(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】手術デバイスを配置するための手術ツール、手術デバイス、およびキット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A61B17/56
(21)【出願番号】P 2021529384
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2019060020
(87)【国際公開番号】W WO2020109940
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】102018000010562
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】海渡 貴司
(72)【発明者】
【氏名】松川 啓太朗
(72)【発明者】
【氏名】マイウ,ヘールト
(72)【発明者】
【氏名】モッブス,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】安倍 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,マインラード
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ミラノ,ジャンルーカ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0150864(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0147928(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0227314(US,A1)
【文献】国際公開第2018/013607(WO,A1)
【文献】実開昭59-053017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術デバイスを配置するための手術ツールであって、
把持部分(2)と、
ロッド(3)であって、前記把持部分(2)から当該ロッド(3)の自由端(3a)まで前記ツールの主の展開方向(X)に沿って突出しているロッド(3)と、
患者と係合し且つ前記自由端(3a)で動作可能に機能することができる手術デバイスに結合されるように適合された結合システム(4)と、を備え、
前記結合システム(4)は軸方向保持アセンブリ(5)を備え、
前記軸方向保持アセンブリ(5)は、前記ロッド(3)の前記自由端(3a)において、2つの対向する半球部分(6a、6b)と中央クラッチ(9)とを備え、前記2つの対向する半球部分(6a、6b)は、前記ロッド(3)に沿って部分的に形成された軸方向ノッチ(8)によって互いに離れて、それぞれの平坦な表面(7)に対して互いに向き合っており、前記中央クラッチ(9)はロック位置と解放位置との間で選択的に移動可能であり、前記ロック位置では、前記中央クラッチ(9)は、前記ロッド(3)の前記自由端(3a)に接近して前記2つの半球部分(6a、6b)の間に介在されて、その相互アプローチを防止して前記手術デバイス(10)のシート内に前記2つの半球部分(6a、6b)をブロックし、前記解放位置では、前記中央クラッチ(9)は、前記ロッド(3)の前記自由端(3a)から離れ、前記2つの半球部分(6a、6b)が接近して前記ツールが前記手術デバイス(10)から出ることを可能にし、
前記結合システム(4)は回転係合アセンブリ(16)を備え、前記回転係合アセンブリ(16)は、内部に前記ロッド(3)を収容するスリーブ(22)であって、その自由端(22a)まで前記把持部分(2)から前記ツールの主の展開方向(X)に沿って突出するスリーブ(22)を含み、前記スリーブ(22)は、前記手術デバイス(10)と係合することができる多角形の内部プロファイル(15)を有する、手術ツール。
【請求項2】
前記結合システム(4)が、前記中央クラッチ(9)のねじ部分(18)に対して相互作用するナットねじ(19)であって、前記中央クラッチ(9)の軸方向の並進を促進するように適合されたナットねじ(19)を備える、請求項1に記載の手術ツール。
【請求項3】
前記ナットねじ(19)が前記把持部分(2)と一体である、請求項2に記載の手術ツール。
【請求項4】
前記中央クラッチ(9)に直接機能して前記中央クラッチ(9)を軸方向に回転させる移動手段(20)を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の手術ツール。
【請求項5】
前記移動手段(20)が、前記中央クラッチ(9)と一体である駆動ハンドホイール(21)を備える、請求項4に記載の手術ツール。
【請求項6】
請求項1から5の
いずれか1項の手術ツール(1)の結合システム(4)
の軸方向保持アセンブリ(5)と係合するように適合された半球空洞(11)を有する把持ヘッド(12)を含む手術デバイス
であって、
前記把持ヘッド(12)が多角形の外部プロファイル(14)を有し、前記多角形の外部プロファイル(14)は、請求項1から
5の
いずれか1項に記載の手術ツール(1)の結合システム(4)の対応する多角形の内部プロファイル(15)と係合するように適合されている、手術デバイス。
【請求項7】
第1の雄ねじ(17a)および第2の雄ねじ(17b)を備えたステム(13)を有する、請求項6に記載の手術デバイス。
【請求項8】
前記第1の雄ねじ(17a)および第2の雄ねじ(17b)が相互に異なるピッチを有する、請求項
7に記載の手術デバイス。
【請求項9】
手術デバイスを配置するためのキット(100)であって、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の、手術デバイス(10)を配置するための手術ツール(1)と、
請求項6から8のいずれか1項に記載の、前記手術ツール(1)の前記結合システム(4)に結合することができる
把持ヘッド(12)を備えた少なくとも1つの手術デバイス(10)と、を備えるキット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に使用されるように適合された手術デバイスを配置するための手術ツール、その手術ツールに結合することができる手術デバイス、および手術デバイスを配置するためのキットに関する。
【0002】
特に、本発明の主題である手術デバイスは、例えば、タッピングアタッチメント、またはねじ、または患者に挿入することができ且つカップリングおよび移動ヘッドを備えた任意の他のツールである。
【0003】
次に、手術ツールは、このデバイスに作用して患者の内部にデバイスを正しく配置してデバイスに係合する、または必要に応じてデバイスを移動するように適合されている。
【背景技術】
【0004】
タッピングアタッチメント、ねじなどの手術デバイスと相互作用して椎骨または骨構造内にそれらをねじ込むことによってそれらを配置する、またはそれらと相互作用して椎骨を元の位置から変位させる、スクリュードライバー、開創器などの既知の手術ツールがある。
【0005】
既知の手術デバイスは、一般に多角形(例えば六角形)の外部プロファイルを含む把持ヘッドを有し、把持ヘッドは、コンパスドライバー(compass screwdrivers)に類似した器具、またはマイナスドライバーの先端または開創器または他の手術器具などのブレードヘッドと相互作用するためのノッチを備えた器具によって把持されて回転移動される。
【0006】
第1のケース(多角形の外部プロファイルを持つヘッド)では、回転結合が保証される。すなわち、外科医が患者の体内に手術デバイスを配置すると、ツールは手術デバイスと結合して手術デバイスをそのシートにねじ込むことができる。
【0007】
外科医は、体液、軟組織があり且つ操作のためのスペースがほとんどない部位において適切な位置に、フリーハンドでデバイスを配置しなければならない。
【0008】
手術デバイスが外科医の手から抜ける、またはシート内でのその正しい配置、およびその後のツールへの結合が複雑になるリスクが高い。
【0009】
さらに、手動での位置決めでは、外科医がタッピングアタッチメントまたはねじを例えば指で操作してそれらを椎骨と接触して配置することを可能にするために、必然的により多くの操作スペースが必要になる。すなわち、創傷も広がりることになる。次に、デバイスは手で所定の位置に保持されてツールと係合する、または十分なスペースがない場合には係合されないままにしておく必要があり、この場合には、デバイスが正しい位置から移動し得るというリスクがある。
【0010】
あるいは、椎骨開創器などの他のツールを使用する場合、既に椎骨に配置されて固定されているねじは、チューリップ状の椎弓根スクリュー(pedicle screw tulip)と干渉する開創器の先端と係合されなければならない。
【0011】
この操作はあまり安定していない可能性があり、外科医の側で極度の手動スキルが必要になる。
【0012】
したがって、出願人は、ツールとデバイスとの間の軸方向の係合システムであって、2つが外れるリスクなしに、外科医がツールを使用してデバイスを患者の内部に直接挿入することを可能にする係合システム、またはツールと手術デバイスとの間のより簡単且つ安全な操作性および相互作用を可能にする確実なカップリングの必要性に直面した。
【0013】
さらに、タッピングアタッチメントはパスを生成するために使用され、当該パスを介して椎弓根スクリューなどのインプラントが挿入される。
【0014】
タッピングアタッチメントは、穴を形成するように適合された、一般に二本のねじ山を備えたねじであり、当該穴の内部に椎弓根スクリューが挿入され、その後、その場に留まる。タッピングアタッチメントは、一般に、ねじの直径よりもわずかに小さい直径のステムを持ち、そのねじ山で骨と相互作用して安定した方法でそれ自体を骨の壁に結合する。
【0015】
現在、この機能専用のタッピングデバイスはモノブロックデバイスである。すなわち、「タッピング」外科的操作が完了すると、デバイスは取り外され、骨のチャネルが開いたままになり、失血する可能性がある。
【0016】
次に、インプラントがこのチャネルを通って挿入され、標準的な外科的操作(ディストラクション、椎間板切除など)を進めることができる。タッピングアタッチメントは、実際には、上記の標準的な外科的操作でさえ可能にする可能性を持たず、インプラントを挿入するためのチャネルを生成することを唯一の目的としている。しかしながら、(ステムまたは椎弓根スクリューおよびヘッドまたはチューリップの2つの主要部品からなる)インプラントの全体的なサイズは、その後の外科的操作の適切な実行を妨げる可能性がある。
【0017】
したがって、従来の椎弓根スクリューをその場に配置する必要なしに、通常のタッピングアタッチメントでは実行することがこれまで不可能であった外科的操作を直接行うことを可能にするタッピングアタッチメントなどの手術デバイスを有する必要が生じた。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、現在知られている手術ツールおよびデバイスにおいて直面する欠点を克服することである。
【0019】
したがって、本発明の目的は、外科的操作の適切な実行を妨げることなく、外科的操作に使用することができる手術デバイスを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、一旦配置されると、起こり得る失血のためのプラグおよび標準的な外科的操作を進めるための骨への固定具の両方として機能するデバイスを提示することである。
【0021】
さらに、本発明の目的は、手術デバイスとともに容易に使用することができ、また手術デバイスと軸方向の係合を生成することを可能にする手術ツールを提案することである。
【0022】
最後に、本発明の目的は、ツールとデバイスとの間に軸方向の係合システムの生成を可能にし、それらが相互に外れるリスクなしにデバイスを患者内に挿入することを容易にし、手術時間を短縮して外科医のために位置決め操作を容易にする、手術デバイスを配置するためのキットを提案することである。
【0023】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載のように患者に係合されるように適合された手術デバイスを配置するための手術ツール、請求項8に記載のようにその手術ツールに結合することができる手術デバイス、および請求項12に提示されるように手術デバイスを配置するためのキットによって達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は手術デバイスを配置するための手術ツールに関し、手術ツールは、把持部分と、把持部分からツールの主の展開方向に沿ってその自由端まで突出するロッドと、患者と係合することができ且つ自由端で動作可能に機能する手術デバイスと結合されるように適合された結合システムとを含む。
【0024】
有利なことに、結合システムは軸方向保持アセンブリを備え、当該軸方向保持アセンブリは、ロッドの自由端に、ロッドに沿って部分的に形成された軸方向のノッチによって互いに分離された、それぞれの平坦な表面に対して互いに向き合う2つの対向する半球部分を含む。
【0025】
結合システムは、さらに、ロック位置と解放位置との間で選択的に移動可能な中央クラッチを含み、ロック位置では、中央クラッチは、ロッドの自由端に接近して2つの半球部分の間に介在され、手術デバイスのシート内に2つの半球部分をブロックするようにその相互アプローチを防止しており、解放位置では、中央のクラッチは、ロッドの自由端から離れて2つの半球部分が互いに接近して、ツールが手術デバイスから出てくることを可能にする。
【0026】
有利なことに、結合システムが挿入される手術デバイスのシートは、自由にアプローチするときの2つの半球部分とは反対形状の半球空洞である。このように、クラッチがそれらの間に介在されると、クラッチはそれらを半径方向外側に押して、それらが手術デバイスに存在する半球空洞から出てくるのを防止する。これにより、ツールと手術デバイスが軸方向に外れるのを防止する。
【0027】
結合システムはまた、クラッチのねじ部分と相互作用してその軸方向の並進を促進するように適合されたナットねじを含む。
【0028】
有利なことに、ナットねじは把持部分と一体である。
【0029】
手術ツールはまた、中央クラッチに直接機能して中央クラッチを軸方向に回転させる移動手段を含む。
【0030】
移動手段は、好ましくは、中央クラッチと一体の駆動ハンドホイールを備える。
【0031】
結合システムは、有利には、回転係合アセンブリを含み、回転係合アセンブリは、把持部分からツールの主の展開方向に沿ってその自由端まで突出するスリーブを含み、スリーブは、手術デバイスの内部プロファイルと係合することができる多角形の内部プロファイルを有し、手術デバイスはまた、対応する多角形の形状を有する。
【0032】
スリーブの内部には上記のロッドが収容される。
【0033】
第2の態様では、本発明は、手術ツールの結合システムと係合するように適合された半球空洞を備えた把持ヘッドを含む手術デバイスに関する。
【0034】
この把持ヘッドは、手術ツールの結合システムの対応する多角形プロファイルと係合するように適合された多角形の外部プロファイルを有する。
【0035】
手術デバイスはまた、第1および第2の雄ねじを備えたステムを有する。これらの雄ねじは、互いに異なるピッチを持つ。
【0036】
第3の態様では、本発明はまた、上記のような手術ツールと、手術ツールの結合システムと結合することができるヘッドを備えた少なくとも1つの手術デバイスとを含む、手術デバイスを配置するためのキットに関する。
【0037】
追加の特徴および利点は、従属請求項から、および本発明による手術ツール、手術デバイス、および手術ツールを介して手術デバイスを配置するためのキットの好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確にされるであろう。
【
図3a-3b】本発明による手術ツールの2つの斜視図を示す。
【
図4】本発明による手術ツールを介して手術デバイスを配置するためのキットの斜視図を示す。
【
図5】
図4に示されているキットの拡大された且つ部分的に断面化された詳細を示す。
【
図6a】
図4に示されるキットの展開軸に沿った断面斜視図を示す。
【
図7】本発明の主題であるデバイスと結合することができる手術器具の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上記の図において、番号1は、本発明による、手術デバイスを配置するための手術ツール全体を示す。
【0040】
手術ツール1は把持部分2を備え、把持部分2からロッド3がツール1の軸1aと一致する主の展開方向Xに沿って延びる。ロッド3は、それ自体の自由端3aまで把持部分2から延びる。
【0041】
ツール1はまた、
図3aおよび3bに示される手術デバイス10と結合されるように適合された結合システム4を含み、手術デバイス10は、患者と係合することができ且つ前記ロッド3の自由端3aで動作可能に機能する。
【0042】
手術デバイス10は、例えば、タッピングアタッチメントまたは多軸ねじであり、把持ヘッド12およびステム13を有する。
【0043】
図3aおよび3bに示されるように、把持ヘッド12は、上記の結合システム4と接続するように形作られている。特に、把持ヘッド12は、以下に説明されるように、手術ツール1の結合システム4の軸方向保持アセンブリ5と係合するように適合された半球空洞11を有する。さらに、把持ヘッド12はまた、以下でより詳細に説明されるように、多角形の外部プロファイル14を有し、多角形の外部プロファイル14は、対応する多角形の内部プロファイル15を有する、結合システム4の回転係合アセンブリ16と係合するように適合される。
【0044】
さらに、手術デバイス10は、第1の雄ねじ17aおよび第2の雄ねじ17bを有するステム17を備える。第1の雄ねじ17aおよび第2の雄ねじ17bは、互いに異なるピッチを有する。特に、ヘッド12の反対側の、ステムの自由端17’に最も近い第1の雄ねじ17aは、第1の雄ねじ17aと手術デバイスのヘッド12との間に配置された第2の雄ねじ17bよりも大きい。
【0045】
実際、タッピングの場合、ツールの回転数に等しいより高い送り速度を有するように、より大きなピッチのねじ山を持つもので骨に最初の貫通を行う必要がある。これに続き、当該ねじと同じピッチのねじ山を持つものが続き、それがタッピングアタッチメントの代わりに配置されることになる。
【0046】
有利には、タッピングアタッチメントは、半球空洞11を自由端17’と流体接続する中央軸方向空洞24を有する。この中央軸方向空洞24は、キルシュナー鋼線等を挿入するために使用することができる。
【0047】
ここで手術ツール1に戻ると、結合システム4は、手術デバイス10に存在する半球空洞11、特に、
図3bに見られるように、手術デバイス10のヘッド12に形成される半球空洞11の内部に係合することができる。
【0048】
結合システム4は、初めて使用されるとき、ツール1がデバイス10を軸方向に保持することを確実にし、結合された後、接続が解除されない限り、デバイスが誤って外れるのを防止するために使用される。
【0049】
この目的のために、結合システム4は軸方向保持アセンブリ5を備え、軸方向保持アセンブリ5は、前記ロッド3の自由端3aにおいて、それぞれの平坦な表面7に対して互いに向き合う2つの対向する半球部分6aおよび6bを含む。2つの半球部分、特に2つの向かい合う表面7は、ロッド3の軸1aに沿って部分的に形成された軸方向ノッチ8によって互いに分離されている。
【0050】
換言すれば、自由端3aにおいて、ロッド3は、自由端3aを互いに向き合う2つの半球部分6aおよび6bに分割する軸方向ノッチ8を有する。
【0051】
内部に、ロッド3は軸方向チャネルを有し、軸方向チャネルの内部に、中央クラッチ9がスライド可能に挿入される。
【0052】
中央クラッチ9はロック位置と解放位置との間で選択的に移動可能であり、ロック位置では、中央クラッチ9はロッド3の自由端3aに接近して2つの半球部分6aおよび6bの間に配置されてそれらの相互アプローチを防止し、解放位置では、中央クラッチ9はロッド3の自由端3aから離れて2つの半球部分6aおよび6bが接近して、ツールが手術デバイス10から出ることを可能にする。
【0053】
ロッド3の自由端3a、特に2つの半球部分6aおよび6bは、互いにわずかに接近しながら、手術デバイス10のヘッド12の半球空洞11の内部に挿入される。
【0054】
クラッチをスライドさせてクラッチを2つの半球部分の間に配置することにより、2つの半球部分は互いに接近できなくなるが、間隔を空けたまま半径方向外側に押される。これにより、自由端3aがヘッド12の半球空洞11から出ることが防止される。
【0055】
言い換えれば、軽い推力を加えることによって、自由端3aは、介入を介して半球空洞11に挿入される。この操作中、2つの半球部分6aおよび6bは、互いに接近して半球空洞の外側円形エッジを通過する傾向がある。
【0056】
軸方向保持アセンブリ5を作動させることにより、クラッチは自由端3aに向かって軸方向に前進し、2つの半球部分の間にそれ自体を介在させてそれらの間のギャップを埋め、それらが互いに接近するのを防ぐ。したがって、ツールは、デバイスから軸方向に出ることはできない。なぜなら、そうするためには、2つの半球部分が、手術デバイスのヘッドの半球空洞の外部円形エッジを通過するために、互いに接近しなければならないからである。
【0057】
このようにして、ツールとデバイスとの間の軸方向の係合が保証される。
【0058】
軸方向の並進を促進するために、中央クラッチ9は、ナットねじ19と相互作用するねじ部分18を有する。
【0059】
特に、結合システム4は、中央クラッチ9のねじ部分18と相互作用するように適合されたナットねじ19を備える。特に、
図1に示されるように、ナットねじ19は、ツール1の把持部分2と一体になっている。ナットねじ19は、好ましくは、ツール1の耐荷重性または保護外部構造と一体であり、およびツール1の耐荷重性または保護外部構造の不可欠な部分であってよい。
【0060】
ナットねじ19をより容易に動かすために、それを軸方向に回転させるために中央クラッチ9に直接機能する移動手段20もある。詳細には、移動手段20は、中央クラッチ9と一体の駆動ハンドホイール21を備える。駆動ハンドホイール21は、溶接されてもよいし、一体で作られてもよいし、またはクラッチピン9を介して接続されてもよい。ハンドホイール21を回転させることにより、回転は中央クラッチ9にも伝達される。回転に続いて、ねじ部分18は、ナットねじ19と相互作用して、一方向または他方向に中央クラッチ9の軸方向の並進を促進する。
【0061】
第2の使用において、結合システム4は、例えば、デバイス10の回転軸10a周りの回転を促進し、それを患者の内部に正しく配置するように、デバイス10を動かすのに役立つ。
【0062】
したがって、タッピングアタッチメントまたは椎弓根スクリューの場合、ツールは、手術デバイスを骨にねじ込むためのドライバーとして機能する。
【0063】
この第2の使用を達成するために、結合システム4はまた、回転係合アセンブリ16を備える。この回転係合アセンブリ16は、把持部分2からツールの主の展開方向Xに沿ってそれ自体の自由端22aまで突出するスリーブ22を備える。
【0064】
スリーブ22の内部は中空であり、スリーブ22はその内部をスライドする上記のロッド3を収容する。
【0065】
スリーブ22は、その自由端22aにおいて、手術デバイス1と係合することができる多角形の内部プロファイル15を有する。特に、スリーブ22の多角形の内部プロファイル15は、手術デバイス10のヘッド12の多角形の外部プロファイル14と係合することができる。
【0066】
本発明に記載されているものによる、手術ツール1および少なくとも1つの手術デバイス10のセットは、手術デバイスを配置するためのキット100を規定する。
【0067】
使用中、外科医は、骨の内部に配置する必要があるタッピングアタッチメントまたは椎弓根スクリューなどの手術デバイスを配置する必要がある場合、最初に駆動ハンドホイール21に作用して、その結果、中央クラッチ9がロッド3の自由端3aから離れるよう、ツール1を準備する。したがって、クラッチは、2つの半球部分6aおよび6bの間に配置されず、したがって、これらは、互いに接近して、ヘッド12の半球空洞11の内部に挿入することができる。
【0068】
次に、外科医は、デバイスのヘッド12を結合システム4に接続する、特に、軸方向保持アセンブリ5のロッド3の自由端3aを、わずかな圧力を加えながら、ヘッド12の半球空洞11に挿入する。
【0069】
ヘッド12の多角形の外部プロファイル14は、スリーブ自体の自由端22aの多角形の内部プロファイル15と一致し、スリーブ22の自由端22aの内側に挿入される。
【0070】
この時点で、外科医は、ハンドホイール21を回転することによって、ハンドホイール21に再び作用する。
【0071】
中央クラッチ9のねじ部分18とツールの把持部分に接続されたナットねじ19との間のねじ-親ねじ結合は、ハンドホイール21の回転を中央クラッチ9の軸方向の並進に変換する。ハンドホイール21を使用して、中央クラッチ9は、ロッド3の自由端3aに向かって前進し、ロッド3の2つの半球部分6aおよび6bの間にそれ自体を介在させる。2つの半球部分6aと6bとの間に中央クラッチ9が存在することにより、2つの半球部分6aと6bが接近するのを防ぎ、逆に、外部半径方向にわずかな推力を及ぼして、2つの半球部分を互いに遠ざける。したがって、2つの半球部分は、デバイスヘッドの半球空洞内で広がる傾向があり、ツールが手術デバイスから出て外れるのを防ぎ、手術デバイスは、ツール自体の延長部となり、したがって、容易に取り扱うことができる。
【0072】
軸方向の係合が保証されると、ツールは通常のドライバーとして使用できる。すなわち、デバイスヘッドとスリーブのそれぞれの2つの外部および内部の多角形プロファイル間の結合により、回転係合が保証される。ツールを回転させることにより、デバイスも回転されて、そのシートにねじ込むことができる。
【0073】
デバイスが骨に挿入されると、移動手段に再度作用し、ひいてはハンドホイールに作用することによってツールを取り外すことができる。これにより、クラッチがロッドの自由端から離れ、2つの半球部分が再び自由になり、互いに近づく。軽い力でツールを引くことにより、ツールはデバイスから外れる。
【0074】
手術デバイスのヘッド、特に、デバイスヘッドに存在する半球空洞と、2つの半球部分を含む軸方向保持アセンブリの特定の形状との間の特定の拘束および接続機構は、例えばタッピングアタッチメントを取り外して椎弓根スクリューを即座に配置する必要なしに、その後の外科的操作で所定の位置に配置されるデバイスに容易に作用するように適合されている。
【0075】
実際、例えば、2つの椎骨のディストラクションを伴う通常の外科手術では、通常、少なくとも2つのタッピングアタッチメントを挿入してそれぞれの穴を開け、それを取り外して椎弓根スクリューに置き換える。開創器はねじに作用するが、ねじヘッドのサイズが大きく且つ開創器とねじとの間の相互作用が不安定であるため、多くの欠点がある。
【0076】
代わりに、本発明に記載の係合システムを採用することにより、特に、半球空洞を備えたヘッドを含む手術デバイスと、半球空洞内にインターロックすることによって挿入されるように適合された、2つの半球部分を備えた先端を含むツールとの使用により、従来技術で直面した欠点が解決される。
【0077】
そのような手術ツールの一例が
図7に示されている。
図7では、開創器200が表されており、その先端はそれぞれ、本発明によってカバーされるもののようなデバイス内に挿入されるように適合された2つの半球部分で作られている。開創器はまた、
図7に示されていない軸方向保持アセンブリを含んでもよい。
【0078】
ツールとデバイスとの間の相互作用により、デバイス自体を取り付けるための非常に重要な軸方向の係合が保証され、タッピングアタッチメントまたはねじを配置するための予備的な手動操作の必要性が回避される。
【0079】
これにより、ツールとデバイスとの間に軸方向の係合を生成することが可能になり、その結果、デバイスはツールの延長部となり、外科医の操作が大幅に容易になる。
【0080】
デバイスのヘッドの特殊な形状により、失血のリスクがある、最初のデバイスの取り外して、後続の外科的操作のために設計されたデバイスを配置する必要性なしに、後続の標準的な外科的操作にもデバイスを使用することを可能にする。詳細には、タッピングアタッチメントは、すでに配置されているタッピングデバイスのヘッドと相互作用するように設計された先端を備えた開創器を使用して、椎骨間のディストラクション操作に使用することもできる。