(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 C
(21)【出願番号】P 2019011612
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】小林 正佳
(72)【発明者】
【氏名】田尻 光宏
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 和次
(72)【発明者】
【氏名】新宅 奉文
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142061(JP,A)
【文献】特開2018-113811(JP,A)
【文献】特開2004-248396(JP,A)
【文献】特開2016-059105(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109217674(CN,A)
【文献】特開2006-304445(JP,A)
【文献】特開2013-150490(JP,A)
【文献】特開2018-078687(JP,A)
【文献】特開2015-201944(JP,A)
【文献】特開平11-234892(JP,A)
【文献】特開2006-311689(JP,A)
【文献】特開2009-148107(JP,A)
【文献】特開2011-087407(JP,A)
【文献】特開2003-284330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCDCコンバータであって、
トランスと、
電源と前記トランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチと、
前記トランスの2次コイルの後段に設けられる整流回路と、
前記整流回路の後段に設けられる平滑回路と、
前記DCDCコンバータの入力電圧を検出する入力電圧センサと、
前記DCDCコンバータの出力電圧を検出する出力電圧センサと、
前記DCDCコンバータの出力電流を検出する出力電流センサと、
前記スイッチを交互にオン、オフさせる制御信号を前記スイッチに出力する駆動部と、
前記入力電圧センサにより検出される入力電圧及び出力電圧指令値により前記制御信号を求め、その制御信号を前記駆動部に出力する制御部と、
を備え、
前記駆動部は、前記スイッチに流れる電流のピーク値がピーク電流閾値以上になると、前記スイッチの動作を停止させ、
前記制御部は、前記出力電流センサにより検出される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合、
前記DCDCコンバータが停止しないときの前記出力電流と前記出力電圧とが互いに対応付けられている垂下制御マップを参照して前記出力電流センサにより検出される出力電流に対応する出力電圧を出力電圧閾値とし、前記出力電圧センサにより検出される出力電圧が前記出力電圧閾値より大きい場合、前記出力電圧センサにより検出される出力電圧が前記出力電圧閾値以下になるまで前記出力電圧指令値を徐々に減少させる
ことを特徴とするDCDCコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のDCDCコンバータであって、
前記制御部は、前記入力電圧センサにより検出される入力電圧または前記出力電圧センサにより検出される出力電圧により前記ピーク電流閾値を変化させる
ことを特徴とするDCDCコンバータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のDCDCコンバータであって、
前記DCDCコンバータを冷却する冷却水の温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検出される温度により前記垂下制御マップを他の垂下制御マップに変更する
ことを特徴とするDCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DCDCコンバータとして、電源とトランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチが交互にオン、オフすることにより電源から供給される電力をトランス、整流回路、及び平滑回路を介して負荷に出力するとともに、出力電流が定格出力電流の上限値を超えると、出力電流が定格出力電流の上限値となるように、スイッチの駆動を制御するものがある。
【0003】
関連する技術として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記DCDCコンバータでは、スイッチに流れる電流を検出していないため、スイッチに過電流が流れた場合、スイッチが破壊されてしまうおそれがある。
【0006】
また、上記DCDCコンバータでは、負荷から要求される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合、負荷から要求される電流を負荷に出力することができないという懸念がある。
【0007】
そこで、本発明の一側面に係る目的は、DCDCコンバータにおいて、スイッチに過電流が流れることによりスイッチが破壊されることを防止するとともに、負荷から要求される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合であっても、負荷から要求される電流をできるだけ負荷に出力することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一つの形態であるDCDCコンバータは、トランスと、電源とトランスの1次コイルとの間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチと、トランスの2次コイルの後段に設けられる整流回路と、整流回路の後段に設けられる平滑回路と、DCDCコンバータの入力電圧を検出する入力電圧センサと、DCDCコンバータの出力電圧を検出する出力電圧センサと、DCDCコンバータの出力電流を検出する出力電流センサと、スイッチを交互にオン、オフさせる制御信号をスイッチに出力する駆動部と、入力電圧センサにより検出される入力電圧及び出力電圧指令値により制御信号を求め、その制御信号を駆動部に出力する制御部とを備える。
【0009】
駆動部は、スイッチに流れる電流のピーク値がピーク電流閾値以上になると、スイッチの動作を停止させる。
【0010】
これにより、スイッチに過電流が流れることでスイッチが破壊されることを防止することができる。
【0011】
また、制御部は、出力電流センサにより検出される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合、DCDCコンバータが停止しないときの出力電流と出力電圧とが互いに対応付けられている垂下制御マップを参照して出力電流センサにより検出される出力電流に対応する出力電圧を出力電圧閾値とし、出力電圧センサにより検出される出力電圧が出力電圧閾値より大きい場合、出力電圧センサにより検出される出力電圧が出力電圧閾値以下になるまで出力電圧指令値を徐々に減少させる。
【0012】
これにより、出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合でも、垂下制御マップを用いて出力電圧を減少させてDCDCコンバータを停止させずにDCDCコンバータから負荷に電流を出力することができるため、負荷から要求される電流をできるだけ負荷に出力することができる。
【0013】
また、制御部は、入力電圧センサにより検出される入力電圧または出力電圧センサにより検出される出力電圧によりピーク電流閾値を変化させるように構成してもよい。
【0014】
また、DCDCコンバータは、DCDCコンバータを冷却する冷却水の温度を検出する温度センサを備え、制御部は、温度センサにより検出される温度により垂下制御マップを他の垂下制御マップに変更するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、DCDCコンバータにおいて、過電流によるスイッチの破壊を防止するとともに、負荷から要求される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合であっても、負荷から要求される電流をできるだけ負荷に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態のDCDCコンバータの一例を示す図である。
【
図4】変形例1における制御部の動作の一例を示す図である。
【
図5】変形例2におけるDCDCコンバータの一例を示す図である。
【
図6】変形例2における制御部の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態のDCDCコンバータの一例を示す図である。
【0018】
図1に示すDCDCコンバータ1は、ハイブリッド車や電気自動車などの車両に搭載され、高圧バッテリBhi(電源)から供給される電力を低圧バッテリBloやスターターモータやライトなどの負荷Lo2に電力を供給する。高圧バッテリBhiは、リチウムイオン電池などにより構成され、走行モータを駆動するインバータなどの負荷Lo1に電力を供給する。低圧バッテリBloは、鉛電池などにより構成され、負荷Lo2に電力を供給する。なお、DCDCコンバータ1は、低圧バッテリBloと協調して負荷Lo2に電力を供給するものとする。すなわち、負荷Lo2が要求する電流(負荷要求電流)がDCDCコンバータ1の出力電流より大きい場合、負荷Lo2が要求する電流に足りない分の電流が低圧バッテリBloから負荷Lo2に出力されるものとする。
【0019】
また、DCDCコンバータ1は、フォワード方式の絶縁型DCDCコンバータであって、コンデンサC1と、スイッチSWと、トランスTと、整流回路2と、平滑回路3と、入力電圧センサSVinと、出力電圧センサSVoutと、入力電流センサSIinと、出力電流センサSIoutと、駆動部4と、制御部5とを備える。整流回路2は、ダイオードD1、D2を備える。平滑回路3は、インダクタLと、コンデンサC2とを備える。なお、スイッチSWは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などとする。また、トランスTの1次コイルL1と2次コイルL2の巻線数比は、1次コイルL1の巻線数:2次コイルL2の巻線数=N:1とする。また、入力電圧センサSVin及び出力電圧センサSVoutは、それぞれ、複数の分圧用抵抗などから構成される。また、入力電流センサSIin及び出力電流センサSIoutは、それぞれ、ホール素子などにより構成される。また、駆動部4は、IC(Integrated Circuit)などにより構成される。また、制御部5は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成される。また、DCDCコンバータ1は、高圧バッテリBhiとトランスTの1次コイルL1との間のローサイドの電源ラインに設けられるスイッチSWが交互にオン、オフすることにより高圧バッテリBhiから供給される電力をトランスT、整流回路2、及び平滑回路3を介して出力するものであれば、フォワード方式の絶縁型DCDCコンバータに限定されない。例えば、フルブリッジ方式等でもよい。
【0020】
高圧バッテリBhiのプラス端子がコンデンサC1の一方の端子及びトランスTの1次コイルL1の一方の端子に接続され、高圧バッテリBhiのマイナス端子がコンデンサC1の他方の端子及びスイッチSWのソース端子に接続されている。スイッチSWのドレイン端子が1次コイルL1の他方の端子に接続されている。トランスTの2次コイルL2の一方の端子がダイオードD1のカソード端子及びインダクタLの一方の端子に接続され、2次コイルL2の他方の端子がダイオードD2のカソード端子に接続されている。インダクタLの他方の端子がコンデンサC2の一方の端子及び低圧バッテリBloのプラス端子に接続されている。ダイオードD1のアノード端子がダイオードD2のアノード端子、コンデンサC2の他方の端子、及び低圧バッテリBloのマイナス端子に接続されている。
入力電圧センサSVinは、コンデンサC1の一方の端子に接続され、コンデンサC1にかかる電圧を検出して制御部5に出力する。出力電圧センサSVoutは、コンデンサC2の一方の端子に接続され、コンデンサC2にかかる電圧を検出して制御部5に出力する。入力電流センサSIinは、コンデンサC1の一方の端子と1次コイルL1の一方の端子との間に接続され、スイッチSWに流れる電流を検出して駆動部4に出力する。出力電流センサSIoutは、コンデンサC2の一方の端子と低圧バッテリBloのプラス端子との間に接続され、DCDCコンバータ1から出力される電流を検出して制御部5に出力する。
【0021】
駆動部4は、制御部5から出力される制御信号をスイッチSWのゲート端子に出力することにより、スイッチSWを交互にオン、オフさせる。スイッチSWがオンすると、高圧バッテリBhiからコンデンサC1を介して1次コイルL1に電流が流れるとともに2次コイルL2からインダクタL及びコンデンサC2を介して低圧バッテリBloや負荷Lo2に電流が流れる。また、スイッチSWがオフすると、ダイオードD1からインダクタL及びコンデンサC2を介して低圧バッテリBloや負荷Lo2に電流が流れる。すなわち、スイッチSWが交互にオン、オフすると、高圧バッテリBhiから供給される電力が交流に変換されて1次コイルL1から2次コイルL2に伝わる。2次コイルL2に伝わった電力は整流回路2及び平滑回路3により整流及び平滑されて低圧バッテリBloや負荷Lo2に供給される。
【0022】
また、駆動部4は、入力電流センサSIinにより検出される電流を入力電流とし、その入力電流のピーク値がピーク電流閾値以上になると、スイッチSWを交互にオン、オフさせる制御信号が制御部5から出力されているか否かにかかわらず、スイッチSWの動作を強制的に停止させることにより、DCDCコンバータ1から低圧バッテリBloや負荷Lo2への電力供給を禁止する。なお、ピーク電流閾値は、スイッチSWが破壊されないときにスイッチSWに流れる電流の最大値とする。これにより、スイッチSWに過電流が流れることでスイッチSWが破壊されることを防止することができる。
【0023】
図2は、制御部5の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部5は、入力電圧、出力電圧、出力電圧指令値、及び出力電流を取得する(ステップS1)。例えば、制御部5は、入力電圧センサSVinにより検出される電圧を入力電圧として取得する。また、制御部5は、出力電圧センサSVoutにより検出される電圧を出力電圧として取得する。また、制御部5は、車両全体の動作を制御する上位制御部から送られてくる出力電圧指令値を取得する。また、制御部5は、出力電流センサSIoutにより検出される電流を出力電流として取得する。また、制御部5は、出力電流の検出精度を上げるため、実際の出力電流が所定電流(例えば、ゼロ)であるときの出力電流センサSIoutの出力値を用いて、出力電流の取得時に参照される出力値-出力電流対応情報を補正してもよい。また、制御部5は、出力電圧の検出精度を上げるため、実際の出力電圧が所定電圧(例えば、ゼロ)であるときの出力電圧センサSVoutの出力値を用いて、出力電圧の取得時に参照される出力値-出力電圧対応情報を補正してもよい。
【0024】
次に、制御部5は、ステップS1または後述するステップS8で取得した出力電流が定格出力電流の上限値以下であるとき(ステップS2:Yes)、入力電圧及び出力電圧指令値などにより制御信号のデューティ比を求め、その制御信号を駆動部4に出力した後(ステップS3)、ステップS1に戻り、再度、入力電圧、出力電圧、出力電圧指令値、及び出力電流を取得する。例えば、制御部5は、「(出力電圧指令値/入力電圧)×1次コイルL1の巻線数N」を計算することにより制御信号のデューティ比を求める。
【0025】
一方、制御部5は、出力電流が定格出力電流の上限値より大きいとき(ステップS2:No)、垂下制御マップを参照して出力電流に対応する出力電圧を出力電圧閾値とする(ステップS4)。
【0026】
ここで、
図3(a)は、垂下制御マップの一例を示す図である。なお、
図3(a)に示す直交座標の横軸は出力電流を示し、縦軸は出力電圧を示している。また、
図3(a)に示す実線(定格出力電流の上限値と定格出力電圧上限値との交点と、負荷要求電流と電力不足による車両停止時のDCDCコンバータ1の出力電圧(車両停止電圧)との交点とを結ぶ直線)は、垂下制御マップを示し、制御部5の内部に予め記憶されているものとする。また、
図3(a)に示す斜線部分は、出力電流が定格出力電流の上限値以下で、かつ、出力電圧が定格出力電圧の上限値以下で、かつ、出力電圧が定格出力電圧の下限値以上であるときの領域を示している。
【0027】
図3(a)に示す垂下制御マップは、出力電流が定格出力電流の上限値より大きいにもかかわらずDCDCコンバータ1が停止しないときの出力電流と出力電圧とが対応付けられた情報とする。言い換えると、垂下制御マップに示されている出力電流と出力電圧との積である電力は、DCDCコンバータ1を停止させずにDCDCコンバータ2から出力可能な電力とする。これにより、
図2に示すフローチャートのステップS1または後述するステップS8で取得した出力電流及び出力電圧が垂下制御マップに示されている出力電流及び出力電圧と略一致する場合、DCDCコンバータ1を停止させずに定格出力電流の上限値より大きい出力電流をDCDCコンバータ1から負荷Lo2に出力することができる。
【0028】
次に、制御部5は、ステップS1または後述するステップS8で取得した出力電圧が出力電圧閾値以下であるとき(ステップS5:Yes)、ステップS3に進み、制御信号を駆動部4に出力する。
【0029】
一方、制御部5は、ステップS1または後述するステップS8で取得した出力電圧が出力電圧閾値より高いとき(ステップS5:No)、出力電圧指令値を一定値減少させた後(ステップS6)、ステップS1または後述するステップS8で取得した入力電圧及びステップS6で減少させた出力電圧指令値などを用いて制御信号のデューティ比を求め、その制御信号を駆動部4に出力する(ステップS7)。
【0030】
次に、制御部5は、入力電圧、出力電圧、及び出力電流を取得した後(ステップS8)、ステップS2に戻り、出力電流が定格出力電流の上限値以下であるか否かを判断する。
【0031】
これにより、出力電流が定格出力電流の上限値より大きく、かつ、出力電圧が出力電圧閾値より高いとき、出力電圧が出力電圧閾値以下になるまで出力電圧を徐々に低下させることができるため、出力電流及び出力電圧をそれぞれ垂下制御マップに示される出力電流及び出力電圧と略一致させることができる。上述したように、出力電流及び出力電圧がそれぞれ垂下制御マップに示される出力電流及び出力電圧と略一致する場合、DCDCコンバータ1を停止させずに定格出力電流の上限値より大きい出力電流をDCDCコンバータ1から負荷Lo2に出力することができる。そのため、出力電流が定格出力電流の上限値より大きいときでも、DCDCコンバータ1を停止させずにDCDCコンバータ1から負荷Lo2に電力を供給することができる。
【0032】
このように、実施形態のDCDCコンバータ1では、出力電流が定格出力電流の上限値より大きく、かつ、出力電圧が出力電圧閾値より高いとき、出力電圧が出力電圧閾値以下になるまで出力電圧を徐々に低下させる構成であるため、出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合でも、DCDCコンバータ1を停止させずにDCDCコンバータ1から負荷Lo2に電力を供給することができる。これにより、負荷Lo2から要求される出力電流が定格出力電流の上限値より大きい場合であっても、負荷Lo2から要求される電流をできるだけ負荷Lo2に出力することができる。
【0033】
また、実施形態のDCDCコンバータ1では、入力電流のピーク値がピーク電流閾値以上であるとき、スイッチSWの動作を強制的に停止させる構成であるため、スイッチSWに過電流が流れることでスイッチSWが破壊されることを防止することができる。
【0034】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0035】
<変形例1>
図4は、変形例1における制御部5の動作の一例を示すフローチャートである。なお、変形例1におけるDCDCコンバータ1の構成は、
図1に示すDCDCコンバータ1と同様とする。また、
図4に示すステップS1~S8は、
図2に示すステップS1~S8と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
図4に示すフローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップS2の前のステップS2´において、入力電圧及び出力電圧によりピーク電流閾値を変化させる点である。なお、ステップS2´の実行タイミングは、ステップS2の前に限定されない。
【0037】
例えば、制御部5は、入力電圧が大きくなるほど、または、出力電圧が小さくなるほど、ピーク電流閾値を大きくする。
【0038】
入力電圧が大きくなるほど、または、出力電圧が小さくなるほど、スイッチSWに流れる電流がピーク値になる前においてスイッチSWに流れる電流の単位時間あたりの変化幅((入力電圧/1次コイルL1の巻線数N-出力電圧)/インダクタLのインダクタンス)が大きくなる。すなわち、入力電圧が大きくなるほど、または、出力電圧が小さくなるほど、スイッチSWに流れる電流のピーク値が大きくなる。
【0039】
そのため、変形例1のように、入力電圧または出力電圧の変化に伴うピーク値の変化に合わせてピーク電流閾値も同様に変化させることで、過電流がスイッチSWに流れていないにもかかわらずスイッチSWを停止させてしまうことを低減することができる。
【0040】
<変形例2>
図5は、変形例2におけるDCDCコンバータ1を示す図である。なお、
図5に示す構成のうち、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図5に示すDCDCコンバータ1において、
図1に示すDCDCコンバータ1と異なる点は、DCDCコンバータ1を冷却する冷却水の温度を検出する温度センサStをさらに備えている点である。
【0042】
温度センサStは、サーミスタなどにより構成され、検出した温度を制御部5に出力する。
【0043】
図6は、変形例2における制御部5の動作の一例を示す図である。なお、
図6に示すステップS1~S8は、
図2に示すステップS1~S8と同様であるため、その説明を省略する。
【0044】
図6に示すフローチャートにおいて、
図2に示すフローチャートと異なる点は、ステップS4の前のステップS4´において、温度センサStにより検出される温度により垂下制御マップを変更する点である。
【0045】
例えば、制御部5は、温度センサStにより検出される温度が上昇していない場合、
図3(b)に示す垂下制御マップ1を使用し、温度センサStにより検出される温度が上昇した場合、
図3(b)に示す垂下制御マップ2(垂下制御マップ1の各出力電流をそれぞれ一定値減少させたもの)を使用する。
【0046】
熱によるスイッチSWの破壊を抑制するためには、冷却水の温度が上昇するほど、出力電流を小さくしてスイッチSWの発熱を抑える必要がある。
【0047】
そのため、変形例2のように、温度センサStにより検出される温度により垂下制御マップを他の垂下制御マップに変更することで、出力電流を小さくすることができるため、熱によるスイッチSWの破壊を抑制することができる。
【0048】
なお、
図6に示すステップS4´を
図4に示すステップS4の前に実行してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 DCDCコンバータ
2 整流回路
3 平滑回路
4 駆動部
5 制御部
Bhi 高圧バッテリ
Blo 低圧バッテリ
Lo1、Lo2 負荷
C1、C2 コンデンサ
SW スイッチ
D1、D2 ダイオード
T トランス
L インダクタ
SVin 入力電圧センサ
SVout 出力電圧センサ
SIin 入力電流センサ
SIout 出力電流センサ