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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】発光表示スイッチ及び収音装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/00 20060101AFI20220906BHJP
   G09F 13/20 20060101ALI20220906BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220906BHJP
   G10K 11/34 20060101ALI20220906BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20220906BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20220906BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G09F13/00 R
G09F13/20 L
H04R3/00 320
H04R3/00 310
G10K11/34 130
H04R1/40 320A
H04R1/40 310
H04R1/00 320A
H04R1/00 310E
H01H13/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018055557
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019168571
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】中務 仁
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-207916(JP,A)
【文献】特開2008-042261(JP,A)
【文献】特開2004-233466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00
G09F 13/20
H04R 3/00
G10K 11/34
H04R 1/40
H04R 1/00
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面から入射した光線を拡散光に変えて前記第1の面と反対側の第2の面から放出する導光部材と、
この導光部材の前記第1の面側に間隔を空けて配置される複数の点光源と
を備える発光表示装置と、
ユーザーが操作可能な操作部材と、
前記操作部材の操作を検知する検出機構と
を備え、
前記導光部材が、前記第2の面を直下の1又は複数の前記点光源に対応する複数の発光領域に区画し、隣接する発光領域への光線の透過を低減する遮光構造を有し、
前記遮光構造が前記第1の面から前記第2の面側に延びるよう形成されるスリットと、前記スリットに挿入される遮光板とを有し、
前記導光部材が両端面を前記第1の面及び前記第2の面とする筒状であり、
前記操作部材が前記導光部材の内側に配置され、
前記遮光板が前記操作部材の外周に設けられる発光表示スイッチ。
【請求項2】
前記スリットが前記第2の面に開口しない請求項1に記載の発光表示スイッチ。
【請求項3】
前記スリットが内側に光を透過しない層を有する請求項1又は請求項2に記載の発光表示スイッチ。
【請求項4】
前記導光部材の前記スリットの前記第2の面側に残される部分の最小厚さが0.5mm以上3.0mm以下である請求項2に記載の発光表示スイッチ。
【請求項5】
前記遮光板の平均厚さが0.5mm以上3.0mm以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発光表示スイッチ。
【請求項6】
前記導光部材及び前記操作部材が前記第2の面側に向かって縮径するテーパー状である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発光表示スイッチ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発光表示スイッチと、
前記発光表示スイッチの操作部材の操作に応じて動作状態が定められるマイクロフォンと
を備え、
前記マイクロフォンの動作状態に応じて、前記点光源を点灯する発光領域が切り換えられる収音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光表示装置、発光表示スイッチ及び収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一定の面積を有する発光面を均等に発光させたり、発光面の一部の領域だけを発光させたりできる発光表示装置が求められることがある。このような発光表示装置では、複数の光源を有し、複数の光源の一部だけを点灯することにより、発光面の一部の領域だけを発光させることが想定される。
【0003】
このように発光面の一部の領域だけを発光させる際に、この発光領域と隣接する消灯領域との境界が明確であること、つまり発光領域と消灯領域との境界で輝度が階段状に変化することが理想的であることが多い。
【0004】
例えば特開2011-60706号公報には、複数のLED光源と複数のLED光源間を仕切るよう設けられるコーン状乃至ボウル状(椀状)の遮光性隔壁と、この隔壁の上に設けられ、LED光源から発せられる光を上向きの平行光線に変化させる複数のレンズと、複数のレンズを覆うよう配置され、レンズから出される平行光線を拡散させる拡散板とを有する表示装置が開示されている。
【0005】
前記公報に記載される表示装置は、LED光源から発せられる光をレンズによって上向きの平行光線に変化させるため、レンズの形状が複雑であり、このレンズが製造コストを押し上げる要因となる。
【0006】
表示装置は、様々な機器に設けられるが、収音装置、例えば遠隔会議システムの音声入出力装置等にも、マイクロフォンの動作状態等を表示する表示装置が必要とされる。例として、特開2008-154055号公報には、表示装置として液晶表示パネルを備えるビデオ会議装置が開示されている。
【0007】
前記公報に記載されるビデオ会議装置の液晶表示パネルは、装置の正面からでなければその表示内容を容易に確認することができない。このため、前記公報のビデオ会議装置では、装置を囲むように着席した参加者の多くが、例えばマイクロフォンが有効となっているか否か等の装置の動作状態を確認することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-60706号公報
【文献】特開2008-154055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記不都合に鑑みて、本発明は、比較的安価で、発光領域と消灯領域との境界が明確な発光表示装置及び発光表示スイッチ、並びに動作状態が分りやすい収音装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る発光表示装置は、第1の面から入射した光線を拡散光に変えて前記第1の面と反対側の第2の面から放出する導光部材と、この導光部材の第1の面側に間隔を開けて配置される複数の点光源とを備え、前記導光部材が、前記第2の面を直下の1又は複数の前記点光源に対応する複数の発光領域に区画し、隣接する発光領域への光線の透過を低減する遮光構造を有する。
【0011】
また、前記課題を解決するためになされた本発明の別の態様に係る収音装置は、マイクロフォンと、単一の発光面の全面から光を放出する第1の表示状態と前記発光面の一部から光を放出する第2の表示状態とを前記マイクロフォンの動作状態に応じて切り換える発光表示部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る発光表示装置は、比較的安価で、発光領域と消灯領域との境界が明確である。また、本発明の別の態様に係る収音装置は、動作状態が分りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の発光表示装置の模式的断面図である。
図2】本発明の一実施形態の発光表示スイッチの模式的断面図である。
図3図2の発光表示スイッチの模式的分解斜視図である。
図4図2の発光表示スイッチの模式的平面図である。
図5図2の発光表示スイッチを備える収音装置の模式的斜視図である。
図6図5の収音装置の筐体の上部を取り外した状態の模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0015】
[発光表示装置]
図1に、本発明の一実施形態に係る発光表示装置を示す。当該発光表示装置は、第1の面(裏面)から入射した光線を拡散光に変えて第1の面と反対側の第2の面(表面:以下発光面Sということがある)から放出する導光部材1と、導光部材1の裏面側に間隔を空けて配置される複数の点光源2とを備える。
【0016】
なお、本明細書における「表面」及び「裏面」は、観察者側を「表面」、その反対側を「裏面」とするが、当該発光表示装置の配設場所や配設方向を限定することを企図するものではない。
【0017】
<導光部材>
導光部材1は、透明な樹脂とこの樹脂中に分散される微粒子状の光拡散材とを有する材料から形成することができる。この導光部材1は、点光源2から発せられ、裏面に入射する放射状の光線を内部で散乱させて発光面Sから出射する光が主に拡散光となるようにする。これにより、導光部材1の表面側から観察する者は、裏面側の点光源2を認識せず、導光部材1の発光面Sが面発光しているように認識する。
【0018】
導光部材1は、発光面Sを直下の1又は複数の点光源2に対応する複数(図示する例では2つであるが3つ以上であってもよい)の発光領域Aに区画し、隣接する発光領域への光線の透過を低減する遮光構造を有する。
【0019】
発光面Sの平面形状としては、例えば方形状、円形状、環状、帯状等、任意の形状とすることができる。各発光領域Aの形状としては、特に限定されないが、後述する遮光構造を簡素化できる点で、発光面Sを直線で区分して画定される形状とすることが好ましい。
【0020】
導光部材1の上下高さ(裏面から表面までの距離)の下限としては、点光源2から遮光構造の中心までの水平距離(点光源2が設けられる面に沿う方向の距離)の最大値の100%が好ましく120%がより好ましい。一方、導光部材1の上下高さの上限としては、点光源2から遮光構造の中心までの水平距離の最大値の200%が好ましく180%がより好ましい。導光部材1の上下高さが前記下限に満たない場合、点光源2から入射した光を十分に拡散することができず、発光面Sの輝度のばらつきが大きくなり過ぎるおそれがある。逆に、導光部材1の上下高さが前記上限を超える場合、当該発光表示装置の厚さが不必要に増大するおそれや、点光源2から入射した光を十分に透過させることができず発光面Sの輝度が低下するおそれがある。
【0021】
遮光構造は、裏面側から上方に延びるよう形成されるスリット3を有する構成とすることができる。
【0022】
スリット3は、導光部材1の表面に開口していてもよいが、発光面Sの全体を発光(発光面S全体から光を放出)させられるよう、導光部材1の表面に開口しないよう形成されることが好ましい。
【0023】
スリット3は、隣接する発光領域Aへの光の進入を確実に抑制するために、内側に光を透過しない層を有することが好ましい。具体的には、図示するようにスリット3に遮光板4を挿入したり、スリット3の内面に光を反射又は吸収する塗料を塗布したりすることで、スリット3を光が横断することを防止することができる。特に、遮光板4を挿入する構成とすることによって、当該発光表示装置の製造が比較的容易でありながら、発光している発光領域Aと消灯している発光領域Aとの境界が明確になるため、当該発光表示装置の表示が分りやすくなる。
【0024】
導光部材1のスリット3の前記表面側(第2の面側)に残される部分の最小厚さ、つまり、スリット3が形成される部分での導光部材1の表裏方向の最小厚さの下限としては、0.5mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。一方、導光部材1のスリット3の前記第2の面側に残される部分の最小厚さの上限としては、3.0mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。導光部材1のスリット3の前記第2の面側に残される部分の最小厚さが前記下限に満たない場合、両側の発光領域Aを点灯したときにその境界近傍の輝度が不十分となるおそれや、導光部材1が破断しやすくなるおそれがある。逆に、導光部材1のスリット3の前記第2の面側に残される部分の最小厚さが前記上限を超える場合、隣接する発光領域Aに透過する光量を十分に抑制することができず、両側の発光領域Aの一方のみを点灯した場合に発光領域Aの境界が不明確となるおそれがある。
【0025】
スリット3の断面形状としては、幅が略一定のものに限られず、発光面S側の端部又は全体の幅が発光面Sに向かって減少する三角形状又はテーパー状であってもよい。特に、スリット3が発光面Sに開口する場合やスリット3が形成される部分での導光部材1の最小厚さを小さくする場合には、発光領域Aの境界を明確にするために、スリット3の幅が発光面Sに向かって減少することが好ましい。
【0026】
スリット3に挿入される遮光板4の平均厚さ(又は対向する光を透過しない層の外面の平均距離)の下限としては、0.5mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。一方、遮光板4等の平均厚さの上限としては、3.0mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。遮光板4等の平均厚さが前記下限に満たない場合、遮光板4等の形成が困難となるおそれがある。逆に、遮光板4等の平均厚さが前記上限を超える場合、スリット3の両側の発光領域Aを点灯したときにその境界近傍の輝度が不十分となるおそれがある。
【0027】
導光部材1は、裏面に各点光源2を受け入れる凹部5を有していてもよい。このように、凹部5を設けることによって、点光源2が発する光を導光部材1に効率よく取り込ませることができる。凹部の形状としては、例えば球面状、円筒面等とすることができる。
【0028】
凹部5の最大幅の下限としては、収容する点光源2の最大幅の2倍が好ましく、3倍がより好ましい。一方、凹部5の最大幅の上限としては、収容する点光源2と隣接する点光源の中心距離の50%が好ましく、40%がより好ましい。凹部5の最大幅が前記下限に満たない場合、凹部5に点光源2を確実に収容できないおそれや、点光源2から発せられる光を効率よく導光部材1の内部に取り込むことができないおそれがある。逆に、凹部5の最大幅が前記上限を超える場合、隣接する凹部5やスリット3と重なることにより点光源2から発せられる光を効率よく導光部材1の内部に取り込むことができないおそれがある。
【0029】
凹部5の最大深さの下限としては、収容する点光源2の最大高さの1.0倍が好ましく、1.5倍がより好ましい。一方、凹部5の最大深さの上限としては、導光部材1の平均厚さ(スリット3及び凹部5は考慮しない)の40%が好ましく、30%がより好ましい。凹部5の最大深さが前記下限に満たない場合、凹部5に点光源2を収容できないおそれや、過度に加工精度や実装精度が要求されるおそれがある。逆に、凹部5の最大深さが前記上限を超える場合、導光部材1の実効高さが不足して発光面Sの輝度にムラができるおそれがある。
【0030】
<点光源>
点光源2としては、例えば発光ダイオード、ハロゲンランプ、白熱電球等を用いることができるが、中でも小型でエネルギー効率に優れる発光ダイオードが特に好適に用いられる。また、点光源2として用いられる発光ダイオードは、異なる波長の素子が並んで形成され、白色光を発すものや、光の色を選択可能なものであってもよい。また、各発光領域Aに波長が異なる複数の点光源2が設けられることにより、発光領域Aの色を選択可能としてもよい。
【0031】
複数の点光源2は、できるだけ等間隔に配置することが好ましい。複数の点光源2を等間隔に配置することで、発光面Sの輝度のばらつきを小さくすることができる。
【0032】
複数の点光源2の配設方法としては、特に限定されないが、図示するように、共通の基板6の表面に複数の点光源2を実装し、この基板6と導光部材1との相対位置を固定する方法とすることができる。このように、共通の基板6を用いることにより、複数の点光源2を導光部材1の裏面側に正確且つ容易に配置することができる。
【0033】
<利点>
当該発光表示装置は、部品点数が少なく、構成が比較的簡単であると共に、各構成要素の形状に高い精度が要求されない。このため、当該発光表示装置は、比較的安価に製造することができる。
【0034】
また、当該発光表示装置は、全ての点光源2を点灯すれば発光面Sの全体を発光させることができ、いずれかの発光領域Aの点光源2を選択的に点灯すれば、特定の発光領域Aだけを発光させることができる。当然ながら、当該発光表示装置は、全ての点光源2を消灯して発光面Sの全体を発光させないこともできる。従って、当該発光表示装置は、消灯モードを含めて少なくとも4つの表示モードを有することができる。
【0035】
さらに、当該発光表示装置は、隣接する発光領域Aへの光線の透過を低減する遮光構造を有するので、点光源2を点灯して発光している発光領域Aと点光源2を消灯して発光していない発光領域Aとの境界が明確である。このため、当該発光表示装置は点灯状態を判別することが容易である。
【0036】
[発光表示スイッチ]
図2乃至図4に、本発明の一実施形態に係る発光表示スイッチ10を示す。
【0037】
当該発光表示スイッチ10は、本発明の図1とは異なる実施形態に係る発光表示装置11と、ユーザーが操作可能な操作部材12と、操作部材12のユーザーによる操作を検知する検出機構13とを備える。
【0038】
<発光表示装置>
発光表示装置11は、概略筒状に形成され、一方の端面から入射した光線を拡散光に変えて表面から放出する導光部材1と、導光部材1の裏面側に間隔を開けて配置される複数の点光源2と、導光部材1に形成される複数のスリット3に挿入される複数の遮光板4とを備える。この遮光板4は、後述する操作部材12に設けられている。
【0039】
当該発光表示スイッチ10における発光表示装置11の導光部材1(スリット3及び凹部5を含む)、点光源2並びに遮光板4の特に言及しない構成については、図1の発光表示装置の導光部材1(スリット3及び凹部5を含む)、点光源2並びに遮光板4の構成と同様とすることができる。このため、同じ構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0040】
当該発光表示装置11において、導光部材1は、表裏方向の軸を有する筒状であり、表面側に向かって縮径するテーパー状に形成されている。さらに、導光部材1は裏面の径方向の幅が、表面(発光面S)の径方向の幅より大きくなっている。また、導光部材1は、裏面にそれぞれ点光源2を受け入れる複数の凹部5を有する。このような導光部材1に合わせて、複数の点光源2は、基板6上に、導光部材1の裏面に沿って環状に並んで配置されている。
【0041】
導光部材1のテーパー角度は、表面側から見て、各点光源2の中心が発光面Sの外側に位置するようにできる角度にすることが好ましい。このように、点光源2を発光面Sの直下に配置しないようにすることで、点光源2から導光部材1内を直進して透過して発光面Sから出射される光量を低減することができる。これによって、ユーザーに点光源2の存在を感じさせにくくすることができ、発光面Sが面で発光しているように見せる効果が大きくなる。
【0042】
また、導光部材1の裏面の径方向の幅を発光面Sの幅よりも大きくすることで、点光源2から発せられる光をより多く導光部材1の中に取り込んで、発光面Sの輝度を向上することができる。
【0043】
本実施形態の導光部材1は、2つのスリット3を有し、環状の発光面Sを2つの発光領域A1,A2に区画している。より詳しくは、環状の発光面Sは、直下に1つの点光源2が配置される第1の発光領域A1と、直下に4つの点光源2が配置される第2の発光領域A2とを有する。当該発光表示スイッチ10は、発光面Sの全体が発光する状態と、第1の発光領域A1だけが発光する状態とにより、当該発光表示スイッチ10によって選択される機器の動作状態を表示することが企図される。
【0044】
発光表示装置11は、導光部材1の周面を覆う遮光性のカバー7をさらに備える。発光表示装置11は、カバー7を備えることによって、導光部材1の発光面S以外の場所、例えば側方から点光源2から発せられた光が外部に漏れ出すことを防止する。
【0045】
<操作部材>
操作部材12は、導光部材1の内側に配置される。このため、操作部材12は、導光部材1の内周面に沿うテーパー状の外周面を有する錐台形状に形成され、頂面をユーザーが操作するよう構成される。また、操作部材12は、外周面に垂直に突出するよう遮光板4が設けられている。
【0046】
この操作部材12は、遮光性を有する材料によって、遮光板4と一体に形成することができる。
【0047】
また、操作部材12は、平面視で中心部に光を透過可能な領域を有してもよい。この場合、光を透過可能な領域の直下にも点光源2を配置することにより、操作部材12を点灯させることができる。操作部材12の光を透過可能な領域は、平面視でパターニングされて任意の意匠を形成してもよい。操作部材12は、例えば当該発光表示スイッチ10の電源が入っているときに点灯する電源表示として使用することができる。
【0048】
本実施形態において、操作部材12に対する操作は、ユーザーが触れる操作である。つまり、当該発光表示スイッチ10は、操作部材12にユーザーが触れたことを検出するタッチセンサである。
【0049】
<検出機構>
検出機構13は、基板6の操作部材12に対向する面に形成される電極パターン14を含み、操作部材12の静電容量の変化を検出するよう構成される電気回路である。このため、本実施形態の検出機構13は、前記電極パターン14に操作部材12を確実に接続できるよう、操作部材12と基板6との間に圧縮状態で配置される導電性スポンジ15を有する。
【0050】
<利点>
当該発光表示スイッチ10は、操作部材12の操作に応じて、発光面Sの全体が均等に発光する状態と、その一部の発光領域A1だけが発光する状態とを切り換えることができる。さらに、当該発光表示スイッチ10は、発光領域A1だけが発光する場合に、その境界が明確であるため、ユーザーが動作状態を容易に把握することができる。
【0051】
[収音装置]
図5及び図6に、本発明の一実施形態に係る収音装置を示す。当該収音装置は、図2の発光表示スイッチ10と、発光表示スイッチ10の操作に応じて動作状態が切り換えられるマイクロフォン20とを備える。また、本実施形態の収音装置は、スピーカー30をさらに備えており、遠隔会議端末、つまり遠隔会議システムの音声入出力装置として機能するよう構成されている。
【0052】
なお、マイクロフォン20の「動作状態」とは、マイクロフォン20自体の動作に限られず、例えばマイクロフォン20への音波の入射を阻害する遮音部材の配置状態、当該収音装置から外部に出力するまでにマイクロフォン20から出力された音声信号に対して施される信号処理の方法や増幅率等の設定状態などを含むマイクロフォン20の収音に関連する装置の状態全般を意味する。
【0053】
当該収音装置は、これらの構成要素が筐体40の中に設けられており、発光表示スイッチ10の導光部材1の発光面S及び操作部材12のユーザーが触れる表面が筐体40から露出している。マイクロフォン20及びスピーカー30は、本実施形態のように、筐体40の音波を通過させる開口が形成された領域の内側に配置することができるが、筐体40から露出していてもよい。
【0054】
当該収音装置は、発光表示スイッチ10の発光表示装置11によって構成される発光表示部が、単一の発光面Sの全面(第1の発光領域A1及び第2の発光領域A2)から光を放出する第1の表示状態と発光面Sの一部(第1の発光領域A1)から光を放出する第2の表示状態とをマイクロフォン20の動作状態に応じて切り換えられる。つまり、当該収音装置は、マイクロフォン20の動作状態に応じて点光源2を点灯する発光領域A1,A2が切り換えられる。
【0055】
<マイクロフォン>
マイクロフォン20は、外部の音を電気信号に変換する。このマイクロフォン20は、電気信号を出力するミュートオフ状態と、電気信号を出力しないミュートオン状態との2つの動作状態が発光表示スイッチ10の操作によって、より詳しくは発光表示スイッチ10の検出機構13が操作部材12の操作を検出したときに切り換えられる。
【0056】
マイクロフォン20の構成としては、例えばムービング・コイル型マイクロフォン、リボン型マイクロフォン、コンデンサ型マイクロフォン等、任意のマイクロフォンを用いることができる。また、マイクロフォン20は、本実施形態の収音装置では装置本体の内部に収容されているが、装置本体から突出して設けられるもの、例えばグースネック型マイクロフォン等であってもよい。
【0057】
また、マイクロフォン20は指向性を有してもよい。また、当該収音装置は、複数のマイクロフォンを備えてもよい。具体例として、当該収音装置は、指向性を有しないマイクロフォン20と指向性を有するマイクロフォン20とが設けられていてもよく、指向性を有する複数のマイクロフォン20が異なる方向に向けて設けられていてもよい。複数のマイクロフォン20が設けられる場合、当該収音装置は、ユーザーが発光表示スイッチ10又は他の入力手段を用いて一部のマイクロフォン20だけをミュートオフ状態とすることができるよう構成されてもよく、発光表示スイッチ10の発光表示部の環状の発光面Sのうちマイクロフォン20がミュートオフ状態となっている方向、つまりマイクロフォン20により収音(電気信号を出力)することが可能となっている方向の発光領域が発光するようにしてもよい。
【0058】
また、当該収音装置は、マイクロフォン20の動作状態として、マイクロフォン20が出力する音声信号の強度(ゲイン)を切り換え可能に構成されてもよい。この場合、発光表示スイッチ10の発光表示部の発光面Sの例えば輝度、色、点滅パターン等、つまり直下の点光源が発する光の強度、波長、点滅パターン等をマイクロフォン20が出力する音声信号の強度に応じて変化させてもよい。当該収音装置が音声信号の強度が調整されるマイクロフォン20を複数備える場合、発光面Sの輝度又は色が発光領域毎に切り換えられることが好ましい。
【0059】
当該収音装置において、1つのマイクロフォン20に発光面Sの複数の発光領域が対応してもよく、この場合、各発光領域は、マイクロフォン20の対応する方向毎のゲインを示す輝度又は色で発光してもよい。
【0060】
また、当該収音装置において、発光面Sの1つの発光領域が複数のマイクロフォン20に対応してもよい。この場合、発光面Sの色及び輝度は、複数のマイクロフォン20の状態を示す色を重畳した色又は輝度で発光してもよい。この色の重畳は、光の重ね合わせによる加法混合で得られる色としてもよく、インクの混合による減法混合で得られる色としてもよい。
【0061】
具体例としては、当該収音装置が指向性を有するマイクロフォン20と指向性を有しないマイクロフォン20とを有する場合、指向性を有しないマイクロフォン20がミュートオフ状態であるときには発光面Sの全体を第1の色で発光させ、指向性を有するマイクロフォン20がミュートオフ状態であるときには発光面Sの対応する方向の発光領域を第2の色で発光させ、指向性を有しないマイクロフォン20及び指向性を有するマイクロフォン20が共にミュートオフ状態である場合には、発光面Sの指向性を有するマイクロフォン20に対応する領域が第1の色と第2の色とを混色した色で発光してもよい。
【0062】
また、当該収音装置は、複数のマイクロフォン20によりビームフォーミングするものであってもよい。より詳しく説明すると、当該収音装置は、複数のマイクロフォン20が出力する音声信号を演算処理することによって、特定の方向からの音だけを抽出して最終的に得られる音声信号の指向角を小さくすることができ、このように指向角が小さい音声信号を得る場合には発光表示装置11がその小さい指向角に対応する小さい角度範囲の発光領域を発光するよう構成されてもよい。
【0063】
<スピーカー>
スピーカー30は、電気信号を空気振動に変換する周知の機構である。当該収音装置が遠隔会議システム用音声入出力装置として用いられるものである場合、スピーカー30は、複数の会議参加者に向けて均一な音質を提供するという観点から、指向角が大きいことが好ましい。単一のスピーカー30を設ける場合、指向角が大きいものを上方に向けて音を発生するよう配置することが好ましい。
【0064】
また、当該収音装置は、指向性を有し、放音方向が異なる複数のスピーカー30を有し、スピーカー30毎に出力を停止又は出力レベルを調整可能に構成されてもよい。この場合、発光表示スイッチ10の発光表示部の環状の発光面Sのうちスピーカー30が放音する方向の発光領域を点灯させてもよく、対応するスピーカー30の出力レベルに対応する輝度又は色で各発光領域を発光させてもよい。また、当該収音装置は、指向性を有する向きが略等しい(少しずつ向きがずらされていてもよい)複数のスピーカー30(アレイスピーカー)を有し、複数のスピーカー30間の干渉により実効的な指向角を異ならせ、この実効的な指向角に対応する方向の発光領域を発光させてもよい。
【0065】
当該収音装置は、前方からの音を収音するよう装置前側にマイクロフォン20が配置され、このマイクロフォン20から離して装置後側よりの装置上面にスピーカー30が上方に音を放出するよう配置され、装置上面の平面視でマイクロフォン20とスピーカー30との間に発光表示スイッチ10が配置されている。これにより、発光表示スイッチ10を操作しやすく、スピーカー30が発する音をマイクロフォン20が収音することを抑制できる。
【0066】
<利点>
当該収音装置は、複数の発光領域A1,A2を選択的に発光させることができ、発光領域A1,A2の境界が明確な発光表示スイッチ10を備えるため、ユーザーがマイクロフォン20の動作状態を容易に把握することができる。
【0067】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0068】
当該発光表示装置において、導光部材に設けられる遮光構造はスリット以外の構造であってもよい。スリット以外の遮光構造としては、例えば導光部材の成型時にインサートされたシート、幅の大きい溝乃至切り欠き等を挙げることができる。
【0069】
当該発光表示装置において、導光部材は、点光源を受け入れる凹部を有しないものであってもよい。
【0070】
当該発光表示装置の導光部材の平面形状は任意であり、各発光領域の形状及び大きさに応じて直下の点光源の数及び配置を選択することができる。
【0071】
当該発光表示スイッチにおける検出機構の構成は、特に限定されず、例えば操作部材の移動を検出する接点機構、操作部材に作用する力を検出する圧力検出機構等であってもよい。
【0072】
当該収音装置において、スピーカーは必須の構成ではない。スピーカーを有しない収音装置としては、例えば放送用マイクロフォン装置等を挙げることができる。
【0073】
また、スピーカーを備える本発明の収音装置の実施形態としては、遠隔会議端末として機能するものに限定されない。具体例としては、インターネットに接続され、人工知能によりユーザーと音声で対話するスマートスピーカーとして機能する収音装置は、スピーカーを備える本発明の収音装置の典型的な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る発光表示装置及び発光表示スイッチは、多様な電子機器に利用することができるが、本発明に係る収音装置に特に好適に利用することができる。また、本発明に係る収音装置は、遠隔会議システムに特に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 導光部材
2 点光源
3 スリット
4 遮光板
5 凹部
6 基板
7 カバー
10 発光表示スイッチ
11 発光表示装置
12 操作部材
13 検出機構
14 電極パターン
15 導電性スポンジ
20 マイクロフォン
30 スピーカー
40 筐体
S 発光面
A,A1,A2 発光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6