(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20220906BHJP
H01H 1/20 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01H50/54 B
H01H1/20
(21)【出願番号】P 2019006521
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】森 真吾
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】林田 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-053717(JP,U)
【文献】特開2013-062156(JP,A)
【文献】特開2014-007096(JP,A)
【文献】特開2001-250464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00-50/92
H01H 1/06- 1/66
H01H 45/00-45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接触片と、
前記可動接触片に接続された可動接点と、
固定端子と、
前記可動接点と向かい合って配置され、前記固定端子に接続された固定接点と、
前記可動接点が前記固定接点と接触する閉位置と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開位置とに移動可能に設けられ、前記可動接触片を支持する可動機構と、
前記可動機構を移動させる駆動装置と、
前記可動接触片に接続された予備接点と、
を備え、
前記固定端子は、前記可動接触片と向かい合う接点支持部を含み、
前記固定接点は、前記接点支持部から突出しており、
前記予備接点は、前記
接点支持部において前記固定接点が設けられていない部分と向かい合っており、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が所定量より小さいときには、前記可動機構が閉位置で、前記予備接点は、前記固定端子に対して電気的に非導通であり、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量以上であるときには、前記可動機構が前記閉位置で、前記予備接点は、
前記接点支持部において前記固定接点が設けられていない部分と接触することで、前記固定端子に対して電気的に導通する、
リレー。
【請求項2】
前記予備接点は、前記可動接点よりも高い融点を有する、
請求項1に記載のリレー。
【請求項3】
前記予備接点は、前記可動接点よりも高い電気抵抗率を有する、
請求項1又は2に記載のリレー。
【請求項4】
前記可動接触片の接点フォローは、前記可動接触片の移動方向における前記固定接点と前記可動接点との長さと、前記可動接触片の移動方向における前記予備接点の長さとの差よりも大きい、
請求項1から3のいずれかに記載のリレー。
【請求項5】
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量より小さいときには、前記可動機構が閉位置で、前記予備接点は、前記固定端子に非接触であり、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量以上であるときには、前記可動機構が前記閉位置で、前記予備接点は、前記固定端子に接触する、
請求項1から4のいずれかに記載のリレー。
【請求項6】
前記予備接点は、前記可動接点から離れて配置される、
請求項1から5のいずれかに記載のリレー。
【請求項7】
前記可動接触片の接点フォローは、前記可動接触片の移動方向における前記固定接点と前記可動接点との長さよりも小さい、
請求項1から6のいずれかに記載のリレー。
【請求項8】
可動接触片と、
前記可動接触片に接続された可動接点と、
固定端子と、
前記可動接点と向かい合って配置され、前記固定端子に接続された固定接点と、
前記可動接点が前記固定接点と接触する閉位置と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開位置とに移動可能に設けられ、前記可動接触片を支持する可動機構と、
前記可動機構を移動させる駆動装置と、
前記固定端子に接続された予備接点と、
を備え、
前記可動接点は、前記固定端子と向かい合う前記可動接触片の表面から突出しており、
前記予備接点は、前記可動接触片
の前記表面において前記可動接点が設けられていない部分と向かい合っており、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が所定量より小さいときには、前記可動機構が閉位置で、前記予備接点は、前記可動接触片に対して電気的に非導通であり、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量以上であるときには、前記可動機構が前記閉位置で、前記予備接点は、
前記可動接触片の前記表面において前記可動接点が設けられていない部分と接触することで、前記可動接触片に対して電気的に導通する、
リレー。
【請求項9】
前記予備接点は、前記固定接点よりも高い融点を有する、
請求項8に記載のリレー。
【請求項10】
前記予備接点は、前記固定接点よりも高い電気抵抗率を有する、
請求項8又は9に記載のリレー。
【請求項11】
前記可動接触片の接点フォローは、前記可動接触片の移動方向における前記固定接点と前記可動接点との長さと、前記可動接触片の移動方向における前記予備接点の長さとの差よりも大きい、
請求項8から10のいずれかに記載のリレー。
【請求項12】
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量より小さいときには、前記可動機構が閉位置で、前記予備接点は、前記可動接触片に非接触であり、
前記可動接点及び前記固定接点の消失量が前記所定量以上であるときには、前記可動機構が前記閉位置で、前記予備接点は、前記可動接触片に接触する、
請求項8から11のいずれかに記載のリレー。
【請求項13】
前記予備接点は、前記固定接点から離れて配置される、
請求項8から12のいずれかに記載のリレー。
【請求項14】
前記可動接触片の接点フォローは、前記可動接触片の移動方向における前記固定接点と前記可動接点との長さよりも小さい、
請求項1から13のいずれかに記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されているように、リレーには、可動接触片と、可動接点と、固定接点と、固定端子とを備えたものがある。可動接点は、可動接触片に接続されている。可動接触片は開位置と閉位置とに移動する。可動接触片が開位置で、可動接点は固定接点から開離している。可動接触片が閉位置で、可動接点は固定接点と接触する。それにより、固定端子と可動接触片とが通電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーにおいて過電流が流れると、接点が消失することがある。接点が消失すると、固定端子と可動接触片とを安定的に通電することが困難になる。本発明の目的は、リレーにおいて、接点が消失しても安定的な通電を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係るリレーは、可動接触片と、可動接点と、固定端子と、固定接点と、可動機構と、駆動装置と、予備接点とを備える。可動接点は、可動接触片に接続される。固定接点は、可動接点と向かい合って配置される。固定接点は、固定端子に接続される。可動機構は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。可動機構が閉位置で、可動接点が固定接点と接触する。可動機構が開位置で、可動接点が固定接点から開離する。可動機構は、可動接触片を支持する。駆動装置は、可動機構を移動させる。予備接点は、可動接触片に接続される。可動接点及び固定接点の消失量が所定量より小さいときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、固定端子に対して電気的に非導通である。可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上であるときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、固定端子に対して電気的に導通する。
【0006】
本態様に係るリレーでは、可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上になると、可動機構が閉位置で、予備接点が固定端子に対して電気的に導通する。それにより、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【0007】
予備接点は、可動接点よりも高い融点を有してもよい。この場合、予備接点によって、より安定的な通電を確保することができる。
【0008】
予備接点は、可動接点よりも高い電気抵抗率を有してもよい。この場合、予備接点によって、より安定的な通電を確保することができる。
【0009】
接点フォローは、可動接触片の移動方向における固定接点と前記可動接点との長さと、可動接触片の移動方向における予備接点の長さとの差よりも大きくてもよい。この場合、予備接点が固定端子に接触することで、安定的な通電を確保することができる。
【0010】
可動接点及び固定接点の消失量が所定量より小さいときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、固定端子に非接触であってもよい。可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上であるときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、固定端子に接触してもよい。この場合、予備接点が固定端子に接触することで、安定的な通電を確保することができる。
【0011】
予備接点は、可動接点から離れて配置されてもよい。この場合、可動接点に過電流が流れたときに、予備接点が受ける影響を低減することができる。
【0012】
可動接触片の接点フォローは、可動接触片の移動方向における固定接点と可動接点との長さよりも小さくてもよい。この場合、可動接点及び固定接点が消失すると、可動接触片は固定端子に直接接触することができない。しかし、予備接点によって、安定的な通電を確保することができる。
【0013】
他の態様に係るリレーは、可動接触片と、可動接点と、固定端子と、固定接点と、可動機構と、駆動装置と、予備接点とを備える。可動接点は、可動接触片に接続される。固定接点は、可動接点と向かい合って配置される。固定接点は、固定端子に接続される。可動機構は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。可動機構が閉位置で、可動接点が固定接点と接触する。可動機構が開位置で、可動接点が固定接点から開離する。可動機構は、可動接触片を支持する。駆動装置は、可動機構を移動させる。予備接点は、固定端子に接続される。可動接点及び固定接点の消失量が所定量より小さいときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、可動接触片に対して電気的に非導通である。可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上であるときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、可動接触片に対して電気的に導通する。
【0014】
本態様に係るリレーでは、可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上になると、可動機構が閉位置で、予備接点が可動接触片に対して電気的に導通する。それにより、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【0015】
予備接点は、固定接点よりも高い融点を有してもよい。この場合、予備接点によって、より安定的な通電を確保することができる。
【0016】
予備接点は、固定接点よりも高い電気抵抗率を有してもよい。この場合、予備接点によって、より安定的な通電を確保することができる。
【0017】
接点フォローは、可動接触片の移動方向における固定接点と前記可動接点との長さと、可動接触片の移動方向における予備接点の長さとの差よりも大きくてもよい。この場合、予備接点が可動接触片に接触することで、安定的な通電を確保することができる。
【0018】
可動接点及び固定接点の消失量が所定量より小さいときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、可動接触片に非接触であってもよい。可動接点及び固定接点の消失量が所定量以上であるときには、可動機構が閉位置で、予備接点は、可動接触片に接触してもよい。この場合、可動接点及び固定接点が消失すると、可動接触片は固定端子に直接接触することができない。しかし、予備接点が可動接触片に接触することで、安定的な通電を確保することができる。
【0019】
予備接点は、固定接点から離れて配置されてもよい。この場合、固定接点に過電流が流れたときに、予備接点が受ける影響を低減することができる。
【0020】
可動接触片の接点フォローは、可動接触片の移動方向における固定接点と可動接点との長さよりも小さくてもよい。この場合、可動接点及び固定接点が消失すると、可動接触片は固定端子に直接接触することができない。しかし、予備接点によって、安定的な通電を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リレーにおいて、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る開状態のリレーを示す側面断面図である。
【
図3】可動接点が固定接点に接触し始めたときの接点装置の拡大図である。
【
図4】可動機構が閉位置での接点装置の拡大図である。
【
図5】固定接点及び可動接点が消失したときの接点装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施形態に係るリレー1について説明する。
図1は実施形態に係るリレー1を示す側面断面図である。
図1に示すように、リレー1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4とを備える。
【0024】
なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、
図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向を上方と定義する。また、接点装置2から駆動装置4に向かう方向を下方と定義する。
図1において、上下方向に交差する方向を左右方向と定義する。また、上下方向及び左右方向に交差する方向を前後方向と定義する。前後方向は、
図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、リレー1の配置方向を限定するものではない。
【0025】
接点装置2は、ハウジング3内に配置されている。接点装置2は、可動機構10と、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と、第1固定接点14と、第2固定接点15と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子11には、第1固定接点14が接続されている。第2固定端子12には、第2固定接点15が接続されている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に離れて配置されている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0026】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1接点支持部21は、可動接触片13と向かい合っている。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、ハウジング3から外方に突出している。
【0027】
第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2接点支持部23は、可動接触片13と向かい合っている。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、ハウジング3から外方に突出している。詳細には、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、ハウジング3から上方に突出している。
【0028】
可動接触片13は、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。本実施形態において、可動接触片13の長手方向は、左右方向に一致する。可動接触片13は、上下方向において、第1固定端子11の第1接点支持部21と、第2固定端子12の第2接点支持部23とに向かい合って配置されている。
【0029】
可動接触片13は、接触方向Z1と開離方向Z2とに移動可能に配置されている。接触方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12に近接する方向(
図1における上方)である。開離方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12から開離する方向(
図1における下方)である。
【0030】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に接続されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に離れて配置されている。第1可動接点16は、上下方向において第1固定接点14に向かい合っている。第2可動接点17は、上下方向において第2固定接点15に向かい合っている。
【0031】
可動機構10は、可動接触片13を支持している。可動機構10は、可動接触片13と共に、接触方向Z1と開離方向Z2とに移動可能に配置されている。可動機構10は、駆動軸19と、第1保持部材25と、第2保持部材26と、接点バネ27とを含む。駆動軸19は、上下方向に延びている。駆動軸19は、可動接触片13に接続されている。駆動軸19は、可動接触片13から下方に延びている。可動接触片13には、孔13aが設けられている。駆動軸19は孔13aに挿入されている。可動接触片13は、駆動軸19に対して、接触方向Z1と開離方向Z2とに相対的に移動可能である。
【0032】
駆動軸19は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。
図1は、開位置の駆動軸19を示している。
図1に示すように、駆動軸19が開位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15から開離している。
図2は、閉位置の駆動軸19を示している。
図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15と接触している。
【0033】
第1保持部材25は、駆動軸19に固定されている。第1保持部材25は、可動接触片13に対して、開離方向Z2に位置している。接点バネ27は、可動接触片13と第1保持部材25との間に配置される。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を接触方向Z1に付勢する。第2保持部材26は、駆動軸19に固定されている。第2保持部材26は、可動接触片13に対して、接触方向Z1に配置されている。
【0034】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、接触方向Z1及び開離方向Z2に可動機構10を移動させる。それにより、駆動装置4は、接触方向Z1及び開離方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、可動鉄心31と、コイル32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0035】
可動鉄心31は、駆動軸19に接続されている。可動鉄心31は、接触方向Z1及び開離方向Z2に移動可能に設けられている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を接触方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。固定鉄心33は、可動鉄心31と向かい合って配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開離方向Z2に付勢している。
【0036】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。
【0037】
次に、リレー1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、駆動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧されている。そのため、駆動軸19は、
図1に示す開位置に位置している。この状態で、可動機構10を介して、可動接触片13も開離方向Z2に押圧されている。従って、駆動軸19が開位置で、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15から開離している。
【0038】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、接触方向Z1に移動する。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に接触方向Z1に移動する。従って、
図2に示すように、駆動軸19は、閉位置へ移動する。その結果、駆動軸19が閉位置で、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15にそれぞれ接触する。
【0039】
詳細には、駆動軸19が、開位置から閉位置へ移動するとき、
図3に示すように、駆動軸19が閉位置に到達する前に、第1可動接点16及び第2可動接点17が、第1固定接点14及び第2固定接点15にそれぞれ接触する。それにより、可動接触片13の接触方向Z1への移動が規制される。
図4に示すように、駆動軸19が、さらに接触方向Z1に移動すると、駆動軸19が可動接触片13に対して接触方向Z1に移動する。それにより、第1保持部材25と可動接触片13との間の距離が小さくなり、接点バネ27が圧縮される。そのため、駆動軸19が閉位置で、接点バネ27は、可動接触片13を接触方向Z1に付勢する。
【0040】
図4において、“A1”は、接点フォローを示している。接点フォローA1は、接触開始位置と閉位置との間の距離である。接触開始位置は、第1可動接点16及び第2可動接点17が、第1固定接点14及び第2固定接点15に最初に接触したときの駆動軸19の位置である。
【0041】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧される。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に開離方向Z2に移動する。従って、
図1に示すように、可動機構10は、開位置へ移動する。その結果、可動機構10が開位置で、第1固定接点14及び第2固定接点15から開離する。
【0042】
図3及び
図4に示すように、本実施形態に係るリレー1は、予備接点41,42を備えている。予備接点41,42は、可動接触片13に接続されている。予備接点41,42は、可動接触片13と別体である。予備接点41,42は、第1予備接点41と第2予備接点42とを含む。第1予備接点41は、第1固定端子11の第1接点支持部21と向かい合って配置されている。第2予備接点42は、第2固定端子の第2接点支持部23と向かい合って配置されている。
【0043】
第1予備接点41は、第1可動接点16から離れて配置されている。第1予備接点41は、左右方向に第1可動接点16から離れている。ただし、第1予備接点41は、前後方向に第1可動接点16から離れていてもよい。第2予備接点42は、第2可動接点17から離れて配置されている。第2予備接点42は、左右方向に第2可動接点17から離れている。ただし、第2予備接点42は、前後方向に第2可動接点17から離れていてもよい。
【0044】
図4に示すように、可動接触片13の移動方向において、第1予備接点41の長さA2は、第1固定接点14と第1可動接点16との長さの和A3よりも小さい。また、可動接触片13の移動方向において、第2予備接点42の長さA4は、第2固定接点15と第2可動接点17との長さの和A5よりも小さい。そのため、駆動軸19が閉位置で、第1予備接点41は、第1固定端子11の第1接点支持部21から離れており、非接触である。駆動軸19が閉位置で、第2予備接点42は、第2固定端子12の第2接点支持部23から離れており、非接触である。従って、駆動軸19が閉位置で、第1予備接点41は、第1固定端子11に対して電気的に非導通であり、第2予備接点42は、第2固定端子12に対して電気的に非導通である。
【0045】
可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第1固定接点11と第1可動接点16との長さの和A3よりも小さい。可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第2固定接点12と第1可動接点17との長さの和A5よりも小さい。
【0046】
可動接触片13の移動方向における第1予備接点41の長さA2と接点フォローA1との和は、可動接触片13の移動方向における第1固定接点11と第1可動接点16との長さの和A3より大きい。可動接触片13の移動方向における第2予備接点42の長さA4と接点フォローA1との和は、可動接触片13の移動方向における第2固定接点12と第2可動接点17との長さの和A5より大きい。
【0047】
図5に示すように、可動接点16,17及び固定接点11,12が無い場合、接点フォローA1の長さまで、可動接触片13は接触方向Z1に移動することができる。従って、過電流等の要因によって可動接点16,17及び固定接点11,12が消失すると、可動接触片13が接触方向Z1に移動する。それにより、第1予備接点41が、接触方向Z1に移動して、第1固定端子11の第1接点支持部21に接触する。同様にして、第2予備接点42が第2固定端子12の第2接点支持部23に接触する。それにより、第1予備接点41は、第1固定端子11に対して電気的に導通する。また、第2予備接点42は、第2固定端子12に対して電気的に導通する。
【0048】
なお、可動接点16,17及び固定接点11,12の全てが消失しなくても、その消失量が所定量以上になったときには、第1予備接点41が、第1接点支持部21に接触し、第2予備接点42が、第2接点支持部23に接触する。所定量は、A3-A2である。或いは、所定量は、A5-A4である。
【0049】
以上説明した本実施形態に係るリレー1では、第1可動接点16及び第1固定接点14の消失量が所定量以上になると、駆動軸19が閉位置で、第1予備接点41が第1固定端子11に対して電気的に導通する。第2可動接点17及び第2固定接点15の消失量が所定量以上になると、駆動軸19が閉位置で、第2予備接点42が第2固定端子12に対して電気的に導通する。それにより、可動接点16,17及び固定接点11,12が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上記の実施形態では、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が接触方向Z1に移動する。また、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が開離方向Z2に移動する。しかし、接点を開閉するための駆動軸19の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が接触方向Z1に移動してもよい。駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が開離方向Z2に移動してもよい。すなわち、接触方向Z1と開離方向Z2とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【0052】
上述したリレー1は、いわゆるプランジャ形のリレーであるが、本発明の適用対象はプランジャ形に限らず、他の形式のリレーであってもよい。例えば、ヒンジ形のリレーに本発明が適用されてもよい。
【0053】
第1固定端子11、第2固定端子12、可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。可動鉄心31、コイル32、固定鉄心33、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1固定接点14、第2固定接点15、第1可動接点16、第1固定接点14の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0054】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0055】
予備接点41,42の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、
図6は、第1変形例を示す図である。
図6に示すように、予備接点41,42は、可動接触片13と一体であってもよい。
【0056】
図7は、第2変形例を示す図である。
図7に示すように、第1予備接点41は、第1固定端子11に接続されてもよい。第2予備接点42は、第2固定端子12に接続されてもよい。詳細には、第1予備接点41は、第1固定端子11の第1接点支持部21に接続されてもよい。第1予備接点41は、第1固定端子11と別体であってもよい。第1予備接点41は、第1固定接点14から離れて配置されてもよい。第2予備接点42は、第2固定端子12の第2接点支持部23に接続されてもよい。第2予備接点42は、第2固定端子12と別体であってもよい。第2予備接点42は、第2固定接点15から離れて配置されてもよい。
【0057】
第2変形例では、第1可動接点16及び第1固定接点14の消失量が所定量より小さいときには、駆動軸19が閉位置で、第1予備接点41は、可動接触片13に非接触である。そのため、第1予備接点41は、可動接触片13に対して電気的に非導通である。第1可動接点16及び第1固定接点14の消失量が所定量以上になると、
図5と同様に、駆動軸19が閉位置で、第1予備接点41が、可動接触片13に接触する。それにより、第1予備接点41は、可動接触片13に対して電気的に導通する。
【0058】
同様に、第2可動接点17及び第2固定接点15の消失量が所定量より小さいときには、駆動軸19が閉位置で、第2予備接点42は、可動接触片13に非接触である。そのため、第2予備接点42は、可動接触片13に対して電気的に非導通である。第2可動接点17及び第2固定接点15の消失量が所定量以上になると、駆動軸19が閉位置で、第2予備接点42が、可動接触片13に接触する。それにより、第2予備接点42は、可動接触片13に対して電気的に導通する。
【0059】
図8は、第3変形例を示す図である。
図8に示すように、第1予備接点41は、第1固定端子11と一体であってもよい。第2予備接点42は、第2固定端子12と一体であってもよい。
【0060】
図9は、第4変形例を示す図である。
図9に示すように、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、左右方向にハウジング3から突出してもよい。或いは、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、前後方向にハウジング3から突出してもよい。
【0061】
上述した実施形態、或いは第1変形例において、予備接点41,42は、可動接点16,17よりも高い融点を有する材料で形成されてもよい。上述した第2変形例、或いは第3変形例において、予備接点41,42は、固定接点14,15よりも高い融点を有する材料で形成されてもよい。例えば、可動接点16,17、或いは固定接点14,15は、銀、或いは銀合金製であり、予備接点41,42は、銅、銅合金、或いはタングステン製であってもよい。
【0062】
上述した実施形態、或いは第1変形例において、予備接点41,42は、可動接点16,17よりも高い電気抵抗率を有する材料で形成されてもよい。上述した第2変形例、或いは第3変形例において、予備接点41,42は、固定接点14,15よりも高い電気抵抗率を有する材料で形成されてもよい。例えば、可動接点16,17、或いは固定接点14,15は、銀、或いは銀合金製であり、予備接点41,42は、銅、銅合金、或いはタングステン製であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、リレーにおいて、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【符号の説明】
【0064】
4 駆動装置
10 可動機構
13 可動接触片
11,12 固定端子
14,15 固定接点
16,17 可動接点
41,42 予備接点
A1 接点フォロー