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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】行動変容支援装置、端末およびサーバ
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220906BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018133336
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020013208
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】出野 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】濱口 貴広
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆伸
(72)【発明者】
【氏名】松岡 和
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-355327(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050174(WO,A1)
【文献】特開2013-88909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体データおよび行動データを取得する取得部と、
前記ユーザの生体指標を前記生体データに基づいて生成する生体指標生成部と、
前記ユーザによる前記生体指標に影響を及ぼす行動の実績を表す行動指標を前記行動データに基づいて生成する行動指標生成部と、
前記ユーザが行動を変容する必要性を2以上の段階で表す要求度を前記生体指標および前記行動指標に基づいて算出する算出部と、
前記ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者を少なくとも前記ユーザ以外の人物を含む複数の候補の中から前記要求度が大きいほど行動変容をより強力に促す候補に決定する決定部と、
前記指導者に前記指導を要求する指導要求データを生成する指導要求生成部と
を具備する、行動変容支援装置。
【請求項2】
前記複数の候補は、ユーザの端末または前記端末に接続された機械である第1の候補と、前記ユーザ以外の人物である第2の候補とを含み、
前記決定部は、前記要求度が第1のレベルである場合に前記第1の候補を前記指導者として決定し、前記要求度が前記第1のレベルよりも高い第2のレベルである場合に前記第2の候補を前記指導者として決定する、
請求項1に記載の行動変容支援装置。
【請求項3】
前記第2の候補は、前記ユーザの家族または知人のうち前記ユーザによって選択された人物を含み、
前記複数の候補は、前記ユーザの保健指導を担当する医療関係者、またはトレーナーである第3の候補をさらに含み、
前記決定部は、前記要求度が前記第2のレベルよりも高い第3のレベルである場合に前記第3の候補を前記指導者として決定する
請求項2に記載の行動変容支援装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記生体指標が第1の閾値以上である場合に、前記要求度の上限値として前記第2のレベルを設定する、請求項3に記載の行動変容支援装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記生体指標が第1の閾値を下回り、かつ、前回の生体指標が前記第1の閾値以上であった場合に、前記要求度を前記第3のレベルに設定する、請求項3に記載の行動変容支援装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記要求度が第1のレベルよりも低い第4のレベルである場合に前記指導者を決定せず、
前記指導要求生成部は、前記指導者が決定されなかった場合に、前記指導要求データを生成しない、
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の行動変容支援装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記行動指標が第2の閾値以上である場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて増加させない、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の行動変容支援装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記行動指標が前記第2の閾値を下回り、かつ、前記行動指標が前回の行動指標に比べて改善されていない場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて減少させない、請求項7に記載の行動変容支援装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記行動指標が前記第2の閾値を下回り、かつ、前記行動指標が前回の行動指標に比べて改善された場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて増加させない、請求項7または請求項8に記載の行動変容支援装置。
【請求項10】
前記行動データは、前記ユーザの食事、運動、服薬、睡眠、飲酒および喫煙の少なくとも1つを含む複数の項目についてのデータであり、
前記指導要求生成部は、前記行動データに基づいて前記複数の項目の少なくとも1つについて前記指導を要求する指導要求データを生成する、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の行動変容支援装置。
【請求項11】
サーバと通信する端末であって、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の行動変容支援装置と、
前記ユーザ以外の人物が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記指導者の端末へ向けて送信する送信部と
を具備する、端末。
【請求項12】
前記端末が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データに基づいて前記ユーザに行動変容を促す出力データを生成する出力データ生成部と、
前記出力データを出力する出力部と
をさらに具備する、請求項11に記載の端末。
【請求項13】
前記送信部は、前記端末に接続された機械が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記機械へ向けて送信する、請求項11または請求項12に記載の端末。
【請求項14】
第1の端末を含む複数の端末と通信するサーバであって、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の行動変容支援装置と、
前記生体データおよび前記行動データを前記第1の端末から受信する受信部と、
前記ユーザ以外の人物が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記第1の端末とは異なる端末へ送信する送信部と
を具備する、サーバ。
【請求項15】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の行動変容支援装置が備える各部の処理を、プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項16】
前記決定部は、前記要求度が大きいほど指導に関する知識がより多い候補に決定する、請求項1に記載の行動変容支援装置。
【請求項17】
前記決定部は、前記要求度が大きいほどより高い専門性を有する候補に決定する、請求項1に記載の行動変容支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、行動変容支援装置、端末、サーバおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活習慣病を含む種々の疾病の患者またはその予備軍など(対象者)に対して、医師、保健師などが例えば生活習慣に関する行動変容を促す保健指導を行うことがある。しかしながら、対象者は生身の人間であるため自らの受けた指導を忠実に守り続けることは容易ではない。例えば、保健指導を受けた直後は運動習慣や食生活の改善を試みるものの、月日の経過に伴ってモチベーションが低下することがあり得る。
【0003】
特許文献1には、糖尿病罹患者及び将来的に糖尿病になる可能性の高い者などである対象者の年齢、性別、身長、体重、腹囲、肥満度、血圧、血糖値、健康心理評価尺度又は遺伝子多型に関する情報などに基づいて、簡便かつ容易に対象者の健康管理への最適な介入度を決定し、最適な介入プログラムを選定する、ということが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-226166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、対象者が保健指導をどの程度忠実に守っているかとは無関係に介入プログラムが選定されることになる。また、特許文献1には、選定した介入プログラムを見直す旨の記載はない。故に、対象者の実態、すなわち保健指導を積極的に守っているのかそれとも保健指導を無視しているのか、によって、介入プログラムが変わることはない。例えば保健指導を積極的に守っている対象者に対して週1回の電話介入を伴う介入プログラムを維持すれば、指導者に必要以上の負担がかかるおそれがある。他方、保健指導を無視している対象者に対して電話介入を長期間に亘って伴わない介入プログラムを維持すれば、対象者の健康状態が長期間に亘って改善されないまま、またはさらに悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、一側面では、ユーザの実態に即した働きかけを行って行動変容を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る行動変容支援装置は、ユーザの生体データおよび行動データを取得する取得部と、前記ユーザの生体指標を前記生体データに基づいて生成する生体指標生成部と、前記ユーザによる前記生体指標に影響を及ぼす行動の実績を表す行動指標を前記行動データに基づいて生成する行動指標生成部と、前記ユーザが行動を変容する必要性を2以上の段階で表す要求度を前記生体指標および前記行動指標に基づいて算出する算出部と、前記ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者を少なくとも前記ユーザ以外の人物を含む複数の候補の中から前記要求度に基づいて決定する決定部と、前記指導者に前記指導を要求する指導要求データを生成する指導要求生成部とを具備する。
【0008】
この行動変容支援装置によれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えばユーザが行動を積極的に改善しているのかそうでないのか、に応じて適切なレベルの指導者を選択して行動変容を促すことができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る行動変容支援装置において、前記複数の候補は、ユーザの端末または前記端末に接続された機械である第1の候補と、前記ユーザ以外の人物である第2の候補とを含み、前記決定部は、前記要求度が第1のレベルである場合に前記第1の候補を前記指導者として決定し、前記要求度が前記第1のレベルよりも高い第2のレベルである場合に前記第2の候補を前記指導者として決定してもよい。
【0010】
この行動変容支援装置(以降、本発明の第2の態様に係る行動変容支援装置と称する)によれば、要求度の低いうちは機械に指導を行わせることでユーザの周りの人間に負担を掛けさせることなくユーザの行動変容を促すことができる。そして、ユーザの行動指標が悪く、しかもユーザが機械による指導を軽視するなどして行動指標における改善がみられない状況が続くと、指導者を機械からユーザ以外の生身の人間へと切り替えることができる。
【0011】
第2の態様に係る行動変容支援装置において、前記第2の候補は、前記ユーザの家族または知人のうち前記ユーザによって選択された人物を含み、前記複数の候補は、前記ユーザの保健指導を担当する医療関係者またはトレーナーである第3の候補をさらに含み、前記決定部は、前記要求度が前記第2のレベルよりも高い第3のレベルである場合に前記第3の候補を前記指導者として決定してもよい。
【0012】
この行動変容支援装置(以降、本発明の第3の態様に係る行動変容支援装置と称する)によれば、ユーザ以外の人物を指導者とする場合に、まずは知人(例えば、友人)や家族などのユーザに日常的に接する機会のある人物に指導を依頼することで、日常生活の範囲でユーザの行動変容を促すことができる。それでも要求度の増加が止まらなければ、最終的には、医療関係者(例えば、医師、看護師、保健師、など)、トレーナー、などのプロフェッショナルへと指導者が切り替わり、ユーザの行動変容をより強力に促すことが可能となる。
【0013】
第3の態様に係る行動変容支援装置において前記算出部は、前記生体指標が第1の閾値以上である場合に、前記要求度の上限値として前記第2のレベルを設定してもよい。この行動変容支援装置によれ、行動指標が良好でない場合であっても、生体指標が良好なうちは、医療関係者、トレーナー、などのプロフェッショナルに指導の負担をかけることなく、日常生活の範囲でユーザの行動変容を促すことができる。
【0014】
第3の態様に係る行動変容支援装置において、前記算出部は、前記生体指標が第1の閾値を下回り、かつ、前回の生体指標が前記第1の閾値以上であった場合に、前記要求度を前記第3のレベルに設定してもよい。
【0015】
この行動変容支援装置によれば、ユーザの健康状態が良好な状態から良好でない状態に悪化した場合に、前回の要求度に関わらず指導者をプロフェッショナルに切り替えて、ユーザの行動変容を直ちに強力に促すことが可能となる。
【0016】
第2の態様または第3の態様に係る行動変容支援装置において、前記決定部は、前記要求度が第1のレベルよりも低い第4のレベルである場合に前記指導者を決定せず、前記指導要求生成部は、前記指導者が決定されなかった場合に、前記指導要求データを生成しなくてもよい。
【0017】
この行動変容支援装置によれば、ユーザの行動指標が良好であったり、改善傾向が続いている場合には指導を控え、ユーザに指導を煩わしく感じさせたりユーザが指導に慣れてしまうのを防ぐことができる。
【0018】
第1の態様乃至第3の態様のいずれかに係る行動変容支援装置において、前記算出部は、前記行動指標が第2の閾値以上である場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて増加させなくてもよい。
【0019】
この行動変容支援装置(以降、本発明の第4の態様に係る行動変容支援装置と称する)によれば、ユーザの行動実績が良好である場合に、要求度を維持または減少させることができる。要求度を減少させることで、指導者をプロフェッショナルからユーザに日常的に接する機会のある人物へ、そして機械へと段階的に切り替え、指導者の負担を軽減することが可能となる。
【0020】
第4の態様に係る行動変容支援装置において、前記算出部は、前記行動指標が前記第2の閾値を下回り、かつ、前記行動指標が前回の行動指標に比べて改善されていない場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて減少させなくてもよい。
【0021】
この行動変容支援装置によれば、ユーザの行動実績が良好な状態でなく、しかも改善傾向にない場合に、要求度を維持または増加させることができる。要求度を増加させることで、指導者を切り替え、行動変容をより強力に促すことが可能となる。
【0022】
第4の態様に係る行動変容支援装置において、前記算出部は、前記行動指標が前記第2の閾値を下回り、かつ、前記行動指標が前回の行動指標に比べて改善された場合に、前記要求度を前回の要求度に比べて増加させなくてもよい。
【0023】
この行動変容支援装置によれば、ユーザの行動実績が良好でないものの改善傾向にある場合には、要求度を維持または減少させることができる。要求度を減少させることで、指導者をプロフェッショナルからユーザに日常的に接する機会のある人物へ、そして機械へと段階的に切り替え、指導者の負担を軽減することが可能となる。
【0024】
第1の態様乃至第4の態様のいずれかに係る行動変容支援装置において、前記行動データは、前記ユーザの食事、運動、服薬、睡眠、飲酒および喫煙の少なくとも1つを含む複数の項目についてのデータであり、前記指導要求生成部は、前記行動データに基づいて前記複数の項目の少なくとも1つについて前記指導を要求する指導要求データを生成してもよい。
【0025】
この行動変容支援装置によれば、指導者は、例えば「運動を増やしなさい」、「薬をちゃんと飲みなさい」、「お酒/たばこ/糖分/カロリーを控えなさい」、「夜更かしをやめなさい」などの具体的な指導が可能となり、ユーザは指導を受け入れやすくなる。
【0026】
本発明の第5の態様に係る端末は、サーバと通信する端末であって、第1の態様乃至第4の態様のいずれかに係る行動変容支援装置と、前記ユーザ以外の人物が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記指導者の端末へ向けて送信する送信部とを具備する。
【0027】
この端末によれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えばユーザが行動を積極的に改善しているのかそうでないのか、に応じて適切なレベルの指導者を選択し、ユーザ以外の人物が指導者として決定された場合にはその指導者の端末へ向けて指導要求データを送信することで、その指導者にユーザの行動変容を促すよう依頼することができる。
【0028】
第5の態様に係る端末は、前記端末が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データに基づいて前記ユーザに行動変容を促す出力データを生成する出力データ生成部と、前記出力データを出力する出力部とをさらに具備してもよい。
【0029】
この端末によれば、当該端末自身が指導者として決定された場合に、例えば行動を改善する必要があること、および/または要改善項目を伝えるメッセージテキスト、画像または音声データなどの出力データを、表示または音声出力してユーザに行動変容を促すことができる。
【0030】
第5の態様に係る端末において、前記送信部は、前記端末に接続された機械が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記機械へ向けて送信してもよい。この端末によれば、当該端末に接続された機械が指導者として決定された場合にその機械へ向けて指導要求データを送信することで、その機械にユーザの行動変容を促す出力を行うよう依頼することができる。
【0031】
本発明の第6の態様に係るサーバは、第1の端末を含む複数の端末と通信するサーバであって、第1の態様乃至第4の態様のいずれかに係る行動変容支援装置と、前記生体データおよび前記行動データを前記第1の端末から受信する受信部と、前記ユーザ以外の人物が前記指導者として決定された場合に前記指導要求データを前記第1の端末とは異なる端末へ送信する送信部とを具備する。
【0032】
このサーバによれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えばユーザが行動を積極的に改善しているのかそうでないのか、に応じて適切なレベルの指導者を選択し、ユーザ以外の人物が指導者として決定された場合にはその指導者の端末へ向けて指導要求データを送信することで、その指導者にユーザの行動変容を促すよう依頼することができる。
【0033】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、第1の態様乃至第4の態様のいずれかに係る行動変容支援装置が備える各部の処理を、プロセッサに実行させる。このプログラムによれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えばユーザが行動を積極的に改善しているのかそうでないのか、に応じて適切なレベルの指導者を選択して行動変容を促すことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ユーザの実態に即した働きかけを行って行動変容を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係る端末の適用例を示すブロック図。
図2】実施形態に係る端末を含む行動変容支援システムを例示する図。
図3】実施形態に係る端末のハードウェア構成を例示するブロック図。
図4】実施形態に係る端末の機能構成を例示するブロック図。
図5】行動変容の要求度に対応付けられる指導者を例示するテーブル。
図6】実施形態に係る端末の動作を例示するフローチャート。
図7図6のステップS710の詳細を例示するフローチャート。
図8】生体指標、行動指標および行動変容の要求度の変遷を例示する図。
図9】変形例に係るサーバの機能構成を例示するブロック図。
図10】変形例に係るサーバのハードウェア構成を例示するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示の一態様に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を図面に基づいて説明する。
【0037】
なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。
【0038】
§1 適用例
まず、図1を用いて、本実施形態の一適用例について説明する。図1は、本実施形態に係る端末の適用例を模式的に示す。この端末100は、例えば、モバイル端末(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、スマートウォッチまたはその他のウェアラブルデバイス、など)、据え置き型のPC(Personal Computer)、などであり得るが、これらに限られない。
【0039】
端末100は、ユーザの直近の生体データを指標化した生体指標と、ユーザの直近の行動データを指標化した行動指標とに基づいて、ユーザが行動を変容する必要性を2以上の段階で表す要求度を算出する。そして、端末100は、複数の候補の中から、ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者を要求度に基づいて決定し、当該指導者にユーザへの指導を要求する。なお、かかる動作に着目すれば、端末100は行動変容支援装置、などと称することもできる。
【0040】
図1に示されるとおり、端末100は、データ取得部101と、生体指標生成部102と、行動指標生成部103と、生体指標/行動指標記憶部104と、要求度算出部105と、要求度記憶部106と、指導者決定部107と、指導者データ記憶部108と、指導要求生成部109とを含む。
【0041】
データ取得部101は、ユーザの健康状態を評価するための基準データである生体データとユーザによる行動のうち後述する生体指標に影響を及ぼす可能性のある(換言すれば指導の対象となり得る)項目についての行動データを取得する。データ取得部101は、生体データを生体指標生成部102へ送り、行動データを行動指標生成部103へ送る。なお、後述される指導要求データにおいて要改善項目を特定する必要がある場合には、データ取得部101は、行動データを指導要求生成部109へも出力する。生体データおよび行動データの詳細は後述する。
【0042】
生体指標生成部102は、データ取得部101から生体データを受け取り、これに基づいて生体指標を生成する。ここで、生体指標は、複数の生体データを統計処理または加工したものであってもよいし、直近の1つの生体データがそのまま用いられてもよい。生体データに対して行われ得る統計処理および加工の詳細は後述する。生体指標生成部102は、生成した生体指標を生体指標/行動指標記憶部104へ保存するとともに要求度算出部105へ送る。
【0043】
行動指標生成部103は、データ取得部101から行動データを受け取り、これに基づいて行動指標を生成する。ここで、行動指標は、複数の行動データを統計処理または加工したものであってもよいし、直近の1つの行動データがそのまま用いられてもよい。行動データに対して行われ得る統計処理および加工の詳細は後述する。行動指標生成部103は、生成した行動指標を生体指標/行動指標記憶部104へ保存するとともに要求度算出部105へ送る。
【0044】
生体指標/行動指標記憶部104は、生体指標および行動指標を保存する。生体指標は生体指標生成部102によって生体指標/行動指標記憶部104に書き込まれ、行動指標は行動指標生成部103によって生体指標/行動指標記憶部104に書き込まれる。生体指標および行動指標は、要求度算出部105によって生体指標/行動指標記憶部104から必要に応じて読み出される。
【0045】
要求度算出部105は、生体指標生成部102から現在の生体指標を受け取り、行動指標生成部103から現在の行動指標を受け取る。要求度算出部105は、さらに、生体指標/行動指標記憶部104から前回の生体指標および行動指標を必要に応じて読み出し、要求度記憶部106から前回の要求度を必要に応じて読み出す。
【0046】
要求度算出部105は、現在の生体指標および行動指標と、必要に応じて前回の生体指標、行動指標および要求度の一部または全部とに基づいて、ユーザが行動を変容する必要性を表す要求度を算出する。要求度算出部105は、算出した要求度を要求度記憶部106に保存するとともに指導者決定部107へ送る。なお、要求度を算出する具体的なアルゴリズムは図7を用いて後述する。
【0047】
要求度記憶部106は、要求度を保存する。要求度は、要求度算出部105によって、要求度記憶部106へ書き込まれ、また要求度記憶部106から必要に応じて読み出される。
【0048】
指導者決定部107は、要求度算出部105から要求度を受け取り、指導者データ記憶部108から複数の候補の指導者データを読み出す。ここで、複数の候補は、少なくともユーザ以外の人物を含む。指導者決定部107は、複数の候補の中から指導者を決定し、当該指導者に対応する指導者データを指導要求生成部109へ送る。指導者データおよび指導者の候補の詳細は後述する。
【0049】
指導者データ記憶部108は、指導者データを保存する。指導者データは、例えば端末100によって提供される行動変容支援サービスの初期設定時、または設定変更(指導者の変更、指導者の詳細情報の変更)時、などにユーザや指導者からの入力に基づいて指導者データ記憶部108に書き込まれ得る。また、指導者データは、指導者決定部107によって、指導者データ記憶部108から必要に応じて読み出される。
【0050】
指導要求生成部109は、指導者決定部107から指導者データを受け取り、指導者データに基づいて、ユーザに行動変容を促す指導をするよう指導者に要求する指導要求データを生成する。指導要求データの詳細は後述すする。
【0051】
以上説明したように、適用例に係る端末100は、ユーザが行動を変容する必要性を表す要求度を、ユーザの生体指標とユーザによる生体指標に影響を及ぼす行動の実績を表す行動指標とに基づいて算出する。そして、端末100は、ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者をユーザ以外の人物を含む複数の候補の中から要求度に基づいて決定し、決定した指導者に指導を要求する。故に、この端末100によれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えばユーザが行動を積極的に改善しているのかそうでないのか、に応じて適切なレベルの指導者を選択して行動変容を促すことができる。
【0052】
§2 構成例
本実施形態に係る端末200は、例えば図2に例示される行動変容支援システムに含まれ得る。このシステムは、ユーザの端末200と、ヘルスケア機器300と、サーバ400と、指導者(の候補)としてのユーザの家族の端末500と、指導者(の候補)としての医療関係者(例えば、医師、看護師、保健師、など)またはユーザが提供を受ける健康管理/増進サービスのトレーナーの端末600とを含む。
【0053】
端末200のハードウェア構成および機能構成については後述する。ヘルスケア機器300は、公知のヘルスケア機器、例えば、血圧計、体重計、血糖測定器、歩数計、活動量計、などであり得る。サーバ400は、公知のサーバであってよい。端末500および端末600も公知の端末であってよい。
【0054】
端末200、端末500および端末600は、例えばインターネットなどのネットワーク経由でサーバ400に接続されており、データを互いにやり取りすることができる。すなわち、サーバ400は、端末間でデータを中継する。
【0055】
サーバ400は、1つのサーバに限らず、複数の別種のサーバであってもよい。例えば、サーバ400は、電子メールまたは他のコミュニケーションサービスを提供するサーバ、およびPHR(Personal Health Record)サーバの一部または全部を含み得る。
【0056】
例えば、端末200は、指導要求データを指導者としての家族の端末500または指導者としての医療関係者またはトレーナーの端末600へと中継してもらうために、当該指導要求データをサーバ400へ送信し得る。逆に、端末200は、サーバ400を介して、端末500または端末600から、行動変容を促すメッセージが記載された電子メールなどを受信し得る。さらに、端末200は、生体データおよび/または生体指標、ならびに行動データおよび/または行動指標を、PHRとして記録するためにサーバ400へ送信することもあり得る。
【0057】
また、端末200は、例えばWLAN(Wireless Local Area Network)などのネットワーク経由で、またはBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて、ヘルスケア機器300とも接続されており、データをやり取りすることができる。
【0058】
具体的には、端末200は、ヘルスケア機器300から生体データおよび/または行動データを受信し得る。なお、端末200が例えば生体センサおよび動きセンサを備えているなど、必要な生体データおよび行動データを自ら取得できる場合には、ヘルスケア機器300は不要となり得る。
【0059】
[ハードウェア構成]
次に、図3を用いて、本実施形態に係る端末200のハードウェア構成の一例について説明する。図3は、本実施形態に係る端末200のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。
【0060】
図3に例示するように、本実施形態に係る端末200は、制御部210と、記憶部220と、通信I/F230と、入力装置240と、出力装置250と、外部I/F260とが、例えばバスを介して互いに電気的に接続されたコンピュータであってよい。
【0061】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。CPUは、記憶部220に格納されたプログラムをRAMに展開する。そして、CPUがこのプログラムを解釈および実行することで、制御部210は、様々な情報処理、例えば、機能構成の項目において説明される構成要素の処理または制御を実行可能となる。
【0062】
なお、CPUは、これ以外のプロセッサ、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはDSP(Digital Signal Processor)、などに置き換えられてもよいし、これらと組み合わせられてもよい。
【0063】
記憶部220は、いわゆる補助記憶装置であり、例えば、内蔵または外付けの、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどの半導体メモリであり得る。
【0064】
記憶部220は、制御部210で実行されるプログラム(例えば、行動変容支援処理を制御部210に実行させるためのプログラム)、制御部210によって使用されるデータ(例えば、生体データ、行動データ、生体指標、行動指標、要求度、指導者データ、および指導要求データの一部または全部を含み得る)、などを記憶する。
【0065】
通信I/F230は、例えば、Bluetooth(BLE(Bluetooth Low Energy)を含む)、移動通信(3G、4Gなど)、およびLAN(WLANを含む)などのための各種通信モジュールであって、通信を行うためのI/Fであってよい。例えば、通信I/F230は、送受信のための信号処理回路、アンテナ、LAN端子、などを含み得る。
【0066】
入力装置240は、例えばタッチスクリーン、キーボード、マウスなどのユーザ入力を受け付けるための装置を含んでもよい。また、入力装置240は、所定の物理量を測定し、センシングデータ(これは、生体データおよび/または行動データを含み得る)を生成および入力するセンサを含んでもよい。出力装置250は、例えば、ディスプレイ、スピーカなどの出力を行うための装置である。
【0067】
外部I/F260は、USB(Universal Serial Bus)ポート、メモリカードスロットなどであり、外部装置と接続するためのI/Fである。
端末200は、他にも、プログラムおよび/またはデータを保存する記憶媒体からプログラムおよび/またはデータを読み込むためのドライブを備えていてもよい。
【0068】
なお、端末200の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部210は、複数のプロセッサを含んでもよい。端末200は、汎用の情報処理装置であってもよいし、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置であってもよい。また、端末200は、複数台の情報処理装置などで構成されてもよい。
【0069】
[機能構成]
次に、図4を用いて、本実施形態に係る端末200の機能構成の一例を説明する。図4は、端末200の機能構成の一例を模式的に示す。
【0070】
図4に示されるとおり、端末200は、データ取得部211と、生体指標生成部212と、行動指標生成部213と、要求度算出部214と、指導者決定部215と、指導要求生成部216と、出力データ生成部217と、生体指標/行動指標記憶部221と、要求度記憶部222と、指導者データ記憶部223と、受信部231と、送信部232と、入力部241と、出力部251とを含む。
【0071】
データ取得部211は、例えば前述の制御部210により実現され得る。データ取得部211は、後述される受信部231および/または入力部241から、ユーザの生体データおよび行動データを取得する。データ取得部211は、生体データを生体指標生成部212へ送り、行動データを行動指標生成部213へ送る。なお、後述される指導要求データにおいて要改善項目を特定する必要がある場合には、データ取得部211は、行動データを指導要求生成部216へも出力する。
【0072】
ここで、生体データは、例えば、血圧データ、体重データ、体脂肪データ、血糖値データ、などのユーザの健康状態を評価するための基準データである。すなわち、ユーザは、血圧、体重、血糖値、などの改善を目指して行動を変容するように指導を通じて要求されることになる。
【0073】
データ取得部211は、端末200に取り付けられた生体センサ(図示されない)によって生成された生体データを入力部241から取得してもよいし、端末200と接続された血圧計、体重計または血糖測定器などのヘルスケア機器300から受信された生体データを受信部231から取得してもよい。
【0074】
他方、行動データは、ユーザによる行動のうち生体指標に影響を及ぼす可能性のある(換言すれば指導の対象となり得る)項目、例えば、運動、食事、服薬、睡眠、飲酒、および/または喫煙などのデータであり得る。具体的には、行動データは、単位期間内の歩数、運動強度、活動量、運動時間、摂取したカロリー、塩分、糖分または脂肪分、食事内容、服薬回数、睡眠時間、就寝時間、起床時間、飲酒量、喫煙回数、などのデータであり得る。
【0075】
データ取得部211は、端末200に取り付けられた動きセンサ(図示されないが、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、など)などにより生成された行動データ、またはユーザの自己申告に基づいて端末200内で生成された行動データを入力部241から取得してもよいし、端末200と接続されたヘルスケア機器300(例えば、歩数計、活動量計)から受信された行動データを受信部231から取得してもよい。
【0076】
生体指標生成部212は、例えば前述の制御部210により実現され得る。生体指標生成部212は、データ取得部211から生体データを受け取り、これに基づいて生体指標を生成する。前述のように、生体指標は、複数の生体データを統計処理または加工したものであってもよいし、直近の1つの生体データがそのまま用いられてもよい。前者の場合に、生体指標は、直近、例えば直近1週間、または直近5回分、などの生体データに基づいて生成され得る。統計処理は、平均化、または最小値、最大値、最頻値もしくは中央値の抽出、などを含み得る。また、加工は、正規化、量子化、種類の異なる複数のデータ(例えば血圧データおよび体重データ)のマージ、などを含み得る。生体指標生成部212は、生成した生体指標を生体指標/行動指標記憶部221へ保存するとともに要求度算出部214へ送る。
【0077】
行動指標生成部213は、例えば前述の制御部210により実現され得る。行動指標生成部213は、データ取得部211から行動データを受け取り、これに基づいて行動指標を生成する。前述のように、行動指標は、複数の行動データを統計処理または加工したものであってもよいし、直近の1つの行動データがそのまま用いられてもよい。前者の場合に、行動指標は、直近、例えば直近1週間、または直近5回分、などの行動データに基づいて生成され得る。統計処理は、平均化、または最小値、最大値、最頻値もしくは中央値の抽出、などを含み得る。また、加工は、正規化、量子化、種類の異なる複数のデータ(例えば運動データおよび服薬データ)のマージ、などを含み得る。行動指標生成部213は、生成した行動指標を生体指標/行動指標記憶部221へ保存するとともに要求度算出部214へ送る。
【0078】
要求度算出部214は、例えば前述の制御部210により実現され得る。要求度算出部214は、生体指標生成部212から現在の生体指標を受け取り、行動指標生成部213から現在の行動指標を受け取る。要求度算出部214は、さらに、生体指標/行動指標記憶部221から前回の生体指標および行動指標を必要に応じて読み出し、要求度記憶部222から前回の要求度を必要に応じて読み出す。
【0079】
要求度算出部214は、現在の生体指標および行動指標と、必要に応じて前回の生体指標、行動指標および要求度の一部または全部とに基づいて、要求度を算出する。要求度算出部214は、算出した要求度を要求度記憶部222に保存するとともに指導者決定部215へ送る。なお、要求度を算出する具体的なアルゴリズムは図7を用いて後述する。
【0080】
指導者決定部215は、例えば前述の制御部210により実現され得る。指導者決定部215は、要求度算出部214から要求度を受け取り、指導者データ記憶部223から複数の候補の指導者データを読み出す。前述のように、複数の候補は、少なくともユーザ以外の人物を含む。指導者決定部215は、複数の候補の中から指導者を決定し、当該指導者に対応する指導者データを指導要求生成部216へ送る。
【0081】
具体的には、指導者データは、候補毎に、当該候補に割り当てられた要求度と、当該候補の詳細情報、例えば名前、アドレスデータ、などとを含み得る。指導者決定部215は、指導者データに含まれる複数の候補から、要求度算出部214によって指定された要求度を割り当てられている候補を探索し、指導者を決定する。
【0082】
また、指導者の候補は、例えば、医療関係者(例えば、医師、看護師、保健師、など)、またはユーザが提供を受ける健康管理/増進サービスのトレーナー、などの保健指導を担当する人物ほか、ユーザの家族、知人(例えば、友人)、などのユーザとのつながりのある人物のうちユーザによって選択された人物、さらには端末200またはその他の機械、例えば、ウェアラブルデバイス、AI(Artificial Intelligence)スピーカ、ヘルスケア機器300、などの端末200に接続された機械を含み得る。このようにユーザの直近の行動実績および健康状態の実態に基づいて複数の候補から指導者を決定して指導を依頼することで、ユーザの行動変容を効果的に促すことが可能となる。
【0083】
具体的には、図5に例示されるように、機械は低い要求度「1」を割り当てられ、保健指導を担当とする人物(例えば、医療関係者、トレーナー)は高い要求度「3」を割り当てられ、それ以外のユーザとつながりのある人物(例えば、家族、知人)は中程度の要求度「2」を割り当てられてよい。
【0084】
これにより、要求度の低いうちは機械に指導を行わせることでユーザの周りの人間に負担を掛けさせることなくユーザの行動変容を促すことができる。そして、ユーザの行動指標が悪く、しかもユーザが機械による指導を軽視するなどして行動指標における改善がみられない状況が続くと、要求度は段々と悪化(増加)する。要求度の増加に伴い、指導者は機械からユーザ以外の人物に切り替わることになる。まずは知人や家族などのユーザに日常的に接する機会のある人物に指導を依頼することで、日常生活の範囲でユーザの行動変容を促すことができる。それでも要求度の増加が止まらなければ、最終的には、医療関係者、トレーナー、などのプロフェッショナルへと指導者が切り替わり、ユーザの行動変容をより強力に促すことが可能となる。
【0085】
なお、機械による指導も不要なほどユーザの生体指標および/または行動指標が良好なケースに対応するために、機械に割り当てられた要求度「1」よりも低い要求度「0」が指導者「なし」に割り当てられもよい。そして、指導者決定部215は要求度が0である場合に指導者を決定せず、指導要求生成部216は指導者が決定されなかった場合に、指導者データを生成せずともよい。これにより、ユーザの行動指標が良好であったり、改善傾向が続いている場合には指導を控え、ユーザに指導を煩わしく感じさせたりユーザが指導に慣れてしまうのを防ぐことができる。
【0086】
また、要求度はさらに細分化されて指導者に割り当てられてもよい。例えば、家族と友人と友人以外の知人とで割り当てられる要求度が異なっていてもよいし、トレーナーと、看護師と、保健師と、医師とで割り当てられる要求度が異なっていてもよい。
【0087】
指導要求生成部216は、例えば前述の制御部210により実現され得る。指導要求生成部216は、指導者決定部215から指導者データを受け取り、指導者データに基づいて、ユーザに行動変容を促す指導をするよう指導者に要求する指導要求データを生成する。
【0088】
例えば、指導者が端末200またはその他の機械である場合には、指導は、例えば行動を改善する必要がある、などのユーザに伝えたい内容(これは、要改善項目を含み得る)をメッセージテキスト、画像または音声を出力することで行われ得る。そこで、指導要求生成部216は、メッセージテキスト、画像または音声データそのものを指導要求データとして生成してもよいし、指導者としての機械の内部またはクラウド上に予め用意されたかかるデータを識別するための識別子を指導要求データとして生成してもよい。そして、指導者が端末200である場合には、出力データ生成部217へ送る。他方、指導者が端末200以外の機械である場合には、指導要求生成部216は指導要求データを端末200の送信部232へ送る。
【0089】
また、指導者がユーザ以外の人物である場合には、指導は指導者が口頭(対面、電話など)またはテキストベース(電子メール、SNS(Social Networking Service)、など)により指導内容をユーザに伝えることで行われ得る。そこで、指導要求生成部216は、ユーザに指導を行って欲しいこと、および/またはユーザに伝えて欲しい内容(これは、要改善項目を含み得る)を示すメッセージ(テキスト、画像および/または音声)データを含む指導要求データとして生成してもよいし、指導者の端末の内部またはクラウド上に予め用意されたかかるデータを識別するための識別子を含む指導要求データとして生成してもよい。さらに、指導要求データは、誰が指導対象者であるかを指導者が特定できるようにするためにユーザの識別子または名前などのデータを含み得る。指導要求生成部216はかかる指導要求データを送信部232へ送り、当該指導要求データはサーバ400を経由して指導者の端末、例えば端末500または端末600へ到達する。指導者は、上記メッセージを通じて、ユーザに指導を行わなければならないこと、ユーザに何を伝えればよいのか、などを把握し、指導を行うことができる。
【0090】
さらに、指導要求生成部216は、データ取得部211から行動データを受け取り、これに基づいてユーザの行動のうち改善が必要とされる要改善項目を特定したうえで、当該要求項目について指導を要求する指導要求データを生成してもよい。これにより、指導者は、例えば「運動を増やしなさい」、「薬をちゃんと飲みなさい」、「お酒/たばこ/糖分/カロリーを控えなさい」、「夜更かしをやめなさい」などの具体的な指導が可能となり、ユーザは指導を受け入れやすくなる。
【0091】
出力データ生成部217は、例えば前述の制御部210により実現され得る。出力データ生成部217は、指導要求生成部216から指導要求データを受け取り、当該指導要求データに基づいてユーザに行動変容を促す出力データを生成し、出力部251へ送る。出力データは、例えば行動を改善する必要があること、および/または要改善項目を伝えるメッセージテキスト、画像または音声データであり得る。例えば、指導要求データが指導者としての端末200の内部またはクラウド上に予め用意された出力データを識別するための識別子である場合には、出力データ生成部217は当該識別子に基づいて出力データを取得し得る。なお、指導要求データがそのまま出力データとして利用可能である場合には出力データ生成部217は不要となり得る。
【0092】
生体指標/行動指標記憶部221は、前述の制御部210内のRAMおよび/または記憶部220により実現され得る。生体指標/行動指標記憶部221は、生体指標および行動指標を保存する。生体指標は生体指標生成部212によって生体指標/行動指標記憶部221に書き込まれ、行動指標は行動指標生成部213によって生体指標/行動指標記憶部221に書き込まれる。生体指標および行動指標は、要求度算出部214によって生体指標/行動指標記憶部221から読み出される。
【0093】
要求度記憶部222は、前述の制御部210内のRAMおよび/または記憶部220により実現され得る。要求度記憶部222は、要求度を保存する。要求度は、要求度算出部214によって、要求度記憶部222へ書き込まれ、また要求度記憶部222から必要に応じて読み出される。
【0094】
指導者データ記憶部223は、前述の制御部210内のRAMおよび/または記憶部220により実現され得る。指導者データ記憶部223は、指導者データを保存する。指導者データは、例えば端末200によって提供される行動変容支援サービスの初期設定時、または設定変更(指導者の変更、指導者の詳細情報の変更)時、などにユーザや指導者からの入力に基づいて指導者データ記憶部223に書き込まれ得る。また、指導者データは、指導者決定部215によって、指導者データ記憶部223から必要に応じて読み出される。
【0095】
受信部231は、前述の通信I/F230により実現され得る。受信部231は、外部装置から種々のデータを受信する。例えば、受信部231は、ヘルスケア機器300から生体データおよび/または行動データを受信し得る。受信部231は、受信したデータをデータ取得部211へ送る。
【0096】
送信部232は、前述の通信I/F230により実現され得る。送信部232は、外部装置へ種々のデータを送信する。例えば、送信部232は、指導要求生成部216から指導要求データを受け取り、これを適切な宛先、例えばヘルスケア機器300、端末500または端末600へ向けて送信し得る。なお、指導要求データの宛先は、例えば当該指導要求データに含まれるアドレスデータによって識別され得る。また、図2のシステムでは、指導要求データはサーバ400を一旦経由して端末500または端末600へ送信され得る。
【0097】
入力部241は、前述の入力装置240および/または外部I/F260により実現され得る。入力部241は、種々のデータを入力する。具体的には、入力部241は、生体データおよび/または行動データとしてのセンシングデータを端末200に外付けされたセンサから受け付けたり、端末200に内蔵のセンサとして観測を行って生体データおよび/または行動データを生成したり、端末200へのユーザ入力(自己申告)に基づいて生体データおよび/または行動データを生成したりし得る。そして、入力部241は、生体データおよび/または行動データをデータ取得部211へ送る。
【0098】
出力部251は、前述の出力装置250および/または外部I/F260により実現され得る。出力部251は、種々のデータを出力する。具体的には、出力部251は、出力データを出力データ生成部217から受け付け、これを出力し得る。すなわち、出力部251は、出力データを表示/音声出力し、または出力データを端末200に外付けされた出力装置へ送出し得る。
【0099】
§3 動作例
以下、図6乃至図8を用いて、端末200の動作例を説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0100】
図6は、端末200の動作の一例を示すフローチャートである。まず、データ取得部211は、生体データおよび行動データを受信部231および/または入力部241か取得する(ステップS701)。
【0101】
次に、生体指標生成部212は、ステップS701において取得された生体データに基づいて生体指標を生成する(ステップS702)。他方、行動指標生成部213は、ステップS701において取得された行動データに基づいて行動指標を生成する(ステップS703)。なお、ステップS702およびステップS703は、図6とは逆の順序で行われてもよいし、並列的に行われてもよい。
【0102】
要求度算出部214は、ステップS702およびステップS703においてそれぞれ生成された生体指標および行動指標に基づいて、ユーザの行動変容の必要性を表す要求度を算出する(ステップS710)。ステップS710の詳細は図7を用いて後述する。
【0103】
指導者決定部215は、ステップS710において算出された要求度に基づいて、ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者を決定する(ステップS704)。指導要求生成部216は、ステップS704において決定された指導者に、ユーザに行動変容を促す指導を要求するための指導要求データを生成する(ステップS705)。
【0104】
そして、送信部232はステップS705において生成された指導要求データを送信し(ステップS706)、図6の動作は終了する。なお、前述のように、指導者が端末200である場合には、ステップS706の代わりに、出力データ生成部217がステップS705において生成された指導要求データに基づいて出力データを生成し、出力部251がこれを出力することになる。
【0105】
続いて、図7を用いてステップS710の詳細を説明する。
まず、要求度算出部214は、ステップS702において生成された(現在の)生体指標が良好であるか否かを判定する(ステップS711)。生体指標が良好であると判定された場合には処理はステップS712へ進み、生体指標が良好でないと判定された場合には処理はステップS713へ進む。
【0106】
例えば、生体指標がユーザの健康状態が良好であるほど高い値を持つ数値である場合には、要求度算出部214は既定の第1の閾値と生体指標を比較し、生体指標が第1の閾値以上である場合に生体指標は良好であると判定し、生体指標が第1の閾値を下回る場合に生体指標は良好でないと判定してもよい。
【0107】
ステップS712において、要求度算出部214は要求度の上限値の制限を設定し、処理はステップS715へ進む。例えば、要求度算出部214は上限値を図5の「2」に相当する要求度までに制限してもよい。これにより、行動指標が良好でない場合であっても、生体指標が良好なうちは、医療関係者、トレーナー、などのプロフェッショナルに指導の負担をかけることなく、日常生活の範囲でユーザの行動変容を促すことができる。
【0108】
他方、ステップS713において、要求度算出部214は要求度の上限値の制限を解除する。次に、要求度算出部214は前回の生体指標を生体指標/行動指標記憶部221から読み出し、前回の生体指標が良好であったか否かを判定する(ステップS714)。
【0109】
ステップS714において前回の生体指標が良好であると判定された場合には、ユーザの健康状態が良好な状態からそうでない状態に転向(悪化)したことを意味する。この場合に処理はステップS719へ進む。他方、ステップS714において前回の生体指標が良好でないと判定された場合には、ユーザの健康状態が良好でない状態が継続していることを意味する。この場合に処理はステップS715へ進む。
【0110】
ステップS715において、要求度算出部214はステップS703において生成された(現在の)行動指標が良好であるか否かを判定する。行動指標が良好であると判定された場合には処理はステップS718へ進み、行動指標が良好でないと判定された場合には処理はステップS716へ進む。
【0111】
例えば、行動指標がユーザの行動実績が良好であるほど高い値を持つ数値である場合には、要求度算出部214は既定の第2の閾値と行動指標を比較し、行動指標が第2の閾値以上である場合に行動指標は良好であると判定し、行動指標が第2の閾値を下回る場合に行動指標は良好でないと判定してもよい。
【0112】
ステップS716において、要求度算出部214は前回の行動指標を生体指標/行動指標記憶部221から読み出し、行動指標が改善されたか否かを判定する。行動指標が改善されたと判定された場合には処理はステップS718へ進み、行動指標が改善されなかったと判定された場合には処理はステップS717へ進む。
【0113】
例えば、行動指標がユーザの行動実績が良好であるほど高い値を持つ数値である場合には、要求度算出部214は現在の行動指標を前回の行動指標と比較し、現在の行動指標が前回の行動指標よりも大きい場合に行動指標は改善されたと判定し、現在の行動指標が前回の行動指標以下である場合に行動指標は改善されなかったと判定してもよい。また、必ずしも前回の行動指標と比べずともよく、例えば直近の複数回分の行動指標の統計値(例えば、平均値、中央値、最大値、最小値、最頻値)と比較するなどしてもよい。
【0114】
ステップS717において、要求度算出部214は前回の要求度を要求度記憶部222から読み出し、これを増加させてから要求度記憶部222に書き込み、ステップS710の処理は終了する。これにより、ユーザの行動実績が良好な状態でなく、しかも改善傾向にない場合に、要求度を増加させて指導者を切り替え、行動変容をより強力に促すことが可能となる。
【0115】
ステップS717における増加幅は「1」であってもよいし、これと異なる値であってもよい。また、ステップS717の実行時に毎回要求度を増加させるのではなく、ステップS717が2回またはそれ以上の回数実行される毎に要求度を増加させるようにしてもよい。いずれにせよ、ステップS717において、要求度算出部214は、少なくとも、前回の要求度に比べて減少しないように要求度を算出する。
【0116】
ステップS718において、要求度算出部214は前回の要求度を要求度記憶部222から読み出し、これを減少させてから要求度記憶部222に書き込み、ステップS710の処理は終了する。これにより、ユーザの行動実績が良好であるか、改善傾向にある場合に、要求度を減少させて指導者をプロフェッショナルからユーザに日常的に接する機会のある人物へ、そして機械へと段階的に切り替え、指導者の負担を軽減することが可能となる。
【0117】
ステップS718における減少幅は「1」であってもよいし、これと異なる値であってもよい。また、ステップS718の実行時に毎回要求度を減少させるのではなく、ステップS718が2回またはそれ以上の回数実行される毎に要求度を減少させるようにしてもよい。いずれにせよ、ステップS718において、要求度算出部214は、少なくとも、前回の要求度に比べて増加しないように要求度を算出する。
【0118】
ステップS719において、要求度算出部214は要求度の最大値を要求度記憶部222に書き込み、ステップS710の処理は終了する。これにより、ユーザの健康状態が良好な状態から良好でない状態に悪化した場合に、前回の要求度に関わらず指導者をプロフェッショナルに切り替えて、ユーザの行動変容を直ちに強力に促すことが可能となる。
【0119】
なお、ステップS719において、要求度算出部214は要求度を必ずしも最大化せずともよい。例えば、要求度算出部214は、ステップS717と同様に、前回の要求度に比べて増加するように要求度を算出してもよい。ステップS719における増加幅は、ステップS717における増加幅に比べて大きく定められてもよい。
【0120】
以下、図8を用いて、生体指標、行動指標および要求度の変遷の例を説明する。図8の例では、生体指標/行動指標は、ユーザの健康状態/行動実績が良好であるほど高い値を持つ、「0」から「100」の範囲に正規化された数値である。また、前述の第1の閾値および第2の閾値はどちらも「50」である。また、要求度の算出周期は1週間であり、要求度に対応付けられる指導者は図5のテーブルに従って決定される。
【0121】
1月1日時点でのユーザの生体指標および行動指標は、それぞれ「51」および「40」であり、要求度は「1」と算出された。故に、ユーザには端末200、ヘルスケア機器300またはその他の機械による指導が行われる。
【0122】
1月8日時点でのユーザの生体指標および行動指標は、それぞれ「49」および「40」であった。生体指標は良好でないと判定され、しかも前回の生体指標は良好であったと判定されるので、ステップS719が実行され、要求度は「3」に最大化される。故に、ユーザには例えば医師(または、保健師、看護師、トレーナーであってもよい)の指導により行動変容が強力に促される。
【0123】
医師による指導が功を奏し、1月15日時点でのユーザの行動指標は良好であるとされる「60」へと大きく改善した。故に、ステップS718が実行され、要求度は「2」に減少する。この結果、ユーザの指導者は家族(または、知人であってもよい)に切り替わり、医師は指導の負担から解放される。
【0124】
家族による指導が行われた結果、1月22日時点でのユーザの行動指標は「70」へと改善した。故に、ステップS718が実行され、要求度は「1」に減少する。この結果、ユーザの指導者は再び機械に切り替わり、家族は指導の負担から解放される。
【0125】
機械による指導が行われた結果、1月29日時点でのユーザの行動指標は良好であるとされる「70」を維持した。故に、ステップS718が実行され、要求度は「0」に減少し、ユーザへの指導は行われなくなる。
【0126】
指導が行われなかった結果、2月5日時点でのユーザの行動指標は「60」へと低下した。「60」の行動指標は良好であると判定されるので、ステップS718が実行され、要求度は最低値である「0」のままとなる。この結果、ユーザへの指導は依然として行われない。
【0127】
再び指導が行われなかった結果、2月12日時点でのユーザの行動指標は「50」へと低下した。「50」の行動指標は良好でないと判定されるので、ステップS71が実行され、要求度は「1」に増加する。この結果、ユーザの指導者は機械に決定され、指導が再開する。
【0128】
機械による指導にも関わらず、2月19日時点でのユーザの行動指標は「50」から改善しなかった。「50」の行動指標は良好でないと判定されるので、ステップS71が実行され、要求度は「2」に増加する。この結果、ユーザの指導者は家族に切り替わり、ユーザの行動変容がより強力に促される。
【0129】
家族による指導が功を奏し、2月26日時点でのユーザの行動指標は良好であるとされる「60」へと改善した。故に、ステップS718が実行され、要求度は「1」に減少する。この結果、ユーザの指導者は再び機械に切り替わり、家族は指導の負担から解放される。
【0130】
機械による指導が行われた結果、3月5日時点でのユーザの行動指標は良好であるとされる「60」を維持した。故に、ステップS718が実行され、要求度は「0」に減少し、ユーザへの指導は再び行われなくなる。
【0131】
以上説明したように、本実施形態に係る端末は、ユーザが行動を変容する必要性を表す要求度を、ユーザの生体指標とユーザによる生体指標に影響を及ぼす行動の実績を表す行動指標とに基づいて算出する。そして、端末は、ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者をユーザ以外の人物を含む複数の候補の中から要求度に基づいて決定し、決定した指導者に指導を要求する。故に、この端末によれば、生体指標に影響を及ぼす行動の実績、例えば行動実績が良好か否か、また良好でない場合であっても改善傾向が見られるかどうか、に応じて適切なレベルの指導者を選択して行動変容を促すことができる。すなわち、ユーザの自由意思に委ねるべきか(指導なし)、機械によるメッセージ出力などの動機付けを行うべきか(機械が指導者)、日常生活の範囲内で他人に声かけなどの動機付けを依頼すべきか(家族、知人(例えば友人)などが指導者)、プロフェッショナルによる保健指導を依頼すべきか(医療関係者(例えば、医師、保健師、看護師、など)、トレーナーなどが指導者)、などを適切に切り替えることが可能となる。
【0132】
§4 変形例
以上、本開示の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本開示の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、各実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語等で指定される。
【0133】
例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0134】
本実施形態では、端末が生体指標および行動指標を生成し、要求度を算出し、指導者を決定し、指導要求データを生成する例について説明したが、これらの処理の一部または全部をサーバが担うこともできる。なお、かかる動作に着目すれば、変形例に係るサーバは行動変容支援装置、などと称することもできる。
【0135】
具体的には、図9に例示されるように、この変形例に係るサーバ800は、データ取得部811と、生体指標生成部812と、行動指標生成部813と、要求度算出部814と、指導者決定部815と、指導要求生成部816と、生体指標/行動指標記憶部821と、要求度記憶部822と、指導者データ記憶部823と、受信部831と、送信部832とを含む。
【0136】
また、サーバ800は、例えばコンピュータであって、そのハードウェア構成の一例が図10に模式的に例示される。図10に示される制御部810、記憶部820、通信I/F830、入力装置840、出力装置850、および外部I/F860は、スペックの優劣などを無視すれば、それぞれ図3に示される同名のハードウェアと基本的に同一または類似であり得る。故に、図10に示される各ハードウェアの説明は省略する。
【0137】
続いて、図9に例示されるサーバ800の個々の構成要素を説明するが、図1の端末100または図4の端末200における同名の構成要素と共通する部分について説明を省略することがある。
【0138】
データ取得部811は、受信部831からユーザの生体データおよび行動データを取得する。なお、サーバ800が複数のユーザのデータを扱う必要がある場合には、データ取得部811は生体データおよび行動データに加えてユーザの識別子を受信部831から取得し得る。
【0139】
生体指標生成部812および行動指標生成部813は、基本的に図1の端末100または図4の端末200における同名の要素と同一または類似である。ただし、サーバ800が複数のユーザのデータを扱う必要がある場合には、生体指標生成部812/行動指標生成部813は、ユーザの識別子と生体指標/行動指標との対応付けを行い得る。
【0140】
同様に、要求度算出部814および指導者決定部815も、基本的に図1の端末100または図4の端末200における同名の要素と同一または類似である。ただし、サーバ800が複数のユーザのデータを扱う必要がある場合には、要求度算出部814/指導者決定部815は、ユーザの識別子と要求度/指導者データとの対応付けを行い得る。
【0141】
指導要求生成部816は、指導者決定部815から指導者データを受け取り、指導者データに基づいて、ユーザに行動変容を促す指導をするよう指導者に要求する指導要求データを生成し、これを送信部832へ送る。なお、サーバ800が複数のユーザのデータを扱う必要がある場合には、指導要求生成部816は、ユーザの識別子と指導要求データとの対応付けを行い得る。
【0142】
受信部831は、例えば、ユーザの端末またはヘルスケア機器から生体データおよび/または行動データを受信し得る。なお、サーバ800が複数のユーザのデータを扱う必要がある場合には、受信部831は生体データおよび行動データに加えてユーザの識別子を受信し得る。
【0143】
送信部832は、例えば、指導要求生成部216から指導要求データを受け取り、これを適切な宛先、例えば指導者としての機械(ユーザの端末もしくはヘルスケア機器)、または指導者(家族、知人、医療関係者、トレーナー、など)の端末へ向けて送信し得る。
【0144】
このように、本実施形態に係る端末の処理の一部または全部をサーバが担うこともできる。これにより、端末の処理負荷が軽減される、などのメリットがある。
【0145】
§5 付記
上記実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
【0146】
ユーザの生体データおよび行動データを取得する取得部(101)と、
前記ユーザの生体指標を前記生体データに基づいて生成する生体指標生成部(102)と、
前記ユーザによる前記生体指標に影響を及ぼす行動の実績を表す行動指標を前記行動データに基づいて生成する行動指標生成部(103)と、
前記ユーザが行動を変容する必要性を2以上の段階で表す要求度を前記生体指標および前記行動指標に基づいて算出する算出部(105)と、
前記ユーザに行動変容を促す指導を行う指導者を少なくとも前記ユーザ以外の人物を含む複数の候補の中から前記要求度に基づいて決定する決定部(107)と、
前記指導者に前記指導を要求する指導要求データを生成する指導要求生成部(109)と
を具備する、行動変容支援装置(100)。
【符号の説明】
【0147】
100,200,500,600・・・端末
101,211,811・・・データ取得部
102,212,812・・・生体指標生成部
103,213,813・・・行動指標生成部
104,221,821・・・生体指標/行動指標記憶部
105,214,814・・・要求度算出部
106,222,822・・・要求度記憶部
107,215,815・・・指導者決定部
108,223,823・・・指導者データ記憶部
109,216,816・・・指導要求生成部
210,810・・・制御部
217・・・出力データ生成部
220,820・・・記憶部
230,830・・・通信I/F
231,831・・・受信部
232,832・・・送信部
240,840・・・入力装置
241・・・入力部
250,850・・・出力装置
251・・・出力部
260,860・・・外部I/F
300・・・ヘルスケア機器
400,800・・・サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10