(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】包装容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/64 20170101AFI20220906BHJP
B65D 5/40 20060101ALI20220906BHJP
B65D 5/74 20060101ALI20220906BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20220906BHJP
B31B 120/30 20170101ALN20220906BHJP
B31B 110/35 20170101ALN20220906BHJP
B31B 110/30 20170101ALN20220906BHJP
B31B 105/00 20170101ALN20220906BHJP
【FI】
B31B50/64
B65D5/40 BSQ
B65D5/40 BRD
B65D5/74 020Z
B65D5/36 C BSK
B31B120:30
B31B110:35
B31B110:30
B31B105:00
(21)【出願番号】P 2018153129
(22)【出願日】2018-08-16
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-289436(JP,A)
【文献】特開平7-257501(JP,A)
【文献】特開2004-123100(JP,A)
【文献】実開平4-7407(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/64
B65D 5/40
B65D 5/74
B65D 5/36
B31B 105/00
B31B 110/30
B31B 110/35
B31B 120/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天部側シート、天部側シートに装着したスパウト及び底部側シートから成る三部品を含んで構成され、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して成り、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができる包装容器の製造方法であって、
前記天部側シートが、中央に多角形状の天面を有していると共にこの天面に開口部を有しており、この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有し、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有し、これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、かつ、隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている構造を有しており、
前記底部側シートが、中央に多角形状の底面を有し、この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有し、互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有し、これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、かつ、隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている構造を有しており、
天部側シートの前記開口部に前記スパウトを装着してスパウトを装着した天部側シートを製造するスパウト付き天部側シート製造工程と、
前記スパウト付き天部側シートの前記天部側固定部と、底部側シートの前記底部側固定部とを互いに固定する固定工程と、
を備えることを特徴とする包装容器の製造方法。
【請求項2】
前記スパウト付き天部側シート製造工程が、天部側シートを製造した後スパウトを装着する工程であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記スパウト付き天部側シート製造工程が、天部側シートを形成するシートに前記スパウトを装着した後、このシートを打ち抜いてスパウトを装着した天部側シートを製造する工程であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記スパウトが筒状胴部とこの筒状胴部の端部から外側に向けて張り出したフランジ部とを有しており、スパウトを装着する工程が、前記スパウトのフランジ部を包装容器の内面側に溶着する工程を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート材を箱型に折り曲げ、端部を重ね合わせてシールすることにより形成される包装容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紙を基材とするシート材を用いた容器本体のサイドシールに剥離可能なプルタブを設けて、プルタブが、易剥離性のテープ状フィルムによる剥離層を介して剥離可能に設けられている包装容器(液体包装用紙容器)が開示されている。この包装容器は、プルタブを引っ張ることによってサイドシール部を剥離して、あるいは側面板に設けたプルタブを引っ張ることによって側面板を切り破って、それをきっかけとして解体することができる。
【0004】
特許文献1の包装容器は廃棄に際して解体が容易であるため、ゴミの減容化に有用であるが、一度解体した包装容器を再度組立てて使用することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題に対処するため、本出願人は、特願2017-143706号を特許出願した。この特許出願に係る発明によれば、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、一度平坦な状態に潰した後でも再び箱型の状態に戻すことにより再使用することが可能な包装容器を得ることができる。
【0007】
また、この包装容器には開口部が設けられており、この開口部にスパウトを装着することにより、このスパウトを通じて内容物を充填し、また、注出することができる(特願2017-245358号)。
【0008】
本発明は、このように箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる包装容器を前提として、スパウトを装着した包装容器を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、天部側シート、天部側シートに装着したスパウト及び底部側シートから成る三部品を含んで構成され、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して成り、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができる包装容器の製造方法であって、
前記天部側シートが、中央に多角形状の天面を有していると共にこの天面に開口部を有しており、この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有し、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有し、これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、かつ、隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りでき
る天部側二つ折り用罫線が設けられている構造を有しており、
前記底部側シートが、中央に多角形状の底面を有し、この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有し、互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有し、これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、かつ、隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている構造を有しており、
天部側シートの前記開口部に前記スパウトを装着してスパウトを装着した天部側シートを製造するスパウト付き天部側シート製造工程と、
前記スパウト付き天部側シートの前記天部側固定部と、底部側シートの前記底部側固定部とを互いに固定する固定工程と、
を備えることを特徴とする包装容器の製造方法である。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記スパウト付き天部側シート製造工程が、天部側シートを製造した後スパウトを装着する工程であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法である。
【0011】
次に、請求項3に記載の発明は、前記スパウト付き天部側シート製造工程が、天部側シートを形成するシートに前記スパウトを装着した後、このシートを打ち抜いてスパウトを装着した天部側シートを製造する工程であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法である。
【0012】
次に、請求項4に記載の発明は、前記スパウトが筒状胴部とこの筒状胴部の端部から外側に向けて張り出したフランジ部とを有しており、スパウトを装着する工程が、前記スパウトのフランジ部を包装容器の内面側に溶着する工程を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装容器は、前述のような構造の天部側シートと底部側シートとをその周縁で全周に渡って互いに固定しているため、天部側つなぎ片及び底部側つなぎ片を、それぞれ、天部側二つ折り用罫線及び底部側つなぎ片で二つ折りすることにより、平坦な状態から箱型の状態へ変形することができる。また、こうして箱型の状態となった包装容器の固定部を容器外側に向けて引っ張ることにより、二つ折りされた天部側つなぎ片及び底部側つなぎ片が開き、包装容器を平坦な状態に変形する。この変形は可逆的であり、このため、繰り返して変形することができる。
【0014】
そして、本発明においては、天部側シートの開口部にスパウトを装着した後、天部側シートと底部側シートとを互いに固定するため、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、しかもスパウトを装着した包装容器を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図2】
図2は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図3】
図3は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、そのスパウトの斜視図である。
【
図4】
図4は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、スパウト装着工程の説明用斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、固定工程の説明用斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、製造された包装容器を箱型の状態としたときの斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の製造方法の第1の具体例の変形例に係り、1枚のシートで天部側シートと底部側シートの双方を構成した場合の平面図である。
【
図8】
図8は本発明の製造方法の第2の具体例に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図9】
図9は本発明の製造方法の第2の具体例に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図10】
図10は本発明の製造方法の第2の具体例に係り、製造された包装容器を箱型の状態としたときの斜視図である。
【
図11】
図11は本発明の製造方法の第3の具体例に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図12】
図12は本発明の製造方法の第3の具体例に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図13】
図13は本発明の製造方法の第3の具体例に係り、製造された包装容器を箱型の状態としたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体例を説明する。
図1~6は本発明の製造方法の第1の具体例に係り、このうち、
図1~3は製造する包装容器1の構成部品を示している。すなわち、本発明の製造方法で製造される包装容器1は、少なくとも天部側シート1A、底部側シート1B、スパウト1Cの三部品で構成され、
図1は天部側シート1Aの平面図、
図2は底部側シート1Bの平面図、
図3はスパウト1Cの斜視図である。
【0017】
(天部側シート1A)
まず、天部側シート1Aは、その中央に多角形状の天面1A10を有している。この例では、長方形状である。そして、この天面1A10には開口部1A11が設けられている。
【0018】
次に、天部側シート1Aは、多角形状の天面1A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面1A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面1A21~1A24を有している。天部側側面1A21~1A24の数は、多角形状天面1A10の辺の数と同じである。この例では天面1A10は四角形状であるから、この四角形状天面1A10の辺の数は4であり、天部側側面1A21~1A24の数も4である。
【0019】
また、天部側シート1Aは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面1A21~1A24同士を繋ぐ天部側つなぎ片1A31~1A34を有している。すなわち、天部側側面1A21と天部側側面1A22との間は天部側つなぎ片1A31で繋がれている。また、天部側側面1A22と天部側側面1A23との間は天部側つなぎ片1A32で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。
【0020】
そして、この天部側つなぎ片1A31~1A34によって、天部側側面1A21~1A24の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片1A31~1A34はその角部に位置して、天部側側面1A21~1A24の間を閉塞している。例えば、天部側側面1A21と天部側側面1A22との間は天部側つなぎ片1A31で閉塞している。
【0021】
この天部側つなぎ片1A31~1A34は、天面1A10の各頂点から、天部側つなぎ片1A31~1A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、
図1に拡大して示すように、例えば、天部側側面1A23と天部側側面1A24とは、天面1A10の頂点1A10bを共有している。天部側側面1A23を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A23bを付して示している。また、天部側側面1A24を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A24bを付して示している。そして、この辺1A23bと辺1A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線1A33cが設けられている。すなわち、図において、辺1A23bと二つ折り用罫線1A33cとがなす角α1と、辺1A24bと天部側二つ折り用罫線1A33cとがなす角α2とは等しい。以上天部側つなぎ片1A33を例として天部側二つ折り用罫線1A33cについて説明したが、その他の天部側つなぎ片1A31~1A32,1A34にも同様に天部側二つ折り用罫線1A31c~1A32c,1A34cが設けられている。
【0022】
次に、天部側シート1Aは、これら天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート1Bと固定する天部側固定部1A40を有している。この例では、天部側固定部1A40は、全周にわたってヒートシール領域で構成しているが、後述する変形例のように、天部側シート1Aと底部側シート1Bの両者を1枚のシートで構成する場合には、天部側固定部1A40の一部を天部側シート1Aと底部側シート1Bとを区画する折り曲げ用罫線1ABで構成することも可能である。
【0023】
図から分かるように、この天部側固定部1A40の端縁1Ayは、天部側固定部1A40の外形線を構成すると共に、天部側シート1Aの端縁(外形線)を構成している。この例では、天部側シート1Aの端縁1Ayの形状は略長方形で、その角は面取りして鋭利な部分を除去してある。なお、この天部側シート1Aの端縁には、底部側シート1Bとの位置合わせマークを設けることもできる。位置合わせマークは、天部側シート1Aの端縁から窪んだ凹部又は突出した凸部で構成することが可能である。
【0024】
なお、
図1においては、天部側固定部1A40にハッチングを施して示し、この天部側固定部1A40と天部側側面1A21~1A24との境界、及び天部側固定部1A40と天部側つなぎ片1A31~1A34との境界を破線1Axによって示しているが、これらは説明の便宜のために施したものである。後述する底部側シート1Bの底部側固定部1B40と底部側側面1B21~1B24との境界1Bxと異なり、天部側固定部1A40と天部側側面1A21~1A24との境界には折り曲げ用罫線は存在しない。天部側固定部1A40と天部側つなぎ片1A31~1A34との境界にも折り曲げ用罫線は存在しない。
【0025】
なお、天部側シート1Aは任意の素材で構成することができるが、包装容器1の内面側となる表面(内表面)にヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。この内表面のヒートシール性樹脂層は2つの役割を果たすものである。すなわち、第1にスパウト1Cのフランジ部1C2と溶着してこれを固定する。また、第2に、天部側シート1Aの天部側固定部1A40と底部側シート1Bの底部側固定部1B40とを互いにヒートシールして、包装容器1の固定部140を形成する。ヒートシール性の樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を採用することができる。
【0026】
例えば、この天部側シート1Aとして、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やヒートシール性の樹脂層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要
な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。例えば、紙の外面側にポリエチレン樹脂層を積層し、内面側に、順次、ポリエチレン樹脂層、アルミニウム箔、ポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂層を積層して、内表面をポリエチレン樹脂層で構成した天部側シート1Aである。なお、天部側シート1Aは、その端部が既知の方法で端面保護されていてもよい。
【0027】
(底部用シート1B)
次に、底部用シート1Bは天部側シート1Aと同様の構造を有している。すなわち、まず、底部用シート1Bは中央に多角形状の底面1B10を有している。この多角形状底面1B10は天面1A10と同形同大である。
【0028】
また、底部用シート1Bは、多角形状の底面1B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面1B21~1B24を、前記多角形状底面1B10の辺の数と同じ数だけ有している。これら底部側側面1B21~1B24も、それぞれ、天部側側面1A21~1A24と同形同大である。
【0029】
また、底部用シート1Bは、互いに隣接する各底部側側面1B21~1B24の間に、この底部側側面1B21~1B24同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片1B31~1B34を有している。これら底部側つなぎ片1B31~1B34は天部側つなぎ片1A31~1A34と同形同大である。
【0030】
また、各底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片1B31~1B34には、底面1B10の各頂点から、底部側つなぎ片1B31~1B34を二等分する底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cが設けられている。
【0031】
次に、底部側シート1Bは、これら底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート1Aと固定する底部側固定部1B40を有している。この例では、底部側固定部1B40は、全周にわたってヒートシール領域である。
【0032】
図から分かるように、この底部側固定部1B40の外形線1Byは、底部側固定部1B40の外形線を構成すると共に、底部側シート1Bの端縁(外形線)を構成している。この例では、その外形は略長方形である。この底部側シート1Bの端縁に、天部側シート1Aとの位置合わせマークを設けることも可能である。位置合わせマークは、底部側シート1Bの端縁から窪んだ凹部又は突出した凸部で構成することが可能である。
【0033】
底部側シート1Bは天部側シート1Aと同形同大であってよいが、底部側シート1Bの外形を天部側シート1Aの外形より小さく構成することもできる。底部側シート1Bを天部側シート1Aよりも小さく構成する場合には、その差は、縦横共に0.6mm以上であることが望ましい。このように底部側シート1Bを天部側シート1Aより0.6mm以上小さく構成した場合には、製造した包装容器を箱型の状態に変形したとき、その外観を美麗にすることができる。なお、この例では、底部側シート1Bは天部側シート1Aと同形同大である。
【0034】
なお、底部側シート1Bの底部側固定部1B40と底部側側面1B21~1B24との境界、及び底部側固定部1B40と底部側つなぎ片1B31~1B34との境界には折り曲げ用罫線1Bxが設けられている。天部側シート1Aの天部側固定部1A40の境界には折り曲げ用罫線が存在しないから、この両シート1A,1Bを重ねて固定し、箱型の状態としたとき、互いに固定された両固定部1A40,1B40は折り曲げ用罫線1Bxに
よって底部側シート1B側に折り曲げられ、その外側を天部側シート1Aが覆うことになる。
【0035】
底部側シート1Bも任意の素材で構成することができるが、包装容器1の内面側となる表面(内表面)にヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。この内表面のヒートシール性樹脂層は、天部側シート1Aの天部側固定部1A40と底部側シート1Bの底部側固定部1B40とを互いにヒートシールして、包装容器1の固定部140を形成する役割を有するものである。
【0036】
例えば、この底部側シート1Bとして、天部側シート1Aと同様に、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やヒートシール性の樹脂層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。また、底部側シート1Bの端部も既知の方法で端面保護されていてもよい。
【0037】
(スパウト1C)
スパウト1Cは、筒状胴部1C1とフランジ部1C2とを備えて構成されている。
【0038】
筒状胴部1C1は天部側シート1Aの開口部1A11に挿入されるもので、その中央に上下方向に貫通する流路が設けられており、この流路を通じて内容物を包装容器1に充填し、あるいは包装容器1内部の内容物を注出することができる。
【0039】
また、フランジ部1C2は筒状胴部1C1の端部から外側に向けて張り出したもので、このフランジ部1C2を天部側シート1Aの開口部1A11周縁に溶着することにより、スパウト1Cを天部側シート1Aに固定することができる。
【0040】
(スパウト付き天部側シート製造工程)
次に、スパウト付き天部側シート製造工程は天部側シート1Aの前記開口部1A11に前記スパウト1Cを装着することによりスパウトを装着した天部側シートを製造する工程である。
【0041】
天部側シート1Aを製造した後にスパウト1Cを装着してもよいが、次の方法でスパウト付き天部側シートを製造することもできる。
【0042】
すなわち、まず、天部側シート1Aを形成する枚葉状又は巻取り状のシートの所定位置に前記開口部1A11を設け、この開口部1A11に前記スパウト1Cを装着した後、このシートを打ち抜いてスパウト付き天部側シートを製造することができる。また、各折り曲げ用罫線はその任意の工程で形成することができる。例えば、枚葉状又は巻取り状の前記シートに前記開口部1A11を設けると同時に各折り曲げ用罫線を形成することもできるし、スパウトを装着した後各折り曲げ用罫線を形成し、次いでシートを打ち抜いてスパウトを装着した天部側シートを製造することもできる。また、シートを打ち抜いてスパウトを装着した天部側シートを製造すると同時に各折り曲げ用罫線を形成してもよい。あるいは、スパウトを装着する工程とシートの打ち抜き工程の間で各折り曲げ用罫線を形成してもよいし、シートを打ち抜いた後に各折り曲げ用罫線を形成してもよい。
【0043】
天部側シート1Aを製造した後スパウト1Cを装着する場合を例として説明すると、この工程は、
図4に示すように、天部側シート1Aの両面のうち、包装容器1の内面側となる表面(内表面)側からスパウト1Cの筒状胴部1C1を挿入し、開口部1A11にフランジ部1C2を溶着することにより行うことができる。天部側シート1A又は筒状胴部1C1のいずれか一方又は双方から熱圧することによって両者を溶着することもできるし、超音波溶着することも可能である。
【0044】
(固定工程)
固定工程は、天部側シート1Aの前記天部側固定部1A40と底部側シート1Bの前記底部側固定部1B40とを互いに固定する工程である。この工程はスパウト付き天部側シート製造工程の後に行う必要がある。すなわち、この工程で使用する天部側シート1Aは、スパウト1Cを装着したものである。
【0045】
この固定工程は、
図4に示すように、天部側シート1Aと底部側シート1Bとを位置合わせして重ね、両固定部1A40,1B40同士をヒートシールすることにより、行うことができる。天部側シート1A又は底部側シート1Bのいずれか一方又は双方から熱圧することによって両者を溶着することもできるし、超音波照射してヒートシールすることもできる。なお、両固定部1A40,1B40は、その全幅に渡ってヒートシールする必要はないが、両シート1A,1Bを全周に渡って互いに固定できるようにヒートシールする必要がある。その剥離強度は9N以上であることが望ましい。
【0046】
この工程によって、平坦な状態の包装容器1を製造することができる。その平面図は天部側シート1Aの平面図(
図1)と同様である。
【0047】
(平坦な状態から箱型の状態への変形方法)
次に、この平坦な状態の包装容器1を箱型の状態に変形させる方法を説明する。
図6に、箱型の状態に変形させ、各つなぎ片1A31~1A34,1B31~1B34を外面に折り重ねた状態の包装容器1を示す。
【0048】
平坦な状態の包装容器1を箱型の状態に変形させるためには、天部側つなぎ片1A31~1A34及び底部側つなぎ片1B31~1B34を、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線1A31c~1A34cと底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすればよい。この二つ折りによって、天部側シート1Aの天部側側面1A21~1A24のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合う。
図1の拡大図を参照して天部側つなぎ片1A33について説明すると、この天部側つなぎ片1A33を天部側二つ折り用罫線1A33cで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片1A33の両側に位置する天部側側面1A23の辺1A23bと天部側側面1A24の辺1A24bとが互いに重なり合う。
【0049】
ところで、平坦な状態の包装容器1においては、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33と底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線1A33cと底部側二つ折り用罫線1B33cも互いに正確に重なり合っており、位置ずれがあってもわずかであるから、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33を天部側二つ折り用罫線1A33cで二つ折りするとき、底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33も底部側二つ折り用罫線1B33cで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片1B33の両側に位置する底部側側面1B23の辺1B23bと底部側側面1B24の辺1B24bも互いに重なり合う。
【0050】
そして、天部側シート1Aの天部側側面1A23と底部側シート1Bの底部側側面1B23とは容器固定部140を介して連続しているから、この両側面1A23,1B23によって箱型の状態の包装容器1の側面123が構成される。
【0051】
また、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33と底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33も容器固定部140を介して連続しているから、この両つなぎ片1A33,1B33で構成された部分を容器つなぎ片133と呼ぶと、この容器つなぎ片133によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面1A23と底部側側面1
B23とで構成される側面123と、天部側側面1A24と底部側側面1B24とで構成される側面124との間を、容器つなぎ片133で繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。
【0052】
以上、天部側つなぎ片1A33及び底部側つなぎ片1B33で構成された容器つなぎ片133を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。すなわち、天部側つなぎ片1A31及び底部側つなぎ片1B31で構成された容器つなぎ片131を、その中央の天部側二つ折り用罫線1A31c及び底部側二つ折り用罫線1B31cがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面1A21と底部側側面1B21とで構成される側面121及び天部側側面1A22と底部側側面1B22とで構成される側面122が構成され、これら側面121と側面122との間を容器つなぎ片131で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片1A32及び底部側つなぎ片1B32で構成された容器つなぎ片132を、その中央の天部側二つ折り用罫線1A32c及び底部側二つ折り用罫線1B32cがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面1A22と底部側側面1B22とで構成される側面123及び天部側側面1A23と底部側側面1B23とで構成される側面123が構成され、これら側面122と側面123との間を容器つなぎ片1B32で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片1A34及び底部側つなぎ片1B34で構成されたつなぎ片134を、その中央の天部側二つ折り用罫線1A34c及び底部側二つ折り用罫線1B34cがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面1A24と底部側側面1B24とで構成される側面124及び天部側側面1A21と底部側側面1B21とで構成される側面121が構成され、これら側面124と側面121との間を容器つなぎ片134で繋いで閉塞する。
【0053】
そして、このようにすべての容器つなぎ片131~134を二つ折りすることにより、各側面121~124が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、箱型の状態の包装容器1を製造することができる。この箱型の状態の包装容器1は、天面1A10と底面1B10とを有し、その周囲に側面121~124が設けられており、しかも、側面121~124の間を容器つなぎ片131~134が閉塞しているから、前記開口部1A11を除いて密封された状態にある。
【0054】
なお、底部側シート1Bの底部側固定部1B40の前記境界1Bxには折り曲げ用罫線が設けられており、天部側シート1Aの天部側固定部1A40の前記境界1Axには折り曲げ用罫線が設けられていないから、両固定部1A40,1B40がヒートシールされて形成された容器固定部140は、底部側シート1Bの方向に折り曲げられる。すなわち、底部側固定部1B40は前記境界1Bxに設けられた折り曲げ用罫線で底部側シート1Bの方向に折り曲げられ、天部側シート1Aの天部側固定部1A40は、その境界1Axで折り曲げられることなく、底部側シート1Bの底部側固定部1B40の外面側に重ねられる。
【0055】
この際、底部側シート1Bが天部側シート1Aより小さく構成されている場合には、底部側シート1Bの端縁1Byは天部側シート1Aの天部側固定部1A40に覆われて外面に露出することがない。底部側シート1Bの寸法が天部側シート1Aより0.6mm以上小さい場合には、仮に、天部側シート1Aと底部側シート1Bとの間に位置ずれがあった場合でも、そのずれが0.3mm以内であれば、底部側シート1Bの端縁1Byが、天部側シート1Aからはみだして露出することがない。
【0056】
なお、このようにつなぎ片131~134を二つ折りして箱型の状態の包装容器1を製造する際には、開口部11から空気等を吹き込みながら二つ折りすることが望ましい。
【0057】
次に、このように箱型の状態に変形された状態では、二つ折りされたつなぎ片131~134が、包装容器1の外面に突出している。そこで、このつなぎ片131~134を包装容器1の各側面121~124に折り重ねることによって、その外観を整えることが望ましい。
図6はこのようにつなぎ片131~134を包装容器1の各側面121~124に折り重ねた状態の包装容器1を示している。つなぎ片131~134は、接着剤、接着テープあるいは面ファスナーやスナップボタン等の接合部材によって、各側面121~124に着脱自在に固定することができ、また、各シートの表面にあらかじめヒートシール性の樹脂を積層しておくことで、ホットエアー等の熱と加圧により固定することができる。また、この箱型の状態の包装容器1に筒状のスリーブを被せて、つなぎ片131~134を包装容器1の各側面121~124に折り重ねることも可能である。
【0058】
(箱型の状態から平坦な状態への変形方法)
次に、箱型の状態の包装容器1を平坦な状態に変形させるためには、容器固定部140を把持して、包装容器1の外方に引っ張ればよい。容器固定部140を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片131~134が開き、包装容器1を平坦な状態に変形する。
【0059】
(包装容器1の使用方法)
この包装容器1は、次にように使用することができる。
【0060】
すなわち、まず、この包装容器1を平坦な状態で製造し、かつ、この状態で保管し、内容物充填工程まで移送することが望ましい。そして、内容物充填工程にて包装容器1を箱型の状態に変形した後、開口部1A11から内容物を充填し、開口部1A11を閉塞することにより、内容物入りの包装体とすることができる。
【0061】
こうして箱型の状態で内容物を収容した包装体は、この内容物を排出した後、再度平坦な状態に戻すことができる。このようにこの包装体は繰り返して箱型の状態と平坦な状態に変形することが可能である。
【0062】
(第1の具体例の変形例)
次に、
図7を参照して、第1の具体例の変形例を説明する。この包装容器1は、1枚のシートで天部側シート1Aと底部側シート1Bの双方を構成し、折り曲げ用罫線1ABでこれら天部側シート1Aと底部側シート1Bとを区分したもので、その他は第1の具体例と同様である。このため、天部側シート1Aの天部側固定部はこの折り曲げ用罫線1ABとヒートシール領域とで構成されており、この折り曲げ用罫線1ABとヒートシール領域との両者を併せて、天部側シート1Aの全周囲を包囲するように構成されている。同様に底部側シート1Bの底部側固定部はこの折り曲げ用罫線1ABとヒートシール領域とで構成され、この折り曲げ用罫線1ABとヒートシール領域との両者を併せて、底部側シート1Bの全周囲を包囲するように構成されている。そして、この折り曲げ用罫線1ABで折り曲げることにより、天部側シート1Aと底部側シート1Bとを重ね合わせることができる。
【0063】
(第2の具体例)
次に、
図8~
図10を参照して、本発明の第2の具体例を説明する。この例は、天部側シート2Aの天面2A10を正六角形状とし、底部側シート2Bの底面2B10を天面2A10と同形同大の正六角形状に構成したものである。その他は第1の具体例と同様である。この包装容器2も、第1の具体例と同様の方法で製造でき、また、第1の具体例と同様の方法で箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。
【0064】
(第3の具体例)
次に、
図11~
図13を参照して、本発明の第3の具体例を説明する。この包装容器3は、天部側シート3Aの天面3A10を正三角形状とし、底部側シート3Bの底面3B10を天面3A10と同形同大の正三角形状に構成したものである。その他は第1の具体例や第2の具体例と同様である。この包装容器3も、第1の具体例や第2の具体例と同様の方法で製造でき、また、箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:包装容器
1A:天部側シート
1A10:天面 1A11:開口部
1A21~1A24:天部側側面
1A31~1A34:天部側つなぎ片 1A33c:天部側二つ折り用罫線
1Ay:天部側シートの端縁
1B:底部側シート
1B10:底面
1B21~1B24:底部側側面
1B31~1B34:底部側つなぎ片 1B33c:底部側二つ折り用罫線
1By:底部側シートの端縁
1C:スパウト
1C1:筒状胴部
1C2:フランジ部
2:包装容器
3:包装容器