(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】特に作業者の人間工学的解析のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220906BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220906BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06Q50/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018171219
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513318515
【氏名又は名称】シー.アール.エフ. ソシエタ コンソルティレ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ パルド マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】パスケッタ ジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】モンフェリノ ロセッラ
(72)【発明者】
【氏名】ガロ フランチェスカ
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-530452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0332946(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0248478(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0197399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間工学的解析のためのシステムであって、
-作業者の手の部位の間の相対的な動きを検出するように構成される複数の伸縮計センサを含む内グローブと、手のひら表面の全てにわたり分布され、前記手のひら表面の対応するエリアに及ぼされる圧力を検出するように構成される複数の圧力センサを含む外グローブとを備えるセンサ搭載グローブと、
-センサ、好ましくは慣性センサのウェアラブルなセンサネットワークであって、前記センサは前記ウェアラブルなセンサネットワークに位置し、それにより前記センサは、人体の対応する関節に関連付けられ得る、ウェアラブルなセンサネットワークと、
-オペレータにより行われるタスクの一連の画像、好ましくは連続シーケンスの画像、より好ましくはビデオクリップを生成するユニットと、
-前記センサ搭載グローブ、前記ウェアラブルなセンサネットワーク、及び一連の画像を生成するためのユニットデータのうち少なくとも1つからのデータ及び信号のうち少なくとも一方を受信するように構成され、人間工学的インジケータを推定することと、試み及び姿勢のうち少なくとも一方の局所情報を取得することとのうち少なくとも一方を行うべく、前記データ及び信号のうち少なくとも一方を処理するように構成される処理ユニットと
を備えるシステム。
【請求項2】
一連の画像を生成するための前記システムは、作業エリア内の作業者の映像を取得するように構成される1又は複数のカメラを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
一連の画像を生成するための前記システムは、環境が前記オペレータのワークステーションのCADモデルに対応するIVR(没入型仮想現実)システムを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサ搭載グローブにおいて、前記内グローブは、背面及び手のひら表面を有し、
-対応する線形伸縮計が内部に収容される第1複数のポケットと、
-実質的にU字形状をして、手のひら面において前記手の一部の相対的な動きを検出するように構成される対応する線形伸縮計を収容する第2複数のポケットと
を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記外グローブは、背面及び手のひら表面を有し、対応する圧力センサを収容するように構成される前記手のひら表面上に第3の複数のポケットを有する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各々の圧力センサは、前記手の予め定められたエリアに個別の前記圧力センサの適用を可能にするようなレイアウトを有するセンサネットワークの一部である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の伸縮計センサ及び前記複数の圧力センサは、少なくとも部分的に重なり合うエリアを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のシステムによる作業者の人間工学的解析のための方法であって、
-一連の画像を生成するための前記ユニットによって前記作業者によって行われるタスクの一連の画像を取得する段階と、
-前記センサ搭載グローブから第1セットの姿勢データを取得する段階と、
-前記ウェアラブルなセンサネットワークから第2セットの姿勢データを取得する段階と、
-前記第1セットの姿勢データ、前記第2セットの姿勢データ及び前記一連の画像に基づいて1又は複数の人間工学的インジケータを決定する段階と
を備える方法。
【請求項9】
前記センサ搭載グローブからの第1セットの姿勢データを取得する段階は、
-前記内グローブの前記複数の伸縮計センサから第1センサデータを受信する段階と、
-前記第1センサデータを手のベクトルマップに関連付ける段階であって、手のベクトルマップは、前記手の対応する関節に関連付けられる複数のノードと、前記複数のノードを互いに接合する複数のセグメントとを備え、ノードに関連付けられた1又は複数の伸縮計センサが前記ノードに接続するセグメント対の間の相対的な角度位置を検出するように構成され、各第1センサデータは、前記対応するノードに接続された前記セグメント対の間に相対的な角度位置を備える、段階と、
-前記外グローブの複数の圧力センサから第2センサデータを受信する段階であって。各第2センサデータは、対応する圧力センサのエリアに沿って検出される圧力についての情報を備える、段階と、
-各圧力センサが、合力の作用点の位置を決定する段階であって、前記合力は、前記ベクトルマップのノードに関して、対応する前記第2センサデータの関数である、段階と、
-前記第2センサデータと組み合わせた前記第1センサデータに基づいて、前記手により及ぼされる把持タイプを決定する段階と
を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記手により及ぼされる把持タイプの前記決定は、
-圧力マップを定義する段階であって、前記圧力マップは、前記外グローブの対応する圧力センサに関連付けられた複数のマップエリアを備え、各マップエリアは、それぞれの影響エリアを有する感応素子のアレイであり、各感応素子は、対応する前記圧力センサ上の同種の影響エリア上で検出される圧力値を表す情報に関連付けられる、段階と、
-マップエリアごとに関与閾値を定義する段階であって、各関与閾値は、異なるタイプの把持を代表する、段階と、
-各マップエリアの前記感応素子により提供される前記情報を記録し、前記情報を、前記異なるタイプの把持に対して適用することができる前記関与閾値と比較する段階と、
-各マップエリアの前記感応素子により提供される前記情報と、前記異なるタイプの把持に対して適用することができる前記関与閾値との間の前記比較の結果に基づいて前記把持タイプを決定する段階と
を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
決定された前記把持タイプと前記第1センサデータに基づいて決定された姿勢情報を比較することにより前記把持タイプの前記決定についてのチェックを実行する段階
をさらに有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ウェアラブルなセンサネットワークは、前記オペレータの体の対応する部分に位置した慣性センサを有し、前記オペレータの前記体の前記部分は、人間の骨格の基準体系との対応を有し、前記基準体系は、前記人間の骨格の関節の定義のために関節要素により接続される前記人間の骨格の骨の定義のためにセグメント要素を含み、
前記慣性センサは、それぞれのセグメント要素を代表するポイントに配置される、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ウェアラブルなセンサネットワークからの第2セットの姿勢データを取得する段階は、前記タスクの実行中に前基準体系の各セグメント要素及び関節要素の軌跡、姿勢及び回転角度を取得する段階を備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記関節要素は、ポイント状要素である、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
一連の画像を取得する前記段階は、
-ワークステーションにおける前記オペレータの映像を取得する段階と、
-仮想現実システムの仮想ワークステーションとの基準オペレータの相互作用により映像を生成する段階と
を組み合わせて、又は互いの代案として有する、
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者、特に作業者の人間工学的解析のためのシステムに関し、より詳しくは、車両組み立てに対して責任があるラインオペレータの動き、行動及び姿勢の解析に適用されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造及び金属工学産業において、作業者は、順に行われる反復作業を実行するように求められ、そのために、オペレータの健康及び肉体的インテグリティに対するリスクを防止すべく、人間との最小レベルの人間工学的な適合性を保証することが必要である。
【0003】
本コンテキストにおいて、金属工学産業、特に自動車産業は、互いに全く異なっており、製品のニーズにより回数を決めつつ、1日に数えきれない回数が実行される複数のタスクにより特徴づけられる。従って、もし必要とされ、必要とされる場合、姿勢の矯正、及び/又は、動き及び/又は行動の補正を行うべく、こうした行動の注意深い人間工学的アセスメントを行うことが重要になっている。
【0004】
従来技術に基づくシステム及び方法を用いて実行することができる人間工学的解析は概して、以下の技術を利用する:
-人間工学的監視に責任があるオペレータにより行われる作業者の視覚解析であり、このプロセスは、仕事中の作業者の画像の取得と、オペレータによるその後の解析とに基づく。プロセスは、大部分は手動的/実験的に実行され、従って主観的なばらつきに悩まされ、制御可能ではあるが、共に除外され得ない;さらに、時間的リソースの観点からかなり厳しくなっている。
-体の部分の位置及び/又は画像及びビデオクリップによる長骨の位置の取得、ならびに、それにより得られたデータの処理、たとえこの方法は主観的なばらつきが実際にはないとしても、人体の一部だけが覆われるという事実、及び/又は読み取り解像度(人間工学的な目的で)が低すぎるという事実により、著しく不利にされる。これは、当該方法が主な人間工学的インジケータを推定することに関連した要求を満たすには程遠いことを意味する。
【0005】
最後に、及び前述の結果として一つには、現在公知のシステム及び方法に関して、作業者の手に対して行われる人間工学的解析の任意の活動は、実質的に実行不可能であり、この解析をリアルタイムに、人間工学的監視の責任があるオペレータの主観性と関連しない客観的な手段で実装する可能性は、さらに低くなる。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、前述の技術的課題を解決することである。
【0007】
特に、本発明の目的は、同時に客観的かつ迅速に行われる観察及び設計の段階において、人間工学的解析の方法論的支援ツールを提供することを備える。ワークステーションで作業者により行われる活動の解析方法の開発に対して特別の言及がなされ、この解析から、設計段階において、組立ライン上の製品/プロセスパラメータを改良する、及び/又はワークステーションの特性を最適化するために役立つ因子を引き出す。
【0008】
さらに、本発明の目的は、システムの一部を形成する複数のデバイス、例えば、ディスプレイ、体の動きをキャプチャするためのデバイス、及び/又は手の動き及び手の力をキャプチャするためのデバイス(例えば、加速度計、圧力センサなど)システムの部分を形成する複数のデバイスから人間工学的なデータの収集のために単一のインターフェースを提供することであり得る。
【0009】
本発明のさらなる目的は、以下を備える:
-作業活動中の重要な動作を識別すること、及び/又は
-人間工学的観点から重要である主な態様を識別すること、及び/又は
-企業標準及び国際標準に従って人間工学的アセスメントを提供すること、及び/又は
-高い反復性のある姿勢及び動的データの収集のための、及び作業者の手に適用されるその後のデータ解析のためのシステム及び方法を提供すること。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、続く特許請求の範囲の主題を形成する特性を有するシステム及び方法により達成され、特許請求の範囲は、本発明に関連して本明細書で提供される技術的教示の一体的部分を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明はここで、非限定例として純粋に提供される添付の図面を参照して説明されるであろう。
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの例として提供されるブロック図である。
【
図2】作業者、特にラインオペレータの手に適用することができる力及び位置データを収集するためのデバイスの全体図である。
【
図2A】
図2のデバイスのキャリブレーション位置を示す。
【
図3】
図2のデバイスのコンポーネントの上面図である。
【
図3A】
図3Aのデバイス上のセンサ要素の配置と、基準の人体構造との間の相互関係を示す。
【
図6】
図2のデバイスの例によって提供され、指の軸に特に沿った断面図である。
【
図7】本発明に係る方法の前提を示す機能的スキームである。
【
図8】本発明に係る方法の前提を示す機能的スキームである。
【
図9】
図2のデバイスの操作中に得ることができる例によって提供される結果を示す。
【
図10】
図2のデバイスの操作中に得ることができる例によって提供される結果を示す。
【
図11】
図2のデバイスの操作中に得ることができる例によって提供される結果を示す。
【
図12】
図2のデバイスの操作中に得ることができる例によって提供される結果を示す。
【
図13】
図2のデバイスと、本発明に係る方法を用いて検出することができる4つの条件を示す図表である。
【
図14】本発明に係るシステムのさらなる要素の概略表現である。
【
図15】
図14に概略的に表現された要素の好ましい実施形態を示す。
【
図16】発明に係るシステムの管理のためのソフトウェアのいくつかのインターフェース画面を示す。
【
図17】本発明に係るシステムの管理のためのソフトウェアのいくつかのインターフェース画面を示す。
【
図18】本発明に係るシステムの管理のためのソフトウェアのいくつかのインターフェース画面を示す。
【
図19】本発明に係るシステムの管理のためのソフトウェアのいくつかのインターフェース画面を示す。
【
図20】部分「A」及び部分「B」を含む各々が、作業者により行われるタスクの一連の画像の取得モードを示す。
【
図21】部分「A」及び部分「B」を含む各々が、作業者により行われる一連のタスクの画像の取得モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、番号1は全体として、人体又はその部分の動きの解析、特に、作業者に任せられたタスクの実行中の作業者の動きの解析のための、より詳しくは、自動車セクタの組立ラインにおける作業者の動きの解析のための本発明に係るシステムを示す。
【0013】
システム1は、以下を備える:
-少なくとも1つのデバイス2(
図1のA)であって、作業者の手によりなされる動き及びそれにより加えられる力を検出するために、ウェアラブルセンサ搭載グローブとして好ましくは提供される。
-センサ、好ましくは慣性センサのウェアラブルネットワーク4(
図1のB)であって、そこで、センサは、人体の対応する関節に関連付けられるべくネットワークに位置しており、好ましくは、ウェアラブルネットワークは、衣服、又はオーバーオール対などのそのような衣服一式に組み込まれる。
-画像取得システム6(
図1のC)であって、その後の人間工学的アセスメントの目的で作業エリア内の作業者の画像を取得するように構成される1又は複数のカメラを含み;複数のカメラを提供した場合には、異なるカメラは、異なる撮影角度に関連付けられ得る。
-処理ユニット8であって、センサ搭載グローブ2から、及び/又はウェアラブルセンサネットワーク4から、及び/又は画像取得システム6からデータ及び/又は信号を受信するように構成され、人間工学的インジケータを推定する、及び/又は行われた試み(effort)及び/又は姿勢に関する局所情報を取得する上記データ及び/又は信号を処理するように構成される。
【0014】
図2を参照して、本発明に係るデバイス2の実施形態が、
図2に示される。デバイスは、二重壁のセンサ搭載グローブとして提供される。特に、グローブ2は、内グローブ10(
図3)と、外グローブ12(
図2、
図2A、
図4及び
図5、全ての場合において、グローブ10の存在が暗に示されている)とを含む。
【0015】
図3を参照すると、(例えば、ブランド名Cyberglove(登録商標)というブランド名の下で市販されているセンサ搭載グローブであり得る)内グローブ10は、人間の手の様々な部分:手根骨、中手骨及び指骨の位置及び相対的な動きに関するデータを検出して、処理ユニット6に送信するように構成される。このために、グローブ10は、第1複数のポケット14を含み、それらは、グローブの変形に伴うリスクを冒さずに手の動きをより忠実にたどるべくグローブ10の内部に縫い付けられ、好ましくは長方形の形状を有し、それらの内部に対応する線形伸縮計EXT(
図6)を収容する。
【0016】
実質的にU字形をした第2複数のポケット16が代わりに、グローブ10の外面に縫い付けられ、対応する線形伸縮計を収容し、線形伸縮計は、ポケットのU字形状のために、手の様々な部分、例えば手のひら面(例えば、指の分岐の動き)の相対的な動きを検出することができる。
【0017】
図3Aは、グローブ10上に取り付けられた伸縮計により提供されるデータとのインターフェースのために使用することができるベクトルマッピングの例を示す。
図8を参照して以下に分かるように、このベクトルマップは、本発明に係る作業者の手の動きを検出するための方法の根底にある。
【0018】
図3Aのベクトルマップはさらに、グローブ10の伸縮計により検出される動きの座標を参照するために好ましくは採用することができる局所軸システムを提示する。特に、平面XZは、手のひら面であり、平面XYは、横断平面であるが、平面YZは、矢状平面である。
【0019】
図2、
図4及び
図5を参照すると、外グローブ12は、手のひら(
図4)と背部(
図5)との両方上に織物材料、例えば、伸縮性のある綿(好ましくは、グローブ10のように)でできている。これにより、外グローブ12の内グローブ10との結合がより安定で正確になる。手のひら4上に、例えば、アルカンタラ(Alcantara(登録商標))のグリップを改良するように設計された、滑り止め材料でできた第2層18が適用される。
【0020】
対応する圧力センサPSを収容するように構成される好ましくは四角形の形状の複数のポケット20が(外)層18に縫い付けられる(あるいは、適用される)(
図4A参照)。フィルムサポート上に実質的に提供されるセンサの挿入を容易にすべく、各ポケット20は、辺のうち少なくとも1つには縫い付けられない(ポケットが四角形である場合、好ましくは、3辺にだけ縫われる)。さらに、ポリアミド層は、層18の下で、手のひらに対応する外グローブ12の部分上に好ましくは提供される。ポリアミド層は、センサをポケット20に挿入することを容易にする。
【0021】
各々の圧力センサは、手の予め定められたエリアに個別のセンサPSの適用を可能にするようなレイアウトを有するセンサネットワーク22の一部を形成する。そのようなセンサネットワークの例は、
図4Aに示され(スプレイアウト(splayed-out)、実質的に樹木状の構成)、テックスキャン(Tekscan(登録商標))のブランド名の下で市販の製品に好ましくは対応し得、さらに、
図2において部分的に明らかである。センサネットワーク22は、複数の電気的接続を含み、それらは圧力センサPSに接続され、電気的接続は全てインターフェースユニット24に導かれ、処理ユニット8又はあらゆる場合において任意の意図的に構成される処理ユニットとのデータ交換を可能にする。
【0022】
センサネットワーク22の一部を形成する電気的接続のより規則的で合理的なルーティングを確実にすべく、1又は複数のバンド26が指のエリアにおいて、外グローブ12上、特に背部上に適用される。バンド26は、ベルクロ(登録商標)(Velcro(登録商標))などの粘着性(self-adhesive)材料で好ましくはできており、ネットワーク22の電気的接続を保留し、電気的接続を優先的に外グローブ12の指に沿って走らせる。本発明の有利な態様によれば、バンド26は、それらが外グローブ12上に配置された時点でポケット20のうち1つの開口部を遮るようにその開口部まで円周方向に延在して。これにより、ネットワーク22の圧力センサの偶発的な流出の可能性を低減又は排除する。
【0023】
再び、外グローブ12は、好ましくは、インサートが提供され得、インサートは、指それ自体の長手方向に方位づけられ、指に対応する位置に伸縮性リボンで得られる。これは、異なる指の厚さの範囲に対するより良い適合性を可能にする。
【0024】
外グローブ12の背部(背面)はさらに、粘着性材料、例えばベルクロ(登録商標)(Velcro(登録商標))でできた固定部分が提供され、それによって迅速に慣性センサ28を固定することが可能であり、そのことは、グローブが次の
図14及び
図15を参照して説明されるものなど、より複雑なシステムの枠組みにおいて使用される場合に、絶対的な位置基準をグローブ2に提供することを可能にする。
【0025】
図2に示されるように、インターフェース24は、作業者の手首にバンドで固定される。
【0026】
図3を再び参照すると、ポケット14、16の線形伸縮計センサEXTとポケット20の圧力センサPSとの間の相対位置を強調すべく、ポケット20のマップ(破線及び2点鎖線で図示される)は、内グローブ10の表現上に重ね合わされている。
【0027】
ここで、内グローブ10上のセンサ(伸縮計センサEXT)により提供される位置/動きデータと、グローブ12上のセンサPSにより提供される圧力データとの間の好ましい統合モードの説明が次に来る。データ伝送プロトコル、例えば、UDPタイプのデータ伝送プロトコルを用いてグローブ10及びグローブ12のセンサを通信状態に設定することが可能である。
【0028】
グローブ10上のセンサは、
図3Aの参照記号Jにより識別される手の22個の(22)関節のための角度及び座標を出力データとして提供する。しかしながら、当該センサは、指の先端の座標に関する情報を提供するような方法では構成されていない。後者は、計算する必要があるデータである。
【0029】
[指の先端の座標の計算]
この計算の目的で、下記に列挙される仮説が採用された(
図7参照)。
i)中手骨から始まる指のセグメントのための参照命名:基節骨(根元のセグメント)、中間指骨(中間セグメント)及び末節骨(上部セグメント)。
ii)公知の半径R
nの違った5つの(5)球体が存在することが仮定される。半径R
nの値は、末節骨ごとのプリセット長に等しく(長さは、末節骨の統計的に最も代表的な寸法で推定される)、nは、1から5の範囲のインデックスである。5つの球体の各々は、対応する中間指骨の端に中心を置き、それゆえ、点TD、ID、MD、RD及びPD(頭字は、それぞれ「親指」、「人さし指」、「中指」、「薬指」及び「小指」を表す)に中心を置く(
図8参照)。
iii)中間指骨の末節骨に対する外転と中間指骨の基節骨に対する外転とが、ゼロと仮定される。
【0030】
図7を再度参照すると、各々の指が完全に直線であると仮定して、各々の指(P
A)の先端は、中間指骨の両端(P
1及びP
0)を通過する直線に属する点であり、P
0は、中間指骨及び末節骨が合する終点である。この条件は、連立方程式の形式で書き留められ得(P
Aによっても満たされる)、座標y及びzをxの関数として表わすことを可能にする(基準の連立方程式は、内グローブ10のために使用されるものと同じである)。 (x - x
0)/(x
1 - x
0) = (z - z
0)/(z
1 - z
0)
(x - x
0)/(x
1 - x
0) = (y - y
0)/(y
1 - y
0)
【0031】
PAはまた、P0を中心にして半径Rを有する球体に属し、半径Rは公知の(課せられた)数量であり、末節骨の長さに対応する。
【0032】
生理学的に、末節骨PA-P0は、中間指骨P1-P0より短く、それゆえ、我々はR<Lを仮定し得る。 R = dist(PA,P0) = [(xA - x0)2 + (yA - y0)2 + (zA - z0)2]1/2 L = dist(P1,P0) = [(x1 - x0)2 + (y1 - y0)2 + (z1 - z0)2]1/2 注:2つの解のうち、我々が長さに取っていることを考慮すると、正符号の解が選択されるべきである。
【0033】
前述の直線(中間指骨の両端を通過する)を、P0を中心にして半径Rの球体と交差させることにより、2点が求められ、そのうちのうち1つが点PAである。
【0034】
上記に提供された直線方程式を用いて、y及びzをxの関数として、
(x - x0)2 [1 + (y1 - y0)2/(x1 - x0)2 + (z1 - z0)2/(x1 - x0)2] = R2
と表すと、我々は、以下の解xA1及びxA2を得た:
xA1 =x0 + R/L及び
xA2 =x0 - R/L
【0035】
正確な解は、以下の条件が満たされる解である: dist(PA,P1)>L ここで、 PA1 = P(xA1,yA1,zA1) = (x0 + R/L,y0 + (y1 - y0)(xA1 -x0)/(x1 - x0),z0 + (z1 - z0)(xA1 -x0)/(x1 - x0)) PA2 = P(xA2,yA2,zA2) = (x0 - R/L,y0 + (y1 - y0)(xA2 - x0)/(x1 - x0), z0 + (z1 - z0)(xA2 -x0)/(x1 - x0))
【0036】
PAが公知であるので、三角法から、我々は、以下を得る。 dist(PA,PB) = 2Rsin(β/2) = R1 ここで、βは、対応する伸縮計EXTによって提供される屈曲角である。
【0037】
PBの座標を求めるべく、PAとPBとの間の距離、dist(PA,PB)に等しい半径を有しPAを中心にする球体が検討される:
[(xB - xA)2 + (yB - yA)2 + (zB - zA)2] = dist2 (PA,PB) = R1
2
【0038】
上記の式はまた、PB = (xB,yB,zB)の座標を得るべく、以下のように書き換えられ得る:
[(xB - x0) - (xA - x0)]2 + [(yB - y0) - (yA - y0)]2 + [(zB - z0) - (zA - z0)]2 = R1
2 [(xB - x0) - (xA - x0)]2 + [(yB - y0) - (yA - y0)]2 + [(zB - z0) - (zA - z0)]2 = R1
2 (xB - x0)2 - 2(xB - x0)(xA - x0) + (xA - x0)2+(yB - y0)2 - 2(yB - y0)(yA - y0) + (yA - y0)2 + (zB - z0)2 - 2(zB - z0)(zA - z0) + (zA - z0)2 = R1
2dist2 (PB,P0) + dist2 (PA,P0) - 2[(xB - x0) (xA - x0) + (yB - y0) (yA - y0) + (zB - z0) (zA - z0)] = R1
2R2 + R2 - 2xB(xA - x0) + 2x0(xA - x0) -2yB(yA - y0) + 2y0(yA - y0) -2zB(zA - z0) + 2z0(zA - z0) = R1
2 = 4R2sin2(β/2)
【0039】
点P0、P1、P2を通過する平面π (ax + by + cz + d = 0)にPBが存在することを課すと、我々は、以下が分かり、 a = -2xB(xA - x0) => xB = to/2(x0 - xA)
b = -2yB(yA - y0) => yB = b/2(y0 - yA)
c = -2zB(zA - z0) => zB = c/2(z0 - zA) その結果として、以下となる。 PB = (xB,yB, zB) = (a/2(x0 - xA),b/2(y0 - yA),c/2(z0 - zA))
【0040】
これは、とりわけ親指のためのPA及びPBの定義に関して、近似解であるが、課題となっている計算の目的で、許容範囲にあると見なされる。
【0041】
[手についての力ベクトルの計算]
第一に、力ベクトルのために基準方向及び感覚を定義することが必要であり、力ベクトルの各々が各指骨の中点にかけられる、あるいは手のひらの場合、
図8の縁取られた矢印により表されるベクトルに関連付けられる点にかけられると仮定される。
【0042】
方向を定義すべく、3つの指骨の3点(例えば、中手骨と基節骨との間の点IM、基節骨と中間指骨との間の点IP、及び中間指骨と末節骨との間の点ID)を通過する面πと、中点において各指骨を通過し、面πに直交する面π'との間の交点が求められる(これは、指骨との直交条件を暗示し:指骨は柔軟ではなく、他の指骨に隣接することを考えると、指骨を含む平面に直交する平面は、指骨に直交する)。
【0043】
Πが点IM、IP、及びIDを通過することを課すと、平面の式(ax + by + cz + d = 0)は、以下となり、
(x - xIM)・[(yIP - yIM)・(zIP - zIM) - (yID - yIM)・(zIP - zIM)] +(y - yIM)・[(xIP - xIM)・(zID - zIM) - (xID - xIM)・(zIP - zIM)] + (z - zIM)・[(xIP - xIM)・(yID - yIM) - (xID - xIM)・(yIP - yIM)] = 0
その結果として、以下となる。
a = (yIP - yIM)・(zIP - zIM) - (yID - yIM)・(zIP - zIM)
b = (xIP - xIM)・(zID - zIM) - (xID - xIM)・(zIP - zIM)
c = (xIP - xIM)・(yID - yIM) - (xID - xIM)・(yIP - yIM)
d =- xIM・[(yIP - yIM)・(zIP - zIM) - (yID - yIM)・(zIP - zIM)]-yIM・[(xIP - xIM)・(zID - zIM) - (xID - xIM)・(zIP - zIM)] -zIM・[(xIP - xIM)・(yID - yIM) - (xID - xIM)・(yIP - yIM)]
【0044】
平面πに直交する第2平面π'を決定すべく、各平面を特定する2つのベクトルのために直交条件(法線ベクトル、すなわち、それらの内積はゼロでなければならない)と、課題になっている指骨の中点(例えば、点IMM)を通る第2平面π':a'x + b'y + c'z + d' = 0の通過とを課すことが十分である。
【0045】
ベクトル(a, b, c)に対する直交条件を満たすベクトルはまた、前に定義された平面に属し得、それゆえ、指骨セグメント(例えば、IP-IM)はまた、そのような以下のベクトルを構成し得る: IP-IM = [(xIP - xIM),(yIP - yIM),(zIP - zIM)]
【0046】
指骨の中点(IMM = [(xIP + xIM)/2,(yIP+yIM)/2,(zIP + zIM)/2])の通過を課することにより、第2平面の方程式を以下のように書くことが可能である。
a'(xIMM) + b'(yIMM)+ c'(zIMM) + d'=0
(xIP - xIM)・(xIP + xIM)/2 + (yIP - yIM)・(yIP + yIM)/2 +(zIP - zIM)・(zIP + zIM)/2 + d' = 0=>
a' = (xIP - xIM)
b' = (yIP - yIM)
c' = (zIP - zIM)
d' = (xIM
2-xIP
2)/2 + (yIM
2 -yIP
2/2 + (zIM
2-zIP
2)/2
【0047】
2つの平面の方程式を系に集めることにより、我々は、ベクトルの方向を特定し、指骨の中点(例においてIMM)を通過する交差直線を解として得る。
【0048】
力ベクトルを定義すべく、感覚をも特定することが必要となるので、直線と、点(そのような交差点が2つ存在する)に及ぼされる力の係数(modulus)に等しい半径を有する球体との間で、交差点を考えることが可能である。
【0049】
この点は、中点PIMM[IMM]を中心とし、ポケット20に対応する点、すなわち、指の先端に関連付けられる点においてセンサPSにより検出される圧力の総和に等しい半径Rを有する球体の南極と定義することができる。
【0050】
デカルト座標において、中点PIMM [IMM]を中心とする半径Rの球体は、以下の方程式を持つこととなる: (x - xIMM)2 +(y - yIMM)2 +(z - zIMM)2 = R2
【0051】
前の2つの平面の交差直線との交差点は、2つのベクトルの端を定義し、その間にあるのは求められるベクトル(力覚の定義)である。
【0052】
我々は、x = (- by - cz - d)/aを得た第1方程式から、2つの平面の方程式を系に集めて、第2平面の方程式y = (- a'x - c'z - d')/b'に代入することにより、y及びxの両方をzの関数として表し、以下を得ることが可能である。 y = z(a'c - c'a)/(b'a - ab') + (a'd - d'a)/(a'c - c'a) = Az + B x = z[(b(a'c - c'a) + c(b'a - a'b))/a(a'b - b'a)] + [(b(d'a - a'd) + d(c'a - a'c))/a(a'c - c'a)] = Cz + D ここで、 A = (a'c - c'a)/(b'a - ab') B = (a'd - d'a)/(a'c - c'a) C = [(b(a'c - c'a) + c(b'a - a'b))/a(a'b - b'a)] D = [(b(d'a - a'd) + d(c'a - a'c))/a(a'c - c'a)]
【0053】
上記の定式化は、a≠0及びa'c≠c'a及びa'b≠b'aの場合にだけ使用されるべきである。
【0054】
球体の方程式において、x及びyを代入することにより、我々は、2つの座標z1及びz2(実数の集合に属し、いかなる場合でも、方程式の判別式、すなわち(β2 - 4αγ) > 0が正であることをチェックすることが検討することが望ましい)を得る。
【0055】
以下を仮定すると、
α = (C2 + A2 + 1)
β = 2[C(D- xIMM) + A(B- yIMM)-zIMM)]
γ = - R2 + (D- xIMM)2 + (B - yIMM)2 + zIMM
2我々は、以下を得、
z1 = [-β-(β2 - 4αγ)1/2]/2α
z2 = [β-(β2 - 4αγ)1/2]/2α その結果として、以下となる。 P1 = P(x1,y1,z1) = (C[-β - (β2 - 4αγ)1/2] / 2α + D, A[-β -(β2- 4αγ)1/2] /2α + B,[-β-(β2 - 4αγ)1/2] /2α) P2 = P(x2,y2,z2) = (C[+β -(β2- 4αγ)1/2] /2α + D, A [+β - (β2- 4αγ)1/2] /2α + B,[+β-(β2- 4αγ)1/2] /2α)
【0056】
正しい3つ組は、親指PTXの先端に対応する座標からより短い距離を有するものとなるであろう。すなわち、 PIMMF(x,y,z)=min (dist(P1,PTX),dist(P2,PTX))ここで、
dist(P1,PTX) = [(x1 - xIMMF)2 + (y1 - yIMMF)2 + (z1 - zIMMF)2]1/2
及び
dist(P2,PTX) = [(x2 - xIMMF)2 + (y2 - yIMMF)2 + (z2 - zIMMF)2]1/2である。
【0057】
それがデカルト形式の平面となるには、平面を特定する係数の全て(平面に直交するベクトル)が同時にゼロには決してなり得ず、それゆえ我々は、同時にa = b = c = 0を持つことは決してできない。
【0058】
a = 0なら、以下の興味深い、非縮退の場合だけが求められ得る:
a = b = 0及びc≠0
a = 0及びb≠0及び任意の値のc
【0059】
a = b = 0及びc≠0に対して、我々は、z = -d/c及びb'≠0及びb' = 0の2つの下位の場合が可能となるであろう。
【0060】
a = b = 0及びc≠0なら、π'においてzを代入することにより、a' か、 b'のいずれかがおそらくゼロかどうかに応じてxの関数としてyを(又は、yの関数としてxを)得ることを可能にする。
【0061】
a' = 0及びb'≠0なら、我々は、y = (c'd - d'c)/cb'及びz = -d/cを得、球体の方程式において一度代入されたなら、解x1及びx2を得る。
x1 = xIMM- [(R2- (-d/c- zIMM)2- ((c'd - cd')/cb'- yIMM)2]1/2
x2 = xIMM+ [(R2- (-d/c- zIMM)2- ((c'd - cd')/cb'- yIMM)2]1/2 その結果として、以下となる。 P1 = P(x1,y1,z1) = (xIMM - [(R2- (-d/c - zIMM)2- ((c'd - cd')/cb'- yIMM)2]1/2,(c'd - cd')/cb',-d/c) P2 = P(x2,y2,z2) = (xIMM + [(R2- (-d/c - zIMM)2- ((c'd - cd')/cb'- yIMM)2]1/2,(c'd - cd')/cb',-d/c)
【0062】
正しい3つ組は、親指PTXの先端に対応する座標からより短い距離を有するものとなるであろう。すなわち PIMMF(x,y,z)=min (dist(P1,PTX),dist(P2,PTX))
ここで:
dist(P1,PTX) = [(x1 - xIMMF)2 + (y1 - yIMMF)2 + (z1 - zIMMF)2]1/2
及び
dist(P2,PTX) = [(x2 - xIMMF)2 + (y2 - yIMMF)2 + (z2 - zIMMF)2]1/2
【0063】
a'≠0及びb' = 0なら、我々は、x = (c'd - d'c)/a'c及びz = -d/cを得、球体の式において代入された場合、解y1及びy2を得る。 y1 = yIMM- [(R2- (-d/c - zIMM)2- ((d'c - cd')/ca'- xIMM)2] 1/2
y2 = yIMM+ [(R2- (-d/c - zIMM)2- ((d'c - cd')/ca'- xIMM)2] 1/2 それゆえ、 P1 = P(x1,y1,z1) = (yIMM - [(R2 - (-d/c - zIMM)2 - ((d'c - cd')/ca'- xIMM)2]1/2,(c'd - d'c)/a'c,- d/c) P2 = P(x2,y2,z2) = (yIMM + [(R2 - (- d/c - zIMM)2- ((d'c - cd')/ca'- xIMM)2]1/2,(c'd - d'c)/a'c,-d/c)
【0064】
正しい3つ組は、親指PTXの先端に対応する座標からより短い距離を有するものとなるであろう。すなわち、PIMMF(x,y,z)=min (dist(P1,PTX),dist(P2,PTX))
ここで:
dist(P1,PTX) = [(x1 - xIMMF)2 + (y1 - yIMMF)2 + (z1 - zIMMF)2]1/2
及び
dist(P2,PTX) = [(x2 - xIMMF)2 + (y2 - yIMMF)2 + (z2 - zIMMF)2]1/2
【0065】
この計算に従うと、センサPSによりなされる読み取りに由来する手の様々なエリア上の力の印加中点がそれゆえ既知となり、関節Jの位置に関して、関節Jの姿勢データは伸縮計センサEXTにより収集される。
【0066】
これは、力それ自体の方向の定義を可能にする。
【0067】
グローブ2の操作は、以下のように説明される。
【0068】
グローブ2は、(慣性センサ28がグローブ上に存在する場合)手に関する姿勢情報を得るために使用され得、圧力が作用する表面の対応する方位(様々なセンサ上の力の方向)に対する圧力強度の読み取りがこれに関連付けられた場合の力の合力の方向を得るために使用され得、指の姿勢が、検出された姿勢に最も関与している指により及ぼされる圧力に関連付けられている場合、作業者により及ぼされる把持(grasp)のタイプを認識するために主に使用され得る。
【0069】
特に、4つの異なるタイプの把持が検出され得:
a)グリップ(GRIP):これは、例えば、関節に対応する位置に設定された角度ナットランナを握る時点で及ぼされる把持のタイプである。試験の目的で、その結果は
図9に現れており、中立姿勢から開始する3秒の継続時間の間のねじ回し作業をシミュレートする把持が行われた(ここで、「中立姿勢」は、静止した手、すなわち、いずれかのタイプの把持も、いかなる負荷もセンサにより検出されていない姿勢の手を意味する)。
b)手のひら(PALMAR):これは、例えば、標準おもりを持ち上げる時点で及ぼされる把持のタイプである;試験の目的で、その結果は
図10に現れており、2kgの標準おもりが選択されており、(中立の姿勢から開始し)ベンチから持ち上げ、持ち上げられ、この姿勢は、3秒間保持され、その後、おもりはベンチに再配置される。
c)フック(HOOK):これは、例えば、既知の重量を有する形づくられたハンドル付きのバケツを持ち上げる時点で及ぼされる把持のタイプである;試験の目的で、その結果は
図11に現れており、5.8kgの重量を有するバケツが選択されており;バケツは、(中立姿勢から開始し)地面から腕が十分伸ばされる点が達せられるまで持ち上げられ、姿勢は、3秒間保持され、バケツは床上に戻された。
d)ピンチ(PINCH):これは、例えば、ねじが作業面から持ち上げられた時点で及ぼされる把持のタイプである。試験の目的で、その結果は
図12に現れており、(中立の姿勢から開始し)、作業面からねじを持ち上げる段階を備えるシーケンスが検討されている。ナット上にねじを配置する段階、及び5回の締め回転によりナットにねじを手動でねじ留めする段階を備える。
【0070】
把持のタイプを認識する目的で情報を収集すべく、キャリブレーション試験が複数のオペレータに対して行われる。
【0071】
例として提供される場合において、キャリブレーションは、以下の動作スキームに従って12人のオペレータに対して実行された:
1)力の範囲をアセスメントすべく各オペレータの最大の力の評価である。これは、3回の反復で最大の力までグリップメータ及びピンチメータなどの器械の使用を想定した。
2)3秒間一定に保持された5kgの力でグリップメータを握り、これの5回の反復による力データ(期待値及び平均値からの乖離)の取得における正確さ及び精密さの評価。
3)把持のタイプ(グリップ/ピンチ/手のひら/フック)の認識のための評価;把持の4つのタイプの周期が(各把持タイプ間で仮定される中立姿勢と共に)連続して、3回の反復により実行された。
【0072】
ピンチ(ピンチメータを使用する)の場合と、グリップ(グリップメータを使用する)の場合の両方において各オペレータにより及ぼされる最大の力の評価は、上記のポイント1を参照して、以下を可能にする: -キャリブレーション試験及びその結果(及び一般の将来取得の結果)が統計的に位置する力の範囲の評価。
-把持のタイプごとに利用できるサンプルの様々な被験者間に力を及ぼす能力のばらつきの評価。
-把持のタイプの認識のためのソフトウェアのロジックにおいて使用される基準に関連付けられるべき、最弱のオペレータの最大の力より低い最小閾値の定義。
【0073】
サンプルにおいて、「最弱」のオペレータが最小閾値を超えることができたなら、サンプルの全ての成分に対する所与のタイプの把持を特定することが可能であるという合理的な確実性が存在し、すなわち、最小閾値が最弱の被験者により達せられたなら、最強の被験者が活性化値に達して(あり余るほどにさえ)超えることが確かにできるであろう。最小閾値は、把持タイプの認識を起動させ、把持タイプのせいにされるべきではないセンサの任意の起こり得る背景ノイズ及び起動をフィルタリングする。
【0074】
次に、様々なタイプの把持に関与する手のエリアを特定すべく、12個の被験者全員の様々な姿勢に関してセンサPSにより取得された圧力マップが解析された。
【0075】
様々なタイプの把持の間に様々な被験者により及ぼされる圧力/力の値は、試験の実行の主観性に起因した値のばらつきをアセスメントするために評価された。
【0076】
センサPSにより取得された圧力マップから得られた結果は、様々な姿勢に対して、様々なタイプの把持の定義を可能にする圧力に関与した部分を強調しており、それにより、姿勢及び圧力の所与の構成が特定のタイプの把持の(器械上の)特定と、それゆえどのタイプの把持が及ぼされているかを自動的に認識すべく(器械に対する)基準条件の定義とを可能にすることを意味する。
【0077】
[把持タイプ「グリップ」-
図9のA及び
図9のB]
図9のAの圧力マップは、ハンドピース上に圧力を及ぼす際の手全体の一般的関与を示す。
図9のBの図表を参照すると、様々な作業者に対して検出された力の値の一定のばらつきが注目され得る。
図9のBの図表は、(これは、次の図の
図10のB、
図11のB、
図12のBにも当てはまる)手の手のひらにかかる、圧力センサにより検出される(陰影付けに基づく相対的な活性化強度に関して、
図9のAにおいて分かり得る地形図)平均の力のプロットをグラフで表す。検出に関与したエリアが掛けられた各センサの平均圧力が平均の力の値(F)をもたらし、様々なセンサにより検出された力(F)の平均が、時間プロットにより表される力Fである。これは、圧力の取得のために器械により提供されたデータである。
【0078】
[把持タイプ「手のひら」-
図10のA及び
図10のB]
図10のAの圧力マップは、圧力の働きに主に関与したエリアは、5本の指全ての中間指骨及び末節骨であることを示す。残りの手のノイズは、手により及ぼされた全体の力の20-30%よりも高くないことが一般に見出されている。
図10のBの図表を参照すると、様々な作業者に対して検出された力の値の一定のばらつきが、注目され得る。
【0079】
[把持タイプ「フック」-
図11のA及び11のB]
図11のAの圧力マップは、圧力の働きに主に関与したエリアは、4本の指の中間指骨及び末節骨と、手のひらの上部とであることを示す。残りの手のノイズは、手により及ぼされた全体の力の20%よりも高くない。
【0080】
図11のBの図表を参照すると、様々な作業者に対して検出された力の値における一定のばらつきが、注目され得る。
【0081】
[把持タイプ「ピンチ(PINCH)」-
図12のA及び12のB]
図12のAの圧力マップは、圧力の働きに主に関与したエリアは、中間指骨と、親指、人さし指及び中指の末節骨とであることを示す。残りの手のノイズは常に存在し、概して手によって及ぼされる全体の力のおおよそ30~40%である。
【0082】
図12のBの図表を参照すると、様々な作業者に対して検出された力の値の一定のばらつきが、注目され得る。
【0083】
[把持タイプの認識ロジック]
【0084】
把持タイプごとに、前の圧力マップの解析に基づいて、手それ自体により及ぼされた圧力の大部分は、集中するに違いない手の所与のエリアが選択された。
【0085】
把持タイプの認識について、把持において関与された手のエリアの圧力及び位置が解析され、検証の目的で、手の残りのエリアの圧力及び姿勢も解析された。これは、
図9のC、
図10のC、
図11のC及び
図12のCに示され、そこで、閾値より高い圧力測定が見出されるべく期待されるエリアが特に、丸で囲まれた。
【0086】
代わりに、把持タイプごとに、ノイズの集中(該当する場合)が期待されるべきである圧力マップのエリアが、ギザギザの輪郭で囲まれている。このグループの図の各図に可視の圧力マップは、各々がポケット20センサのPSに関連付けられたマトリクスのセットとして配置され、ここで各マトリクスの各セル(SSにより示される、いわゆるセンセル)は、対応する影響エリアのセンサPSの感応素子により検出された値を含む。
【0087】
[グリップ把持]
図9のCを参照すると、グリップ把持について、圧力が手の17個のエリア全体にわたって存在する必要がある。センセル(sensel)SSは、グリップ把持、すなわち、本明細書で示される具体例における361個のセンセルに全て関係している。このタイプの把持の場合に及ぼされる全体の圧力は、中立姿勢の圧力値より少なくとも30%高いはずである。大部分の場合において、圧力は、指のエリアと、手のひらの外側のより低いエリアとに集中している(L字形状のセンサ)。手の姿勢は、把持に対応する必要がある。
【0088】
[手のひら把持]
手のひら把持について、圧力は、5本の指全ての中間指骨及び末節骨上に主に集中されるはずである。手のひらエリアと接触があってはいけない。本具体例において手のひらの把持に関係するセンセルSSは、数が140個(全エリアの38%)ある。このエリアの圧力は、全体の圧力の少なくとも51%であるはずである。
【0089】
残りの手の上には、残留圧力(ノイズ)が存在し得るが、それは、全体の圧力の49%を超えてはいけない。4本の指の間の外転の角度は、ピンチ把持の角度と違いを付けるべく5°より大きい必要があり、手の姿勢は、把持に対応する必要がある。
【0090】
[フック把持]
フック把持について、圧力は、4本の指の基節骨及び中間指骨と、手のひらの上部(プーリ)に集中する必要がある。本具体例のフック把持に関係しているセンセルSSは、数が172個(全エリアの48%)である。このエリア上の圧力は、全圧力の少なくとも51%であるはずである。親指上に圧力があってはいけない。すなわち、親指上に存在する任意の起こり得るノイズは、中立姿勢において取得される値を超えてはいけない。残りの手の上において(及び特に、末節骨において)、残留圧力が存在し得るが、全圧力の49%を超えてはいけない。手の姿勢は、把持に対応するはずである。
【0091】
[ピンチ把持]
3本指のピンチ把持について、圧力は、親指、人さし指及び中指の中間指骨及び末節骨に主として集中するはずである。本具体例の3本指のピンチ把持に関係しているセンセルSSは、数が84(全エリアの23%)である。このエリア上の圧力は、全圧力の少なくとも51%であるはずである。常に、親指上の圧力であるはずである。残りの手の上には、手の屈曲に起因する残留圧力(ノイズ)がしばしば存在し、残留圧力は、全圧力の49%を超えてはいけない。人さし指と中指との間の外転の角度は、5°未満の必要がある。手の姿勢は、把持に対応しなければならない。
【0092】
手の姿勢を説明する角度が、内グローブ10上の伸縮計センサEXTによって収集されたデータのおかげで試験中に評価された。一定の反復性が、被験者間試験の様々な反復において手の関節の角度において検出された。例として、
図13は、関節MPJのために取得される角度を示し、関節MPJは、
図3に使用されたものと同じ参照記号でマークを付けられ、中指が手のひらに遭遇する点に対応する。
【0093】
要するに、センサ搭載グローブ2によって、以下の段階を備える作業者の人間工学的解析のための方法を提供することが可能である:
-内グローブ10の複数の伸縮計センサEXTから第1センサデータを受信する段階、
-(前に説明したように)第1センサデータを手のベクトルマップに関連付ける段階であって、手のベクトルマップは、手の対応する関節に関連付けられる複数のノードと、上記ノードを互いに接合する複数のセグメントとを備え、ノードに関連付けられた1又は複数の伸縮計センサEXTが上記ノードに接続するセグメント対の間の相対的な角度位置を検出するように構成され、各第1センサデータは、対応するノードに接続されたセグメント対の間に相対的な角度位置を備える、段階、
-外グローブ12の複数の圧力センサPSから第2センサデータを受信する段階であって。各第2センサデータは、対応する圧力センサPSのエリアに沿って検出される圧力についての情報を備える、段階、
-圧力センサPSごとに、合力の作用点の位置を決定する段階であって、合力は、上記ベクトルマップのノード(関節J)に関して、対応する第2センサデータの関数である(前の説明を参照)、段階、及び
-第2センサデータと組み合わせた第1センサデータに基づいて、手により及ぼされる把持タイプを決定する段階。
【0094】
特に、本発明の一部を形成する方法は、手により及ぼされる把持タイプを決定し、以下を含む:
-圧力マップを定義する段階であって、圧力マップは、外グローブ12の対応する圧力センサPSに関連付けられた複数のマップエリアを備え、各マップエリアは、それぞれの影響エリアを有する感応素子SSのアレイであり、各感応素子SSは、対応する圧力センサPS上の同種の影響エリア上で検出される圧力値を表す情報に関連付けられる、段階、
-マップエリアごとに関与閾値を定義する段階であって、そこで、各関与閾値は、マップエリアの全数の感応素子SSに対して関与した感応素子SSの割合として定義され、異なるタイプの把持を代表する、段階、
-各マップエリアの感応素子SSにより提供される情報を記録し、情報を、異なるタイプの把持に対して適用することができる関与閾値と比較する段階であり、ただし、各把持タイプは、課題になっている把持に対して期待される状況を記述している独自の関与閾値セットを含み得る。
-各マップエリアの感応素子SSにより提供される情報と、異なるタイプの把持に対して適用することができる関与閾値との間の比較の結果に基づいて把持タイプを決定する段階。
【0095】
最後に、把持タイプの決定に対する照合のために第1及び第2センサデータを使用することが可能であることに、留意すべきである。特に、圧力マップのマッピングエリアから来る情報の記録に基づき決定される情報は、内グローブ10の伸縮計センサEXTによって再構成された姿勢データに基づいて決定される情報と一致する必要がある。
【0096】
図14及び
図15を参照すると、本発明に係るシステムにおいて使用することができるウェアラブルセンサネットワーク4は、センサ搭載のオーバーオール対(1つまたは2つのいずれか)、又は各々が1又は複数の慣性センサ(又は一般のセンサ)を持つウェアラブルアクセサリ30のアンサンブル(例えば、バンド、ベルト、ジャケットなど)として好ましくは提供され、姿勢角度上のインジケーションと、体の予め定められた点のデカルト座標とを提供するように設計される。そのようなウェアラブルネットワークの例は、Xsens Technologies B.V., P.O. Box 559, 7500 エンスヘーデ、オランダ(AN ENSCHEDE, The Netherlands)により製造されるセンサ搭載スーツにより表される。
【0097】
ウェアラブルネットワーク4上に取り付けることができるセンサは、互いに組み合わせて、又は代替手段として、以下を含む:
-3次元空間での加速を測定する加速度計、
-地球重力の方位を測定するためのジャイロスコープ、及び/又は
-システムのための共通基準、すなわち地球磁場を有する磁気計。
【0098】
ウェアラブルセンサネットワーク4は、センサ30がオペレータの体の対応する部分に位置することを想定し、そこで、オペレータの体のこうした部分は、
図14に示され、4RIFで表される人間の骨格の基準体系と対応がある。
【0099】
基準体系4RIFは、人間の骨格の関節定義のための関節要素により接続される人間の骨格の骨を定義するためのセグメント要素を含む。関節要素は、好ましくは点状の要素であり、参照記号jc1頭部、jT1C7、jT9T8、jL1T12、jL4L3、jL5S1、ルート、j右C7肩、j右肩、j右肘、j右手首、j左C7肩、j左肩、j左肘、j左手首、j右臀部、j左臀部、j右膝、j右足首、j右球状足、j左膝、j左足首、j左球状足により特定される。同じ参照記号は、
図15にも再現されている。凡例を含む表が、下記に表示される。
【表1】
【0100】
慣性センサ30は、それぞれのセグメント要素を表す点に配置され、特に、慣性センサ30は、ネットワーク4によって監視されるべきである
図14の関節要素により特定されるセグメント要素(ソフトウェアレベルで)を表す点に対応する位置の体のそれぞれの部分上に(上述のバンド、又は他のタイプの一般のウェアラブルアクセサリによって)固定され得る。
【0101】
ネットワーク4は、人の体の運動学の取得を可能にする(適例では、作業者)。言い換えれば、体の各セグメント要素及び関節要素が、任意の活動、具体的には作業活動中に、仮定する軌跡、姿勢、回転の角度の取得を可能にする。ネットワーク4は、空間の回転(すなわち、x、y及びz軸を中心とした回転)と、監視されている点ごとの空間座標とを表す出力値で提供するように構成される。
【0102】
上記の値は、処理ユニット8により取得することができ、処理ユニット8は、作業サイクル全体にわたって作業者により仮定される姿勢を自動的に評価し得る。例えば、体の関節の回転の角度を得るべく、人間工学的な基準において特定されるインジケーションに従って、関節の座標を処理することが可能である。
【0103】
ネットワーク4によって行うことができる解析は、グローブ2によって作業者の手に対して行われる解析と統合され得る。一般に、1又は複数のグローブ2と通信するネットワーク4を設定することが、可能である。
【0104】
人間工学的アセスメントの目的で使用される姿勢角度が検出される場合の関節の標準的な分布が、
図14に概略的に表されている。本発明に係るシステムが作動するように設計された人間工学的に重要な角度は、以下である:
-胴の角度、
-肩の角度、及び
-肘及び膝の角度。こうした角度について、いくつかの定義及びいくつかの仮説が、取り入れられる、すなわち:
i)鉛直線:これは、矢状平面と前頭面との間の線。
ii)臀部線:これは、点(関節)j右臀部とj左臀部との間の線である。
iii)胴線:これは、Xsensの点(関節)jT1C7とルートとの間の線である。
iv)肩線:これは、Xsensの点(関節)j右肩とj左肩との間の線である。
v)腕線:これは、Xsensの点(関節)j右肩とj右肘との間の線である。
vi)前腕線:これは、点(関節)j右肘とj右手首との間の線である。
vii)大腿線:これは、点(関節)j右臀部とj右膝との間の線である。
viii)脚線:これは、点(関節)j右膝とj右足首との間の線である。
【0105】
[胴の動きのための計算/ソリューション]
条件:
-臀部線は、水平面及び前頭面に位置合わせされる。
-胴の屈曲角は、矢状平面に投影される鉛直線と胴線との間の角度である。
-胴の側面の傾斜は、前頭面に投影された鉛直線と胴線との間の角度である。
-胴のねじれは、水平面に投影された、(胴が鉛直線に位置合わせされた後に測定される)肩線と臀部線との間の角度である。
【0106】
[胴-前屈:基準ジオメトリの計算]
[胴ベクトルの計算]
【数1】
【数2】
【数3】
【0107】
【0108】
[矢状平面Ωの計算]
初めに、臀部ベクトル
【数5】
は、水平面に投影され、すなわち、成分
【数6】
に対して、
【数7】
である。
次に、矢状平面Ωは、
【数8】
として計算され、
【数9】
と、
【数10】
とに対してである。
【0109】
[ソリューションの方法の適用]
[胴ベクトルの矢状平面における投影]
以下を考えると、
【数11】
(a,b,c)=矢状平面Ωの方向係数
【数12】
【数13】
を通過する直線を含平面Πの方向係数
【数14】
以下のように計算される:
【数15】
【0110】
それゆえ、求められる胴ベクトルの投影は、2つの平面Π及びΩの交差点に対応する:
【数16】
【0111】
[矢状平面と水平面との間の交差ベクトル]
【数17】
【0112】
【0113】
提案される方法は、取得系の基準の3つ組に関する被験者の位置に依存しない。さらに、アークコサインに関するチェックは、胴のたわみ(正符号)及び伸長(負符号)の場合の値の正確な符号の区別を可能にする。
【0114】
[前屈のための計算の概略的なソリューション]
A.参照ジオメトリの計算
i.胴ベクトルの計算
ii.臀部ベクトルの計算
iii.矢状平面の計算
B.ソリューション方法の適用
i.V1 = 胴ベクトルの矢状平面における投影
ii.V2 = 矢状平面と水平面との間の交差ベクトル
iii.V1とV2との間の角度としての前屈(TF)の計算
【0115】
[肩の動きに対する計算/ソリューション]
条件:
-肩線は、水平面及び矢状平面に位置合わせされる。
-腕の屈伸は、鉛直線と、矢状平面に投影される腕線との間の角度である。
-腕の外転は、鉛直線と、前頭面に投影される腕線との間の角度である。
-手が臀部線の後ろにあるなら、伸ばした状態である。
-水平面に投影される肩線と腕線との間の角度が45°未満なら、湾曲状態である;そうでなければ、外転がある。
【0116】
[肘及び膝の動きのための計算/ソリューション]
条件:
-肘の屈伸は、腕線と前腕線との間の立体角である。
-膝の屈伸は、大腿線と脚線との間の立体角である。
【0117】
[他の動きに対する計算/ソリューション]
骨格の末端点(頭部の上部、手の端、及び足の端)の位置が利用可能でないので、手及び頭部の側面の動き、屈伸、及び回内回外運動(ねじり)が、ウェアラブルネットワーク4上のセンサから来る情報に基づいて計算される。
【0118】
手の回内回外運動は代わりに、肘の回転から開始して計算される。生体力学的に、手首は回転しない:言い換えれば、手は、前腕に対して(手首をヒンジとして用いて)回転しない。肘から開始する、半径に対する尺骨の回転があるので、手の回内回外運動は起こる;2つの長骨は、手首と肘との両方の同じ点において常に強制されるが、互いに交差し得、従って手の回内回外運動をもたらす。それゆえ、手の回内回外運動は、肘から開始する長骨の「回転」により引き起こされる。
【0119】
本発明に係るシステム1の目的は、同時に客観的かつ迅速に使用する観察および設計段階における人間工学的解析のための方法論的な支援器械の作成である。
【0120】
支援解析方法の開発は、設計段階において組立ライン上の製品/プロセスパラメータを改善するために役立つ主な因子を検証段階から導くことにより、ワークステーションで行われる活動の詳細かつ客観的なアセスメントを目的としている。
【0121】
一般的な目的は、新たなワークステーションの設計段階において、又は既存のワークステーションの再設計/改変段階においても得られるデータ及び情報を適用すべく、プロセスの人間工学的アセスメントのための方法の実装及び開発である。
【0122】
このため、システム1は、人間工学的なデータを集めるための簡単なインターフェースを作業活動、すなわち以下から来る入力で提供する:
a)画像取得システム6(
図1のC)-avi、mpgファイルなど、
b)ウェアラブルセンサネットワーク4、及び
c)センサ搭載グローブ2。システム1は、それゆえ以下をすることができる:
-ウェアラブルセンサネットワーク4及びセンサ搭載グローブ2を同期させる、特にそれにより提供されるデータを同期させ共同で使用する。
-取得されたデータを人間工学的な結果へと統合及び変換する。
-作業者のタスクセットのうち最も重要な活動を特定する。
-人間工学的観点から主な重要な態様を特定する。
-国際(及び企業)標準に従って人間工学的アセスメントを提供する。
【0123】
アセスメントのために現在利用できる人間工学的方法は、以下を含む:
・OCRAチェックリスト(手動及び自動)
・OCRAインデックス(手動)
・MURI(手動及び自動)
・EM-MURI(手動)
・RULA(手動)
・Sue Rodgers(手動)
・NIOSH(手動)
・Snook&Ciriello(手動)
【0124】
上記に加えて、システムは、TiCon(自動)として知られる時間及び人間工学的解析のために特定のソフトウェアへの移動のためのデータの事前配置を可能にする。
【0125】
システム1の特徴は、以下を含む:
-ビデオクリップの案内意見(observation)、
-明確に定義された手順によるデータ収集及び格納画定の可能性、
-データ収集(ネットワーク4及びグローブ2などの動きキャプチャシステムにより自動的にも)の促進と、格納データベースの編成との機能、
-人間工学的なリスク因子の特定のために(ビデオクリップから抽出される)データの解析の可能性、
-基本的な人間工学的パラメータのばらつきに基づいて観察されるデータを再処理する可能性、
-作業プロセス中のツールの使用に起因する局所化した力及び圧力の特性評価データの編成(センサ搭載グローブ2によって、かつ比較的程度は小さいがウェアラブルセンサネットワーク4によっての動的解析)、ならびに、姿勢に対する上記のデータの関連付け、及びなされた行動の説明(運動学的解析。この場合、ウェアラブルセンサネットワークは、センサ搭載グローブ2と少なくとも同じ重要さを有する)。
【0126】
システム1は、2つの異なるデータ解析方法を可能にする、すなわち:
-手動解析(ビデオから)、及び
-自動解析(ネットワーク4及び/又はグローブ2から来るデータに基づいて)。
【0127】
手動解析は、1又は2つの同期ビデオクリップから開始する支援人間工学的解析の実行を、以下を通じて可能にする:
-ビデオクリップが実行している間にキーパッドの特定のキーを押すことによる限界姿勢(critical postures)の特定、及び
-回数及び必要とされる人間工学的なインデックスの自動計算。
【0128】
自動解析は、限界姿勢の大部分の自動解析のために(ユーザの動きを記録する)ウェアラブルセンサネットワーク4及びグローブ2からの出力時のデータの読み取りを可能にする。
【0129】
上記の解析は、いくつかの人間工学的方法(OCRAチェックリスト及びMURI)のために広く行き渡って行われており、さらに、このようにして、一部の入力データはまた、TiConソフトウェアに利用可能である。
【0130】
手動モードのシステム1の操作について、解析すべきであるワークステーションの少なくとも1つのビデオクリップを取得するために絶対必要である。ビデオクリップが取得される唯一の種類のデータであったなら、手動解析だけが可能である。代わりに、ビデオクリップの取得が、ウェアラブルネットワーク4及び/又はセンサ搭載グローブ2からのデータ取得と組み合わされたなら、自動解析を実行することが可能である。
【0131】
ソフトウェアは、2つのインターフェースモードを有する:
a)「入力モード」、そこで、ソフトウェアは、ロードされたファイルに従って手動モード又は自動モードを自律的起動する、手動モードでの起動の場合、手動で実装されるべきである人間工学的項目を選択することが可能である、及び
b)「出力モード」、そこで、手動で入力される、又はネットワーク4及びグローブ2のデータ取得ファイルからから開始して計算される特性の時間の分布は、(画面上で)明らかである。
【0132】
[本発明に係るシステムの動作ロジック]
本発明に係るシステム1は、好ましくはソフトウェアにより完全に実装及び管理される。人間工学的解析のための前提は、解析すべきである作業活動の少なくとも1つのビデオクリップ、あるいは(組み合わせか、代案としてのいずれかの)IVR(没入型仮想現実)システムの可用性である。
【0133】
第2選択肢は、特に設計段階において、オペレータのための物理的なワークステーションがまだ存在しておらず、グローブ2とウェアラブルネットワーク4との「混合現実」として一般に特定されるコンテキストにおいて、レンチ、ねじ回し及びライン構造などの現実のツール及びオブジェクトの使用と組み合わせたIVRシステムとの統合を想定する場合に実装される。この選択肢を追及できるように、解析されるべきワークステーションのCADモデルが利用できることが必要であり、行われるべきタスクの作業サイクルを知ることが同様に必要である。
【0134】
システム1の操作が行われたソフトウェアは、市販タイプのビデオファイルの大部分を読み取るように構成される。手動解析の場合、アセスメントされるべき様々な人間工学的項目の処理後解析を進めることが可能である。
【0135】
IVRモードの操作の場合、ワークステーションで作業中のオペレータによるビデオクリップの可用性の代わりに、ビデオファイルが提供され、以下の動作ロジックの実施時に続いて得られる:
-解析されるべきワークステーションのCADモデルの仮想環境への取り込み(importation)、
-仮想環境において使用されるべきツール(レンチ、ねじ回しなど)の動きのロジックの定義、
-対応する仮想オブジェクトへの現実オブジェクトの割り当て、
-ネットワーク4及びグローブ2の両方を着用しているユーザの準備、及び
-作業タスクの再生とデータの記録。
【0136】
このように、現実のワークステーションにおいてオンラインでキャプチャされるビデオクリップの代わりに使用されるべき(例えば、.mpgフォーマットの)ビデオファイルを生成し、それをネットワーク4及びグローブ2により記録されたデータと統合することが可能である。
【0137】
ただし、A部において、ウェアラブルネットワーク4、一対のグローブ2(右手グローブ及び左手グローブ)及び一対のVSR眼鏡を装備したユーザUを示す
図20及び
図21に言及がなされ得る。
【0138】
図20はユーザUを示し、ユーザUが物理的なワークステーションにおいて利用できる載置面を表す構造Fと相互作用しており、それにより、ユーザはす現実の作業環境のような姿勢で支持される。
図20のBは、
図20のAのユーザUの条件の仮想転位を示し、それは、他方では、VSR眼鏡を介してユーザが利用できる表示に対応する。
【0139】
図21は代わりに、現実のツールT、例えば、ねじ回しを操作しているユーザUを示す。
図21のBは、
図20のAのユーザUの条件の仮想転位を示し、それは、他方では、VSR眼鏡を介してユーザが利用できる表示に対応する。
【0140】
IVRシステムにおける構造F又はねじ回しT等の物理的な要素の使用は、姿勢データ、とりわけ把持データの誤った解釈を防止するために好ましいことに、留意すべきである。
【0141】
始めに、ソフトウェアは、入力モードに設定される。本モードにおいて、処理ユニット8は、ウェアラブルセンサネットワーク4から、及び/又はセンサ搭載グローブ2から来るデータを自動的に取得する、あるいは手動データエントリによって入力データを受け取る。本モードにおいて、アセスメントのために使用されるべきである人間工学的方法を選択することが可能である。
【0142】
1又は複数の画像取得デバイス6により取得されたビデオクリップ、及び/又はIVRシステムによって生成されたビデオクリップの同時の開封を可能にするインターフェース、ネットワーク4から来るデータによって得られる作業者の体の姿勢の再構成、及び/又はセンサ搭載グローブ2から受信したデータを処理することにより得ることができる手の姿勢の再構成が、
図16に表されている。
【0143】
ソフトウェアダミーの映像及び動画ファイルが一度開けられると(ソフトウェアダミーは、
図16の中央画像に表されており、ソフトウェア環境において生成され、ソフトウェア環境において管理される人間モデルに対応し、操作可能に、センサネットワークに関連付けられる人間の骨格のモデルである)、アクセスにより、人間工学的な解析の目的で重要と見なされ得る、例えば、手の動き、圧力/力、又は把持のタイプの表示と同時にいくつかの動きの解析を表現することを可能にするインターフェースに対して得られる。
【0144】
[OCRAチェックリスト方法]
OCRA(職業的反復動作)チェックリスト方法は、公知のように、反復作業に起因する上肢の過負荷のリスクを特定することができる上肢の筋骨格の障害に影響する作業リスク因子のアセスメントのための合成インデックスから成る。
【0145】
ネットワーク4のデータが利用できるなら(すなわち、デバイスによって取得されたデータファイルが利用できる場合)、既に計算された以下の特性が自動的に利用できる:
i)略肩の高さの腕、
ii)頭部より上の手、
iii)肘の極端な回内回外運動、
iv)手首の極端な屈伸及び逸脱。センサ搭載グローブ2により取得されたデータも利用できるなら、以下のさらなる特性も自動的に利用できる(すでに前に述べた方法に従って):
v)不適当な把持の存在の通知に対する様々なタイプの把持タイプの認識(ピンチ把持、手のひら把持又はフック把持:これに関連して、こうした把持タイプは、これが頻繁に反復されたなら生体力学的な過負荷を引き起こし得、又は手の腱の滑液包の絞りに起因した損傷さえも引き起こし得る。当該把持タイプは検出する必要があり、それゆえ、当該把持タイプが頻繁に実行されたなら、これは人間工学的なリスクインデックスの上昇の一因となる)、
vi)静的動作の認識。
【0146】
自動的に解析されない人間工学的項目は、ユーザにより手動で解析され得る。このために使用することができる図形インターフェースの例が、
図17のA部に示されている。
【0147】
人間工学的項目は、画面の右に現れるメニュー「項目」で選択され得る。本実施形態において、一度に最大4つの人間工学的項目まで解析することが可能であるが、一度にただ1つの項目を選択することによっても解析を実行することが可能である。
【0148】
ユーザによるイネーブルコマンドの入力後、ネットワーク4による取得により生成されたデータファイルが選択されている場合(例えば、ボタン「再生」又は「開始」を押すことにより、
図17の参照符号PLを参照、参照符号STPは、代わりに停止キーを特定する)、ソフトウェアは自動的に、前述の項目のためのOCRAチェックリスト方法の人間工学的な情報を計算する。
【0149】
代わりに、ネットワーク4及び/又はグローブ2から来る動きキャプチャファイルが入手可能でないなら、下記により以下のように手動解析を進めることが可能である(
図17のA及び
図17のB):
1.ビデオクリップを実行する、又はその表示を継続すべくキーPLを押すこと;キーPLを再度押すことにより、ビデオクリップは休止され、
2.項目が存在する映像の時点でおいて、解析中である人間工学的項目に対応する文字又は文字列をキーパッドKYPで押すこと;図の例において、代表的な文字は、「A」、「S」、「K」及び「L」であり、
3.全ての必要な人間工学的項目の取得が一度完了したなら、必要に応じてちょうど完結した取得を再度表示及びチェックし、次に出力段階に移行する。
【0150】
モード選択メニューを用いて、次に出力モードに移行することが可能であり、従って入力されたデータのための結果を表示する。
【0151】
結果を含む画面の例が、
図18に示されている: 解析されたタスクの項目の存在及び時間的部分布を示すグラフが表示されている。特に、適例において、上記のポイントi)からiv)及びポイントvi)の全ての項目が表示され、すなわち、
i)略肩の高さの腕、
ii)頭部より上の手、
iii)肘の極端な回内回外運動、
iv)手首の極端な屈伸及び逸脱、および
vi)技術的な静的動作:少なくとも4秒間の静的把持でオブジェクトを握ることである。
【0152】
グローブ2のデータがまた収集された場合、上記ポイントv)の項目、すなわち、様々なタイプの把持タイプ及び不適当な把持の認識が、課題となっている項目に加えられるであろう。
【0153】
グラフ上で人間工学的項目が存在するポイントをグラフ上にクエリすることにより(例えば、マウスでポイントをクリックすることにより)、上記項目が生じるビデオクリップの対応する時点を表示することが可能である。ネットワーク4による動きキャプチャデータの取得の場合、同等のダミーの対応する姿勢が再現される(
図18のB)。
【0154】
取得が一度完了したなら、OCRAチェックリスト方法に基づいて計算された回数、すなわち、様々な項目の発生及び延長に関連付けられた回数を再度チェックすることがさらに可能である。
【0155】
さらに、データは、外部解析のための互換性の高いフォーマット、例えば、マイクロソフト(Microsoft(登録商標))エクセル(Excel(登録商標))のスプレッドシートにおいてエクスポートされ得る。
【0156】
[OCRAインデックス法]
第2人間工学的方法は、ISO 11228-3規格に基づくOCRAインデックス方法であり、そのことは、評価されるべき体のさらなる動き、例えば:予め定められた閾値を超える角度によっていくつかの関節の回転を可能にし得る。この解析によって、作業者のためのリスクインデックスの評価を得ることが可能である。
【0157】
人間工学的項目のデータ取得及びアセスメントの動作モードは、既に説明したものと同じである。
【0158】
[MURI法及びEM-MURI法]
さらなる人間工学的方法は、MURI法であり、それによって、作業者により行われる、例えば、自動的及び同時に解析される動作の区分を得るべく、観察される時間間隔を複数の調査期間に分割することが可能である。アセスメントの終了時に、人間工学的な解析の単一の評価(すなわち、単一の人間工学的なリスクインデックスに基づく)の代わりに、作業者により行われる動きの複数の評価を得ることが可能である。
【0159】
他の人間工学的方法との組み合わせにおいて、EM-MURI人間工学的方法がまた使用され得、それは、MURI解析の拡張バージョン(すなわち、より多くのパラメータが評価された状態で)に存する。この方法の目的は、人間工学的リスクの迅速なアセスメントを可能にし、その後の解析を行うことが興味深くなり得る動作を強調するような方法で特定の人間工学的リスクを過大評価することである。
【0160】
デバイス6によって取得された映像に対応するビデオファイル、及び、利用できるなら、ネットワーク4で取得される動きキャプチャファイルをも読み取った後、解析されるべきタスクが分割されることとなる様々な期間が定義される。
【0161】
ビデオクリップが実行されている時、キーPL(再生/休止)は、タスクが分割されることとなる期間セットの調査期間形成部分の最後の時点でビデオクリップを休止するために使用することができ、調査期間は、専用キーを押すことにより特定され、この操作は、全ての調査期間が検討されるまで反復される。
【0162】
選択された期間の開始及び終了の時間は、手動で入力された(開始/終了)データから開始して、その継続時間を計算するソフトウェアにより自動的に記録される。
【0163】
ネットワーク4のデータが利用できる場合、移動すべき負荷を参照しない人間工学的項目は、ソフトウェアにより自動的に解析されることとなる。これに対する理由は、MURI法において、説明されたセンサを用いて収集することができない1つのデータが、移動又は運ばれるべき負荷(重量)であり、それによりこのデータが手動で入力される必要があることである。アセスメントに必要な残りのデータは、センサから自動的に到着できる。
【0164】
ビデオクリップだけが利用できる場合、解析されるべきタスクを特定する全ての期間が入力された後、解析されるべきである人間工学的項目を選択することが必要である。次に、ビデオクリップが再起動され、当該項目に対応する期間が、自動的に強調及び選択される。
【0165】
期間が強調されている間に、解析を実行するオペレータは、課題になっている期間において対応する人間工学的な項目に帰するとオペレータが意図する投票に打ち込む必要がある。投票システムは、以下のスケールを想定する:1容認できる、2調査する、3容認できない。これらの投票はおそらく、色に関連付けられ得る(例えば、緑=容認できる;黄=調査する;赤=容認できない)。
【0166】
出力モードにおいて、グラフは、解析された期間/操作に分割されたMURIデータを要約して表示される。このグラフの例が、
図19に表示されている。
【0167】
[TiCon法及びソフトウェア]
さらなる人間工学的方法は、EAWS方法に対応し、エルゴ特性(ergo-characterization)のための、すなわち、活動が割り当てられている(平衡を保っている)ワークステーションに基づいて、上記活動(時間又は操作の取得において説明される)を人間工学的な観点から区別する人間工学的パラメータの定義の活動のためのTiConソフトウェアに対応する。
【0168】
EAWS方法による解析は、TiConソフトウェアで行われ、TiConソフトウェアは、例えば、以下のアセスメントを可能にするので、システム1から引き出されるデータが有利には入力され得る。
-手の把持タイプ、
-手首が回転される角度、ならびに
-作業が実行される高さと、体が作業を行う距離、方向及び力である。
【0169】
[システム1を用いて行われる解析から利益を引き出すさらなる人間工学的方法]
RULA(迅速な上肢アセスメント)人間工学的方法:この方法は、作業活動中の連続的方法又は反復的方法において維持される不適当な姿勢に起因する筋骨格のリスクをアセスメントするために使用される。
【0170】
NIOSH(労働安全衛生総合研究所)人間工学的方法:この方法は、負荷の持ち上げに関与するリスクをアセスメントするために使用され得る。
【0171】
Snook&Ciriello人間工学的方法:この方法は、平面上で負荷を運ぶこと、引っ張ること又は押すことに相互関連したリスクをアセスメントするために使用される。
【0172】
スー・ロジャーズ(Sue Rodgers)人間工学的方法:この方法は、特にブラジル産業において、筋肉疲労の解析のために使用されている。
【0173】
システム1による人間工学的解析のために選択される人間工学的方法に関わりなく、システム1を用いた作業者の人間工学的解析のための方法は、以下に列挙される一般的な段階が、従って特定され得る。
【0174】
こうした段階は、以下を備える:
-一連の画像(6)の生成のためのユニットによって、作業者のタスクの一連の画像を取得する段階であり、これは、ワークステーションにおいてオペレータのビデオクリップを取得する段階、及び/又は、仮想現実システム、特に没入型仮想現実システムにおいて仮想ワークステーション(例えば、ワークステーションのCADモデル)を用いて、基準オペレータ(ユーザU)の相互作用を経由してビデオクリップを生成する段階を、互いに組み合わせ、又は代案として備え得る。
-センサ搭載グローブ2から第1セットの姿勢データを取得する段階;これは、グローブ2を用いて手の姿勢及び把持タイプの決定に関連してすでに前に述べた段階及び方法に対応する。
-ウェアラブルセンサネットワーク4から第2セットの姿勢データを取得する段階。
-第1セットのデータ、第2セットのデータ及び一連の画像に基づいて1又は複数の人間工学的インジケータを決定する段階。
【0175】
ウェアラブルセンサネットワーク4から第2セットの姿勢データを取得する段階は、タスクの実行中に上記基準体系の各セグメント要素及び関節要素の軌跡、姿勢及び回転角度を取得する段階を備える。
【0176】
上記方法によって、及びシステム1を用いることにより、人間工学的観点から重要である態様を特定する、及び/又は、企業標準及び国際標準に従って人間工学的アセスメントを提供する、及び/又は、オペレータがさらされる人間工学的リスクを低減すべく、ワークステーション又は一連の作業を再計画することが、それゆえ概して可能である。
【0177】
もちろん、実施の詳細及び実施形態は、本明細書で説明及び図示されていることに対して広く変化され得、それにより、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の保護範囲から逸脱することはない。