(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/128 20060101AFI20220905BHJP
B22D 11/12 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B22D11/128 340B
B22D11/12 F
B22D11/128 350A
(21)【出願番号】P 2021510908
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2019101036
(87)【国際公開番号】W WO2020042923
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201811011524.5
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 榮 軍
(72)【発明者】
【氏名】劉 俊 江
(72)【発明者】
【氏名】万 根 節
(72)【発明者】
【氏名】李 成 斌
(72)【発明者】
【氏名】柳 向 椿
(72)【発明者】
【氏名】孟 慶 玉
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104399924(CN,A)
【文献】中国実用新案第205834144(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105983668(CN,A)
【文献】特開平08-132206(JP,A)
【文献】特開平08-132205(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107377919(CN,A)
【文献】国際公開第2019/172302(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法であって、
前記連続曲率凸形ロールのロール本体の作業部の外輪郭曲線は、第1直線分(AB)と、第1遷移曲線分(BC)と、中間直線分(CD)と、第2遷移曲線分(DE)と、第2直線分(EF)とからなる;
その第1遷移曲線分(BC)と、第1直線分(AB)
とは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第1遷移曲線を構成する;
第2遷移曲線分(DE)
と、第2直線分(EF)とは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第2遷移曲線を構成する;
前記第1遷移曲線分(BC)と第2遷移曲線分(DE)は鏡映対称であ
り、前記中間直線分(CD)と前記第1遷移曲線分(BC)との交点および前記中間直線分(CD)と前記第2遷移曲線分(DE)との交点において1次導関数が連続している;
前記凸形ロールを製造・加工する時
、ロール本体の作業部の加工において、前記外輪郭曲線の形状に合わせて凸形ロールの中心軸線(O
1O
2)に沿って回転加工することで、前記連続曲率凸形ロールを得る;
或いは、既存のフラットロールの場合
、ロール本体の作業部の加工において、前記外輪郭曲線の形状に合わせて凸形ロールの中心軸線O
1O
2に沿って回転加工することで、連続曲率凸形ロールを得ることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記の連続的な曲率を持つ第1・第2遷移曲線分を形成する方法は、下記の通りであることを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法。
直交座標系を構築し、座標の原点(
x=0,
y=0)、中心点(
x=L/2,
y=H)及び端点(
x=L,
y=0)を決定し、前記原点、中心点及前記端点を通り、且つ前記原点と前記端点の二点で
1次導関数および2次導関数が連続し、前記中心点で1次導関数が連続している上凸曲線を生成し、Lは第1、第2遷移曲線のx軸への投影長さの合計であり、Hは凸形ロールのラグボス高さである;
前記上凸曲線は、中心点の垂直線に沿って軸対称の曲線であり、第1曲線分(OA)は曲線の左半分であり、第2曲線分(AB)は曲線の右半分である;
第1曲線分(OA)は前記第1遷移曲線
分となり、第2曲線分(AB)は前記第2遷移曲線
分とな
り、
前記上凸曲線の方程式は、
【数1】
である。
【請求項3】
ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールであって、
前記連続曲率凸形ロールのロール本体の作業部の外輪郭曲線は、第1直線分(AB)と、第1遷移曲線分(BC)と、中間直線分(CD)と、第2遷移曲線分(DE)と、第2直線分(EF)とからなる;
その第1遷移曲線分(BC)と、第1直線分(AB)
とは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第1遷移曲線を構成する;
第2遷移曲線分(DE)と
、第2直線分(EF)とは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第2遷移曲線を構成する;
前記第1遷移曲線分(BC)と第2遷移曲線分(DE)は鏡映対称であ
り、前記中間直線分(CD)と前記第1遷移曲線分(BC)との交点および前記中間直線分(CD)と前記第2遷移曲線分(DE)との交点において1次導関数が連続している
ことを特徴とする、ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロール。
【請求項4】
直交座標系において、座標の原点(
x=0,
y=0)、中心点(
x=L/2,
y=H)及び端点(
x=L,
y=0)を決定し、前記原点、中心点及前記端点を通り、且つ前記原点と前記端点の二点で
1次導関数および2次導関数が連続し、前記中心点で1次導関数が連続している上凸曲線を生成し、Lは第1、第2遷移曲線のx軸への投影長さの合計であり、Hは凸形ロールのラグボス高さである;
前記上凸曲線は、中心点の垂直線に沿って軸対称の曲線であり、第1曲線分(OA)は曲線の左半分であり、第2曲線分(AB)は曲線の右半分である;
前記第1遷移曲線分は前記第1曲線分(OA)に従って構築され、前記第2遷移曲線分は前記第2曲線分(AB)に従って構築さ
れ、
前記上凸曲線の方程式は、
【数2】
である
ことを特徴とする、請求項
3に記載のブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属鋳造の分野に属し、特に鋳造スラブを現場で後処理または後加工するための装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願の公開番号がCN107377919Aで、出願の公開日が2017年11月24日である中国発明特許出願では、「軸受鋼鋳造スラブの中心部の緻密度を上げる方法」が開示され、ただし、その中央部に隆起1が設けられた凸形ロールであって、前記隆起1から前記凸形ロールの両端へ、緩やかな曲率の曲線で遷移する凸形ロールが開示された。
【0003】
出願の公開番号がCN106001475Aで、出願の公開日が2016年10月12日である中国発明特許出願では、「合金鋼ブルーム連続鋳造用の緩やかな曲率の凸形ロール及び大圧下プロセス」が開示され、ただし、圧延ロールは緩やかな曲率の凸形ロール構造に設計される;凸形ロールは、高さ方向での体積収縮量を補償できるラグボス高さと、幅方向で最も酷い緩み・偏析領域をカバーできるラグボス幅とを備える。その弧度変化領域の円弧は、曲率半径rが30mmを超えないように制御される。
【0004】
出願の公開番号がCN105983668Aで、出願の公開日が2016年10月05日である中国発明特許出願では、「軽圧下ロール、それを備える軽圧下装置及び鋳造スラブの製造方法」が開示され、ただし、「軽圧下ロールの端部の直径は中央部の直径よりも小さく、ただし、軽圧下ロールの回転軸線を含む断面視で、中央部と端部の間の外周は、端部側に回転軸線に向けて隆起する第1円弧を有し、中央部側に第1円弧の隆起方向とは反対方向に向けて隆起する第2円弧を有し、第1円弧と第2円弧の両方と相接する接線は、回転軸線とのなす角が40°以下である」ということが開示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の各技術方案における軽圧下凸形ロールはそれぞれ、ラグボス輪郭曲線の滑らかさを考慮したからといって、1次導関数の場合にのみ連続しており(即ち、曲線は曲線に相接しており、曲線は直線に相接しており)、これらの接点は依然として特異点、即ち応力集中点であり、例えば円弧曲線と円弧曲線の交点では0次連続性のみを満たし、本当の意味で滑らかな曲線ではない。鋳造スラブは圧延変形プロセスにおいて、必然的に応力がかかるが、連続鋳造スラブの表面温度は通常700~900℃と低く、且つ表面温度が均一ではないため、特異点は応力集中点となり、そこの鋳造スラブは圧延変形プロセスにおいて、表面にクラックが発生しやすい。
【0006】
遷移曲線として2つの円弧曲線を同時に適用する場合、遷移曲線のx軸への投影長さABを、ラグボス高さH以上にする必要があり、つまり、2つの円弧の最小半径の合計(R1+R2)はラグボス高さH以上でなければ、2つの円弧は接続できない。
【0007】
ロール本体の全長は一定であるため、ラグボスの中心部にある直線分DEの長さは、鋳造スラブの中心部にある凝固していない液体コアの幅によって決定される。遷移曲線が長すぎると、ラグボス両端の直線分ABとEFが短くなると意味し、それは、圧延圧力の低減にも、スラブ絞り抵抗の低減にも不利である。
【0008】
本発明で解決しようとする課題は、ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法を提供することである。該連続曲率凸形ロールのロール本体の作業部の輪郭曲線は、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、且つ連続的な曲率を持つ遷移曲線を形成する方法も提示された。該連続曲率凸形ロールによれば、変形領域で鋳造スラブを均一に変形させ、クラックの発生を低減させることができる;該連続曲率凸形ロールの遷移曲線を短縮させることにより、圧延圧力をさらに低減させること、及びスラブ絞り抵抗をさらに低減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術方案は、下記の特徴を有するブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法を提供する:
前記連続曲率凸形ロールのロール本体の作業部の外輪郭曲線は、第1直線分ABと、第1遷移曲線分BCと、中間直線分CDと、第2遷移曲線分DEと、第2直線分EFとからなる;
その第1遷移曲線分BCと、第1直線分ABと、中間直線分CDとは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第1遷移曲線を構成する;
同様に、第2遷移曲線分DEと、中間直線分CDと、第2直線分EFとは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続しており、連続的な曲率を持つ第2遷移曲線を構成する;
前記第1遷移曲線分BCと第2遷移曲線分DEは鏡映対称である;
前記凸形ロールを製造・加工する時、まず凸形ロールの形状・サイズ要件に応じてブランクを鋳造しておき、ロール本体の作業部の加工において、前記外輪郭曲線の形状に合わせて中心軸線O1O2に沿って回転加工することで、連続曲率凸形ロールを得る;
既存のフラットロールの場合、まずロール本体の作業部にラグボスをビルドアップ溶接しておき、ロール本体の作業部の加工において、前記外輪郭曲線の形状に合わせて中心軸線O1O2に沿って回転加工することで、連続曲率凸形ロールを得ることもできる;
前記ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法に従って製造される凸形ロールにより、変形領域で鋳造スラブを均一に変形させ、クラックの発生を低減させることができる;
前記ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールの製造方法に従って製造される凸形ロールは、その遷移曲線を短縮させることにより、圧延圧力をさらに低減させること、及びスラブ絞り抵抗をさらに低減させることができる。
【0010】
具体的には、前記連続的な曲率を持つ遷移曲線を形成する方法は下記の通りである:
座標の原点が中間点Oにあり、OとBの二点で2次導関数が連続し、点Aで1次導関数が連続する座標系を構築する;
前記凸形ロールのラグボスの曲線方程式は、中心点Aに沿って軸対称の曲線であり、曲線分OAは曲線の左半分であり、曲線分ABは曲線の右半分である;
曲線分OAはラグボスの曲線の左半分として、曲線分ABはラグボスの曲線の右半分として、水平な直線を介してそれらを連結する。
【0011】
さらに、前記曲線方程式は、
制限条件が以下の通りである:
【0012】
【0013】
即ち、合計8つの制限条件がある;
ラグボスの遷移曲線が多項式形式であると仮定すると、8つの制限条件があるため、以下のようになるべきである:
【0014】
【0015】
式(1)~(8)の条件を式(9)、(10)、(11)に代入し、8変数線形方程式を連立で解くと、以下のようになる:
【0016】
【0017】
該曲線は、その0次、1次及び2次導関数が連続するので、その曲率が連続し、滑らかな曲線に属する。
【0018】
さらに、前記第2遷移曲線分DEは、中間直線分CDの中点に沿ったものを中心線として、第1遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができる。
【0019】
前記方法によれば、ブルーム連続鋳造用の連続曲率凸形ロールも得られる。
従来技術に比べて、本発明の利点は:
1.本技術方案で製造される連続曲率凸形ロールによれば、変形領域で鋳造スラブを均一に変形させ、クラックの発生を低減させることができる;本発明の技術方案を採用すると、凸形ロールの遷移曲線を短縮させることにより、圧延圧力をさらに低減させること、及びスラブ絞り抵抗をさらに低減させることができる;
2.本技術方案で製造される凸形ロールを用いて凝固完了点の軽圧下制御をすることで、鋳造スラブの中心部の緩みを低減させることができ、それにより鋳造スラブの中心部の緻密度を上げ、圧延材の内部品質を改善することができる;
3.本技術方案で製造される凸形ロールを用いて凝固完了点の大圧下技術を実施することで、両側の凝固した凝固シェルによる大きな変形抵抗を回避し、鋳造スラブの中央部に大圧下を行って鋳造スラブの中心部の緻密度を上げることができると共に、凸形ロールと鋳造スラブの接触面積が小さくなり、摩擦力が小さくなるので、鋳造スラブの連続鋳造プロセスのスラブ絞り抵抗も小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明にかかる凸形圧延ロールの輪郭形状の模式図である。
【
図2】
図2は本発明にかかるラグボスの水平方向断面を座標系で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面および実施例に基づいて本発明をさらに説明する。
本発明の目的は、圧延材の表面で生じる欠陥を充分に低減できる軽圧下ロールを提供することである。
【0022】
上記目的に対して、本発明は下記の技術方案を適用する:
図1に示すように、本発明にかかる連続曲率凸形ロールのロール本体の作業部の外輪郭曲線は、第1直線分ABと、第1遷移曲線分BCと、中間直線分CDと、第2遷移曲線分DEと、第2直線分EFとからなる。
【0023】
ただし、第1遷移曲線分BCと、第1直線分ABと、中間直線分CDとは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続している。
【0024】
同様に、第2遷移曲線分DEと、中間直線分CDと、第2直線分EFとは、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続している。
【0025】
本技術方案において、連続的な曲率を持つ第1遷移曲線を形成する方法は下記の通りである:
図2に示す座標系(座標の原点が中間点Oにあり、OとBの二点で2次導関数が連続し、点Aで1次導関数が連続するもの)を構築する。
【0026】
本技術方案において、凸形ロールのラグボスの曲線方程式は、中心点Aに沿って軸対称の曲線であり、曲線OAは曲線の左半分であり、曲線ABは曲線の右半分である。曲線OAはラグボスの曲線の左半分として、曲線ABはラグボスの曲線の右半分として、水平な直線を介してそれらを連結する。
【0027】
前記凸形ロールのラグボスの第1遷移曲線の曲線方程式は、下記の工程で得られるものである:
制限条件が以下の通りである:
【0028】
【0029】
即ち、合計8つの制限条件がある。
ラグボスの遷移曲線が多項式形式であると仮定すると、8つの制限条件があるため、以下のようになるべきである:
【0030】
【0031】
式(1)~(8)の条件を式(9)、(10)、(11)に代入し、8変数線形方程式を連立で解くと、以下のようになる:
【0032】
【0033】
該曲線は、その0次、1次及び2次導関数が連続するので、その曲率が連続し、滑らかな曲線に属する。
【0034】
前記第2遷移曲線分DEは、中間直線分CDの中点に沿ったものを中心線として、第1遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができる。
【0035】
本発明の技術方案を適用する場合の有益な効果は:
本技術方案は凸形ロールによって凝固完了点の軽圧下制御をすることで、統合利用によって鋳造スラブの中心部の緩みを低減させることができ、それにより鋳造スラブの中心部の緻密度を上げ、圧延材の内部品質を改善することができる(鋳造スラブの凝固過程において大きな体積収縮が発生するため、鋳造スラブの体積収縮を補償するために、より大きな圧下量が必要になるが、圧下プロセスにおいて、鋳造スラブには主に両側の凝固した凝固シェルに集中する変形抵抗が発生する)。
【0036】
本発明は凸形ロールを用いて凝固完了点の大圧下技術を実施することで、両側の凝固した凝固シェルによる大きな変形抵抗を回避し、鋳造スラブの中央部に大圧下を行って鋳造スラブの中心部の緻密度を上げることができる。
【0037】
それと共に、凸形ロールと鋳造スラブの接触面積が小さくなり、摩擦力が小さくなるので、鋳造スラブの連続鋳造プロセスのスラブ絞り抵抗も小さくなる。
【0038】
さらに、重要なことに、本技術方案で製造される連続曲率凸形ロールを用いて軽圧下モードで作業すると、変形領域で鋳造スラブを均一に変形させ、クラックの発生を低減させることができる;本発明で製造される凸形ロールの遷移曲線を短縮させることにより、圧延圧力をさらに低減させること、及びスラブ絞り抵抗をさらに低減させることができる。
【0039】
本発明を実施する時、まず本発明にかかる凸形ロールの形状・サイズ要件に応じてブランクを鋳造しておき、ロール本体の作業部の加工において、
図1の外輪郭の形状に合わせて軸線O
1O
2に沿って回転加工することで、連続曲率凸形ロールを得る。既存のフラットロールの場合、まずロール本体の作業部にラグボスをビルドアップ溶接しておき、ロール本体の作業部の加工において、
図1の外輪郭の形状に合わせて軸線O
1O
2に沿って回転加工することで、連続曲率凸形ロールを得ることもできる。
【実施例】
【0040】
前記の第1直線分AB、第3直線分EF、中間直線分CD、第1遷移曲線分BC及び第2遷移曲線分DEについて、テキストが簡潔になるように、なるべくそれらの線分の始端と終端の文字で表すようにする。
【0041】
実施例一:
図2の座標系(座標の原点が中間点Oにあり、OとBの二点で2次導関数が連続し、点Aで1次導関数が連続するもの)において、圧延ロールのロール本体の長さを500mmにし、両端の直線分の長さAB=EF=135mmにし、中間直線分CDの長さを150mmにし、遷移曲線分BCとDEのx軸への投影長さを40mmにし、ラグボス高さH=20mmにし、遷移曲線分BCの曲線方程式を下記のようにした:
【0042】
【0043】
第2遷移曲線分DEは、中間直線分CDの中点に沿ったものを中心線として、第1遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができた。
【0044】
実施例二:
図2の座標系において、圧延ロールのロール本体の長さを500mmにし、両端の直線分の長さAB=EF=115mmにし、中間直線分CDの長さを150mmにし、遷移曲線分BCとDEのx軸への投影長さを60mmにし、ラグボス高さH=20mmにし、遷移曲線分BCの曲線方程式を下記のようにした:
【0045】
【0046】
同様に、遷移曲線分DEは、線分CDの中点に沿ったものを中心線として、遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができた。
【0047】
残りは実施例一と同様にした。
実施例三:
図2の座標系において、圧延ロールのロール本体の長さを500mmにし、両端の直線分の長さAB=EF=115mmにし、中間直線分CDの長さを150mmにし、遷移曲線分BCとDEのx軸への投影長さを60mmにし、ラグボス高さH=30mmにし、遷移曲線分BCの曲線方程式を下記のようにした:
【0048】
【0049】
同様に、遷移曲線分DEは、線分CDの中点に沿ったものを中心線として、遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができた。
【0050】
残りは実施例一と同様にした。
実施例四:
図2の座標系において、圧延ロールのロール本体の長さを500mmにし、両端の直線分の長さAB=EF=135mmにし、中間直線分CDの長さを150mmにし、遷移曲線分BCとDEのx軸への投影長さを40mmにし、ラグボス高さH=15mmにし、遷移曲線分BCの曲線方程式を下記のようにした:
【0051】
【0052】
同様に、遷移曲線分DEは、線分CDの中点に沿ったものを中心線として、遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができた。
【0053】
残りは実施例一と同様にした。
本発明の技術方案で製造される凸形ロールのロール本体の作業部の輪郭曲線によれば、1次導関数が連続し、2次導関数が連続し、曲率が連続している。
【0054】
本発明の技術方案で製造される連続曲率凸形ロールによれば、変形領域で鋳造スラブを均一に変形させ、クラックの発生を低減させることができる;該連続曲率凸形ロールの遷移曲線を短縮させることにより、圧延圧力をさらに低減させること、及びスラブ絞り抵抗をさらに低減させることができる。
【0055】
本発明は金属鋳造の分野に幅広く適用できる。