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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】はんだ組成物
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/14 20060101AFI20220905BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20220905BHJP
   B23K 35/22 20060101ALI20220905BHJP
   C22C 12/00 20060101ALI20220905BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B23K35/14 Z
B23K35/26 310A
B23K35/26 310C
B23K35/22 310A
C22C12/00
C22C13/00
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021113488
(22)【出願日】2021-07-08
(62)【分割の表示】P 2019104821の分割
【原出願日】2012-08-02
(65)【公開番号】P2021178364
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】61/514,396
(32)【優先日】2011-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【弁理士】
【氏名又は名称】大釜 典子
(72)【発明者】
【氏名】モルガーナ・デ・アビラ・ヒバス
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ロッジ
(72)【発明者】
【氏名】ランジット・パンダー
(72)【発明者】
【氏名】バーワ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ラビンドラ・エム・バトカル
(72)【発明者】
【氏名】ラフル・ラウト
(72)【発明者】
【氏名】シウリ・サーカー
(72)【発明者】
【氏名】カマニオ・チャットパディヤイ
(72)【発明者】
【氏名】プロロイ・ナンディ
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-259884(JP,A)
【文献】特開平11-347784(JP,A)
【文献】特表2010-506733(JP,A)
【文献】特開2007-123354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/14
B23K 35/26
C22C 12/00
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ組成物であって、
第1粉末成分と第2粉末成分とのブレンドを含み、
前記第1粉末成分が第1はんだ合金であり、前記第2粉末成分が第2はんだ合金であり、
前記第1粉末成分が前記はんだ組成物の80重量%を形成し、かつ42Sn58Biであり、
前記第2粉末成分が前記はんだ組成物の20重量%を形成し、かつ96.5Sn0.5Cu3Agであ
前記第1粉末成分および前記第2粉末成分の少なくとも一方は、球状である、はんだ組成物。
【請求項2】
前記はんだ組成物が鉛フリーである、請求項1に記載のはんだ組成物。
【請求項3】
前記第1粉末成分および前記第2粉末成分の粒子の少なくとも90%は、1.5よりも小さい、幅に対する長さの比率を有する、請求項1または2に記載のはんだ組成物。
【請求項4】
前記第1粉末成分および前記第2粉末成分の粒子は、平均直径で1ミクロンから100ミクロンである、請求項1~3のいずれか1項に記載のはんだ組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のはんだ組成物を含む、はんだ付け可能なペースト。
【請求項6】
前記第1粉末成分と前記第2粉末成分を混合する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のはんだ組成物を形成する方法。
【請求項7】
前記第1粉末成分がペーストの形態であり、前記第2粉末成分が球状の形態である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載のはんだ組成物を用いる、はんだ付け方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載のはんだ組成物を含む、はんだ接合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明ははんだ組成物に関し、特に鉛フリーはんだ組成物に関する。はんだ組成物は2つ以上の成分から成っており、改良された特性をはんだに提供する。
【背景技術】
【0002】
鉛フリーはんだ合金はよく知られており、非常に広範囲に利用されるはんだ合金、すなわち37%Pb-63%Sn共晶合金に対して非毒性の代替手段を提供する。このような鉛フリー合金の例は、58%Bi-42%Snの二元共晶合金(例えば、US 5,569,433Bを参照)および40%Bi-60%Snの二元共晶合金(例えば、US 6,574,411Aを参照)を含む。このような合金は、高ひずみ速度下で延性の低下を示すが、少量の添加物、例えば1重量%以下の銀の添加により改良することができる(例えば、US 5,569,433Bに示す)。しかし、シャルピー衝撃試験法を用いて計測された、これらの合金によって示される衝撃エネルギーは、相対的に低い。従って、向上した衝撃靱性を示す鉛フリーはんだ合金を開発する必要がある。
【0003】
このような鉛フリーの合金が、ウェーブソルダリング(またはフローはんだ付け、wave soldering)およびリフローはんだ付けのようなはんだ付け方法で用いられるために、銅、ニッケルおよびニッケルリン(“無電解ニッケル”)のような様々な基板材料に関して、合金は優れたぬれ性を示さなければならない。このような基板は、例えば、錫合金、銀、金または有機被覆(OSP)を用いることによって、ぬれを向上するように被覆してもよい。優れたぬれは、溶融はんだがキャピラリーギャップに流れ込み、プリント配線基板のめっきスルーホールの壁をつたって上がり、その結果優れたホール充填を達成する能力も向上させる。
【0004】
さらに、はんだ組成物は優れた熱疲労寿命と低下した高温クリープを示す必要がある。改良した延性ならびに熱伝導性および電気伝導性も望ましい。これらの特性は、特定のはんだ合金(既知であれば)を選択することで、または特定の添加物を用いることで得ることができる。しかし、代替するはんだ合金の開発を必要とすることなく、既存のありふれたはんだの特性が、これらの利点を提供するように適応することが出来るなら、好都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、先行技術のはんだ、または少なくとも有用なもしくは最適化された代替物に関連する一部あるいは全ての問題を、克服する、または少なくとも軽減するはんだ組成物に対する要望がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
第1の態様によると、本発明は第1粉末(または粉体、powder)成分と第2粉末成分とのブレンド(または配合物、blend)を含み、第1粉末成分が第1はんだ合金であり第2粉末成分が第2はんだ合金、または金属であるはんだ組成物を提供する。
【0007】
本開示は、これからさらに説明される。以下の文章において、本開示の別の態様がより詳細に規定される。そのように規定される各態様は、明確に特段の指定がない限り、他のいかなる1つまたは複数の態様と組み合わされてもよい。特に、好ましくまたは有益に示される任意の特徴は、好ましくまたは有利に示される1つまたは複数の任意の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0008】
本明細書で用いられる“はんだ合金”という用語は、90°C~400°Cの範囲の融点を有する可溶性の金属(fusible metal)を意味する。
【0009】
本明細書で用いられ、またシャルピーvノッチ試験としても知られる“シャルピー衝撃試験”は、破壊時に材料によって吸収されるエネルギー量を決定する、規格化された高歪速度試験である。この吸収されるエネルギーは、任意の材料の靱性の尺度であり、脆性-延性遷移の温度依存性を詳しく調べる手段として機能する。さらに、この試験についての詳細はCharpy Impact Test(Factors and Variables, J.M.Holt,ASTM STP 1072)に記載され、この内容は参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0010】
本明細書で用いられる“ぬれ性”という用語は、ぬれ表面(wettable surface)上をはんだが広がる程度を意味する。ぬれ性は、液状はんだの表面張力と、ぬれ表面と反応する能力と、により決定される。ぬれはまた、基板上の溶融および後に凍結(frozen)するはんだ合金の接触角の観点から説明することもでき、高い接触角よりも低い接触角のほうが好ましい。
【0011】
本明細書で用いられる“ウェーブソルダリング”という用語は、電気アセンブリを形成するように電子部品がプリント配線板(PCB)へはんだ付けされる大規模なはんだ付け方法を意味する。
【0012】
本明細書で用いられる“リフローはんだ付け”という用語は、はんだペーストが印刷もしくは塗布(または分配、dispensed)され、またはソルダープリフォームがプリント配線板の表面上に設置され、部品が堆積(または蒸着、deposited)したはんだの中または近傍に設置され、そしてはんだ合金の液相線より高い温度までアセンブリが加熱される方法を意味する。
【0013】
本明細書で用いられる“希土類元素”という用語は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択された元素を意味する。
【0014】
本明細書の全てのパーセントは、特段の表示が無い限り重量パーセントによる。
【0015】
好ましくは粉末の少なくとも一方は球状であり、好ましくは両方の粉末とも球状である。すなわち、少なくとも90%の粒子(particles)は、1.5よりも小さい、幅に対する長さの比率を有する。好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の粒子が、1.5よりも小さい、幅に対する長さの比率を有する。大部分の用途に対して、この高い“球形度”が好ましく、主要な利点は、表面積をより小さくして酸化を最小にし、また装填の受入を向上(目詰まり(clogging)やかみ合い(interlocking)の傾向の低下)して、ステンシルの開口を通じた塗布性能(dispensability)および取り外しを助力する。別の実施形態において、少なくとも一方の粉末は不規則(irregular)であってもよい。
【0016】
粒子の真円度はペーストの粘性およびせん断性に影響する。不規則な形の粒子と比べて、球形は粘性流に対してより小さい抵抗を与える。その結果、同じフラックスおよび球形の粉末から作られるペーストでも、同じ重量パーセントおよび粒径範囲であるが不規則な形から作られるよりも、低い粘性を有する。後者の外観を有するペーストが備える、考えられる利点の1つは、高速および連続的なスキージ動作でスクリーン/ステンシルが印刷される時に、せん断減粘性(share thin)が起こりにくいことである。粉末のかみ合いは、ペーストの流出を抑制する。はんだブリッジやはんだボールをもたらすスランプおよびスメア(または汚れ、smearing)が発生するのを防止するので、せん断減粘性(shear thinning)の抑制は重要である。
【0017】
好ましくは、はんだ粉末の粒子は、平均直径で1ミクロンから100ミクロンである。より好ましくは、粒子は平均直径で1ミクロンから75ミクロンであり、最も好ましくは1ミクロンから50ミクロンである。直径の測定は、粒子の最も長い直径を意味する。好ましくは、第1および第2成分の両方の粉末粒子は実質的に同じである。
【0018】
好ましくは、はんだ組成物は不可避的不純物を伴い、第1粉末成分と第2粉末成分とのブレンドから成る。当然のことながら、本発明に係る組成物は不可避的不純物を含んでもよく、場合によっては第1および/または第2成分の一部として含んでもよいが、総量でもこれらは組成物の1重量%を超えそうにない。好ましくは、合金は組成物の0.5重量%以下の、より好ましくは組成物の0.3重量%以下の、さらに好ましくは組成物の0.1重量%以下の量の不可避的不純物を含む。
【0019】
好ましくは、はんだ組成物は無鉛(または鉛フリー、lead-free)である。これはその組成物を規制の要件に適合させる。
【0020】
発明者らは、標準的なはんだ合金および/または金属粉末を用いるリフローはんだの効果的な融点、ならびに機械的、電気的および熱的特性を実行設計することが可能であることを発見した。
【0021】
とりわけ、発明者らは2以上のはんだ合金の混合物が特に有用であることを発見している。特に、第1および第2はんだ合金は異なる融点を有する場合には、第1のリフローの間、低融点の合金の液相線を上回るが他の粉末の固相線を下回るピーク温度まで上昇し、高温の合金の粉末粒子は低温の合金の液相内にすぐに溶解する。
【0022】
混合が進むにつれて、はんだ組成物は迅速に変化する。これにより凝固工程は高度に非線形になり、合金が完全に混合されるまで混合した組成物の液相線の温度も連続的に上昇するためである。
【0023】
好ましくは、融点は少なくとも5°C異なる。より好ましくは、融点は少なくとも10°C異なる。融点の差異が大きいほど、既知のはんだ組成物から得ることが出来る改良された特徴はより顕著になる。
【0024】
好ましくは、第1および第2はんだ合金は少なくとも1つの共通の元素を含む。これは、1つの合金の融点に近い、または時には下回る温度において、ある合金の他の合金への迅速な溶解を容易にする。好ましくは、少なくとも1つの共通の元素は錫である。
【0025】
例えば、80%の共晶42Sn58Biと混合された20%のSAC305粉末は、最終組成物の液相線が、最初の42Sn58Biの138°Cからおよそ165°Cへ結果として増加する。これは、Snの添加が合金組成物をSnBi共晶組成から離れたところへ移すためである。さらに、SAC305に由来する少量のAgおよびCuが合金のミクロ組織を変え、最終的なはんだの特性に追加的な改良を提供するためである。
【0026】
これらの前述の過程変化は、第1のリフローの間に起こる。従って、第1のリフローは、最終的なブレンドに対して要求されるであろう温度よりも低い温度で実行することが出来る。リフローする前は、それは2つの別個の合金の混合物である。
【0027】
上述の組成の結果として、高融点の成分の存在が液相線温度の上昇をもたらし、従って同一の運転温度における同相温度の低下をもたらすことがわかっている。これは、熱疲労寿命の自動的な増加と、高温クリープの低下を意味する。同相温度は異なるはんだ組成物の比較を可能とする。
【0028】
例えば、-55°Cから125°Cの作業温度域と183°C(456K)の融点(液相線)とを有するはんだは、0.53Tmpから0.92Tmpで作業している。195°Cへの融点の増加は、この温度範囲を0.49Tmpから0.85Tmpに減少させる。従って、引張り強度、せん断強度および弾性率が向上する。
【0029】
さらに、はんだ内のわずかなBi含有量の減少は、その延性を向上させる。少量のAgおよびCuの存在は延性、熱伝導性および電気伝導性を向上させ、はんだのミクロ組織を微細化し、向上した機械的特性をもたらす。
【0030】
好ましい実施形態において、第1粉末成分ははんだ組成物の約80重量%を形成し、42Sn58Biであり、第2粉末成分ははんだ組成物の約20重量%を形成し、SAC305(96.5%Sn、0.5%Cu、3%Ag)である。好ましくは、はんだ組成物は上述の化学成分から成る。当然ながら、この実施例は好ましい組成物を表しており、最終的な組成物は任意の複数の合金および混合物から、適当な割合で選択されてもよい。
【0031】
別の態様において、金属とはんだ合金粉末の混合粉末が驚くべき有益性を有することを、本発明者らは発見した。理論に拘束されることなく、リフローの間、はんだは金属粒子と金属間結合を形成すると考えられる。単独の長時間のリフローサイクルまたは複数のリフローサイクルの下では、金属粒子から由来するいくつかの金属は、バルクのはんだ内に溶解し、残りはその元の構造にとどまったままである。これは複合組織を形成するはんだと金属粒子の混合物をもたらす。従って、金属粉末の添加は、結果として得られるはんだ接合部の適合性(compliance)を向上させ、熱伝導性および電気伝導性を向上する。1つの実施例は、SnBi合金と混合した銅粉末である。SnBiは、相対的に乏しい熱伝導性および電気伝導性を備える脆い合金である。バルクのはんだ内へのCu粒子の添加は、その電気伝導性および熱伝導性を向上させる。他の実施例は、ナノおよびミクロンサイズのAg粒子の添加であり、その機械強度を向上し、電気伝導性および熱伝導性を高める。
【0032】
しかし、最初のリフロー工程(または段階、ステップ)では、はんだ合金の融点で組成物は融解する。結果として、溶解し易く、取り扱いやすいはんだ組成物を有しながら、はんだの特異な性質を得ることができる。
【0033】
第2粉末成分が金属である時、それは好ましくはCu、Ni、AlまたはAgから選択された元素である。存在してもよい他の金属は、Au、Cr、In、Sb、Sc、Y、Zn、Ce、Co、Cu、Ge、MnおよびTi、または希土類元素の1種以上を含む。金属粉末サイズおよびレベルは、最終的なはんだ結合の熱、機械および電気特性を調整するように選択されてもよい。
【0034】
上述の組成物において、第2粉末成分は、第1粉末成分よりも小さい粒径から、第1粉末成分よりも大きい粒径の範囲の粒径を有することができる。1つの好ましい実施形態において、第2粉末の粒径は第1粉末と実質的に同じ径である。つまり、第2粉末は平均直径で0.02ミクロンから100ミクロンの粒子を含む。より好ましくは、粒子は0.02ミクロンから75ミクロンである。さらにより好ましくは、粒子は0.02ミクロンから50ミクロンである。ある場合においては、0.02ミクロンから5ミクロンの間の粒径が好ましい。1つの実施形態において、粒子は、特に金属粒子は、1nmから100ミクロンが好ましく、より好ましくは10nmから100ミクロンである。金属粒子は10ミクロンから100ミクロンであってもよい。あるいは、金属粒子は100ミクロンから1000ミクロンの平均直径を有してもよい。
【0035】
第3の態様において、同じような(同様の)融点であるが異なる固体-液体相転移を備える2つの混じり合わない合金の混合粉末が好都合であることを本発明者らが発見した。従って、第1および第2のはんだ合金は同じような融点を有し、かつ混じり合わない。例えば、いくつかのBiを含む合金は、液体-固体転移の間膨張し(負の熱膨張係数(CTE))、その他の多くは収縮する(正のCTE)。同じような融点を備える正のCTE合金の粒子を、負のCTEのSnBiと混合することにより、低応力のはんだ接合部の形成を得ることが出来ることを、本発明者らは発見した。このことは、2つの合金が加熱中に混合しない(すなわち、混じり合わない)時に生じることを、本発明者らはさらに発見した。それらが互いに溶解する場合、結果として生じる合金は独特の遷移を有することが出来る。
【0036】
上述の組成物において、第2粉末成分は好ましくは第1粉末成分の粒径と同程度の粒径を有する。つまり、第2粉末成分は平均直径で1ミクロンから100ミクロンの粒子を含む。より好ましくは、粒子は平均直径で1ミクロンから75ミクロンであり、最も好ましくは1ミクロンから50ミクロンである。取扱い易く、かつ混合し易くするように、第1および第2粉末の粒径は実質的に同じであることが好ましい。
【0037】
同じような融点に関して、好ましくは第1および第2のはんだ合金は高くても25°C以内の融点を有することを意味する。より好ましくは、第1および第2はんだ合金は、高くても10°C以内の融点を有し、最も好ましくは1°C以内である。
【0038】
好ましくは、第1はんだ合金の熱膨張係数は正であり、第2はんだ合金の熱膨張係数は負ある。
【0039】
粉末が互いに混じり合わないことを確実にするように、少なくとも第2粉末成分は非反応性の被覆層(coating layer)を有することが好ましい。このことは、既知の粉末の利用に対して本発明の好都合な利点を達成することを可能とする。
【0040】
好ましくははんだ組成物は、炭化物、窒化物、酸化物およびカーボンナノチューブのような材料から選択され、好ましくはAl、SiO、TiO、NiOおよびカーボンナノチューブから選択される、更なる粉末成分をさらに含む。これらの成分は好ましくは、本明細書に記載されるはんだおよび金属の粒径に準拠する大きさである。すなわち、好ましくはミクロンスケールの最長の平均直径を有し、好ましくは0.02ミクロンから100ミクロンである。
【0041】
驚くことに、これらの成分はリフロー後の合金のミクロ組織の改良を可能とする事が分かっている。その結果として、合金の機械特性および熱疲労寿命は改良することができる。
【0042】
本発明の更なる態様において、第1粉末成分と第2粉末成分とのブレンドを含み、第1粉末成分が第1はんだ合金であり、第2粉末成分が炭化物、窒化物、酸化物およびカーボンナノチューブのような材料から選択され、好ましくはAl、SiO、TiO、NiOおよびカーボンナノチューブから選択される、はんだ組成物を提供する。好ましくは、第2粉末成分は、Al、SiO、TiO、NiOおよびカーボンナノチューブの1種以上である。この態様の成分は上述の態様における成分に相当する。例えば、この態様において使用される第1粉末成分は、本明細書で説明される任意の第1粉末成分と同じであってもよい。
【0043】
本発明の更なる態様において、本明細書で記載するはんだ組成物を含むはんだ付け可能なペーストを提供する。つまり前記ペーストは、フラックスを伴う本発明の粉末のブレンドを含む。適切なフラックスは技術的によく知られている。
【0044】
本発明の組成物はその後、バー、スティック、ソリッドワイヤーもしくはフラックス入りワイヤー、箔もしくはストリップ、プリフォーム、プレアプライドな(pre-applied)もしくはフリースタンディングフィルム(または自立式フィルム、free standing film)もしくはボールグリッドアレイ接合に用いるはんだ球(またはソルダーボール、solder sphere)、または予め成形されたはんだ片もしくはリフローされたもしくは固化したはんだ接合部、に加工されてもよい。
【0045】
本発明の更なる態様において、本明細書で記載されるはんだ組成物を形成する方法を提供し、その方法は第1粉末成分と第2粉末成分を混合する工程を含む。
【0046】
本発明の更なる態様において、本明細書に記載される組成物または本明細書に記載されるはんだ付け可能なペーストの、はんだ付け方法での使用を提供する。
【0047】
本発明の更なる態様において、本明細書に記載される組成物または本明細書に記載されるはんだ付け可能なペーストの、はんだ接合部を形成するための使用を提供する。
【0048】
更なる態様において、本発明は第1の態様から第5の態様の合金を含むはんだ接合部を提供する。
【0049】
更なる態様において、本発明は、第1の態様から第5の態様の合金のはんだ付け方法での使用を提供する。このようなはんだ付け方法は、ウェーブソルダリング、表面実装(SMT)はんだ付け(またはリフローはんだ付け)、ダイアタッチ(die attach)はんだ付け、サーマルインターフェースはんだ付け、手はんだ付け、レーザーはんだ付けおよびRF誘導はんだ付けならびにリワークソルダリングを含むが、これらの方法に限定されない。
【0050】
更なる実施形態において、本発明は第1成分と第2成分とのブレンドを含むはんだ組成物を提供し、第1成分は第1はんだ合金であり、第2成分は第2はんだ合金、または金属である。本発明の上述の態様の好ましい特徴は、本発明のこの態様に関しても好ましい。第1および/または第2成分は粉末、ペースト、ストリップ、箔、球、ディスクまたはプリフォームの形態であってもよい。好ましくは、第1成分はペーストの形態である。
【0051】
更なる態様において、本発明は上述のはんだ組成物を形成する方法を提供し、当該方法は混合する工程を含む。好ましくは、第1成分はペーストであり、および/または第2成分は粉末、ペースト、ストリップ、箔、球、ディスクまたはプリフォームの形態である。
【0052】
さらなる態様において、本発明は
(i)接合される2つ以上のワークピース(または被加工部品、work piece)を提供する工程と、
(ii)第1のリフロー温度を有する第1はんだ成分を提供する工程と、
(iii)前記第1のリフロー温度よりも高い第2のリフロー温度を有する第2はんだ成分を提供する工程と、
(iv)前記第1のリフロー温度またはそれよりも高い温度で、かつ前記第2のリフロー温度よりも低い温度で実行され、接合されるワークピースの近傍で前記第1および第2はんだ成分を加熱する工程と、
を含む、はんだ接合部を形成する方法を提供する。
【0053】
上述した本発明の第1から第5の態様に係る利点は、本発明のこの態様の方法によっても示される。
【0054】
接合されるワークピースは、例えば、回路基板および回路部品であってもよい。方法は、例えば、プリント基板の製造に用いられてもよい。第1はんだ成分は、第1合金成分であってもよく、かつ粉末、ペースト、ストリップ、箔、球、ディスクまたはプリフォームの形態、好ましくはペーストの形態であってもよい。第2はんだ成分は第2のはんだ合金、または金属あってもよく、かつ粉末、ペースト、ストリップ、箔、球、ディスクまたはプリフォームの形態であってもよい。一度はんだ成分が混合されると、それらは第1はんだ成分のリフロー温度よりも低い温度で加熱されてもよい。上述の方法の例は、次の通りであり、すなわち:

はんだペーストの付着層(deposit)を形成するように、はんだペーストをプリント基板に適用する工程と、
前記はんだペーストの付着層内に、低温のプリフォームを設置する工程と、
低温のはんだ接合部を作るように、はんだペーストのリフロー温度でプリント基板を処理する工程と、
はんだペーストのリフロー温度よりも低いリフロー温度で、低温のはんだ接合部を処理する工程と、
を含む組立の方法

である。
【0055】
以下の限定されない例について、発明がこれより説明される。
【0056】
はんだ組成物の約80重量%の量の42Sn58Bi粉末成分と、約20%のSAC305粉末(96.5%Sn、0.5%Cu、3%Ag)とを含むはんだ組成物が準備された。試験では、合金は単独の42Sn58Bi粉末と比べて、延性、耐熱疲労性および耐クリープ性が向上したことが分かった。
【0057】
はんだ組成物の約80重量%の量の42Sn58Bi粉末成分と、約20%の銅金属粉末とを含むはんだ組成物が準備された。試験では、合金は単独の42Sn58Bi粉末と比べて、延性、耐熱疲労性および電気伝導性が向上したことが分かった。
【0058】
はんだ組成物は、2つのビスマス含有合金を含んで準備された。選択された合金の一方は液体-固体相転移の間に膨張し(負のCTE)、他方は収縮する(正のCTE)。この組成物は低応力のはんだ接合を生じさせることが分かった。
【0059】
2つのはんだ組成物が準備された。第1のはんだ組成物は82.9重量%のSAC305および17.1重量%のSn58Biを含み、第2のはんだ組成物は82.9重量%のSACX0307(Sn0.3Ag0.7Cu0.1Bi)および17.1重量%のSn58Biを含んだ。チップのせん断抵抗およびピンの引き抜き抵抗の測定は、値が基準とする合金Sn57.6Bi0.4Agと同程度であることを示した。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本願は、一例として、以下の図を含む。
図1A図1Aおよび1Bは、2つのはんだ組成物の溶解の示差走査熱量測定(DSC)の記録を示す(サンプルサイズ:それぞれ、29.1000mgと29.3000mg、機器:2920DSC V2.6A)。第1は、20%のSACと80%のSn58Biとの混合物である。第2は、Sn45Biである。SACは217°Cの融点を有しているが、これらの記録は似ている。SACは、SACの融点よりはるかに低い温度で、Sn58Biに溶解する。同時に、第1の混合物はボールシェアテストにおいて、Sn58Bi単独(949 vs 911)よりも著しく高いせん断力を示すことが知られている。DSC記録はまた、17.1%のSn58Biと82.9%のSn0.3Ag0.7Cu0.1Bi(SACX0307)についても得られる。最初の走査は、SnBi合金の融解(融解点、the melting)に対応する低温ピークを示した。しかし、このピークは後の走査では消失し、SACX0307が液体のSn58Biに溶解したことにより、全ての低温相は高温相に変換(転換、convert)されたことを示す。
図1B図1Aおよび1Bは、2つのはんだ組成物の溶解の示差走査熱量測定(DSC)の記録を示す(サンプルサイズ:それぞれ、29.1000mgと29.3000mg、機器:2920DSC V2.6A)。第1は、20%のSACと80%のSn58Biとの混合物である。第2は、Sn45Biである。SACは217°Cの融点を有しているが、これらの記録は似ている。SACは、SACの融点よりはるかに低い温度で、Sn58Biに溶解する。同時に、第1の混合物はボールシェアテストにおいて、Sn58Bi単独(949 vs 911)よりも著しく高いせん断力を示すことが知られている。DSC記録はまた、17.1%のSn58Biと82.9%のSn0.3Ag0.7Cu0.1Bi(SACX0307)についても得られる。最初の走査は、SnBi合金の融解(融解点、the melting)に対応する低温ピークを示した。しかし、このピークは後の走査では消失し、SACX0307が液体のSn58Biに溶解したことにより、全ての低温相は高温相に変換されたことを示す。
図2A図2Aおよび2Bは、ナノまたはミクロンサイズの銀粒子を添加したSnBiの弾性率の向上を示す。前者の場合、粒子はナノサイズであり、20ナノメートルから1ミクロンの平均粒径サイズを有する。後者の場合、AG粒子は1ミクロンから100ミクロンのサイズである。図に示すように、少量(1%)のAG粒子でも弾性率に著しい効果を及ぼすことが知られている。銀粒子の添加は、はんだの熱伝導性および電気伝導性を向上させる。驚くことに、Sn58Biはんだ内の遊離銀粒子の存在が、その熱伝導性を50%より大きく増加させることが知られている。さらに、銀の添加は合金の構造を変化させる。驚くことに、5%以下のAgの添加でさえ、長い(long)AgSn結晶をもたらさないことが知られている。図2Aにおいて、次のはんだ(左から右に):Sn58Bi、Sn58Bi+1%のナノサイズのAgの混合物、Sn58Bi+3%のナノサイズのAgの混合物およびSn58Bi+5%のナノサイズのAgの混合物、についての弾性率の値が示される。図2Bにおいて、次のはんだ(左から右に):Sn58Bi、Sn58Bi+1%のミクロンサイズ(1ミクロンから100ミクロン)のAgの混合物、Sn58Bi+3%のミクロンサイズのAgの混合物およびSn58Bi+5%のミクロンサイズのAgの混合物、についての弾性率の値が示される。
図2B図2Aおよび2Bは、ナノまたはミクロンサイズの銀粒子を添加したSnBiの弾性率の向上を示す。前者の場合、粒子はナノサイズであり、20ナノメートルから1ミクロンの平均粒径サイズを有する。後者の場合、AG粒子は1ミクロンから100ミクロンのサイズである。図に示すように、少量(1%)のAG粒子でも弾性率に著しい効果を及ぼすことが知られている。銀粒子の添加は、はんだの熱伝導性および電気伝導性を向上させる。驚くことに、Sn58Biはんだ内の遊離銀粒子の存在が、その熱伝導性を50%より大きく増加させることが知られている。さらに、銀の添加は合金の構造を変化させる。驚くことに、5%以下のAgの添加でさえ、長いAgSn結晶をもたらさないことが知られている。図2Aにおいて、次のはんだ(左から右に):Sn58Bi、Sn58Bi+1%のナノサイズのAgの混合物、Sn58Bi+3%のナノサイズのAgの混合物およびSn58Bi+5%のナノサイズのAgの混合物、についての弾性率の値が示される。図2Bにおいて、次のはんだ(左から右に):Sn58Bi、Sn58Bi+1%のミクロンサイズ(1ミクロンから100ミクロン)のAgの混合物、Sn58Bi+3%のミクロンサイズのAgの混合物およびSn58Bi+5%のミクロンサイズのAgの混合物、についての弾性率の値が示される。
図3図3は、標準的なSn58Biはんだ(左側)のせん断強度と本発明(Sn58Bi+20%SAC305)に係るはんだ組成物のせん断強度との比較を示す。Sn58Bi粉末へのSAC305粉末の添加は結果としてリフロー後に低いBiを含有する最終的な組成物となり、また高いせん断強度も示す。
図4a図4a-cは、本明細書で記載される複数のはんだ組成物の結晶構造を示す様々な顕微鏡写真を示す。図4aおよび4bは、それぞれSn45Bi合金およびSn58Bi合金のミクロ組織を示し、それぞれAlを添加している。いずれの場合も、アルミナ粉末は銅クーポン(copper coupon)上に印刷されたペースト用フラックスに添加された。Sn45BiおよびSn58Biの薄いプリフォームがフラックスの上に置かれた。ホットプレート上で185°Cで加熱され、大気中で冷却された。はんだ内へのアルミナ粒子の拡散に起因して、はんだのミクロ組織は界面近傍で著しく微細化される。
図4b図4a-cは、本明細書で記載される複数のはんだ組成物の結晶構造を示す様々な顕微鏡写真を示す。図4aおよび4bは、それぞれSn45Bi合金およびSn58Bi合金のミクロ組織を示し、それぞれAlを添加している。いずれの場合も、アルミナ粉末は銅クーポン上に印刷されたペースト用フラックスに添加された。Sn45BiおよびSn58Biの薄いプリフォームがフラックスの上に置かれた。ホットプレート上で185°Cで加熱され、大気中で冷却された。はんだ内へのアルミナ粒子の拡散に起因して、はんだのミクロ組織は界面近傍で著しく微細化される。
図4c図4cは、銅粒子を含むSn58Bi合金のミクロ組織を示す。図に示すように、銅粒子はSnBi合金母材内に均一に分散される。CuSn IMC層は粒子の表面で見られるが、粒子のバルクは純銅である。
図5a図5aおよび5bは、Sn45Biはんだ合金へのニッケルの添加を示す。図5aにおいて、Niは存在しない。図5bにおいては0.02Niが含まれ、これは著しい結晶粒微細化効果がある。
図5b図5aおよび5bは、Sn45Biはんだ合金へのニッケルの添加を示す。図5aにおいて、Niは存在しない。図5bにおいては0.02Niが含まれ、これは著しい結晶粒微細化効果がある。
図6a図6a、6bおよび6cは、Sn58Bi+22.4重量% SAC305(菱形)の混合物、Sn58Bi+22.4重量% SACX0307(四角)の混合物およびSn45Bi(三角)についての、温度サイクルの間における、せん断力(6a)、引張力(6b)および金属間化合物(IMC)の成長(6c)の変化を示す。温度サイクルの条件は、-40°Cから125°C、10分間の保持時間(またはドウェルタイム、dwell time)および1000サイクルであった。図6aおよび6bは、本発明のはんだのせん断力および引張力(鉛の引張抵抗)の値が、Sn45Biよりも温度サイクル後小さく低下することを示す。図6cは本発明のはんだについての温度サイクルの間のIMCの成長は、Sn45Biと比べてかなり低いことを示し、これは本発明のはんだについて断然優れたはんだ接合部の信頼性を示す。
図6b図6a、6bおよび6cは、Sn58Bi+22.4重量% SAC305(菱形)の混合物、Sn58Bi+22.4重量% SACX0307(四角)の混合物およびSn45Bi(三角)についての、温度サイクルの間における、せん断力(6a)、引張力(6b)および金属間化合物(IMC)の成長(6c)の変化を示す。温度サイクルの条件は、-40°Cから125°C、10分間の保持時間および1000サイクルであった。図6aおよび6bは、本発明のはんだのせん断力および引張力(鉛の引張抵抗)の値が、Sn45Biよりも温度サイクル後小さく低下することを示す。図6cは本発明のはんだについての温度サイクルの間のIMCの成長は、Sn45Biと比べてかなり低いことを示し、これは本発明のはんだについて断然優れたはんだ接合部の信頼性を示す。
図6c図6a、6bおよび6cは、Sn58Bi+22.4重量% SAC305(菱形)の混合物、Sn58Bi+22.4重量% SACX0307(四角)の混合物およびSn45Bi(三角)についての、温度サイクルの間における、せん断力(6a)、引張力(6b)および金属間化合物(IMC)の成長(6c)の変化を示す。温度サイクルの条件は、-40°Cから125°C、10分間の保持時間および1000サイクルであった。図6aおよび6bは、本発明のはんだのせん断力および引張力(鉛の引張抵抗)の値が、Sn45Biよりも温度サイクル後小さく低下することを示す。図6cは本発明のはんだについての温度サイクルの間のIMCの成長は、Sn45Biと比べてかなり低いことを示し、これは本発明のはんだについて断然優れたはんだ接合部の信頼性を示す。
図7図7は、Sn58Bi+SAC305(円)の混合物およびSn45Bi(四角)についての落下衝撃抵抗のデータを示す。Sn58Bi+SAC305の混合物の落下衝撃抵抗(故障までの平均落下回数:200.3)は、Sn45Biの落下衝撃抵抗(故障までの平均落下回数:167.2)よりも明らかに高い。
図8a図8aは合金:すなわち(左から右に)Sn58Bi(鋳造直後(または鋳放し、as cast))、Sn58Bi(鋳造後48時間)、Sn58Bi+1重量%のミクロンサイズのAg粒子の混合物(鋳造後48時間)、Sn58Bi+3重量%のミクロンサイズのAg粒子の混合物(鋳造後48時間)、Sn58Bi+Cu粒子で被覆された1重量%のミクロンサイズのAgの混合物(鋳造後48時間)、Sn58Bi+Cu粒子で被覆された3重量%のミクロンサイズのAgの混合物(鋳造後48時間)、およびSn58Bi+Cu粒子で被覆された5重量%のミクロンサイズのAgの混合物(鋳造後48時間)、についてのせん断強度値を示す。Agの添加は、経時変化の結果として失われたせん断強度を回復する(3重量%のAg粒子に対して14.6%の上昇)。
図8b図8bは、合金:すなわち(左から右に)Sn58Bi、Sn58Bi+1重量%のミクロンサイズのAg粒子の混合物、Sn58Bi+3重量%のミクロンサイズのAg粒子の混合物、Sn58Bi+5重量%のミクロンサイズのAg粒子の混合物、Sn58Bi+1重量%のナノメートルサイズのAg粒子の混合物、Sn58Bi+3重量%のナノメートルサイズのAg粒子の混合物、およびSn58Bi+5重量%のナノメートルサイズのAg粒子の混合物、についての硬度値を示す。3重量%のミクロンサイズのAg粒子の添加で、硬度は最大で25%増加する。
【0061】
本請求に係る組成物は、LEDアセンブリ、太陽光電池セルのタブ付けおよびストリング、半導体の後付けプロセス、ならびにダイアタッチメントを含む用途に役立つが、これに限定されるものではない。最終形態の要因は用途に依存するが、はんだはペースト、プリフォーム、膜およびワイヤーを含む任意の形態になることが可能であるが、これに限定されるものではなく、また洗浄可能なまたはノークリーンタイプのフラックス化学と組み合わせることが可能である。
【0062】
本開示またはそれについての好ましい実施形態の要素を引き合わせるとき、その冠詞“a”、“an”、“the”および“said”、1種以上の要素があることを意味することを意図している。“含む(comprising)”、“含む(including)”および“有する(having)”は、包括的であり、かつ記載された要素以外に追加的な要素があってもよいことを意味することを意図している。
【0063】
前述の詳細な説明は説明及び図面によって提供されており、添付の特許請求の範囲に限定することを意図していない。本明細書に記載される現在の好ましい実施形態における多くのバリエーションが当業者間での通常の技術の1つであることは明らかであり、添付の特許請求の範囲およびそれらと同等の範囲内のままである。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
第1粉末成分と第2粉末成分とのブレンドを含み、前記第1粉末成分が第1はんだ合金であり、前記第2粉末成分が第2はんだ合金、または金属である、はんだ組成物。
(態様2)
前記はんだ組成物が不可避的不純物を伴い、前記第1粉末成分と前記第2粉末成分とのブレンドから成る、態様1に記載のはんだ組成物。
(態様3)
前記はんだ組成物が鉛フリーである、態様1または2に記載のはんだ組成物。
(態様4)
前記第1および第2はんだ合金が少なくとも1つの共通の元素を含む、態様1~3のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様5)
前記少なくとも1つの共通の元素が錫である、態様4に記載のはんだ組成物。
(態様6)
前記第1および第2はんだ合金が異なる融点を有する、態様1~5のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様7)
前記融点が少なくとも5°C異なる、態様6に記載のはんだ組成物。
(態様8)
前記第1粉末成分が前記はんだ組成物の約80重量%を形成し、かつ42Sn58Biであり、また前記第2粉末成分が前記はんだ組成物の約20重量%を形成し、かつSAC305(96.5%Sn、0.5%Cu、3%Ag)である、態様1~7のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様9)
前記金属が、Cu、Ag、Al、Au、Cr、In、Sb、Sc、Y、Zn、Ce、Co、Ge、Mn、NiおよびTi、または希土類元素から選択される1つの元素である、態様1~3のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様10)
前記金属の粒子が
(i)1nmから100ミクロン、または
(ii)10nmから100ミクロン、または
(iii)100ミクロンから1000ミクロン
の範囲である、態様9に記載のはんだ組成物。
(態様11)
前記第1および第2はんだ合金が、同じような融点を有し、かつ混じり合わない、態様1~3のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様12)
前記第1および第2はんだ合金の前記融点が10°C以内である、態様11に記載のはんだ組成物。
(態様13)
前記第1はんだ合金の熱膨張係数が正であり、前記第2はんだ合金の熱膨張係数が負である、態様11または態様12のはんだ組成物。
(態様14)
前記第2粉末成分が非反応性の被覆層を有する、態様11~13のいずれかのはんだ組成物。
(態様15)
炭化物、窒化物、酸化物またはカーボンナノチューブから選択され、好ましくはAl 、SiO 、TiO、NiOおよびカーボンナノチューブから選択される、更なる粉末成分をさらに含む、態様1~14のいずれかに記載のはんだ組成物。
(態様16)
第1粉末成分と第2粉末成分とのブレンドを含み、前記第1粉末成分が第1はんだ合金であり、前記第2粉末成分が炭化物、窒化物、酸化物またはカーボンナノチューブから選択され、好ましくはAl 、SiO 、TiO、NiOおよびカーボンナノチューブから選択される、はんだ組成物。
(態様17)
態様1~16のいずれか1項のはんだ組成物を含む、はんだ付け可能なペースト、フィルム、ストリップ、箔、ワイヤー、プリフォームまたは球。
(態様18)
第1粉末成分を第2粉末成分と混合する工程を含む、態様1~16のいずれかのはんだ組成物を形成する方法。
(態様19)
前記第1粉末成分がペーストの形態であり、前記第2粉末成分がプリフォーム、ストリップ、スリーブ、ディスク、球またはワイヤーの形態である、態様18に記載の方法。
(態様20)
態様1~16のいずれか1項に記載の組成物または態様17に記載のはんだ付け可能なペーストの、はんだ付け方法での使用。
(態様21)
態様1~16のいずれか1項に記載の組成物または態様17に記載のはんだ付け可能なペーストの、はんだ接合部を形成するための使用。
(態様22)
態様1~16のいずれかに記載の組成物を含むはんだ接合部。
(態様23)
第1成分と第2成分とのブレンドを含み、前記第1成分が第1はんだ合金であり、前記第2成分が第2はんだ合金または金属である、はんだ組成物。
(態様24)
ペーストの形態の前記第1成分と、粉末、ペースト、ストリップ、箔、球、ディスクまたはプリフォームの形態の前記第2粉末成分を混合する工程を含む、態様23に記載のはんだ組成物を形成する方法。
(態様25)
(i)接合される2つ以上のワークピースを提供する工程と、
(ii)第1リフロー温度を有する第1はんだ成分を提供する工程と、
(iii)前記第1リフロー温度よりも高温である第2リフロー温度を有する第2はんだ成分を提供する工程と、
(iv)接合される前記ワークピースの近傍で前記第1および第2はんだ成分を加熱する工程であって、前記第1のリフロー温度またはそれよりも高い温度で、かつ前記第2のリフロー温度よりも低い温度で実施される加熱する工程と、
を含むはんだ接合を形成する方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7
図8a
図8b