(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ヒートポンプ給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 4/02 20220101AFI20220906BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20220906BHJP
F24H 15/104 20220101ALI20220906BHJP
F24H 15/136 20220101ALI20220906BHJP
F24H 15/231 20220101ALI20220906BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20220906BHJP
【FI】
F24H4/02 F
F24H1/18 G
F24H15/104
F24H15/136
F24H15/231
F24H15/395
(21)【出願番号】P 2018120150
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】稲本 辰巳
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224803(JP,A)
【文献】特開2006-052939(JP,A)
【文献】特開2002-147818(JP,A)
【文献】特開2015-001350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F25B 1/00,49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプ式熱源機と、貯湯タンクと、前記ヒートポンプ式熱源機で加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御手段を備え、前記冷媒回路に前記膨張手段をバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉する除霜弁を有し、前記蒸発熱交換器の着霜が検知された場合に前記制御手段が前記除霜弁を開放し前記膨張手段を閉止して除霜運転を行うヒートポンプ給湯装置において、
前記制御手段が前記除霜弁を開放制御したときに、前記圧縮機の電流値又は消費電力値の変化に基づいて前記除霜弁の故障判定を行う故障判定手段を備え
、
前記冷媒回路に前記除霜運転時の冷媒温度を検知する温度検知手段を備え、
前記故障判定手段が前記除霜弁の故障判定で正常と判定した後で、前記制御手段が前記膨張手段を閉止制御したときに、前記故障判定手段は前記温度検知手段が検知した冷媒温度の変化に基づいて前記膨張手段の故障判定を行うことを特徴とするヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
前記温度検知手段は、前記蒸発熱交換器の冷媒出口側又は前記圧縮機の吐出側に配設されたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯装置に関し、特に膨張弁をバイパスするバイパス通路に配設された除霜弁を使用して除霜運転を行うヒートポンプ給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプ式熱源機で加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を行い、この貯湯した湯水を給湯に使用するヒートポンプ給湯装置が広く利用されている。ヒートポンプ式熱源機は、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されている。
【0003】
貯湯運転では、ヒートポンプ式熱源機の蒸発熱交換器において冷媒に外気から吸熱させ、この冷媒の熱を湯水の加熱に利用している。そのため、特に外気温が低いときに、吸熱されて温度が下がった外気に含まれる水分が凝縮して蒸発熱交換器に着霜し易くなっている。蒸発熱交換器の着霜は外気からの吸熱を妨げるので、貯湯運転中にある程度着霜が進行したら着霜を除去する除霜運転を行うように構成されている。
【0004】
除霜運転は、蒸発熱交換器に高温の冷媒を流通させて行う。この除霜運転のために、冷媒回路には膨張手段をバイパスするバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する除霜弁が設けられている。除霜弁は、貯湯運転中には閉止され、除霜運転時に開放制御されるので、除霜弁が故障すると除霜運転や貯湯運転が実行できなくなる。
【0005】
例えば、除霜弁に異物の噛み込み等の原因で閉止不良が発生すると、圧縮機に高温の冷媒が供給され続けてヒートポンプ式熱源機が故障する虞がある。そのため、例えば特許文献1のように、蒸発熱交換器出口側の温度スイッチが冷媒の異常高温を検知したときに、圧縮機を停止させる技術が知られている。
【0006】
また、除霜弁に固着等によって開放不良が発生すると、除霜運転を開始しても蒸発熱交換器に高温の冷媒が供給されず除霜できない。そのため、例えば特許文献2のように、蒸発熱交換器入口側の温度センサによって検知される除霜運転の開始前後の冷媒の温度変化に基づいて、除霜弁の開放不良を検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭63-162272号公報
【文献】特開2015-1350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒートポンプ式熱源機には外気温度センサや、出入りする湯水の温度を検知するために入水温度センサ、出湯温度センサが配設されている。また、冷媒回路には冷媒の温度を検知するために蒸発熱交換器の入口側温度センサ及び出口側温度センサ、圧縮機の吐出側温度センサ等が配設されているが、簡素な構成にするために蒸発熱交換器の入口側温度センサを廃止することが検討されている。
【0009】
この場合、特許文献2のような冷媒の温度変化を、特許文献1のように蒸発熱交換器の出口側温度センサによって検知することは可能である。しかし、着霜した蒸発熱交換器を通過するので除霜弁から出口側温度センサまでの距離が長くなり、除霜運転を開始してから温度変化を検知するまでの時間が長くなると共に、温度変化も小さくなって検知し難くなるという課題がある。本発明の目的は、除霜弁の故障を早く判定可能なヒートポンプ給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張手段と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプ式熱源機と、貯湯タンクと、前記ヒートポンプ式熱源機で加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御手段を備え、前記冷媒回路に前記膨張手段をバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉する除霜弁を有し、前記蒸発熱交換器の着霜が検知された場合に前記制御手段が前記除霜弁を開放し前記膨張手段を閉止して除霜運転を行うヒートポンプ給湯装置において、前記制御手段が前記除霜弁を開放制御したときに、前記圧縮機の電流値又は消費電力値の変化に基づいて前記除霜弁の故障判定を行う故障判定手段を備え、前記冷媒回路に前記除霜運転時の冷媒温度を検知する温度検知手段を備え、前記故障判定手段が前記除霜弁の故障判定で正常と判定した後で、前記制御手段が前記膨張手段を閉止制御したときに、前記故障判定手段は前記温度検知手段が検知した冷媒温度の変化に基づいて前記膨張手段の故障判定を行うことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、ヒートポンプ給湯装置は、貯湯運転中に蒸発熱交換器の着霜が検知されると除霜運転を行う。除霜運転が開始されて除霜弁を開放制御したときに、圧縮機から吐出された高温の冷媒がバイパス通路を流通すれば、すぐに圧縮機の吐出側の圧力が下がって圧縮機の負荷が小さくなるので、圧縮機の電流値又は消費電力値が低下する。一方、除霜弁を開放制御したときに除霜弁の故障によってバイパス通路が閉塞していれば、圧縮機の吐出側の圧力は変化せず、圧縮機の負荷が変化しないので、圧縮機の電流値又は消費電力値は変化しない。従って、故障判定手段は、除霜弁を開放制御した後の圧縮機の電流値又は消費電力値の変化に基づいて、除霜弁の故障判定を早く行うことができる。
【0013】
そして、除霜弁が正常に開放された後で膨張手段を閉止制御する。従って、バイパス通路が閉塞している場合でも圧縮機の吐出側が閉塞されず、圧縮機に過剰な負荷がかからないので、圧縮機の故障を予防できる。また、膨張手段が閉止されれば低温の冷媒が流通しなくなるので、冷媒温度の大きな変化を温度検知手段が検知する。一方、膨張手段が故障によって閉止されなければ低温の冷媒が高温の冷媒と混合して流通するので、除霜能力が低下すると共に温度検知手段が検知する冷媒温度の変化が小さくなる。従って、故障判定手段は、温度検知手段が検知した冷媒温度の変化に基づいて膨張手段の故障判定を行うことができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記温度検知手段は、前記蒸発熱交換器の冷媒出口側又は前記圧縮機の吐出側に配設されたことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、故障判定手段は、既存の温度検知手段を利用して膨張手段の故障判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のヒートポンプ給湯装置によれば、除霜弁の故障を早く判定可能である。また、膨張手段の故障も判定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係るヒートポンプ給湯装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0019】
最初に、本発明のヒートポンプ給湯装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ給湯装置1は、湯水を貯留する貯湯タンク5を備えた貯湯給湯ユニット2、貯湯タンク5の湯水の加熱を行うヒートポンプ式熱源機3、ヒートポンプ給湯装置1を制御する制御手段4、貯湯給湯ユニット2とヒートポンプ式熱源機3との間に湯水を循環させる循環用配管8a,8b等から構成されている。
【0020】
貯湯給湯ユニット2は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク5、給水配管6、出湯配管7、循環用配管8a,8b、循環ポンプ11、開閉弁12、混合弁13、主制御ユニット16、外装ケース17等を備えている。貯湯タンク5は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された高温の湯水を貯留するものである。
【0021】
貯湯タンク5の下端部には、給水配管6と循環用配管8aが接続されている。給水配管6には、貯湯タンク5へ低温の上水を供給するための開閉弁12が設けられている。貯湯タンク5の上端部には、循環用配管8bと出湯配管7が接続され、循環用配管8bから戻された高温の湯水を貯湯タンク5内に貯留し、給湯時には貯湯タンク5内の高温の湯水を出湯配管7に供給することができる。
【0022】
貯湯タンク5には、複数の温度センサ5a~5dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設され、温度センサ5a~5dの温度検出信号が主制御ユニット16に送信される。外装ケース17は、薄鋼板製の箱状に形成され、貯湯タンク5、給水配管6、出湯配管7、循環用配管8a,8bの大部分、循環ポンプ11、開閉弁12、混合弁13、各種の温度センサ15a~15d、主制御ユニット16等を収容している。
【0023】
次に、ヒートポンプ式熱源機3について説明する。
ヒートポンプ式熱源機3は、圧縮機21と凝縮熱交換器22と膨張弁23(膨張手段)と蒸発熱交換器24を冷媒が封入された冷媒回路25により接続して構成されている。また、ヒートポンプ式熱源機3は、蒸発熱交換器24に外気を送る送風ファン27、蒸発熱交換器24の着霜を除去する除霜運転のためのバイパス通路31と電磁弁からなる除霜弁32、主制御ユニット16に接続され且つヒートポンプ式熱源機3を制御する補助制御ユニット33、これらを収納する外装ケース35等を備えている。
【0024】
圧縮機21は、断熱圧縮して昇温させた高温高圧の冷媒を凝縮熱交換器22に供給する。凝縮熱交換器22は、循環用配管8a,8b間に配設された熱交換器通路部22aと冷媒回路25の一部となる内部通路22bとを有する二重管で構成されている。この凝縮熱交換器22において、内部通路22bを流れる高温高圧の冷媒と循環用配管8aから熱交換器通路部22aに供給される湯水との間で熱交換させて湯水が加熱され、冷媒は降温する。
【0025】
膨張弁23は、電動モータの駆動により絞り量が可変な制御弁であり、熱交換によって降温した高圧の冷媒を急激に膨張させて、外気温よりも低温に冷媒温度を低下させる。蒸発熱交換器24は、冷媒回路25の一部となる内部通路24aを有し、内部通路24aは複数のフィンが装着された伝熱管で構成されている。この蒸発熱交換器24において、内部通路24aを流れる一部液化した冷媒と外気の間で熱交換させることにより、冷媒は外気から吸熱して温度が上がり、気化する。
【0026】
貯湯運転は、ヒートポンプ式熱源機3において冷媒回路25に封入された冷媒を利用して湯水を加熱して、貯湯タンク5に貯湯する。圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮熱交換器22に供給されて湯水との熱交換により降温し、膨張弁23に送られて急膨張して外気温より低温になり、蒸発熱交換器24に送られて外気から吸熱して再び圧縮機21に向かう。凝縮熱交換器22では、循環ポンプ11の駆動により貯湯タンク5の下端部から循環用配管8aを通って供給された低温の湯水が加熱され、加熱された湯水が循環用配管8bを通って貯湯タンク5の上部から貯湯される。
【0027】
冷媒回路25は、圧縮機21の吐出側と凝縮熱交換器22の入口側を接続する冷媒通路25a,凝縮熱交換器22の出口側と膨張弁23の入口側を接続する冷媒通路25b,膨張弁23の出口側と蒸発熱交換器24の入口側を接続する冷媒通路25c,蒸発熱交換器24の出口側と圧縮機21の導入側を接続する冷媒通路25dを備えている。
【0028】
冷媒通路25aには圧縮機21が吐出した冷媒の温度を検知する吐出温度センサ28が配設され、冷媒通路25dには蒸発熱交換器24の冷媒出口から供給される冷媒の温度を検知する出口温度センサ29が配設されている。吐出温度センサ28又は出口温度センサ29が除霜運転において冷媒温度を検知する温度検知手段である。
【0029】
冷媒回路25には、凝縮熱交換器22と膨張弁23をバイパスするために、冷媒通路25aから分岐して冷媒通路25cに接続されたバイパス通路31が設けられている。バイパス通路31には、除霜運転時に補助制御ユニット33によって開閉制御される除霜弁32が配設されている。
【0030】
蒸発熱交換器24の着霜は、例えば外気温度センサ30が検知する外気温が所定の外気温(例えば5℃)以下のときに、外気温と出口温度センサ29が検知する冷媒温度の差が所定の基準値(例えば10℃)以上になったことによって検知される。制御手段4は、蒸発熱交換器24の着霜を検知した場合には、除霜弁32を開放して除霜運転を行う。除霜弁32の開放により、圧縮機21から吐出された高温の冷媒がバイパス通路31を流通して蒸発熱交換器24に供給される。
【0031】
次に、制御手段4について説明する。
制御手段4は、貯湯給湯ユニット2に配設された主制御ユニット16と、ヒートポンプ式熱源機3に配設された補助制御ユニット33により構成され、ヒートポンプ給湯装置1の各部に配設された温度センサ等の検知信号に基づいて各種運転を制御する。即ち制御手段4は、循環ポンプ11や圧縮機21の駆動制御、混合弁13や膨張弁23の開度調整、除霜弁32の開閉制御等を行って、貯湯運転、給湯運転、除霜運転等を制御する。
【0032】
主制御ユニット16には、ユーザが操作可能な操作端末36が通信接続され、操作端末36の操作により例えば目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度が主制御ユニット16に送信される。補助制御ユニット33は、主制御ユニット16との間で通信可能であり、主制御ユニット16からの指令に従ってヒートポンプ式熱源機3の圧縮機21、膨張弁23、除霜弁32等の制御を行う。例えば、補助制御ユニット33は、圧縮機21に駆動回転数等を送信し、圧縮機21の駆動時の電流値又は消費電力値等を受信している。
【0033】
制御手段4は、貯湯運転中に蒸発熱交換器24の着霜を検知すると除霜運転を開始し、除霜運転中に除霜弁32及び膨張弁23の故障判定を行う故障判定手段を機能的に備えているが、制御手段4に通信接続された独立した故障判定手段を備えていてもよい。この除霜運転における故障判定制御について
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0034】
S1において、貯湯運転中に蒸発熱交換器24の着霜を検知したか否か判定する。着霜を検知して判定がYesの場合はS2に進み、判定がNoの場合はS1の判定に戻る。次にS2において、除霜弁32の開放制御を行ってS3に進む。除霜弁32は例えばノーマルクローズ式の電磁弁であり、通電制御により瞬時に開放、閉止が可能である。
【0035】
次にS3において、除霜弁32の開放制御をしてから所定時間内(例えば5秒以内)に、圧縮機21の電流値又は消費電力値の所定値以上(例えば1A以上又は100W以上)の低下を検知したか否か判定する。除霜弁32が正常に作動すれば開放後すぐに圧縮機21の負荷が小さくなって圧縮機21の電流値又は消費電力値が低下することを利用して、除霜弁32の故障判定を早く行うことができる。判定がYesの場合はS4に進み、判定がNoの場合はS12に進む。
【0036】
次にS4において、除霜弁32が正常に作動したので膨張弁23の閉止制御を行ってS5に進む。除霜弁32が開放された状態で膨張弁23を閉止するので、圧縮機21の吐出側は閉塞しておらず圧縮機21に過剰な負荷がかからない。そしてS5において、膨張弁23の閉止制御をした後の所定時間内に(例えば40秒以内に)、冷媒温度の予め定められた温度(例えば40℃)以上の上昇を検知したか否か判定する。判定がYesの場合はS8に進み、判定がNoの場合はS6に進む。
【0037】
S5の判定がNoの場合にはS6において、膨張弁23が故障していると判定してS7に進む。そしてS7において、膨張弁23の故障を報知してS8に進む。膨張弁23の故障の報知は、例えば操作端末36のランプ等による表示や操作端末36からの音声アラーム等の出力によって行われる。
【0038】
次にS8において、除霜完了まで(例えば、所定時間経過するまで、又は出口温度センサ29の検知温度が所定の温度になるまで)除霜運転を継続した後、S9に進む。次にS9において膨張弁23を開放制御してS10に進み、S10において除霜弁32を閉止制御して除霜運転を終了し、貯湯運転に戻る。
【0039】
一方、S3の判定がNoの場合にはS11において、除霜弁32が故障していると判定してS12に進む。そしてS12において、除霜弁32の故障を報知して除霜運転を終了し貯湯運転を停止させる。除霜弁32の故障の報知は、例えば操作端末36のランプ等による表示や操作端末36からの音声アラーム等の出力によって行われる。
【0040】
次に、本発明のヒートポンプ給湯装置1の作用、効果について説明する。
貯湯運転中に蒸発熱交換器24の着霜が検知されると、除霜運転を行う。除霜運転が開始されて除霜弁32を開放制御したときに、バイパス通路31を圧縮機21から吐出された高温の冷媒が流通すれば、圧縮機21の吐出側の圧力が下がって圧縮機21の負荷が小さくなるので、圧縮機21の電流値又は消費電力値が低下する。一方、除霜弁32を開放制御したときに除霜弁32の故障によってバイパス通路31が閉塞していれば、圧縮機21の吐出側の圧力は変化せず、圧縮機21の負荷が変化しないので、圧縮機21の電流値又は消費電力は変化しない。従って、圧縮機21の電流値又は消費電力の変化に基づいて除霜弁32の故障判定を早く行うことができる。
【0041】
また、除霜弁32が正常に開放されてから膨張弁23を閉止制御する。従って、バイパス通路31が閉塞している場合に圧縮機21の吐出側が閉塞されず、圧縮機21に過剰な負荷がかからないので、圧縮機21の故障を予防できる。また、膨張弁23が閉止されれば低温の冷媒が流通しないので除霜能力は低下せず、冷媒温度の大きな変化を温度検知手段である吐出温度センサ28又は出口温度センサ29が検知する。一方、膨張弁23が故障によって閉止されなければ低温の冷媒がバイパス通路31の高温の冷媒と混合して流通するので、温度検知手段が検知する冷媒温度の変化が小さくなる。従って、温度検知手段が検知した冷媒温度の変化に基づいて膨張弁23の故障判定を行うことができる。
【0042】
その上、温度検知手段は、既存の吐出温度センサ28又は出口温度センサ29であり、既存の温度検知手段を利用して膨張弁23の故障判定を行うことができる。
【0043】
膨張弁23が故障と判定された後は、除霜運転を停止するようにしてもよい。除霜運転は貯湯が完了したときにも実行され、このとき除霜弁32及び膨張弁23の故障判定制御も行われるように構成することもできる。また、ヒートポンプ給湯装置は、例えば燃焼式の補助加熱装置を備えていてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0044】
1 :ヒートポンプ給湯装置
3 :ヒートポンプ式熱源機
4 :制御手段
5 :貯湯タンク
16 :主制御ユニット
21 :圧縮機
22 :凝縮熱交換器
23 :膨張弁(膨張手段)
24 :蒸発熱交換器
28 :吐出温度センサ
29 :出口温度センサ
30 :外気温度センサ
31 :バイパス通路
32 :除霜弁
33 :補助制御ユニット