(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】固体状洗濯織物柔軟剤についての処方設計
(51)【国際特許分類】
D06M 13/463 20060101AFI20220905BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20220905BHJP
D06M 13/17 20060101ALI20220905BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20220905BHJP
D06M 13/192 20060101ALI20220905BHJP
D06M 13/188 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
D06M13/463
D06M15/643
D06M13/17
D06M15/53
D06M13/192
D06M13/188
(21)【出願番号】P 2021517933
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 US2019039713
(87)【国際公開番号】W WO2020006346
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-09
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】カウスタフ ゴーシュ
(72)【発明者】
【氏名】エミリー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ ブル
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0324652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0289116(US,A1)
【文献】特開平04-263669(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176090(WO,A2)
【文献】特開2010-180485(JP,A)
【文献】特開昭63-254199(JP,A)
【文献】特開平10-001870(JP,A)
【文献】特開2006-138063(JP,A)
【文献】国際公開第2006/043059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
D06M 13/00 - 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物であって、前記組成物は、
ヨウ素価が15以下の第4級アンモニウム化合物と、
シリコーンであって、前記第4級アンモニウム化合物対前記シリコーンの重量比が3:1~1.8:1である、シリコーンと、
ポリエチレングリコール、界面活性剤および/または酸のうちの1つまたは複数を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤と、を含み、
前記固体状洗濯織物柔軟化組成物が、100グラムあたりの損失が10グラム未満であると測定される非垂れ性の固体であり、前記損失は、
試料カップに入れた100グラムの前記固体状洗濯織物柔軟化組成物を
反転したまま120°Fの密閉された湯浴中に72時間保持することにより損失する前記固体状洗濯織物柔軟化組成物の質量である、組成物。
【請求項2】
固化のための前記加工助剤が、(A)ポリエチレングリコールおよび酸、(B)界面活性剤および酸、または(C)ポリエチレングリコール、界面活性剤および酸、の組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
固化のための前記加工助剤が、(a)非吸湿性でありかつクエン酸ナトリウム、一クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウムのうちの1つまたは複数を含んでもよい水溶性塩、および/または(b)長鎖脂肪酸もしくは長鎖脂肪酸誘導体を含む安定剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体が、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ステアリンモノエタノールアミド、またはそれらの組み合わせである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記第4級アンモニウム化合物が、式:
【化1】
を有し、式中、R
1およびR
2が、12~24個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3およびR
4が、1~4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xがアニオンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリドまたはエステルクワットであるジアルキル第4級アンモニウム化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンが有機シリコーンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機シリコーンが、ポリアルキルシリコーン、アミノシリコーン、シロキサン、ポリジメチルシロキサン、エトキシル化有機シリコーン、プロポキシル化有機シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化有機シリコーン、またはそれらの混合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第4級アンモニウム化合物対前記シリコーンの重量比が、2.4:1~1.8:1であるか、または2:1未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコール固化剤が、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、およびPEG誘導体、ならびにメトキシポリ(エチレングリコール)のうちの1つまたは複数であり、前記水溶性塩が、ポリカルボン酸の塩である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第4級アンモニウム化合物が、前記固体状組成物の1重量%~30重量%を占め、前記シリコーンが、前記固体状組成物の0.5重量%~20重量%を占め、前記ポリエチレングリコール加工助剤が、前記固体状組成物の0重量%~25重量%を占め、前記界面活性剤加工助剤が、前記固体状組成物の0重量%~25重量%を占め、前記水溶性塩加工助剤が、前記固体状組成物の5重量%~50重量%を占め、前記酸加工助剤が、前記固体状組成物の1重量%~50重量%を占める、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
腐食防止剤、安定剤、および/またはさらなる界面活性剤をさらに含み、固化のための前記界面活性剤加工助剤および/またはさらなる界面活性剤がそれぞれ、非イオン性、アニオン性、および/またはカチオン性界面活性剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記固体状組成物が、少なくとも250グラムの多目的組成物であり、および/または前記固体が、注型または押出された固体であり、前記固体が、カプセル、錠剤、パック、ブリック、またはブロックである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物であって、
ヨウ素価が15以下であり、かつ以下の式:
【化2】
を有し、式中、R
1およびR
2が、12~24個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3およびR
4が、1~4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xがアニオンである、第4級アンモニウム化合物、
シリコーンであって、前記第4級アンモニウム化合物対前記シリコーンの重量比が3:1~1.8:1である、シリコーン、
10~15のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤、および/またはカチオン性界面活性剤と、長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体を含む安定剤と、ポリエチレングリコール、酸、非吸湿性水溶性塩のうちの1つまたは複数と、を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤、を含み、
前記組成物が、100グラムあたりの損失が10グラム未満であると測定される非垂れ性の固体であり、前記損失は、
試料カップに入れた100グラムの前記固体状洗濯織物柔軟化組成物を
反転したまま120°Fの密閉された湯浴中に72時間保持することにより損失する前記固体状洗濯織物柔軟化組成物の質量である、組成物。
【請求項15】
前記非吸湿性水溶性塩が、クエン酸ナトリウム、一クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(a)前記長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体が、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ステアリンモノエタノールアミド、もしくはそれらの組み合わせであり、(b)前記ポリエチレングリコール固化剤が、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、およびメトキシポリ(エチレングリコール)のうちの1つまたは複数であり、(c)前記酸がクエン酸であり、および/または(d)前記水溶性塩が、トリカルボン酸の塩である、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第4級アンモニウム化合物が、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリドまたはエステルクワットであるジアルキル第4級アンモニウム化合物を含み、前記シリコーンが、ポリアルキルシリコーン、アミノシリコーン、シロキサン、ポリジメチルシロキサン、エトキシル化有機シリコーン、プロポキシル化有機シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化有機シリコーン、またはそれらの混合物を含む有機シリコーンであり、前記第4級アンモニウム化合物対前記シリコーンの重量比が、2.4:1~1.8:1であるか、または2:1未満である、請求項14~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
腐食防止剤、安定剤、および/またはさらなる界面活性剤をさらに含み、前記固体状組成物が、少なくとも250グラムの多目的組成物であり、および/または前記固体が、カプセル、錠剤、パック、ブリック、またはブロックの形態の注型または押出された固体である、請求項14~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ウォッシュホイール内で織物を処理するための方法であって、前記方法は、
(a)請求項1~18のいずれか一項に記載の固体状洗濯織物柔軟化組成物を得ることと、
(b)前記固体状洗濯織物柔軟化組成物と水と接触させて、水性懸濁液を形成することと、
(c)ウォッシュホイールに、前記水性懸濁液を分配して、そこで前記水性懸濁液が処理される織物と接触することと、を含む、方法。
【請求項20】
処理された前記織物が、デルタEの値が1超であると測定されるような黄変または織物の色の変化を呈しない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記水性懸濁液の分配が、40℃~60℃の温度の水を用いて、少なくとも10グラム/分である、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条のもと、2018年6月29日に出願された仮出願第62/691,773号に対する優先権を主張するものであり、本明細書では、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、固体状洗濯織物柔軟化組成物および使用用途に関する。特に、固体状洗濯織物柔軟化組成物は、低ヨウ素価の第4級ジアルキル活性物質などの第4級アンモニウム化合物とシリコーンとを組み合わせて、処理されるリネンに著しい黄変または吸水性もしく吸上性の損失を引き起こすことなく、柔軟性をもたらす。有益なことに、固体状洗濯織物柔軟化組成物は、均一な分配速度を有し、かつブロックの垂れまたは崩れのない多目的ブロックとして提供することが可能である。(A)ポリエチレングリコールおよび酸味料、(B)界面活性剤および酸味料、または(C)ポリエチレングリコール、界面活性剤および酸味料、のうちの1つ以上を含む固化のための加工助剤の組み合わせが、第4級アンモニウム化合物およびシリコーンと組み合わされて、安定した固体状組成物が提供される。固化のための加工助剤はまた、非吸湿性水溶性塩および/または安定剤を含んでいてもよい。
【背景技術】
【0003】
自動または手動の洗浄プロセスのいずれかでアルカリ性洗剤および強力な機械的作用を使用して洗濯されたテキスタイルが、乾燥後に不快な硬化感またはざらざら感を引き起こす可能性があることは周知である。これは、テキスタイルを洗浄後にコンディショニング(または織物柔軟化)組成物を含むすすぎ浴で処理して、触った際の柔軟性を戻すことにより克服することが可能である。織物柔軟剤組成物は、一般に、織物柔軟化化合物を織物に付着させるために使用される。一般に、そのような組成物は、水中に分散されたカチオン性織物柔軟剤を含有する。これらの織物柔軟化組成物は、ほとんどの場合、自動プロセスでまたは直接的に手動プロセスで、ディスペンサを介してすすぎ浴に送達される液状組成物である。すすぎで添加される液状柔軟剤には、特定の利点がある。例えば、これらは、取り扱いが容易であり、例えば、分配および測定が容易である。液状柔軟剤はまた、柔軟剤の付着物が織物の領域に濃縮して目に見える染み付きを起こす可能性を最小限に抑える。液状柔軟剤の使用を容易にするために、自動織物柔軟剤ディスペンサが組み込まれたいくつかの自動衣類洗濯機は、好適な分配のための液体形態の織物柔軟剤を必要とする。
【0004】
他方で、液状織物柔軟剤組成物は、高水準の水を含有する。従来の液状織物柔軟剤製品は、通常、約90%~約95%の水を含有する。これらの製品は、大量の包装材、大きな重量の輸送(運送が高くなる)、および小売店での大きな棚スペースを必要とする。廃棄物の削減を目的とした、濃縮織物柔軟剤を製造するという最近の傾向により、環境に対する影響が改善され、さらにかなりの水量である約72%~80%へと液状組成物中の含水量が低減された。しかしながら、あらゆる液状配合物に、長期保管されると配合物が不安定になり、成分が分離する可能性があるというさらなる欠点もある。液状配合物はまた、凍結温度または極度に暖かい温度など、極端な保管温度で問題が生じる可能性がある。
【0005】
当技術分野では、改善された固体状織物柔軟剤組成物が必要とされている。固体状組成物の利点としては、組成物が稠密性であることによって、より少ない重量の輸送が可能になり、運送がより経済的になること、より少ない包装材で済むため、より小型のより簡単に廃棄可能な容器を使用できること、不都合な漏出の可能性が低くなること、および小売店でより少ない棚スペースで済むことが挙げられる。固体状配合物はまた、保管および極端な温度に対してより安定している。
【0006】
固体状組成物には多くの利点があるが、同じ種類および量の活性物質含有量を有する液状柔軟剤に匹敵する性能を有する固体状柔軟剤の配合物を開発することは、依然として難題である。固体状柔軟剤を製造する際の最初の課題は、一般的な保管および輸送温度中に、溶けない、すなわち「垂れない」、または分離しない配合物を開発することである。トリエタノールアミンジエステルクワット(quat)(その一例はメチルビス(獣脂酸エチル(ethyl tallowate))-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート)などの、多くの好ましい生分解性の柔軟化活性物質は、融点が低く、室温で半固体であり、配合して非垂れ性の製品にするのがはるかに困難である。結果として、液状柔軟剤の一般的な活性物質は、固体状組成物の配合での使用に好適ではない。
【0007】
固体状柔軟剤組成物を製造する際のさらなる課題は、水とともに噴霧したときに十分な分配速度を有する配合物を開発することである。織物の柔軟化のための多くの一般的な活性物質は、疎水性であり、不所望な低い分配速度をもたらす。分配速度が遅すぎると、必要な量の配合物を通常のすすぎサイクル中に送達することができなくなる。分配についての別の課題は、分配している最中、または分配の合間にディスペンサの湿った環境で保管している最中を含む、固体状組成物の「垂れ」および崩れである。したがって、これらの課題を克服するために、固体状織物柔軟剤組成物を配合および使用するための組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本明細書の目的は、黄変または吸水性(すなわち、吸上性)の損失を引き起こすことなく、柔軟性を備える、従来の液状組成物と少なくとも同様に機能する固体状織物柔軟剤組成物を提供することである。
【0009】
本明細書のさらなる別の目的は、固体ブロックなどの多目的固体状組成物を分配するための従来の温度で水とともに噴霧したときに十分な分配速度を有する固体状織物柔軟剤を提供することである。
【0010】
本明細書のさらなる別の目的は、一般的な保管および輸送温度の間に「垂れ」ないまたは分離しない固体状織物柔軟剤を提供することである。
【0011】
本明細書のさらなる別の目的は、分配中または分配サイクル間に「垂れ」ないまたは崩れない固体状織物柔軟剤を提供することである。
【0012】
他の目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて解釈される以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
固体状織物柔軟化組成物およびその使用方法の利点は、固体状織物柔軟化組成物により、垂れおよび/または崩れなく多目的組成物が提供されること、ならびに黄変または他の織物変色を引き起こすことなく上質な柔軟性を実現する生成物の所望の分配速度がもたらされることである。
【0014】
一実施形態では、多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物は、ヨウ素価15以下の第4級アンモニウム化合物;シリコーンであって、シリコーンに対する第4級アンモニウム化合物の比が約3:1~約1.8:1であるシリコーン;ポリエチレングリコール、界面活性剤および/または酸味料のうちの1つ以上を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤、を含み、固体状洗濯織物柔軟化組成物は、100グラムあたりの損失が約10グラム未満と測定されるように、120°Fまでの温度で非垂れ性の固体である。
【0015】
さらなる実施形態では、多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物は、ヨウ素価15以下であり、かつ以下の式
【化1】
を有し、式中、R
1およびR
2が、12~24個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3およびR
4が、1~約4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xがアニオンである第4級アンモニウム化合物;シリコーンであって、シリコーンに対する第4級アンモニウム化合物の比が約3:1~約1.8:1であるシリコーン;約10~15のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤と、長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体を含む安定剤と、ポリエチレングリコール、酸味剤、非吸湿性でありかつクエン酸ナトリウム、一クエン酸ナトリウム、および硫酸マグネシウムのうちの1つ以上を含み得る水溶性塩のうちの1つ以上と、を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤、を含み、固体状洗濯織物柔軟化組成物は、100グラムあたりの損失が約10グラム未満と測定されるように、120°Fまでの温度で非垂れ性の固体である。
【0016】
さらなる別の実施形態では、ウォッシュホイール(wash wheel)内で織物を処理するための方法は、本明細書に記載の固体状洗濯織物柔軟化組成物を用意することと、固体状洗濯織物柔軟化組成物と水とを接触させて水性懸濁液を形成することと、水性懸濁液をウォッシュホイールに分配し、そこでこの水性懸濁液を処理すべき織物と接触させることと、を含む。
【0017】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらなる他の実施形態は、例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、実質的に例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態は、特定の固体状組成物およびそれを分配することに限定されておらず、これらは変化してもよく、かつ当業者により理解される。本明細書に使用されるすべての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSIにより認められた形態で示され得る。本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式での説明は単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能性のある部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0019】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語が最初に定義される。別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の実施形態が関係する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、過度の実験を伴うことなく、本発明の実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本実施形態を説明し、請求する際に、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0020】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物もしくは使用溶液の作製のために使用される一般的な測定および液体取扱い手順、それらの手順における不慮の誤差、組成物の作製もしくは方法の実行に使用される成分の製造、供給源、もしくは純度の違いなどにより生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0021】
「活性物質」または「パーセント活性物質」または「重量パーセント活性物質」または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、例えば水または塩などの不活性成分を引いたパーセンテージとして表されるクリーニングに関与する成分の濃度を指す。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、シクロアルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が挙げられ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「吸湿性」という用語は、水分を吸収して保持する材料の能力を指す。本明細書で言及される場合、「非吸湿性」または「吸湿性ではない」とは、湿気などの水分にさらされたときに材料または組成物を液体にし得る量の水分を吸収しない材料またはこの材料を含有する組成物を指す。吸湿性材料は、固体に水を吸収させ、本文脈では、針入度計の値がより低いより柔軟な固体をもたらす。
【0025】
本明細書で使用される場合、「洗濯物」、「リネン」、「織物」、および/または「テキスタイル」という用語は、洗濯機で浄化される品目または物品を指す。一般に、洗濯物とは、テキスタイル材料、織布、不織布、およびニット織物から作製された、またはそれらを含む、任意の品目または物品を指す。テキスタイル材料は、シルク繊維、リネン繊維、綿繊維、ポリエステル繊維、ナイロンのようなポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ならびに綿およびポリエステルブレンドを含むこれらのブレンドのような、天然または合成繊維を含み得る。繊維は、処理済または未処理であり得る。例示的な処理済繊維は、難燃性について処理をされたものを含む。「リネン」という用語は、多くの場合、ベッドシーツ、ピローケース、タオル、テーブルリネン、テーブルクロス、バーモップ、および制服を含む特定のタイプの洗濯物品目を表すために使用されると理解されるべきである。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、一般に、これらに限定されることはないが、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマーなど、ターポリマー、ならびにより高次の「x」量体を含み、それらの誘導体、組み合わせおよびブレンドをさらに含む。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、これらに限定されることはないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称、ならびにそれらの組み合わせを含む、分子のすべての可能な異性体構成を含むものとする。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、分子のすべての可能な幾何学構成を含むものとする。
【0027】
本明細書で使用される場合、「崩れ」という用語は、分配のために水を使用して固体状組成物の一部を水溶液に入れるときに、材料の大きな断片またはチャンクが分配中に固体状組成物から抜け落ちるまたは剥がれ落ちることを指す。固体状組成物が水の分配により柔軟化されるとき、固体状材料の断片またはチャンクは、非意図的および/または非制御的な様式で、分配中または分配間に固体から離れ落ちる。
【0028】
「固体」という用語は、予想される保管条件下で一般的に形状安定な形態の組成物、例えば、粉末、粒子、凝集物、フレーク、顆粒、ペレット、錠剤、ロゼンジ、パック、ブリケット、ブリックまたはブロック、および単位用量または測定された単位用量が引き出される可能性がある部分を指す。固体は、様々な程度の形状安定性を有していてもよいが、一般に、例えば、成形された固体が金型から取り出されるとき、押出された固体が押出機から出るときなどのように、適度な応力、圧力、または単なる重力の下では、知覚できるほど流動せず、実質的にその形状を保持することになる。固体は、様々な程度の表面硬度を有していてもよく、例えば、表面が比較的密で硬く、コンクリートに似ている溶融固体ブロックのそれから、より硬くないと特徴付けられる粘稠性までの範囲であり得る。好ましい実施形態では、固体状組成物は固体ブロックであり、ばら粉末または流動性粉末ではない。
【0029】
「水溶性」という用語は、1重量%超の濃度で水に溶解することができる化合物を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「垂れ」という用語は、小規模なサンプルサイズでの崩れの予測評価を指す。本明細書で言及されるように、垂れの調査において、小規模の固体状組成物は、固体状組成物を柔軟化して緩めるために、長期間にわたり密閉された湯浴(高温多湿条件をシミュレートするため)中で反転されたままで保たれる。垂れは、高い程度のサンプルの柔軟性および質量損失により測定され、これらは、崩れに関連する指標である。記載の固体状組成物による垂れについての測定は、評価される固体状組成物の質量損失に基づく。非垂れ性のブロックとは、72時間にわたり120°Fまでの温度で100グラムあたり約10グラム(10%)未満を損失するブロックである。
【0031】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されると理解される。
【0032】
本明細書に記載の組成物および方法は、本明細書に記載の構成要素および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、これらから実質的になるか、またはこれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から実質的になる」とは、組成物および方法が、さらなるステップ、構成要素、または成分を含み得るが、ただしそのさらなるステップ、構成要素、または成分が、特許請求される組成物および方法の基本的かつ新規の特徴を著しく変更しない場合に限ることを意味する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される」という用語は、特定のタスクを行なうか、または特定の形態に適合するように構築もしくは構成されたシステム、装置、または他の構造を説明することに留意されたい。「構成される」という用語は、配列され構成される、構築され配列される、適合され構成される、および適合され、構築され、製造され、配列されるなどの他の類似した語句と同じ意味で使用され得る。
【0033】
固体状織物柔軟剤組成物
本開示による固体状織物柔軟剤組成物は、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物(ヨウ素価15以下)と、シリコーンと、固化のための少なくとも1つの加工助剤と、任意選択的に塩および/またはさらなる機能性成分と、を含むか、これらからなるか、および/またはこれらから実質的になる。
【0034】
固体状織物柔軟剤組成物の例示的な範囲は、表1A~1Cに固体状組成物の重量パーセンテージで示される。
【表1】
【表2】
【表3】
【0035】
第4級アンモニウム化合物
第4級アンモニウム化合物は、液状配合物におけるそれらの織物柔軟化能力について当技術分野で長く知られており、以下の一般式:
【化2】
を有し、式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ、C1~C24脂肪族、通常または分岐した飽和または不飽和炭化水素基、アルコキシ基(R--O--)、ポリアルコキシ基、ベンジル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基(HOR--)などであり得て、Xは、アニオンであり、好ましくは、ハロゲン化物、硫酸メチルまたは硫酸エチル基から選択される。第4級アンモニウム化合物は、織物柔軟化特性を付与する様式で構成要素の使用を可能にする任意のアニオンまたは対イオンを含んでいてもよい。例示的な対イオンとしては、塩化物イオン、硫酸メチルイオン、硫酸エチルイオン、および硫酸イオンが挙げられる。
【0036】
固体状織物柔軟化組成物の好ましい態様では、第4級アンモニウム化合物は、以下の一般式:
【化3】
を有し、式中、R
1およびR
2は、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約14~約22個の炭素原子、またはさらにより好ましくは約14~約20個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3およびR
4は、約1~約4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xは、好適なアニオン、例えば、ハロゲン化物アニオンである。好ましい第4級アンモニウム化合物は、ヒドロカルビル基の高度に飽和した炭素骨格(すなわち、高い飽和度のアルキル基)を有する。本明細書で言及される場合、「高度に飽和した」炭素骨格は、第4級アンモニウム化合物のヨウ素価が低いこと、すなわちヨウ素価が15以下であることにより表される。高ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物は、15超のヨウ素価を有し、本明細書に開示される固体状組成物に含めるのに好適ではない。特定の作用機序に限定されるものではないが、15以下のヨウ素価を有する第4級アンモニウム化合物は、第4級アンモニウム化合物の高度に飽和したアルキル鎖またはアルキル骨格を形成する。液体の安定性および加工性のために高い不飽和度が必要とされる液状配合物とは異なり、固体状組成物は、高度不飽和第4級アンモニウム化合物を含むことができない。というのも、これらは、より高い不飽和度に基づいて次第に柔軟になり、固体状組成物に適さないからである。
【0037】
これらの第4級アンモニウム化合物の代表的な例としては、例えば、ジ(タローアルキル)ジメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジヘキサデシルジエチルアンモニウムクロリド、ジ(ココナッツアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、およびジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
固体状織物柔軟化組成物に有用な第4級アンモニウム化合物のさらなる代表的な例としては、モノ-C8~C24アルキルトリメチル第4級アンモニウム化合物、モノメチルトリ-C8~24アルキル第4級アンモニウム化合物、イミダゾリニウム第4級アンモニウム化合物、ジメチル-C8~24アルキルベンジル第4級アンモニウム化合物、複合ジ第4級アンモニウム化合物、ジ-C8~24アルキルジメチル第4級アンモニウム化合物、モノまたはジアルキルジまたはトリアルコキシ第4級アンモニウム化合物、モノまたはジアルキルジまたはトリポリアルコキシ第4級アンモニウム化合物(アルコキシ基は、メトキシ、エトキシもしくはプロポキシ基、またはヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロピルであり、ポリアルコキシは、2~50個のアルコキシ基を有するポリエトキシまたはポリプロポキシ基である)、ジアミドアミン-メチル-C8~C22アルキル-第4級アンモニウム化合物、およびジ-C8~C22アルキルメチルベンジル第4級アンモニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0039】
固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、アルキル基などの飽和炭化水素基を十分に有して15以下のヨウ素価を有する第4級アンモニウム化合物を含み得る。さらなる実施形態では、固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、約8~約24個の炭素原子、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約14~約22個の炭素原子、またはさらにより好ましくは約14~約20個の炭素原子を有するR1およびR2について飽和アルキル基を有するジアルキル第4級アンモニウム化合物を含み得る。好ましい態様では、ジアルキル第4級アンモニウム化合物は、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド(DHTDMAC)またはエステルクワットである。
【0040】
固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、例えばジアミドアミン第4級アンモニウム化合物を含む、アミドアミン第4級アンモニウム化合物を含み得る。例示的なジアミドアミン第4級アンモニウム化合物は、Varisoft(登録商標)という名称で入手可能である。例示的なアミドアミン第4級アンモニウム化合物としては、メチルビス(タローアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、メチルビス(オレイルアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、およびメチルビス(水素化タローアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェートが挙げられる。
【0041】
固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、イミダゾリニウム第4級化合物を含み得る。例示的なイミダゾリニウム第4級アンモニウム化合物としては、メチル-1水素化タローアミドエチル-2-水素化タローイミダゾリニウムメチルスルフェート、メチル-1-タローアミドエチル-2-タローイミダゾリニウムメチルスルフェート、メチル-1-オレイルアミドエチル-2-オレイルイミダゾリニウムメチルスルフェート、および1-エチレンビス(2-タロー,1-メチル,イミダゾリニウム-メチルスルフェート)が挙げられる。
【0042】
固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、アルキル化第4級化合物を含み得る。例示的なアルキル化第4級アンモニウム化合物としては、6~24個の炭素原子を含むアルキル基を有するアンモニウム化合物が挙げられる。例示的なアルキル化第4級アンモニウム化合物としては、モノアルキルトリメチル第4級アンモニウム化合物、モノメチルトリアルキル第4級アンモニウム化合物、およびジアルキルジメチル第4級アンモニウム化合物が挙げられる。アルキル基は、好ましくは、脂肪族および飽和の直鎖または分岐鎖C12~C24、C14~C24、C14~C22、またはC14~C20基である。
【0043】
固体状織物柔軟化組成物は、好ましくは、エステル第4級化合物を含み得る。エステルクワットは、少なくとも1つのエステル結合を介して分子に接続された少なくとも2つ以上のアルキルまたはアルケニル基を有する化合物を指す。エステル第4級アンモニウム化合物には、少なくとも1つのエステル結合が存在していても、または2つ以上のエステル結合が存在していてもよい。例示的なエステル第4級アンモニウム化合物としては、例えば、トリエタノールアンモニウムメチルスルフェートおよびN,N-ジ(タローオイルオキシエチル)N,N-ジメチルアンモニウムクロリドのジアルケニルエステル、ポリオールエステルクワット(PEQ)が挙げられる。化合物の商業的な例としては、トリエタノールアンモニウムメチルスルフェートのジオレイン酸エステル、トリエタノールアンモニウムメチルスルフェートのジオレイン酸エステル、トリエタノールアンモニウムエチルスルフェートの部分硬化タローエステル、トリエタノールアンモニウムメチルスルフェートのパームエステル、トリエタノールアンモニウムメチルスルフェートの硬化タローエステル、トリエタノールアミンジメチルスルフェートが第4級化された不飽和カルボン酸反応生成物が挙げられるが、これらに限定されることはない。さらなる例としては、トリエタノールアミン(TEA)エステルクワット(例えば、メチルビス(獣脂酸エチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート)、メチルジエタノールアミン(MDEA)エステルクワット、ジアミドクワット(例えば、メチルビス(水素化タローアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート)、およびジアルキルジメチルクワット(例えば、二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド)が挙げられる。好ましいエステルクワットは、アルキルカルボン酸画分、メチルエステルおよびトリグリセリドとトリエタノールアミンとの反応から作製されたものである。第4級アンモニウム織物柔軟化活性物質のさらなる説明は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,769,159号に開示されている。
【0044】
用いられる第4級アンモニウム織物柔軟化活性物質は、低いヨウ素価を有する。ヨウ素価は、第4級アンモニウム化合物のアルキル鎖またはアルキル骨格の不飽和を測定したものである。一実施形態では、ヨウ素価が、15以下、約15未満、約14未満、約13未満、約12未満、約11未満、約10未満、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2未満、約1未満、または0でさえあることにより、本明細書に記載のシリコーン活性物質との組み合わせにおいて、有益な固体状の第4級物配合物がもたらされる。ヨウ素価は、ASTM D5554-15のStandard Test Method for Determination of the Iodine Value of Fats and Oilsに従って計算可能であり、ここで、第4級アンモニウム化合物のアルキル鎖またはアルキル骨格のヨウ素価を決定するために、同じ方法が使用される。
【0045】
一実施形態では、第4級アンモニウム化合物のうちの1つ以上が固体状組成物に含まれ得る。第4級アンモニウム織物柔軟化活性物質は、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、約1重量%~約30重量%、好ましくは約1重量%~約25重量%、好ましくは約5重量%~約25重量%、最も好ましくは約5重量%~約15重量%の範囲の水準で存在する。
【0046】
シリコーン
固体状織物柔軟化組成物は、少なくとも1つのシリコーン化合物を含む。好適なシリコーンとしては、ポリアルキルシリコーン、アミノシリコーン、シロキサン、ポリジメチルシロキサン、エトキシル化有機シリコーン、プロポキシル化有機シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化有機シリコーンなどの有機シリコーンおよびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、有機シリコーンは、アミノ官能性シリコーンである。
【0047】
有機シリコーンは、織物に柔軟性および平滑性をもたらすのみならず、特に複数回の洗濯洗浄サイクルの後に、色についての外観面での相当な利益を織物にもたらす。例示的な有機シリコーンは、Si--O部分を含み、(a)非官能化シロキサンポリマー、(b)官能化シロキサンポリマー、およびそれらの組み合わせから選択され得る。有機シリコーンの分子量は、通常、材料の粘度を参照することにより示される。一態様では、有機シリコーンは、25℃で約10~約2,000,000センチストークスの粘度を含み得る。別の態様では、好適な有機シリコーンは、25℃で約10~約800,000センチストークスの粘度を有し得る。好適な有機シリコーンは、直鎖であっても、分岐鎖であっても、または架橋されていてもよい。好適な有機シリコーンは、純粋な液体の形態にあっても、溶媒との組み合わせの形態にあっても、または水中エマルションの形態にあってもよい。水性エマルションが使用される場合、大量の液体が固化プロセスを複雑にする可能性があるため、組成物に添加される液体の量を最小限に抑えるために、好ましいシリコーンは、できる限り濃縮される。
【0048】
直鎖または分岐鎖構造のシリコーンポリマーもまた、固体状織物柔軟化組成物に使用することが可能である。本発明のシリコーンはさらに、単一のポリマーまたはポリマー混合物であり得る。好ましい態様では、シリコーンは、直鎖または分岐鎖構造のアミノ官能性シリコーンポリマーであり得て、かつさらに単一のポリマーまたはポリマー混合物(ポリマーのうちの1つがアミノ官能基を含まないポリマー混合物を含む)であり得るアミノ官能性シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサンポリマーである。
【0049】
好ましい態様では、シリコーンは、エステルベースのポリシロキサンを含まない。特に、エステルベースのポリシロキサンとしては、その開示が参照により組み込まれる米国特許出願公開第2019/0024018号に記載のような開裂可能な結合を有するポリマーが挙げられる。固体状組成物のシリコーン化合物から除外されるこれらのポリシロキサンとしては、以下の式(I):
【化4】
の単位を少なくとも1つ有するシロキサンポリマーが挙げられ、式中、
(a)Lは、二価アルキレン結合基であり、R
2はそれぞれ、独立して、H、C
1~C
4アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、sはそれぞれ、独立して、2~約12の整数であり、yはそれぞれ、独立して、1~約100の整数であり、
(b)X
1およびX
2はそれぞれ、独立して、
【化5】
からなる群から選択され、Eは、電子吸引性基であり、R
4部分はそれぞれ、独立して、H、C
1~C
32アルキル、C
1~C
32置換アルキル、C
6~C
32アリール、C
5~C
32置換アリール、C
6~C
32アルキルアリール、C
6~C
32置換アルキルアリールからなる群から選択され、Zはそれぞれ、独立して、
【化6】
からなる群から選択され、指数jは、1~32の整数であり、
(c)R
1はそれぞれ、独立して、H、OH、C
1~C
32アルキル、C
1~C
32置換アルキル、C
6~C
32アリール、C
5~C
32置換アリール、C
6~C
32アルキルアリール、C
6~C
32置換アルキルアリール、C
1~C
32アルコキシ、およびC
1~C
32置換アルコキシからなる群から選択され、
(d)R
3はそれぞれ、独立して、C
1~C
32アルキレン、C
1~C
32置換アルキレン、C
6~C
32アリール、C
5~C
32置換アリール、C
6~C
32アルキレンアリール、およびC
5~C
32置換アルキレンアリールからなる群から選択され、
(e)指数mはそれぞれ、1または0であり、
(f)qはそれぞれ、1または0であり、
(g)指数pはそれぞれ、約2~約1000の整数であり、かつ
(h)指数nは、約1~約50の整数である。
【0050】
シリコーンは、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、約0.5重量%~約20重量%、好ましくは約1重量%~約20重量%、最も好ましくは約1重量%~約10重量%の範囲の水準で存在する。
【0051】
特定の作用機序に限定されるものではないが、固体状織物柔軟剤組成物中のシリコーンに対するジアルキル第4級アンモニウム化合物の比は、約3:1未満、好ましくは約2.4:1~約1.8:1、または最も好ましくは約2:1~の比で設けられている場合、処理表面に悪影響を与えることなく効果的な柔軟化をもたらす。
【0052】
固化のための加工助剤
固体状織物柔軟化組成物はまた、固化のための少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの加工助剤を含む。固化のための加工助剤は、組成物を固体形態に維持することに関与する。固体状組成物の他の構成要素も固体であり得るものの、固化剤は、固体および液体の構成要素を含む組成物全体を固体形態で維持することができる。一実施形態では、本明細書で言及される固体形態の固体状織物柔軟化組成物は、固体ブロックであり、ばら粉末または流動性粉末ではない。加工助剤は、組成物に他の有利な特徴をもたらすことができる。例えば、加工助剤は、分配および使用中の固体状織物柔軟化組成物の垂れまたは崩れを低減することができる。加工助剤は、1つ以上のポリエチレングリコール、界面活性剤、酸味料(長鎖脂肪酸またはその塩など)、安定剤、および/または塩を含むか、これらからなるか、またはこれらから実質的になり得る。
【0053】
一実施形態では、固化のための加工助剤は、1つ以上の非潮解性物質を含む。有益なことに、非潮解性物質を含むことにより非吸湿性物質が形成され、そのため、(固体状組成物の分配中などに)固体状組成物が湿気にさらされたときに、組成物は、水を吸収しないか、または液体になるのに十分な水を吸収しない。これは、分配の課題を理由として、すなわち、固体状組成物がさらされる湿った環境を理由として重要である。
【0054】
ポリエチレングリコール
固化に好適な加工助剤としては、少なくとも1つの固体ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEGが、固体状織物柔軟化組成物に含まれ得る。例えば、PEG200~PEG20,000までである。特定の実施形態では、PEGとしては、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、および誘導体などのうちの少なくとも1つが挙げられる。特定の実施形態では、PEGとしては、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、および誘導体などのうちの少なくとも2つを組み合わせたものが挙げられる。別の実施形態では、固化のための加工助剤としては、メトキシポリ(エチレングリコール)が挙げられ得る。好ましい実施形態では、分子量の異なる2つ以上のPEGが、固体状織物柔軟化組成物に含まれる。別の好ましい実施形態では、MPEG(メトキシポリ(エチレングリコール))が加工助剤として用いられ、これは他の加工助剤と組み合わされてもよい。
【0055】
PEGは、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、約0重量%~約25重量%、約5重量%~約25重量%、好ましくは約5重量%~約20重量%、最も好ましくは約5重量%~約15重量%の範囲の水準で存在する。
【0056】
塩
塩、好ましくは水溶性塩も、固化マトリックスに含まれ得る。水溶性塩を含む塩は、有機または無機のいずれかであり得る。水溶性塩としては、例えば二酸および三酸を含む、1個より多くのカルボキシレート基を有する酸であるポリカルボン酸の塩、例えば、クエン酸塩が挙げられる。水溶性塩としては、カルボン酸(脂肪族、酢酸、ギ酸)、芳香族(安息香酸、サリチル酸)、もしくはジカルボン酸、例えば、シュウ酸、フタル酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸などの酸、トリカルボン酸、例えばクエン酸、カルボン酸、例えば脂肪族(オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸)もしくは芳香族(フェニルステアリン酸)、またはさらには水溶性アミノ酸の塩、またはナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび/またはモノエタノールアミンをカチオンとして有するものなどの塩が挙げられる。塩としては、例えば硫酸塩などを含む中性塩が挙げられ得る。酸の好ましい塩は、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸一ナトリウムである。
【0057】
塩は、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、約0重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約50重量%、好ましくは約20重量%~約40重量%、最も好ましくは約25重量%~約40重量%の範囲の水準で存在する。
【0058】
酸味料
固体状織物柔軟化組成物はまた、酸味料を含み得る。酸は、組成物の他の成分と適合していなければならない。1つ以上の酸味料が、固体状織物柔軟化組成物に含まれ得る。
【0059】
シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン)酸、1-ヒドロキシエチリジン-1,1-ジホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、二フッ化アンモニウムまたはナトリウム、ケイフッ化アンモニウムまたはナトリウム、重硫酸アンモニウムまたはナトリウム、重亜硫酸アンモニウムまたはナトリウム、ヒドロキシ酢酸、リン酸、スルファミン酸を含むがこれらに限定されることのない広範囲の酸物質が使用され得る。
【0060】
一実施形態では、好ましいクラスの酸味剤は、ジカルボン酸などのポリカルボン酸である。好ましい酸としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい酸味料は、アジピン酸と、グルタル酸と、コハク酸との混合物であり、これは、BASFによりSOKALAN(登録商標)DCSという名称で販売されている原材料である。
【0061】
いくつかの用途では、pHに影響を与えるのみならず、2~8のpH範囲にわたり鉄をキレート化することが可能な酸を使用することが好ましい。第2鉄および第1鉄の酸化状態の双方にある溶存鉄は、織物の洗濯に使用される多くの水道に見られる。鉄は、地下水または地表水を問わない水源から、または市営水道もしくは現場の配管に使用される鉄パイプから、水道に入り得る。0.5ppm未満の少量の溶存鉄でも、白色の織物が黄色になったり、色付きの織物が経時的に変色したりする可能性がある。硬水からカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを除去するために使用される軟水化装置は、水から厄介な鉄イオンを完全に除去するわけではない。好ましい鉄キレート化酸としては、クエン酸、グルコン酸、およびアミノトリ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。クエン酸は、酸性化し、好適な範囲で緩衝し、鉄をキレート化し、織物および肌に優しいため、最も好ましい酸物質である。
【0062】
組成物中の酸味料濃度は、約0重量%~約60重量%、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、好ましくは約10重量%~約40重量%、または好ましくは約20重量%~約40重量%の範囲にある。
【0063】
さらなる機能性成分
固体状織物柔軟化組成物の構成要素は、洗濯物の柔軟化用途での使用に好適な様々な機能性構成要素とさらに組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、第4級アンモニウム化合物、シリコーン、および固化のための加工助剤、を含む固体状織物柔軟化組成物は、固体状組成物の総重量の大部分または実質的にすべてさえ占める。例えば、いくつかの実施形態では、さらなる機能性成分は、ほとんどまたは全く、その中に配置されていない。
【0064】
他の実施形態では、さらなる機能性成分が、本組成物中に含まれていてもよい。機能性成分は、組成物に所望の性質および機能性を付与する。本出願の目的について、「機能性成分」という用語は、使用溶液および/または濃縮溶液、例えば、水溶液または水性懸濁液中に分散または溶解される場合に、織物の柔軟化ならびに/または固体状組成物の安定性の維持および好適な分配において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に考察されるが、考察される特定の材料は単に例として挙げられているだけであり、多様な他の機能性成分が使用されてもよい。
【0065】
好ましい実施形態では、組成物は腐食防止剤を含む。他の実施形態では、組成物には、さらなる塩、消泡剤、再付着防止剤、溶解度調整剤、分散剤、安定剤、封鎖剤および/またはキレート化剤、界面活性剤(非イオン性界面活性剤を含む)、抗しわ剤、蛍光増白剤、芳香剤および/または染料、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒、酵素、土壌放出剤、染料捕捉剤、デンプン/クリスピング剤、殺菌剤/殺真菌薬、抗酸化剤または他のスキンケア成分、消毒剤、ならびに残留保護のための成分などが含まれ得る。
【0066】
界面活性剤
固体状組成物はまた、任意の湿潤剤または界面活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤(複数可)が、固化のための加工助剤として含まれる。いくつかの実施形態では、界面活性剤で、PEGなどの固化のための別の加工助剤の少なくとも一部を置き換えることができる。
【0067】
好ましくは、利用される界面活性剤としては、水溶性または水分散性の非イオン性、半極性非イオン性、カチオン性、アニオン性、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるものが挙げられる。一実施形態では、第4級アンモニウム化合物との適合性を理由として、非イオン性またはカチオン性界面活性剤が好ましい。特に、HLB値が約10~約15の間の非イオン性界面活性剤が好ましい。HLB(親水性親油性バランス)は、水への界面活性剤の溶解度を指す。両親媒性分子の相対的な親水性を比較する手段として、HLBスケールが導き出された。HLB値が10以上の分子は、分子が親水性かつ水溶性であることを示す。HLB値が10未満の分子は、分子が疎水性かつ非水溶性であることを示す。HLB系は、技能のある界面活性剤化学者に周知であり、出版物“The HLB System”,ICI Americas(1987)などの文献で説明されている。織物柔軟剤組成物にとって本明細書で有用であり得る界面活性剤のクラスおよび種の代表的な一覧は、米国特許第3,664,961号およびKirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume8に記載されており、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
非イオン性界面活性剤
また、本発明において有用なのは、非イオン性物質として分類される界面活性物質である。固体状組成物に有用な好ましい非イオン性界面活性剤としては、アルコールエトキシレート界面活性剤が挙げられる。市販のアルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、Tomahから入手可能なTomadol 25-7、Henkelから入手可能なDehypon LS 54、BASFから入手可能なPluronic N-3、Plurafac LF-221、Plurafac D-25、およびSLF-18が挙げられる。さらなるPluronicsとしては、Pluronics F-108(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))などのブロックコポリマーが挙げられ得る。
【0069】
有用な非イオン性界面活性剤は、以下を含む。
1.開始剤反応性水素化合物としてのプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンをベースとしたブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.から市販されている。1つのクラスの化合物は、エチレンオキシドと、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加により形成される疎水性塩基とを縮合することにより形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、約1,000~約4,000の重量がある。次いで、エチレンオキシドは、この疎水性物質(hydrophobe)を親水基の間に挟み込むように添加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さにより制御される。化合物の別のクラスは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続的な添加に由来する三官能性ブロック共重合体である。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は約500~約7,000の範囲であり、親水性物質(hydrophile)のエチレンオキシドは分子の約10重量%~約80重量%を構成するように付加される。
【0070】
2.直鎖もしくは分岐鎖構成の、または単一もしくは二重アルキル構成物質のアルキル鎖が約8~約18個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールの、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、重合プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルにより代表され得る。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であり得る。この化学の商業的化合物の例は、Rhone-Poulenc製のIgepal(登録商標)およびUnion Carbide製のTriton(登録商標)の商標名で市販されている。
【0071】
3.約6~約24個の炭素原子を有する、1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖アルコールの、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上で描写された炭素範囲内のアルコールの混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなり得る。同様の商業的界面活性剤の例は、BASF製のUtensil(商標)、Dehydol(商標)、Shell Chemical Co.製のNeodol(商標)、およびVista Chemical Co.製のAlfonic(商標)の商標名で入手可能である。
【0072】
4.約8~約18個の炭素原子を有する、1モルの飽和または不飽和直鎖または分岐鎖カルボン酸の、約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記に定義された炭素原子範囲内の酸の混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。この化学の商業的化合物の例は、BASF製のDisponilまたはAgnique、およびLipo Chemicals,Inc.製のLipopeg(商標)の商標名で市販されている。
【0073】
一般的にポリエチレングリコールエステルと呼ばれるエトキシル化カルボン酸に加えて、グリセリド、グリセリン、および多価(サッカリドまたはソルビタン/ソルビトール)アルコールとの反応により形成される他のアルカン酸エステルは、特殊化された実施形態、特に間接的食品添加剤用途について本発明における用途を有する。これらのエステル部分はすべて、その分子上に、これらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化またはエチレンオキシド(アルコキシド)付加に供され得る1つ以上の反応性水素部位を有する。これらの脂肪エステルもしくはアシル化炭水化物を、アミラーゼおよび/もしくはリパーゼ酵素を含有する本発明の組成物に追加する場合、不適合性の可能性があるため、注意しなければならない。
【0074】
非イオン性低発泡性界面活性剤の例は、以下を含む。
5.エチレンオキシドをエチレングリコールに付加して指定の分子量の親水性物質を提供し;次いでプロピレンオキシドを付加して分子の外側(端部)に疎水性ブロックを得ることにより改質され、実質的に反転された(1)からの化合物。分子の疎水性部分は、最終的な分子の10重量%~約80重量%を含む中心の親水性物質を有し、約1,000~約3,100の重量がある。これらの反転Pluronics(商標)は、BASF CorporationによりPluronic(商標)R界面活性剤の商標名で製造されている。同様に、Tetronic(商標)R界面活性剤は、BASF Corporationにより、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次的付加により製造されている。分子の疎水性部分は、最終的な分子の10重量%~80重量%を含む中心の親水性物質を有し、約2,100~約6,700の重量がある。
【0075】
6.プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジルなどの疎水性小分子;および1~約5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコールまたはアルキルハロゲン化物;ならびにそれらの混合物との反応により発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基(複数可)を「キャッピング」または「端部ブロッキング」することにより改質された、グループ(1)、(2)、(3)および(4)からの化合物。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニルなどの反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基へのそのような修飾は、オールブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、またはオールヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0076】
有効な低発泡性非イオン性物質のさらなる例は、以下を含む。
7.1959年9月8日にBrownらに発行された米国特許第2,903,486号の、式:
【化7】
により表され、式中、Rが8~9個の炭素原子のアルキル基であり、Aが3~4個の炭素原子のアルキレン鎖であり、nが7~16の整数であり、mが1~10の整数である、アルキルフェノキシポリエトキシアルカノール。
【0077】
末端疎水性鎖の重量、中間疎水性単位の重量、および連結親水性単位の重量がそれぞれ縮合物の約3分の1を表す、交互親水性オキシエチレン鎖および疎水性オキシプロピレン鎖を有する、1962年8月7日にMartinらに発行された米国特許第3,048,548号のポリアルキレングリコール縮合物。
【0078】
一般式Z[(OR)nOH]zを有する、1968年5月7日にLissantなどに発行された米国特許第3,382,178号に開示される消泡性非イオン性界面活性剤であって、Zがアルコキシル化可能な材料であり、Rが、エチレンおよびプロピレンであり得るアルキレンオキシドに由来するラジカルであり、nが、例えば、10~2,000以上の整数であり、zが反応性オキシアルキル化可能な基の数により決定される整数である、消泡性非イオン性界面活性剤。
【0079】
式Y(C3H6O)n(C2H4O)mHに対応する、1954年5月4日にJacksonなどに発行された米国特許第2,677,700号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物であって、Yが約1~6個の炭素原子および1個の反応性水素原子を有する有機化合物の残基であり、nがヒドロキシル価により決定される少なくとも約6.4の平均値を有し、mがオキシエチレン部分が分子の約10重量%~約90重量%を構成するような値を有する、共役ポリオキシアルキレン化合物。
【0080】
式Y[(C3H6On(C2H4O)mH]x(式中、Yは、約2~6個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、少なくとも約2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nは、ポリオキシプロピレン疎水性塩基の分子量が少なくとも約900であるような値を有し、mは、分子のオキシエチレン含量が約10重量%~約90重量%であるような値を有する)を有する、1954年4月6日にLundstedなどに対して発行された米国特許第2,674,619号に記載の共役ポリオキシアルキレン化合物。Yについての定義の範囲内に該当する化合物は、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンなどを含む。オキシプロピレン鎖は、任意選択的であるが、有益なことに、少量のエチレンオキシドを含有し、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的であるが、有益なことに、少量のプロピレンオキシドを含有する。
【0081】
本発明の組成物において有利に使用されるさらなる共役ポリオキシアルキレン表面活性剤は、式:P[(C3H6O)n(C2H4O)mH]xに対応し、式中、Pが約8~18個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子を含む有機化合物の残基であり、xが1または2の値を有し、nがポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも約44であるような値を有し、mが分子のオキシプロピレン含量が約10重量%~約90重量%であるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択的に、しかし有利に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択的に、しかし有利に、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0082】
8.本組成物における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、構造式R2CONR1Z(式中、R1は、H、C1~C4ヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシ基、またはそれらの混合であり;R2は、直鎖であってもよいC5~C31ヒドロカルビルであり;Zは、鎖に直接接続された少なくとも3つのヒドロキシルを有するヒドロカルビル直鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、またはそのアルコキシル化誘導体(好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化)である)を有するものを含む。Zは、グリシチル部分のような、還元アミン化反応において還元糖に由来し得る。
【0083】
9.脂肪族アルコールの約0~約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物は、本組成物における使用に好適である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖または分岐鎖であり、第1級または第2級であり得て、また一般に、6~22個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子、最も好ましくは12~16個の炭素原子を含む。
【0084】
10.エトキシル化C6~C18脂肪アルコールおよびC6~C18混合エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、特に水溶性のものは、本組成物における使用に好適な界面活性剤である。好適なエトキシル化脂肪アルコールは、3~50のエトキシル化度を有するC6~C18エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0085】
11.特に本組成物における使用に好適な非イオン性アルキルポリサッカリド界面活性剤は、1986年1月21日に発行された米国特許第4,565,647号、Llenadoに開示されるものを含む。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子を含有する疎水性基およびポリサッカリド、例えば、ポリグリコシド、約1.3~約10個のサッカリド単位を含む親水性基を含む。5または6個の炭素原子を含有する任意の還元サッカリドが、使用され得、例えば、グルコース、ガラクトース、およびガラクトシル部分は、グルコシル部分に置換され得る。(任意選択的に、疎水基は、2位、3位、4位などで結合し、したがって、グルコシドまたはガラクトシドとは対照的にグルコースまたはガラクトースをもたらす。)サッカリド間結合は、例えば、さらなるサッカリド単位の1つの位置と、先行するサッカリド単位上の2位、3位、4位、および/または6位との間にあり得る。
【0086】
12.本組成物における使用に好適な脂肪酸アミド界面活性剤は、式:R6CON(R7)2を有するものを含み、式中、R6が7~21個の炭素原子を含むアルキル基であり、R7がそれぞれ、独立して、水素、C1~C4アルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、または--(C2H4O)XHであり、式中、xが1~3の範囲内である。
【0087】
13.非イオン性界面活性剤の有用なクラスとしては、アルコキシル化アミン、または、最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤として定義されるクラスが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式:R20--(PO)SN--(EO)tH、R20--(PO)SN--(EO)tH(EO)tH、およびR20--N(EO)tHにより表され得、式中、R20がアルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOがオキシエチレンであり、POがオキシプロピレンであり、sが1~20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲における他の変形例は、代替の式:R20--(PO)V--N[(EO)wH][(EO)zH]により表され得、式中、R20が上で定義された通りであり、vが1~20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzが独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。このクラスの好ましい化学薬品は、Surfonic(商標)PEA25アミンアルコキシレートを含む。本発明の組成物に好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、EO/POブロックコポリマー、アルキルフェノールアルコキシレートなどを含む。
【0088】
論文、Nonionic Surfactants, edited by Schick,M.J.,Vol.1 of the Surfactant Science Series,Marcel Dekker,Inc.,New York,1983は、本発明の実施において一般的に用いられる広範な非イオン性化合物に関する優れた参考文献である。非イオン性クラス、およびこれらの界面活性剤の種の一般的なリストは、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and detergents”(第I巻および第II巻、Schwartz、PerryおよびBerch)に記載されている。
【0089】
アニオン性界面活性剤
また、疎水性物質の電荷が負であるためアニオン性物質として分類される表面活性物質、またはpHが中性以上に上昇しない限り分子の疎水性部分が電荷を担持しない界面活性剤(例えば、カルボン酸)も、組成物において有用である。カルボキシレート、スルホン酸塩、硫酸塩、およびリン酸塩は、アニオン性界面活性剤に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と関連したカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。アニオン性界面活性剤は、約1重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%の量で添加され得る。
【0090】
本発明の組成物での使用に好適なアニオン性硫酸塩界面活性剤は、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖および分岐第1級および第2級アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテル硫酸塩、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)および-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、ならびにアルキル多糖類の硫酸塩、例えばアルキルポリグルコシドの硫酸塩などを含む。また、エチレンオキシドおよびノニルフェノールのスルフェートまたは濃縮生成物(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)などの、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも含まれる。
【0091】
本組成物での使用に好適なアニオン性スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホネート、線状および分岐状第1級および第2級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有しない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0092】
本組成物での使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、スルホン化脂肪酸、例えば、スルホン化オレイン酸などが挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な第2級カルボキシレートとしては、第2級炭素に接続されたカルボキシル単位を含むものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、一般に、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含まない。さらに、これらは、一般に、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第2級石鹸界面活性剤は、一般に、11~13個の総炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、16個まで)が存在し得る。好適なカルボキシレートとしてはまた、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(および塩)が挙げられる。
【0093】
好適なアニオン性界面活性剤としては、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが挙げられ、
R-O-(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
m-CO
2X(3)
式中、Rは、C
8~C
22アルキル基であるか、または
【化8】
であり、R
1は、C
4~C
16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオン、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態では、nは4~10の整数であり、mは1である。いくつかの実施形態では、Rは、C
8~C
16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C
12~C
14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0094】
他の実施形態では、Rは、
【化9】
であり、R
1は、C
6~C
12アルキル基である。またさらに他の実施形態では、R
1は、C
9アルキル基であり、nは10であり、mは1である。そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、一般に、酸の形態として入手可能であり、それらは、アニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。
【0095】
カチオン性界面活性剤
分子のヒドロトロープ部分の電荷が正である場合、カチオン性界面活性剤として分類される界面活性物質もまた、組成物において有用である。ヒドロトロープがpHが中性近くまたはそれ以下まで下げられない限り電荷を帯びないが、その場合カチオン性(例えば、アルキルアミン)である界面活性剤も、この群に含まれる。理論的には、カチオン性界面活性剤は、「オニウム」構造RnX+Y--を含む要素の任意の組み合わせから合成され得、リン(ホスホニウム)および硫黄(スルホニウム)のような窒素(アンモニウム)以外の化合物を含み得る。実際には、カチオン性界面活性剤分野は、恐らく、窒素性カチオン性物質への合成経路が、単純かつ容易であり、高収率の生成物を生じるため、窒素含有化合物により支配されており、このことが、それらをより安価にすることができる。
【0096】
アミンオキシドカチオン性界面活性剤は、本明細書に記載の固体状組成物での使用に好適なカチオン性物質には含まれない。カチオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1つの長炭素鎖疎水基および少なくとも1つの正に荷電した窒素を含有する化合物を含み、より好ましくはこれを指す。長炭素鎖基は、単純な置換により窒素原子に直接結合され得るか、またはより好ましくは、いわゆる中断アルキルアミンおよびアミドアミン中の架橋官能基(複数可)により間接的に結合され得る。そのような官能基は、分子を、より親水性および/もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によってより容易に水に溶解されるようにし、ならびに/または水溶性にすることができる。水溶性の増大のために、さらなる第1級、第2級、もしくは第3級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が低分子量アルキル基を用いて第4級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖もしくは直鎖部分の一部、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0097】
最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第4級アンモニウム化合物は、以下のように概略的に描かれ、
【化10】
式中、Rはアルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’はアルキル鎖もしくはアリール基のいずれかまたは水素であり得、Xはアニオンを表す。
【0098】
大量の商業用陽イオン界面活性剤の大部分は、当業者に既知の4つの主なクラスおよびさらなる部分群に細分することができ、“Surfactant Encyclopedia”,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に記載されている。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの第4級物を含む。
【0099】
組成物において有用なカチオン性界面活性剤は、式R
1
mR
2
xY
LZを有するものを含み、式中、R
1はそれぞれ、任意選択的に3個までのフェニルまたはヒドロキシ基で置換され、かつ以下の構造のうち4つまでにより中断される直鎖または分岐状アルキルまたはアルケニル基を含む有機基であるか、
【化11】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物であり、約8~22個の炭素原子を含有する。R
1基は、12個までのエトキシ基をさらに含むことができる。mは、1~3の数字である。好ましくは、分子中の1個以下のR
1基は、mが2である場合に16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3である場合に12個超の炭素原子を有する。R
2はそれぞれ、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含むアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、かつ分子中の1個以下のR
2は、ベンジルであり、xは、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素により満たされる。
【0100】
Yは、
【化12】
またはそれらの混合物を含む基であり得るが、これらに限定されることはない。好ましくは、Lは、1または2であり、かつY基は、Lが2である場合に、1~約22個の炭素原子と2個の遊離炭素単結合とを有するR
1およびR
2類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分により分離されている。Zは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、硫酸メチルアニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンのような水溶性アニオンであり、特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、硫酸アニオン、または硫酸メチルアニオンが、カチオン性構成要素の電気的中性を付与する数において好ましい。
【0101】
安定剤
固体状組成物はまた、中鎖から長鎖までの脂肪カルボン酸を安定剤として含み得る。いくつかの実施形態では、安定剤が、固化のための加工助剤として含まれる。遊離脂肪酸などの例示的な脂肪酸が使用されてもよく、本明細書では、「脂肪酸」という用語は、非プロトン化またはプロトン化形態の脂肪酸を含むように、極めて広い意味合いで使用される。当業者であれば、脂肪酸がプロトン化されているかまたはプロトン化されていないかが、水性組成物のpHにより主に決定されると容易に理解するであろう。脂肪酸は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどであるがこれらに限定されることのない対イオンを伴って、その非プロトン化または塩の形態にあり得る。「遊離脂肪酸」という用語は、(共有結合または他のやり方で)別の化学部分に結合していない脂肪酸を意味する。脂肪酸としては、12~25個、13~22個、または16~20個さえの総炭素原子を含み、脂肪部分が、10~22個、12~18個、または14(ミッドカット(mid-cut))~18個の炭素原子さえ含むものが挙げられ得る。脂肪酸は、(1)動物性脂肪および/または部分的に水素化された動物性脂肪、例えば牛脂、ラードなど、(2)植物油および/または部分的に水素化された植物油、例えば、キャノーラ油、サフラワー油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ゴマ種子油、ナタネ油、綿実油、トウモロコシ油、ダイズ油、トール油、コメ油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、他の熱帯パーム油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油など、(3)熱、圧力、アルカリ異性化および触媒処理を介したアマニ油またはキリ油などの加工油および/または増粘油(bodied oil)、(4)飽和(例えば、ステアリン酸)、不飽和(例えば、オレイン酸)、多不飽和(リノール酸)、分岐鎖(例えば、イソステアリン酸)または環状(例えば、多不飽和酸の飽和または不飽和二置換シクロペンチルまたはシクロヘキシル誘導体)脂肪酸を生じさせるための、それらの組み合わせに由来し得る。異なる脂肪源からの脂肪酸の混合物を使用してもよい。
【0102】
好適なカルボン酸は、飽和であってもまたは不飽和であってもよいが、飽和カルボン酸であることが好ましい。これらのカルボン酸は、アルキルまたはアルケニル鎖に約10~約22個の炭素原子を有し、直鎖または分岐鎖構成のいずれかにあり、好ましいカルボン酸は、約14~約22個の炭素原子を有する直鎖構成にある。有用なカルボン酸の非限定的な例としては、ステアリン酸(C18)、パルミチン酸(C16)、またはベヘン酸(C22)が挙げられる。さらなる例としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミドなどの長鎖脂肪酸またはその塩が挙げられる。
【0103】
さらなる安定剤としては、SMEA(ステアリンモノエタノールアミド)が挙げられ得る。室温で固体である様々な疎水性種は、パルミチン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、上記の脂肪酸を含むがこれらに限定されることのない安定剤としての使用に好適である。好ましい安定剤は、溶解度が45℃の水中で4ppm~10,000ppmであり、融点が50℃超である。
【0104】
安定剤は、組成物の総重量を基準として、約0重量%~約5.0重量%、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、好ましくは約0.5重量%~約4.5重量%、最も好ましくは約1重量%~約4重量%の水準で存在する。
【0105】
導電性のための塩
固体状組成物はまた、少なくとも1つのさらなる塩を含み得る。一実施形態では、さらなる塩は、導電性のための塩であり、および/または洗浄液の導電性の標準的な測定を可能にするための無機アニオンまたは非封鎖有機アニオン(non-sequestering organic anion)である。塩化ナトリウムを使用することが好ましいが、多種多様なイオン化可能な塩を使用してもよい。好適な塩の例は、元素周期表の第IA族の金属のハロゲン化物および酢酸塩、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、またはそれらの混合物である。塩化ナトリウムが好ましい。イオン化可能な塩は、成分を混合して本明細書の組成物を作製して、後に柔軟化組成物の分散速度を測定するための所望の導電性を得るプロセス中に、特に有用である。使用されるイオン化可能な塩の量は、組成物に使用される活性成分の量に応じており、配合者の要望に応じて調整することが可能である。
【0106】
好ましい実施形態では、固体状組成物に含まれる導電性のための塩は、好ましくは、45℃で少なくとも約5ppmの溶解度を有する。好ましい実施形態では、固体状組成物に含まれる導電性のための塩は、好ましくは、ステアリン酸を上回る溶解度を有する。
【0107】
塩化ナトリウムなどの導電性のための塩は、組成物の総重量を基準として、約0重量%~約60重量%、固体状織物柔軟剤組成物の総重量を基準として、好ましくは約1重量%~約50重量%の水準で存在し得る。
【0108】
分散剤
物品および表面から汚れおよび微生物を除去するのを補助するために、分散剤が含まれ得る。分散剤の例としては、水溶性ポリマー、界面活性剤、ヒドロトロープ、および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されることはない。好ましい実施形態では、分散剤は、アニオン性界面活性剤である。組成物は、分散剤を含む必要はないが、分散剤が含まれる場合、これは、所望の分散特性をもたらす量で含まれ得る。組成物中の分散剤の好適な範囲は、約20重量%まで、約0.5~約15重量%、または約2~約9重量%であり得る。
【0109】
香料
固体状組成物はまた、任意の柔軟剤適合性の香料/芳香物質を含み得る。好適な芳香物質は、米国特許第5,500,138号に開示されており、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
固体状組成物
固体状洗濯織物柔軟化組成物は、好ましくは、本明細書に開示される重量パーセンテージおよび比の構成要素を組み合わせることにより形成される多目的固体状組成物である。固体状組成物は固体として提供され、使用溶液が懸濁液である場合の使用溶液は、分配および/または洗濯プロセス中に形成される。
【0111】
固体状組成物は、その質量全体にわたる成分の分布に関して実質的に均質であり、寸法安定性である。
【0112】
固体状組成物は、注型または押出された固体であり得る。得られる固体は、ペレット、ブロック、または錠剤を含むがこれらに限定されることのない形態をとり得る。好ましい実施形態では、固体は、ばらまたは流動性の粉末を含まず、組成物は、固体状組成物のどの寸法の変化も考慮して、120成長Fの温度に加熱された場合に成長指数(growth exponent)3%未満と測定されるように、寸法安定性を有する固体ブロックである。例示的な実施形態では、固体は、少なくとも約50グラム、少なくとも約100グラム、少なくとも約250グラム、少なくとも約1キログラム、または少なくとも約10キログラムの重量を有し得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、固体状組成物は、濃縮溶液および/または使用溶液を生成するために、例えば、水性媒体または他の媒体中に、溶解されてもよい。この溶液は、後の使用および/もしくは希釈のために保管容器に向けられても、または洗濯用途におけるある使用箇所に対して直接適用されてもよい。固体状組成物は、ブロックなどの多目的固体として有益に設計されており、複数のサイクルにわたり固体状織物柔軟化組成物として繰り返し使用することが可能である。
【0114】
固体状組成物を作製する方法
本明細書に記載の固体状組成物は、注型された固体として固化される。固体状組成物は、一般的に入手可能な混合装置内で製造することが可能である。いくつかの実施形態では、固体状組成物の形成において、成分がその全体にわたり分布した実質的に均質な固体または半固体混合物を形成するのに十分に高い剪断で、成分の連続混合を提供するために、混合システムが使用されてもよい。混合物は、成分の物理的および化学的安定性を維持する温度で加工される。成分は、液体、または乾燥微粒子などの固体の形態にあってもよく、別々に、または別の成分とのプレミックスの一部として、混合物に添加されてもよい。1つ以上のプレミックスが、混合物に添加されてもよい。成分は、成分が全体にわたり実質的に均一に分配された、実質的に均質な稠度を形成するように混合される。混合物は、ダイまたは他の成形手段を通じて、混合システムから排出され得る。次いで、特性を明らかにした押出物は、制御された質量を有する有用な大きさに分けられ得る。
【0115】
本組成物は、固体を形成する必須の成分の化学的反応および物理的反応に起因して硬化する。固化プロセスは、例えば、注型または押出された組成物の大きさ、組成物の成分、組成物の温度、および他の同様の要因に応じて、数分~約6時間以上持続し得る。いくつかの実施形態では、注型された組成物は、約1分~約3時間以内に、または約1分~約2時間の範囲で、またはいくつかの実施形態では、約1分~約20分以内に、固体形態へと硬化を「生じる」か、または硬化し始める。
【0116】
使用方法
通常、織物柔軟化プロセスの場合、固体状柔軟剤は、固体と十分な量の水とを接触させて固体状織物柔軟剤組成物の少なくとも一部を溶解させ、それにより、洗濯プロセスのすすぎサイクルに添加可能な固体状織物柔軟剤組成物の溶解部分を形成することにより分配される。分配のための水温は、約40℃~約60℃、好ましくは約45℃~約55℃でなければならない。本発明の配合物は、多目的固体ブロックの分配においていかなる垂れ、崩れまたはチャンク化を経ることなく、好ましくは10グラム超/分、より好ましくは15グラム超/分、最も好ましくは20グラム超/分で分配する。本明細書に記載の固体状組成物の分配により、有益なことに、固体状組成物の質量損失が120°Fまでの温度で72時間にわたり100グラムあたり約10グラム(10%)未満である、非垂れ性の固体状組成物が提供される。
【0117】
本明細書に開示される固体状組成物から形成される希釈された液状組成物は、好ましくは、従来の自動洗濯操作のすすぎサイクルで使用される。通常、すすぎ水は、約5℃~約60℃の温度を有する。
【0118】
織物または繊維は、所望の水準の柔軟性を達成するのに効果的な量の固体状柔軟剤組成物と接触させられる。使用量は、柔軟化物質の濃度、繊維または織物の種類、所望の柔軟性の程度などに応じて、使用者の判断に基づく。分配される柔軟剤の量は、一般に、リネンの量に対する柔軟化第4級アンモニウム化合物活性物質の量の比として特徴付けられる。この比は、リネンに対する第4級アンモニウム化合物活性物質について、好ましくは0.01%~0.25%までの範囲、より好ましくは0.025%~0.20%の範囲にある。
【0119】
この量の固体状柔軟化組成物を送達するために使用される水の量は、柔軟化組成物を機械のすすぎサイクルに送達するために必要な時間内に所望の用量を都合よく溶解させることが可能な任意の量であり得る。例えば、45℃~55℃の水を使用する場合、100gの用量の柔軟化組成物が、一般に、2~10リットルの水を使用して1~4分で分配される。
【0120】
固体状織物柔軟化組成物は、処理されるリネンに吸水性または吸上性の著しい損失を引き起こすことなく、有益に柔軟性をもたらす。タオルなどの特定のリネンの主要な機能の1つは水を吸収することであるため、織物柔軟剤活性物質が表面を疎水性にして、吸収可能な水の量を減少させることは不所望である。固体状織物柔軟化組成物は、吸水性を低下させず、この吸水性は、処理されるリネンを水が一定期間内に吸い上がることが可能な距離により測定することができる(実施例に概説されている)。
【0121】
有益なことに、処理されるリネンは、白さ、明るさ、悪臭除去に加えて、上質な柔軟性を有する。柔軟性とは、ユーザがその触覚を通じて柔らかく感じる品質を意味する。そのような触覚的に知覚可能な柔軟性は、弾力性、屈曲性、ふわふわ感、滑り性、および平滑性、ならびに「絹またはフランネルのような感覚」などの主観的な説明により特徴付けられ得るが、これらに限定されることはない。一実施形態では、固体状織物柔軟化組成物の使用により生じる柔軟性は、市販の液状織物柔軟剤組成物により呈される柔軟性の好ましさと少なくとも同等である。
【0122】
固体状織物柔軟化組成物は、処理されるリネンに著しい黄変または変色を引き起こすことなく、有益に柔軟剤をもたらす。黄変は、ひいき目に見ても、リネンに汚れたまたは不快な外観を与える。したがって、黄変の原因となる第4級アンモニウム織物コンディショナを使用すると、心地よい感触がもたらされ得るものの、リネンはその通常の耐用年数が尽きる前に廃棄する必要があるため、リネンの全体的な寿命が短くなり得る。着色されたリネンの場合、黄変はあまり目立たないが、第4級アンモニウム化合物は、経時的に色の濁りを引き起こす。本明細書に開示される組成物および方法によると、繰り返し洗浄および乾燥される織物の著しい黄変または濁りを引き起こさない織物柔軟剤を提供することが望ましいことは、容易に理解される。さらに、通常、乾燥された白色の洗濯物は、複数回の乾燥サイクルの後でも白いままであることが望ましい。すなわち、繰り返される乾燥サイクルの後に織物が黄色しないかまたは濁らないことが望ましい。黄変または変色は、直接目視で、または分光光度計を使用して、一般的にカラースケールの「L」、「a」、および「b」の値を通じて測定することが可能である。次に、色の変化は、処理済みのリネンと新しいリネンとの間のデルタE(実施例で概説される)として報告される。一般に、1超のデルタEの値は、人間の目に知覚できると考えられており、黄変などの変色を示す。
【実施例】
【0123】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、例示のみのために与えられていることを理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態の種々の変更および修正を行い、これを種々の用途および条件に適合させることができる。したがって、当業者には、本発明の実施形態の種々の修正は、本明細書に示され記載されたものに加えて、前述の説明から明らかであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0124】
一覧にされた実施例では、以下の化学成分を使用した:
第4級アンモニウム化合物:
高ヨウ素価の第4級物(HQ1)-ヨウ素価が17のトリエタノールアミンエステル第4級アンモニウム化合物((HQ)トリエタノールアミン(TEA)エステル第4級アンモニウム化合物);
低ヨウ素価の第4級物(LQ1)-ヨウ素価が0のDHTDMAC(二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド);
低ヨウ素価の第4級物(LQ2)-ヨウ素価が7のDEEDMAC(ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド);
Sokalan DCS-ジカルボン酸、アジピン酸、グルタル酸、およびコハク酸の混合物。
シリコーン-アミノ官能性シリコーン液。
【0125】
実施例1
生分解性の高ヨウ素価(HQ)のトリエタノールアミン(TEA)エステル第4級アンモニウム化合物の織物柔軟化能力と、非生分解性の低ヨウ素価(LQ1)のDHTDMAC第4級アンモニウム化合物の織物柔軟化能力とを比較するために、織物柔軟化調査を実施した。低ヨウ素価型の第4級アンモニウム化合物は、織物の柔軟化をもたらすと知られており、この調査は、織物の柔軟化能力を比較するために実施した。綿製テリータオルを含む2セットのリネンについて、洗浄サイクルと乾燥サイクルとの双方を含む合計20回の連続洗濯サイクルを実施した。すべての処理タオルを、大量(7oz/cwt)のアルカリ性洗剤を使用する2回の連続洗浄サイクルを実行することにより、こすり洗いした。35ポンドの洗浄機に、28ポンドの綿製テリータオルを満たした。次に、残りの洗浄および乾燥サイクルを、表2に記載の2つの異なる処理方式に従って、連続的に実行した。サイクルが完了した後に、タオルを、65°F~75°Fの温度、40~50%の湿度にて、制御された環境チャンバ内に一晩保管した。
【0126】
翌日、異なるパネリスト少なくとも20人の審査員団によりタオルを評価した。パネリストに提示する際、タオルは、同じように折りたたまれており、サンプルの順序(例えば、ABまたはBA)は、審査団間でランダムにした。タオルを比較および評価するために、パネリストは各セットのタオル双方を触れ/扱い、どちらのタオルがより優れた品質(この場合は、柔軟性)を有するかを選択する必要があった。パネリストは、各ペアから1つのタオルを選択する必要があった。パネリストがタオルの間に違いを主張しなかった場合、データはペアが同等であることを示した。
【表4】
【0127】
パネリストは、より優れた柔軟性を有すると知覚されたサンプルを選択した。参加者の90%は、2つの処理のうちより柔軟なものとして、処理2を選択した。処理2で使用された織物柔軟剤が8.8%活性DHTDMACを有していたことを除いて、消費者審査団による洗濯および評価に関する方法および手順を繰り返した。この例において、このペアについての審査団は、処理1と2との間の柔軟性の性能が同等であることに言及した。これらの結果は、より高い活性水準(8.8%と比較して11%)では、非生分解性の低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物が、高ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物と比較して、より優れた処理をもたらすことを示す。
【0128】
実施例2
DHTDMAC第4級アンモニウム化合物を使用すると、リネンが薄暗くなり/黒ずみ、吸水/吸上能力が失われる可能性があるため、DHTDMAC第4級アンモニウム化合物がリネンの外観に与える影響を評価した。DHTDMAC第4級アンモニウム化合物の悪影響を制限すべく、DHTDMAC第4級アンモニウム化合物の不所望な影響に対抗するようにアミノ官能性シリコーンを組み合わせて評価した。しかしながら、固体状織物柔軟剤への液体シリコーンの添加は、配合物を柔軟にし、分配中の崩れに繋がる。固体に対するこの不所望な影響は、黒ずみおよび吸上能力低下のみならず崩れおよび柔軟性も防止する固体状織物柔軟剤組成物を開発するために克服しなければならない制限である。
【0129】
綿製テリータオルを含む2セットのリネンについて、洗浄サイクルと乾燥サイクルとの双方を含む20回の連続洗濯サイクルを実施した。リネンのセットを、表3に従って3つの処理方式にかけた。リネンの色の変化は、分光光度計を使用することおよび目視観察を行うことの双方により測定した。分光光度計を使用して、タオルの様々な部分を分光光度計の反射ポートの前に配置することにより、タオルを評価した。このプロセスを、縁部または装飾帯を除いて、タオル1つあたり合計10箇所の異なる位置で繰り返す。全体の色の変化を、以下の式に従って測定する:
ΔE=総色差
ΔE=√((L最終-L初期)2+(a最終-a初期)2+(b最終-b初期)2)
この式において、Lは、カラースペクトルの明暗の数字であり、0=完全に黒色、100=完全に白色である。「a」は、色立体の赤色から緑色の数字であり、正の数字は赤色に向かい、負の数字は緑色に向かう。最後に、bは、色立体の黄色から青色の数字であり、正の数字は黄色に向かい、負の数字は青色に向かう。1超のΔEの値は、人間の目に知覚できると考えられる。色分析の結果は、表3に示される。
【0130】
色差に加えて、吸上性/吸収性も測定した。吸上性を評価するために、4インチ×7インチのサイズの3つの試験見本を試験タオルから切り取った。試験見本には、下から10mmの位置に線がマークされている。着色された染料溶液を、青色の染料溶液が部分的に満たされたボウルを含む吸上装置に入れる。試験見本を、ペーパーバインダークランプを使用して吸上装置の上部から吊り下げ、次に、見本を、マークされた10mmの線まで、着色された染料溶液中に沈めた。試験見本を6分にわたり静置した。6分後に、試験見本を染料溶液から取り出し、染料溶液が到達した最高点に点でマークする。10mmの線から点までの距離を測定する。この手順を少なくとも3回繰り返し、最終的なデータポイントについて平均した。テリータオルにおける吸水距離が大きいほど、タオルの吸水能力が高いことを示した。少なくとも20mm以上の結果は、吸水性について好ましい結果である。吸上試験の結果は、表3に示される。
【表5】
【0131】
理想的なリネンの色および水分の吸収を維持するDHTDMAC/シリコーン比は、約3:1~1.8:1の間に確認された。この比の上限では、20回目の洗濯サイクルの後にリネンの色の変化が見られる。2.4以下のDHTDMAC/シリコーン比では、リネンの色の変化は、はるかに小さく、衣服の色に関しては、知覚可能な違いは見られなかった。吸水性は、DHTDMAC/シリコーン比が2.4以下の織物柔軟剤組成物で処理されたタオルについては、十分であった。
【0132】
実施例3
さらに、固体状柔軟剤の垂れおよび崩れ分析を実施した。表4の配合に従って、100グラムのサンプルを調製した。これらの配合物で、ヨウ素価の異なる3つの異なる第4級アンモニウム化合物活性物質を評価した:高ヨウ素価(15以上)(HQ)の第4級アンモニウム化合物および低ヨウ素価(15以下)の第4級アンモニウム化合物(LQ1およびLQ2)。第4級アンモニウム化合物をそれぞれ、異なる濃度で評価した:高ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物では33%、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物では11%。これらの濃度は、実施例1で評価された同等の柔軟化性能に基づいて選択した。
【0133】
サンプルを調製した後に、これらを0℃未満で一晩冷やした。サンプルを室温に戻し、秤量して開始重量を評価した。次に、8個セットで、試料カップのサンプルを120°Fの水浴内の金属製スタンドに2日にわたり置いた。サンプルを取り出し、秤量し、目視観察、針入度計、およびリッカート尺度を使用して、2日かけて12時間ごとに評価した。
【表6】
【0134】
針入度計を使用して硬度を評価するために、所定のサンプルを針入度計上に置き、5秒にわたり侵入させた。侵入深さは、ミリメートルで測定した。次に、測定プロセスを、平均値に到達するために、サンプルの様々な領域で、合計3回の侵入にわたり繰り返した。通常、針入度計の読み取りは、0mm~サンプル高さ(約32mm)の範囲にある。針入度計の硬度は、崩れの指標である。なぜなら、高湿度条件下で柔軟になるサンプルは、重力またはディスペンサの水圧のいずれかにより崩壊する傾向があるからである。
【0135】
目視観察と、リッカート尺度での主観的な柔軟性評定とに基づいて硬度を評価するために、各サンプルの構造的完全性を、その平滑性および凝集性、ならびに表5に従った相対的な柔軟度に基づいて評価した。他の組成物との相対的な硬度の比較に基づいて、硬度は満足できるものであると見なされた。
【表7】
【0136】
この垂れ性の調査の結果は、表6に示される。表6は、第4級アンモニウム化合物の濃度、初期質量および硬度、ならびに最終質量、垂れ性、硬度を示す。
【表8】
【0137】
評価前は、配合物1は、配合物2または配合物5よりも硬かった。垂れ性試験後に、配合物2は、配合物1および配合物5のどちらよりも柔軟であり、このことは、同量の第4級アンモニウム化合物を含有するサンプルの場合、高ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物を有するサンプルは、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物で作製されたサンプルよりも柔軟であったことを示す。垂れ前の配合物3と配合物4との間に、同じ傾向が見られた。全体として、このデータは、高水準および低水準の双方の第4級アンモニウム化合物の場合で、低ヨウ素価、すなわちヨウ素価15以下で作製された配合物が、高ヨウ素価で作製された配合物よりも硬く、かつ一般的に垂れ条件下で失われる質量がより少ないことを示す。
【0138】
実施例4
シリコーンを含む場合および含まない場合の双方の低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物を含有する配合物を評価した。ヨウ素価15未満の第4級アンモニウム化合物を用いて、サンプルを作製した。表7に示されるように、試験配合物のうちの1つは、シリコーンをさらに含有していた。表5によるリッカート尺度を含む、実施例3に記載の方法を使用して、サンプルを評価した。
【表9】
【0139】
表7に示されるように、どちらの配合も許容できる硬度を示す。どちらの配合物も、垂れによる質量損失が最小限であることを示す。結果として、LQ2で作製された配合物は、シリコーンありの場合およびなしの場合のどちらでも、垂れ条件下で強度および凝集性を維持する。
【0140】
実施例5
ヨウ素価が様々な第4級アンモニウム化合物の混合物を評価した。LQ2(高ヨウ素価、すなわちヨウ素価15超)およびLQ1(低ヨウ素価、すなわちヨウ素価15以下)を、10:90、50:50、および30:70の比でHQと混合し、サンプルの垂れ性能、硬度、および凝集性に対する影響を評価した。比は、実施例1の比をベースラインとして使用して選択した。混合物サンプルを、表8の配合に従って調製した。
【表10】
【0141】
調製後に、表5によるリッカート尺度を含む、実施例3に記載の方法を使用して、サンプルを硬度および垂れ性について評価した。これらの結果は、以下の表9に示される。
【表11】
【0142】
全体的な外観に関しては、低ヨウ素の第4級アンモニウム化合物の双方で、10:90のサンプルが、最も平滑かつ最も凝集性が高いようであった。表9は、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物の含有量が硬度と直接相関関係にあることをさらに示す。10:90の配合物は、垂れ前は一貫してより硬かったものの、30:70および10:90の配合物は、垂れ後は同等の硬度を有していた。LQ1を含むサンプルは、LQ2を含むサンプルよりもわずかに硬かったものの、LQ1およびLQ2を含むすべての配合物が、最小限の質量損失および理想的な凝集性を呈した。10:90の配合物はすべて、垂れ後の硬度および質量損失の双方の点で、LQ1の基準レベルと同等であった(例えば、配合物15)。配合物9および配合物15は、最大の凝集性/硬度および最小量の質量損失を示した。配合物11および14(これらは同等である)および配合物13もまた、凝集性/硬度および質量損失の点で、良好な性能を示した。配合物10は、許容可能な性能を示した。
【0143】
これらの結果は、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物を増加させると、より安定かつ硬い配合物が生成されることを示す。同様に、これらの結果は、許容可能なサンプルの凝集性、質量損失、および硬度を維持しながら、10:90~50:50の範囲でもたらされる柔軟化に基づく質量比で、低ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物と高ヨウ素価の第4級アンモニウム化合物とを混合することが可能であることを示す。
【0144】
実施例6
本出願の配合物に対する固化マトリックスおよびシリコーンの双方の加工助剤の影響を評価した。原材料の重量パーセントを基準としたポリエチレングリコール200およびポリエチレングリコール8000(PEG200、PEG8000)の様々な量を、表10に従った試験配合物において評価した。表10に示されるように、PEG200およびPEG8000の量を、約1重量%~約15重量%で変化させた。さらに、表12は、固体状柔軟剤配合物に有意量のシリコーンを添加することが崩れ性能に与える効果を示す。
【表12】
【0145】
調製後に、表5によるリッカート尺度を含む、実施例3に記載の方法を使用して、サンプルを硬度および垂れ性について評価した。これらの結果は、以下の表11に示される。
【表13】
【0146】
配合物21および22の場合、PEG200またはPEG8000のいずれかが存在しないと、ひび割れた乾燥した表面が生じた。配合物17により示されるように、中程度の水準のPEG200(例えば、15重量%以下)の場合、配合物は、垂れの間に最小量の質量を失った。これは、PEG200が加工助剤として有効であることを示す。比較すると、配合物19中の高水準のPEG200は、凝集性および質量の損失をもたらし、このことは、PEG200は効果的な加工助剤であるものの、PEG200の範囲は制限されるべきであることを示す。比較すると、配合物の硬度は、PEG8000の水準に比例して増加した。PEG8000を含む配合物17および配合物18の双方が、垂れ条件下で許容可能な硬度および質量損失を示したが、配合物17は、質量損失がより少なく、凝集性および均一性の点で全体的に良好な外観を有していた。
【0147】
PEGがないと、亀裂が生じ、かつ凝集性が失われるので、安定性に対するその影響を評価するために、ステアリン酸を添加した。配合物21(PEGを含有しない)と、ステアリン酸をさらに含む類似した配合物である配合物22とを比較した。これらの配合物と、低水準のPEGおよびステアリン酸を含有する配合物20とをさらに比較した。これらの結果は、ステアリン酸が、PEGの代わりに使用可能であり、かつ高いサンプル硬度および良好な垂れ性能を維持しながら凝集を促進することが可能であることを示す。
【0148】
さらに、加工助剤は、崩れおよび質量損失を防止することができる。これらの加工助剤としては、ステアリン酸およびパルミチン酸などの脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミドおよびオクタデカン二酸などの脂肪酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されることはない。配合物20は、表11の全サンプル中で硬度が最大であり、質量損失が最小であった。配合物23cおよび23dをそれぞれ、ステアリン酸ありの場合およびなしの場合で、クエン酸一ナトリウムを用いて作製した。1%のステアリン酸を添加すると、凝集性が向上し、サンプルへの水の浸透が減少した。同じ傾向が、配合物23aおよび23bでも観察され、配合物23aと比較して、配合物23bは、分配条件下でより硬くかつより均一な表面を維持し、サンプルへの水の浸透に対してより耐久性があった。
【0149】
様々な水準のPEGを評価することおよびステアリン酸による置き換えに加えて、シリコーンの効果を、表12に従った固体状柔軟剤配合物において評価した。
【表14】
【0150】
シリコーンを含有しない配合物1の場合、配合物は、使用中常に硬いままであり、著しい崩れは観察されなかった。しかしながら、配合物2により示されるように、シリコーンが配合物に添加された場合、黒ずみおよび吸上性を低減させるのに必要な量では、配合物がディスペンサ内での使用中に著しく崩れる。結果として、シリコーンを含有する配合物についての崩れを防止するためには、水分を吸収し、かつ分配中常に硬いままであることが可能な別の材料を追加することが重要である。この問題に対処するために、配合物3は、無水クエン酸をさらに含んでいた。無水クエン酸は、高湿度のチャンバ内で結晶性を維持する非潮解性物質である。非潮解性物質を含有する配合物3は、有益なことに、使用中常に硬いままであり、分配中の崩れを防止し、質量損失および垂れの双方を防止する。したがって、表12は、固体状織物柔軟剤組成物がシリコーンを含有する場合、水分を吸収し、かつ硬度を改善することが可能なさらなる材料を追加すべきであることを示す。さらに、実施例1では、非潮解性物質を評価した。
【0151】
実施例7
実施例2、4、および6により示されるように、硬度および垂れ性に対するシリコーンの影響を考慮して、さらなる非潮解性物質を、水分の吸収および安定性の促進を補助するそれらの能力について評価した。試験された非潮解性物質の例としては、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、ラクトース一水和物、塩化カリウム、およびクエン酸/クエン酸ナトリウムが挙げられる。表10~12は、特にシリコーンが組成物中に存在する場合に、無水クエン酸またはその塩が、さらなる固化助剤および垂れ止め助剤として利用可能であることを示す。結果として、クエン酸およびその塩、ならびに他の非潮解性物質を使用して、さらなる分析を実施した。表13に従って、100グラムの配合物を調製した。具体的には、クエン酸0~15%およびクエン酸ナトリウム0~15%の範囲で、様々な比のクエン酸およびクエン酸ナトリウムを試験した。
【表15】
【0152】
調製後に、表5によるリッカート尺度を含む、実施例3に記載の方法を使用して、配合物A~Bを硬度および垂れ性について評価した。表14は、これらの配合物の評価を示す。
【表16】
【0153】
配合物Bは、垂れ条件下で最小の質量損失を呈した。配合物Cは、試料容器から簡単に取り外すことができたが、凝集性のブロックのままであった。配合物A~Bは、崩れが最小限であるか、または全くなかった。配合物C~Eを、分配中の崩れについて評価した。サンプルDは、分配中のチャンク化および崩れが最小であった。
【0154】
クエン酸およびクエン酸塩の添加により示された成功を考慮して、さらなる非潮解性物質を、硬度をもたらし、かつ垂れ性を低減するそれらの能力について評価した。様々な無水有機塩、無水無機塩、有機および無機水和物、吸熱水和での無機塩、ならびに無水有機酸/塩を含む100グラムの配合物を、表15に従って調製した。
【表17】
【0155】
調製後に、表5によるリッカート尺度を含む、実施例3に記載の方法を使用して、サンプル23~28を硬度および垂れ性について評価した。この分析の結果は、表16に示される。
【表18】
【0156】
配合物28を除いて、表16のすべての配合物が、高い初期硬度および評価プロセス全体にわたり同等の硬度を有していた。配合物23~27は同等に機能したものの、配合物23および25は、最終サンプルがより硬くなった。配合物28を除くすべての配合物が、それらの元の質量の約10%以下しか損失しなかった。
【0157】
配合物の全体的な外観を評価した。いくつかの小さな表面のくぼみを示した配合物24および27を除いて、すべての配合物が凝集しているように見えた。さらに、配合物28は、他の配合物と比べて、(最初および評価後の双方で)著しくより柔らかく、かつより多くの質量を損失した。しかしながら、酢酸塩も含有する配合物29は、十分な硬度および凝集性を示した。これらの結果は、特にシリコーンが組成物中に存在する場合、様々な非潮解性物質を効果的に使用して、質量損失を防止し、硬度を促進できることを示す。
【0158】
実施例8
分配ユニットにおける疎水性材料の蓄積を低減しようとするなかで、疎水性材料(例えば、第4級物)の溶解を促進するために、様々な界面活性剤を固体状組成物において評価した。配合物を界面活性剤ありの場合およびなしの場合で作製し、崩れについて試験した。差異を出すために、サンプルを145Fで15回のサイクルにわたり分配した。格子(grate)上に残っている材料の溶解度を試験するために、空のカプセルを用いて柔軟剤分配サイクルを2回実行して、溶解しやすい材料を洗い流した。分配を開始する前、15回のサイクル後、および2回の空サイクル後に、写真を撮った。評価された配合物は、表17に示される。
【表19】
【0159】
これらの評価は、界面活性剤を添加すると、配合物中の疎水性構成要素の溶解度が大幅に改善され、格子上での崩れた材料の蓄積が低減されることを示した。配合物29は、配合物31に比べて、崩れの蓄積が著しく低減されたことを示した。この評価は、界面活性剤の添加が、固体状組成物の分配を向上させるのに望ましい可能性があることを示す。
【0160】
実施例9
界面活性剤を用いるさらなる配合物を評価した。加工、分配、および崩れの低減を補助するために固体状配合物中で界面活性剤を使用することを評価した。配合物中に添加して、疎水性材料(例えば、第4級アンモニウム化合物)の溶解を促進し、かつ固体状組成物用のディスペンサ内における格子上でのこれらの材料の蓄積を低減するのに、HLBが10~15の非イオン性界面活性剤を評価した。
【0161】
表18に示される配合物を、非イオン性物質(界面活性剤1および2)およびカチオン性物質(界面活性剤3)を含む界面活性剤ありの場合およびなしの場合で作製し、崩れについて試験した。差異を出すために、サンプルを145°Fで15回のサイクルにわたり分配した。次に、ディスペンサの格子に残っている材料の溶解度を試験するために、空のカプセルを用いて柔軟剤分配サイクルを2回実行して、溶解しやすい材料を格子から洗い流した。分配を開始する前、15回のサイクル後、および2回の空のすすぎサイクル(空のカプセルを用いて分配し、格子をきれいにするのがどの程度簡単かを確認する)後に、目視観察をして、写真を撮り、配合物中の疎水性構成要素の溶解度と、分配格子上における崩れた材料の蓄積の低減に対する影響とを評価した。
【表20】
【0162】
配合物31(界面活性剤のHLB10~15)は、配合物33(界面活性剤なし)、配合物32(界面活性剤のHLB10未満)、および配合物34(カチオン性界面活性剤)に比べて、配合物中の疎水性構成要素の溶解度の改善を示し、崩れ形成が低減されている結果として、分配格子上における崩れた材料の蓄積を低減した。
【0163】
有益なことに、界面活性剤は、組成物の柔軟性の性能を低下させることなく第4級アンモニウム化合物および他の疎水性種の溶解度を改善し、疎水性構成要素のより多くの充填を可能にした。さらなる別の利点として、界面活性剤は、ディスペンサ構成要素の汚れを防止する。
【0164】
実施例10
加工助剤の変形例、すなわちPEG200を用いるさらなる配合物を評価した。表19の配合物を、実施例9の方法に従って評価した。
【表21】
【0165】
配合物35は、良好な分配挙動を呈し、崩れがほとんどまたは全くなかった。
【0166】
PEG200の代わりに4%のMPEG550(メトキシポリ(エチレングリコール)を有する配合物36。配合物36は、4.5%のPEG200よりも柔軟であり、良好な分配挙動を呈し、崩れがほとんどまたは全くなく、MPEG550が良好な加工助剤であることを示しているが、組成物の硬度についてはPEG200が好ましい。
【0167】
配合物37:10~15のHLBを有する2%の非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤と組み合わせた2%のPEG200を有すると、配合物35と同等の硬度を示し、崩れをほとんどまたは全く呈さず、界面活性剤が固体状組成物について許容可能な加工助剤であることを示した。
【0168】
このように様々な実施形態が説明されているが、これらが多くの手法で変更可能であることが明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。
以下の項目[1]~[21]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物であって、上記組成物は、
ヨウ素価が15以下の第4級アンモニウム化合物と、
シリコーンであって、上記第4級アンモニウム化合物対上記シリコーンの比が約3:1~約1.8:1である、シリコーンと、
ポリエチレングリコール、界面活性剤および/または酸味料のうちの1つまたは複数を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤と、を含み、
上記固体状洗濯織物柔軟化組成物が、100グラムあたりの損失が約10グラム未満であると測定されるように、72時間にわたり120°Fまでの温度で非垂れ性の固体である、組成物。
[2]
固化のための上記加工助剤が、(A)ポリエチレングリコールおよび酸味料、(B)界面活性剤および酸味料、または(C)ポリエチレングリコール、界面活性剤および酸味料、の組み合わせである、項目1に記載の組成物。
[3]
固化のための上記加工助剤が、(a)非吸湿性でありかつクエン酸ナトリウム、一クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウムのうちの1つまたは複数を含んでもよい水溶性塩、および/または(b)長鎖脂肪酸もしくは長鎖脂肪酸誘導体を含む安定剤をさらに含む、項目2に記載の組成物。
[4]
上記長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体が、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ステアリンモノエタノールアミド、またはそれらの組み合わせである、項目3に記載の組成物。
[5]
上記第4級アンモニウム化合物が、式:
【化1】
を有し、式中、R
1
およびR
2
が、12~24個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3
およびR
4
が、1~約4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xがアニオンである、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
上記第4級アンモニウム化合物が、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリドまたはエステルクワットであるジアルキル第4級アンモニウム化合物を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
上記シリコーンが有機シリコーンである、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
上記有機シリコーンが、ポリアルキルシリコーン、アミノシリコーン、シロキサン、ポリジメチルシロキサン、エトキシル化有機シリコーン、プロポキシル化有機シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化有機シリコーン、またはそれらの混合物である、項目7に記載の組成物。
[9]
上記第4級アンモニウム化合物対上記シリコーンの比が、約2.4:1~約1.8:1であるか、または約2:1未満である、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
上記ポリエチレングリコール固化剤が、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、および誘導体、ならびにメトキシポリ(エチレングリコール)のうちの1つまたは複数であり、上記水溶性塩が、ポリカルボン酸の塩である、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
上記第4級アンモニウム化合物が、上記固体状組成物の約1重量%~約30重量%を占め、上記シリコーンが、上記固体状組成物の約0.5重量%~約20重量%を占め、上記ポリエチレングリコール加工助剤が、上記固体状組成物の約0重量%~約25重量%を占め、上記界面活性剤加工助剤が、上記固体状組成物の約0重量%~約25重量%を占め、上記水溶性塩加工助剤が、上記固体状組成物の約5重量%~約50重量%を占め、上記酸味料加工助剤が、上記固体状組成物の約1重量%~約50重量%を占める、項目1~10のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
腐食防止剤、安定剤、および/またはさらなる界面活性剤をさらに含み、固化のための上記界面活性剤加工助剤および/またはさらなる界面活性剤がそれぞれ、非イオン性、アニオン性、および/またはカチオン性界面活性剤を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
上記固体状組成物が、少なくとも250グラムの多目的組成物であり、および/または上記固体が、注型または押出された固体であり、上記固体が、カプセル、錠剤、パック、ブリック、またはブロックである、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
多目的固体状洗濯織物柔軟化組成物であって、
ヨウ素価が15以下であり、かつ以下の式:
【化2】
を有し、式中、R
1
およびR
2
が、12~24個の炭素原子を有する同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、R
3
およびR
4
が、1~約4個の炭素原子を含む同じまたは異なるヒドロカルビル基を表し、Xがアニオンである、第4級アンモニウム化合物、
シリコーンであって、上記第4級アンモニウム化合物対上記シリコーンの比が約3:1~約1.8:1である、シリコーン、
約10~15のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤、および/またはカチオン性界面活性剤と、長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体を含む安定剤と、ポリエチレングリコール、酸味料、非吸湿性水溶性塩のうちの1つまたは複数と、を含む固化のための少なくとも1つの加工助剤、を含み、
上記組成物が、100グラムあたりの損失が約10グラム未満であると測定されるように、72時間にわたり120°Fまでの温度で非垂れ性の固体である、組成物。
[15]
上記非吸湿性水溶性塩が、クエン酸ナトリウム、一クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む、項目14に記載の組成物。
[16]
(a)上記長鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸誘導体が、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ココ脂肪酸、ステアリンモノエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ステアリンモノエタノールアミド、もしくはそれらの組み合わせであり、(b)上記ポリエチレングリコール固化剤が、PEG200、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1,000、PEG2,000、PEG3,000、PEG4,000、PEG5,000、PEG6,000、PEG7,000、PEG8,000、PEG9,000、PEG10,000、およびメトキシポリ(エチレングリコール)のうちの1つまたは複数であり、(c)上記酸味料がクエン酸であり、および/または(d)上記水溶性塩が、トリカルボン酸の塩である、項目14または15に記載の組成物。
[17]
上記第4級アンモニウム化合物が、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリドまたはエステルクワットであるジアルキル第4級アンモニウム化合物を含み、上記シリコーンが、ポリアルキルシリコーン、アミノシリコーン、シロキサン、ポリジメチルシロキサン、エトキシル化有機シリコーン、プロポキシル化有機シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化有機シリコーン、またはそれらの混合物を含む有機シリコーンであり、上記第4級アンモニウム化合物対上記シリコーンの比が、約2.4:1~約1.8:1であるか、または約2:1未満である、項目14~16のいずれか一項に記載の組成物。
[18]
腐食防止剤、安定剤、および/またはさらなる界面活性剤をさらに含み、上記固体状組成物が、少なくとも250グラムの多目的組成物であり、および/または上記固体が、カプセル、錠剤、パック、ブリック、またはブロックの形態の注型または押出された固体である、項目14~17のいずれか一項に記載の組成物。
[19]
ウォッシュホイール内で織物を処理するための方法であって、上記方法は、
(a)項目1~18のいずれか一項に記載の固体状洗濯織物柔軟化組成物を得ることであって、上記固体状洗濯織物柔軟化組成物が、100グラムあたりの損失が約10グラム未満であると測定されるように、72時間にわたり120°Fまでの温度で非垂れ性の固体である、ことと、
(b)上記固体状洗濯織物柔軟化組成物と水と接触させて、水性懸濁液を形成することと、
(c)ウォッシュホイールに、上記水性懸濁液を分配して、そこで上記水性懸濁液が処理される織物と接触することと、を含む、方法。
[20]
処理された上記織物が、デルタEの値が1超であると測定されるような黄変または織物の色の変化を呈しない、項目19に記載の方法。
[21]
上記水性懸濁液の分配が、約40℃~60℃の温度の水を用いて、少なくとも約10グラム/分である、項目19または20に記載の方法。