(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20220905BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220905BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20220905BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20220905BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220905BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20220905BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
F01N3/20 K
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01J35/02 G
B01J35/04 301F
F01N3/10 A
F01N3/28 301A
F02D29/02 321A
(21)【出願番号】P 2022529353
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2022003731
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2021019606
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】尾上 亮太
(72)【発明者】
【氏名】堀 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高須 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】大橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】大石 隼輔
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-169343(JP,A)
【文献】特開平03-169342(JP,A)
【文献】特開2019-157733(JP,A)
【文献】特開2000-179331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
B01D 53/94
B01J 35/02
B01J 35/04
F01N 3/10
F01N 3/28
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う通電加熱式排ガス浄化触媒システムであって、
内燃機関の排気管に配置されて前記内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う通電加熱式触媒装置であって、
前記排気管に接続される外筒、
一対の電極、
前記外筒内に導入された排ガスが接触可能な触媒床であって少なくとも一種の三元触媒として機能する触媒金属を含む触媒床を備える触媒部、
前記一対の電極に通電させたときに発熱して前記触媒床を加熱可能な発熱体、および
前記触媒床の温度を検知可能な温度検知部、
を備える通電加熱式触媒装置と、
前記一対の電極への通電を制御する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、前記温度検知部から入力した前記触媒床の温度の情報に基づいて以下の通電制御(1)~(4):
(1)前記触媒床の温度が350±25℃の範囲内で設定される第1閾値温度T1以下のときは前記一対の電極に通電する;
(2)前記触媒床の温度が前記第1閾値温度T1を上回り、且つ、450±25℃の範囲内で設定される第2閾値温度T2以下のときは前記一対の電極に通電しない;
(3)前記触媒床の温度が前記第2閾値温度T2を上回り、且つ、550℃以上で設定される第3閾値温度T3以下のときは前記一対の電極に通電する;
(4)前記触媒床の温度が前記第3閾値温度T3を上回るときは前記一対の電極に通電しない;
を行うように構成されている、通電加熱式排ガス浄化触媒システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記(3)の通電制御を行う際に、さらに以下の制御:
(3-1)前記内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードであるときは前記一対の電極に通電しない;
を行うように構成されている、請求項1に記載の通電加熱式排ガス浄化触媒システム。
【請求項3】
前記内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードは、アイドリングストップまたはフューエルカットである、請求項2に記載の通電加熱式排ガス浄化触媒システム。
【請求項4】
前記触媒床は前記触媒金属として少なくともロジウム(Rh)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の通電加熱式排ガス浄化触媒システム。
【請求項5】
前記内燃機関は、車両用のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の通電加熱式排ガス浄化触媒システム。
【請求項6】
内燃機関の排気管に配置された通電加熱式触媒装置により前記内燃機関から排出される排ガスを浄化する方法であって、
前記通電加熱式触媒装置は、前記排気管に接続される外筒、一対の電極、前記外筒内に導入された排ガスが接触可能な触媒床であって少なくとも一種の三元触媒として機能する触媒金属を含む触媒床を備える触媒部、前記一対の電極に通電させたときに発熱して前記触媒床を加熱可能な発熱体、および、前記触媒床の温度を検知可能な温度検知部を備えており、
前記温度検知部から取得した前記触媒床の温度の情報に基づいて、以下の通電制御(1)~(4):
(1)前記触媒床の温度が350±25℃の範囲内で設定される第1閾値温度T1以下のときは前記一対の電極に通電する;
(2)前記触媒床の温度が前記第1閾値温度T1を上回り、且つ、450±25℃の範囲内で設定される第2閾値温度T2以下のときは前記一対の電極に通電しない;
(3)前記触媒床の温度が前記第2閾値温度T2を上回り、且つ、550℃以上で設定される第3閾値温度T3以下のときは前記一対の電極に通電する;
(4)前記触媒床の温度が前記第3閾値温度T3を上回るときは前記一対の電極に通電しない;
を行うことを包含する、排ガス浄化方法。
【請求項7】
前記(3)の通電制御は、さらに以下の制御:
(3-1)前記内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードであるときは前記一対の電極に通電しない;
を包含する、請求項6に記載の排ガス浄化方法。
【請求項8】
前記内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードは、アイドリングストップまたはフューエルカットである、請求項7に記載の排ガス浄化方法。
【請求項9】
前記触媒床は前記触媒金属として少なくともロジウム(Rh)を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の排ガス浄化方法。
【請求項10】
前記内燃機関は、車両用のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンである、請求項6~9のいずれか一項に記載の排ガス浄化方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項6~10のいずれか一項に記載の排ガス浄化方法を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内燃機関の排気系統に設けられる通電加熱式排ガス浄化触媒システムに関する。また、本発明は、かかる通電加熱式排ガス浄化触媒システムによって行う排ガス浄化方法に関する。また、本発明は、通電加熱式排ガス浄化触媒システムの制御プログラムに関する。
なお、本出願は、2021年2月10日に出願された日本国特許出願2021-019606号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【背景技術】
【0002】
車両エンジン等の内燃機関から排出される排ガスから炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分を酸化または還元反応によって除去するための排ガス浄化触媒として、いわゆる三元触媒(TWC)が用いられている。三元触媒としては、例えばアルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)等の無機酸化物からなる多孔質担体に、酸化触媒及び/又は還元触媒として機能する金属(以下「触媒金属」ということがある。)、典型的には、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の白金族に属する貴金属を担持させたものが利用されている。例えば、酸化触媒としてのPdおよび還元触媒としてのRhを多孔質担体に担持させた三元触媒が広く利用されている。
【0003】
かかる三元触媒は、所定の高温条件下で高い触媒活性を発揮する。従って、エンジン始動時のような排気系統がまだコールドな状態では、エンジンによる長期な連続走行時のような高温状態と比較して、排気系統に装備された三元触媒の活性が低い。このため、そのような状況下でも排ガスを効果的に浄化する技術が求められている。
特に近年、ハイブリッド車両や、アイドリングストップ機構および/またはフューエルカット機構を備える、いわゆるエコカーが普及している。これらの車両では、運転中も頻繁にエンジンが停止することとなり、エンジン始動時のような排気系統のコールド状態が運転開始後も生じやすく、そのような状況下でも排ガスを効果的に三元触媒で浄化する技術が求められている。
【0004】
かかる要求に応えるべく、ハニカム担体等の担体と当該担体に担持された三元触媒とを備える触媒装置であって、さらに一対の電極を備え、当該一対の電極に電力を供給して触媒金属を加熱するように構成された、EHCとも呼称される、いわゆる通電加熱式(電気加熱式ともいう)排ガス浄化触媒装置が開発されている。
【0005】
EHCとしては、触媒装置に電気ヒータを装着する構成のものと、導電性の担体に触媒を担持しておき、当該担体に通電して加熱する構成のものと、が知られている。例えば、特許文献1には、触媒金属を昇温させるための電熱ヒータが組み込まれたEHCが記載されている。また、特許文献2には、NOx吸蔵還元触媒の触媒成分を担持する担体を通電によりジュール熱を生じる材質により構成したEHCが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特許出願公開2004-176592号公報
【文献】日本国特許出願公開2005-233066号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、EHCは、触媒金属を加熱しつつ使用されるとはいっても、通常の排ガス浄化触媒装置と比較すれば、比較的低温域で使用される機会が多い。特にハイブリッド車両やフューエルカット機構を有する車両に搭載された場合に、その傾向は高い。
したがって、より効果的にEHCを使用して排ガス浄化を行うためには、装備される触媒金属の触媒活性に及ぼす温度特性を正しく把握し、その温度特性に対応して触媒金属の温度制御(加熱制御)をより緻密に行うことが重要である。
しかしながら、触媒金属のうち特に三元触媒の比較的低温域における温度特性を正確に把握してEHCの温度制御を効果的に行うには、なお改善の余地がある。
【0008】
本発明は、かかるEHCにおける三元触媒の温度制御の向上を目的として創出されたものであり、特に低温域での排ガス浄化に効果的な温度制御を行える通電加熱式排ガス浄化触媒システムならびに排ガス浄化方法を提供する。また、当該排ガス浄化方法を実施するための制御プログラムを提供する。
【0009】
三元触媒として用いられる触媒金属の温度、換言すれば、内燃機関から排気管を通って触媒装置内の触媒床(触媒層ともいう。)に供給される排ガスの温度が上昇するほど、三元触媒として用いられる触媒金属の排ガス浄化性能が向上することは、当該分野の技術常識である。
しかし、本発明者らは、三元触媒の排ガス浄化性能と触媒床の温度とのより詳細な関係、特に
図4に示すような温度特性に注目した。
図4のグラフの横軸は、触媒床に供給された排ガス温度(℃)であり、縦軸は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)の浄化率を、排ガス温度400℃のときの浄化率を100としたときの相対値で示している。この図から明らかなように、触媒床に供給された排ガスの温度が450℃に至るまではNOx浄化性能も一貫して上昇していく。しかし、触媒床に供給される排ガス温度が450℃を超えると500~550℃の範囲に至るまでNOx浄化性能は逆に低下する。そして、排ガス温度が500~550℃の範囲を超えて上昇するとNOx浄化性能もまた上昇していく。
本発明者らは、上記の概ね450℃~550℃の温度範囲における三元触媒のNOx浄化性能の低下特性に鑑み、本発明を創出するに至った。
【0010】
本発明によって、内燃機関(エンジン)から排気系統へ比較的低温の排ガスが高頻度に排出されるHV、PHEV等のハイブリッド車両、その他の所謂エコカーに装備される通電加熱式排ガス浄化触媒装置であっても、三元触媒のNOx浄化性能が相対的に低下する概ね450℃~550℃の温度範囲(以下「NOx浄化低下温度範囲」という。)で排ガス浄化処理が行われる時間を積極的に低減させ得る技術が提供される。
即ち、ここで開示される排ガス浄化のための触媒システムは、内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う通電加熱式排ガス浄化触媒システムである。このシステムは、
内燃機関の排気管に配置されて上記内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う通電加熱式触媒装置であって、上記排気管に接続される外筒、一対の電極、上記外筒内に導入された排ガスが接触可能な触媒床であって少なくとも一種の三元触媒として機能する触媒金属を含む触媒床を備える触媒部、上記一対の電極に通電させたときに発熱して上記触媒床を加熱可能な発熱体、および、上記触媒床の温度を検知可能な温度検知部、を備える通電加熱式触媒装置と、
上記一対の電極への通電を制御する制御装置と、
を備えている。
【0011】
そして、ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムの上記制御装置は、温度検知部から入力した触媒床の温度の情報に基づいて以下の通電制御(1)~(4):
(1)上記触媒床の温度が350±25℃の範囲内で設定される第1閾値温度T1以下のときは上記一対の電極に通電する;
(2)上記触媒床の温度が上記第1閾値温度T1を上回り、且つ、450±25℃の範囲内で設定される第2閾値温度T2以下のときは上記一対の電極に通電しない;
(3)上記触媒床の温度が上記第2閾値温度T2を上回り、且つ、550℃以上で設定される第3閾値温度T3以下のときは上記一対の電極に通電する;
(4)上記触媒床の温度が上記第3閾値温度T3を上回るときは上記一対の電極に通電しない;
を行うように構成されている。
【0012】
また、本発明は他の側面として、ここで開示されるシステムを採用して排ガスを浄化する方法を提供する。即ち、ここで開示される排ガス浄化方法は、内燃機関の排気管に配置された上記構成の通電加熱式触媒装置により上記内燃機関から排出される排ガスを浄化する方法である。
そして上記温度検知部から取得した触媒床の温度の情報に基づいて、上記の通電制御(1)~(4)を行うことを包含する。
【0013】
かかる構成の通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法では、上記触媒装置に装備される温度検知部からの触媒床の温度の情報に基づき、上記(1)~(4)の通電制御を行うことができる。
具体的には、本システムが作動している場合において、触媒床の温度がT1以下のときは、一対の電極に通電して触媒床を加熱する状態とし、触媒金属の加熱を行う。しかし、触媒床の温度がT1を上回り、且つ、T2以下のときは、従来とは異なり、上記一対の電極に通電しない。これにより、例えば、内燃機関が十分に高温になっていない状態での排ガスを浄化する場合において、触媒床の温度がNOx浄化低下温度範囲に到達するのを抑制することができる。
一方、内燃機関の連続運転によって触媒床の温度が上昇傾向にある状態、具体的には、触媒床の温度がT2を上回ったときは、上記一対の電極に通電する。これにより、触媒床の温度がNOx浄化低下温度範囲を短時間で超えることを促進することができる。
そして、触媒床の温度が所定のT3を上回るときは、もはや通電加熱を行うことなくても充分な排ガス浄化を実現し得ると判断して、上記一対の電極への通電は行わない。
このように、ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法によると、ハイブリッド車両やその他のエコカーにおけるエンジンのように、比較的低温域の排ガスが発生する頻度が高い内燃機関からの排ガスの浄化を、上記NOx浄化低下温度範囲を効果的に避けつつ行うことができる。
【0014】
ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムの好適な一態様では、上記制御装置は、上記(3)の通電制御を行う際に、さらに以下の制御:(3-1)上記内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードであるときは上記一対の電極に通電しない;を行うように構成されている。また、ここで開示される排ガス浄化方法の好適な一態様では、上記(3)の通電制御は、さらに上記制御(3-1)を包含する。
かかる構成の通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法によると、浄化すべき排ガスが発生していない状態において無駄な通電が起こることを回避し、省エネを実現することができる。
【0015】
かかる内燃機関において燃焼ガスが発生しないモードの好適例として、アイドリングストップ、フューエルカットが挙げられる。
このような所謂エコモード運転中は、内燃機関において燃焼ガスが発生しないため、上記一対の電極への無駄な通電は行わないことが望ましい。
【0016】
また、ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法の好適な他の一態様では、上記触媒床は触媒金属として少なくともロジウム(Rh)を含む。
ここで開示される上記通電制御は、通電加熱式排ガス浄化触媒装置によるNOxの還元処理に対して高い効果を奏するため、三元触媒としてロジウムを備えることが好ましい。
また、ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムおよび排ガス浄化方法は、車両用のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンから発生する比較的低温域の排ガスの浄化に特に好適である。
【0017】
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの排ガス浄化方法を実行させるための制御プログラムを提供する。また、本発明は、ここで開示されるいずれかの排ガス浄化方法を実行させるための制御プログラムを記憶している、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体を提供する。ここで開示される制御プログラムは、ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システムの制御装置を上記(1)~(4)の通電制御を実行するプログラムとして把握される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る通電加熱式排ガス浄化触媒システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る通電加熱式触媒装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、他の実施形態に係る通電加熱式触媒装置を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、三元触媒のNOx浄化性能と触媒床に供給される排ガス温度との関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る通電制御処理(メインルーチン)を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る通電制御処理に包含され得るエコモード通電制御処理(サブルーチン)を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る通電制御処理に包含され得る別のエコモード通電制御処理(サブルーチン)を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を適宜参照しつつ、ここで開示される技術の好適ないくつかの実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術知識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書においてA~Bは、A以上B以下を意味する。
【0020】
ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システム10の好適な一実施形態の大まかな構成を
図1に示す。
本実施形態に係る通電加熱式排ガス浄化触媒システム10は、自動車等の車両に組み込まれるシステムであり、通電加熱式触媒装置(EHC)20と、制御装置(ECU)12と、を備えている。
図示されるように、通電加熱式触媒装置20は、内燃機関(ここでは、自動車用ガソリンエンジン)1に接続された排気系統である排気管2の一部に連結されている。なお、本実施形態において内燃機関1はガソリンエンジンであるが、他の実施形態においてディーゼルエンジンであってもよい。
かかる通電加熱式触媒装置20は、排気系統の一部を構成するように排気管2に接続される外筒22と、外筒22の内部に設けられる触媒部30および温度検知部28と、外筒22の一部に設けられるとともに外筒22の内部に設置された発熱体を構成する基材26に接続される一対(正負極)の電極24と、を備えている。
【0021】
外筒22は、耐熱性、耐久性、加工性等に優れた材質から構成される。かかる材質としては、ステンレス等の金属材(導電材)、セラミック材等が挙げられる。外筒22は、排気管2と同じ材質で構成されてもよい。外筒22は、内部空間が形成された、いわゆる筒形状であればよく、円筒形状以外に、角筒形状等であり得る。
温度検知部28は、触媒部30から流出した排ガス(触媒床を通過した直後の排ガス)の温度が計測できるものであれば、特にその構成に制限はない。例えば、熱電対からなる温度センサを、温度検知部28として採用することができる。
【0022】
本実施形態に係る通電加熱式触媒装置(EHC)20の触媒部30は、
図2に示す構造であってよい。具体的には、
図2に示すように、内部がハニカム構造である筒状の基材26と、基材26の外周面に、基材26を挟んで相互に対向するように形成された一対の電極層25および電極(端子)24と、を備えている。電極層25は、効率よく発熱体(ここでは基材26)を発熱できるように、基材26表面に電流を拡散する機能を有している。電極層25の外形やサイズは適宜設定することができる。
【0023】
本実施形態に係る基材26は、一対の電極24に通電された際のジュール熱で発熱可能な発熱体として機能する材質で構成されている。例えば、通電により発熱可能な非金属材もしくは金属材で構成される。
好ましい非金属発熱体としては、不純物(窒素元素(N)等)をドープして通電可能とした炭化珪素、二珪化モリブデン等からなる規則的なセル構造の多孔質体(例えばハニカム構造のモノリス体)が挙げられる。また、好ましい金属発熱体としてはNi-Cr系、Fe-Cr-Al系などの金属からなるメタル多孔質体(典型的にはハニカム構造体)を用いることができる。基材26を、このような一対の電極24に通電した際のジュール熱で発熱可能な発熱体として機能する部材で構成することにより、別に発熱体を設ける必要が無いため、外筒22内部に別部材の発熱体を設けるスペースの確保が不要となり、触媒床のより効率的な設置を行うことができる。
【0024】
あるいは、他の実施形態として、
図3に示すように、触媒部50を構成する基材51とは別に、発熱体46を設けてもよい。具体的には、
図3に示す通電加熱式触媒装置(EHC)40では、外筒42内に、一対の電極44と接続したリングヒータからなる発熱体46を、触媒部50よりも排ガス流動方向の上流側に隣接して配置している。これにより、外筒22内部においてリングヒータ(発熱体)46を発熱させることにより、触媒床の温度を上昇させることができる。
【0025】
図2に示すように、基材26は、排ガス流入側と排ガス流出側の両方の端部が開口した複数のセル32と、隣接したセル32間を仕切る隔壁34とを有するハニカム構造体である。但し、セル32の形状は特に限定されず、正方形、長方形等の四角形状に限られず、例えば三角形状や六角形状、八角形状等の多角形状あるいは円形等であってもよい。
基材26は、上述したようなセル32と隔壁34とからなる規則的なハニカム構造体に限られず、例えば、排ガスが細孔内をスムーズに流動する限りにおいて不規則な細孔が形成されたスポンジ状の多孔質体であってもよい。
なお、基材26は、入側からセル32内に導入された排ガスがそのままセル32を通って出側から排出される所謂ストレートフロータイプに限定されない。例えば、入側のみが開口したセルから導入された排ガスが多孔質な隔壁を通過して隣接する出側のみが開口したセルに移動してセル32の出側から排出される所謂ウォールスルータイプの基材であってもよい。
【0026】
かかるセル32内において、具体的には、隔壁34の表面及び/又は壁内において、図示しない触媒床が形成されている。触媒床(触媒層ともいう。)は、従来のこの種の触媒装置で形成されているものでよく、特別な構成は必要ない。
即ち、本実施形態に係る触媒部30に設けられる触媒床は、三元触媒として機能する触媒金属粒子と、当該金属粒子を担持する担体とを少なくとも備える。
【0027】
触媒金属としては、例えばパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)等の白金族元素に属する金属あるいはその他の酸化もしくは還元触媒として機能する金属が挙げられる。PdおよびPtは、一酸化炭素および炭化水素の浄化性能(酸化浄化能)に優れ、RhはNOxの浄化性能(還元浄化能)に優れるため、三元触媒として特に好ましい触媒金属である。これらに加えて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等からなる金属を併用してもよい。触媒金属の電顕観察に基づく平均粒子径は、好ましくは0.5nm以上50nm以下であり、より好ましくは1nm以上20nm以下であり得るが特に限定されない。
【0028】
触媒金属を担持して触媒床を構成する担体としては、触媒金属粒子を担持可能な限り、特に制限されず、従来公知の担体を用いることができる。例えば、セリア(CeO2)、当該セリアを含む複合酸化物(例えば、セリア-ジルコニア複合酸化物(CZ又はZC複合酸化物))などの酸素吸蔵能(OSC)を有する無機材料(いわゆるOSC材);アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)等の酸化物;等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。OSC材は排ガス浄化の助触媒として機能し得ることから、OSC材を含む担体がより好ましい。触媒床は、触媒成分および担体以外の成分(例えば、バインダ、添加剤等)をさらに含有していてもよい。
【0029】
触媒床における触媒金属(三元触媒)の含有量は特に制限されない。例えば、触媒床に含まれる担体の全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であり得、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0030】
触媒床は、シンプルな単層構造であってもよいし、触媒金属の種類や配合割合が相互に異なる2以上の層を備える複層構造であってもよい。ここで開示される通電加熱式排ガス浄化触媒システム10は、特に低温域でのNOx浄化性能を効率的にし得るため、触媒床(触媒層)が複層構造を有する場合、各層に含まれる金属種は同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、触媒床の厚みや長さは、基材26のセル32の大きさや通電加熱式触媒装置20に供給される排ガスの流量等に応じて適宜決定すればよい。例えば、触媒床の厚みは1μm以上500μm以下であり得る。
【0031】
一方、本実施形態に係る制御装置12は、内燃機関1の作動状態を種々制御するためのECU(engine control unit;電子制御ユニットともいう。)を構成するコンピュータが担う装置である。ECU自体の構成は、従来の自動車に採用されているものと同様でよい。ECUは、例えば、インターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶部と、を備えるマイクロコンピュータである。
【0032】
制御装置12には、ここで開示される一対の電極24への通電を制御するためのプログラムが予めECUにインストールされている。制御装置12は、温度検知部28から触媒床の温度の情報を取得するように、温度検知部28と電気的に接続されている。また、制御装置12は、図示しない電力供給ユニット(例えば車載バッテリーや内燃機関と連動する発電器)と電気的に接続されており、温度検知部28から取得した触媒床の温度の情報に基づいて、電力供給ユニットから一対の電極24への通電をオン/オフ制御することができる。なお、かかるオン/オフ制御自体は、従来のEHCにおける通電のオン/オフ制御と同じでよく、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、本実施形態に係る通電加熱式排ガス浄化触媒システム10における通電制御プログラムの実行を、
図5に示すフローを参酌しつつ説明する。
制御装置12は、自動車の運転が開始され、内燃機関(車両のガソリンエンジン)1が作動を開始したことを認知することにより、この制御を開始する。具体的には、内燃機関1に別途設けられているクランクポジションセンサからECUに入力された信号に基づき、内燃機関1が稼働していることが判断されたときにこの制御が開始される。ただし、上記のタイミング以外で開始してもよい。例えば、いわゆるストロングハイブリッド車と呼ばれるハイブリッド車両は、駆動用車載バッテリーとモーターによってエンジンを停止した状態でも走行ができる。このため、このような車両の場合には、発車時のエンジンが始動しない運転モードにおいて予めEHCを暖めておくために、運転者のIG-ON(運転開始時のメインスイッチオン)を契機として、本実施形態に係る通電加熱式排ガス浄化触媒システム10における通電制御を開始してもよい。
【0034】
図5に示すように、制御装置12は、先ず、第1閾値温度T1、第2閾値温度T2、第3閾値温度T3を設定する(ステップS1)。このとき、T1は350±25℃の範囲内の何れかの温度、T2は450±25℃の範囲内の何れかの温度、T3は550℃以上である何れかの温度に設定される。
【0035】
次に、制御装置12は、運転中(典型的には内燃機関1の稼働中)、所定間隔で温度検知部28からの温度データを温度検知部28から入力する(ステップS2)。そして、入力した温度データ(触媒床温度情報)から、触媒床の温度Txが第1閾値温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、触媒床の温度Txが第1閾値温度T1以下であると判定されたときは、一対の電極24に通電する(ステップS4)。そして、ステップS1からの処理に戻る。
【0036】
一方、ステップS3で触媒床の温度Txが第1閾値温度T1以下ではない、つまりT1を上回っていると判定された場合は、次に、当該触媒床の温度Txが第2閾値温度T2以下であるか否かを判定する(ステップS5)。ここで、触媒床の温度Txが第2閾値温度T2以下である(即ちT1<Tx≦T2)と判定されたときは、一対の電極24に通電しない(ステップS6)。そして、ステップS1からの処理に戻る。
【0037】
ステップS5で触媒床の温度Txが第2閾値温度T2以下ではない、つまりT2を上回っていると判定された場合は、次に、当該触媒床の温度Txが第3閾値温度T3以下であるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、触媒床の温度Txが第3閾値温度T3以下である(即ちT2<Tx≦T3)と判定されたときは、一対の電極24に通電する(ステップS8)。そして、ステップS1からの処理に戻る。
このとき、内燃機関1の稼働に関して所定のエコモードである場合には別のサブルーチン処理を実行するオプションがあるが、かかるサブルーチン処理については後述する。
【0038】
ステップS7で触媒床の温度Txが第3閾値温度T3以下ではない、つまりT3を上回っていると判定された場合は、触媒床の温度が充分加熱されているため、もはや一対の電極24には通電しない(ステップS9)。そして、ステップS1からの処理に戻る。
【0039】
上記のステップS1~S9を含む本実施形態に係る通電制御プログラムを実行することによって、ハイブリッド車両、あるいは所謂エコモードが付随したエコカーと呼ばれる車両におけるエンジンのように、比較的低温域の排ガスが発生する頻度が高い内燃機関1からの排ガスの浄化を、上述したNOx浄化低下温度範囲を効果的に避けつつ効率よく行うことができる。
【0040】
次に、上記通電制御処理(メインルーチン)に付随され得るエコモード通電制御処理(サブルーチン)プログラムの実行を、
図6に示すフローを参酌しつつ説明する。
なお、本実施形態では、内燃機関1において燃焼ガスが発生しないモードとしてアイドリングストップ機構とフューエルカット機構の両方を備えている場合についてサブルーチンが設定されている。ただし、エコカーの種類(例えば、ストロングハイブリッド車よりもモーターが小さく駆動用バッテリーの容量も小さいマイルドハイブリッド車やピュアエンジン車のエコカー仕様)に応じて、アイドリングストップ機構とフューエルカット機構の何れか一方のみでサブルーチン処理を設定してもよい。
【0041】
図6に示すように、ステップS7(
図5参照)において触媒床の温度Txが第3閾値温度T3以下である(即ちT2<Tx≦T3)と判定されたとき、ステップS8に続いてエコモード通電制御処理(サブルーチン)プログラムが開始される。
具体的には、その時点でのECUによりコントロールされている内燃機関1の運転モードが判定される。先ず、現在の運転モードがアイドリングストップ作動中であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0042】
ここで、運転モードがアイドリングストップ作動中であると判定されたときは、無駄な電力消費を避けるため、一対の電極24への通電をカットする(ステップS12)。
一方、ステップS11でアイドリングカット作動中ではないと判定された場合は、次に、現在の運転モードがフューエルカット作動中であるか否かを判定する(ステップS13)。ここで運転モードがフューエルカット作動中であると判定されたときもやはり無駄な電力消費を避けるため、一対の電極24への通電をカットする(ステップS12)。一方、ステップS13でフューエルカット作動中ではないと判定された場合は、一対の電極24への通電カットは行うことなく、このエコモード通電制御処理(サブルーチン)を終了する。
【0043】
あるいは、エコモード通電制御処理(サブルーチン)プログラムの別の好適な態様として、
図7に示すような、所定の態様で内燃機関1の一時的な稼働ストップを考慮してサブルーチン処理を設定してもよい。例えば、上記ストロングハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)と呼ばれる車両では、エンジンが一時的に停止しているモードが運転中に頻出し得るため、このような態様のエコモード通電制御処理をシステムに組み入れることが好ましい。
【0044】
図7に示すように、ステップS7(
図5参照)において触媒床の温度Txが第3閾値温度T3以下である(即ちT2<Tx≦T3)と判定されたとき、ステップS8に続いて本態様のエコモード通電制御処理(サブルーチン)プログラムが開始される。
具体的には、その時点でのECUによりコントロールされている内燃機関1の運転モードが判定される。即ち、現在の運転モードがエンジン停止中であるか否かを判定する(ステップS21)。ここで、運転モードがエンジン停止中であると判定されたときは、一対の電極24への通電をカットする(ステップS22)。一方、ステップS21でエンジン停止中ではない(即ち、エンジン作動中)と判定された場合は、一対の電極24への通電カットは行うことなく、エコモード通電制御処理(サブルーチン)を終了する。
【0045】
図8は、一実施形態に係る制御装置12の機能ブロック図である。制御装置12は、通電加熱式触媒装置40に備えられた一対の電極24および温度検知部28と通信可能に接続され、これらを制御可能に構成されている。制御装置12は、温度設定部12aと、温度入力部12bと、第1温度判定部12cと、第2温度判定部12dと、第3温度判定部12eと、第1通電制御部12fと、モード判定部12gと、第2通電制御部12hと、を備えている。制御装置12の各部は、相互に通信可能なように構成されている。制御装置12の各部の機能は、例えばプロセッサおよび/または回路等によって実現されている。
【0046】
温度設定部12aと、温度入力部12bと、第1温度判定部12cと、第2温度判定部12dと、第3温度判定部12eと、第1通電制御部12fとは、上記したメインルーチン(
図5参照)を行う制御部である。温度設定部12aは、第1閾値温度T1と、第2閾値温度T2と、第3閾値温度T3と、を設定する制御部である。温度設定部12aは、ステップS1(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。温度入力部12bは、温度検知部28から触媒床の温度Txの情報を取得する制御部である。温度入力部12bは、ステップS2(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。
【0047】
第1温度判定部12cは、温度検知部28から取得した触媒床の温度Txの情報と、温度設定部12aで設定された第1閾値温度T1とを比較して、大小関係を判定する制御部である。温度判定部12cは、ステップS3(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。第2温度判定部12dは、温度検知部28から取得した触媒床の温度Txの情報と、温度設定部12aで設定された第2閾値温度T2とを比較して、大小関係を判定する制御部である。温度判定部12cは、ステップS5(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。第3温度判定部12eは、温度検知部28から取得した触媒床の温度Txの情報と、温度設定部12aで設定された第3閾値温度T3と比較して、大小関係を判定する制御部である。温度判定部12cは、ステップS7(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。
【0048】
第1通電制御部12fは、第1温度判定部12c、第2温度判定部12d、第3温度判定部12e、で得られた結果に基づいて、それぞれ、一対の電極24への通電をオン/オフ制御する制御部である。第1通電制御部12fは、ステップS4、S6、S8、S9(
図5参照)の動作を実行するように構成されている。
【0049】
モード判定部12gと、第2通電制御部12hとは、上記したサブルーチン(
図6参照)を行う制御部である。モード判定部12gは、内燃機関1の運転モードを判定する制御部である。モード判定部12gは、ステップS11、S13(
図6参照)の動作を実行するように構成されている。第2通電制御部12hは、モード判定部12gで得られた結果に基づいて、一対の電極24への通電をオン/オフ制御する制御部である。第2通電制御部12hは、ステップS12(
図6参照)の動作を実行するように構成されている。
【0050】
制御装置12の各部の機能は、例えばコンピュータプログラムによって実現可能なものであってもよい。このコンピュータプログラムは、非一時的な記録媒体から読み込まれるものであってもよいし、インターネット等を通じてダウンロードされるものであってもよい。この場合、コンピュータに、上記した排ガス浄化方法を実行させるためのプログラムも、ここに開示される発明の一形態である。また、制御装置12の各部の動作が書き込まれ、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も、ここに開示される発明の一形態である。非一時的な記録媒体としては、例えば、ROM、不揮発性メモリーカード等の半導体記録媒体;DVD、MD、CD等の光記録媒体;磁気テープ等の磁気記録媒体;等が例示される。
【0051】
以上、ここで開示される技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0052】
例えば、上述した実施形態に係る通電加熱式排ガス浄化触媒システム10における通電制御プログラムでは、ステップS1において、第1閾値温度T1、第2閾値温度T2および第3閾値温度T3に予め設定した所定の温度を設定するが、それぞれの閾値温度は、常に一定である必要はなく、メインルーチン処理を繰り返す間に適宜変更することができる。
【0053】
例えば、運転者が運転する態様によって、触媒床の温度の上昇の速さや触媒床の温度の上昇下降の頻度は異なるため、それらに応じたフィードバック機構を設け、運転中において触媒床の温度がNOx浄化低下温度範囲に属する時間を低減できるように第1閾値温度T1および第2閾値温度T2を適宜異ならせていってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 内燃機関(エンジン)
2 排気管
10 通電加熱式排ガス浄化触媒システム
12 制御装置(ECU)
20,40 通電加熱式触媒装置(EHC)
22,42 外筒
24,44 電極
25 電極層
26 基材(発熱体)
28 温度検知部(熱電対)
30,50 触媒部
32 セル
34 隔壁
46 発熱体
51 基材
【要約】
本発明により、通電加熱式排ガス浄化触媒システムが提供される。この通電加熱式排ガス浄化触媒システムは、通電加熱式触媒装置の温度検知部から入力した触媒床の温度の情報に基づいて、以下の通電制御:(1)触媒床の温度が350±25℃の範囲内で設定される第1閾値温度T1以下のときは一対の電極に通電する;(2)触媒床の温度が第1閾値温度T1を上回り、450±25℃の範囲内で設定される第2閾値温度T2以下のときは一対の電極に通電しない;(3)触媒床の温度が第2閾値温度T2を上回り、且つ、550℃以上で設定される第3閾値温度T3以下のときは一対の電極に通電する;(4)触媒床の温度が第3閾値温度T3を上回るときは一対の電極に通電しない;を行うように構成されている。