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特許7135418平坦度検出方法、平坦度検出装置及び平坦度検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】平坦度検出方法、平坦度検出装置及び平坦度検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
G01B11/30 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018092100
(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2019197018
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】森田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】玄馬 大地
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-323308(JP,A)
【文献】特開2004-235671(JP,A)
【文献】特開平03-030447(JP,A)
【文献】特開平06-241752(JP,A)
【文献】特開平07-019855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出方法であって、
前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得工程と、
複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程と、
前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程と、
前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出工程と、を含み、
前記平坦度検出工程においては、前記仮想平面判定工程において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする、平坦度検出方法。
【請求項2】
前記撮像データは、前記部品を前記部品の上面から撮像したデータであり、
前記仮想平面作成工程は、前記仮想平面の作成に先立って行われるプレ処理工程を含み、
前記プレ処理工程は、前記位置情報により規定される規定点と、前記部品の上面視における設計上の中心点である設計点との距離により、前記仮想平面作成工程において前記仮想平面を作成するか否か決定する、請求項1に記載の平坦度検出方法。
【請求項3】
前記仮想平面判定工程においては、一つの前記仮想平面を基準にして複数の前記基準点の高さ情報を取得し、複数の前記高さ情報のうちに前記仮想平面よりも前記基準点が前記部品から遠い位置にあることを示すものがある場合に当該仮想平面を無効平面であると判定し、前記無効平面と判定されなかった前記仮想平面の少なくとも一部を前記有効平面であると判定する、請求項1または2に記載の平坦度検出方法。
【請求項4】
前記仮想平面判定工程においては、前記基準点情報取得工程により取得された前記高さ情報を、前記仮想平面から前記基準点までの高さに変換する、請求項3に記載の平坦度検出方法。
【請求項5】
前記部品が複数の端子を有する電子部品であって、前記基準点情報取得工程においては、前記電子部品の一つの前記端子から複数の点を前記基準点として前記位置情報及び前記高さ情報を取得し
取得された前記複数の点の前記高さ情報を前記有効平面を基準にした前記端子の端子高さ情報に変換し、当該端子高さ情報により前記有効平面に対する前記端子の傾きを検出する端子傾き検出工程をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の平坦度検出方法。
【請求項6】
撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出装置であって、
前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得部と、
複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成部と、
前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定部と、
前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出部と、を有し、
前記平坦度検出部においては、前記仮想平面判定部において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする、平坦度検出装置。
【請求項7】
撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出プログラムであって、コンピュータに、
前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得機能と、
複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成機能と、
前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定機能と、
前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出機能と、を実現させ、
前記平坦度検出機能においては、前記仮想平面判定機能において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする、平坦度検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の平坦度を検出する、平坦度検出方法、平坦度検出装置及び平坦度検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等の製造工程においては、製造された電子部品の平坦度を検査することが必要である。なお、ここで「平坦度」とは、電子部品を水平な面に置いたときに電子部品が水平方向の軸を中心に左右に回動する度合いを指している。充分な平坦度が得られない電子部品は、後に行われる実装の際に不具合が生じるために検査の段階で不良(NG)と判定される。また、電子部品の検査にあっては全品検査が行われる場合が多く、各電子部品の検査にかかる時間は短く、かつ高精度に行われることが望ましい。このような要求に応じた電子部品の検査としては、電子部品を三次元的に撮像するカメラを用いるものがある。公知のカメラを使って電子部品を検査する装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の装置は、部品の下方からライン光を照射する。特許文献1には、部品の下方からカメラによりライン光の投光像を撮像し、ライン光による光切断線から端子の平坦度やボールの高さデータを得ることが記載されている。
【0003】
また、下方から電子部品にレーザ光を照射して電子部品の端子高さを測定する他の装置は、特許文献2に記載されている。特許文献2の高さ測定装置は、電子部品を搭載した状態にして端子高さを測定するためにガラス基板上に電子部品を搭載し、ガラス基板の側から電子部品にレーザ光を照射している。照射したレーザ光の一部は端子により反射される。特許文献2には、端子において反射された反射光を一次元センサ上に集光させて端子高さを測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-225317号公報
【文献】特開平5-223533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品の平坦度は、電子部品の複数の箇所の高さを測定することによって検出されている。しかしながら、上記した装置においては、電子部品と電子部品が載置される台との間に塵等が入り込むことによって電子部品が傾いた状態で高さが検出され得る。電子部品が傾いた状態であると、正確な高さが測定できず、電子部品の良品、不良品を正確に判定することができなくなって製品品質の信頼性が低下する。また、電子部品と台との間に塵が入り込む可能性を排除するためには、検査ラインを高頻度に清掃する、あるいは台上の状態を高精度に観察する等の方法が考えられるが、いずれも時間を要して検査効率を低下させることになる。
【0006】
また、上記した特許文献2に記載の三次元測定装置では、上記のように、ガラス基板を通して電子部品を観察している。このため、レーザ光の照射角度がずれると光の屈折率も変化して測定の信頼性が低下する。また、測定に使用されるガラス基板に含まれる不純物は端子高さの誤判定の一因になり得る。このため、特許文献2に記載の三次元測定装置では、ガラスの厚さや製造元等が制限される。さらに、特許文献2に記載の三次元測定装置は、上記したガラス基板に起因する微小なノイズを測定信号から除去する処理(例えば平均化処理)が必要になるために装置の小型化、高精度化に不利である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、測定条件に係らず部品の傾きを正確に検出し、部品の検査精度を高めることができる平坦度検出方法、平坦度検出装置及び平坦度検出プログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の平坦度検出方法は、撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出方法であって、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得工程と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出工程と、を含み、前記平坦度検出工程においては、前記仮想平面判定工程において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする。
【0008】
また、本発明の一態様の平坦度検出装置は、撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出装置であって、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得部と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成部と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定部と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出部と、を有し、前記平坦度検出部においては、前記仮想平面判定部において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする。
【0009】
また、一態様の平坦度検出プログラムは、撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出プログラムであって、コンピュータに、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得機能と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成機能と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定機能と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出機能と、を実現させ、前記平坦度検出機能においては、前記仮想平面判定機能において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記平坦度を検出し、複数の前記平坦度のうち最も不利な前記平坦度を前記部品の前記平坦度とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定条件に係らず部品の傾きを正確に検出し、部品の検査精度を高めることができる平坦度検出方法、平坦度検出装置及び平坦度検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、本発明の第一実施形態の平坦度検出方法等によって平坦度が検出される電子部品を例示した斜視図、(b)は(a)に示した電子部品を上方から撮像した画像を示す図である。
図2】第一実施形態の平坦度検出装置を説明するためのブロック図である。
図3】第一実施形態の3Dカメラの測定原理を説明するための模式図である。
図4】(a)、(b)及び(c)は、いずれも第一実施形態の処理Aを説明するための図である。
図5】(a)は仮想平面について横軸に端子の識別番号を示し、縦軸に各端子の高さ情報を示した図である。(b)は有効平面についてのみ横軸に端子の識別番号を示し、縦軸に各端子の高さ情報を示した図である。
図6】第一実施形態の平坦度検出方法を説明するためのフローチャートである。
図7図2に示した出力装置に出力された結果を例示する図である。
図8】(a)、(b)及び(c)は、いずれも本発明の第二実施形態の端子角度を求める工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、第一実施形態、第二実施形態の図面の少なくとも一部は、いずれも本発明の構成や機構及び動作を説明するための模式的な図であり、その寸法形状や縦横比等を正確に示すものとは限らない。さらに、第一実施形態、第二実施形態においては、図1に示したx,y,z座標軸のz方向を「上」と記し、z軸のz方向と反対の図示しない-z方向を「下」と記す。ただし、このような上下方向は、電子部品が基板に実装されて使用される際の上下方向と反対になる。
【0013】
[第一実施形態]
(概略)
先ず、第一実施形態の説明に先立って、第一実施形態の平坦度の検出方法等の概略について説明する。第一実施形態は、部品の平坦度を検出することに適用される。ここで部品とは、他の部材と共に組立てに用いられる部材をいう。このような部品にあっては、歪みやサイズ及び形状にばらつきが生じると組立ての作業性を低下させる、あるいは完成品の精度や品質を低下させることから検査が必要になる。なお、第一実施形態でいう部品には、平面上に置かれて使用されることが要求される。平面上に置かれるとは、部品の少なくとも一部が平面に接するものであればよく、平面に固定されることまでは要求されない。また、基準点は、部品上の点または部品に取り付けられている部材の点のいずれであってもよく、「部品の基準となる点」は、撮像装置が検出可能な点であり、複数の部品において共通の点であってもよいし、部品ごとに異なる点であってもよい。
以下に説明する第一実施形態では、平坦度の検出方法、平坦度の検出装置及び平坦度の検出プログラムを、電子部品の端子上にある点を基準点として電子部品の平坦度を検出することに適用した例を挙げて説明する。
【0014】
図1(a)は、第一実施形態の平坦度検出方法等によって平坦度が検出される電子部品5を例示した斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示した電子部品5を上方から撮像した画像を例示する図である。
図1(a)に示したように、電子部品5は、本体51と、複数(8個)の端子511から端子518を有している。このような電子部品5の端子511~518は、リードを本体51の側(内側)にJ字形に曲げて構成される、SOJ(Small Outline J-leaded)と呼ばれるものである。また、端子511~518の各々について、z方向に向かう面(上面)上にある点のうち、例えば所定の位置にある点を基準点とする。
端子511~518は、例えば、鉄及びニッケルの合金を材料としてプレス加工によって形成される。ただし、第一実施形態は、SOJの端子を有する電子部品に適用されることに限定されず、どのような端子を有する電子部品の平坦度を測定することにも適用できる。他の端子としては、例えば、半球状のはんだやボンディングワイヤと共に用いられるリードフレームが考えられる。また、端子には、用途や精度に応じて適宜金やニッケル合金及びはんだ等によりメッキ処理がなされている。
【0015】
さらに、電子部品5の本体51は、図示しない半導体チップと、半導体チップを密閉、保持する封止材とを有している。半導体チップは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ装置といった論理回路を一まとめにして搭載した電子部品である。封止材には、例えば熱硬化型の液体樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては例えばエポキシ樹脂が使用され、充填材としては例えばシリカフィラーが使用される。ただし、封止材はこのような材料に限定されるものでなく、半導体チップや端子材料との高密着性、低イオン不純物性、低応力性、高耐熱性及び成形の容易性等を考慮して適切な材料が選択される。
【0016】
図1(b)に示した画像は、図2に示す三次元画像が撮像可能なカメラ(以下、「3Dカメラ」と記す)によって撮像された画像である。3Dカメラは、例えば撮像センサから本体51の上面までの最短距離(距離h)を測定する。画像は、測定された高さに応じて異なる色によって表される。図1(b)では、色の相違を密度の異なる網掛けによって表している。また、画像は、平坦度検出装置のディスプレイ画面等を介して平坦度検出を行う検出者に提供される。検出者は、画像を見て電子部品5の凡その平坦度を直感的に理解することが可能である。
【0017】
(平坦度検出装置)
図2は、第一実施形態の平坦度検出装置3を含むシステム1を説明するためのブロック図である。図2に示した平坦度検出装置3は、3Dカメラ2と、検出された平坦度にかかる情報を出力する出力装置4と共にシステムを構成している。
平坦度検出装置3は、撮像装置である3Dカメラ2によって電子部品5を撮像した撮像データから電子部品5の平坦度を検出する。なお、ここで「平坦度」とは、電子部品5を水平な面においたときに電子部品5が水平方向の軸を中心として回動する度合いを指している。電子部品5が置かれた面に対して上記回動する場合、電子部品5は傾きの異なる複数の仮想的な面に対して接地可能になる。第一実施形態は、複数の仮想的な平面の各々に対する電子部品5の平坦度を検出するため、いずれの平面に対する電子部品5の平坦度を保障することができる。
【0018】
平坦度検出装置3は、図2に示すように、電子部品5にあって平坦度検出の基準となる基準点の高さを3Dカメラ2から入力する入力部35を有している。第一実施形態の基準点は、端子511~518の上の面の所定の位置を示す点である。所定の位置は、例えば端子511~518の上面の端部や中心点であってもよく、複数の端子511~518間において同一の位置であってもよい。また、第一実施形態は、端子511~518のうちの最も高い場所、あるいは最も低い場所等の端子511~518ごとに異なる位置を所定の位置としてもよい。
第一実施形態では、入力部35が、電子部品5が複数(8つ)の基準点を有し、複数の基準点のうちから選択された少なくとも三つ(以下、選択点と記す)の位置に関する位置情報及び高さに関する高さ情報を取得する。また、平坦度検出装置3は、入力部35から入力された位置情報及び高さ情報を平坦度検出の演算に使用される位置情報及び高さ情報に変換する情報変換部31を備えている。第一実施形態では、入力部35及び情報変換部31が基準点情報取得部として機能する。
【0019】
平坦度検出装置3は、撮像装置によって部品を撮像した撮像データから部品の平坦度を検出する平坦度検出装置である。そして、電子部品5の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する入力部35及び情報変換部31と、複数の基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の位置情報及び高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成部32と、選択点を除く基準点の仮想平面を基準にした高さ情報により、この仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定部33と、有効平面を基準にして部品の平坦度を検出する平坦度検出部34と、を備えている。仮想平面は、電子部品5の端子511~518のうちの少なくとも三つが接地すると考えられる仮想的な平面である。
さらに、第一実施形態では、平坦度検出部34によって検出された平坦度から電子部品5の良否を判定する良・不良判定部36を備えている。
【0020】
第一実施形態では、仮想平面の有効、無効に先立って行われるプレ処理部37を有している。プレ処理部37は、位置情報及び高さ情報の少なくとも一方により規定される規定点と、部品の設計上規定される設計点との距離により、仮想平面作成部32によって作成される仮想平面を選択する。第一実施形態のプレ処理部37は、仮想三角形作成部38及び仮想三角形判定部39を有し、仮想三角形判定部39の判定によって仮想平面作成部32が仮想平面を作成するか否かを決定している。
ここで、プレ処理は、仮想平面作成部32によって仮想平面を作成するまでもなく仮想平面判定部33によって無効平面と判定される可能性の高い仮想平面を選択することができる。仮想平面作成部32は、プレ処理部37によって作成すると判定された仮想平面の少なくとも一部を作成している。このようにすれば、第一実施形態は、仮想平面作成部32、仮想平面判定部33の処理に係る負荷を軽減することができる。
なお、上記「仮想平面の少なくとも一部を作成する」とは、例えば、プレ処理部37によって作成すると判定された仮想平面であっても、他の条件によって作成しない場合があることを意味している。
【0021】
平坦度検出装置3は、上記の情報変換部31、仮想平面作成部32、仮想平面判定部33、平坦度検出部34及び良・不良判定部36の機能全般を制御するCPU、CPUの制御に使用されるデータやプログラムを記憶する、あるいはCPUのワークメモリとして使用されるメモリ装置等のハードウェア装置と、ハードウェア装置を動作させるソフトウェアと、を有している。ハードウェア装置は、平坦度検出装置3の機能に専用のものであってもよいし、汎用的なパーソナルコンピュータ(Personal Computer)を構成するものであってもよい。
【0022】
平坦度検出装置3に汎用的なPCを用いる場合、情報変換部31、仮想平面作成部32、仮想平面判定部33、及び平坦度検出部34は、汎用的なPC(コンピュータ)に、部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さ情報を取得する基準点情報取得機能と、複数の基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の位置情報及び高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成機能と、選択点を除く基準点の仮想平面を基準にした高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定機能と、有効平面を基準にして部品の平坦度を検出する平坦度検出機能と、を実現させる、平坦度検出プログラムとして機能する。
【0023】
以下、上記の図2に示した各構成について説明する。
(3Dカメラ)
図3は、図2に示した3Dカメラ2の測定原理を説明するための模式図である。図3に示した3Dカメラ2は、基台62と天板61とを有するテーブル上に置かれた電子部品5を天板61の上方から撮像する。天板61は、例えば一方向に移動可能に構成されていてもよく、移動方向に配置された複数の電子部品5を順次撮像、検査するようにしてもよい。このような構成により、第一実施形態は、電子部品5の検査を流れ作業により短時間で実行することができる。天板61の高さは昇降ネジ63によって変更可能である。このため、3Dカメラ2は、電子部品5の高さによらず電子部品5の基準点に焦点を合わせることが可能になる。
【0024】
電子部品5は、下面51bが天板61に接するように置かれ、上面51aが3Dカメラ2の側に向かっている。3Dカメラ2は、電子部品5に対して斜めに縞状のライン光を投光する光源25、投光されたライン光を上面51a上に集光する投光レンズユニット26、上面51a上で反射されたライン光を集光し、ハーフミラー23に導く集光レンズユニット24、ハーフミラー23に導かれた光により結像するCMOSセンサ21a、21b及びハーフミラー23とCMOSセンサ21a、21bとの間で光を平行光にする結像レンズ22a、22bを備えている。3Dカメラ2が二つのCMOSセンサ21a、21bを備えるのは、一方で電子部品5全体が撮像できる低倍率の画像を生成し、他方で電子部品5の部分が観察できる高倍率の画像を生成するためである。第一実施形態では、CMOSセンサ21aの側で高倍率画像を撮像するものとする。
また、このようなシステムは、3Dカメラ2を二つ備えて二方向から電子部品5を撮像し、画像において影になる部分が生じないようにしてもよい。
【0025】
上記構成により、CMOSセンサ21a、21b上で結像された画像は、撮像データとして入力部35を介して平坦度検出装置3の情報変換部31に出力される。ただし、第一実施形態の3Dカメラ2は、このように画像データを出力する構成に限定されるものではない。例えば、3Dカメラ2は、撮像データ中の基準点の座標を求める図示しない測距部を備え、測距部によって測定された位置情報を平坦度検出装置3に出力するものであってもよい。
【0026】
また、第一実施形態は、TOF(Time Of Flight)方式によって3Dカメラ2から端子511~518までの距離を測定するものとする。このような3Dカメラ2においては、図示しない測距部が、光源25が電子部品5にライン光を投光してからその反射光がCMOSセンサ21a、21bに撮像(受光)されるまでの時間を所定の数の画素ごとに検出する。第一実施形態では、3Dカメラ2は縞状にライン光を投光し、各ライン光に対応する時間をライン光に対応付けて記録するものとする。
【0027】
検出された時間は、入力部35を介して情報変換部31に入力されている。ただし、第一実施形態は、ライン光の投光から反射光の受光までの時間を平坦度検出装置3に入力する構成に限定されず、図示しない測距部が時間を距離に変換し、平坦度検出装置3に出力するようにしてもよい。
なお、TOF方式では、ライン光を高速のパルス光とし、投射光に対する反射光の位相遅れを計測するようにしてもよい。ただし、第一実施形態は、TOF方式を使って高さ情報を得ることに限定されず、撮像データから高さを得るものであれば、三角測距方式等の他の方法によって高さ情報を求めるものであってもよい。
【0028】
(入力部及び情報変換部)
3Dカメラ2から撮像データを直接入力する場合、入力部35は、データの入力インターフェースとして機能する。ただし、第一実施形態は、平坦度検出装置3に3Dカメラ2を接続してリアルタイムで撮像データを入力するものに限定されるものではない。例えば、3Dカメラ2によって生成された撮像データを記録媒体に保存し、後に入力部35から平坦度検出装置3に入力して処理するものであってもよい。また、第一実施形態は、3Dカメラ2と平坦度検出装置3とを離れた場所に設置し、3Dカメラ2によって生成された撮像データを、ネットワーク回線等を通じて平坦度検出装置3に送信するものであってもよい。このよう構成にあっては、平坦度検出装置3に設けられた受信装置が入力部35として機能する。
【0029】
位置情報の取得にあたり、情報変換部31は、例えば、撮像データから端子511~518のエッジを検出し、検出されたエッジから端子511~518の外郭を検出する。そして、外郭の予め定められた位置を撮影した画素から予め定められた距離及び方向に移動した位置にある画素によって撮像された端子511~518上の点が基準点であると判断するようにしてもよい。そして、情報変換部31は、外郭の予め定められた位置を撮影した画素に対する基準点を撮像した画素の方向及び距離により基準点の座標を算出するようにしてもよい。
また、情報変換部31は、縞状のライン光のうち、基準点に投光されたライン光の投光から受光までの時間差によって生じる位相差を算出して電子部品5の表面からCMOSセンサまでの距離hを算出する。
【0030】
(プレ処理部)
プレ処理部37は、仮想三角形作成部38及び仮想三角形判定部39を有している。仮想三角形作成部38は、複数の基準点から三つの基準点を選択する。そして、選択された三つの基準点の位置情報及び高さ情報を取得する。さらに、仮想三角形作成部38は、各基準点を頂点にする三角形を作成し、この三角形の重心点を規定点とする。また、プレ処理部37には予め電子部品5の設計上の重心点がデータとして記憶されている。第一実施形態では、データとして記憶されている重心点を設計点とする。次に、仮想三角形判定部39は、上記の規定点と設計点との距離を求める。そして、求めた距離を予め設定されている閾値(長さ)と比較する。仮想三角形判定部39は、規定点と設計点との距離が閾値以内であるか否かにより、仮想三角形の有効、無効を判断する。
【0031】
第一実施形態の仮想三角形作成部38は、端子511~518のうちの三つを選択する。そして、選択された三つの端子(選択端子、例えば端子511、513、515)の各基準点mを頂点にして三角形(仮想三角形)を作成する。第一実施形態の電子部品5は、図1(a)、図1(b)に示したように、8つの端子511~518を有しているので、仮想三角形作成部38は8つの端子の三つの端子の面f上にある三つの基準点mを選択することになる。
【0032】
仮想三角形は、選択された三つの選択端子の基準点mを頂点とする三角形として想定される。このため、仮想三角形は、上面51aよりもCMOSセンサ21aの側(以下、上方とも記す)にある面となる。
仮想三角形作成部38は、三つの選択端子の組み合わせを変更しながら全ての組み合わせについて仮想三角形を作成する。この結果、第一実施形態では、個の仮想三角形が作成される。
【0033】
図4(a)、図4(b)、図4(c)は、プレ処理部37によって行われるプレ処理を具体的に説明するための図である。プレ処理では、仮想三角形判定部39が、電子部品5において、入力部35及び情報変換部31によって取得された位置情報及び高さ情報により規定される規定点と、部品の設計上規定される設計点との距離により仮想三角形が無効である(無効三角形)であるか有効(有効三角形)であるかを判定する。第一実施形態では、電子部品5の規定点を、三つの端子それぞれの基準点mを頂点とする仮想三角形tの重心点o2としている。また、設計点を電子部品5の重心点o1とする。そして、仮想三角形判定部39は、仮想三角形tの重心点o2と重心点o1との距離が予め設定されている閾値以下である場合、仮想三角形tが有効三角形であると判定する。なお、第一実施形態では、閾値を8mmに設定した場合、作成された56個の仮想三角形中、35個が有効三角形であると判定された。
【0034】
図4(a)は、端子512、513、518の基準点mを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。図4(a)に示した例では、重心点o1と仮想三角形tの重心点o2とが閾値よりも離れている。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、513、518の基準点mを頂点とする仮想三角形tが無効三角形であると判定する。図4(b)は、端子512、515、517の基準点mを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。図4(b)に示した例では、重心点o1と重心点o2との距離は閾値以下である。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、515、517の基準点mを頂点とする仮想三角形tが有効三角形であると判定する。また、図4(c)は、端子512、517、518の基準点mを頂点とする仮想三角形tと重心点o1とを示している。図4(c)に示した例では、重心点o1と重心点o2とが閾値よりも離れている。このため、仮想三角形判定部39は、端子512、517、518を頂点とする仮想三角形が無効三角形であると判定する。
【0035】
なお、プレ処理は、上記例に限定されるものではない。例えば、プレ処理は、重心点o1が仮想三角形tに含まれている場合に仮想三角形tが有効三角形であると認定してもよい。また、プレ処理は、設計点を重心点o1、規定点を重心点o2にすることに限定されるものではなく、設計点及び規定点は電子部品5全体の傾きを推定することに有効な点であればどのような点であってもよい。例えば、第一実施形態は、設計点を電子部品5の本体51の上面視における設計上の中心点とし、仮想三角形tの中心点と比較するようにしてもよい。
このようなプレ処理によれば、多くの場合、端子511~518のうちの隣接する端子を含む三端子によって規定された仮想三角形が無効三角形であると判定される。このような三端子は、電子部品5を支えられない可能性が高いためである。
以上の処理は、上面51aの局所的な傾きや凹凸が反映された仮想平面が有効平面として採用されることを防ぐことができる。
【0036】
(仮想平面作成部)
仮想平面作成部32は、仮想三角形判定部39の判定結果に基づいて、有効三角形のみを抽出する。そして、有効三角形の頂点となった三つの基準点mの位置情報及び高さ情報により仮想平面を作成する。仮想平面は、三つの基準点mを通る平面であり、第一実施形態でいう仮想平面の作成は、このような平面を表す演算式、あるいは平面に含まれる点を表すデータの集合を作成することによって行われる。第一実施形態においては、仮想三角形判定部39によって有効三角形が35個抽出されたので、35個の仮想平面が作成される。
【0037】
(仮想平面判定部)
次に、仮想平面判定部33は、全ての端子511~518についてCMOSセンサ21aから基準点mまでの距離hで表されている高さ情報を、仮想平面作成部32によって作成された仮想平面から各基準点mまでの高さ情報に変換する。変換により、高さ情報は高さの基準がCMOSセンサ21aの受光面から仮想平面に変化する。なお、変換前の高さ情報の基準はCMOセンサ21aの受光面に限定されるものでなく、任意の点でよい。
仮想平面判定部33は、仮想平面作成部32によって作成された複数の仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるかを判定する。ここで、有効平面は、第一実施形態において電子部品5が適正に実装された実装基板の面を模擬したものである。有効平面は一つではない場合もあり、電子部品5の置かれる方向や置かれた状態の重心の位置等によって複数存在し得る。無効平面は、全ての仮想平面から有効平面と判定された仮想平面を除いたものである。
【0038】
仮想平面判定部33は、仮想平面作成部32によって作成された複数の仮想平面を基準にし、それぞれの仮想平面から三つの選択端子を除く他の端子の基準点mまでの高さ情報を計算、分析する。その結果、一つの仮想平面について、この仮想平面よりも基準点mが電子部品5から遠い位置にある場合、つまり端子がその仮想平面の上方に突出するという演算結果を得た場合、仮想平面判定部33は、この仮想平面を無効平面であると判定する。無効平面であると判定された仮想平面は、有効平面から排除される。
このような処理は、基準点mが仮想平面よりも上方に突出すると、電子部品5の端子が実装面に向かうように実装した際に端子が実装面に埋まることになるからである。第一実施形態は、図1(a)に示したように表面実装型の端子511~518に適用されるので、端子511~518が実装面に埋まることは起こり得ないとして仮想平面が無効平面であると判定している。
言い換えれば、実際の実装においては、端子を実装面に埋め込むことは不可能であるので、上方に基準点mがあるとの演算結果が得られた仮想平面は実際の実装面と相違する。実状に則した実装面を求めるため、このような結果を得た仮想平面は有効平面から排除される。
【0039】
なお、第一実施形態では、以降、基準点mが仮想平面よりも上方に凸であることを高さ情報が示す場合、基準点mに対応する端子が仮想平面よりも高いとも記す。また、反対に、第一実施形態では、基準点mが下方に凸であることを高さ情報が示す場合、基準点mに対応する端子が仮想平面よりも低いとも記す。端子が仮想平面よりも低い場合、端子は電子部品5と実装面との間で「浮いた」状態になっている。
【0040】
図5(a)、図5(b)は、仮想平面判定部33による仮想平面の判定を説明するための図である。図5(a)は、全ての仮想平面について、横軸に端子511~518の識別番号(1~8)を示し、縦軸に各端子の高さ情報を示した図である。図5(b)は、有効平面についてのみ横軸に端子511~518の識別番号を示し、縦軸に各端子の高さ情報を示した図である。高さ情報の単位はmmであり、識別番号1は端子511に対応している。以下、識別番号は、端子511~518の三桁の符号の一桁の数字と一致している。
【0041】
第一実施形態では、上記のように、仮想平面よりも高い端子(図5(a)、図5(b)では縦軸に「+」として示す)が存在する仮想平面を無効平面に分別し、仮想平面上または仮想平面よりも低い(図5(a)、図5(b)では縦軸に「-」として示す)端子のみが存在する仮想平面を有効平面に分別している。このとき、第一実施形態は、「仮想平面よりも高い」と判断する基準として許容値を設定し、端子の高さ情報が許容値以上に仮想平面よりも高い場合には仮想平面を無効平面に分別している。第一実施形態では、許容値を0.010mm以下としている。
【0042】
(平坦度検出部)
平坦度検出部34は、仮想平面判定部33によって有効平面であると判定された仮想平面のみに基づいて、有効平面から各端子の基準点mまでの高さにより電子部品5の平坦度(傾き)を算出する。第一実施形態でいう平坦度は、電子部品5を図示しない実装基板上に置いたときの「ガタツキ」の指標となる。ガタツキは、電子部品5の傾きや端子の取り付け角度等によって端子511~518の高さにばらつきがあるときに生じる。このため、第一実施形態では、平坦度検出部34が端子511~518の有効平面を基準にした高さを検出することによって平坦度を検出している。ただし、このときに電子部品5が天板61に対して傾いて接している場合、端子の高さを正確に検出することができなくなる。このため、第一実施形態は、端子の高さを有効平面のみを基準にして測定し、電子部品5の傾きによらず端子それぞれの有効平面を基準にした高さを正確に検出することができる。
【0043】
平坦度検出部34は、全ての端子511~518の有効平面からの高さを検出する。第一実施形態では、平坦度の検出工程において、例えば有効平面を基準(0)にし、0から基準点mまでの距離を端子の高さとする。これらの有効平面から各基準点mまでの高さは、電子部品5の平坦度を表している。つまり、図5(b)のように、有効平面を基準にした基準点mの高さ情報を端子ごとに表せば、各端子の高さのばらつきの大きさが明らかになる。ばらつきの大きさや傾向に応じて電子部品5の平坦度が分かる。
また、第一実施形態は、複数の仮想平面が有効平面であると判定された場合、平坦度検出部34が複数の有効平面の各々について平坦度を検出するようにしてもよい。そして、複数の有効平面を基準にして得られた複数の平坦度のうち、端子高さの最大値と最小値とを求めるようにしてもよいし、平均値を求めるものであってもよい。
【0044】
(良・不良判定部)
良・不良判定部36は、例えば端子の高さが予め定められている許容範囲内にない場合、この端子を持つ電子部品5を不良品と判定する。また、端子の高さが全て許容範囲内にある場合、この端子を持つ電子部品5を良品と判定する。
なお、複数の有効平面が得られた場合、第一実施形態は、複数得られた有効平面のうち、電子部品5が良品と判定されるのに最も不利な有効平面を基準にして平坦度を算出してもよい。電子部品5が良品と判定されるのに最も不利な有効平面とは、例えば、端子高さが許容範囲の上限あるいは下限に最も近くなる有効平面である。このようにすれば、第一実施形態は、電子部品5の検査のマージンを充分にとって信頼性を高めることができる。
【0045】
(平坦度検出方法)
図6は、以上説明した平坦度検出装置3を使って行われる平坦度検出方法を説明するためのフローチャートである。図6に示したように、第一実施形態の平坦度検出方法は、3Dカメラ2によって電子部品5を撮像した撮像データから電子部品5の平坦度を検出する平坦度検出方法である。そして、平坦度検出方法は、電子部品5の複数の基準点mに関する位置情報及び高さに関する高さ情報を取得する基準点情報取得工程(ステップS601)と、複数の基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の位置情報及び高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程(ステップS605)と、選択点を除く基準点の仮想平面を基準にした高さ情報により、この仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程(ステップS607)と、有効平面を基準にして部品の平坦度を検出する平坦度検出工程(ステップS608)と、含んでいる。
【0046】
具体的には、ステップS601において、入力部35が3Dカメラ2から撮像データと共に投光から受光までの時間データを入力する。そして、情報変換部31が撮像データからn個端子、ここでは端子511~518の基準部位fの位置情報を取得し、時間データを高さ情報に変換する。平坦度検出装置3は、端子511~518の各々について位置情報と高さ情報を取得する。また、この場合、例えばn個端子のそれぞれの位置と高さ情報を順次に取得しても可能だが、同時に取得することがより好ましい。また、取得したn端子の情報に基づいてnC3通りの仮想三角形を作る(ステップS602)。また、本実施形態においては、8C3、即ち56通りの仮想三角形が作られる。
【0047】
次に、第一実施形態では、プレ処理部37がプレ処理を実行(ステップS603、S604)する。続いて仮想平面作成部32が仮想平面の作成を実行する(ステップS605)。このとき、仮想平面作成部32は、プレ処理によって有効三角形であると判定された仮想三角形の頂点によって作成された仮想平面の少なくとも一部を作成している。第一実施形態は、先にプレ処理を行うことによって比較的処理に時間がかかる仮想平面作成の処理対象の数を低減し、全体的な処理にかかる時間を短縮することができる。
【0048】
ステップS603にあっては、仮想三角形判定部39が、基準点mの位置情報に基づいて三つの基準点mを頂点とする仮想三角形の重心点o2を検出する。そして、ステップS604にあっては、仮想三角形判定部39が、重心点o2と予め平坦度検出装置3に保存されている既知の重心点o1とを比較する。比較の結果、重心点o1と重心点o2とが閾値以上離れている場合、この三つの基準点mによって作成された仮想三角形を無効三角形であると判定する。また、重心点o1と重心点o2との距離が閾値の範囲内にある場合、三つの基準点mによって作成された仮想三角形を有効三角形であると判定する(ステップS604)。また、ステップS602の仮想三角形は、重心点o1との距離が閾値の範囲内にある重心点o2を有する三角形の頂点に接するように作成される。
【0049】
次に、仮想平面作成部32は、プレ処理において有効三角形であると判定された仮想三角形に基づいて仮想平面を作成する(ステップS605)。仮想平面判定部33は、ステップS601で取得された高さ情報を、ステップS605において作成された仮想平面を基準にした端子511~518の高さに変換する(ステップS606)。そして、変換後の端子高さと有効平面の高さとを比較する。仮想平面判定部33は、基準点mが仮想平面よりも高い端子(図5(a)、図5(b)における高さ情報が+)が存在する仮想平面をさらに無効平面であると判定する。また、仮想平面判定部33は、基準点mが仮想平面よりも高い端子がない仮想平面を有効平面であると判定する(ステップS607)。
【0050】
続いて、平坦度検出部34は、有効平面を基準にして端子511~518の高さを計算し、統計する(ステップS608)。良・不良判定部36は、許容範囲を超える高さの端子が存在する電子部品5を不良品(NG)と判定し、端子511~518全ての高さが許容範囲内にある電子部品5を良品と判定する。良・不良判定部36は、電子部品5の良品、不良品の判定結果を図2に示した出力装置4に出力して表示させる(ステップS609)。
なお、ステップS608においては、平坦度検出部34が、複数の仮想平面が有効平面であると判定された場合、複数の有効平面の各々を基準にした部品の平坦度を計算、統計する。仮想平面が有効平面であるか否かを判定するステップS607においては、複数の仮想平面が有効平面であると判定された場合、その後の良・不良を判定するステップ608においては複数の有効平面の各々を基準にした電子部品5の平坦度を計算、統計し、良品か不良品かについて判定する。
【0051】
図7は、出力装置4に出力された結果を例示する図であって、出力装置4の図示しないディスプレイ画面に表示される、あるいは紙等に印刷されて出力される画像7を示している。画像7は、7個の端子711を有する電子部品75の上面の高さを色で示すカラー画像である。画像7に示した例においても、第一実施形態は、有効平面を基準にした端子711の基準点mの高さを測定して電子部品75を検査している。また、第一実施形態では、出力装置4のディスプレイ画面に画像7と共に画像71、72を表示している。画像71は、識別番号1~7で特定される複数の端子711と、各端子の高さの検査結果とを示している。画像71に示す検査結果では、有効平面を基準にした高さが許容範囲内にない端子が「NG」と判定される。また、高さが許容範囲内にある端子については「-」の符号が表記されている。
図7に示したように、複数の端子のいずれかがNGと判定された場合、電子部品5は不良品であると判定される。
【0052】
画像72は、識別番号1~7で特定される複数の端子711と、各端子の角度の検査結果とを示している。画像72に示す検査結果では、有効平面を基準にした角度が許容範囲内にない端子が「NG」と判定される。また、角度が許容範囲内にある端子については「-」の符号が表記されている。端子の角度の測定方法については第二実施形態で説明する。
また、第一実施形態においては、仮想三角形作成、有効三角形、無効三角形の判定、仮想平面作成、端子高さの検出、有効平面、無効平面の判定、平坦度統計(検出)及び良品、不良品判断の手順で端子を有する電子部品5の平坦度の検出を行うことを説明した。しかし、第一実施形態は、このような手順に限定されるものでなく、上記工程の順番を入れ替えて行うものであってもよい。例えば、三つの基準点m(三角形)に基づいて仮想平面を作成し、それらの仮想平面から全ての端子の基準点mまでの高さを統計し、有効平面を判断し、有効平面の上記三角形の中心、重心外れ具合を判断し、有効三角形を有する有効平面の上記端子の高さを平坦度として統計し、最後に良品、不良品の判定を行ってもよい。
【0053】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態は、第一実施形態と同様に、部品が電子部品5であって、かつ、基準点が電子部品の端子である場合に適用される。そして、基準点情報取得工程においては、電子部品5の端子511~518上の複数の点を基準点として位置情報及び高さ情報を複数取得する。また、第二実施形態の平坦度検出方法は、有効平面を基準にした高さ情報を端子高さとし、この端子高さにより有効平面に対する端子511~518の傾きを検出する端子傾き検出工程をさらに含んでいる。
【0054】
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、このような第二実施形態の端子の傾きを求める工程を説明するための図である。図8(a)は、電子部品5の有効平面Pが略水平な例を示している。第二実施形態では、3Dカメラ2が電子部品5の上方から端子511~518の各々(図8(a)では端子518)の三箇所にそれぞれ縞状の光m1、m2、m3を照射する。そして、光m1、m2、m3の反射光によって結像した画像を撮像し、撮像データとして平坦度検出装置3に入力する。平坦度検出装置3は、撮像データから端子518の三箇所の高さを算出し、端子518の傾きを求めている。
【0055】
上記処理において、例えば、図8(b)に示すように、有効平面P1が水平面P2に対して傾いている場合、図8(a)と同様に端子518の三箇所の高さを測定すると、測定された高さに有効平面P1の傾きが影響して端子518の傾きを正確に測定することができなくなる。そこで、第二実施形態では、図8(c)に示すように、有効平面Pを基準にして端子518の高さを測定することにより、有効平面Pの傾きによらず端子518の角度を正確に検出することができる。
【0056】
第二実施形態の端子傾き検出工程では、図2に示した平坦度検出装置3の仮想平面作成部32によって仮想平面が作成され、仮想平面判定部33によって仮想平面が有効平面または無効平面であると判定される。平坦度検出部34は、端子518の複数の位置(基準点)で取得された高さ情報である距離hを、有効仮想平面から端子518の基準点までの長さ(以下、「端子高さ」と記す)に変換する。そして、例えば図8(c)のように、有効平面Pを基準にした端子518の端部までの距離jを算出することによって端子518の傾きを検出する。このような傾きは、有効平面を基準にした端子高さにより得られるものであるから、電子部品5の傾きを含むものではない。したがって、第二実施形態は、電子部品5の傾き等による端子高さのばらつきによらず端子の傾きを正確に検出することができる。
また、第二実施形態では、例えば、端子518の上面視における二つの端部(端子の根元と先)の有効平面Pを基準にした高さを検出し、この傾きを求めるようにしてもよい。端子端部は画像データから検出し易い上、高低差が得やすいからである。
【0057】
なお、第二実施形態は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、第二実施形態は、一つの端子の高さを三箇所測定することに限定されず、例えば、電子部品5の上面視における端子の両端の高さを測定するものであってもよい。
また、第二実施形態は、端子511~518の上面視における両端の高さを測定することができるので、電子部品5に対する端子511~518の状態をより詳細に観察することができる。また、第二実施形態の処理を第一実施形態と併せて行えば、両者で取得データを共用できるので電子部品5の検査効率をいっそう高めることができる。
【0058】
以上説明した第一実施形態及び第二実施形態は、いずれも複数の仮想平面から測定に基準として信頼し得る有効平面を選択し、この有効平面を基準に端子の高さを測定している。このため、第一実施形態及び第二実施形態は、電子部品5の傾きによらず正確に端子高さを測定し、電子部品の検査の信頼性を高めることができる。また、第一実施形態及び第二実施形態は、電子部品5を上方から撮像することによって端子高さを測定することができるので、測定時間が短く、電子部品の全品検査に好適である。
また、以上説明した第一実施形態、第二実施形態では、特許文献2のようにガラスを通して電子部品5を撮影しないので、ガラスの傷、不純物及び透過率等が測定に影響することがない。また、このような第一実施形態、第二実施形態は、ガラスに起因する信号のノイズを除去する構成が不要になって装置の簡易、小型化に有利である。
【0059】
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
(1)撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出方法であって、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さに関する高さ情報を取得する基準点情報取得工程と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成工程と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定工程と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出工程と、を含む、平坦度検出方法。
(2)前記仮想平面作成工程は、前記仮想平面の作成に先立って行われるプレ処理工程を含み、前記プレ処理工程は、前記位置情報及び前記高さ情報の少なくとも一方により規定される規定点と、前記部品の設計上規定される設計点との距離により、前記仮想平面作成工程において前記仮想平面を作成するか否か決定する、(1)の平坦度検出方法。
(3)前記仮想平面判定工程においては、一つの前記仮想平面を基準にして複数の前記基準点の高さ情報を取得し、複数の前記高さ情報のうちに前記仮想平面よりも前記基準点が前記部品から遠い位置にあることを示すものがある場合に当該仮想平面を無効平面であると判定し、前記無効平面と判定されなかった前記仮想平面の少なくとも一部を前記有効平面であると判定する、(1)または(2)の平坦度検出方法。
(4)前記仮想平面判定工程においては、前記基準点情報取得工程により取得された前記高さ情報を、前記仮想平面から前記基準点までの高さに変換する、(3)の平坦度検出方法。
(5)前記平坦度検出工程においては、前記仮想平面判定工程において複数の仮想平面が前記有効平面であると判定された場合、複数の前記有効平面の各々を基準にした前記部品の平坦度を検出する、(1)から(4)のいずれか一つの平坦度検出方法。
(6)前記部品が端子を有する電子部品であって、前記基準点情報取得工程においては、前記電子部品の前記端子上の複数の点を前記基準点として前記位置情報及び高さ情報を複数取得し、前記有効平面を基準にした前記高さ情報を前記端子の端子高さ情報に変換し、当該端子高さ情報により前記電子部品に対する前記端子の傾きを検出する端子傾き検出工程をさらに含む、(1)から(5)のいずれか一つの平坦度検出方法。
(7)撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出装置であって、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さに関する高さ情報を取得する基準点情報取得部と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成部と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定部と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出部と、を有する、平坦度検出装置。
(8)撮像装置によって部品を撮像した撮像データから前記部品の平坦度を検出する平坦度検出プログラムであって、コンピュータに、前記部品の複数の基準点に関する位置情報及び高さに関する高さ情報を取得する基準点情報取得機能と、複数の前記基準点のうち、選択された少なくとも三つの選択点の前記位置情報及び前記高さ情報により仮想平面を作成する仮想平面作成機能と、前記選択点を除く前記基準点の前記仮想平面を基準にした前記高さ情報により、当該仮想平面が有効平面であるか、または無効平面であるか判定する仮想平面判定機能と、前記有効平面を基準にして前記部品の平坦度を検出する平坦度検出機能と、を実現させる、平坦度検出プログラム。
【符号の説明】
【0060】
2・・・3Dカメラ
3・・・平坦度検出装置
4・・・出力装置
5、75・・・電子部品
7、71、72・・・画像
1~8・・・識別番号
21a、21b・・・CMOSセンサ
22a、22b・・・結像レンズ
23・・・ハーフミラー
24・・・集光レンズユニット
25・・・光源
26・・・投光レンズユニット
31・・・情報変換部
32・・・仮想平面作成部
33・・・仮想平面判定部
34・・・平坦度検出部
35・・・入力部
36・・・良・不良判定部
37・・・プレ処理部
38・・・仮想三角形作成部
39・・・仮想三角形判定部
51・・・本体
51a・・・上面
51b・・・下面
61・・・天板
62・・・基台
63・・・昇降ネジ
511~518、711・・・端子
P、P1・・・有効平面
P2・・・水平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8