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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】荷重検出器及びクランプユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A61M1/16 111
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018197890
(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2020065557
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】大塚 浩司
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086456(WO,A1)
【文献】特開2018-72106(JP,A)
【文献】特開2014-83091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00 - 1/38
A61M 39/28
G01L 7/00 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体を開閉する蓋部と、を備え、前記蓋部の閉鎖時に、前記本体と前記蓋部との間に配置される測定対象部からの圧力による荷重を検出する荷重検出器であって、
前記測定対象部からの圧力により軸方向へ進退可能な荷重部と、
前記荷重部の先端に対向して配置され前記荷重部からの荷重を検出する荷重検出センサと、
前記荷重部の軸方向への移動を阻害しないように前記荷重部の外周面に接して配置される接触部と、
前記接触部とアース部とを電気的に接続する連結部と、を備える荷重検出器。
【請求項2】
前記接触部は、筒状に形成される請求項1に記載の荷重検出器。
【請求項3】
前記荷重部の回転を防止する回転防止部を更に備える請求項1又は請求項2に記載の荷重検出器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の荷重検出器を備え、
前記測定対象部は、液体が流通するチューブであり、
前記蓋部の閉鎖時に、前記本体と前記蓋部との間に配置される前記チューブをクランプ可能なクランプ部を更に備えるクランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物からの圧力による荷重を検出する荷重検出器及びクランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体が流通するチューブと、チューブの径方向の変位を荷重部からの荷重により検出する荷重検出センサと、荷重検出センサの荷重値に基づいてチューブの閉塞を検出する検出部と、を備えるしごき型ポンプを搭載した血液浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1の装置では、チューブの陰圧及び陽圧を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-83091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チューブの径方向の変位を荷重部の移動により生じる荷重により検出してチューブの陰圧及び陽圧を検知する場合、静電気が発生して、荷重部に静電気が帯電することがあった。荷重部に静電気が帯電すると、静電気の影響で、荷重検出センサの出力電圧に異常が生じて、チューブの陰圧及び陽圧を誤検知することがある。そのため、荷重検出センサの出力電圧の誤検知を防止できることが望まれる。
【0005】
本発明は、荷重検出センサの出力電圧の誤検知を防止できる荷重検出器クランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本体と、前記本体を開閉する蓋部と、を備え、前記蓋部の閉鎖時に、前記本体と前記蓋部との間に配置される測定対象部からの圧力による荷重を検出する荷重検出器であって、前記測定対象部からの圧力により軸方向へ進退可能な荷重部と、前記荷重部の先端に対向して配置され前記荷重部からの荷重を検出する荷重検出センサと、前記荷重部の軸方向への移動を阻害しないように前記荷重部の外周面に接して配置される接触部と、前記接触部とアース部とを電気的に接続する連結部と、を備える荷重検出器に関する。
【0007】
また、前記接触部は、筒状に形成されることが好ましい。
【0008】
また、前記荷重部の回転を防止する回転防止部を更に備えることが好ましい。
【0009】
前記荷重検出器を備え、前記測定対象部は、液体が流通するチューブであり、前記蓋部の閉鎖時に、前記本体と前記蓋部との間に配置される前記チューブをクランプ可能なクランプ部を更に備えるクランプユニットに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷重検出センサの出力電圧の誤検知を防止できるクランプユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る血液透析装置の全体構成を示す図である。
図2】クランプユニットの構成を示す正面図である。
図3】クランプユニットの開状態を示す図である。
図4】クランプユニットの閉鎖状態を示す斜視図である。
図5】クランプユニットを下方側から視た斜視図である。
図6図4におけるA-A線断面図である。
図7図4におけるB-B線断面図である。
図8】荷重検出部の構成を示す断面図である。
図9】荷重検出部における静電気の発生を防止する主な構成を示す斜視図である。
図10図9に示す荷重検出部の分解斜視図である。
図11】コンソールの構成を示すブロック図である。
図12】フォースセンサの出力電圧及び静電気の影響による出力異常の例を示すグラフである。
図13】第1変形形態の荷重シャフトを示す斜視図であって、(a)は側面図であり、(b)はシャフト本体を先端側から視た図である。
図14】第2変形形態の荷重シャフトを示す斜視図であって、(a)は側面図であり、(b)はシャフト本体を先端側から視た図である。
図15】荷重シャフトと第3変形形態のC字状の接触部とを示す斜視図であって、(a)は側面図であり、(b)はシャフト本体を先端側から視た図である。
図16】荷重シャフトと第4変形形態の棒状の接触部とを示す斜視図であって、(a)は側面図であり、(b)はシャフト本体を先端側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のクランプユニット60を含む血液透析装置の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の血液透析装置は、腎不全患者や薬物中毒患者の血液を浄化すると共に、血液中の余分な水分を除去し、必要に応じて血液中に水分を補充(補液)する。
まず、本実施形態の血液透析装置1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。透析装置としての血液透析装置1は、血液透析器としてのダイアライザ10と、血液回路20と、透析液回路30と、補充液ライン38と、コンソール100と、を備える。コンソール100には、操作パネル70、クランプユニット60、血液回路20の一部、透析液回路30の一部、温度調節部としてのヒータ40、薬液ポンプ231、補液ポンプ39、及び制御装置50が配置されている。
【0013】
ダイアライザ10は、筒状に形成された容器本体11と、この容器本体11の内部に収容された透析膜(図示せず)と、を備え、容器本体11の内部は、透析膜により血液側流路と透析液側流路とに区画される(いずれも図示せず)。容器本体11には、血液側流路に連通する血液導入口111及び血液導出口112と、透析液側流路に連通する透析液導入口113及び透析液導出口114と、が形成される。
【0014】
血液回路20は、動脈側ライン21と、静脈側ライン22と、薬剤ライン23と、オーバーフローライン24と、を備える。動脈側ライン21、静脈側ライン22、薬剤ライン23及びオーバーフローライン24は、いずれも液体が流通可能な可撓性を有するチューブを主体として構成される。
【0015】
本実施形態においては、動脈側ライン21、静脈側ライン22、薬剤ライン23及びオーバーフローライン24を構成するチューブは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコン(Si)等の可撓性のチューブで形成される。チューブとしては、例えば、外径が5.5mm、内径が3.3mmのものなどが用いられる。チューブの硬度は、例えば、50~85程度(JIS K7215)のものなどが用いられる。
【0016】
動脈側ライン21は、一端側が対象者(透析患者)の動脈に接続され、他端側がダイアライザ10の血液導入口111に接続される。動脈側ライン21の途中には、コンソール100が配置される。コンソール100において、動脈側ライン21が通る部分には、クランプユニット60及び血液ポンプ212が配置される。クランプユニット60における動脈側ライン21が通る部分には、動脈側クランプ部(クランプ部)65、荷重検出部66、及び動脈側気泡センサ(気泡検知部)67が配置される。クランプユニット60の詳細については後述する。
【0017】
血液ポンプ212は、動脈側ライン21におけるクランプユニット60よりも下流側に配置される。血液ポンプ212は、動脈側ライン21を構成するチューブをローラでしごくことにより、動脈側ライン21の内部の血液やプライミング液等の液体を送り出す。
【0018】
静脈側ライン22は、一端側がダイアライザ10の血液導出口112に接続され、他端側が対象者(透析患者)の静脈に接続される。静脈側ライン22の途中には、静脈側チャンバ222及びコンソール100が配置される。コンソール100において、静脈側ライン22が通る部分には、クランプユニット60が配置される。クランプユニット60における静脈側ライン22が通る部分には、静脈側クランプ部69及び静脈側気泡センサ68が配置される。クランプユニット60の詳細については後述する。
【0019】
静脈側チャンバ222は、静脈側ライン22におけるダイアライザ10とコンソール100との間に配置される。静脈側チャンバ222は、所定量(例えば、20ml)の血液を貯留する。
【0020】
薬剤ライン23は、血液透析中に必要な薬剤を動脈側ライン21に供給する。薬剤ライン23は、一端側(基端側)が薬剤を送り出す薬液ポンプ231に接続され、他端側(先端側)が動脈側ライン21における血液ポンプ212とダイアライザ10との間に接続される。
【0021】
オーバーフローライン24は、一端側(基端側)が静脈側チャンバ222に接続される。オーバーフローライン24は、プライミング工程において静脈側ライン22を流通する生理食塩液、空気等を外部に排出する。オーバーフローライン24には、オーバーフロークランプ241が配置される。オーバーフロークランプ241は、オーバーフローライン24の流路を開閉する。
【0022】
以上の血液回路20によれば、対象者(透析患者)の動脈から取り出された血液は、血液ポンプ212により動脈側ライン21を流通してダイアライザ10の血液側流路に導入される。ダイアライザ10に導入された血液は、透析膜を介して後述する透析液回路30を流通する透析液により浄化される。ダイアライザ10において浄化された血液は、静脈側ライン22を流通して対象者の静脈に返血される。
【0023】
透析液回路30は、本実施形態では、いわゆる密閉容量制御方式の透析液回路30により構成される。この透析液回路30は、透析液チャンバ31と、透析液供給ライン32と、透析液導入ライン33と、透析液導出ライン34と、排液ライン35と、バイパスライン36と、除水/逆ろ過ポンプ37と、を備える。
【0024】
透析液チャンバ31は、一定容量(例えば、300ml~500ml)の透析液を収容可能な硬質の容器311と、この容器311の内部を区画する軟質の隔膜(ダイアフラム)312と、を備える。透析液チャンバ31の内部は、隔膜312により送液収容部313及び排液収容部314に区画される。
【0025】
透析液供給ライン32は、基端側が透析液供給装置(図示せず)に接続され、先端側が透析液チャンバ31に接続される。透析液供給ライン32は、透析液チャンバ31の送液収容部313に透析液を供給する。
【0026】
透析液導入ライン33は、透析液チャンバ31とダイアライザ10の透析液導入口113とを接続し、透析液チャンバ31の送液収容部313に収容された透析液をダイアライザ10の透析液側流路に導入する。
【0027】
透析液導出ライン34は、ダイアライザ10の透析液導出口114と透析液チャンバ31とを接続し、ダイアライザ10から排出された透析液を透析液チャンバ31の排液収容部314に導出する。
排液ライン35は、基端側が透析液チャンバ31に接続され、排液収容部314に収容された透析液の排液を排出する。
【0028】
バイパスライン36は、透析液導出ライン34と排液ライン35とを接続する。
除水/逆ろ過ポンプ37は、バイパスライン36に配置される。除水/逆ろ過ポンプ37は、バイパスライン36の内部の透析液を排液ライン35側に流通させる方向(除水方向)及び透析液導出ライン34側に流通させる方向(逆ろ過方向)に送液可能に駆動するポンプにより構成される。
【0029】
ヒータ40は、透析液回路30を流通する透析液を所定の温度に加温する。
【0030】
補充液ライン38は、透析液を血液回路20に直接供給するためのラインである。図1に示すように、補充液ライン38の上流側は、透析液回路30の透析液導入ライン33における透析液チャンバ31とダイアライザ10の透析液導入口113との間に接続されている。補充液ライン38には、補充液用クランプ381が設けられている。図1の実線で示すように、補充液ライン38の下流側が、動脈側ライン21における血液ポンプ212とダイアライザ10との間に接続される場合は、前希釈方式の血液濾過透析となる。また、図1の破線で示すように、補充液ライン38の下流側が、静脈側ライン22における静脈側チャンバ222に接続される場合は、後希釈方式の血液濾過透析となる。
【0031】
クランプユニット60について説明する。
クランプユニット60は、図1に示すように、ユニット化されて構成されており、コンソール100に取り付けられる。クランプユニット60は、動脈側ライン21を構成するチューブ、及び静脈側ライン22を構成するチューブをクランプして保持する。クランプユニット60には、幅方向Hの一方側において、動脈側ライン21を構成するチューブが上下方向に亘って配置され、幅方向Hの他方側において、静脈側ライン22を構成するチューブが上下方向に亘って配置される。
【0032】
クランプユニット60は、図2図5に示すように、ユニット本体61(本体)と、ユニット本体61を開閉する蓋部62と、ヒンジ部63と、開閉レバー641と、開閉係合部642と、基板664(図5参照)と、荷重検出部66(荷重検出器)と、を備える。クランプユニット60は、ユニット本体61と蓋部62との間にチューブを配置することでチューブを固定する。クランプユニット60は、ユニット本体61の内面に動脈側ライン21を構成するチューブ及び静脈側ライン22を構成するチューブを配置した状態で、ユニット本体61の内面側に蓋部62の内面を押し付けることで、動脈側ライン21を構成するチューブ及び静脈側ライン22を構成するチューブを固定する。
【0033】
蓋部62の内面は、動脈側ライン21を構成するチューブ及び静脈側ライン22を構成するチューブを一定の力で固定するチューブ固定部を構成する。蓋部62の内面を構成する部材において、少なくともチューブを押圧する部分の材料としては、例えば、樹脂材料が用いられ、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ASA樹脂(ABS樹脂のブタジエンに代替し、アクリルゴムを重合させたもの)、ポリプロピレン等の合成樹脂などが用いられる。これにより、蓋部62の内面は、動脈側ライン21を構成するチューブ及び静脈側ライン22を構成するチューブを、十分に保持すると共につぶし過ぎないような適切な保持力で固定できる。
【0034】
ヒンジ部63は、図2に示すように、蓋部62の閉鎖時に、クランプユニット60の幅方向Hの他方側の端部に配置され、蓋部62をユニット本体61に対して回動可能に接続する。
【0035】
開閉レバー641は、蓋部62の閉鎖時に、蓋部62の幅方向Hの一方側の端部に設けられる。開閉係合部642は、図3に示すように、蓋部62の閉鎖時に、開閉レバー641に係合可能に、ユニット本体61の内面の幅方向Hの一方側の端部に設けられる。開閉レバー641を操作することで、ユニット本体61と蓋部62との開閉が行われる。
【0036】
ユニット本体61の内面には、図3に示すように、本体側動脈側チューブ配置部611(チューブ配置部)と、本体側静脈側チューブ配置部612(チューブ配置部)と、が形成されている。本体側動脈側チューブ配置部611及び本体側静脈側チューブ配置部612は、ユニット本体61の内面において、ユニット本体61の幅方向Hに離間して配置され、直線状に延びる。本体側静脈側チューブ配置部612は、本体側動脈側チューブ配置部611よりも幅方向Hにおけるヒンジ部63側に配置される。
【0037】
図5に示すように、ユニット本体61の外面613(図8参照)には、基板664が取り付けられている。基板664のユニット本体61側の第1面664a(図8参照)には、荷重検出部66のフォースセンサ665(荷重検出センサ)が実装(配置)されている(後述、図8参照)。
【0038】
蓋部62の内面には、図3に示すように、蓋部62の閉鎖時に、本体側動脈側チューブ配置部611に対向して配置される蓋部側動脈側チューブ配置部621と、本体側静脈側チューブ配置部612に対向して配置される蓋部側静脈側チューブ配置部622と、が形成されている。蓋部側動脈側チューブ配置部621及び蓋部側静脈側チューブ配置部622は、蓋部62の内面において、蓋部62の幅方向Hに離間して配置され、直線状に延びる。蓋部側静脈側チューブ配置部622は、蓋部側動脈側チューブ配置部621よりも幅方向Hのヒンジ部63側に配置される。
【0039】
蓋部62の閉鎖時において、本体側動脈側チューブ配置部611と蓋部側動脈側チューブ配置部621との間には、動脈側ライン21を構成するチューブが配置され、本体側静脈側チューブ配置部612と蓋部側静脈側チューブ配置部622との間には、静脈側ライン22を構成するチューブが配置される。
【0040】
ここで、まず、本体側動脈側チューブ配置部611及び蓋部側動脈側チューブ配置部621に設けられる構成について説明する。
図3及び図6に示すように、蓋部62の閉鎖時において、本体側動脈側チューブ配置部611及び蓋部側動脈側チューブ配置部621に沿って、動脈側上流チューブ押さえ部601、動脈側クランプ部65、荷重検出部66、動脈側気泡センサ67及び動脈側下流チューブ押さえ部602が配置される。本実施形態においては、動脈側上流チューブ押さえ部601、動脈側クランプ部65、荷重検出部66、動脈側気泡センサ67及び動脈側下流チューブ押さえ部602は、クランプユニット60において、上流側から下流側(図1及び図3における下方側から上方側)に向かって、この順に並んで配置されている。
【0041】
本体側動脈側チューブ配置部611は、図3に示すように、ユニット本体61の内面に配置される。本体側動脈側チューブ配置部611には、動脈側ライン21を構成するチューブを流通する液体の上流側から下流側(図3の下方側から上方側)に向かって順に、動脈側上流チューブ押さえ部601の収容凹部601a、動脈側クランプ部65の動脈側可動クランプ部651、荷重検出部66の荷重受け部662、動脈側気泡センサ67の超音波発振部671が内部に収容された動脈側気泡センサ受け部材672、動脈側下流チューブ押さえ部602の収容凹部602aが並んで配置される。
【0042】
蓋部側動脈側チューブ配置部621は、蓋部62の内面に配置され、蓋部62の閉鎖時に本体側動脈側チューブ配置部611に対向して配置される。蓋部側動脈側チューブ配置部621には、動脈側ライン21を構成するチューブを流通する液体の上流側から下流側(図3の下方側から上方側)に向かって順に、動脈側上流チューブ押さえ部601の押さえ凸部601b、動脈側クランプ部65の動脈側クランプ受け部652、荷重検出部66の荷重押さえ部663、動脈側気泡センサ67の超音波受信部673が内部に収容された動脈側気泡センサ押さえ部材674、動脈側下流チューブ押さえ部602の押さえ凸部602bが並んで配置されている。
【0043】
動脈側上流チューブ押さえ部601の押さえ凸部601bは、蓋部62の閉鎖時に、ユニット本体61に配置される収容凹部601aに対向して配置され、クランプユニット60における動脈側ライン21を流通する液体の上流側(図3における下方側)において、動脈側ライン21を構成するチューブを押さえる。
【0044】
動脈側クランプ受け部652は、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される動脈側可動クランプ部651に対向して配置される。動脈側クランプ受け部652及び動脈側可動クランプ部651は、動脈側クランプ部65を構成し、動脈側ライン21を構成するチューブを挟んで保持する。
【0045】
動脈側クランプ部65は、図3及び図6に示すように、ユニット本体61に配置される動脈側可動クランプ部651と、ユニット本体61に配置され動脈側可動クランプ部651を駆動するソレノイド653と、蓋部62に配置される動脈側クランプ受け部652と、を有する。動脈側クランプ受け部652は、蓋部62の内面から突出して形成され、幅方向Hに延びる。
【0046】
動脈側可動クランプ部651は、図6に示すように、先端が幅方向Hに延びる平面状に形成されると共にチューブ配置部が延びる方向に切断した断面において先端側の幅が狭い台形状に形成される。動脈側可動クランプ部651の後端には、ソレノイド653の出力軸653aが、進退可能に接続されている。動脈側可動クランプ部651は、ソレノイド653の出力軸653aの進退により、動脈側ライン21を構成するチューブを、動脈側可動クランプ部651の先端及び動脈側クランプ受け部652の先端で挟み込んでクランプし、又は、動脈側ライン21を開閉する。
【0047】
以上のように構成される動脈側クランプ部65は、血液透析装置1の通常動作時に、動脈側可動クランプ部651及び動脈側クランプ受け部652により、ユニット本体61と蓋部62との間に配置される動脈側ライン21を構成するチューブをクランプする。
また、動脈側クランプ部65は、生理食塩水を用いたプライミング及び返血工程で開閉される。動脈側クランプ部65は、動脈側可動クランプ部651を進退させて、動脈側ライン21を構成するチューブを押し潰したり開放し、動脈側ライン21の流路を開閉することで、動脈側気泡センサ67よりも上流側において、チューブの内部を流通する液体の送液を流通/停止させる。
【0048】
荷重検出部66は、動脈側ライン21を構成するチューブからの圧力による荷重を検出し、電圧値として出力可能である。つまり、チューブが閉塞するとチューブ内の圧力が陽圧または陰圧となり、チューブの径方向が変化し、それと共に荷重が変化し、結果として電圧値の変化として検出される。荷重検出部66は、図7に示すように、荷重押さえ部663と、荷重受け部662と、基板664に配置されたフォースセンサ665と、荷重吸収部80と、を有する。荷重検出部66は閉塞検知装置を構成する。
【0049】
荷重押さえ部663は、図3図6及び図7に示すように、蓋部62の閉鎖時に、ユニット本体61に配置される荷重受け部662に対向して配置され、動脈側ライン21を構成するチューブを押さえる。なお、荷重押さえ部663は、チューブの径を変更した場合に、荷重検出部66から出力される電圧値が同程度の電圧値を得られるように、高さ調整を可能な構成としてもよいし、高さが異なる荷重押さえ部に交換可能な構成としてもよい。
【0050】
荷重受け部662は、蓋部62の閉鎖時に、荷重押さえ部663に押さえられた動脈側ライン21を構成するチューブ(測定対象部)からの圧力により荷重を受ける。荷重受け部662は、基板664に配置されたフォースセンサ665へ荷重を伝達する。
【0051】
荷重受け部662は、図8図10に示すように、表面シート部662aと、押圧部662bと、荷重シャフト71(荷重部)と、ガイド筒72(接触部)と、ガイド筒72とアース板金610(アース部)とを連結する連結部材73(連結部)と、を有する。荷重シャフト71、ガイド筒72、連結部材73及びアース板金610は、導電性を有する金属部材により形成される。アース板金610は、板状に形成され、ユニット本体61(図3参照)の内部に配置される。アース板金610は、図9に示すように、平面視で一方側が開放された略C字形状に形成される。アース板金610は、クランプユニット60のアース部を構成し、アース(接地)される。例えば、クランプユニット60に使用する電源と同じグランドへアース(接地)される。
【0052】
表面シート部662aは、図8に示すように、チューブ側に配置され、蓋部62の閉鎖時に、動脈側ライン21を構成するチューブに当接される。
押圧部662b、荷重シャフト71及びガイド筒72は、ユニット本体61の連通穴615に配置される。連通穴615は、ユニット本体61の内面と外面613とを連通して形成されている。表面シート部662a、押圧部662b及び荷重シャフト71は、ユニット本体61の内面側から外面613側に向けてこの順で配置される。
【0053】
荷重シャフト71は、ユニット本体61の連通穴615におけるユニット本体61の外面613側において、ガイド筒72の内側において、ガイド筒72にガイドされた状態で、チューブからの圧力により軸方向に進退可能に配置される。荷重シャフト71は、図10に示すように、軸方向に延びる棒状に形成されるシャフト本体711と、シャフト本体711の天板を構成する天板部712と、ガイド溝713(回転防止部)と、を有する。
【0054】
シャフト本体711の先端は、図8に示すように、フォースセンサ665の押圧面に対向して配置される。シャフト本体711が進退することで、フォースセンサ665は、シャフト本体711の先端に押圧される。
天板部712は、シャフト本体711の後端に接続され、シャフト本体711の径方向に突出する円板状に形成される。
ガイド溝713は、天板部712の外周面及びシャフト本体711の後端側の部分に跨って軸方向に溝状に延びる。
【0055】
ガイド筒72は、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように、荷重シャフト71のシャフト本体711の外周面に接して配置される。ガイド筒72は、図10に示すように、荷重シャフト71の軸方向に延びる筒状の筒本体721と、筒本体721の軸方向の途中において筒本体721の外周面から径方向に円環状に突出する筒側フランジ部723と、ガイド突起724(回転防止部)と、を有する。
【0056】
筒本体721は、シャフト本体711の外周面の全周を囲む筒状に形成される。筒本体721の一端部722は、後述する連結部材73の連結穴732に挿入されて、連結部材73に連結される。筒本体721の一端部722の外周面は、円弧面722aと直線面722b(回転規制部)とが周方向に連続することで形成される。
【0057】
筒本体721の内部には、シャフト本体711が軸方向に摺動可能な状態で収容される。筒本体721の内径は、荷重シャフト71の軸方向への進退を妨げないで且つシャフト本体711に接触する程度に、シャフト本体711の外径よりも僅かに大きく形成される。より詳細には、シャフト本体711は、軸方向に移動する場合に、接触しているか接触していないかの状態であってシャフト本体711に摩擦抵抗が掛かりにくい状態で筒本体721の内部に接して配置される。これにより、ガイド筒72は、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように、荷重シャフト71の外周面に接して配置される。
【0058】
ガイド突起724は、筒本体721の一端部722と反対の他端部の端面から、軸方向に突出する。ガイド突起724は、荷重シャフト71のガイド溝713に配置される。ガイド突起724が荷重シャフト71のガイド溝713に配置されることで、ガイド筒72に対する荷重シャフト71の回転を防止する。ガイド筒72は、ユニット本体61に対して周方向の位置が移動しないように固定されている。なお、本実施形態においては、後述するように、ガイド筒72は、ガイド筒72の直線面722b(回転規制部)が連結部材73の直線面732b(回転規制部)に嵌り込むことで、ユニット本体61に対して周方向の位置が移動しないように固定されている。そのため、荷重シャフト71のガイド溝713及びガイド筒72のガイド突起724は、荷重シャフト71が、ユニット本体61に固定されるフォースセンサ665に対して回転することを防止する回転防止部を構成する。また、ガイド突起724は、荷重シャフト71がガイド筒72の内部において進退する場合に、荷重シャフト71のガイド溝713の移動をガイドする。
【0059】
荷重シャフト71のガイド溝713及びガイド筒72のガイド突起724を有することにより、ガイド筒72に対する荷重シャフト71の回転が防止されるため、荷重シャフト71とフォースセンサ665とを周方向において常に同じ位置で接触させることができる。このため、例えば、仮に接触箇所が荷重シャフト71の長手方向のセンターではなく、また荷重シャフト71の長さが周方向の各接触位置でばらつく可能性がある場合であっても、荷重シャフト71とフォースセンサ665とが周方向の同じ位置で接触するため、安定した荷重を加え続けることができ、性能を維持できる。
【0060】
連結部材73は、ガイド筒72とアース板金610とを電気的に接続する。連結部材73は、平面視でクランク形状に延びた板材により形成され、クランク形状に延びた途中には、段差部731が形成される。連結部材73は、一方側の端部に形成される連結穴732と、他方側の端部に形成されるアース接続穴733と、を有する。
【0061】
連結穴732は、連結部材73の一方側の端部において連結部材73を貫通して形成される。連結穴732の内周面は、円弧面732aと直線面732b(回転規制部)とが連続することで形成される。連結穴732には、筒本体721のユニット本体61の外面613側の一端部722が挿入されることで、筒本体721の一端部722の円弧面722a及び直線面722bが、対応する連結穴732の円弧面732a及び直線面732bに嵌り込む。ガイド筒72の直線面722b(回転規制部)が連結部材73の直線面732b(回転規制部)に嵌り込むことにより、連結部材73に対するガイド筒72の回転が規制されることで、ガイド筒72は、ユニット本体61に対して周方向の位置が移動しないように固定されている。この状態において、筒側フランジ部723が連結部材73の上面に接触することで、筒側フランジ部723が連結部材73に電気的に導通された状態で、筒本体721は、連結部材73に連結される。
【0062】
連結部材73の他方側の端部には、アース板金610が接続される。本実施形態においては、連結部材73の他方側の端部の上面にアース板金610が載置された状態で、アース接続穴733とアース板金610の接続穴610aとをネジ74で接続することで、連結部材73の他端部は、アース板金610に電気的に接続される。これにより、荷重シャフト71において発生した静電気は、ガイド筒72から連結部材73を介して、アース板金610に逃がされる。アース板金610に逃がされた静電気は、アース板金610において、アース(接地)される。
【0063】
フォースセンサ665は、図8に示すように、基板664におけるユニット本体61側に形成される第1面664aに実装(配置)されている。フォースセンサ665は、荷重シャフト71の先端に対向して配置され、荷重シャフト71からの荷重によりチューブからの圧力による荷重を検出する。基板664は、ユニット本体61の外面613に取り付けられる。基板664は、連通穴615を塞ぐように、連通穴615が延びる方向に交差するように配置されている。基板664は、ユニット本体61側の第1面664aが、ユニット本体61の外面613に当接され、第1面664aと反対側の第2面664bが、後述する2つのバネ部材82,82によりユニット本体61側に向けて押圧されている。
【0064】
フォースセンサ665は、ユニット本体61の外面613側において連通穴615の延長線上に配置されている。連通穴615には、前述の通り、荷重受け部662が配置されている。
【0065】
蓋部62によりユニット本体61を閉じた場合に、蓋部62の荷重押さえ部663とフォースセンサ665との間には、荷重押さえ部663側からフォースセンサ665側に向けて、動脈側ライン21を構成するチューブ及び荷重受け部662がこの順に配置される。
【0066】
以上のように構成されるフォースセンサ665は、荷重受け部662に作用するチューブからの圧力により、チューブの径方向に荷重受け部662が移動することで、荷重受け部662を介して、チューブからの圧力による荷重を検出する。これにより、フォースセンサ665は、動脈側ライン21を構成するチューブの圧力による荷重を電圧として出力する。
【0067】
本実施形態においては、フォースセンサ665は、チューブが陽圧となった場合とチューブが陰圧となった場合との両方の場合において、荷重シャフト71からの荷重によりチューブからの圧力による荷重を検出する。
【0068】
荷重吸収部80は、図8に示すように、基板664に配置される。荷重吸収部80は、蓋部62によりユニット本体61を閉じて蓋部62とフォースセンサ665との間にチューブが配置された状態において、フォースセンサ665に許容荷重以上(所定値以上)の荷重が掛かった場合に、フォースセンサ665を介して基板664に掛かった荷重を吸収する。荷重吸収部80は、2つのガイドポスト81,81(ガイド部材)と、2つのバネ部材82,82(付勢部材)と、バネ部材82,82を接続する接続部材83と、を有する。
【0069】
クランプユニット60の通常の使用状態において、蓋部62の閉鎖時に、蓋部62が動脈側ライン21を構成するチューブをフォースセンサ665側に押さえ付けることで、フォースセンサ665がチューブからの圧力による荷重を検出して、荷重を電圧値として出力する。荷重検出部66により検出された検出値は、制御装置50に送信されて、チューブが閉塞しているか否かが判定される。チューブが閉塞する場合としては、例えば、血液回路の接続後において鉗子を外し忘れた場合や、治療中の返血時の血栓による針先の詰まりや、脱血/透析時の針先の血管壁への張り付きや、脱血/透析/返血時の血管状態による血流量不足などを挙げることができる。
【0070】
動脈側気泡センサ押さえ部材674は、図3及び図6に示すように、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される動脈側気泡センサ受け部材672に対向して配置され、動脈側ライン21を構成するチューブを押さえる。動脈側気泡センサ押さえ部材674の内部には、超音波受信部673が配置される。動脈側気泡センサ受け部材672の内部には、超音波発振部671が配置される。超音波受信部673及び超音波発振部671は、動脈側気泡センサ67を構成する。動脈側気泡センサ67は、動脈側ライン21の内部を流通する液体中に含まれる気泡の有無を検知するセンサである。なお、超音波受信部673を動脈側気泡センサ受け部材672の内部に配置すると共に、超音波発振部671を動脈側気泡センサ押さえ部材674の内部に配置するように構成してもよい。
【0071】
蓋部62の閉鎖時に、動脈側気泡センサ押さえ部材674(図3参照)は、動脈側ライン21を構成するチューブを動脈側気泡センサ受け部材672側に押し当てる。超音波受信部673は、超音波発振部671から発生される超音波が動脈側ライン21を構成するチューブ内に流れる液体に照射されることで、液体と気泡の透過率の差を検出して気泡の有無を検知する。
【0072】
動脈側下流チューブ押さえ部602の押さえ凸部602bは、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される収容凹部602aに対向して配置され、クランプユニット60における動脈側ライン21を流通する液体の下流側(図3における上方側)において、動脈側ライン21を構成するチューブを押さえる。
【0073】
次に、蓋部62の閉鎖時に、本体側静脈側チューブ配置部612及び蓋部側静脈側チューブ配置部622に設けられる構成について説明する。
図3に示すように、蓋部62の閉鎖時において、本体側静脈側チューブ配置部612及び蓋部側静脈側チューブ配置部622に沿って、静脈側上流チューブ押さえ部603、静脈側気泡センサ68、静脈側クランプ部69及び静脈側下流チューブ押さえ部604が配置される。本実施形態においては、静脈側上流チューブ押さえ部603、静脈側気泡センサ68、静脈側クランプ部69及び静脈側下流チューブ押さえ部604は、クランプユニット60において、上流側から下流側(図1及び図3における上方側から下方側)に向かって、この順に並んで配置されている。
【0074】
本体側静脈側チューブ配置部612は、図3に示すように、ユニット本体61の内面に配置される。本体側静脈側チューブ配置部612には、静脈側ライン22を構成するチューブを流通する液体の上流側から下流側(図3の上方側から下方側)に向かって順に、静脈側上流チューブ押さえ部603の収容凹部603a、静脈側気泡センサ68の超音波発振部681が内部に収容された静脈側気泡センサ受け部材682、静脈側クランプ部69の静脈側可動クランプ部691、静脈側下流チューブ押さえ部604の収容凹部604aが並んで配置される。
【0075】
蓋部側静脈側チューブ配置部622は、蓋部62の内面に配置され、蓋部62の閉鎖時に本体側静脈側チューブ配置部612に対向して配置される。蓋部側静脈側チューブ配置部622には、静脈側ライン22を構成するチューブを流通する液体の上流側から下流側(図3の上方側から下方側)に向かって順に、静脈側上流チューブ押さえ部603の押さえ凸部603b、静脈側気泡センサ68の超音波受信部683が内部に収容された静脈側気泡センサ押さえ部材684、静脈側クランプ部69の静脈側クランプ受け部692、静脈側下流チューブ押さえ部604の押さえ凸部604bが並んで配置されている。
【0076】
静脈側上流チューブ押さえ部603の押さえ凸部603bは、蓋部62の閉鎖時に、ユニット本体61に配置される収容凹部603aに対向して配置され、クランプユニット60における静脈側ライン22を流通する液体の上流側(図3における上方側)において、静脈側ライン22を構成するチューブを押さえる。
【0077】
静脈側気泡センサ押さえ部材684は、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される静脈側気泡センサ受け部材682に対向して配置され、静脈側ライン22を構成するチューブを押さえる。静脈側気泡センサ押さえ部材684の内部には、超音波受信部683が配置される。静脈側気泡センサ受け部材682の内部には、超音波発振部681が配置される。超音波受信部683及び超音波発振部681は、静脈側気泡センサ68を構成する。静脈側気泡センサ68は、静脈側ライン22の内部を流通する液体中に含まれる気泡の有無を検知するセンサである。なお、超音波受信部683を静脈側気泡センサ受け部材682の内部に配置すると共に、超音波発振部681を静脈側気泡センサ受け部材684の内部に配置するように構成してもよい。
【0078】
蓋部62の閉鎖時に、静脈側気泡センサ押さえ部材684(図3参照)は、静脈側ライン22を構成するチューブを静脈側気泡センサ受け部材682側に押し当てる。超音波受信部683は、超音波発振部681から発生される超音波が静脈側ライン22を構成するチューブ内に流れる液体に照射されることで、液体と気泡の透過率の差を検出して気泡の有無を検知する。
【0079】
静脈側クランプ受け部692は、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される静脈側可動クランプ部691に対向して配置される。静脈側クランプ受け部692及び静脈側可動クランプ部691は、静脈側クランプ部69を構成し、静脈側ライン22を構成するチューブを挟んで保持する。
【0080】
静脈側クランプ部69は、図3及び図7に示すように、ユニット本体61に配置される静脈側可動クランプ部691と、ユニット本体61に配置され静脈側可動クランプ部691を駆動するソレノイド693と、蓋部62に配置される静脈側クランプ受け部692と、を有する。静脈側クランプ受け部692は、蓋部62の内面から突出して形成され、幅方向Hに延びる。
【0081】
静脈側可動クランプ部691は、先端が幅方向Hに延びる平面状に形成されると共にチューブ配置部が延びる方向に切断した断面において先端側の幅が狭い台形状に形成される。静脈側可動クランプ部691の後端には、ソレノイド693の出力軸693aが、進退可能に接続されている。静脈側可動クランプ部691は、ソレノイド693の出力軸693aの進退により、静脈側ライン22を構成するチューブを、静脈側可動クランプ部691の先端及び静脈側クランプ受け部692の先端で挟み込んでクランプし、又は、静脈側ライン22を開閉する。
【0082】
以上のように構成される静脈側クランプ部69は、血液透析装置1の通常動作時に、静脈側可動クランプ部691及び静脈側クランプ受け部692により、ユニット本体61と蓋部62との間に配置される静脈側ライン22を構成するチューブをクランプする。
また、静脈側クランプ部69は、静脈側気泡センサ68または動脈側気泡センサ67による気泡の検出結果に応じて制御される。静脈側クランプ部69は、静脈側気泡センサ68または動脈側気泡センサ67により気泡が所定量よりも多く検出された場合に、静脈側可動クランプ部691を進出させて、静脈側ライン22を構成するチューブを押し潰して、静脈側ライン22の流路を閉鎖することで、静脈側気泡センサ68よりも上流側において、チューブの内部を流通する液体の送液を停止させる。
【0083】
静脈側下流チューブ押さえ部604の押さえ凸部604bは、蓋部62の閉鎖時において、ユニット本体61に配置される収容凹部604aに対向して配置され、クランプユニット60における静脈側ライン22を流通する液体の下流側(図3における下方側)において、静脈側ライン22を構成するチューブを押さえる。
【0084】
以上のように構成されるクランプユニット60は、動脈側ライン21を構成するチューブ及び静脈側ライン22を構成するチューブをユニット本体61に配置した状態で、蓋部62を閉鎖するだけで、クランプユニット60においてチューブを確実にクランプすることができる。
【0085】
制御装置50は、情報処理装置(コンピュータ)により構成されており、制御プログラムを実行することにより、透析装置1の動作を制御する。制御装置50は、各種工程の制御プログラムを実行することにより、血液透析装置1の動作を制御して運転する。具体的には、制御装置50は、血液回路20及び透析液回路30に配置された各種のポンプやクランプ、並びにヒータ40等の動作を制御して、血液透析装置1により行われる各種工程(プライミング工程、脱血工程、透析工程、補液工程、返血工程等)を実行する。本実施形態の血液透析装置1の各種工程において、例えば、プライミング工程、脱血工程、透析工程、返血工程は、この順に実行され、これらの全工程の実行時間は、4から5時間程度要する。
【0086】
プライミング工程は、血液回路20やダイアライザ10を洗浄し清浄化する準備工程である。
脱血工程は、穿刺後に患者の血液を血液回路20に充填させて体外循環させる工程である。
透析工程は、脱血工程に続いて行われ、血液を透析して浄化する工程である。
補液工程は、透析治療中において血圧低下時等に行う急速補液を行う工程である。
返血工程は、血液回路20内の血液を患者の体内に戻す工程である。
【0087】
ここで、本実施形態においては、制御装置50は、チューブの閉塞を判定する操作と、チューブの使用の経過時間に応じて基準電圧(基準値)を補正する操作と、チューブの硬度がクランプユニット60に使用されるチューブの硬度に適合しない場合に警報を報知する操作と、を実現している。
【0088】
以上の機能を実現するために、制御装置50は、図11に示すように、制御部51と、記憶部52と、を備える。制御部51は、閉塞判定部511と、補正制御部512と、報知制御部513と、を備える。
【0089】
記憶部52は、チューブを液体が流通する経過時間に応じたチューブの閉塞を判定するための基準となる基準電圧(基準値)を予め記憶する。基準電圧は、チューブの閉塞を判定するための基準となるものであり、チューブ内に圧力を掛けていない状態(血液ポンプ212を停止している状態)における荷重検出部66の出力電圧であって、チューブが閉塞していない状態での出力電圧である。基準電圧を基準に、例えば一定電圧減じた値を、チューブが陰圧となった場合の荷重検出部66の出力電圧の閾値に設定し、一定電圧加えた値を、チューブが陽圧となった場合の荷重検出部66の出力電圧の閾値に設定できる。または、陰圧や陽圧も考慮して、一定電圧の絶対値を加減した範囲での値を各種工程での閾値としてもよい(例えば、図12に示す陰圧判定閾値Va、陽圧判定閾値Vb)。これにより、チューブが経過時間とともに液体や温度変化によりなじんできた場合であっても、後述する補正制御部512により、記憶部52に記憶された基準電圧に更新できる。記憶部52に記憶される基準電圧は、予め実験結果などにより求められる。
なお、記憶部52は、チューブの外形サイズの違いや温度変化などに応じたチューブの閉塞を判定するための基準となる基準電圧(基準値)を予め記憶していてもよい。
【0090】
閉塞判定部511は、荷重検出部66により検出された検出値とチューブの閉塞を判定するための基準となる基準電圧に基づいて設定された閉塞閾値とを比較することで、チューブの閉塞を判定する。
【0091】
補正制御部512は、記憶部52に記憶されたチューブの閉塞を判定するための基準となる基準電圧に基づいて、経過時間に応じて基準電圧を更新して補正する。補正制御部512による補正のタイミングは、例えば、リアルタイムのタイミングや、所定時間間隔毎のタイミングや、透析治療の所定のタイミングなどに行われる。
【0092】
報知制御部513は、閉塞判定部511により、チューブが閉塞していると判定された場合に、例えば表示画面や表示灯やスピーカなどの報知部において、警報を報知する。
【0093】
また、報知制御部513は、蓋部62の閉鎖時に荷重検出部66により検出された検出値が予め設定された範囲を外れると判定された場合に、例えば表示画面や表示灯やスピーカなどの報知部において、警報を報知する。これにより、チューブの硬度や径、肉厚が適切でない場合やチューブが変形している場合に、警報が報知されるため、適切な状態のチューブを使用でき、荷重検出部66により検出される検出値を精度よく得ることができる。
【0094】
ここで、本実施形態の荷重受け部662において、ガイド筒72を荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように荷重シャフト71の外周面に接して配置されると共に、ガイド筒72を、連結部材73を介してアースに接続する構成とした理由について説明する。
【0095】
従来、クランプユニット60において、荷重シャフト71の進退動作により荷重シャフト71に静電気が帯電することで、静電気の影響により、荷重検出部66の出力電圧が異常値となり、フォースセンサ665が誤検知をすることがあった。
【0096】
例えば、荷重検出部66の出力電圧Vsが陰圧判定閾値Vaの範囲内の出力値であるにもかかわらず、図12に示すように、荷重シャフト71に帯電した静電気の影響により陰圧判定閾値Vaの範囲を下回る出力が発生して、静電気の影響による出力異常が発生することがあった。この場合には、フォースセンサ665が誤検知したことになる。
また、荷重検出部66の出力電圧Vsが陽圧判定閾値Vbの範囲内の出力値であるにもかかわらず、図12に示すように、荷重シャフト71に帯電した静電気の影響により陽圧判定閾値Vbの範囲を上回る出力が発生して、静電気の影響による出力異常が発生することがあった。この場合には、フォースセンサ665が誤検知したことになる。
【0097】
これに対して、本発明では、荷重受け部662において、ガイド筒72を荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように荷重シャフト71の外周面に接して配置されると共に、ガイド筒72を、連結部材73を介してアースに接続する構成を備えることにより、荷重シャフト71に発生した静電気をアースに逃がす構成を導入した。これにより、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しない状態で、静電気によるフォースセンサ665の誤検知を防止して、フォースセンサ665により、チューブの陰圧と陽圧との両方を精度よく検出することができる。
【0098】
特に、1本の針を患者に穿刺して脱血と返血との両方を連続して行うシングルニードル方式の透析の場合には、クランプ動作及びクランプ解除動作を数秒毎に実行する。シングルニードル方式の透析の場合においては、数秒毎にクランプ動作を行うため、静電気が発生しやすくなる。しかし、頻繁なクランプ動作によって発生する静電気の影響がある場合においても、本発明によれば、静電気の影響による誤検知を好適に防止できる。
【0099】
更に、本発明における荷重検出部66は、チューブの陰圧と陽圧との両方をフォースセンサ665が精度よく検出できるように、精密な構造を有している。具体的には、ガイド筒72は、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように、荷重シャフト71の外周面に接して配置される。ガイド筒72に収容された荷重シャフト71は、ガイド筒72に沿って、軸方向に進退可能である。荷重シャフト71の先端に対向するフォースセンサ665は、チューブが陰圧になった場合と陽圧になった場合とのチューブの圧力による荷重との両方の荷重を検出する。
【0100】
ここで、例えば、仮に、荷重シャフト71に配線を取り付けて静電気をアースに逃がす構成の場合には、荷重シャフト71に取り付けた配線の影響により荷重シャフト71へ抵抗が掛かり、フォースセンサ665は、チューブの陰圧と陽圧との両方を精度よく検出できない可能性がある。これに対して、本発明の構成によれば、荷重シャフト71に配線を取り付けて静電気をアースに逃がす構成よりも、チューブの陰圧と陽圧との両方をフォースセンサ665が精度よく検出できる。
【0101】
また、例えば、仮に、荷重シャフト71とフォースセンサ665との間に銅箔を挟んで、銅箔を介して静電気をアースに逃がす構成の場合には、荷重シャフト71の移動方向に銅箔が重ねられて挟み込まれるため、チューブの陰圧と陽圧との両方をフォースセンサ665が精度よく検出できない可能性がある。また、経年劣化により銅箔の厚さが変化して、チューブの陰圧と陽圧との両方を精度よく検出できないことも考えられる。これに対して、本発明の構成によれば、フォースセンサ665が陰圧と陽圧との両方を精度よく検出でき、かつ、銅箔よりも経年劣化が少ないため耐久性を向上でき、長期に使用しても性能を維持できる。
【0102】
また、例えば、仮に、金属ブラシを荷重シャフト71の外周面に接触させて静電気の帯電を防止する構成の場合には、金属ブラシのブラシ部分が荷重シャフト71の外周面に接触した影響により荷重シャフト71に抵抗が掛かったり、金属ブラシに経年劣化が生じることがあり、また、荷重シャフト71の径方向の外側に金属ブラシを配置するためのスペースを確保する必要がある。これに対して、本発明の構成によれば、金属ブラシを荷重シャフト71の外周面に接触させて静電気の帯電を防止する構成よりも、フォースセンサ665が陰圧と陽圧との両方を精度よく安定して検出でき、かつ、金属ブラシよりも経年劣化が少ないため耐久性を向上でき、また、金属ブラシを荷重シャフト71の径方向の外側に配置するよりも小さなスペースに配置できるため、クランプユニット60をコンパクトに形成できる。
【0103】
以上説明した本実施形態の荷重検出部66によれば、以下のような効果を奏する。
【0104】
(1)荷重検出部66を、ユニット本体61と、ユニット本体61を開閉する蓋部62と、を含んで構成し、蓋部62の閉鎖時に、ユニット本体61と蓋部62との間に配置されるチューブからの圧力による荷重を検出する荷重検出部66であって、チューブからの圧力により軸方向へ進退可能な荷重シャフト71と、荷重シャフト71の先端に対向して配置され荷重シャフトからの荷重を検出するフォースセンサ665と、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しないように荷重シャフト71の外周面に接して配置されるガイド筒72と、ガイド筒72とアース板金610とを電気的に接続する連結部材73と、を有する荷重検出部66と、を備えて構成した。これにより、荷重シャフト71の軸方向への移動を阻害しない状態で、フォースセンサ665がチューブの陰圧と陽圧との両方を精度よく検出することができ、静電気によるフォースセンサ665の誤検知を防止できる。また、例えば銅箔を使用する場合や金属ブラシを使用する場合よりも経年劣化が少ないため、長期に使用してもフォースセンサ665の検出性能を維持できる。
【0105】
(2)ガイド筒72は、筒状に形成される。そのため、ガイド筒72が荷重シャフト71の全周を囲むように配置されているため、荷重シャフト71がガイド筒72の内周面のいずれかの部分に接しやすくなる。これにより、荷重シャフト71をガイド筒72に安定して接触させることができる。よって、フォースセンサ665が静電気の影響により誤検知することを一層防止できる。
【0106】
(3)荷重シャフト71の回転を防止するガイド溝713及びガイド突起724を更に備える。これにより、荷重シャフト71の回転が防止されるため、荷重シャフト71とフォースセンサ665とを周方向において常に同じ位置で接触させることができる。よって、例えば、仮に接触箇所が荷重シャフト71の長手方向のセンターではなく、また荷重シャフト71の長さが周方向の各接触位置でばらつく可能性がある場合であっても、荷重シャフト71とフォースセンサ665とが周方向の同じ位置で接触するため、安定した荷重を加え続けることができ、性能を維持できる。
【0107】
(4)クランプユニット60を、荷重検出部66を含んで構成し、蓋部62の閉鎖時に、ユニット本体61と蓋部62との間に配置されるチューブをクランプ可能に構成した。これにより、例えばシングルニードル方式の透析の場合などにおいて、頻繁なクランプ動作によって発生する静電気の影響がある場合においても、静電気の影響によるフォースセンサ665の誤検知を好適に防止できる。
【0108】
以上、本発明の荷重検出部66及びクランプユニット60の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、荷重シャフト71を円柱状で形成したが、これに限定されない。例えば、図13に示す第1変形形態のように荷重シャフト71Aのシャフト本体711Aを四角柱で形成してもよいし、図14に示す第2変形形態のように荷重シャフト71Bのシャフト本体711Bを三角柱で形成してもよい。
【0109】
また、前記実施形態においては、接触部を筒状のガイド筒72により形成したが、これに限定されない。例えば、接触部を、図15に示す第3変形形態の接触部72Aの接触部本体721Aのように荷重シャフト71の全周を囲まないC字状に形成してもよいし、図15の第4変形形態の接触部72Bのように棒状に形成してもよい。接触部を棒状の接触部72Bで形成する場合には、図16に示すように、接触部72Bを、端部をガイド溝713に配置した状態で、荷重シャフト71の軸方向に沿って延びる直線状に形成することが好ましい。
【0110】
また、連結部材73は、平面視でクランク形状に延びた板材により形成したが、アース(接地)できればよく、形状は限定されず、平面材など、また配線などでもよく、自由に形成可能である。
【0111】
また、前記実施形態においては、荷重検出部(荷重検出器)をクランプユニットに適用した場合について説明したが、これに限定されず、他の用途に用いてもよい。例えば、荷重検出部(荷重検出器)は、静電気が発生する環境に用いられる場合、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0112】
60 クランプユニット
61 ユニット本体(本体)
62 蓋部
66 荷重検出部(荷重検出器)
71 荷重シャフト(荷重部)
72 ガイド筒(接触部)
73 連結部材(連結部)
610 アース板金(アース部)
665 フォースセンサ(荷重検出センサ)
713 ガイド溝(回転防止部)
724 ガイド突起(回転防止部)
図1
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