(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20220906BHJP
F16C 33/76 20060101ALI20220906BHJP
F16C 19/18 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F16C33/78 E
F16C33/76 A
F16C19/18
(21)【出願番号】P 2018142358
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高梨 晴美
(72)【発明者】
【氏名】若林 達男
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-127203(JP,A)
【文献】特開2010-230150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00
F16C 33/00
F16C 43/00
F16J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、
外周面の前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有すると共に、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分で外径側に延出し、車輪を支持固定する為の回転側フランジを有するハブと、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、
前記外輪の軸方向外端部に支持固定された状態で、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口を塞ぐシールリングと、を備え、
該シールリングは、芯金と、該芯金に支持された弾性材製のシール材とを備え、
前記芯金は、金属材製で全体が円環状であり、前記外輪の軸方向外端部に嵌合固定される嵌合筒部と、該嵌合筒部の軸方向外端部から径方向外方に向けて折れ曲がった外向鍔部とを有し、
前記シール材は、弾性材製の接触リップと、前記外向鍔部の周囲を覆った外径側覆部と、前記外輪の軸方向外端部の嵌合径より小径の位置に設けられ、前記回転側フランジに向けて突出する環状突起と、を有する、
車輪支持用転がり軸受ユニット
の製造方法であって、
圧入治具の内周面を前記環状突起で案内させると共に、前記圧入治具の先端部を前記外径側覆部の軸方向外側面に当接させ、
前記外向鍔部及び前記外径側覆部を前記圧入治具によって前記外輪に向けて押し込むことで、前記嵌合筒部が、前記外輪の軸方向外端部に嵌合固定される、
車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記環状突起は、全周に亘って設けられる、
請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット
の製造方法。
【請求項3】
前記環状突起は、円周方向に間欠的に形成される、
請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット
の製造方法。
【請求項4】
前記環状突起は、軸方向外側に向かうほど小径となるテーパ状の外周面を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に使用される車輪支持用転がり軸受ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットでは、転動体が配置される内部空間を外部から密封するためのシールリングが使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の転がり軸受ユニットでは、懸架装置に支持固定された状態で使用時にも回転しない外輪の内周面と、車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブの外周面との間に設けられた内部空間の軸方向外端開口部を塞ぐため、
図6に示すシールリング100が使用されている。
【0003】
尚、本明細書及び特許請求の範囲の全体で、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車体の幅方向外側となる、
図1、2、4、5、6の左側を言い、反対に車体の幅方向中央側となる、
図1、2、4、5、6の右側を、軸方向に関して「内」と言う。
【0004】
シールリング100は、芯金101と、シール材110とから構成されている。芯金101は、外輪120の軸方向外端部の嵌合面に内嵌固定された嵌合筒部102と、嵌合筒部102の軸方向外端部から径方向外方に向けて直角に折れ曲がった外向鍔部103と、嵌合筒部102の軸方向内端部から軸方向外側に向けて180度折り返されると共に径方向内方に向けて折れ曲がった内径側支持部104と、を備える。
【0005】
また、シール材110は、弾性材製で、芯金101に対し加硫接着により結合固定されており、3本のシールリップ111~113と、外向鍔部103の周囲を覆うように設けられた外径側覆部114と、を備える。外向鍔部103の軸方向内側面は、この外径側覆部114の一部を介在させた状態で、外輪120の軸方向外端面に突き当てられる。
【0006】
さらに、外向鍔部103及び外径側覆部114のうち、外輪1の軸方向外端部よりも径方向外方に突出した部分により、堰部115が構成される。堰部115は、外輪1の外周面に付着した雨水、泥水等の水分が、外輪120の外周面に沿って軸方向外方に流れてきた場合でも、この水分を堰部115によって堰き止めることにより、この水分が外輪120の軸方向外端面と回転側フランジの軸方向内側面との間部分を通じて、シールリップ111~113へ滴下するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような構成を有するシールリング100を、外輪120の軸方向外端部の嵌合面に圧入するときは、芯金外径側の外向鍔部103を被覆するシール材110の外径側覆部114を介して、外向鍔部103を圧入治具で押し込む手法が採られている。その際、圧入治具の内径(以下、「圧入径」と呼ぶ。)と嵌合面の内径(以下、「嵌合径」と呼ぶ。)が異なるため、圧入治具と芯金101の外向鍔部103が芯ずれしていると、嵌合部への圧入力の伝わり方が全周で不均一となり、外輪120の正規位置への圧入(軸方向位置の他、軸線との傾きを含む)ができなかったり、芯金101に変形が生じたりする。
【0009】
特許文献1に記載のシールリング100では、圧入治具が当接する圧入面を軸方向外側に突出させ、圧入治具が芯ずれを起こしていても、少なくとも圧入面内径側(圧入の出来栄えに影響が大きい側)は、圧入面に圧入治具が均一に当たるようにしている。
しかしながら、このシールリングでは、圧入面のゴム被覆が厚くなるので、かえって、正規位置への圧入が難しくなる虞がある。
【0010】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、圧入治具を均一な圧入力、且つ同芯でシール部材に当接させることができ、芯金の変形無く、シールリングを外輪の正規位置へ圧入することができる車輪支持用転がり軸受ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、
外周面の前記外輪軌道と対向する部分に内輪軌道を有すると共に、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分で外径側に延出し、車輪を支持固定する為の回転側フランジを有するハブと、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、
前記外輪の軸方向外端部に支持固定された状態で、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する内部空間の軸方向外端開口を塞ぐシールリングと、を備え、
該シールリングは、芯金と、該芯金に支持された弾性材製のシール材とを備え、
前記芯金は、金属材製で全体が円環状であり、前記外輪の軸方向外端部に嵌合固定される嵌合筒部と、該嵌合筒部の軸方向外端部から径方向外方に向けて折れ曲がった外向鍔部とを有し、
前記シール材は、弾性材製の接触リップと、前記外向鍔部の周囲を覆った外径側覆部と、前記外輪の軸方向外端部の嵌合径より小径の位置に設けられ、前記回転側フランジに向けて突出する環状突起と、を有する、
車輪支持用転がり軸受ユニット。
(2) 前記環状突起は、全周に亘って設けられる、
(1)に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
(3) 前記環状突起は、円周方向に間欠的に形成される、
(1)に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
(4) 前記環状突起は、軸方向外側に向かうほど小径となるテーパ状の外周面を有する、
(1)~(3)のいずれかに記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
【発明の効果】
【0012】
上述の様な構成を有する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、圧入治具を均一な圧入力、且つ同芯でシール部材に当接させることができ、芯金の変形無く、シールリングを外輪の正規位置へ圧入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの断面図である。
【
図3】シールリングを外輪の軸方向外端部に嵌合固定する過程を示し、(a)は、嵌合固定前の状態図であり、(b)は、嵌合固定後の状態図である。
【
図4】本発明の第1変形例に関する、シールリングの断面図である。
【
図5】本発明の第2変形例に関する、シールリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットに就いて、
図1~3を用いて詳細に説明する。
本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットは、従動輪用であり、外輪1と、ハブ2と、複数の転動体3、3と、複数本のスタッドボルト4と、シールリング5と、キャップ6とを備える。
【0015】
外輪1は、外周面に静止側フランジ7を、内周面に複列の外輪軌道8a、8bを、それぞれ有している。外輪1は、使用時に、静止側フランジ7を、懸架装置のナックルに結合固定する事により、この懸架装置に支持された状態で回転しない。
【0016】
ハブ2は、ハブ本体9と内輪10とを結合する事により構成されており、外輪1の内径側に外輪1と同軸(同芯)に配置されている。
【0017】
ハブ本体9には、外輪1の軸方向外端開口から軸方向外方に突出した部分に外径側に延出し、車輪(従動輪)及びディスクロータ等の制動用回転部材を支持固定する為の円輪状の回転側フランジ11が設けられている。具体的に、回転側フランジ11に設けられた各挿通孔22には、それぞれスタッドボルト4がセレーション嵌合されている。
【0018】
又、ハブ本体9の外周面には、外輪1の内周面に設けられた軸方向外側列の外輪軌道8aと対向する部分に、軸方向外側列の内輪軌道12aが設けられている。又、ハブ本体9の外周面のうち、外輪1の内周面に設けられた軸方向内側列の外輪軌道8bと対向する軸方向内端部には、小径段部13が設けられている。
【0019】
内輪10の外周面には、軸方向内側列の内輪軌道12bが設けられている。内輪10は、ハブ本体9の小径段部13に締り嵌めにより外嵌固定された状態で、ハブ本体9の軸方向内端部に形成されたかしめ部23により軸方向内端面を抑え付けられている。
【0020】
転動体3、3は、軸方向外側列の外輪軌道8aと内輪軌道12aとの間部分、及び、軸方向内側列の外輪軌道8bと内輪軌道12bとの間部分に、それぞれ複数ずつ、保持器24、24により保持された状態で転動自在に設けられている。尚、図示の例では、転動体3、3として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
【0021】
シールリング5は、外輪1の軸方向外端部に支持固定された状態で、この外輪1の内周面とハブ2の外周面との間に存在する、複数の転動体3、3が設けられた内部空間28の軸方向外端開口を塞いでいる。
一方、キャップ6は、有底円筒状に構成されており、外輪1の軸方向内端部に組み付けられた状態で、外輪1の軸方向内端開口を塞いでいる。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の場合、シールリング5は、芯金29と、シール材30とから構成されている。
【0023】
芯金29は、鋼板等の金属板に打ち抜き及び曲げ等のプレス加工を施す事により、全体を円環状に構成されており、円筒状の嵌合筒部31と、嵌合筒部31の軸方向外端部から径方向外方に向けて折れ曲がった外向鍔部32と、嵌合筒部31の軸方向内端部から軸方向外側に向けて折り返されると共に径方向内方に向けて折れ曲がった内径支持部33とを有している。嵌合筒部31は、外輪1の軸方向外端部の内周面である嵌合面1aに締り嵌めで内嵌固定されると共に、外向鍔部32の軸方向内側面は、外輪1の軸方向外端面に、シール材30を介在させた状態で突き当てられている。又、本実施形態の場合、外向鍔部32の外径寸法は、外輪1の軸方向外端部の外径寸法よりも大きくなっている。
【0024】
シール材30は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、芯金29に加硫接着により結合固定されており、3本の接触リップ(接触式シールリップ)34、35、36を有する。
【0025】
3本の接触リップ34、35、36は、内部空間28に近い側から、第一接触リップ34、第二接触リップ35、第三接触リップ36の順に配置されており、それぞれの先端部を、外輪1と相対回転する相手面である、ハブ本体9の表面に全周に亙り摺接させている。
【0026】
より具体的には、第一接触リップ34の先端部は、軸方向に関して径寸法が変化しないハブ本体9の円筒面部21に全周に亙り摺接し、内部空間28からのグリースの漏洩防止機能を高めている。第二接触リップ35の先端部は、径方向外側に向かう程軸方向外側に向かう方向に傾斜した、母線形状が凹円弧形の曲面部20に全周に亙り摺接し、外部空間からの異物侵入防止機能を高めている。第三接触リップ36の先端部も、曲面部20、又は、曲面部20の径方向外側に隣接して、ハブ本体9の中心軸に対して直交する円輪面部19に全周に亙り摺接し、外部空間からの異物侵入防止機能を高めている。尚、
図1、2、4、5では、3本の接触リップ34、35、36を含むシール材30の形状は、このシール材30の自由状態で示している。
【0027】
又、シール材30には、芯金29を構成する外向鍔部32の表面のほぼ全体を覆う、外径側覆部38が設けられている。外向鍔部32の軸方向内側面は、外径側覆部38の一部を介在させた状態で外輪1の軸方向外端面に突き当てられている。又、本実施形態の場合、外向鍔部32及び外径側覆部38のうち、外輪1の軸方向外端部よりも径方向外方に突出した部分により、堰部39が構成されている。
なお、本実施形態では、外径側覆部38の軸方向内側面及び軸方向外側面は、ハブ本体9の中心軸に対して直交する平坦面とされている。
この為、外輪1の外周面に付着した雨水、泥水等の水分が、外輪1の外周面に沿って軸方向外方に流れてきた場合でも、この水分を堰部39によって堰き止める事により、この水分が外輪1の軸方向外端面と回転側フランジ11の軸方向内側面との間部分を通じて第三接触リップ36にまで到達する事を防止できる。
【0028】
また、シール材30の軸方向外側面には、外輪1の軸方向外端部の嵌合径、即ち、嵌合面1aの内径φAより小径の位置に、回転側フランジ11に向けて軸方向に突出する環状突起40が設けられている。この環状突起40は、上述したように、嵌合筒部31を、外輪1の軸方向外端部の嵌合面1aに締り嵌めで内嵌固定する際に、圧入治具50の内周面を案内する。
具体的に、まず、
図3(a)に示すように、圧入治具50の圧入径、即ち、圧入治具50の内径φBは、嵌合面1aの内径φAより小さく、環状突起40の外径よりもわずかに大きく設計されている。そして、定配装置から切り出されたシールリング5が外輪1の軸方向外側開口にセットされる。また、圧入治具50の内周面を環状突起40で案内させると共に、圧入治具50の先端部を外径側覆部38の軸方向外側面に当接させる。その後、
図3(b)に示すように、外向鍔部32及び外径側覆部38を圧入治具50で外輪1に向けて押し込むことで、嵌合筒部31は、外輪1の軸方向外端部の嵌合面1aに内嵌固定される。その際、圧入治具50は、環状突起40で案内されているので、圧入治具50とシールリング5との芯ずれがなく、シールリング5は、芯金29の変形無く、外輪1の正規位置に圧入される。
なお、本実施形態では、環状突起40は、外径側覆部38の軸方向外側面の内径側端部に、軸方向から見て、芯金29の嵌合筒部31と部分的に重なる位置に設けられている。
また、環状突起40は、近接対向する回転側フランジ11の円輪面部19との間にラビリンスシールを形成するような軸方向長さに設定されてもよい。
【0029】
上述の様な構成を有する本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、シール材30は、弾性材製の接触リップ34、35、36と、芯金29の外向鍔部32の周囲を覆った外径側覆部38と、外輪1の軸方向外端部の嵌合径φAより小径の位置に設けられ、回転側フランジ11に向けて突出する環状突起40と、を有するので、シールリング5の芯金29の嵌合筒部31を外輪1の軸方向外端部の嵌合面1aに内嵌固定する際、圧入治具50を均一な圧入力、且つ同芯でシール材30に当接させることができ、芯金29の変形無く、シールリング5を外輪1の正規位置へ圧入することができる。また、圧入治具50とシールリング5の芯ずれが防止されているので、圧入治具50が当接する外径側覆部38の軸方向外側面の軸方向厚さを薄く設計することができる。
【0030】
尚、本発明を実施する場合には、上述した実施形態の第1変形例として、
図4に示す様に、環状突起40Aは、軸方向外側に向かうほど小径となるテーパ状の外周面41を有する構成を採用する事もできる。なお、テーパ状の外周面41は、直線状に限定されず、凸曲面状であってもよい。この様な構成を採用する場合、定配装置から切り出したシールリング5が外輪1の軸方向外側開口に少し傾いた状態で置かれても、圧入治具50と外輪1の軸芯があっていれば、圧入治具50で傾きを矯正しながら、シールリング5を圧入できる。
【0031】
又、本発明を実施する場合には、上述した実施形態の第2変形例として、
図5に示す様に、環状突起40Bは、円周方向に間欠的に形成される構成を採用する事もできる。第2変形例の環状突起40Bは、円周方向等配となる3箇所に設けられている。尚、環状突起40Bは、4箇所以上に設けられてもよい。この場合、仮に、環状突起40Bが回転側フランジ11と接触しても、トルク発生による発熱や環状突起40Bの損耗が少ないので、環状突起40Bをより高くすることができ、圧入治具50とシールリング5との同芯性を向上することができる。また、第1変形例のように、環状突起40Bの外周面41をテーパ状の凸曲面とした場合には、シールリング5の調心性を向上することができる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態(変形例を含む)の構成を適宜組み合わせて実施する事ができる。
また、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、上述した従動輪用に限らず、駆動輪用にも適用可能である。
さらに、本発明の環状突起は、圧入治具の内周面を案内する同一円周上に設けられた3つの突起によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 スタッドボルト
5 シールリング
6 キャップ
7 静止側フランジ
8a、8b 外輪軌道
9 ハブ本体
10 内輪
11 回転側フランジ
12a、12b 内輪軌道
13 小径段部
19 円輪面部
20 曲面部
21 円筒面部
23 かしめ部
24 保持器
28 内部空間
29 芯金
30 シール材
31 嵌合筒部
32 外向鍔部
33 内径支持部
34 第一接触リップ
35 第二接触リップ
36 第三接触リップ
38 外径側覆部
39 堰部
40、40A、40B 環状突起