造方法を提供し、レドーム基材の製造方法は下記工程S101、S103及びS105を含む。
【0020】
図1における工程S101に示すように、セラミック粉体を表面処理するとともに、表面処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒してセラミック母粒子を製造する。具体的には、まずセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させ、次いで、セラミック粉体を表面処理するとともに、表面処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒してセラミック母粒子を製造する。この工程では、重量がセラミック母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理し、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の80%~85%及び10%~20%である。カップリング剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)、プロピルトリメトキシシランの1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0021】
図1における工程S103に示すように、中空ガラスビーズを表面処理するとともに、表面処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒して中空ビーズ母粒子を製造する。具体的には、まず中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ85~115℃のオーブンで2~3h乾燥させ、次いで中空ガラスビーズを表面処理するとともに、表面処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒して中空ビーズ母粒子を製造する。この工程では、重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.3%~0.5%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の50%~55%及び45%~55%である。カップリング剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2,3-エポキシプロポキシ)、プロピルトリメトキシシランの1種又は複数種の組み合わせを含む。
【0022】
図1における工程S105に示すように、5~10重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、70~85重量部のセラミック母粒子、10~15重量部の中空ビーズ母粒子、1~3重量部の相溶化剤及び0.1~0.3重量部の潤滑剤をとって均一に混合し、ホットプレスしてからレドーム基材を製造する。相溶化剤はポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、ポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)の1種又は2種の組み合わせを含み、ポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸及びポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレートのグラフト率はそれぞれ0.5%~1.0%であり、潤滑剤はモノステアリン酸グリセリル、N,N-エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンステアリルアミド、ポリシロキサンの1種又は複数種の組み合わせを含む。この工程では、ホットプレス機でホットプレスを実行し、ホットプレス機の操作温度が230~280℃であり、操作圧力が20~50Mpaである。
【0023】
以下、具体的な実施例と合わせて本発明における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。
【実施例1】
【0024】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体、ポリフェニレンエーテルをそれぞれ85℃のオーブンで3h乾燥させ、カップリング剤のγ-アミノプロピルトリエトキシシランでセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0025】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.3%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理し、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の80%及び20%である。
【0026】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ、ポリフェニレンエーテルをそれぞれ85℃のオーブンで3h乾燥させ、カップリング剤のγ-アミノプロピルトリエトキシシランで中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0027】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.3%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の50%及び50%である。
【0028】
(3)レドーム基材を製造する
それぞれ5重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、85重量部のセラミック母粒子、10重量部の中空ビーズ母粒子、1重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)、0.1重量部の潤滑剤のN,N-エチレンビスステアリン酸アミドを秤量して高速混練機に加えて、均一に混合し、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が230℃であり、操作圧力が20MPaである。
【実施例2】
【0029】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ115℃のオーブンで2h乾燥させ、カップリング剤のγ-(2,3-エポキシプロポキシ)でセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0030】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理し、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の85%及び15%である。
【0031】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ115℃のオーブンで2h乾燥させ、カップリング剤のγ-(2,3-エポキシプロポキシ)で中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0032】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の55%及び45%である。
【0033】
(3)レドーム基材を製造する
それぞれ10重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、70重量部のセラミック母粒子、15重量部の中空ビーズ母粒子、3重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)、0.3重量部の潤滑剤のモノステアリン酸グリセリルを秤量して高速混練機に加えて、均一に混合して、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が250℃であり、操作圧力が30MPaである。
【実施例3】
【0034】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ90℃のオーブンで2.5h乾燥させ、カップリング剤のγ-アミノプロピルトリエトキシシランでセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0035】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.5%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理して、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の82%及び18%である。
【0036】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ、ポリフェニレンエーテルをそれぞれ90℃のオーブンで2.5h乾燥させ、カップリング剤のγ-アミノプロピルトリエトキシシランで中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0037】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.5%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の45%及び55%である。
【0038】
(3)レドーム基材を製造する
それぞれ5重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、81重量部のセラミック母粒子、13重量部の中空ビーズ母粒子、1重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)、0.1重量部の潤滑剤のポリシロキサンを秤量して高速混練機に加えて、均一に混合して、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が270℃であり、操作圧力が50Mpaである。
【実施例4】
【0039】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ110℃のオーブンで2h乾燥させ、カップリング剤のγ-(2,3-エポキシプロポキシ)でセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0040】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理して、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の83%及び17%である。
【0041】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ110℃のオーブンで2h乾燥させ、カップリング剤のγ-(2,3-エポキシプロポキシ)で中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0042】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の52%及び48%である。
【0043】
(3)レドーム基材を製造する
8重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、77重量部のセラミック母粒子、12重量部の中空ビーズ母粒子、3重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフトグリシジルメタクリレート(PPO-g-GMA)、0.2重量部の潤滑剤のエチレンステアリン酸アミドを秤量して高速混練機に加えて、均一に混合して、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が280℃であり、操作圧力が40Mpaである。
【実施例5】
【0044】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ100℃のオーブンで3h乾燥させ、カップリング剤のプロピルトリメトキシシランでセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0045】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理し、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の83%及び17%である。
【0046】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ100℃のオーブンで3h乾燥させ、カップリング剤のプロピルトリメトキシシランで中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0047】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の53%及び47%である。
【0048】
(3)レドーム基材を製造する
それぞれ10重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、79重量部のセラミック母粒子、10重量部の中空ビーズ母粒子、1重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、0.1重量部の潤滑剤のエチレンビスステアリン酸アミドを秤量して高速混練機に加えて均一に混合して、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が240℃であり、操作圧力が35Mpaである。
【実施例6】
【0049】
(1)セラミック母粒子を製造する
セラミック粉体及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ88℃のオーブンで2.5h乾燥させ、カップリング剤のプロピルトリメトキシシランでセラミック粉体の表面を処理し、カップリング剤で処理されたセラミック粉体をポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、セラミック母粒子を製造する。
【0050】
重量がセラミック母粒子の総重量の0.4%であるカップリング剤でセラミック粉体を表面処理して、使用された表面処理されたセラミック粉体及びポリフェニレンエーテルの重量はそれぞれセラミック母粒子の総重量の84%及び16%である。
【0051】
(2)中空ビーズ母粒子を製造する
中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルをそれぞれ88℃のオーブンで2.5h乾燥させ、カップリング剤のプロピルトリメトキシシランで中空ガラスビーズの表面を処理し、カップリング剤で処理された中空ガラスビーズをポリフェニレンエーテルと均一に混合して、造粒機で造粒することにより、中空ビーズ母粒子を製造する。
【0052】
重量が中空ビーズ母粒子の総重量の0.5%であるカップリング剤で中空ガラスビーズを表面処理して、使用された表面処理された中空ガラスビーズ及びポリフェニレンエーテルはそれぞれ中空ビーズ母粒子の総重量の54%及び46%である。
【0053】
(3)レドーム基材を製造する
それぞれ7重量部のポリフェニレンエーテル樹脂、75重量部のセラミック母粒子、11重量部の中空ビーズ母粒子、2重量部の相溶化剤のポリフェニレンエーテルグラフト無水マレイン酸(PPO-g-MAH)、0.15重量部の潤滑剤のN,N-エチレンビスステアリン酸アミドを秤量して高速混練機に加えて均一に混合して、ホットプレス機で基材を成形し、レドーム基材を得、ホットプレス機の操作温度が260℃であり、操作圧力が45Mpaである。
【0054】
目視によりレドーム基材のクラックの有無を観察した結果から、実施例1~6で製造されたレドーム基材にはクラック現象が生じていないことが分かった。
【0055】
本発明の実施例に係る方法により製造されたレドーム基材は、基材密度及び誘電率を保持した上で、レドーム基材の耐ストレスクラック性という欠陥を効果的に改善した。
【0056】
本発明は、カップリング剤で処理されたセラミック粉体、及びカップリング剤で処理された中空ガラスビーズと、ポリフェニレンエーテルとをマスターバッチにそれぞれ製造し、次いで相溶化剤を添加することにより、ポリフェニレンエーテル樹脂、セラミック母粒子、中空ビーズ母粒子の間の界面接合強度を向上させ、セラミック粉体及び中空ガラスビーズのポリフェニレンエーテル樹脂における分布均一性を改善することができる。セラミック粉体と中空ガラスビーズとの割合及び含有量を制御することにより、セラミック粉体、中空ガラスビーズの堆積配列方式を最適化して、ポリフェニレンエーテルとセラミック粉体及び中空ガラスビーズとの間の応力集中を低減させることができる。基材密度及び誘電率を保持した上で、ポリフェニレンエーテルで製造されたたレドーム基材の耐ストレスクラック性を効果的に改善した。
【0057】
本発明は、軽量で高誘電率及び耐ストレスクラック性に優れるポリフェニレンエーテルレドーム基材を提供し、ポリフェニレンエーテル基材の耐ストレスクラック性を効果的に改善した。
【0058】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本発明の精神及び原則内で行われるいかなる修正、均等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1