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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】車両のテールゲート
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20220905BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220905BHJP
   B62D 37/02 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B60J5/04 R
B60J5/10 R
B62D37/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021574590
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2021000558
(87)【国際公開番号】W WO2021153200
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2020012203
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 肇
(72)【発明者】
【氏名】野土谷 將
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151119(JP,A)
【文献】特開2008-037174(JP,A)
【文献】特開2002-019648(JP,A)
【文献】特開2006-298229(JP,A)
【文献】特開2020-066410(JP,A)
【文献】特開2009-067360(JP,A)
【文献】特開2017-039472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60J 5/10
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のテールゲートであって、
リヤウィンドウ開口を有するテールゲート本体と、
前記テールゲート本体に一体に形成され、前記テールゲート本体における前記リヤウィンドウ開口の上方部分から後方へ延出するリヤスポイラーと、
前記テールゲート本体の外面における前記リヤウィンドウ開口の外周部に接着剤によって接着され、前記リヤウィンドウ開口を閉鎖するリヤウィンドウパネルとを備え、
前記リヤウィンドウパネルが接着された前記リヤウィンドウ開口の前記外周部の法線方向に前記リヤスポイラーが存在し、且つ前記リヤスポイラーの下面と前記リヤウィンドウパネルの上端部との間に空隙が形成され、
板状の遮蔽部材が後方から見て前記空隙を遮蔽するように前記リヤスポイラーの前記下面に取り付けられていることを特徴とするテールゲート。
【請求項3】
前記テールゲート本体が、互いに接合される樹脂製のアウタパネル及びインナパネルを有し、
前記リヤスポイラーが前記アウタパネルに一体に形成され、前記リヤウィンドウパネルが前記リヤスポイラーの下方にて前記アウタパネルに接着されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のテールゲート。
【請求項8】
前記テールゲート本体の前記外面が前記空隙の前方にて後方を向く後面部を含み、
前記テールゲート本体の前記後面部に設けられた締結部と、前記遮蔽部材の前面に設けられた対応締結部とを更に備え、前記締結部が前記対応締結部と協働して前記遮蔽部材の後方への変位を規制することを特徴とする請求項4に記載の車両のテールゲート。
【請求項9】
前記対応締結部が前記遮蔽部材の前記前面に形成された係合孔を含み、前記締結部が、前記テールゲート本体の前記後面部から後方へ突出し、前記係合孔に弾発的に係合する弾性軸体を含むことを特徴とする請求項8に記載の車両のテールゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のテールゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のテールゲート(リヤゲート、バックドア等とも呼ばれる)として、樹脂製のインナパネルとアウタパネルとを組み合わせてテールゲート本体が形成されたものが公知である(特許文献1)。このテールゲートでは、後方へ延出するリヤスポイラーがアウタパネルによってテールゲート本体の上部に形成され、リヤスポイラーの下面から下方へ離れた位置にリヤウィンドウガラスの上端部が配置されている。リヤウィンドウガラスは、前傾姿勢に配置され、シール部材を介してテールゲート本体に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-237370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスや樹脂等からなるリヤウィンドウパネルをテールゲート本体に取り付ける際には、シール部材や接着剤に、リヤウィンドウパネルの法線方向の力のみを作用させる必要がある。つまり、リヤウィンドウパネルの取付位置に対して法線方向へ離れた位置から取付位置に向けてリヤウィンドウパネルを移動させる必要がある。そのため、リヤウィンドウガラスの上端部とリヤスポイラーの下面との間には、リヤウィンドウパネルを取り付けるための空隙(取付スペース)が設けられる(特許文献1の図2参照)。
【0005】
しかしながら、この空隙は後方から見え易く、ウィンドウガラスの取付後には空隙の存在がテールゲートの見栄えを悪化させる要因になる。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑み、リヤスポイラーを備えるテールゲートの見栄えを改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、車両(1)のテールゲート(4)であって、リヤウィンドウ開口(6)を有するテールゲート本体(7)と、前記テールゲート本体における前記リヤウィンドウ開口の上方部分から後方へ延出するリヤスポイラー(13)と、前記テールゲート本体の外面(7a)における前記リヤウィンドウ開口の外周部(7b)に取り付けられ、前記リヤウィンドウ開口を閉鎖するリヤウィンドウパネル(8)と、前記リヤスポイラーの下面(13b)と前記リヤウィンドウパネルの上端部(8a)との間に形成される空隙(16)を遮蔽するように前記リヤスポイラーの前記下面に取り付けられた板状の遮蔽部材(15)とを備える。
【0008】
この構成によれば、リヤスポイラーの下面と前記リヤウィンドウパネルの上端部との間に形成される空隙が遮蔽部材によって遮蔽されるため、テールゲートの見栄えを改善することができる。
【0009】
好ましくは、前記リヤウィンドウパネルが接着剤(18)によって前記テールゲート本体の前記外面に接着されている。
【0010】
この構成によれば、接着剤によってリヤウィンドウパネルを確実にテールゲート本体に取り付けることができる。また、接着剤によって取付部分の気密性や水密性を確保することができる。
【0011】
好ましくは、前記テールゲート本体が、互いに接合される樹脂製のアウタパネル(11)及びインナパネル(12)を有し、前記リヤスポイラーが前記アウタパネルに一体に形成され、前記リヤウィンドウパネルが前記リヤスポイラーの下方にて前記アウタパネルに接着されている。
【0012】
この構成によれば、別部品として形成したリヤスポイラー部材をテールゲート本体に取り付ける必要がなく、テールゲートの組立作業が容易である。また、テールゲート本体が樹脂製のアウタパネル及びインナパネルを有することにより、テールゲート本体のインナパネル及びアウタパネルが鋼板からなるプレス成形品である場合に比べ、テールゲートの重量を軽減することができる。
【0013】
好ましくは、前記リヤスポイラーの前記下面に設けられた係止部(31)と、前記遮蔽部材の上面に設けられた対応係止部(32)とを更に備え、前記係止部が前記対応係止部と協働して前記遮蔽部材を前後方向にスライド可能に係止する。
【0014】
この構成によれば、係止部及び対応係止部によって遮蔽部材が前後方向にスライド可能にリヤスポイラーに係止されるため、遮蔽部材によって空隙の大部分を遮蔽することができる。
【0015】
好ましくは、前記リヤスポイラーの前記下面に、幅方向に延在して前記遮蔽部材の後縁(15a)が衝当する前向き肩面(21)を画定する段差(22)が形成されている。
【0016】
この構成によれば、遮蔽部材の後縁がリヤスポイラーの前向き肩面に衝当することによって遮蔽部材の後方へのスライドを防止することができる。
【0017】
好ましくは、前記遮蔽部材が前方に向けて下方に湾曲する前縁(15b)を有し、前記前縁において前記テールゲート本体に当接している。
【0018】
この構成によれば、遮蔽部材が湾曲する前縁においてテールゲート本体に当接するため、遮蔽部材とテールゲート本体との接続部の見栄えがよい。また、遮蔽部材とテールゲート本体との間における隙間の発生を抑制することができる。
【0019】
好ましくは、前記係止部が、前記リヤスポイラーの前記下面から下方に突出する軸体(33)及び前記軸体の下端に設けられたフランジ(34)を有し、前記対応係止部が、前記遮蔽部材に一体に形成され、前記遮蔽部材の前記上面から上方に離間した位置を前記リヤスポイラーの前記下面と略平行に延在する本体壁部(37)と、前記本体壁部に形成され、前記軸体を受容する前方開放の係合溝(36)とを含む。
【0020】
この構成によれば、係止部や対応係止部を遮蔽部材の下面に現れることがないように設けることができる。また、遮蔽部材を前後方向にスライド可能にリヤスポイラーに係止させる構造を、簡単な構成によって実現することができる。
【0021】
好ましくは、前記テールゲート本体の前記外面が前記空隙の前方にて後方を向く後面部(7c)を含み、前記テールゲート本体の前記後面部に設けられた締結部(41)と、前記遮蔽部材の前面に設けられた対応締結部(42)とを更に備え、前記締結部が前記対応締結部と協働して前記遮蔽部材の後方への変位を規制する。
【0022】
この構成によれば、締結部及び対応締結部によって遮蔽部材の後方への変位が規制されるため、遮蔽部材のリヤスポイラーからの脱落を防止することができる。
【0023】
好ましくは、前記対応締結部が前記遮蔽部材の前記前面に形成された係合孔(44)を含み、前記締結部が、前記テールゲート本体の前記後面部から後方へ突出し、前記係合孔に弾発的に係合する弾性軸体(45)を含む。
【0024】
この構成によれば、遮蔽部材を前方へスライドさせることによって弾性軸体を遮蔽部材の係合孔に弾発的に係合させることができ、遮蔽部材の取付・取外し作業が容易である。
【発明の効果】
【0025】
このように本発明によれば、テールゲートの見栄えを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るテールゲートを備えた車両の背面図
図2図1中のII-II線に沿ったテールゲートの要部断面図
図3】リヤウィンドウパネル取付時における図2に相当する断面図
図4図2中のIV部の拡大断面図
図5図1中のV-V線に沿ったテールゲートの要部拡大断面図
図6図1中のVI-VI線に沿ったテールゲートの要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は実施形態に係るテールゲート4を備えた車両1の背面図である。図1に示すように、車両1はエンジンやモータ等の駆動源を備えた自動車であり、車体2の後部に形成されたテールゲート開口3を選択的に開閉するテールゲート4を備えている。テールゲート4は上部の左右に設けられた1対のヒンジ5によって上下方向に回動可能に車体2に取り付けられている。テールゲート4は、上部にリヤウィンドウ開口6が形成されたテールゲート本体7と、リヤウィンドウ開口6を閉鎖するリヤウィンドウパネル8とを備えている。リヤウィンドウパネル8は、ガラスや樹脂等からなる透明又は半透明の板部材であり、テールゲート本体7に固定されている。
【0029】
図2図1中のII-II線に沿ったテールゲート4の要部断面図である。図2に併せて示すように、テールゲート4は、テールゲート開口3を閉じた状態において、1対のヒンジ5が設けられた上部が下部に対して前方に位置する前傾姿勢をもって車体2に取り付けられている。
【0030】
テールゲート本体7は、それぞれ樹脂製のアウタパネル11とインナパネル12とを互いに接合させることによって形成された中空構造をなしている。ここで、樹脂製とは、樹脂を含む材料によって形成されていることを意味し、樹脂以外の材料を含んでいてもよい。本実施形態では、アウタパネル11及びインナパネル12は、合成樹脂からなる射出成形品であり、外周部等において接着剤により互いに接着されている。両部材の接合はこれに限られず、摩擦や超音波、レーザー等による溶着や、ホットメルトによる接着、機械的締結であってもよい。テールゲート本体7が互いに接合される樹脂製のアウタパネル11及びインナパネル12を有することにより、これらが鋼板からなるプレス成形品である場合に比べ、テールゲート4の重量が軽減されている。
【0031】
テールゲート本体7の上部には、後方へ延出するリヤスポイラー13が設けられている。リヤスポイラー13は、アウタパネル11に一体に形成された部分(一体形成部分)であり、テールゲート本体7におけるリヤウィンドウ開口6の上方部分から後方へ延出している。リヤスポイラー13がアウタパネル11に一体に形成されていることにより、別部品として形成したリヤスポイラー部材をテールゲート本体7に取り付ける必要がなく、テールゲート4の組立作業が容易になっている。
【0032】
リヤスポイラー13は、テールゲート本体7と同様の幅寸法を有しており、その幅方向の中央にはストップランプ14が設けられている。リヤスポイラー13の上面13aは、車体2のルーフ上面を延長させるように後方に向けて下り勾配とされている。一方、リヤスポイラー13の下面13bは概ね水平とされている。
【0033】
リヤスポイラー13の下面13bには、板状のガーニッシュ15が取り付けられている。ガーニッシュ15は、リヤスポイラー13の下面13bとリヤウィンドウパネル8の上端部8aとの間に形成される空隙16を遮蔽するための遮蔽部材であり、前方に向けて下り勾配の下面を有している。ガーニッシュ15は、後方から下面が見えるように配置され、リヤスポイラー13の外観を向上させる装飾部材として機能する。ガーニッシュ15の詳細構造及び取付構造については後述する。
【0034】
次に、図3を参照してリヤウィンドウパネル8の取付について説明する。図3は、リヤウィンドウパネル8取付時における図2に相当する断面図である。リヤウィンドウパネル8は、ガーニッシュ15がリヤスポイラー13に取り付けられていない状態でテールゲート本体7に取り付けられる。リヤウィンドウパネル8は接着剤18によってテールゲート本体7の外面7aに接着される。より詳細には、リヤウィンドウパネル8は、テールゲート本体7の外面7aのうち、リヤウィンドウ開口6の外周部に形成される環状の取付面7bに接着され、取付面7bによって外周縁を支持される。リヤウィンドウパネル8は、取付面7b上の取付位置に対して法線方向へ離れた想像線で示す位置(以下、取付前位置という)から取付位置に向けて矢印で示されるように移動されて、テールゲート本体7に取り付けられる。
【0035】
図4図2中のIV部の拡大断面図である。図3及び図4を参照して説明を続ける。リヤウィンドウパネル8の外周縁には、接着剤18と弾性部材19とが並列に設けられている。弾性部材19は、リヤウィンドウパネル8とテールゲート本体7の取付面7bとの間隔を保持するスペーサとして機能し、取付前にリヤウィンドウパネル8の内面に接着される。また弾性部材19は、リヤウィンドウパネル8の取付後には、シール部材として機能する。
【0036】
接着剤18は、弾性部材19に対して内周側に間隔を空けた位置にてリヤウィンドウパネル8の内面に敷設される。接着剤18はウレタン樹脂系のものであってよい。接着剤18は、弾性部材19よりも高い高さに敷設される。接着剤18は、取付前位置に配置されたリヤウィンドウパネル8が取付位置に向けて移動されることによって取付面7bに付着し、弾性部材19が取付面7bに当接することによって所定の幅にわたって取付面7bに接着する。リヤウィンドウパネル8は、接着剤18によって取付面7bに接着されることにより、確実にテールゲート本体7に取り付けられる。また、接着剤18によって取付部分の気密性や水密性が確保される。
【0037】
上記のようにリヤスポイラー13は後方へ延びており、リヤウィンドウパネル8は前傾姿勢をもって車体2に取り付けられる。そのため、アウタパネル11は、リヤウィンドウパネル8の上端部8aがリヤスポイラー13に干渉しないように、取付位置に配置されたリヤウィンドウパネル8の上端部8aに対してリヤスポイラー13が上方へ離れるような形状とされている。これにより、アウタパネル11によって形成されるテールゲート本体7の外面7aには、リヤスポイラー13の下面13bと取付面7bとの間にて、後方を向く後面部7cが形成されている。後面部7cは、取付面7bに対して角度をなして延在しており、リヤスポイラー13の下面13bの前端と取付面7bの上端とを連結する。本実施形態の後面部7cは略鉛直方向に延在し、リヤスポイラー13の下面13bに略直交している。
【0038】
テールゲート本体7の外面7aはアウタパネル11によってこのような形状とされている。これにより、リヤウィンドウパネル8の取り付けを可能にするための上記の空隙16(取付スペース)が、テールゲート本体7に取り付けられたリヤウィンドウパネル8の上端部8aとリヤスポイラー13の下面13bとの間に形成される。後面部7cは空隙16の前方に位置しており、空隙16の前部を画定している。
【0039】
リヤウィンドウパネル8がテールゲート本体7に取り付けられた後、図4に示すように、リヤスポイラー13の下面13bにガーニッシュ15が取り付けられる。ガーニッシュ15は、後方に向けて上り勾配をなす傾斜姿勢をもってリヤスポイラー13の下面13bに取り付けられており、略水平に延在するリヤスポイラー13の下面13bとの間に、前部において後部よりも大きな間隙を形成している。ガーニッシュ15は樹脂製の射出成形品であり、例えば、塗装によってリヤスポイラー13と同じ色とされている。
【0040】
リヤスポイラー13の下面13bの後部には、幅方向に延在し、前向き肩面21を画定する段差22が形成されている。ガーニッシュ15の後縁15aは前向き肩面21の前方に配置され、前向き肩面21に衝当する。ガーニッシュ15の後縁15aはテーパ形状とされ、リヤスポイラー13の下面13bにおける段差22の後方部分と下面が面一になるように配置される。
【0041】
ガーニッシュ15の前縁15bは、前方に向けて下方に湾曲し、且つ先端側ほど薄いリップ形状とされている。テールゲート本体7の後面部7cにおけるガーニッシュ15の前縁15bに対向する部分には、前向き肩面21に比べて小さな上向き肩面を画定し、幅方向に延在する断面略V字形の横溝24が形成されている。ガーニッシュ15の前縁15bは横溝24に突入してテールゲート本体7の後面部7cに当接する。横溝24及びガーニッシュ15の前縁15bは、リヤウィンドウパネル8の上端部8aと同等か若干低い位置に配置されている。
【0042】
図1に示すように、ガーニッシュ15は、幅方向の異なる位置に配置された複数の第1取付構造30と複数の第2取付構造40とによってテールゲート本体7に取り付けられている。図示例では、2つの第1取付構造30がガーニッシュ15の左右に配置され、3つの第2取付構造40がガーニッシュ15の中央、左端近傍及び右端近傍に配置されている。
【0043】
図5は、図1中のV-V線に沿ったテールゲート4の要部拡大断面図である。図5に示すように、第1取付構造30は、リヤスポイラー13の下面13bに設けられた係止部31と、ガーニッシュ15の上面に設けられた対応係止部32とを含んで構成されている。係止部31は、リヤスポイラー13の下面13bをなす壁に固定され、リヤスポイラー13の下面13bから下方に突出する軸体33と、軸体33の下端に設けられたフランジ34とを有している。
【0044】
対応係止部32は、ガーニッシュ15に一体に形成された壁体からなり、壁体に形成された係合溝36を含んでいる。壁体は、ガーニッシュ15の上面から上方に離間した位置をリヤスポイラー13の下面13bと略平行に延在する本体壁部37と、本体壁部37の後部及び左右の側部とガーニッシュ15とを連結し、本体壁部37を支持する支持壁38とを有している。本体壁部37とガーニッシュ15の上面との間には、前方に開放された空間が形成される。係合溝36は、本体壁部37の前端から後方へ延びる前方開放の切り込み溝として本体壁部37に形成され、軸体33の直径よりも大きくフランジ34の直径よりも小さな幅を有している。
【0045】
ガーニッシュ15は、リヤスポイラー13の下方を後方から前方へ移動するようにしてリヤスポイラー13に取り付けられる。その際、係合溝36が軸体33を受容する。これにより、係止部31と対応係止部32とが協働して、ガーニッシュ15を前後方向にスライド可能に且つ上下方向に変位不能にリヤスポイラー13に係止する。
【0046】
このように係止部31及び対応係止部32によってガーニッシュ15が前後方向にスライド可能にリヤスポイラー13に係止されるため、ガーニッシュ15によって空隙16の大部分を遮蔽することが可能になる。また、係止部31及び対応係止部32がこのような構成とされることにより、ガーニッシュ15の下面に現れることがないように設けられる。また、ガーニッシュ15を前後方向にスライド可能にリヤスポイラー13に係止させる構造が、簡単な構成によって実現される。
【0047】
前方への移動によるガーニッシュ15の取付の際に、ガーニッシュ15や壁体が弾性変形することにより、ガーニッシュ15の後縁15aは段差22の後方側部分を乗り越えて前向き肩面21に衝当する。このようにリヤスポイラー13の下面13bに前向き肩面21を画定する段差22が形成され、ガーニッシュ15の後縁15aが前向き肩面21に衝当することにより、ガーニッシュ15の後方へのスライドが防止される。
【0048】
また、このガーニッシュ15の取付の際に、ガーニッシュ15や壁体が弾性変形することにより、ガーニッシュ15の前縁15bはリヤウィンドウパネル8の上端部8aを乗り越え、横溝24に突入した態様でテールゲート本体7に当接する。このようにガーニッシュ15が前方に向けて下方に湾曲する前縁15bを有し、前縁15bにおいてテールゲート本体7に当接ことにより、ガーニッシュ15とテールゲート本体7との接続部の見栄えがよい。また、ガーニッシュ15とテールゲート本体7との間に隙間が発生することが抑制される。また本実施形態では、ガーニッシュ15の前縁15bがリヤウィンドウパネル8の上端部8aよりも低い位置に配置されるため、ガーニッシュ15とテールゲート本体7との接続部が後方から殆ど見えず、見栄えがよりよい。
【0049】
図6は、図1中のVI-VI線に沿ったテールゲート4の要部拡大断面図である。図6に示すように、第2取付構造40は、テールゲート本体7の後面部7cに設けられた締結部41と、ガーニッシュ15の前面に設けられた対応締結部42とを含んで構成されている。対応締結部42は、ガーニッシュ15の前部に形成された縦壁43と、縦壁43の前面に形成された係合孔44とを含んでいる。締結部41は、テールゲート本体7に固定され、テールゲート本体7の後面部7cから後方へ突出する弾性軸体45を含んでいる。弾性軸体45は径方向に弾性変形可能であり、前方への移動によるガーニッシュ15の取付の際に、係合孔44に進入して係合孔44に弾発的に係合する。これにより、締結部41と対応締結部42とが互いに協働して、ガーニッシュ15の後方への変位を規制する。
【0050】
このように締結部41及び対応締結部42によってガーニッシュ15の後方への変位が規制されるため、ガーニッシュ15のリヤスポイラー13からの脱落が防止される。また、対応締結部42が係合孔44を含み、締結部41が係合孔44に弾発的に係合する弾性軸体45を含むため、ガーニッシュ15を前方へスライドさせることによって弾性軸体45がガーニッシュ15の係合孔44に弾発的に係合する。したがって、ガーニッシュ15の取付・取外し作業が容易である。
【0051】
テールゲート4は以上のように構成されている。このようにテールゲート4が板状のガーニッシュ15を備え、ガーニッシュ15がリヤスポイラー13の下面13bとリヤウィンドウパネル8の上端部8aとの間に形成される空隙16を遮蔽するようにリヤスポイラー13の下面13bに取り付けられる。そのため、テールゲート4の見栄えが改善される。
【0052】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態で説明した各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材、手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
3 テールゲート開口
4 テールゲート
6 リヤウィンドウ開口
7 テールゲート本体
7a 外面
7b 取付面(外面7aにおけるリヤウィンドウ開口6の外周部)
7c 後面部
8 リヤウィンドウパネル
8a 上端部
11 アウタパネル
12 インナパネル
13 リヤスポイラー
13b 下面
15 ガーニッシュ(遮蔽部材)
15a 後縁
15b 前縁
16 空隙
18 接着剤
21 前向き肩面
24 横溝
30 第1取付構造
31 係止部
32 対応係止部
33 軸体
34 フランジ
36 係合溝
40 第2取付構造
41 締結部
42 対応締結部
44 係合孔
45 弾性軸体
図1
図2
図3
図4
図5
図6