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特許7135186樹脂供給装置、樹脂成形システム、及び、樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】樹脂供給装置、樹脂成形システム、及び、樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20220905BHJP
   B29C 31/00 20060101ALI20220905BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20220905BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20220905BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C31/00
B29C45/02
B29C45/76
H01L21/56 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021150276
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-504697(JP,A)
【文献】特開平10-113929(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132439(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 31/00-31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の複数の樹脂材料の貯留が可能な複数の樹脂貯留部と、
複数の前記樹脂貯留部のそれぞれに対応して配置され、前記樹脂貯留部に貯留されている前記樹脂材料を受け取り、向きを揃えて送り出す樹脂搬送機構と、
複数の前記樹脂搬送機構のそれぞれに対応して配置され、複数の前記樹脂搬送機構から受け入れた前記樹脂材料を直線状に並ぶ整列状態で保持するフィードガイド部と、
複数の前記フィードガイド部のそれぞれから前記樹脂材料を受け入れる複数の受給ポジションと、受け入れた前記樹脂材料を送り出す共通の送出ポジションとの間で移動可能なシフトガイド部と、
前記送出ポジションにおいて、前記シフトガイド部に受け入れた複数の前記樹脂材料を送出口に向けて送り出す送出機構と、を備え
前記シフトガイド部の前記送出ポジションは、複数の前記受給ポジションのいずれとも異なる位置である樹脂供給装置。
【請求項2】
柱状の複数の樹脂材料の貯留が可能な複数の樹脂貯留部と、
複数の前記樹脂貯留部のそれぞれに対応して配置され、前記樹脂貯留部に貯留されている前記樹脂材料を受け取り、向きを揃えて送り出す樹脂搬送機構と、
複数の前記樹脂搬送機構のそれぞれに対応して配置され、複数の前記樹脂搬送機構から受け入れた前記樹脂材料を直線状に並ぶ整列状態で保持するフィードガイド部と、
複数の前記フィードガイド部のそれぞれから前記樹脂材料を受け入れる複数の受給ポジションと、受け入れた前記樹脂材料を送り出す共通の送出ポジションとの間で移動可能なシフトガイド部と、
前記送出ポジションにおいて、前記シフトガイド部に受け入れた複数の前記樹脂材料を送出口に向けて送り出す送出機構と、を備え、
前記送出機構の作動により、前記送出ポジションにある前記シフトガイド部から送り出された前記樹脂材料を受け取るエンドガイド部と、前記シフトガイド部と前記エンドガイド部との間に配置され、前記シフトガイド部から送り出された前記樹脂材料を前記エンドガイド部に中継する中継ガイド部とを備え、
前記中継ガイド部は、前記シフトガイド部から送り出された前記樹脂材料を前記エンドガイド部に中継する中継位置と、前記シフトガイド部から送り出された前記樹脂材料を前記シフトガイド部の送り出し側の端部から落下させる待避位置とに変更可能に構成されている樹脂供給装置。
【請求項3】
前記受給ポジションと前記送出ポジションとの間での移動を可能にする作動機構と、
前記送出機構と前記作動機構とを少なくとも制御する制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
前記シフトガイド部を前記受給ポジションに移動させて、前記フィードガイド部からの前記樹脂材料を受け入れ、この受け入れの後に前記シフトガイド部を前記送出ポジションに移動させるように前記作動機構を制御し、
前記シフトガイド部が前記送出ポジションにある状況において、前記樹脂材料を前記送出口から送り出すように前記送出機構を制御する請求項1又は2に記載の樹脂供給装置。
【請求項4】
前記フィードガイド部は、前記樹脂材料を送り出す側の端部に、前記樹脂材料の送り出しを阻止するストッパを備え、
前記ストッパは、前記樹脂材料の送り出しを阻止する通過阻止位置と、前記樹脂材料の送り出しを許容する通過許容位置とに切り換え可能に構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項5】
前記フィードガイド部は、前記樹脂材料を送り出す端部に、前記樹脂材料の有無を判定する到達確認センサを備えている請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項6】
前記シフトガイド部で受け入れた前記樹脂材料の数が予め定められた値に達したことを判定する判定センサユニットを備えている請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項7】
前記フィードガイド部の状態を変更可能なアクチュエータを備え、
前記アクチュエータは、前記フィードガイド部内の前記樹脂材料が整列方向に沿う状態と、前記フィードガイド部内の前記樹脂材料が前記フィードガイド部外に落下可能な状態とに変更する請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂供給装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂供給装置と、前記樹脂供給装置から供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形する樹脂成形装置とを備えている樹脂成形システム。
【請求項9】
前記樹脂供給装置からの前記樹脂材料を前記樹脂成形装置に送る搬送経路をさらに備えている請求項8に記載の樹脂成形システム。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂供給装置から前記樹脂材料が供給される供給工程と、
前記供給工程で供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形を行う樹脂成形工程とを含む樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂供給装置、樹脂成形システム、及び、樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される装置は、供給フィード装置のペレットが、連続して切込み及び選択装置に搬送され、該切り込み及び選択装置において完全に円筒でないペレット及び破片は除去され、選別されたペレットだけがホースによって制動装置に搬送される。この特許文献1には、比較的高速で搬送されるペレットが制動装置において減速され、ペレット分離装置の一部を形成するバッファに送られ、搬送装置の動作と同期してチップを担持しているリードフレームをカプセル化する成形装置に送られる点が記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載の装置は、リードフレームを形成する成形装置に対してペレットを調量して搬送し、最終的には鋳型にペレットを供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平8-504697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、半導体チップを担持するリードフレームを金型のキャビティに収容し、樹脂で封止(特許文献1では、カプセル化)する封止工程は、繰り返して行われる。この工程を長時間に亘って継続するために、必要量のペレット(以下、タブレットと称することもある)を継続して供給することが求められる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるように樹脂材料を貯留するホッパが単一である樹脂供給装置では、ホッパ内の樹脂材料がなくなると、装置を一旦停止し、手作業で樹脂材料をホッパに補給していた。また、この樹脂供給装置では、成形品の品種切換に伴い、樹脂材料を切り換える場合には、装置を一旦停止し装置内に残る樹脂材料を排出した後に、切替後の樹脂材料をホッパに供給する作業を手作業で行っていた。このように従来技術では、長時間の継続的な稼働が困難であった。
【0007】
このような理由から、長時間の継続的な稼働が可能な樹脂供給装置、樹脂成形システム、樹脂成形品の製造方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂供給装置の特徴構成は、柱状の複数の樹脂材料の貯留が可能な複数の樹脂貯留部と、複数の前記樹脂貯留部のそれぞれに対応して配置され、前記樹脂貯留部に貯留されている前記樹脂材料を受け取り、向きを揃えて送り出す樹脂搬送機構と、複数の前記樹脂搬送機構のそれぞれに対応して配置され、複数の前記樹脂搬送機構から受け入れた前記樹脂材料を直線状に並ぶ整列状態で保持するフィードガイド部と、複数の前記フィードガイド部のそれぞれから前記樹脂材料を受け入れる複数の受給ポジションと、受け入れた前記樹脂材料を送り出す共通の送出ポジションとの間で移動可能なシフトガイド部と、前記送出ポジションにおいて、前記シフトガイド部に受け入れた複数の前記樹脂材料を送出口に向けて送り出す送出機構と、を備え、前記シフトガイド部の前記送出ポジションは、複数の前記受給ポジションのいずれとも異なる位置である点にある。
【0009】
本発明に係る樹脂成形システムの特徴構成は、上記構成の樹脂供給装置と、前記樹脂供給装置から供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形する樹脂成形装置とを備えている点にある。
【0010】
本発明に係る樹脂成形品の製造方法の特徴構成は、上記の樹脂供給装置から前記樹脂材料が供給される供給工程と、前記供給工程で供給された前記樹脂材料を用いて樹脂成形を行う樹脂成形品の製造工程とを含む点にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、樹脂材料の補給頻度の低減が可能な樹脂供給装置、樹脂材料の補給頻度の低減が可能な樹脂成形システム、樹脂材料の補給頻度の低減が可能な樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タブレットストッカの構成を示す平面図である。
図2】樹脂成形装置の横断平面図である。
図3】ホッパとベルトコンベアと整列フィーダとの縦断側面図である。
図4】ベルトコンベアの終端位置の構造を示す斜視図である。
図5】フィードガイド部の平面図である。
図6】フィードガイド部の正面図である。
図7】フィードガイド部の側面図である。
図8】廃棄姿勢に切り換えられたフィードレールを示す図である。
図9】シフトガイド部とプッシャとの配置を示す平面図である。
図10】ポジションセンサの位置関係を示す図である。
図11】シフトガイド部とプッシャとの配置を示す側面図である。
図12】中継位置にある中継ガイド部とプッシャとを示す図である。
図13】待避位置にある中継ガイド部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、タブレットストッカA(樹脂供給装置の一例)は、ケース1により覆われる。このタブレットストッカAは、2つのホッパ2(樹脂貯留部の一例)と、2つのベルトコンベア3と、2つの整列フィーダ4(樹脂搬送機構の一例)と、2つのフィードガイド部5と、1つのシフトガイド部6とを、ケース1内に収容して構成される。タブレットストッカAは、更に、プッシャ7(送出機構の一例)と、中継ガイド部8と、エンドガイド部9と、制御ユニット10と、ダストコレクタ11とを、ケース1内に収容して構成される。なお、制御ユニット10は、タブレットストッカAの作動を制御するものであり、ケース1の外部に配置されても構わない。
【0014】
2つのホッパ2は、円柱状の多数のタブレットT(樹脂材料の一例)を貯留できるように構成されている。また、タブレットストッカAは、ホッパ2に貯留されているタブレットTを送り出す場合には、2つのホッパ2のうちの少なくとも一方のベルトコンベア3と、これに対応する整列フィーダ4とを作動させる。この作動を行うことにより、円柱状のタブレットTは、整列フィーダ4からフィードガイド部5に送り出され、フィードガイド部5において同軸心状で直線状に並ぶ状態で保持される。
【0015】
シフトガイド部6は、フィードガイド部5におけるタブレットTの搬送方向と直交す方向となるシフト方向Fに往復するシフト作動が可能になるように構成されている。
【0016】
タブレットストッカAは、タブレットTを外部に送り出す場合には、まずシフトガイド部6を図1に示す受給ポジションPxに設定し、フィードガイド部5から設定数のタブレットTを整列状態でシフトガイド部6に受け渡す。次に、タブレットストッカAは、シフトガイド部6を送出ポジションPyに移動させる。この後に、タブレットストッカAは、プッシャ7を作動させて、予め定められた数のタブレットTを、中継ガイド部8、エンドガイド部9のそれぞれを通過させ、エンドガイド部9の端部の送出口12から外部に送り出すことになる。
【0017】
タブレットストッカAは、送出口12の外端に柔軟な樹脂製のチューブで形成される搬送経路13が接続されている。搬送経路13に送り出された複数のタブレットTは、負圧による吸引力によって樹脂成形装置Bに供給される。このようにタブレットTを送り出す制御は制御ユニット10が行うものである。この制御ユニット10は、一方のホッパ2に貯留されているタブレットTが消費され尽くしたことを判定した場合に、他方のホッパ2に貯留されているタブレットTを送り出す制御に移行することができる。
【0018】
制御ユニット10は、タブレットストッカAの各部の制御を予め設定されたプログラムに従って行うためマイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等とメモリ、あるいは、情報のアクセスに必要なインタフェースを備えている。
【0019】
ダストコレクタ11は、ホッパ2の下部や、整列フィーダ4において発生するタブレットTの砕片や、塵埃を空気の流れにより収集する集塵機能を有している。この収集を可能にするため、ケース1の内部には、ホッパ2の下部や整列フィーダ4に連通する複数のダクト(図示せず)を備える。さらに、ケース1の内部には、ダストコレクタ11は空気を吸引するファンと、タブレットTの砕片や塵埃を取り除くフィルタ(何れも図示せず)とを備えている。
【0020】
この実施形態ではフィードガイド部5と、シフトガイド部6とにおいてタブレットTを搬送する方向でホッパ2に近い側を「上流」と称し、ホッパ2から遠い側を「下流」と称する。
【0021】
〔樹脂成形システム/樹脂成形品の製造方法〕
タブレットストッカA(樹脂供給装置の一例)と、タブレットストッカAから供給されるタブレットT(樹脂材料)を用いて樹脂成形を行う樹脂成形装置Bとを含んで、樹脂成形システムRSが構成される。
【0022】
また、樹脂成形品の製造方法は、タブレットストッカAにおいてタブレットT(樹脂材料)を供給する供給工程と、この供給工程で供給されたタブレットTの樹脂を用い樹脂成形装置Bにおいて成形する樹脂成形工程とを含むと表現できる。
【0023】
タブレットストッカAは、制御ユニット10の制御により、例えば、以下に説明する連続供給モードと、選択供給モードとでの作動を行うことができる。
連続供給モードは、樹脂成形装置Bで同一品種の樹脂成形品を大量に成形する場合に適した供給モードである。連続供給モードにおいて、タブレットストッカAは、まず2つのホッパ2に同一の樹脂材料のタブレットTが貯留された状態とされ、一方のホッパ2に貯留されたタブレットTを送出口12から整列状態で送り出す作動を継続的に行う。タブレットストッカAは、この作動により一方のホッパ2に貯留されたタブレットTを消費し尽くしたことを判定した場合に、他方のホッパ2に切り換えて貯留されたタブレットTを送出口12から整列状態で送り出すように制御される。
【0024】
選択供給モードは、樹脂成形装置Bで複数の品種の樹脂成形品を成形する場合に適した供給モードである。選択供給モードにおいて、タブレットストッカAは、まず2つのホッパ2のそれぞれに異なる樹脂材料のタブレットTが貯留された状態とされ、一方のホッパ2のタブレットTを送出口12から整列状態で送り出す作動を行う。タブレットストッカAは、樹脂成形装置Bでの樹脂成形品の品種切換に関する情報又はタブレットTの種類切換に関する情報を受け取ると、他方のホッパ2に切り換えて貯留されているタブレットTを送出口12から整列状態で送り出すように制御される。
【0025】
このように制御ユニット10は、連続供給モードでの制御と、選択供給モードでの制御との一方を選択して行えるように構成されている。
【0026】
〔基本構成:樹脂成形装置〕
図2に示すように、樹脂成形装置Bは、単一のインロードモジュールM1と、2つの成形モジュールM2と、単一のアウトロードモジュールM3とを、モジュールケース21に収容している。前述したタブレットストッカAは、クリーンルーム外に設置されるものであり、この樹脂成形装置Bは、クリーンルーム内に設置される。
ここで、樹脂成形装置Bがクリーンルーム又はクリーンブース等の清浄なスペースの内部に設置される場合、タブレットストッカAは、共通の清浄なスペース内部に設置されても良いし、清浄なスペースの外部に設置されても良い。ただし、タブレットTによる汚染、オペレータによる樹脂材料補給作業による汚染等を考慮すれば、タブレットストッカAは、樹脂成形装置Bが設置される清浄なスペースの外部に設置されることが好ましい。
【0027】
インロードモジュールM1は、半導体チップ(電子素子の一例)が接続されたリードフレーム22(支持体の一例)を一時的に保持するフレーム保持部23と、このフレーム保持部23に対し樹脂成形装置Bの外部からリードフレーム22を供給する供給搬送部23aを備えている。また、このインロードモジュールM1は、搬送経路13によって搬送された複数のタブレットTを一時的に保持するタブレット保持部24を備えている。なお、支持体としては、リードフレーム22以外に、プリント配線基板、樹脂製基板等の基板が挙げられる。また、支持体に接続される電子素子としては、半導体チップ以外に、抵抗素子、キャパシタ素子等の素子が挙げられる。また、半導体チップが接続されたリードフレーム22は、樹脂成形装置Bにより成形される成形対象物の一例となる。
【0028】
2つの成形モジュールM2は、半導体チップを樹脂により封止する成形型25を備えている。
【0029】
アウトロードモジュールM3は、半導体チップが樹脂封止されたリードフレーム22である樹脂成形品26を一時的に保持するテーブル27を備えている。このアウトロードモジュールM3は、テーブル27に保持された樹脂成形品26のうち、カル、ランナ等の不要樹脂を除去するディゲート部(図示せず)を備えている。樹脂成形品26は、このディゲート部で不要樹脂が除去されてから、搬出経路27aから樹脂成形装置Bの外部に搬出される。
【0030】
更に、樹脂成形装置Bは、供給側ピックアップ部28aと、取出側ピックアップ部28bと、直線ガイド28とを備えている。供給側ピックアップ部28aは、樹脂成形前のリードフレーム22を搬送するのに用いられる。取出側ピックアップ部28bは、樹脂成形後の樹脂成形品26を搬送するのに用いられる。直線ガイド28は、インロードモジュールM1からアウトロードモジュールM3に亘る領域に配置され、これらの間で供給側ピックアップ部28a及び取出側ピックアップ部28bを移動可能とする。
【0031】
樹脂成形装置Bは、供給側ピックアップ部28aの作動により、フレーム保持部23のリードフレーム22を成形型25の内部(上型と下型の間)に供給すると共に、タブレット保持部24のタブレットTを成形型25のポットに供給する。この後、ポット内のタブレットT(樹脂材料)は、加熱によって溶融される。溶融状態の樹脂材料は、トランスファ機構(図示せず)の加圧によりプランジャ(図示せず)が上昇して、成形型25のキャビティに供給される。キャビティに供給された樹脂材料が熱硬化して、半導体チップが封止される。なお、この成形はトランスファ成形と称されるものである。
【0032】
このように説明した、樹脂成形装置Bの構成、成形のための作動は一例であり、樹脂成形装置Bの構成は、図2に示されるものに限るものではない。また、タブレットストッカA(樹脂供給装置)は、タブレットTを、他の構成、異なる作動を行う樹脂成形装置Bに供給するために用いても良い。
【0033】
〔ベルトコンベアと整列フィーダ〕
ここから、タブレットストッカAの詳細について説明する。図3図4に示すように、タブレットストッカAのベルトコンベア3は、コンベアモータ3aで駆動される駆動プーリ3bと、複数の従動プーリ3cと、これらの従動プーリ3cで案内される搬送ベルト3dとを有している。このベルトコンベア3は、ホッパ2から送り出されるタブレットTを水平方向に搬送し、搬送終端において整列フィーダ4に落下供給する。
【0034】
図4に示すように、搬送ベルト3dの表面には、直線状に突出する複数の突出部3daが一定の間隔を空けて形成されている。搬送ベルト3dの両側方には、一対のガイドプレート3eが配置されている。
【0035】
整列フィーダ4は、振動部4aと、整列部4bと、送出部4cとを備えている。振動部4aは、整列部4bの下方に配置されて、整列部4bを振動させることができる。整列部4bは、振動部4aから伝えられる振動によりタブレットTを搬送することができ、向きを揃えてタブレットTを整列させるように平面視で螺旋状のガイド部が形成されている。送出部4cは、整列部4bで整列されたタブレットTを送り出す。
【0036】
この整列フィーダ4は、複数のタブレットTを整列状態で送出部4cから送り出して、フィードガイド部5の搬送上流側から供給する。
【0037】
〔タブレットの搬送構成:フィードガイド部〕
図5図8に示すように、2つのフィードガイド部5は、互いに平行となるように配置されている。それぞれのフィードガイド部5は、複数のタブレットTを搬送するフィードレール5aと、移動方向の下流側の端部に配置した下流ストッパ5b(ストッパの一例)と、タブレットTの移動方向の下流側の端部位置におけるタブレットTの有無を判定する到達確認センサ5Sとを備えている。
【0038】
フィードレール5aは、複数のタブレットTを整列状態で搬送できるように直線状で幅方向の中央に溝を形成したレール状に構成されている。尚、図5図6には2つのフィードレール5aに、タブレットTが保持された状態を示しているが、これらの図はタブレットTが保持される位置を理解するためにタブレットTを示したものである。しかし、通常のタブレットTを供給する作動時には、2つのホッパ2のうちの一方に貯留されているタブレットTを継続的に搬送する制御が行われるため、2つのフィードレール5aの一方にだけタブレットTが保持されることになる。ただし、樹脂材料を供給するホッパ2を一方のホッパ2から他方のホッパ2に切り換える場合には、図5図6に示す状態となっても構わない。
【0039】
2つのフィードガイド部5に対応して、複数の支柱31をケース1の底壁1aに立設して備える。フレーム体32をフィードガイド部5の長手方向に沿って備えている。それぞれのフィードレール5aは、フレーム体32に備えたブラケット33に対して回転支軸34を中心に回転可能に支持されている。
【0040】
2つのフィードレール5aは、タブレットTを保持する保持領域の重力方向と反対側(図6図7で上側)を開放する構造である。回転支軸34は、2つのフィードガイド部5のそれぞれにおいて、タブレットTの搬送方向に沿って回転軸心Xと同軸心状に配置されている。この回転軸心Xを中心にフィードレール5aを回転させるため、流体圧式の回転用シリンダ35(アクチュエータの一例)を備えている。
【0041】
図8に示すように、2つのフィードレール5aのそれぞれは、長孔5acが形成されたリンク部材5abが連結されている。リンク部材5abの長孔5acには、回転用シリンダ35のピストンロッド35aの先端部に設けられた連結ピン35abが挿入されている。2つのフィードレール5aは、回転用シリンダ35のピストンロッド35aが後退した状態においては、図6に示す搬送状態に維持される。これに対し、回転用シリンダ35のピストンロッド35aが前進することにより、2つのフィードレール5aは、回転支軸34を中心に回転して図8に示す廃棄状態に切り換えられる。
【0042】
フィードレール5aを図8に示す廃棄状態に切り換えることにより、フィードレール5aに保持されているタブレットTが自重で落下する。このように落下するタブレットTを受け止めて案内する前部シュート36が、フィードレール5aの近傍に配置されている。更に、前部シュート36からのタブレットTを回収する前部回収ケース37が前部シュート36の下側で、ケース1の底壁1aに支持されるように配置されている。
【0043】
図6図7に示すように、下流ストッパ5bは、フィードレール5aの下流位置の上側に配置した切換アクチュエータ5cで駆動される。この切換アクチュエータ5cは、ステー38を介してフレーム体32に支持されている。この下流ストッパ5bは、切換アクチュエータ5cの駆動により、下側に突出してタブレットTの送り出しを阻止する通過阻止位置と、上側に待避してタブレットTの送り出しを許容する通過許容位置とに切り換えられる。
【0044】
到達確認センサ5Sは、下流ストッパ5bに接触するタブレットTを検出できる位置に配置された発光素子と受光素子とで成る一対の素子Saで構成されている。具体的な構成として、フィードレール5aには、発光素子の光線を通過させる貫通孔が設けられ、受光素子で該光線を受光することができる。到達確認センサ5Sは、光線が遮断された場合にタブレットTが存在を検知することになる。
【0045】
〔タブレットの搬送構成:シフトガイド部〕
図9に示すように、シフトガイド部6は、2つのフィードガイド部5におけるタブレットTの移動方向に直交するシフト方向Fに往復移動するシフト作動を行うと共に、タブレットTの移動方向(シフトレール6aの長手方向)に沿う調整作動を行う。このシフト作動と調整作動とを行う機構を作動機構Cと称する。シフトガイド部6は、複数のタブレットTを受け止めるように幅方向の中央に溝を形成したレール状で直線状のシフトレール6aを有している。シフトレール6aは、シフト作動により、2つのフィードガイド部5のそれぞれからタブレットTを受給可能(受け取り可能)な2箇所の受給ポジションPxの間で移動可能である。
【0046】
図9図10に示すように、シフトガイド部6は、2つのフィードガイド部5の下流端の近傍位置に、ポジションセンサPSを備えている。このポジションセンサPSは、フィードレール5aとシフトレール6aとにまたがる位置にタブレットTが存在するか否かを検知するためのセンサである。フィードレール5aとシフトレール6aとにまたがるタブレットTが存在する状態で、シフトレール6aがシフト作動するとタブレットTにせん断力が働き破損するおそれがある。このような不具合を回避するために、ポジションセンサPSを設けている。なお、ポジションセンサPSは、支持部材39に発光素子と受光素子との一対の素子Saが取り付けられて構成されている。
【0047】
図9図11に示すように、作動機構Cは、リニアガイド41と、スライドフレーム42と、リニアアクチュエータ43と、調整用シリンダ44とで構成されている。
【0048】
リニアガイド41は、ケース1の底部位置に、前述したシフト方向Fに長手方向が沿うように配置されている。スライドフレーム42は、リニアガイド41に沿って移動可能となるように構成されている。リニアアクチュエータ43は、リニアガイド41に沿ってスライドフレーム42を作動させる電動型のアクチュエータである。調整用シリンダ44は、調整作動の方向にシフトレール6aを作動させる流体圧式シリンダである。尚、この調整用シリンダ44によって作動する部位にシフトレール6aが支持されている。
【0049】
シフトレール6aは、前述したシフト作動により一対のフィードガイド部5からタブレットTが受け渡される2箇所の受給ポジションPxと、2箇所の受給ポジションPxの中間でタブレットTを送り出す送出ポジションPyとの何れかのポジションに設定される。更に、前述したシフトレール6aの調整作動は、フィードレール5aとシフトレール6aとにまたがるタブレットTが存在する状態を解消するためである。これにより、この調整作動は、ポジションセンサPSと同様にタブレットTにせん断力が働き破損することを防止する。調整用シリンダ44によるシフトレール6aの調整作動後に、2つのレールにまたがったタブレットTをポジションセンサPSが検知したとき、エラー処理を行う。エラー処理とは、タブレットストッカAの作動を停止し、エラーが発生したことをオペレータに知らせる。具体的にエラーを知らせる方法としては、アラーム音を発生させたり、モニターにエラーを表示させたりすることが考えられる。
【0050】
シフトガイド部6は、タブレットTの供給方向の下流側位置において、下側から上側に突出することによりタブレットTの移動を規制し、下側に待避することによりタブレットTの移動を許容する規制体6bを備えている。この規制体6bは、流体圧式の規制用シリンダ6cによって進退作動するものであり、この規制用シリンダ6cをシフトレール6aと一体的に移動する部材に備えている。
【0051】
特に、この規制体6bを、規制位置に設定してタブレットTの移動を規制すると共に、移動が規制された位置のタブレットTを基準にして、シフトレール6aの上流端に亘る領域にタブレットTを受け入れることにより、予め設定された数のタブレットTをシフトレール6aに保持させるように機能する。
【0052】
更に、シフトガイド部6は、予め設定された数のタブレットTが供給されたことを判定する判定センサユニットSUを備えている。この判定センサユニットSUは、第1センサSU1と、第2センサSU2とを備える。第1センサSU1は、規制体6bで移動が規制された位置にあるタブレットTであって、シフトガイド部6に供給された複数のタブレットTのうち最も下流側にあるタブレットTを検知する。第2センサSU2は、シフトガイド部6に供給された複数のタブレットTのうち、最も上流端にあるタブレットTを検知する。これら第1センサSU1及び第2センサSU2によるタブレットTの検知により、シフトガイド部6に予め定められた数のタブレットTが保持されていることを判定できる。
【0053】
第1センサSU1と第2センサSU2とは、シフトレール6aと一体的に移動する部材に備えられるものであり、シフトレール6aの長手方向に対し垂直方向に貫通する孔部に光線を通過させる発光素子と受光素子との一対の素子Saが用いられている。
【0054】
このような構成から、リニアアクチュエータ43の作動により、シフトガイド部6が、2箇所の受給ポジションPxと送出ポジションPyとのいずれかのポジションに設定される。受給ポジションPxは、一対のフィードガイド部5の搬送方向での延長上の位置となる。送出ポジションPyは、2箇所の受給ポジションPxの中間でタブレットTを送り出す位置となる。
【0055】
特に、受給ポジションPxにおいてフィードガイド部5から予め設定された数のタブレットTがシフトガイド部6に供給される。この後、送出ポジションPyに移動する際に、フィードレール5aとシフトレール6aとにまたがるタブレットTが存在する状態を解消するため、制御ユニット10はこれらの間隔を拡大するように調整用シリンダ44を制御する。
【0056】
尚、脱落阻止板14は一対のフィードレール5aの下流端に近接し、シフトガイド部6が移動する方向に沿うように配置されている。これは、シフトガイド部6が受給ポジションPxから送出ポジションPyに移動する際にシフトレール6aの上流端にあるタブレットTの脱落を抑制するためである。
【0057】
〔タブレットの搬送構成:エンドガイド部〕
図9図11に示すように、中継ガイド部8とエンドガイド部9とは、送出ポジションPyに配置されたシフトガイド部6の下流端に、タブレットTの搬送方向に沿って直線状に配置される。中継ガイド部8とエンドガイド部9とは、タブレットTの通過が可能な筒状材で構成されている。また、エンドガイド部9の下流端の端部が送出口12となる。
【0058】
図12図13に示すように、ケース1の内部には、縦長の縦フレーム51が備えられている。この縦フレーム51に縦向きの流体圧式のリフト用シリンダ52を備え、このリフト用シリンダ52のピストンロッド52aに中継ガイド部8が支持されている。
【0059】
リフト用シリンダ52のピストンロッド52aを後退させることにより、中継ガイド部8は、図11図12に示す中継位置に設定される。ここで、中継位置とは、シフトガイド部6とエンドガイド部9を中継する位置である。このように中継ガイド部8が中継位置に設定されることにより、タブレットTは、シフトガイド部6からプッシャ7により送り出された後、中継ガイド部8を介してエンドガイド部9に供給される。プッシャ7の構成については後述する。
【0060】
また、リフト用シリンダ52のピストンロッド52aを前進させることにより、中継ガイド部8は、中継位置を基準に上側に移動し、図13に示す待避位置に設定される。このように待避位置に設定されることにより、タブレットTは、プッシャ7によりシフトガイド部6から送り出された後、エンドガイド部9に供給されずにシフトガイド部6の下流端から落下する。
【0061】
中継ガイド部8が、シフトガイド部6とエンドガイド部9との間の位置に配置される。リフト用シリンダ52の作動により、中継ガイド部8は中継位置と待避位置との何れかに設定される。中継ガイド部8が図13に示す待避位置に移動されることで、シフトガイド部6とエンドガイド部9と間で下側に排出開口Eが形成される。これにより、タブレットTはシフトガイド部6から排出開口Eへ排出可能となる。
【0062】
図11図12に示すように、ケース1の内部には、後部シュート53と、後部回収ケース54とが備えられている。後部シュート53は、中継ガイド部8が待避位置にあるとき、排出開口Eから落下するタブレットTをガイドする。後部回収ケース54は、この後部シュート53からタブレットTを回収するようにケース1の底壁1aに支持されている。
【0063】
図9図11図12に示すように、プッシャ7(送出機構)は、ガイドレール46と、このガイドレール46に沿って移動可能なスライダ47と、スライダ47と一体的に移動する接触部材48とを備える。更に、プッシャ7は、スライダ47をガイドレール46に沿って作動させる流体圧式のプッシュ用シリンダ49を備えている。プッシュ用シリンダ49は縦フレーム51に支持されている。
【0064】
図面には示していないが、接触部材48は、タブレットTに接触して圧力を作用させる部位に、スプリングやゴム等の緩衝部材が備えられている。シフトガイド部6に保持されたタブレットTは、スライダ47を作動させて接触部材48を移動させることにより、エンドガイド部9又は排出開口Eに送り出される。
【0065】
〔タブレットの搬送制御の概要〕
制御ユニット10は、ベルトコンベア3と、整列フィーダ4と、下流ストッパ5bの切換アクチュエータ5cと、作動機構Cと、規制体6bの規制用シリンダ6cと、プッシャ7のプッシュ用シリンダ49と、リフト用シリンダ52とを制御する制御信号を出力し、各部のセンサからの信号を入力する。
【0066】
尚、制御対象が流体圧式に構成されているものでは、流体を制御する電磁バルブを制御することで制御対象を作動させることになる。
【0067】
ホッパ2に貯留されたタブレットTを送出口12から送り出す搬送制御は、制御ユニット10が以下の制御を行うことで実現する。つまり、作動機構Cの制御により、シフトレール6aは、一対のフィードガイド部5のうちタブレットTが供給されるフィードガイド部5に対応する受給ポジションPxに配置される。
【0068】
また、制御ユニット10は、シフトレール6aの規制体6bを規制位置に設定し、フィードガイド部5の下流ストッパ5bを通過許容位置に設定する。その後、制御ユニット10は、調整用シリンダ44の作動により、シフトガイド部6の上流側の端部と、フィードガイド部5の下流側端部との間隔を短縮させる。
【0069】
この後に制御ユニット10が、一方のホッパ2に対応したベルトコンベア3を作動させ、これに対応した整列フィーダ4を作動させる。これらの作動により、一方のホッパ2に貯留されたタブレットTが、整列フィーダ4からフィードレール5aに送られ、更に、シフトレール6aに連続して供給される。
【0070】
また、制御ユニット10は、シフトレール6aに供給されたタブレットTの数が予め設定された値に達したことを、判定センサユニットSUで判定した場合に、フィードレール5aの下流ストッパ5bを通過阻止位置に配置する。
【0071】
このように下流ストッパ5bを通過阻止位置に配置することにより、タブレットTはフィードレール5aからシフトレール6aにそれ以上供給されなくなる。また、到達確認センサ5SがタブレットTを検知した場合には、制御ユニット10が、ベルトコンベア3と整列フィーダ4との作動を停止する。
【0072】
この後、制御ユニット10は、作動機構Cを制御して、調整用シリンダ44を作動させることにより、シフトレール6aの上流端の端部と、フィードレール5aの下流側の端部との間隔を拡大させ、シフトレール6aを送出ポジションPyに移動させる。
【0073】
制御ユニット10は、シフトレール6aが送出ポジションPyに設定された後に、規制体6bによる規制を解除し、プッシャ7の接触部材48を作動させる。この作動により、制御ユニット10は、シフトレール6aの複数のタブレットTを、中継位置にある中継ガイド部8と、エンドガイド部9とを順次通過させ、送出口12から送り出す制御を行う。このように送出口12から送り出された複数のタブレットTは、負圧の作用により搬送経路13を介して樹脂成形装置Bに供給される。
【0074】
このタブレットストッカAの整列フィーダ4には、ベルトコンベア3からタブレットTが供給されなくなったことを検出可能なセンサ(図示せず)が設けられている。このタブレットストッカAでは、このセンサでタブレットTを検出できない状況が予め設定された時間以上継続する場合、上流側のホッパ2のタブレットTが消費し尽くされたと判断できる。この後、タブレットストッカAは、他方のホッパ2からタブレットTを供給する制御に切り換える制御も可能に構成されている。
【0075】
〔廃棄部/廃棄作動〕
タブレットストッカAは、樹脂成形装置Bに供給するタブレットTの種類を切り換える場合や、メンテナンスを行う場合に、制御ユニット10はタブレットTを廃棄する制御を行う。
【0076】
制御ユニット10は、回転用シリンダ35の作動によりフィードレール5aに残されたタブレットTを廃棄する制御と、リフト用シリンダ52の作動とプッシュ用シリンダ49の作動によりシフトレール6aに残されたタブレットTを廃棄する制御との少なくとも一方の制御を行う。
【0077】
例えば、フィードレール5aに保持されているタブレットTを廃棄する場合には、制御ユニット10は、フィードレール5aを、図8に示す廃棄状態に切り換える制御を行う。この制御により、タブレットTは、前部シュート36を介して前部回収ケース37に回収される。これにより、フィードレール5aに残るタブレットTの廃棄が完了する。
【0078】
例えば、シフトレール6aに保持されているタブレットTを廃棄する場合には、制御ユニット10は、シフトレール6aを送出ポジションPyに設定し、リフト用シリンダ52の駆動力によって中継ガイド部8を図13に示す待避位置に移動させる。制御ユニット10は、プッシャ7のプッシュ用シリンダ49を作動させることで、接触部材48がシフトレール6aに存在するタブレットTを押し出し、後部シュート53を介して後部回収ケース54に回収させる。これにより、シフトレール6aに残るタブレットTの廃棄が完了する。
【0079】
ここで、制御ユニット10は、異なる樹脂材料のタブレットTを2つのホッパ2に各別に貯留し、樹脂材料の切換を行う場合に例えば以下のような制御を行う。制御ユニット10は、一方のホッパ2からタブレットTの供給を停止し、他方のホッパ2に貯留されているタブレットTを送出口12から送り出す選択供給モードでの制御を開始する。このとき、制御ユニット10は、一方のホッパ2から供給されたタブレットTがフィードレール5aまたはシフトレール6aに残留している場合、上述の通りタブレットTを廃棄する制御を行う。
【0080】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上述の実施形態において説明したタブレットストッカA(樹脂供給装置)、 樹脂成形システムRS、及び、樹脂成形品26の製造方法の概要を説明する。
【0081】
(1)樹脂供給装置Aの特徴構成は、柱状の複数のタブレットT(樹脂材料)の貯留が可能な複数のホッパ2(樹脂貯留部)と、複数のホッパ2のそれぞれに対応して配置され、ホッパ2に貯留されているタブレットTを受け取り、向きを揃えて送り出す整列フィーダ4(樹脂搬送機構)と、複数の整列フィーダ4のそれぞれに対応して配置され、複数の整列フィーダ4から受け入れたタブレットTを直線状に並ぶ整列状態で保持するフィードガイド部5と、複数のフィードガイド部5のそれぞれからタブレットTの受け入れる複数の受給ポジションPxと、受け入れたタブレットTを送り出す共通の送出ポジションPyとの間で移動可能なシフトガイド部6と、送出ポジションPyにおいて、シフトガイド部6に受け入れた複数のタブレットTを送出口12に向けて送り出すプッシャ7(送出機構)と、を備えた点にある。
【0082】
本構成によると、ホッパ2に貯留されているタブレットTを整列フィーダ4がフィードガイド部5に送り出し、このフィードガイド部5に複数のタブレットTを整列状態で保持できる。また、シフトガイド部6を、受給ポジションPxに配置することでフィードガイド部5に保持されているタブレットTをシフトガイド部6に受け入れ、この後に送出ポジションPyに移動し、受け入れたタブレットTをプッシャ7が送出口12から外部に送り出すことが可能となる。
【0083】
つまり、この樹脂供給装置Aは、複数のホッパ2に共通する樹脂のタブレットTを貯留し、1つのホッパ2のタブレットTを消費し尽くした後に、次の1つのホッパ2に貯留されているタブレットTの供給を開始する制御を行うことも可能である。このような制御を行うことにより長時間に亘って継続的にタブレットTが供給できる。
【0084】
(2)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、シフトガイド部6の、受給ポジションPxと送出ポジションPyとの間での移動を可能にする作動機構Cと、プッシャ7(送出機構)と作動機構Cとを少なくとも制御する制御ユニット10とを備え、制御ユニット10は、シフトガイド部6を受給ポジションPxに移動させて、フィードガイド部5からのタブレットTを受け入れ、この受け入れの後にシフトガイド部6を送出ポジションPyに移動させるように作動機構Cを制御し、シフトガイド部6が送出ポジションPyにある状況において、タブレットTを送出口12から送り出すようにプッシャ7を制御する制御ユニット10と、を備えても良い。
【0085】
これによると、制御ユニット10が、作動機構Cを制御することでシフトガイド部6を受給ポジションPxに配置して、フィードガイド部5に保持されているタブレットTを受け入れる制御を行う。このようにタブレットTを受け入れた後に、そのシフトガイド部6が送出ポジションPyに配置され、プッシャ7の作動により、シフトガイド部6の複数のタブレットTを送出口12から送り出す一連の作動を行う制御が可能となる。
【0086】
(3)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、フィードガイド部5は、タブレットTを送り出す側の端部に、タブレットTの送り出しを阻止する下流ストッパ5b(ストッパ)を備え、下流ストッパ5bは、タブレットTの送出を阻止する通過阻止位置と、タブレットTの送り出しを許容する通過許容位置とに切り換え可能な下流ストッパ5b(ストッパ)を備えても良い。
【0087】
これによると、シフトガイド部6を受給ポジションPxに配置して、フィードガイド部5に保持されているタブレットTを受け入れる場合には、下流ストッパ5bを通過許容位置に設定することにより、フィードガイド部5に保持されたタブレットTを連続的にシフトガイド部6に送り出すことが可能となる。また、このようにフィードガイド部5に対するタブレットTの送り出しが完了した後には、下流ストッパ5bを通過阻止位置に切り換えることにより、シフトガイド部6を送出ポジションPyに移動させた後に、フィードガイド部5に保持されているタブレットTが、送出側の端部位置から脱落する現象を下流ストッパ5bで阻止できる。
【0088】
(4)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、フィードガイド部5は、タブレットTを送り出す端部に、タブレットTの有無を判定する到達確認センサ5Sを備えても良い。
【0089】
これによると、整列フィーダ4から受け入れたタブレットTがフィードガイド部5において移動方向の下流位置に達したことを到達確認センサ5Sで検出できる。この到達確認センサ5SでタブレットTが検出されない場合には、ホッパ2のタブレットTが消費され尽くしたことの判定も可能となる。
【0090】
(5)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、シフトガイド部6で受け入れたタブレットTの数が予め定められた値に達したことを判定する判定センサユニットSUを備えても良い。
【0091】
これによると、シフトガイド部6で受け入れたタブレットTの数が、予め定められた値に達したことを判定センサユニットSUで判定した場合には、シフトガイド部6を送出ポジションPyに移動させてタブレットTを送出口12に向けて送り出す制御が行える。
【0092】
(6)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、フィードガイド部5の状態を変更可能な回転用シリンダ35(アクチュエータ)を備え、回転用シリンダ35は、フィードガイド部5内のタブレットTが整列方向に沿う状態と、フィードガイド部5内のタブレットTがフィードガイド部5外に落下可能な状態とに変更しても良い。
【0093】
これによると、フィードガイド部5に保持されている複数のタブレットTを廃棄する場合には、回転用シリンダ35の作動により、フィードガイド部5を回転させることにより、フィードガイド部5に保持されているタブレットTを、フィードガイド部5の外部に落下させて送り出すことが可能となる。
【0094】
(7)この樹脂供給装置Aに加えた構成として、プッシャ7の作動により、送出ポジションPyにあるシフトガイド部6から送り出されたタブレットTを受け取るエンドガイド部9と、シフトガイド部6とエンドガイド部9との間に配置され、シフトガイド部6から送り出されたタブレットTをエンドガイド部9に中継する中継ガイド部8とを備え、中継ガイド部8は、シフトガイド部6から送り出されたタブレットTをエンドガイド部9に中継する中継位置と、シフトガイド部6から送り出されたタブレットTをシフトガイド部6の送り出し側の端部から落下させる待避位置とに変更可能に構成されても良い。
【0095】
これによると、シフトガイド部6に存在するタブレットTを廃棄する場合には、中継ガイド部8を待避位置に移動させ、プッシャ7を作動させることにより、シフトガイド部6に存在するタブレットTを、エンドガイド部9に供給せずに、シフトガイド部6の下流端から送り出すことが可能となる。この構成では、シフトガイド部6に存在するタブレットTを排出するためにプッシャ7を用いるため、タブレットTを廃棄するために専用のアクチュエータを必要せず、部品点数の増大を抑制することが可能となる。
【0096】
(8)樹脂成形システムRSの特徴構成は、タブレットストッカA(樹脂供給装置)と、タブレットストッカAから供給されたタブレットTを用いて樹脂成形する樹脂成形装置Bとを備えている点にある。
【0097】
本構成によると、タブレットストッカAから供給されるタブレットTによって樹脂成形装置Bが樹脂の成形が行える。
【0098】
(9)樹脂成形システムRSに加えた構成としてタブレットストッカAからのタブレットTを樹脂成形装置Bに送る搬送経路13をさらに備えても良い。
【0099】
これによると、タブレットストッカAから搬送経路13を介して樹脂成形装置BにタブレットTを送ることが可能となる。特に、この構成では、例えば、樹脂成形装置Bがクリーンルーム内に設置されていても、クリーンルーム外に設置したタブレットストッカAから搬送経路13を介して樹脂成形装置BにタブレットTが供給できる。
【0100】
(10)樹脂成形品26の製造方法の特徴構成は、タブレットストッカAからタブレットストッカAが供給される供給工程と、供給工程で供給されたタブレットTを用いて樹脂成形を行う樹脂成形工程とを含んでいる点にある。
【0101】
本構成によると、供給工程で供給されたタブレットTを、樹脂成形工程で成形することで樹脂の成形が実現する。
【0102】
〔実施形態の作用効果〕
この構成では、例えば、制御ユニット10が連続供給モードの制御を行うことにより、一方のホッパ2のタブレットTを樹脂成形装置Bに供給し、一方のホッパ2のタブレットTが消費され尽くした場合に、他方のホッパ2のタブレットTを樹脂成形装置Bに供給する。これにより、単一のホッパ2を有するものと比較してタブレットストッカA(樹脂供給装置)におけるタブレットTの貯留量の増大を図り、長時間に亘るタブレットTの供給が可能となる。
【0103】
尚、このタブレットストッカAは、ホッパ2と、ベルトコンベア3と、整列フィーダ4と、フィードガイド部5とを3つ以上備えることが可能であり、3つ以上備えることにより、一層長時間のタブレットTの供給が可能となる。
【0104】
このタブレットストッカA(樹脂供給装置)では、異なる樹脂材料のタブレットTを2つのホッパ2に各別に貯留し、制御ユニット10が選択供給モードの制御を行う。これにより、一方のホッパ2のタブレットTを送出口12から送り出す作動が実行されている際の任意のタイミングで、他方のホッパ2に貯留されているタブレットTを送出口12から送り出すことも可能である。
【0105】
このような選択供給モードでの制御を行う場合には、タブレットTの種類を切り換える際に、回転用シリンダ35を作動させることでフィードガイド部5に存在するタブレットTを廃棄することが可能となる。更に、リフト用シリンダ52の作動とプッシュ用シリンダ49の作動によりシフトガイド部6に存在するタブレットTを廃棄することが可能となり、オペレータが特別に作業を行う必要もない。
【0106】
シフトガイド部6を、受給ポジションPxに設定してフィードガイド部5からタブレットTを受け入れる場合には、シフトガイド部6の規制体6bを規制位置に設定しておき、第1センサSU1と第2センサSU2とでタブレットTを検知する状態に達した状態で決まる数のタブレットTを受け取ることが可能となる。
【0107】
このように決まった数のタブレットTを受け取った後に、フィードガイド部5とシフトガイド部6との間隔を拡大させた状態で、シフトガイド部6が送出ポジションPyまで移動される。この後、プッシュ用シリンダ49の作動によりシフトガイド部6のタブレットTを中継ガイド部8とエンドガイド部9とを介して送出口12まで移動させ、搬送経路13に送り出すことが可能となる。
【0108】
また、シフトガイド部6を、受給ポジションPxから送出ポジションPyに移動させる際には、フィードガイド部5の下流ストッパ5bを通過阻止位置に設定し、到達確認センサ5SでタブレットTが検出できる。この後に、ベルトコンベア3と整列フィーダ4とを停止させるため、タブレットTが搬送経路上にオーバーフローすることがない。
【0109】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0110】
(a)実施形態の作用効果において一部説明したように、ホッパ2(樹脂貯留部)、ベルトコンベア3、整列フィーダ4(樹脂搬送機構)、フィードガイド部5を3つ以上用いてタブレットストッカA(樹脂供給装置)が構成されても良い。このように構成することによりタブレットストッカAにおけるタブレットTの貯留量の更なる増大を可能にし、異なる3種類以上の樹脂材料のタブレットTをホッパ2に貯留し、必要に応じて切り換えて移送することで多数の樹脂材料の選択も可能となる。
【0111】
(b)フィードレール5aとシフトレール6aとの少なくとも一方を、下流端ほど僅かに低いレベルになる傾斜状態で配置するようにタブレットストッカA(樹脂供給装置)が構成されても良い。このように構成することによりタブレットTの円滑な搬送が可能となる。また、フィードガイド部5は、ベルトコンベアや、ローラコンベアのように駆動力によってタブレットTを送るように構成しても良い。このように構成することにより、フィードガイド部5でタブレットTを確実に搬送することができる。
【0112】
(c)中継ガイド部8の待避位置は、中継位置を基準に横方向や、斜め上方、斜め下方等に変位した位置であっても良い。また、中継ガイド部8を待避位置に移動させるための構成は、シリンダのように直線的に作動するものに限らない。この構成は、例えば、中継ガイド部8から外方に延びるアームの延出端を軸体等で揺動可能に支持し、このアームと一体的に中継ガイド部8を揺動させることにより、中継ガイド部8を待避位置に移動させるものでも良い。
【0113】
(d)樹脂成形システムRSは、送出口12を複数箇所に備え、複数箇所の送出口12から送り出されるタブレットTを複数の樹脂成形装置Bに供給できるように複数の搬送経路13を備えても良い。この樹脂成形システムRSは、複数箇所の送出口12に対応した位置(複数の送出ポジションPy)にシフトガイド部6を設定してタブレットTを送り出せるように構成される。
【0114】
この別実施形態(d)ように構成することにより、1つのタブレットストッカAから複数の樹脂成形装置Bに対してタブレットTを供給することが可能となる。また、このように構成する場合に、実施形態と同様に、複数箇所の送出口12に対応してプッシャ7(送出機構)と、中継ガイド部8と、エンドガイド部9とを用いる構成が考えられる。
【0115】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、樹脂供給装置、樹脂成形システム、及び、樹脂成形品の製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0117】
2 ホッパ(樹脂貯留部)
4 整列フィーダ(樹脂搬送装置)
5 フィードガイド部
5b 下流ストッパ(ストッパ)
5S 到達確認センサ
6 シフトガイド部
7 プッシャ(送出機構)
8 中継ガイド部
9 エンドガイド部
10 制御ユニット
12 送出口
13 搬送経路
35 回転用シリンダ(アクチュエータ)
A タブレットストッカ(樹脂供給装置)
B 樹脂成形装置
C 作動機構
E 排出開口
Px 受給ポジション
Py 送出ポジション
RS 樹脂成形システム
SU 判定センサユニット
T タブレット(樹脂材料)
X 回転軸心
【要約】
【課題】樹脂材料の補給頻度の低減が可能な樹脂供給装置を構成する。
【解決手段】柱状の複数の樹脂材料Tの貯留が可能な複数の樹脂貯留部2と、樹脂貯留部2に貯留されている樹脂材料Tを受け取り、向きを揃えて送り出す樹脂搬送機構4と、複数の樹脂搬送機構4から送り出された樹脂材料Tを順次受け入れて直線状に並ぶ整列状態で保持するフィードガイド部5と、フィードガイド部5のそれぞれから樹脂材料を受け入れる複数の受給ポジションPxと、受け入れた樹脂材料Tを送り出す共通の送出ポジションPyとの間で移動可能なシフトガイド部6と、送出ポジションPyにおいて、シフトガイド部6に受け入れた樹脂材料Tを送出口に向けて送り出す送出機構7と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13