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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】鞍乗型車両のメータ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/027 20200101AFI20220906BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20220906BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B62J6/027
B62J50/21
B62J23/00 A
B62J23/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018112678
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019214303
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西浦 充紘
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-123872(JP,A)
【文献】実開昭64-039189(JP,U)
【文献】特開2016-078497(JP,A)
【文献】特開2008-105665(JP,A)
【文献】特開2005-324703(JP,A)
【文献】特開2003-081164(JP,A)
【文献】特開2002-362460(JP,A)
【文献】特開2012-051576(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02189360(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103241314(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/027
B62J 50/21
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームのヘッドパイプにステアリング機構のステアリング軸が回転自在に支持され、
前記ステアリング機構にヘッドライトユニットがヘッドライトステーを介して支持され、前記ヘッドライトユニットの上方にメータユニットが配置され、
前記ヘッドライトユニットを覆うヘッドライトカバーが前記ヘッドライトユニットに、前記メータユニットを覆うメータバイザが前記ヘッドライトカバーに、それぞれ取り付けられた鞍乗型車両であって、
前記メータユニットを支持するメータブラケットは、前記ヘッドライトステーとは別体に設けられ且つ合成樹脂により構成されて、前記ヘッドライトユニット及び前記メータバイザに固定して取り付けられ、前記メータブラケットの底面が底面支持部により、車両下方から支持可能に構成されたことを特徴とする鞍乗型車両のメータ取付構造。
【請求項2】
前記底面支持部は、ヘッドライトカバーの上部から上方へ延びて形成され、メータブラケットの底面に対向して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のメータ取付構造。
【請求項3】
前記底面支持部は、メータブラケットの底面との間に隙間を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両のメータ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のメータ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された自動二輪車には、ヘッドパイプ(21)(括弧付き数字は、特許文献1に記載の符号を示す。以下同じ)に支持されこのヘッドパイプ(21)から車両前方に延出するヘッドライトステー(70)と、このヘッドライトステー(70)に取り付けられるヘッドライトユニット(61)とが備えられている。
【0003】
ヘッドライトステー(70)は、車両側面視で、ヘッドパイプ(21)から前方に延びる第1ステー(71)と、この第1ステー(71)の前部に片持ち支持されて後上方へ延出する第2ステー(72)と、この左右の第2ステー(72L、72R)の上部に架け渡される第3ステー(74)とを有する。第2ステー(72L、72R)の前方にヘッドライトユニット(61)が配置され、第3ステー(74)を介してヘッドライトユニット(61)が支持される。
【0004】
更に、ヘッドライトステー(70)は、第2ステー(72L、72R)の上部に取り付けられて後上方に延びる左右のバイザーステー(75L、75R)と、この左右のバイザーステー(75L、75R)と第3ステー(74)との間に架け渡される第4ステー(76L、76R)とを備える。これらの第3ステー(74)と第4ステー(76L、76R)を介してメータユニット(63)が支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-46850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ヘッドライトユニット(61)を支持するヘッドライトステー(70)にメータユニット(63)の支持部が一体に設けられる構造では、ヘッドライトステー(70)の構造が複雑になり重量が嵩んでしまう。また、ヘッドライトユニットがステアリング機構の上部に支持されてステアリング軸を中心に左右に回転する構造では、ステアリング軸まわりの慣性モーメントが車両の操縦安定性に大きく影響する。このため、良好な操縦安定性を得るためには、ヘッドライトユニット及びヘッドライトステーを含めたステアリング軸まわりの慣性質量を軽量化する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ヘッドライトユニット及びメータユニットとこれらを支持するヘッドライトステーとを含むアッセンブリにおけるステアリング軸回りの慣性質量を軽量化して操縦安定性を向上できる鞍乗型車両のメータ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鞍乗型車両のメータ取付構造は、車体フレームのヘッドパイプにステアリング機構のステアリング軸が回転自在に支持され、前記ステアリング機構にヘッドライトユニットがヘッドライトステーを介して支持され、前記ヘッドライトユニットの上方にメータユニットが配置され、前記ヘッドライトユニットを覆うヘッドライトカバーが前記ヘッドライトユニットに、前記メータユニットを覆うメータバイザが前記ヘッドライトカバーに、それぞれ取り付けられた鞍乗型車両であって、前記メータユニットを支持するメータブラケットは、前記ヘッドライトステーとは別体に設けられ且つ合成樹脂により構成されて、前記ヘッドライトユニット及び前記メータバイザに固定して取り付けられ、前記メータブラケットの底面が底面支持部により、車両下方から支持可能に構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メータユニットを支持するメータブラケットは、ヘッドライトユニットを支持するヘッドライトステーとは別体に設けられ且つ合成樹脂により構成されるので、軽量化を実現できる。また、メータブラケットは、ヘッドライトユニット及びメータバイザに固定して取り付けられるほか、その底面が底面支持部により車両下方から支持可能に構成されたので、剛性を確保でき、不要な撓みを抑制できる。上述の如くメータブラケットが剛性を確保しつつ軽量化されることで、ヘッドライトユニット及びメータユニットとこれらを支持するヘッドライトステーとを含むアッセンブリにおけるステアリング軸回りの慣性質量を軽量化して操縦安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る鞍乗型車両のメータ取付構造の一実施形態が適用された自動二輪車を示す左側面図。
図2図1のステアリング機構及びヘッドライトユニット等を示す左側面図。
図3図1のIII矢視図。
図4図1のIV矢視図。
図5図4においてヘッドライトステーを除いて示す後面図。
図6図4のVI-VI線に沿う断面図。
図7図4のVII-VII線に沿う断面図。
図8図4のVIII-VIII線に沿う断面図。
図9図7の一部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る鞍乗型車両のメータ取付構造の一実施形態が適用された自動二輪車を示す左側面図である。この一実施形態において、上下、左右、前後の表現は、車両乗車時の運転者を基準にしたものである。
【0012】
図1に示すように、鞍乗型車両としての自動二輪車1は車体フレーム2を有し、その前方にヘッドパイプ3が設けられる。このヘッドパイプ3には、図示しないサスペンション機構を内装し前輪4を回動自在に支持する左右一対のフロントフォーク5とハンドルバー6とから構成されるステアリング機構7が回転自在に支持さる。ハンドルバー6の操作により前輪4が左右方向に操舵される。
【0013】
一方、車体フレーム2は、例えばツインチューブ型であってヘッドパイプ3の直後で左右方向に拡開された後、互いに平行に後斜下方に延びる左右一対のタンクレールを兼ねたメインフレーム8を有して構成される。このメインフレーム8の上方に燃料タンク11が配置され、この燃料タンク11の後方に、ライダシート12A及びピリオンシート12Bが車両の前後に連続するシート12が配置される。
【0014】
また、メインフレーム8の後方下部にはピボット軸13が架設され、このピボット軸13にスイングアーム14が、ピボット軸13回りに車両上下方向に揺動自在に支持される。このスイングアーム14の後端に後輪15が回転自在に支持される。そして、前輪4と後輪15間の車両中央下部で燃料タンク11の下方に、動力源としてのエンジン16がメインフレーム8に懸架されて配置される。このエンジン16の駆動力は、ドライブチェーン(不図示)などを経て後輪15へ伝達される。
【0015】
前記ステアリング機構7は、図2に示すように、左右一対のフロントフォーク5がアッパーブラケット18及びアンダーブラケット19に把持され、更に、これらのアッパーブラケット18及びアンダーブラケット19によりステアリング軸20が、フロントフォーク5と平行に支持される。ハンドルバー6は、アッパーブラケット18に把持されて取り付けられる。ステアリング軸20が車体フレーム2のヘッドパイプ3に挿通されて回転自在に支持されることで、ステアリング機構7がヘッドパイプ3に回転自在に支持される。
【0016】
このステアリング機構7のアッパーブラケット18及びアンダーブラケット19に、金属製のパイプ及びプレートからなるヘッドライトステー22が、図示しない取付ボルトにより固定して取り付けられる。このヘッドライトステー22にヘッドライトユニット21が、上側取付ボルト23を用いクッションラバー24を介して取り付けられ、更に、下側取付ボルト25を用いて固定して取り付けられる。これにより、ヘッドライトユニット21がヘッドライトステー22を介してステアリング機構7に支持される。このヘッドライトユニット21の上方に、メータユニット27が配置される。
【0017】
図3図5に示すように、ヘッドライトユニット21には、このヘッドライトユニット21の周囲を覆うヘッドライトカバー28が、カバー取付ボルト29(図5)を用いて固定して取り付けられる。更に、このヘッドライトカバー28に、メータユニット27の周囲を覆うメータバイザ30が、カバー取付ボルト31(図3)を用いて固定して取り付けられる。このメータバイザ30によりメータユニット27に日光が直接当たることが抑制される。
【0018】
メータユニット27は、メータブラケット33により支持される。このメータブラケット33は、ヘッドライトステー22とは別体に構成される。つまり、メータブラケット33は、特に図5に示すように、上部中央に位置する底面部33Aと、この底面部33Aの後方の左右両側から下方へ延びる取付片部33Bと、メータブラケット33の底面部33Aの左右両側から上方へ延びる側面壁部33Cと、メータブラケット33の底面部33Aの前側から上方へ延びる正面壁部33Dと、が合成樹脂により一体成形されて構成される。
【0019】
メータユニット27は、メータブラケット33の底面部33Aにおける平面視三角形の角部位置に、図5及び図8に示すダンパラバー34を用いて、メータユニット取付ボルト35により取り付けられる。これにより、メータユニット27は、メータブラケット33に対して弾性支持されて振動が抑制される。
【0020】
メータブラケット33は、図5及び図6に示すように、左右の取付片部33Bのそれぞれの上部が、メータブラケット取付ボルト36を用いヘッドライトユニット21に固定して取り付けられて、後側固定部37が構成される。更に、メータブラケット33は、左右の取付片部33Bのそれぞれの下端部が、図5に示すように、取付クリップ38を用いてヘッドライトユニット21に係止されて取り付けられる。これにより、メータブラケット33は、ヘッドライトユニット21に固定して取り付けられ、このヘッドライトユニット21を介してヘッドライトステー22により支持される。
【0021】
また、メータブラケット33は、図4及び図8に示すように、正面壁部33Dの上端部がメータバイザ30に掛け止められて固定される。つまり、メータバイザ30の左右方向中央位置の上端部には、内側に掛止凸部39が突出して形成されている。メータブラケット33の正面壁部33Dにおける左右方向中央位置の上端部に形成された掛止フック40が、メータバイザ30の掛止凸部39に掛け止められる。これにより、メータブラケット33の正面壁部33Dがメータバイザ30に掛け止め固定されて、前側掛止部41が構成される。これにより、メータブラケット33は、メータバイザ30に固定して取り付けられ、このメータバイザ30、ヘッドライトカバー28及びヘッドライトユニット21を介してヘッドライトステー22により支持される。
【0022】
更に、メータブラケット33は、図3図7及び図9に示すように、底面部33Aの左右方向略中央位置が、ヘッドライトカバー28の上部に設けられた底面支持部42により、車両下方から支持可能に構成される。つまり、底面支持部42は、ヘッドライトカバー28の左右方向中央位置の上部から上方に延びて形成されるが、メータブラケット33の底面部33Aとの間に隙間Sを有する。この隙間Sの設定により、メータブラケット33の底面部33Aは、通常時にはヘッドライトカバー28の底面支持部42から離れた状態になり、隙間Sの範囲内で振動可能に構成される。
【0023】
また、メータユニット27には、上部に表示モードを表示する操作ボタンが設けられている。この操作ボタンの操作時に、メータユニット27が下方に押し付けられて、このメータユニット27を支持するメータブラケット33は樹脂製であるため下方に撓んでしまう。このとき、ヘッドライトカバー28の底面支持部42が、下方に撓んだメータブラケット33の底面部33Aに接触して、このメータブラケット33に作用した操作荷重を支持することで、メータブラケット33の底面部33Aの剛性が向上し、不要な撓みが抑制されて、メータユニット27の操作感が向上する。
【0024】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)~(3)を奏する。
(1)図7及び図9に示すように、メータユニット27を支持するメータブラケット33は、ヘッドライトユニット21を支持する金属製のヘッドライトステー22とは別体に設けられ且つ合成樹脂により構成されているので、軽量化を実現できる。また、メータブラケット33は、後側固定部37及び前側掛止部41により、ヘッドライトユニット21及びメータバイザ30に固定して取り付けられるほか、その底面部33Aがヘッドライトカバー28の底面支持部42により車両下方から支持可能に構成されたので、剛性を確保でき、例えばメータユニット27の操作時における不要な撓みを抑制できる。
【0025】
上述の如く、メータブラケット33が剛性を確保しつつ軽量化されるので、ヘッドライトユニット21、メータユニット27、ヘッドライトカバー28、メータバイザ30、メータブラケット33、ヘッドライトステー22及びステアリング機構7を含むアッセンブリにおけるステアリング軸20回りの慣性質量を軽量化できる。この結果、自動二輪車1の操縦安定性を向上させることができる。
【0026】
(2)メータユニット27がメータブラケット33の底面部33Aにより支持され、このメータブラケット33の底面部33Aを車両下方から支持可能とする底面支持部42が、ヘッドライトカバー28の上部から上方へ延びて形成されている。このため、この底面支持部42を容易に形成することができる。
【0027】
(3)メータブラケット33の底面部33Aを車両下方から支持可能とする底面支持部42とメータブラケット28の底面部33Aとの間に隙間Sが設定されたので、この隙間Sは、通常時には底面支持部42と離れている。従って、合成樹脂で構成されたメータブラケット33は、振動が可能になって、メータユニット27に対する防振性能を効率良く発揮することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0029】
例えば、ヘッドライトステー22が車体フレーム2のヘッドパイプ3に固定されて、ヘッドライトユニット21及びメータユニット27が、ヘッドライトステー22を介してヘッドパイプ3に支持されてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、2…車体フレーム、7…ステアリング機構、20…ステアリング軸、21…ヘッドライトユニット、22…ヘッドライトステー、27…メータユニット、28…ヘッドライトカバー、30…メータバイザ、33…メータブラケット、33A…メータブラケットの底面部、33B…メータブラケットの取付片部、33D…メータブラケットの正面壁部、36…メータブラケット取付ボルト、37…後側固定部、39…メータバイザの掛止凸部、40…メータブラケットの掛止フック、41…前側掛止部、42…ヘッドライトカバーの底面支持部、S…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9