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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20220905BHJP
【FI】
A61B5/287 200
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021508474
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012885
(87)【国際公開番号】W WO2020194511
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 勇斗
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140389(JP,A)
【文献】特開2017-104552(JP,A)
【文献】特開2018-108376(JP,A)
【文献】特表2017-520287(JP,A)
【文献】特開2017-104553(JP,A)
【文献】特開2017-185234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/287
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体と、該カテーテル本体の先端部に取り付けられた電極ユニットと、を備えた電極カテーテルであって、
前記電極ユニットは、長手方向の一端部を前記カテーテル本体によって支持されると共に、長手方向の他端部が前記カテーテル本体の先端部から放射状に突出した複数のアーム部材と、該各アーム部材に取り付けられた電極と、隣接する前記アーム部材同士の動作を拘束する拘束手段と、を備え、
各前記拘束手段は、隣接する2つの前記アーム部材の先端間を接続すると共に、前記各アーム部材の先端を越えた位置に突出しており、
前記各アーム部材内部には、少なくとも一の前記拘束手段が前記各アーム部材の長手方向に沿って挿通されており、該拘束手段は、前記電極ユニットの初期姿勢を記憶していることを特徴とする電極カテーテル。
【請求項2】
前記電極ユニットは、径方向外側から内側へ向かう外力を加えられた場合に、前記アーム部材同士が近接した集束姿勢を取り、前記外力が取り除かれた場合に前記各アーム部材が放射状に広がった初期姿勢に復帰することを特徴とする請求項1に記載の電極カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓内の電気的活性状態のマッピング、及び心臓内壁のアブレーション(焼灼)後の心電位測定に好適な電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓内の電気的活性をマッピングするための電極カテーテルとして、カテーテル本体の先端から放射状に突出した複数のアーム部材を備えたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この電極カテーテルにおけるアーム部材の夫々には、末端電極およびリング状電極が装着されており、電極カテーテル1本でアーム部材の長手方向長を半径とする円内領域の電位を一度に、且つ同時に測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-235821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のカテーテルにおいては、アーム部材が何らかの障害物に接触した状態でカテーテル先端部がカテーテル本体の軸線を中心として回転したときに、各アーム部材が密集するという問題がある。その結果、電位の測定が、意図された通りの円内領域で行われることが保証されなくなる。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、放射状に突出したアーム部材の意図しない密集を防止できる電極カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、カテーテル本体と、該カテーテル本体の先端部に取り付けられた電極ユニットと、を備えた電極カテーテルであって、前記電極ユニットは、長手方向の一端部を前記カテーテル本体によって支持されると共に、長手方向の他端部が前記カテーテル本体の先端部から放射状に突出した複数のアーム部材と、該各アーム部材に取り付けられた電極と、隣接する前記アーム部材同士の動作を拘束する拘束手段と、を備え、各前記拘束手段は、隣接する2つの前記アーム部材の先端間を接続すると共に、前記各アーム部材の先端を越えた位置に突出しており、前記各アーム部材内部には、少なくとも一の前記拘束手段が前記各アーム部材の長手方向に沿って挿通されており、該拘束手段は、前記電極ユニットの初期姿勢を記憶していることを特徴とする。





【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、拘束手段が隣接するアーム部材同士の動作を拘束するので、放射状に突出したアーム部材の意図しない密集を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る電極カテーテルの概略構成を示す平面図である。
図2図1に示した電極カテーテルの先端部分を示す斜視図である。
図3図1に示した電極カテーテルの電極ユニット部分を図1中矢印C方向から観察した様子を示す図である。
図4図1に示した電極カテーテルの先端部分を図3に示したE-E線にて切断した様子を示す縦断面図である。
図5】(a)、(b)は、図1に示した電極カテーテルの電極ユニット部分を変形させた様子を示す模式図である。
図6】(a)、(b)は、本発明の変形実施形態に係る電極カテーテルの電極ユニット部分を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0011】
〔第一の実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る電極カテーテルの概略構成を示す平面図である。
電極カテーテル1は、血管を通して心臓内に挿入され、心臓内の電気的活性状態のマッピングや心臓内壁のアブレーション(焼灼)後の心電位測定に使用される器具である。
電極カテーテル1は、長手方向に伸びるカテーテル本体10と、カテーテル本体10の基端部10b(近位端側)に取り付けられた操作部20と、カテーテル本体10の先端部10a(遠位端側)に取り付けられた電極ユニット100(100A)とを備える。
【0012】
<カテーテル本体>
カテーテル本体10は、長手方向に伸びる少なくとも1つのルーメン11(図4参照)を備えたチューブ状の部材から構成される。カテーテル本体10のルーメン11内には、電極ユニット100を構成する各リング状電極120,120…と導通する導線(図示省略)や、カテーテル本体10の先端側部位を図1中の矢印B1-B2方向に湾曲変形(又は偏向)させる引っ張りワイヤ(図示省略)等が挿通されている。
カテーテル本体10は、可撓性材料により構成されている。具体的には、カテーテル本体10にはポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタン、ナイロンおよびPEBAX(登録商標。物質名:ポリエーテルブロックアミド)等の合成樹脂を用いることができる。
【0013】
カテーテル本体10の外径は1.0~3.5mmであることが好ましく、更に好ましくは1.6~2.8mmとされる。カテーテル本体10の長手方向長は600~1500mmであることが好ましく、更に好ましくは900~1200mmとされる。
なお、カテーテル本体10は、その先端に設けた潅流口13(図3参照)から潅流液を噴射する潅流用のルーメンを備えていてもよい。
【0014】
<操作部>
操作部20は、電極カテーテル1の操作者が把持するハンドル21と、ハンドル21よりもカテーテル本体10寄りに配置されて、カテーテル本体10の先端側部位を図中矢印B1-B2方向に偏向(或いは湾曲変形)させる回転板22、及び回転板22を回転操作する回転つまみ23と、を備える。
回転板22を図中矢印A1方向に回転させると、カテーテル本体10の先端側部位が回転板22の回転角度に応じた角度で図中矢印B1方向に偏向する。回転板22を図中矢印A2方向に回転させると、カテーテル本体10の先端側部位が回転板22の回転角度に応じた角度で図中矢印B2方向に偏向する。
【0015】
<電極ユニット>
図2は、図1に示した電極カテーテルの先端部分を示す斜視図である。図3は、図1に示した電極カテーテルの電極ユニット部分を図1中矢印C方向から観察した様子を示す図である。
電極ユニット100(100A)は、長手方向の一端部110aをカテーテル本体10の先端部10aによって支持されると共に、長手方向の他端部110bがカテーテル本体10の先端部10aから放射状に突出した複数のアーム部材110(110A~110F)と、各アーム部材110に取り付けられたリング状電極120、120…と、隣接するアーム部材110、110同士の動作を拘束するコアワイヤ(拘束手段)130(130A~130F)と、を備える。
電極ユニット100Aにおいては、6本のアーム部材110A~110Fがカテーテル本体10の長手方向に沿って伸びる軸線D(電極カテーテル1の軸線D)を中心として周方向に並べて配置されている。電極ユニット100Aは、6本のコアワイヤ130A~130Fを備える。1本のコアワイヤ130は、周方向に隣接する2本のアーム部材110,110間、より詳しくは、2本のアーム部材110、110の他端間(先端間)を接続する。即ち、電極ユニット100Aは、アーム部材110と同数のコアワイヤ130を有する。
【0016】
<<アーム>>
図4は、図1に示した電極カテーテルの先端部分を図3に示したE-E線にて切断した様子を示す縦断面図である。
アーム部材110(110A、110B…)は、長手方向に沿って伸びる中空孔112(112A、112B…)を有した被覆チューブ111(111A、111B…)を備える。被覆チューブ111は、可撓性材料により構成されている。具体的には、被覆チューブ111にはポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタン、ナイロンおよびPEBAX(登録商標。物質名:ポリエーテルブロックアミド)等の合成樹脂を用いることができる。被覆チューブ111は、カテーテル本体10の先端部10aに、融着等の方法により固定されている。
【0017】
アーム部材110の外径は0.5~1.0mmであることが好ましく、更に好ましくは0.6~0.8mmとされる。アーム部材110の長手方向長は5~30mmであることが好ましく、更に好ましくは10~20mmとされる。アーム部材110の軸線Dに対する角度は25~90度であることが好ましく、更に好ましくは30~80度とされる。
【0018】
夫々のアーム部材110は、その外周部に、アーム部材110の長手方向に沿って離間して配置された複数の(ここでは4つの)リング状電極120、120…を備える。リング状電極120、120…は、心臓内の電位を取得する手段であり、例えばプラチナ等の導電性の材料から構成される。被覆チューブ111の中空孔112内には、各リング状電極120、120…と夫々導通する導線(不図示)が挿通されている。なお、各アーム部材110に備えるリング状電極120の数は一例である。各アーム部材110が備えるリング状電極120の数はこれより多くても少なくてもよい。
【0019】
<<コアワイヤ>>
各アーム部材110を構成する各被覆チューブ111内には、少なくとも1本のコアワイヤ130が、被覆チューブ111の長手方向に沿って挿通されている。本例に示す各アーム部材110には、長手方向の全体に亘って夫々2本のコアワイヤ130、130が挿入されている。
【0020】
例えば、図4に示すように、一本のコアワイヤ130Aは、長手方向の一部132Aを、アーム部材110Aを構成する被覆チューブ111Aによって被覆され、長手方向の他部134Aを、アーム部材110Bを構成する被覆チューブ111Bによって被覆されている。即ち、コアワイヤ130Aは、一部132Aがアーム部材110Aによって保持され、他部134Aがアーム部材110Bによって保持されている。コアワイヤ130Aの一部132Aは他のコアワイヤ130Fの他部134Fに沿って伸びており、長手方向の他部134Aは他のコアワイヤ130Bの一部132Fに沿って伸びている。
【0021】
コアワイヤ130Aのうち長手方向の一部132Aと他部134Aとの間に位置する中間部133Aは、他のコアワイヤ130B、130Fから独立している。中間部133Aは、アーム部材110A、110Bの先端を越えた位置に突出している。中間部133Aがアーム部材110の先端よりも外側に位置するため、アーム部材110の先端が心臓内壁を突いて心臓に無用な刺激を与えることを防止できる。また、中間部133Aは所定の曲率で凸状に湾曲しているため弾性変形が可能である。従って、中間部133Aが心臓内壁に接触した場合でもそのクッション作用により心臓に無用な刺激を与えることを防止できる。
【0022】
コアワイヤ130Aの長手方向の各端部(一端部131Aと他端部135A)は、カテーテル本体10の先端部10aの適所に保持されている。従って、電極ユニット100を形成するコアワイヤ130Aの部分(132A~134A)はループ状に構成されている。
【0023】
各アーム部材110A、110Bの先端開口は、例えばシリコーンゴムやエポキシやポリウレタン等の樹脂材料により封止されている。コアワイヤ130Aは、各アーム部材110A、110Bの先端開口を封止する樹脂材料に固着されている。
【0024】
他のコアワイヤ130B~130Fの構成は、コアワイヤ130Aの構成と同様である。
各コアワイヤ130は、形状記憶特性と超弾性を有する材料、例えばニチノールワイヤから構成される。コアワイヤ130は、電極ユニット100の初期姿勢(或いは拡開姿勢、図2参照)を記憶している。電極ユニット100は、外力が加えられていない状態において、各アーム部材110A~110Fが放射状に広がった初期姿勢を取る。初期姿勢は、概略花型(Flower Shape)或いは星形(star shape)である。
【0025】
コアワイヤ130の外径は0.07~0.5mmであることが好ましく、更に好ましくは0.1~0.3mmとされる。
アーム部材110の先端から突出するコアワイヤ130の長さは5~30mmであることが好ましく、更に好ましくは10~20mmとされる。
【0026】
本例に示すコアワイヤ130Aの中間部133Aは、アーム部材110A、110Bの先端から露出しており、被覆チューブ111A、111Bによって被覆されていない。しかし、コアワイヤ130Aの中間部133Aを被覆チューブ111により被覆した構成としてもよい。中間部133Aを被覆チューブ111により被覆した場合には、当該部位にリング状電極120を取り付けてもよい。他のコアワイヤ130B~130Fについても同様である。
【0027】
<<動作>>
図5(a)、(b)は、図1に示した電極カテーテルの電極ユニット部分を変形させた様子を示す模式図である。図中、実線は変形後の姿勢を示し、破線は初期姿勢を示す。なお、図5には電極カテーテル100を図4と同様の方向から観察した様子を示しており、代表的に2本のアーム部材110A、110Bとコアワイヤ130Aの動作を示している。
【0028】
図5(a)に示すように、アーム部材110Bに対して、アーム部材110Bをアーム部材110Aから離間させる外力F1(周方向に沿った外力F1)を加えた場合に、アーム部材110Aは、アーム部材110Bに追従して図中矢印F2方向(周方向に沿った方向)へ移動する。このようにコアワイヤ130Aは、コアワイヤ130Aによって接続された2つのアーム部材110A、110Bの動作を拘束する拘束手段として機能する。言い換えれば、コアワイヤ130Aは、周方向に隣接するアーム部材110A、110Bが独立して動作することを禁止する手段として機能する。
【0029】
本実施形態に係る電極カテーテル1は、拘束手段としてのコアワイヤ130を備えることにより、例えば、カテーテル本体10の軸線Dを中心として電極ユニット100を回転させた場合であっても、周方向に隣接するアーム部材110同士が互いに密着することを阻止できる。従って、放射状に突出したアーム部材110同士の意図しない密集を防止できる。
【0030】
図5(b)に示すように、電極ユニット100は、電極カテーテル1の軸線Dに向かう外力G(径方向の外側から内側へ向かう外力G)を加えられた場合に、コアワイヤ130A~130Fは外力Gの大きさに応じて曲率が大きくなるように変形する。そして、電極ユニット100は、各アーム部材110A~110Fが軸線D側に寄せ集められて、アーム部材110A~110F同士が近接した集束姿勢(集合姿勢)を取る。集束姿勢を取った電極ユニット100は、電極ユニット100部分を心臓まで案内する筒状のシース内を進退可能である。
【0031】
逆に、電極ユニット100は、各アーム部材110A~110Fを軸線Dから離反させる外力(径方向の内側から外側へ向かう外力)を加えられた場合に、各アーム部材110A~110Fが初期姿勢から更に離反した姿勢を取る。このとき、コアワイヤ130A~130Fは加えられた外力の大きさに応じて曲率が小さくなるように変形する。電極ユニット100においては、コアワイヤ130の中間部133Aの長さが、電極ユニット100の初期姿勢におけるアーム部材110、110の先端間の距離よりも長く設定されているため、アーム部材110の先端間を離間させる変形が許容される。
【0032】
電極ユニット100は、図5(a)、(b)に示した外力が取り除かれた場合に、コアワイヤ130が有する形状記憶特性と超弾性によって、破線にて示す初期姿勢に復帰する。初期姿勢又は各アーム部材110A~110Fが初期姿勢から更に離反した姿勢は、電極ユニット100が心電位の測定等をするときの姿勢であり、一度に多数箇所の心電位を同時に取得可能な姿勢、即ち多点同時マッピングが可能な姿勢である。
【0033】
コアワイヤ130は、隣接するアーム部材110同士の動作を拘束する拘束手段として機能するだけではなく、電極ユニット100の初期姿勢を記憶すると共に、電極ユニット100の変形後に電極ユニット100を初期姿勢に復帰させる手段としても機能する。コアワイヤ130に複数の機能を持たせることにより、同様の機能を複数の部材によって実現する場合に比べて電極ユニット100を小型化することが可能となる。
【0034】
〔変形実施形態〕
図6(a)、(b)は、本発明の変形実施形態に係る電極カテーテルの電極ユニット部分を示す模式図である。本図は、図1のC矢視図に相当する図である。第一の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
【0035】
図6(a)は、3本のアーム部材110A~110C、及び3本のコアワイヤ130A~130Cを備える電極ユニット100Bの例を示す図である。図6(b)は、4本のアーム部材110A~110D、及び4本のコアワイヤ130A~130Dを備える電極ユニット100Cの例を示す図である。
このように、電極ユニット100が備えるアーム部材110の数量、及びコアワイヤ130の数量は、電極カテーテルを血管内に挿入する際に血管内に留置されるシースの内径が許容する範囲内で、ある程度自由に設定できる。
【0036】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様は、カテーテル本体10と、カテーテル本体の先端部10aに取り付けられた電極ユニット100と、を備えた電極カテーテル1であって、電極ユニットは、長手方向の一端部110aをカテーテル本体によって支持されると共に、長手方向の他端部110bがカテーテル本体の先端部から放射状に突出した複数のアーム部材110と、各アーム部材に取り付けられた電極(リング状電極120)と、隣接するアーム部材同士の動作を拘束する拘束手段(コアワイヤ130)と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、拘束手段が隣接するアーム部材同士の動作を拘束するので、放射状に突出したアーム部材の意図しない密集を防止できる。
【0037】
<第二の実施態様>
本実施態様に係る電極カテーテル1において、各拘束手段(コアワイヤ130)は、隣接する2つのアーム部材110、110の先端間を接続すると共に、各アーム部材の先端を越えた位置に突出していることを特徴とする。
本態様によれば、拘束手段がアーム部材の先端を越えた位置に突出しているため、アーム部材の先端が心臓内壁を突いて心臓に無用な刺激を与えることを防止できる。
【0038】
<第三の実施態様>
本実施態様に係る電極カテーテル1において、各アーム部材110内部には、少なくとも一の拘束手段(コアワイヤ130)が各アーム部材の長手方向に沿って挿通されており、拘束手段は、電極ユニット100の初期姿勢を記憶していることを特徴とする。
本態様において拘束手段は、隣接するアーム部材同士の動作を拘束する手段として機能するだけではなく、電極ユニットの初期姿勢を記憶する手段としても機能する。拘束手段に複数の機能を持たせることにより、同様の機能を複数の部材によって実現する場合に比べて電極ユニットを小型化することが可能となる。
【0039】
<第四の実施態様>
本実施態様に係る電極カテーテル1において、電極ユニット100は、径方向外側から内側へ向かう外力Gを加えられた場合に、アーム部材110同士が近接した集束姿勢(図5(b)の実線参照)を取り、外力が取り除かれた場合に各アーム部材が放射状に広がった初期姿勢(図5(b)の破線、図2等参照)に復帰することを特徴とする。
本態様によれば、シース内を進退させるために、電極ユニットを集束姿勢に変形させることができる。また、電極ユニットをシースから離脱させれば電極ユニットが初期姿勢に復帰するので、一度に多数箇所の心電位を同時に取得することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1…電極カテーテル、10…カテーテル本体、10a…先端部、11…ルーメン、13…潅流口20…操作部、21…ハンドル、22…回転板、100,100A~100C…電極ユニット、110,110A~110F…アーム部材、110a…一端部、110b…他端部、111,111A,111B…被覆チューブ、112,112A,112B…中空孔、120…リング状電極、130,130A~130F…コアワイヤ(拘束手段)、131…一端部、132…一部、133…中間部、134…他部、135…他端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6