(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H05K5/03 G
(21)【出願番号】P 2018229182
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-203689(JP,A)
【文献】特開2016-189682(JP,A)
【文献】特開平09-171805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられたスイッチと、
前記筐体から突出し、前記スイッチの周囲に配された凸部と、
前記筐体と対面する部分が一段凹んでいる凹部を有し、前記凸部に前記凹部を嵌合させて前記スイッチを保護するカバー本体、カバー本体と一体に設けられた一対の被係止片、及び前記被係止片から前記凹部の内側に突出する爪部を有し、前記凹部を前記凸部に嵌合させた場合、前記爪部が前記凸部に形成された係止部に係止されることにより前記凸部に保持される保護カバーとを備え、
前記一対の被係止片は、
前記爪部を有する挟持部と、
前記カバー本体と前記挟持部との間を連結し、前記凹部が前記凸部と嵌合する第1の方向に沿って延設された腕部と、
前記腕部と平行、且つ前記挟持部から前記第1の方向とは反対の第2の方向に延設されたハンドル部とから構成され、
前記ハンドル部を前記凸部に近接させる第3の方向に押圧することにより前記腕部を撓ませて前記爪部と前記係止部との係止が解除される電子機器。
【請求項2】
前記一対の被係止片は、前記カバー本体との連結部分から前記挟持部との間に切り欠きを有しており、前記腕部は、前記切り欠きにより分離されている複数の腕部からなる請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ハンドル部を前記第3の方向に押圧することにより前記腕部と前記カバー本体との連結部分を支点にして前記腕部を撓ませた場合、前記爪部と前記係止部との係止が解除される請求項1または2項記載の電子機器。
【請求項4】
前記ハンドル部は、前記爪部よりも前記カバー本体との連結部分に近い位置で前記凸部と接触する接触片を一体に設けており、
前記ハンドル部を前記第3の方向に押圧することにより前記接触片を支点にして前記腕部を撓ませた場合、前記爪部と前記係止部との係止が解除される請求項1ないし3のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
前記ハンドル部は、前記凸部と対面する位置に、前記挟持部から延設され、前記凸部に向かって突出する補強リブを有し、
前記補強リブは、前記凸部と接触する前記接触片である請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記ハンドル部は、前記第3の方向とは反対の第4の方向に突出する鍔部を有する請求項1ない5のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器では、電源スイッチなどの操作スイッチに対して、誤操作を防止するための保護カバーを備えたものが知れられている(下記特許文献1および特許文献2参照)。保護カバーを備えた電子機器としては、例えば、放送用や音響用の電気設備を構成する電子機器であり、長時間の稼働中に電源スイッチを誤ってオフ状態にしないように保護カバーが装着される。
【0003】
このような電子機器では、スイッチが設けられた筐体側に係止部を、保護カバーに爪部を形成しており、スイッチの周囲に保護カバーを嵌合させるとともに、係止部が爪部を係止することにより保護カバーが筐体側に保持される。これにより、保護カバーを嵌合方向とは反対方向に引っ張っても係止部が爪部を係止するため、保護カバーが筐体から離脱し難い構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-103876号公報
【文献】実開平1-172226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような放送用や音響用の電気設備では、放送や通信を停止する場合、あるいは電子機器のメンテナンスや機器構成の変更を行う場合等、電源スイッチをオフ状態にするために保護カバーを取り外す必要が出てくる。しかしながら、上記特許文献1、2記載の電子機器では、保護カバーを嵌合方向と反対方向に引っ張ることにより強引に保護カバーを弾性変形させなければ、係止部による爪部の係止を解除することができない。このため、保護カバーを筐体から取り外すことが困難であり、取り外し作業に手間が掛かる。また、取り外し作業を行う場合、保護カバーの爪部と筐体の係止部とが接触して擦れたり、引っ掛かったりするため、爪部や係止部が摩耗してしまう。これにより、筐体への保護カバーの取り付けが困難になることもある。
【0006】
本発明は、誤操作防止用の保護カバーの取り外し作業が容易な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、スイッチと、凸部と、保護カバーとを備え、ハンドル部を凸部に近接させる第3の方向に押圧することにより、腕部を撓ませて爪部と係止部との係止が解除される。スイッチは、筐体に設けられている。凸部は、筐体から突出し、スイッチの周囲に配されている。保護カバーは、筐体と対面する部分が一段凹んでいる凹部を有し、凸部に凹部を嵌合させてスイッチを保護するカバー本体、カバー本体と一体に設けられた一対の被係止片、及び被係止片から凹部の内側に突出する爪部を有し、凹部を凸部に嵌合させた場合、爪部が凸部に形成された係止部に係止されることにより凸部に保持される。一対の被係止片は、爪部を有する挟持部と、カバー本体と挟持部との間を連結し、凹部が凸部と嵌合する第1の方向に沿って延設された腕部と、腕部と平行、且つ挟持部から第1の方向とは反対の第2の方向に延設されたハンドル部とから構成される。
【0008】
一対の被係止片は、カバー本体との連結部分から挟持部との間に切り欠きを有しており、腕部は、切り欠きにより分離されている。
【0009】
ハンドル部を第3の方向に押圧することにより腕部とカバー本体との連結部分を支点にして腕部を撓ませた場合、爪部と係止部との係止が解除されることが好ましい。
【0010】
ハンドル部は、爪部よりもカバー本体との連結部分に近い位置で凸部と接触する接触片を一体に設けており、第3の方向に押圧することにより接触片を支点にして腕部を撓ませた場合、爪部と係止部との係止が解除されることが好ましい。
【0011】
ハンドル部は、凸部と対面する位置に、挟持部から延設され、凸部に向かって突出する補強リブを有し、補強リブは、凸部と接触する接触片であることが好ましい。
【0012】
ハンドル部は、第3の方向とは反対の第4の方向に突出する鍔部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誤操作防止用の保護カバーの取り外し作業が容易な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】保護カバーを筐体から取り外した状態の斜視図である。
【
図3】保護カバーを筐体に取り付けた状態の斜視図である。
【
図6】保護カバーを筐体に取り付ける際の取り付け作業を説明する説明図である。
【
図7】被係止片及び係止孔周辺の要部断面図である。
【
図8】保護カバーの一部を切り欠いた斜視図である。
【
図9】保護カバーを筐体から取り外す際の取り外し作業を説明する説明図である。
【
図10】保護カバーを筐体から取り外す際の被係止片及び係止孔周辺の要部断面図である。
【
図11】第2実施形態における保護カバーの背面側斜視図である。
【
図12】第2実施形態の保護カバーの一部を切り欠いた斜視図である。
【
図13】第2実施形態における保護カバーを筐体から取り外す際の被係止片及び係止孔周辺の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1に示す電子機器10は、例えば、放送用や音響用の電気設備を構成する電子機器である。より具体的には、電子機器10は、例えば、パワーディストリビュータといわれる電源制御装置である。
【0016】
[電子機器の概略構成]
電子機器10は、筐体11と、保護カバー12とを備える。筐体11のフロントパネル11Aには、パワースイッチ13、LED群14、ブレーカースイッチ15、切替スイッチ16、及び電源コンセント17が設けられている。また、筐体11のリアパネル11Bには、例えば、電源プラグ(図示せず)及び6つの電源コンセント(図示せず)が設けられている。電子機器10は、電源プラグに外部交流電源が接続された場合、外部交流電源からの交流電力を、電源コンセントに接続された各音響機器にそれぞれ分配供給する。
【0017】
電源コンセント17は、遅延時間が設定されない電源コンセントであり、常に電力が分配供給される。他方、リアパネルの電源コンセントは、遅延時間が設定される電源コンセントであり、電子機器10のパワースイッチ13がオンされると、それぞれ設定された遅延時間に基づいて電力が分配される。
【0018】
パワースイッチ13は、電子機器10の電源スイッチであり、操作者はこのパワースイッチ13をオン/オフすることで、リアパネルの電源コンセントに接続される各音響機器に対して遅延時間に基づいて電力を分配供給する。このパワースイッチ13は、後述するように、保護カバー12を筐体11に取り付けることにより保護カバー12で覆われる。これにより、パワースイッチ13の誤操作を防止することができる。
【0019】
LED群14は、電源コンセントの電源投入状態を報知するLEDである。筐体11の内部には、過負荷時に電流を遮断するブレーカーが設けられている。ブレーカースイッチ15は、ブレーカーが作動して電子機器10が電流を遮断する際、オンからオフに切り替わる。電子機器10のブレーカーが作動した場合、ブレーカースイッチ15をオフからオンに手動操作すると電力の供給が可能となる。切替スイッチ16は、遅延時間の設定を、例えば3パターンの中から1つのパターンを選択的に切り替える手動操作可能なスイッチである。なお、電子機器10には、保護カバー12の他に、ブレーカースイッチ15、切替スイッチ16、及び電源コンセント17などを覆うカバー(図示せず)も備えており、切替スイッチ16などの誤操作を防止することができる。
【0020】
電子機器10は、例えばラックといわれる棚状の収容ケースに収納される。電子機器10には、取付片18が設けられている。取付片18には、貫通穴18aが形成されている。電子機器10をラックに収容する場合には、取付ネジ(図示せず)を貫通穴18aに挿入してラックのネジ穴に締結する。
【0021】
なお、電子機器10としてはパワーディストリビュータに限らず、音声を再生するプレーヤ、音声を録音するレコーダ、アンプなどに適用してもよい。電気設備は、こうした各種の電子機器10が組み合わされて構成される。
【0022】
[電源スイッチの概略構成]
図2に示すように、パワースイッチ13は、例えば、シーソースイッチであり、オン/オフ状態を切り替える際に押圧されるスイッチ操作面13Aが筐体11のフロントパネル11Aから突出した位置に配置されているパワースイッチ13は、マーク13Bが付された一端部付近、またはマーク13Cが付された他端部付近を押圧操作することにより、電源のオン/オフ状態を切り替えることができる。
図2に示すようにマーク13Bが付された一端部付近がフロントパネル11A側に近接した状態にあるときは電源がオン状態である。一方、マーク13Cが付された他端部付近がフロントパネル11A側に近接した状態にあるときは電源がオフ状態である。
【0023】
[凸部の構成]
筐体11には、パワースイッチ13の周囲に配され、フロントパネル11Aから突出する凸部21が一体に設けられている。凸部21は、パワースイッチ13を筐体11に取り付けるための取り付け枠22と一体に設けられている。凸部21は、パワースイッチ13の左右両側部及び下部を囲むコ字状に形成されている。凸部21の両側面には、後述する保護カバー12の爪部27を係止する係止孔23を有する。なお、以下では、凸部21において、フロントパネル11Aから突出している方の一端を先端とし、フロントパネル11Aと接する方の一端を基端と称する。係止孔23は、凸部21の基端から凸部21の突出方向に沿って形成されている。
【0024】
凸部21の上部からは、スイッチ操作面13Aのマーク13Bが付された一端部付近と、取り付け枠22が突出している。凸部21は、先端面21Aから上部に向かって切り欠かれた曲面24が、スイッチ操作面13Aを構成する曲面と同じ曲率で形成されている。パワースイッチ13をオン状態にした場合、曲面24とスイッチ操作面13Aとが面一の状態であり、凸部21を側面から視た場合、パワースイッチ13の上端部を除く部分が凸部21の内部に収まる状態となる。
【0025】
[保護カバーの構成]
図3に示すように、保護カバー12は、凸部21に取り付けられ、パワースイッチ13を覆い隠す。なお、図面の煩雑化を防ぐため、図示していないが、保護カバー12は、例えば透明な樹脂から成形されており、凸部21に取り付けられた際、内部のパワースイッチ13を視認可能としている。
【0026】
図4及び
図5に示すように、保護カバー12は、カバー本体25と、カバー本体25と一体に設けられた一対の被係止片26と、被係止片26から内側に突出する爪部27とを有する。
【0027】
カバー本体25は、凸部21と、凸部21から突出するパワースイッチ13の一部を覆う箱状に形成されている。具体的には、カバー本体25は、凸部21及びパワースイッチ13の前面側を覆い隠す前板25Aと、前板25Aの左右両側に位置する側板25B,25C,上板25D、底板25Eを有する。上板25Dの一部は、凸部21からパワースイッチ13の一部が突出するため、段差形状25Fを有する。なお、以下では、保護カバー12における前板25A側の端面を前面または前端、前板25Aとは反対側の筐体11と対面する側の端面を背面又は後端という場合がある。
【0028】
カバー本体25の背面側は、側板25B,25C,上板25D、及び底板25Eで囲まれた凹部28を有する。凹部28は、フロントパネル11Aと対面する後端25Gに対して一段凹んでいる。凹部28は、凸部21と緩く嵌合するように形成されている。これにより、カバー本体25は、凸部21に凹部28を嵌合させた場合、パワースイッチ13を覆い隠して保護する。
【0029】
一対の被係止片26は、カバー本体25の前板25Aの両側と連続して設けられている。一対の被係止片26は、挟持部29と、カバー本体25と挟持部29との間を連結している2つの腕部31と、ハンドル部32とをそれぞれ有する。2つの腕部31は、凹部28と凸部21が嵌合する方向である第1の方向D1に沿って延設されている。2つの腕部31は、スリット25Hにより側板25B,25Cと分離して設けられている。
【0030】
一対の被係止片26は、前板25Aから挟持部29までの間に切り欠き33を有しており、2つの腕部31は、切り欠き33により互いに分離されている。すなわち、2つの腕部31は、スリット25Hと切欠き33の間に位置するため、第1の方向D1と直交する幅方向の寸法が小さく形成されている。これにより、腕部31は、押圧を受けた場合、容易に弾性変形可能となっている。
【0031】
挟持部29は、2つの腕部31を介して前板25Aと連結されており、2つの爪部27が一体に形成されている。挟持部29は、凸部21に凹部28を嵌合させた場合、凸部21の側面と接触する位置に配されている。2つの爪部27は、凹部28の内側に突出し、凸部21の係止孔23に位置を合わせて一定の間隔を置いて配されている。2つの爪部27は、第1の方向D1における先端側が挟持部29に向かって傾斜する傾斜面27A(
図6及び
図7参照)を有する。
【0032】
図6(A)に示すように、保護カバー12を凸部21に取り付ける際に、凸部21に凹部28を嵌合させた場合、先ず、爪部27の傾斜面27Aが凸部21の側面に当接する。
図6(B)に示すように、保護カバー12を筐体11側に押圧すると凸部21の側面から爪部27を介して押圧を受けた腕部31が外側に弾性変形する。さらに、保護カバー12を筐体11側に押し込むと、爪部27が凸部21の側面を乗り越えて係止孔23に進入する。これにより、
図6(C)に示すように、凸部21に凹部28が嵌合し、且つ爪部27が係止孔23の端縁23A(
図7参照)に係止されることにより凸部21に保護カバー12が保持される。なお、端縁23Aは、特許請求の範囲における係止部に相当するものであり、係止孔23における先端面21A寄りの端縁である。
【0033】
図7及び
図8に示すように、挟持部29は、腕部31と連続して延設されている第1の部分29Aと、腕部31と直交する第2の部分29BとからなるL字断面形状に形成されている。第2の部分29Bは、腕部31よりも外側に突出している。
【0034】
ハンドル部32は、腕部31と平行に、且つ第2の部分29Bから第2の方向D2に延設されている。第2の方向D2は第1の方向D1とは反対の方向である。第2の部分29Bは、腕部31よりも外側に突出しているため、第2の部分29Bに連続するハンドル部32は、腕部31よりも外側に位置する。後述するように、爪部27と係止孔23との係止を解除する際、ハンドル部32は、凸部21に近接させる第3の方向D3に押圧される。なお、ハンドル部32は、第3の方向D3に押圧を受けたとき、切り欠き33の内部に進入する位置に配されている。
【0035】
また、ハンドル部32は、第3の方向D3と反対の第4の方向D4に突出する鍔部32Aを有する。鍔部32Aは、ハンドル部32の前端に位置する。具体的には、第1及び第2の方向D1、D2においてカバー本体25の前板25Aと同じ位置に配されている。また、ハンドル部32は、凸部21と対面する位置に設けられた補強リブ34を有する。補強リブ34は、ハンドル部32と挟持部29との間に位置し、凸部21に向かって突出する。
【0036】
図9(A)及び
図10(A)に示すように、保護カバー12を凸部21から取り外す場合、先ず、操作者がハンドル部32を第3の方向D3に押圧する。ハンドル部32は、挟持部29が爪部27を介して凸部21と接触しているため、第3の方向D3に押圧を受けた場合、挟持部29とは反対側の前端が自由端となっており、ハンドル部32の前端が第3の方向D3に押し込まれる。なお、ハンドル部32には鍔部32Aが設けられているため、ハンドル部32の前端がさらに押圧を受けやすくなっている。また、鍔部32Aは、操作者がハンドル部32の前端を第3の方向D3に押し込んだ後、ハンドル部32を第2の方向D2に引き上げやすくするために設けられており、操作者の指が鍔部32Aに引っ掛かるように引き上げることで、保護カバー12を凸部21から取り外しやすくなっている。
【0037】
図9(B)及び
図10(B)に示すように、ハンドル部32を第3の方向D3に押圧することにより、挟持部29を介して腕部31が力を受け、腕部31が弾性変形する。符号P(
図10(B)参照)は、前板25Aと腕部31との連結部分であり、腕部31は、連結部分Pが固定端となっており、連結部分Pの反対側、すなわち、挟持部29が位置する後端側が自由端となっている。これにより、ハンドル部32からの押圧力を受けた腕部31は、連結部分Pを支点として後端が第4の方向D4に移動する撓みが発生する。このようにして、腕部31を撓ませた場合、爪部27と係止孔23との係止が解除される。なお、この場合、保護カバー12の左右両側における爪部27と係止孔23との係止を同時に解除するため、一対の被係止片26におけるハンドル部32を左右から同時に押圧することが好ましい。
【0038】
図9(C)及び
図10(C)に示すように、爪部27と係止孔23との係止が解除された保護カバー12は、第1及び第2の方向D1,D2における規制がなくなり、凸部21から取り外すことができる。
【0039】
以上のように、一対の被係止片26のハンドル部32を押圧するだけで係止を解除し、凸部21から保護カバー12を容易に取り外すことができる。これにより、放送用や音響用の電気設備の稼働中は、パワースイッチ13を保護カバー12が保護して誤操作を防ぐとともに、メンテナンスなどの際、パワースイッチ13を操作する必要がある際は、保護カバー12の取り外し作業を簡単に行うことができる。また、爪部27と係止孔23との係止を解除してから保護カバー12の取り外しを行うことができるため、爪部27や係止孔23の摩耗を防ぐことが可能であり、筐体11に対する保護カバー12の保持力を長期間保つことができる。
【0040】
[第2実施形態]
上記第1実施形態においては、カバー本体と腕部との連結部分を支点として腕部を撓ませた場合、爪部と係止部との係止が解除される構成としているが、これに限らず、爪部よりもカバー本体との連結部分に近い位置で凸部と接触する接触片を保護カバーに設け、この接触片を支点にして腕部を撓ませた場合、爪部と係止部との係止が解除される構成にしてもよい。なお、電子機器の筐体、パワースイッチ、凸部の構成については、上記第1実施形態と同様であり、以下では、同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図11及び
図12に示す保護カバー50では、補強リブ51を有する。なお、補強リブ51以外の構成は、上記第1実施形態の保護カバー12と同様である。補強リブ51は、上記第1実施形態における補強リブ34と同様にハンドル部32に設けられている。補強リブ51は、凸部21と対面し、挟持部29からハンドル部32に延設されている。さらに本実施形態の補強リブ51では、凸部21に向かって突出する山型に形成され、頂点51A(
図13参照)が凸部21と接触する。この補強リブ51が特許請求の範囲における接触片を構成している。なお、これに限らず、補強リブ51とは別に凸部21と接触する接触片を一対の被係止片26に設けてもよい。また、接触片の形状は山型に限らず、どのような形状でもよい。
【0042】
頂点51Aは、爪部27よりもカバー本体25との連結部分に近い位置で凸部21と接触する。また、補強リブ51は、1つの被係止片26において、所定の間隔を置いて2つ設けられている。
【0043】
図13(A)に示すように、保護カバー50を凸部21から取り外す場合、先ず、操作者がハンドル部32を第3の方向D3に押圧する。ハンドル部32は、補強リブ51の頂点51Aが凸部21と接触しているため、第3の方向D3に押圧を受けた場合、頂点51Aよりも前側に位置するハンドル部32の前端が第3の方向D3に押し込まれる。
【0044】
図13(B)に示すように、ハンドル部32を第3の方向D3に押圧することにより、補強リブ51を介して腕部31が力を受け、腕部31が弾性変形する。これにより、ハンドル部32からの押圧力を受けた腕部31は、頂点51Aを支点として後端が第4の方向D4に移動する撓みが発生する。このようにして、腕部31を撓ませた場合、爪部27と係止孔23との係止が解除される。なお、この場合、保護カバー50の左右両側における爪部27と係止孔23との係止を同時に解除するため、一対の被係止片26におけるハンドル部32を左右から同時に押圧することが好ましい。
【0045】
図13(C)に示すように、爪部27と係止孔23との係止が解除された保護カバー50は、第1及び第2の方向D1,D2における規制がなくなり、凸部21から取り外すことができる。
【0046】
以上のように、一対の被係止片26のハンドル部32を押圧するだけで係止を解除し、上記第1実施形態と同様に、凸部21から保護カバー50を容易に取り外すことができる。また、上記第1実施形態と同様に、爪部27と係止孔23との係止を解除してから保護カバー12の取り外しを行うことができるため、爪部27や係止孔23の摩耗を防ぐことが可能であり、筐体11に対する保護カバー50の保持力を長期間保つことができる。
【0047】
なお、上記各実施形態では、筐体に設けられたスイッチとして、シーソースイッチ型の電源スイッチを例に上げて説明しているが、これに限らず、電子機器を作動させるために操作するスイッチであればよく、シーソースイッチ型以外の押しボタン型のスイッチなどでもよい。
【0048】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、変形例や上記各実施形態の組み合わせなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 電子機器
11 筐体
11A フロントパネル
11B リアパネル
12 保護カバー
13 パワースイッチ
13A スイッチ操作面
13B マーク
13C マーク
14 LED群
15 ブレーカースイッチ
16 切替スイッチ
17 電源コンセント
18 取付片
18a 貫通穴
21 凸部
21A 先端面
22 取り付け枠
23 係止孔
23A 端縁
24 曲面
25 カバー本体
25A 前板
25B 側板
25C 側板
25D 上板
25E 底板
25F 段差形状
25G 後端
25H スリット
26 被係止片
27 爪部
27A 傾斜面
28 凹部
29 挟持部
29A 第1の部分
29B 第2の部分
31 腕部
32 ハンドル部
32A 鍔部
34 補強リブ
50 保護カバー
51 補強リブ
51A 頂点
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 第3の方向
D4 第4の方向
P 連結部分