(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】複数の選択可能なTDIサブバンクを有するプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査焦点面アレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/374 20110101AFI20220905BHJP
【FI】
H04N5/374 300
(21)【出願番号】P 2020566647
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2019034655
(87)【国際公開番号】W WO2019232211
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-13
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボッツ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】キーン,ブライアン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ペラルタ,リチャード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンポラ,ジョン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ミッキー アール.
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516640(JP,A)
【文献】特開2018-006874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間遅延積分スキャナであって:
複数のカラム及び複数の行に配置された検出体の二次元アレイを含む、動的にプログラム可能な焦点面アレイであり、前記検出体のアレイは、ギャップ領域によって互いに分離された複数のバンクに分割され、各バンクは複数のサブバンクを含み、各サブバンクは少なくとも1行の検出体を含む、焦点面アレイ;
前記焦点面アレイに結合された読出し集積回路であり、各サブバンク内の各カラムの検出体からの出力をTDI処理内で組み合わせて、各サブバンクに対して複数のカラム出力値を提供するように構成されている、読出し集積回路;及び
前記焦点面アレイの特性を選択的かつ動的に設定するように前記焦点面アレイをプログラムするように構成されたコントローラであり、前記特性が、前記複数のサブバンクの各々の前記二次元アレイ内のサイズ(各サブバンクに含まれる検出体の行数に対応するサイズ)及び位置、並びに前記二次元アレイ内の前記ギャップ領域の位置を含む、コントローラ;
を含
み、
前記ギャップ領域に対応する前記二次元アレイ内の検出体は、前記TDI処理において不活性であり、接地へと分路される、
時間遅延積分スキャナ。
【請求項2】
請求項1に記載の時間遅延積分スキャナであり、
前記時間遅延積分スキャナは、前記検出体の行を逐次的に起動して、撮像すべきシーンを横切って前記焦点面アレイの視野をラインレートで走査するように構成され、前記コントローラは、前記ラインレートに対応する時間内に前記焦点面アレイの前記特性のうちの少なくとも一部を再プログラムするように構成される、時間遅延積分スキャナ。
【請求項3】
請求項1に記載の時間遅延積分スキャナであり、
各バンクは、第1利得状態を有する少なくとも1つのサブバンクと、前記第1利得状態とは異なる第2利得状態を有する少なくとも1つのサブバンクとを含み、前記コントローラは、各バンク内の前記複数のサブバンクの利得状態を動的に再プログラムするようにさらに構成される、時間遅延積分スキャナ。
【請求項4】
請求項1に記載の時間遅延積分スキャナであり、前記ギャップ領域の少なくとも1つに配置されたフィルタをさらに備えることを特徴とする時間遅延積分スキャナ。
【請求項5】
請求項4に記載の時間遅延積分スキャナであり、
前記フィルタは、スペクトル・フィルタ及びニュートラル密度フィルタのいずれかである、時間遅延積分スキャナ。
【請求項6】
請求項1に記載の時間遅延積分スキャナであり、
前記サブバンクの各々の中の少なくともいくつかの検出体は、
各前記検出体の飽和限界を超える過剰な電荷が蓄積されるのを防止するための電荷ドレインを含む、時間遅延積分スキャナ。
【請求項7】
請求項6に記載の時間遅延積分スキャナであり、
前記コントローラが、前記TDI処理から飽和検出体を排除するように構成される、時間遅延積分スキャナ。
【請求項8】
撮像検出体の複数のバンクを有する焦点面アレイを含む時間遅延積分走査センサを動作させる方法であり、各バンクが撮像検出体の複数のサブバンクに分割される方法であって:
撮像すべきシーンを横切ってセンサの視野を走査する工程;
前記複数のサブバンクの各々から画像データを収集する工程;
前記複数のサブバンクの各々からの画像データを分析して、前記複数のサブバンクのうちの1つのサブバンクが、前記撮像すべきシーン中に存在する照明脅威からの過照明によって汚染されているかどうかを判断し、汚染されたサブバンクを特定する工程;及び
画像データ上でTDI処理を実行し、汚染されたサブバンクからの画像データをTDI処理から除外して、前記シーンの画像を作成する工程;
を含
み、
前記走査中に、前記複数のサブバンクのうちの少なくとも1つのサブバンクの利得状態を動的に構成する工程をさらに含む
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であり、
前記複数のサブバンクの各々からの前記画像データを分析する工程は、各サブバンクからの前記画像データを、他のサブバンクからの前記画像データと互いに比較する工程と、前記比較の差異に基づいて汚染されたサブバンクを識別する工程とを含む方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であり、前記走査中に、前記複数のバンクの各々に含まれる前記複数のサブバンクの数を動的に再構成する工程をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間遅延積分画像スキャナに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
時間遅延(Time Delay)及び積分(Integration)(TDI)画像センサが、動いている物体の画像を捕捉するために一般的に使用されている。TDI焦点面アレイ(focal plane)を走査する現行の電気光学赤外線(electro-optical infrared)(EO/IR)は、特定の構成を考慮して設計される。特に、TDI動作において結合される素子の数、ユニットセルの利得及び/又は容量、異なるスペクトルバンドの数、及び走査のライン率又は速度を考慮して設計される。これらのパラメータが指定されると、通常、要求に応じて焦点面アレイの設計が構成され、構成仕様の変更に対して柔軟性がない。例えば、各TDI操作において結合される行(rows)の数、及びマルチスペクトル設計における分離バンドの数は、典型的には、設計フェーズの間に指定され、設定される。かくして、従来のスキャナは、一般に、TDIにおいて結合されるべき行の固定構成を有する。さらに、従来のスキャナは、典型的には、スペクトル・フィルタを取り付けるために、TDI行のバンク間に固定されたギャップ(fixed gap)を有する。
【0003】
赤外線焦点面アレイの製造では、本質的に低歩留まりを考慮する必要がある。しかしながら、従来のスキャナは、検出体及び読出集積回路(ROIC)のユニットセルの構成が固定されているので、低歩留まりが大目に見られる。さらに、電力使用は、カスタマイズ可能ではなく、従来のスキャナは、常に全ての行を「オン」で動作する。さらに、スキャナは、スキャナが設計される応用例において、予想される照明条件に対してマージンを有するように設計されている。かくして、もし応用例ベースの照明計算が変化すると、スキャナは再設計されなければならない。従来の設計プロセスは、焦点面アレイの過剰照明や過剰照明の負の効果を予測できない。いくつかの設計手法は、プログラム可能な利得選択を可能にし、他の設計手法は、過剰な電荷を排除するために「チャージドレイン(charge drains)」を実施している。しかしながら、スキャナは、過剰な照明の存在下で、依然として飽和し、過負荷となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴及び実施形態は、TDIスキャナを対象とする。当該TDIスキャナは、TDIサブバンク(TDIで使用される単位セル、行又は列の数)のサイズ、TDIサブバンクの個数、及びTDIバンクの位置及びバンク間のギャップの割り当てにおける構成の柔軟性を可能にする。特定の特徴に従えば、この構成可能性は、柔軟であり、動的であり、固定構成を有する従来のTDIスキャナに比べて、製造歩留まり及び/又は撮像性能の改善を可能にする。
【0005】
一実施形態に従えば、時間遅延積分(TDI)スキャナが、複数のカラム及び複数の行に配置された検出体の二次元アレイを含む、動的にプログラム可能な焦点面アレイであり、前記検出体のアレイは、ギャップ領域によって互いに分離された複数のバンクに分割され、各バンクは複数のサブバンクを含み、各サブバンクは少なくとも1行の検出体を含む、焦点面アレイを含む。時間遅延積分スキャナはさらに、前記焦点面アレイに結合された読出し集積回路であり、各サブバンク内の各カラムの検出体からの出力をTDI処理内で組み合わせて、各サブバンクに対して複数のカラム出力値を提供するように構成されている、読出し集積回路;及び前記焦点面アレイの特性を選択的かつ動的に設定するように前記焦点面アレイをプログラムするように構成されたコントローラであり、前記特性が、前記複数のサブバンクの各々の前記二次元アレイ内のサイズ(各サブバンクに含まれる検出体の行数に対応するサイズ)及び位置、並びに前記二次元アレイ内の前記ギャップ領域の位置を含む、コントローラを含む。
【0006】
一例において、前記時間遅延積分スキャナは、前記検出体の行を逐次的に起動して、撮像すべきシーンを横切って前記焦点面アレイの視野をラインレートで走査するように構成され、前記コントローラは、前記ラインレートに対応する時間内に前記焦点面アレイの前記特性のうちの少なくとも一部を再プログラムするように構成される。
【0007】
別の例において、前記ギャップ領域に対応する前記二次元アレイ内の検出体は、前記TDI処理において不活性であり、接地へと分路される。
【0008】
一例において、各バンクは、第1利得状態を有する少なくとも1つのサブバンクと、前記第1利得状態とは異なる第2利得状態を有する少なくとも1つのサブバンクとを含み、前記コントローラは、各バンク内の前記複数のサブバンクの利得状態を動的に再プログラムするようにさらに構成される。
【0009】
別の例において、前記ギャップ領域の少なくとも1つに配置されたフィルタをさらに備える。前記フィルタは、スペクトル・フィルタ及びニュートラル密度フィルタのいずれかである。
【0010】
別の例において、前記サブバンクの各々の中の少なくともいくつかの検出体は、前記各検出体の飽和限界を超える過剰な電荷が蓄積されるのを防止するための電荷ドレインを含む。前記コントローラが、前記TDI処理から飽和検出体を排除するように構成される。
【0011】
別の実施形態において、撮像検出体の複数のバンクを有する焦点面アレイを含む時間遅延積分走査センサを動作させる方法が、各バンクが撮像検出体の複数のサブバンクに分割される方法であって、 撮像すべきシーンを横切ってセンサの視野を走査する工程; 前記複数のサブバンクの各々から画像データを収集する工程; 前記複数のサブバンクの各々からの画像データを分析して、前記複数のサブバンクのうちの1つのサブバンクが、前記撮像すべきシーン中に存在する照明脅威からの過照明によって汚染されているかどうかを判断し、汚染されたサブバンクを特定する工程;及び 画像データ上でTDI処理を実行し、汚染されたサブバンクからの画像データをTDI処理から除外して、前記シーンの画像を作成する工程;を含む。
【0012】
一例において、前記複数のサブバンクの各々からの前記画像データを分析する工程は、各サブバンクからの前記画像データを、他のサブバンクからの前記画像データと互いに比較する工程と、前記比較の差異に基づいて汚染されたサブバンクを識別する工程とを含む。
【0013】
別の例において、前記走査中に、前記複数のバンクの各々に含まれる前記複数のサブバンクの数を動的に再構成する工程をさらに含む。前記走査中に、前記複数のサブバンクのうちの少なくとも1つのサブバンクの利得状態を動的に構成する工程をさらに含む。
【0014】
これらの例示的態様及び実施形態のさらに他の態様、実施形態、及び利点は、以下で詳細に議論される。本明細書に開示された実施形態は、本明細書に開示された原理の少なくとも1つと矛盾しない任意の方法で他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「一部の実施形態」、「変形実施形態」、「種々の実施形態」、「1つの実施形態」などへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、記載された特定の特徴、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書におけるこのような用語の表現は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。ここに記載される種々の態様及び実施形態は、記載される方法又は機能のいずれかを実施するための手段を含み得る。
【0015】
少なくとも1つの実施形態の種々の態様が、添付図面を参照して後述される。添付図面は、縮尺通りに描かれることを意図されていない。図面は、種々の態様及び実施形態の説明及びさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示の限定の定義として意図されるものではない。図面において、種々の図に示されている同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。明瞭にするために、全ての構成要素が全ての図においてラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】特定の実施形態に従ったスキャナの一例の機能ブロック図である。
【
図2】特定の実施形態に従った走査焦点面アレイのためのアーキテクチャの一例のブロック図である。
【
図3】特定の実施形態に従った走査焦点面アレイの一例の図である。
【
図4】特定の実施形態に従った走査焦点面アレイのためのアーキテクチャの別の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特徴及び実施形態は、時間遅延及び積分(Time Delay and Integration)(TDI)スキャナを構築するためのアプローチを対象とする。TDIスキャナは、TDIサブバンクのサイズ(TDIで使用される単位セル、行、又は列の数)、TDIサブバンクの数、及びTDIバンクの位置及びバンク間のギャップの割り当てにおける構成の柔軟性を可能にする。
【0018】
本明細書に開示されるスキャナの実施形態は、用途から用途へと変化するマルチスペクトル・フィルタアセンブリを受容することができる。上述したように、従来のスキャナは、スペクトル・フィルタを取り付けることができるTDIバンク間に固定されたギャップを有する。対照的に、本明細書に開示されるスキャナの実施形態は、ギャップ距離のプログラム可能な選択を可能にする。さらに、以下にさらに説明するように、大きな二次元アレイから最良の行を選択し、最良の組み合わせを電気的に使用することによって、改良された生産歩留まり及び/又はイメージング性能を達成することができる。
【0019】
特定の実施形態によれば、スキャナは、多くのスペクトルバンド(例えば、数十のバンド)を有する非常に高いラインレートを有し得る。さらに、実施形態は、走査速度の動的な変化を可能にすることができる。上述のように、従来のスキャナは、全ての行を常に「オン」にして動作する。対照的に、本明細書に開示されるスキャナの実施形態は、電力を節約するために、1つ以上の選択された行を無効にすることを可能にする。
【0020】
上述のように、従来の設計プロセスは、焦点面アレイの過剰照明又は過剰照明の有害な効果を予期しないことがある。ほとんどの設計プロセスは、過剰な電荷の存在下でTDIを実行することを許容することを試みていない。すなわち、TDIチャネルが過剰な照明によって劣化した場合、それは不良収集として受け入れられ、データはその後の下流処理で廃棄される。対照的に、本明細書に開示するスキャナの実施形態は、TDIエンジン内のデータの破壊を防止するために、過剰な照明又は電荷を防止するように構成された回路を含む。さらに、実施形態は、異なるTDIバンクによる異なる利得値の選択を提供する。
【0021】
特定の特徴によれば、この構成可能性は柔軟かつ動的である(例えば、ライン時間よりもずっと短く更新することができる)。いくつかの従来の設計手法は、プログラマブル利得選択のような、制限されたプログラマビリティを可能にしてきた。ある従来の設計は、過剰な電荷を処理することを試みるために「電荷ドレイン」を実装し、あるものは、特定のTDIバンクとスペクトルバンドとの間で未使用の検出体材料をシャントした。ある従来の設計は、焦点面内の他の行上のTDI中の多くの行を組み合わせながら、焦点面上の数行にわたって中立密度(ND)フィルタを有することによって、広いダイナミックレンジを実現しようと試みてきた。しかしながら、本明細書に開示されたスキャナの実施形態で達成され得るように、従来の設計では、これらの概念の全てを単一チップ上でプログラム可能にして、非常に柔軟な構成スキャニングEO/IR焦点面アレイを生成することはできなかった。
【0022】
本明細書に記載された方法及び装置の実施形態は、以下の説明に記載された、又は添付の図面に例示された構成及び構成要素の配置の詳細に適用することに限定されないことを理解されたい。方法及び装置は、他の実施形態で実施可能であり、実施可能であるか、又は種々の方法で実施可能である。具体的な実施例は、例示的な目的のためだけに本明細書で提供されており、限定することを意図したものではない。また、本明細書中で私用される表現及び用語は制限的に理解されるべきではない。本明細書における「含む」、「構成される」、「有する」、「含有する」、「包含する」及びそれらの派生的使用は、その後に列挙される項目及びそれらの同等物並びに追加の項目を包含することを意味する。「又は」への言及は、「又は」を使用して記載される用語が単一の、複数の、及び記載される用語のすべてを示すことができるように、「又は」への言及は包括的であると解釈され得る。前後、左右、頂部底部、上下、垂直及び水平への言及は、説明の便宜のために意図されたものであり、本システム及び方法又はそれらの構成要素を、いずれか1つの位置又は空間方向に限定するものではない。
【0023】
本発明の特徴及び実施形態は、複数の選択可能なTDIサブバンク(sub-banks)を備えるプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査焦点面アレイを対象とする。この走査焦点面アレイは、柔軟な汎用スキャナを提供する。
図1を参照すると、特定の実施形態に従って、スキャナ100は、検出体ユニットセル(「ピクセル」)122の大きな二次元アレイ120と対になった読出し集積回路(ROIC)110を含む。アレイ120内のピクセル122の全ては、アクティブ化(活性化)及びアクセスのために利用可能であり、ピクセルの種々の構成のサブバンクへとプログラミングすることができる。プログラミングは、コントローラ130によって実行又は制御することができる。コントローラ130は、ROIC 110の一部であってもよく、或いはROIC 110と一体化されてもよく、或いは別個の構成要素であってもよい。サブバンクは、多数のカラム(columns)(例えば、100~数千個)及び比較的少数の行(rows)(例えば、数十行)を有する検出体122のアレイである。本明細書で使用されるように、用語「カラム」は、アレイの走査(scan)方向に配列されたアレイ120内のピクセル122の集合を指すことを意図し、用語「行」は、クロス走査(cross-scan)方向(スキャンに直交する方向)に配列されたピクセル122の集合を指すことを意図する。各TDIサブバンク内では、カラム内のピクセル122のうちの少なくともいくつかは、TDI内で結合される。結合画素の各カラムからのデータは、カラム毎に、TDI結合データの単一デジタル数として送信することができる。後述するように、スキャナ100は、検出体122の大きな二次元アレイ120から選択される多くの独立したTDIサブバンクを有することができる。サブバンクは、サイズ及び形状(すなわち、画素122のうち何行及び何個のカラムが任意のサブバンクに含まれるかということ)及びアレイ120内の位置(すなわち、画素122のうち、どの行及びカラムが任意のサブバンクに含まれるか)において動的に再構成され得る。
【0024】
図2は、スキャナ100の一実施形態に従った検出体アレイ120のアーキテクチャの一例を示す。この例では、スキャナ100は、4つのスペクトル(光学)バンドで名目上動作するように構成されており、検出体210、220、230及び240の対応する「バンク」と、各スペクトルバンドに対応するバンク間にフィルタギャップ250が図示のように設けられている。検出体アレイ120は、
図2に示すように、アレイの外側境界に配置されたフィルターベゼル(filter bezels)260をさらに含んでもよい。図示の例では、バンク毎に2つの利得状態(すなわち、「高利得(HG)」状態と「低利得」状態(LG))がある。各バンク210、220、230及び240内に、検出体アレイ120は、複数本の「高利得」TDIサブバンク272と複数本の「低利得」TDIサブバンク274とを含むように構成されている。この例のスキャナ100では、各バンク210、220、230、240は、4本の「高利得」TDIサブバンク272と、4本の「低利得」TDIサブバンク274とを含む。しかしながら、他の例では、バンク210、220、230、240のうちの1つ又は複数のバンクは、より多く又はより少なく、高利得TDIサブバンク272又は低利得TDIサブバンク274を含むことができる。各バンク210、220、230、240は、低利得TDIサブバンク274と同じ本数の高利得TDIサブバンク272を含む必要はなく、利得高利得TDIサブバンク272及び/又は低利得TDIサブバンク274の本数は、バンク毎に変化し得る。一つの例において、各サブバンクは、TDIに8個のピクセルを含む。かくして、スキャナは、フレーム当たり32本のトータルラインをターゲットとして、TDI内に256個のトータルピクセルを有することができる。当業者は、本開示に鑑みて、バンクの数、利得状態、利得状態/スペクトルバンド当たりのサブバンク、及びサブバンク当たりのピクセルの個数はすべて変化することができ、スキャナの実施形態は
図1に示す特定の例に限定されないことを、容易に理解するであろう。
【0025】
特定の実施形態に従って、各個々のサブバンク272、274のサイズ及び特定の特性は、構成可能である。例えば、TDI内に結合された画素数と利得選択とは、プログラム可能であり得る。各サブバンク272、274は、そのバンクのためのTDI内で結合された画素数及び利得の選択に関して、他のサブバンクから独立して動作してもよい。かくして、サブバンクは、TDIにおいて異なる利得状態及び異なる個数を有するようにプログラムすることができる。TDI内に結合された画素数を制御することにより、必要に応じてラインレートを非常に高速にすることができる。特定の例では、スキャナは、TDIにおいて少なくとも256ピクセルを用いて、8klpsのラインレートで動作することができる。スキャナは、TDI内の画素数及びサブバンクを減らして、16klpsより速く動作することができる。
【0026】
特定の実施形態に従えば、サブバンク間にフィルタが配置され得る領域(ギャップ)250は、フレキシブルであり、プログラム可能である。例えば、複数のフィルタギャップ250は、それらの寸法及び位置において構成可能である。上述のように、検出体122の大きな二次元アレイ120内の各バンク210、220、230、240内のサブバンク272、274のサイズ(例えば、何行の画素が含まれるか)及び位置は、プログラム可能である。したがって、フィルタギャップ250のサイズ及び位置もまた、プログラム可能である。例えば、スペクトル・フィルタ(spectral filter)及びニュートラル密度フィルタ(neutral
density filter)の物理的サイズ、並びにスキャナ内で使用され得る他のコーティングに依存して、フィルタギャップ250のサイズは、広範囲の異なるフィルタを収容するためにプログラミングを通して構成することができる。フィルタギャップ領域250内の検出体122は、接地に分路することができ(画像化に使用されない可能性があるため)、未使用の検出体122の対応する行は、電力を最小化するためにROIC 110内で選択を解除することができる。かくして、実施形態は、広い入力シーンダイナミックレンジがマルチバンクTDI EO/IR走査焦点面アレイ上で達成可能となるように、異なるニュートラル密度フィルタを可能にする。さらなる実施形態は、マルチバンクTDI走査EO/IR焦点面アレイ上でマルチスペクトル走査が達成可能となるように、異なるスペクトル・フィルタを可能にする。
【0027】
かくして、特定の実施形態に従えば、フィルタギャップ250の位置、アレイ120内のTDIサブバンクの本数、サイズ、及び位置、任意のサブバンク内のTDI組み合わせで使用される検出体122の数、並びに検出体122のアクティブ及び非アクティブな行はすべて、コントローラ130を使用して動的にプログラム可能である(例えば、ライン時間毎に)。さらに、特定の実施形態に従えば、大型二次元アレイ120内の種々の検出体122は、それらがサブバンク及びTDI処理(time delay and integration process)(時間遅延積分プロセス)を汚染することを防止するために、個々に集団から選択解除され得る。かくして、実施形態は、スキャナ100の操作性を改善するために、プログラム可能な欠陥画素選択解除を提供する。
【0028】
図3は、検出体アレイ122の一例を示し、検出体122の特定の行がどのようにして選択され、他の行が選択解除されて、アレイ製造及びスキャナ性能の改善された歩留まりを達成することができるかを示している。アレイ120の製造後、ピクセル122の実際のアレイ欠陥/停止集団を試験することができ、最良の操作性/最低の暗電流を有する行を選択することができる。
図3において、「ドット」122aは、欠陥ピクセル122を表す。特定の実施形態に従って、各バンク210、220、230、240について、最も欠陥の少ないピクセルを有する行(例えば124)を選択することができ、次いで、これらの選択された行を使用して、各サブバンクについてTDI内にピクセルのカラムを配置することができる。例えば、アレイ120がバンク210、220、230、240ごとに63行で構成されているスキャナ100においては、各バンドごとに最良の32行を選択することができる。アレイ120の行を動的に選択し、多数の欠陥画素を有する行を選択解除(使用しない)する能力は、より厳しい製造要件を導入することなく、より高い歩留まりで良好な性能を達成することを可能にする。
【0029】
上述のように、特定の実施形態では、コントローラ130及び/又はROIC 110は、特定の個々の検出体122又は検出体の行を接地するために「ブランク(blank)」又は分路(shunt)するように構成することができる。これは、上述のように、これらの検出体122又は検出体の行がTDIにおいて使用されていない場合に行うことができる。選択されていない検出体の行が接地に分路されることを許容することは、検出体基板への過剰な電荷の寄与を回避し得る。検出体はまた、接地に分路することができ、かつ/或いは、過剰な電荷が蓄積されて、及び/又はTDI処理に悪影響を及ぼすことを防止するために、過剰な電荷(例えば、検出体122の指定された飽和レベルを超える電荷)を排出するように別様に構成することができる。かくして、未使用検出体122を活性化サブバンク272、274の間(例えば、フィルタギャップ250内の検出体)で接地する能力に加えて、実施形態は、撮像性能に悪影響を及ぼし得る過飽和状態を防止するために、活性化検出体122に電荷ドレインを提供することもできる。例えば、飽和レベルの電荷ドレインが、検出体122の回路内に設けられてもよい。特定の例において、各検出体(単位セル)122は、50keの高利得ウェル容量(ノイズの50e未満)及び100keの低利得ウェル容量を有してもよい。複数の例として、1Meウェル容量をサポートすることができる。他の例は、11keウェル容量をサポートすることができる。
【0030】
撮像応用において、検出体122の飽和又は過飽和は、スキャナ100によって視認されるシーンが1つ以上の高強度照明源(例えば、シーン内の非常に明るい領域又は物体)を含む条件下で起こり得る。スキャナ100の実施形態は、飽和レベルの過剰電荷を経験する検出体122がTDI処理に寄与することを「ブランク」するように構成することができ、それによって、飽和検出体122がTDI処理に寄与し、TDI処理を汚染することに起因する画像品質の低下を回避することができる。特定の例において、アレイ120は、過剰な(飽和限界を超える)電荷を、デジタルTDI処理に追加されないように、排出/抑制し、及び/又は他の方法でブランクするための、ユニットセル内アナログ回路を有するように構成することができる。特定の例では、ユニットセルアナログ回路は、飽和レベルの電荷をドレインし、過剰な電荷が蓄積されるのを防止するように構成される。非常に高い照明を経験している検出体122をブランクする能力は、フォーカルプレーン(焦点面)アレイ120にわたって非常に広いダイナミックレンジを可能にする。このような状況は、例えば、非常に暗い又は低い光レベルの条件下で放射照度を同時に測定するが、非常に明るい又は高い光レベルの条件を同時に又はほぼ同時に経験する宇宙ベースの光学センサにおいて遭遇することがある。
【0031】
特定の用途では、関係するフィールドの関心領域であるシーンを横切って走査する場合、強い照明源が検出体アレイ120の視野内にあり、アレイ内の画素122のいくつかを飽和及び/又は損傷させる可能性がある。例えば、スキャナ100が、宇宙又は空中環境で動作している場合、スキャナ100は、ガンマ誘起電荷源、X線誘起電荷源、電磁パルス(EMP)誘起電荷源、即発高エネルギー粒子、及び、例えば、雷などの他の照明源を含む、様々な脅威現象に遭遇する可能性がある。同様に、宇宙環境で動作すると、高エネルギー粒子が回路を破壊し、かつ/或いは過剰な電荷を生成する可能性が存在する。自然の脅威に加えて、攻撃者が、スキャナの入口開口にレーザ(又は他の強力な照明源)を集中させることによって、スキャナ100の機能性を損なうことを意図する可能性もあり、スキャナの動作を損傷、盲目的化、眩惑化、又は他の方法で中断させる可能性がある。本発明の特徴及び実施形態は、そのような脅威及び事象の存在下で動作しデータを取得するためのスキャナ100の弾力性を大幅に改善する。
【0032】
TDI EO/IR焦点面アレイの走査は、TDI内の多くのピクセル122の使用を通して、非常に高感度の撮像を行うことができる。しかしながら、TDI個数が多いほど、スキャナ100は、過剰な充電源から破壊されるTDIチャネル全体に対して脆弱になる。本発明の特徴及び実施形態は、脅威の下にあるデータの最小量(例えば、破損したTDIレコードの部分のみ)を除去し、破損していないデータの大部分を保持するための時間的に敏速な方法を提供する。
【0033】
宇宙搭載スキャナについての従来のアプローチは、脅威現象によって誘発された破壊を受け入れ、電荷、信号電圧その他の効果が沈静化するのを待って、通常の動作を再開することである。従来のTDIに対するCCDアプローチでは、TDIが達成されるまでに多くのライン時間が必要とされ、それにより、これらのセンサは、集束レーザ脅威及び他の自然現象による破壊に対して特に損傷されやすい。この問題を解決するための従前の試みが、ユニットセルにおいて実施されてきており、ガンマ事象によって堆積された過剰電荷に焦点が当てられてきた。対照的に、本発明の特徴及び実施形態は、焦点面上のTDI処理を、破壊されたサブバンクの焦点面外(off-focal plane)の除去に組み合わせるものである。特定の実施形態に従えば、脅威環境(例えば、レーザ、自然空間環境現象、及び照明を含む)の存在下で、スキャナ100などの操作TDIセンサを動作させるためのアプローチが、以下を含む。空間的、スペクトル的及び時間的な散乱及び再結合を収容することができるTDIサブバンクの分散配置を提供することと、特定のTDIサブバンクからのデータが汚染されたかどうかを再結合前に判定するために、収集されたデータを調べるために、コントローラ130などの焦点面外プロセッサと協働することとを含む。スキャナ100は、脅威現象の近傍(例えば、脅威現象が少なくとも部分的にサブバンクの視野内にある)で動作しているサブバンクのデータ収集動作をシャットダウンし、スキャナが脅威位置を越えた後に収集を再開するコマンドを、機敏に受け入れるように制御することができる。このアプローチを用いることにより、TDIでは「クリーンデータ」のみを組み合わせることができ、それによって脅威現象からのデータの汚染を回避することができる。
【0034】
上述の可撓性のプログラム可能な検出体アレイ120、読出し集積回路ROIC 110、及びコントローラ130を使用して、本発明の特徴及び実施形態は、焦点面外エレクトロニクス(例えば、ROIC 110及び/又はコントローラ130)を適用して、任意の所与のバンク210、220、230、240において、過剰な電荷源によって汚染された個々のサブバンク272、274が、TDI中で他のサブバンクと追加されることを防止する。特定の実施形態に従えば、サブバンク272、274が汚染されているかどうかの判断は、サブバンクの結果と、所与のスペクトルバンドに対応するバンク内からのそのピア(peers)とを比較することによって、焦点面外の電子機器(例えば、コントローラ130)によって行われる。汚染が疑われるサブバンクがそのピアと十分に異なっている場合は、除外する。上述したように、特定の例では、バンク210、220、230、240は、2つのタイプのサブバンク、すなわち、高利得サブバンク272及び低利得サブバンク274を含むことができる。他の例では、サブバンクはすべて均質であり、すなわち、TDIの色、利得、数に関して類似している。別の例では、サブバンクは、スペクトル的に隣接しているが、それらのスペクトル内容が異なる。本発明の特徴及び実施形態は、サブバンクがTDI処理に積極的に参加しているか否か、又は、サブバンクが隔離されているか否かに関して、TDIサブバンクを介した機敏なタイミング制御を可能にし、指向エネルギーレーザ又は高性能光センサに対する他の脅威によって引き起こされる過剰な電荷及び/又は電流を排除する。
【0035】
特定の態様に従えば、上述の可撓性汎用EO/IRスキャナの実施形態を使用して、通常の「バンク」(すなわち、通常、すべてが隣接するピクセルであり、同じ色で動作し、同じ利得状態であることが意図されるピクセルの集合)が「サブバンク」に分割され、これは、上述のように、アレイ120内の利得、サイズ及び空間分布の点で動的に変化され得る。これらの空間的に集約されていないサブバンクからのデジタルサブバンクTDIデータは、コントローラ130のような焦点面外TDIプロセッサによって、TDI内で結合することができるか、又は結合しないことができる。アレイ120が、望ましくない有意な電荷源への応答を減衰させる分離したサブバンクに分割されているため、コントローラ130は、DEレーザからの過剰な電荷その他の過剰電荷を有し得るサブバンクを除去するように構成することができる。そのような過剰電荷には、ガンマ誘起電荷源、X線誘起電荷源、電磁パルス(Electro-Magnetic-Pulse)誘起電荷源、即発高エネルギー粒子、及び、例えば、雷などの他の照明源などが含まれる。特定の実施形態に従えば、望ましくない有意な電荷源への応答を減衰させる分離されたサブバンクは、非常に機動的に制御することができる。それにより、スキャナの残りの部分を通じてTDIデータのバンク全体を除去し、スキャナの残りの部分を通じてTDIデータのサブバンクを除去し、脅威照明の画像空間内の位置をクリアするのにバンクが必要とする時間の間TDIバンクを除去し或いは脅威照明の画像空間内の位置をクリアするのにサブバンクが必要とする時間の間TDIバンクを除去し、かつ、ライン時間、整数回の回数、又はライン時間境界上で終了する任意の時間量と同様に非常に短い時間の間、TDI処理を除去する。それにより、スキャナ100が、汚染されたデータの処理を回避するために必要な短時間又は長時間の間、データを除外することを可能にする。
【0036】
同様に、上述の可撓性汎用スキャナの実施形態を、種々のサブバンク上に取り付けられた異なるスペクトル・フィルタと共に使用することができ、単色脅威照明に対する応答を減衰させることができる。例えば、脅威レーザ光源は、単色であってもよく、故に、異なるスペクトルサブバンクに同時に影響を与えることがなく、走査EO/IRセンサが、レーザ脅威を通して動作することを可能にする。焦点面外プロセッサは、どのサブバンクが劣化しており全体的なTDIの組み合わせに加えるべきではないかを決定することができる。
【0037】
再び
図1を参照すると、一例において、アレイ120は、32のサブバンクを含み、これらは、シーンの32のユニークな走査を提供する。スキャン方向(矢印「SCAN」で示す)にスキャンし、各サブバンク内でTDIを実行した後、各色、利得設定及びフィルタ選択についての4つのデータラインが存在する。上述のように、サブバンクは、レーザ、自然空間現象及び/又は雷によって破壊、汚染又はその他の方法で破壊され得る。いずれの瞬間においても、脅威レーザ、ガンマ粒子、雷撃その他の脅威は、ピクセル122の狭い集合内又は単一の色バンド内に存在し得る。コントローラ130は、特定のサブバンクTDIの結果が他のサブバンク達と「家族外」であるかどうかを判断するために使用され、上述のように、そのデータを拒否する選択を行うことができる。次いで、コントローラ130は、TDIデータを再構成し、影響を受けるサブバンクを除去することができる。図示された例では、特定の1つのサブバンクが壊れている場合、その特定の色/利得選択は、依然として、TDIにおいて残りの24ピクセルを結合させる。上述のように、この実施例の全ての数字は再プログラム可能であり、実施形態は
図1に示される特定の構成に限定されることはない。
【0038】
特定の実施形態に従えば、スキャナ100は、特定の構成を達成するために特定の指令モードで動作させることができる。アレイ120は、様々な脅威が存在する場合における動作方法として、空間的及びスペクトル的な非凝集(dis-aggregation)を提供する。実施形態は、脅威に応答して動作モードを変更するために、コントローラ130からのコマンドに機敏に応答する方法を提供する。例えば、スキャン速度は、脅威の検出に応じて変更することができる。もう1つの例において、TDIデータ収集は、脅威の検出に応じてアレイ120全体において中断されることができ、アレイ120全体は、例えば、保護された電流分路状態に置くことができる。次の走査で動作を再開することもできるし、脅威がなくなった後で現在の走査を再開することもできる。変形的には、脅威の付近で動作している特定のサブバンクにおいてTDIデータの収集を中断し、それらのサブバンクのみを保護状態に置くこともできる。例えば、特定のサブバンクが脅威の場所を通過すると、中断されたサブバンクの動作を再開することができる。
【0039】
かくして、特定の実施形態に従えば、複数の選択可能なTDIサブバンクを有するプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査焦点面アレイが提供される。サブバンクは、複数の空間的及び/又はスペクトル的に非凝集冗長バンドを有するように構成され、高性能光センサに対する指向されたエネルギーレーザ及び種々の他の脅威現象の応答を減衰させる。
【0040】
特定の例では、TDI
EO/IR走査焦点面アレイ120は、例えば、
図1に示すように、冗長な空間的及び/又はスペクトル的なサブバンドを含む。冗長な空間的及び/又はスペクトル的なサブバンクは、サブバンク間に空間的分離及び接地を有しても良く、光のDEレーザパルス、ガンマ線誘起電荷源、X線誘起電荷源、電磁パルス誘起電荷源、即発高エネルギー粒子、及び雷のような他の照明源のような脅威から生じる過剰な電荷汚染/クロストーク/破壊に対する応答を減衰させ得る。実施形態は、コントローラ130を利用して、サブバンクが破壊的影響を経験したか否か、或いは破壊されたか否かを判断することができる。コントローラ130は、いずれかのサブバンクが破損しているか否かを判定し、TDI処理及びその後の情報処理において情報を使用するか否かを決定することができる。
【0041】
従って、特定の実施形態が、複数の選択可能なTDIサブバンクを有するプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査焦点面アレイを対象とする。TDIサブバンクは、複数の空間的及び/又はスペクトル的に非集約的な冗長バンドを備えるように構成され、これにより、指向されたエネルギーレーザ及び高性能光学センサに対する他の脅威に対する応答を減衰させ、完全な走査の間に選択されたTDIサブバンク及びその後の破壊されたTDIサブバンクを除去する能力を備える。特定の例では、スキャナ100は、脅威の画像空間内の位置を横切ってスキャンする際に、現在のサブバンク及びそれに続くすべてのサブバンクについて、焦点面上のデジタルTDI処理を停止/中断する外部トリガを受け入れる能力を有してもよい。TDI処理が中断される間、ROIC 110は、検出体電流/電荷をTDIレジスタから分流させることができる。すべてのサブバンクが脅威の画像空間上の位置をクリアした後、行はサブバンクTDI処理を再開することができる。
【0042】
特定の実施形態が、複数の選択可能なTDIサブバンクを有するプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査焦点面アレイを対象とする。TDIサブバンクは、複数の空間的及び/又はスペクトル的に非集約的な冗長バンドを備えるように構成され、これにより、指向されたエネルギーレーザ及び高性能光センサに対する他の脅威に対する応答を減衰させ、特定の破壊されたTDIサブバンクを除去する能力を備える。上述したように、特定の例において、スキャナ100は、脅威の画像空間内の位置を横切ってスキャンする際に、特定のサブバンクの焦点面デジタルTDI処理を停止/中断する外部トリガ及びコマンドセットを受け入れる能力を有する。サブバンクは、脅威の画像空間上の位置をクリアした後、TDI処理を再開することができる。実施形態は、脅威によって影響を受けるサブバンクのみをより機敏に除去する能力を提供する。スキャナは、一度に影響を受けるサブバンクのみを除外するために、外部コントロールに応答することができる。各TDIサブバンクからデジタルデータが提供されることができ、ブランクフレームは除かれる。特定の例では、選択解除プロセスは、1ライン時間の間継続する。他の例では、選択解除プロセスは、整数のライン時間(回数)の間継続される。他の例では、選択解除プロセスは、任意に指令された時間継続し、整数回のライン時間(回数)で終了する。
【0043】
さらなる実施形態は、複数の選択可能なTDIサブバンクを有するプログラマブルデジタルTDI EO/IR走査フォーカルプレーン(焦点面)アレイに向けられ、脅威の特徴に従って適切に様々な信号を自律的に選択及び追加するために、フォーカルプレーン(焦点面)デジタルフィルタリングの使用を通して、高性能光センサに対するレーザ及び様々な他の脅威の影響を緩和するように構成された、フレキシブルな汎用スキャナ100を提供する。
【0044】
特定の実施形態によれば、脅威となる照明パターンの存在下でTDI処理をブランクにするためのコマンドを受け入れることに加えて、アレイ120は、照明パターンが存在するかどうかを決定し、TDI処理を自己停止し、再開するように構成することができる。さらに、特定の実施形態が、サブバンクの最低値、サブバンクの最高値、サブバンクの最低M値の平均、又はサブバンクの最高M値の平均(Mは整数値がプログラムされている)などの情報を抽出するために、サブバンクのデータに対してデジタル信号処理(例えば、ROIC 110及び/又はコントローラ130を使用して)を実行することを含み、かつ、個々のサブバンクがTDI処理からピクセル又はサブバンクを除外する決定を行うことができるように、より長期の平均との比較を実行することを含む。デジタルフィルタリング機能は、サブバンクベースでアレイ120上で実行することができる。これらのフィルタリング機能は、通常のTDI動作(上述のように、スキャナがTDIサブバンクのサイズに関してプログラム可能である)を実行し、TDIサブバンク内の画素の信号値の平均化動作を実行し、サブバンク内の最低値(「低ボール」)を発見し、サブバンク内の最高値(「高ボール」)を発見し、サブバンク内のプログラムされた閾値未満の最低値(「閾値低値」)を発見し、かつ/或いはサブバンク内のプログラムされた閾値を超える最高値(「閾値高値」)を発見するために使用することができる。フィルタリングの結果及び配置のロジックに基づいて、コントローラ130、又は他の外部装置に、脅威が発生していることを警告することができる。特定の例では、フィルタリング結果及び配置のロジックに基づいて、スキャナ100は、脅威の存在下で生存し、動作するための収集アプローチに関して自律的に決定することができる。
【0045】
図4を参照すると、スキャナ100の一実施形態のためのアレイ構成の例が示されており、様々なレベルのマスクレーザー検出、及び変化するTDIサブバンク276を備えた3色走査のために構成されたアレイ120を含む。この例では、走査方向において、3つの主要なバンク410、420、430が存在する。各バンクは、各サブバンク間に設けられたギャップ250を有する複数のサブバンク276を含む。図示の例では、スキャナ100は、第1バンク410がシーンの特徴付けを行い、第2バンク420が3つのカラーバンドでミッション検出を行い、レーザ脅威を通して動作を試み、第3バンク430が広帯域にわたって非常に高感度の走査を実行するように構成することができる。
【0046】
この例では、第1サブバンク410は、8行にわたって「閾値高」機能を使用し、レーザ脅威が存在する可能性のある、又は存在しない可能性のある最も顕著なデータを捕捉する。閾値高値を超える複数の値が捕捉される場合、これをレーザ反復率の測定として使用することができる。レーザ照明の振幅及びパターンがプログラムされた基準を満たす場合、第1バンク410を通る走査の期間中、収集を停止し、焦点面モードを保護された「安全状態」に自律的にシフトさせることができる。振幅及びパターンが基準を満たさない場合、次の3つのサブバンク276が、TDI内の4行の値を使用して、シーン内の特定の構造を特徴付けることができ、次の数行のデータの有効性に関する情報を提供する。例えば、航空機搭載又は宇宙ベースの画像応用において、後続のサブバンクは、シーン内の雲構造(cloud structure)を特徴付けることができる。例えば、マスクを使用して、走査中の雲の存在によって不明瞭になる可能性のある数行からのデータのデータ処理をブランクにすることができる。図示された例では、次の3つのサブバンクは、3つの別個のカラーバンドのTDIコレクションにおいて16の最初の測定を実行する。
【0047】
さらに、この例では、第2バンク420は、3色データ収集の主要な高感度収集である。最初のサブバンク276の8行(この例では)は、再度、高閾値試験を使用してレーザ存在検出を実行する。次のサブバンクは、第1色でTDIにおいて32行の高感度収集を提供する。直後のサブバンクが、TDIにおいて8行のみで同じ色の収集を実行するが、8のグループの中で最低のデータを提供するオンボード処理能力を備える。レーザパルスパターンが存在する場合、ある閾値未満の最低値は、有効な中断されていないデータを含むことができる。第2バンク420を完成させるために、この方法で3色を収集することができる。
【0048】
さらに、この例では、第3バンク430は、3色サブバンドの広帯域表現である。この例では、第3バンク430内の8行の第1サブバンクが、「閾値高」フィルタを使用するレーザ存在検出のために再度使用される。残りは3色からなるパンクロマティック(panchromatic)バンドで、48行がTDIにおいて結合される。
【0049】
上述の例は、スキャナ100及びアレイ120の実施形態が、マルチバンド(マルチカラー)高性能画像形成のためにどのように構成され得るかを示し、アレイ120の特定の数行が、画像形成性能を混乱させる可能性のあるレーザ又は他の高照度光源がシーン内に存在するかどうかを決定するために使用される。上述のように、そのような脅威が検出される場合、アレイ120は、動的に再構成され、制御して、スキャナ100の撮像性能に対する脅威の影響を最小限にする。当業者は、本開示の利点を考慮すると、スキャナ100及びアレイ120の実施形態は、
図4に示される又は上述した実施例に限定されないことを理解するであろう。アレイ120は、上述のように、異なるバンク、異なる数及びサイズのサブバンクなどで構成することができる。加えて、種々のサブバンク276が、上述の特定の例に限定されない、異なるタイプの撮像機能のために構成することができる。例えば、特定のサブバンク276が、単色又は多色の高感度画像形成のために構成されてもよいが、他のサブバンクは、高容量画像形成の広帯域画像形成、脅威検出のために構成されてもよい。アレイ120内の任意のサブバンク276の機能、サイズ、及び/又は位置は、上述のように動的に再構成することができる。
【0050】
特定の実施形態が、レーザ及び高性能光センサに対する他の脅威に対する応答を減衰させるための複数の空間的及び/又はスペクトル的に集約されない冗長バンドを有するように構成された複数の選択可能なTDIサブバンク276を備え、かつデジタルフィルタリングを種々の機能のために実行する能力を備える、デジタルプログラマブルTDI EO/IR走査焦点面アレイを対象とする。例えば、ROIC 110及び/又は検出体122に含まれる回路は、任意にコントローラ130又は他のシステム電子機器の制御下で、警告フラグ又は警告を提供したり、かつ/或いは、レーザ脅威効果の存在下で関連データを提供するために低レベルデジタル信号処理を提供したりするように、構成することができる。例えば、
図4を再度参照すると、特定の例において、個々のサブバンク276が、異常な照明パターン及び/又は脅威となる照明パターンが存在するときを、自律的に検出するように構成することができる(例えば、
図4に示される「閾値高の」サブバンク)。
【0051】
特定の例では、個々のサブバンク276が、低レベルのデジタル信号処理を実行する能力を有し、サブバンクが特定の基準に従って「脅威にさらされている」場合にスキャナ100に警告する。特定の例では、焦点面アレイ120は、サブバンクTDIデータに特定の条件が存在する場合に、データフラグを送信する能力を含む。デジタル・フィルタが、個々のサブバンク276が脅威の画像空間内の位置を横切る際に、個々のサブバンク276のTDI処理を制御/中断するために使用され得る。上述のように、個々のサブバンクTDI処理は、サブバンクが脅威の画像空間の中の位置を通過する際に再び開始されることができる。このことは、スキャナ100の撮像性能に対する脅威の影響を軽減し得る。上述したように、特定の例において、ROIC 110及び/又は検出体122に含まれる回路は、以下のような非限定的デジタル処理機能を実行する能力を備えるように構成することができる。
【0052】
i. 低ボール(low-ball)の場合、命令されたとき、TDIサブバンクは、TDI値を構成したであろう要素の複数のサンプルのうち、最も低い値のみを返す;
ii. 高ボール(high-ball)の場合、命令されたとき、TDIサブバンクは、TDI値を構成したであろう要素の複数サンプルのうち最も高い値のみを返す;
iii. M-ballの場合、命令されたとき、TDIサブバンクは、TDI値を構成したであろう要素の複数のサンプルのうちのM個の最低値の合計のみを返す;
iv. 平均の場合、命令されたとき、TDIサブバンクは、TDI値を構成したであろう要素の複数サンプルの平均値のみを返す;及び/又は、
v. 高 M-Ballの場合、命令されたとき、TDIサブバンクは、TDI値を構成したであろう要素の複数のサンプルのうち、最も高いM個の値の合計のみを返す。
【0053】
上述のように、態様及び実施形態は、脅威環境(例えば、レーザ、自然空間環境現象及び雷を含む)の存在下で走査TDIセンサを動作させるためのアプローチを提供し、このアプローチは、空間的、スペクトル的及び時間的なディスアグリゲーション(dis-aggregation)及び再結合を受容することができるTDIサブバンク276の分散配置を提供し、オフ焦点面(off-focal plane)プロセッサ(例えば、コントローラ130)と連携して、収集されたデータを検査して、TDIサブバンクのデータが汚染されたかどうかを再結合前に判断する。実施形態は、破壊的事象を空間的及び時間的に隔離することによって、レーザその他の破壊的な電荷源及び電流源からの脅威となる照明パターンを通して、自律的に動作することができる走査EO/IR TDI焦点面アレイ120を提供する。上述したように、可撓性汎用EO/IR TDIスキャナ100の実施形態を用いて、正常なバンクをサブバンクに分割することができ、サブバンクは、TDI処理に参加するように、或いは過剰な荷電及び/又は電流をTDI処理から隔離するように、個別に制御することができる。
【0054】
かくして、本発明の特徴及び実施形態は、破壊的事象を空間的及び時間的に隔離することによって、レーザその他の破壊的な電荷源及び電流源からの脅威となる照明パターンを通して、自律的に動作することができる走査EO/IR TDI焦点面アレイ120及びスキャナ100を提供する。脅威となる照明パターンの存在下でTDI処理をブランクにするコマンドを受け入れることに加えて、スキャナ100は、照明パターンが存在するかどうかを判断し、TDI処理を自己停止して再開することができる。幾つかのデジタル信号処理機能(例えば、上述のように、平均、低ボール、低Mボール、高ボール、高Mボールなど)を使用し、より長期の平均との比較を行うことによって、個々のサブバンク276は、TDI処理から画素(ピクセル)及びサブバンクを除外する決定を行うことができる。上述のように、焦点面上の信号処理は、種々の条件が満たされたと判断された場合に、ホストシステムに対して警告を実行することができる。この条件は、例えば、長期平均と比較した、サブバンク内の過剰な信号、及びサブバンク内の個々の検出体における過剰な信号を含む。これらの警告信号を使用して、スキャナ100は、実行されたデジタルフィルタリングの結果及び脅威位置に対するサブバンクの位置に応じて、TDI処理を中断又は再度開始することを自律的に決定することができる。
【0055】
本発明の特徴及び実施形態によって、TDIのバンクの数及びサブバンクの数、各バンク/サブバンクにおけるTDI内の行の数、TDIバンク間のギャップの大きさ(例えば、フィルタ又は他の構成要素/特性を収容するため)、並びにサブバンクの利得/容量に関して、特定の構成を一般化アレイ120へとプログラムする柔軟性が可能になる。さらに、このプログラミングは、様々な脅威又は状況の存在下で、ロバストなスキャナ動作を提供するように、動的かつ自律的に調整することができる。上述したように、マルチスペクトル・フィルタ及び/又はニュートラル密度フィルタ(neutral density filter)とともに実装される場合、この物理的プログラマビリティは、非常に大きなダイナミックレンジ及び非常に柔軟なスペクトル構成を可能にする。さらに、上述のように、本発明の特徴及び実施形態によって、欠陥のあるピクセルがTDI処理を汚染しないように、個々の検出体を動作から選択解除することが可能になる。本発明の特徴及び実施形態はまた、未使用のROIC行を遮断して電力を節約する能力を可能にする。
【0056】
少なくとも1つの実施形態のいくつかの特徴を上述してきたが、当業者には、種々の変更、修正及び改良が容易に生じることが理解されるであろう。このような変更、修正及び改良は、本開示の一部であることが意図されており、本発明の範囲内であることが意図されている。したがって、前述の記載及び図面は例示の目的のみである。